武道、その頂は遠く

作者:飛角龍馬

●作り出された『究極』
「何故だ……何故、捉えられない……!?」
 鋭い槍の一突きが、秋の空気を貫いて風切りの音を響かせた。
 ろくに人も寄り付かない、とある山の中腹である。白の胴着に身を包んだ青年武術家が、戦意をみなぎらせて槍を振るっている。
 それは異様な光景だった。青年が相手にしているのは、中性的な子供にしか見えないのだ。その正体が、幻武極と言うドリームイーターであることなど、青年には知る由もない。
 ――お前の、最高の『武術』を見せてみな!
 突如として現れた極がそう言った直後のことだった。操られたかのように、青年は手にした槍で極に襲いかかったのだ。
 何度目かになる突きも軽くいなされ、大粒の汗が虚しく散った。
「こんなこと、あってたまるか……!」
 泰山と仰がれるような、武術家となってみせる。その一心で、今日、この日まで、懸命に修行に打ち込んできたのだ。焦りを断ち切るように、渾身の薙払いを放つ。
 それを極は腕一本で受け止めてみせた。
 折れた槍の先が飛んでいく。青年の心も折れたかのようだった。
「僕のモザイクは晴れなかったけど、お前の武術はそれはそれで素晴らしかったよ」
 言い終えた瞬間に、極が鍵を振るって青年の胸を突いた。
 驚愕の表情を浮かべて青年が倒れる。その横に突如、幽鬼のような気配が立ち昇り、形を成した。黒の胴着を纏い、大きな槍を手にした筋骨隆々たる槍使いのドリームイーターに。
 槍使いが手にした槍を構える。薙いだだけで槍から炎が噴き出し、続いて放たれた刺突は、貫いた空気さえ凍てつかせる冷気の渦そのものだった。
「お前の武術を見せ付けてきなよ」
 その様子を見ていた極が言い、槍使いは重々しく頷いて歩き出した。
 この山を下り、自身の技で多くの人々を死に至らしめるために。

●イントロダクション
「武術家が襲撃され、ドリームイーターが生み出される事件が発生します」
 セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)が集まったケルベロス達にそう告げた。
「襲撃者は幻武極。その目的は、自身の欠損している『武術』を奪い、モザイクを晴らすことのようです」
 襲われるのは、武術家の青年だ。槍術を極めるべく、とある山の中腹で、独り修行に励んでいたのだという。その実力はまだ達人と呼べるものではなく、彼を襲った程度では幻武極のモザイクは晴れないようだが、
「その代わり、槍使いのドリームイーターを生み出して暴れさせるつもりのようです」
 生み出された槍使いのドリームイーターは、襲われた青年が理想とする『究極の武術家』の力と技を誇るのだという。
 泰山のように仰がれる武術家になる、というのが青年の目標らしく、
「便宜上、今回生み出されたドリームイーターは泰山と呼ぶことにします。皆さんにはこの槍使いのドリームイーター『泰山』の撃破をお願いします」
 幻武極に戦いを挑むことは不可能だが、泰山は放置すれば人里に下りて暴れまわることになる。対処しなければ大惨事になるだろう。
「幸い、泰山が生み出されるのはひと気のない山です。山麓付近で迎撃すれば、周囲の被害を気にせず戦えるはずです」
 泰山は山道を下っていき、比較的平坦で開けた山麓の高原を通過する。そこで迎え撃つようにすれば、戦いに邪魔なものは何もない。
「薙ぎ払いは炎の如く、刺突は氷のように冴え渡る――そんな青年の理想からか、泰山は槍を使って、炎を纏った槍の打撃と、凍てつく突きを放ってきます。気力で自身を癒やすこともできるようなので注意して下さい」
 泰山は自らの武を示そうとしているので、戦闘を挑めば、簡単に戦いに持ち込むことができだろう。
「青年が理想とする武術は、無差別に人を虐殺するものなどではないはずです。被害が出る前に、どうか対応をお願いします」


参加者
ギヨチネ・コルベーユ(ヤースミーン・e00772)
古鐘・るり(安楽椅子の魔女・e01248)
ジューン・プラチナム(エーデルワイス・e01458)
テオドール・クス(渡り風・e01835)
葛籠川・オルン(澆薄たる影月・e03127)
鏡月・空(藻塩の如く・e04902)
イ・ド(リヴォルター・e33381)
宮口・双牙(軍服を着た金狼・e35290)

■リプレイ

●山麓の対峙
 山麓の高原は一面が背の低い草木に覆われていた。
「平成の世の中でも山籠りをする人なんているんだね」
 雄大な山々を前にして、ジューン・プラチナム(エーデルワイス・e01458)が興味深げに言った。
「修行は独りで重ねる印象が強いものね。それも間違ってはいないのだろうけれど」
 服を風になびかせながら古鐘・るり(安楽椅子の魔女・e01248)も山腹に目を向ける。
「何が彼をそこまで駆り立てたのかは分かりませんが……」
 葛籠川・オルン(澆薄たる影月・e03127)が腕組みしながら言い、ギヨチネ・コルベーユ(ヤースミーン・e00772)も来るべき敵を待ち構えながら首肯した。
「ここで止めるのが青年の志を守ることにも繋がりましょう」
「それが武勇に対する礼になることを祈るまでですね」
「何にせよ、堂々と戦って勝てばいいわけだ」
 テオドール・クス(渡り風・e01835)が慣れた手つきで愛用のナイフを回転させた。
「お喋りはここまでらしい。……来たぞ」
 宮口・双牙(軍服を着た金狼・e35290)が告げる。
 泰山が彼方から槍を携えて疾駆してくる。その速度は早かったが、ケルベロス達を見つけると、悠々とした足取りに変わった。槍術を振るうに足る相手だと見定めたかのように。
 鏡月・空(藻塩の如く・e04902)が刀の柄に手をかけ、事の元凶に溜息を一つ。
「武術でモザイクを埋めれるなら自分でどうとでもできそうな気もしますが……ようは面倒くさがりなんですかね」
 武器を手にしたケルベロス達に、黒の道着を纏った巨漢、泰山が不敵な笑みを見せた。
「下山して戦いを求めるつもりでいたが、これは願ってもいない出迎えのようだ」
「ここを通すわけには参りません。押し通るというのであれば、我々を倒してからにして頂きましょう」
 ギヨチネがハンマーを構えて名乗りをあげる。
「挑戦の言葉と受け取った。宜しい。我が槍の極み、今ここでお見せしよう」
「ええ、貴方の槍術、参考にさせてもらうわ。私の槍を更に活かす為にね」
 るりが澄んだ目で泰山を見据える。
「『反抗』、開始」
 無言を保っていたイ・ド(リヴォルター・e33381)が歪な大槌を手に踏み出し、戦いの始まりを宣言した。
「極みだかなんだか知らないけど、人を傷つけさせるわけにはいかないからね!」
 ジューンが自身のケルベロスコートを掴み、脱ぎ捨てる。コートが音を立てて宙を舞い、現れたのは浴衣の装いだ。
「鎧装天使エーデルワイス、秋祭りバージョンでいっきまーす!」
 コスプレファイター・ジューンが浴衣を翻しながら、地面を蹴って飛び込んでいった。

●白熱闘武
 高原の澄んだ空気に剣戟と格闘の音が響き渡る。
「その槍術、どれ程のものか……見せてもらいましょう」
 斬霊刀を手にした空が泰山と斬り合う。刀身に顕われた蒼い紋様が陽を浴びて輝き、襲い来る槍を払って浴びせた一太刀はまだ浅い。空が一旦距離を取る中、テオドールが鎖に守護の力を込めて展開、泰山の間合いに鎖の魔法陣を形成した瞬間、猛烈な槍の振り上げが火炎と共にギヨチネを襲った。ガントレットで防ぎながらも吹っ飛ばされる。
 間合いを詰めたジューンが牽制の刺突をエアシューズの力で際どくかわし、
「危なっ……! これでっ!」
 槍を蹴り上げ、即座に体を捻って勢いをつけた飛び蹴りを胴に叩き込んだ。
 数歩後ずさっただけで耐え切る泰山。
「……ム!?」
 その目前で、流星が落ちてきたかの如き炸裂が生じた。
 土埃の中から現れたのは、大槌を振り下ろしたイ・ドだ。
「捉えたぞ!」
 土煙に乗じて間合いを詰めた双牙がバトルガントレットに炎を纏わせて泰山を打ち抜く。
「……やってくれるな!」
 愉しげに笑った泰山が反撃の突きを放った。
「チッ!」
 咄嗟に直撃を避けたものの、槍の穂先は双牙の横腹を吹き飛ばしていた。血は出ない。氷結しているのだ。
「面妖な術もあったものよ」
 泰山が眉根を寄せる。電磁的な壁が槍のダメージを緩和させていた。
「僕は武勇ではあまり誇れませんが、支援に関しては譲りません」
 オルンが形成していた雷の壁だ。双牙の傷を癒すため駆け寄りながらも、オルンは泰山の槍術に目を細めた。眩しさを感じるように。
 しなりを持つ泰山の槍は変幻自在だ。
 急所を避けつつ防御するギヨチネの肉体が、見る間に刻まれていく。
 が、ギヨチネは防御態勢を取りながら、低く詠唱するように言葉を紡いだ。
「怨嗟の声よ、地に響けよ、我らは惆悵に栄えん」
 罪を犯し刑戮された戦士たちの霊が立ち現れ、泰山に怨嗟の呻きを放ち苛む。
「この槍……どれだけ通じるのか、試させてもらうわ」
 その隙に乗じ、自らも刺突の如き速度でるりが接近。召喚したガングニールのレプリカを手に攻め掛かった。
 火花を散らせながら数合を打ち合う。
「笑止! そのような腕で吾と立ち会うか!」
 るりが僅かに息を詰めた瞬間、泰山の振り上げた槍にガングニールが打ち砕かれた。
「槍術の腕前? ……ご覧の通りの非力な魔法使いよ。今はねッ!」
「なんだと!?」
 横一文字の薙ぎを、再び呼び現されたガングニールが辛くも受け止めていた。
 もとより、るりも単純な格闘戦で及ばないのは承知の上だ。
「お任せを」
 割って入った空が刀と鞘を手に打ち合い、別方向から踏み込んだイ・ドが遠心力と共に大槌を泰山にぶち当てた。
 転がり、受け身を取って立ち上がった泰山にガントレットを構えた双牙が急迫。
「武術というものは、その理念、精神性も重要と聞く。故に、問おう」
 オルンの雷の力でブーストされた双牙が迎撃の突きをかわし、体重を乗せた蹴りをぶち込んだ。
「貴様の武は究極を名乗るに値するのか?」
 たたらを踏みながら泰山が目を見張る。
「この一撃を受けてみろ!」
 ジューンが掌の付け根を重ね合わせて腰だめに構えていた。浴衣をなびかせる程に立ち上るオーラが力を増し、テオドールの生じさせたオウガ粒子が鼓舞するかの如くを包み込む。
「英雄の一撃(ヒーローアーツ)!!」
 泰山に向けて押し出したジューンの両の掌から光の奔流がほとばしった。

●武の極致、その真偽
「武とは力の異名。如何に理念を叫ぼうが、圧倒的な力の前では無益」
 防御態勢を解いた泰山の応えが重く響き渡った。その巨躯から漆黒のオーラが黒煙の如く立ち上る。
「来るよ……!」
 テオドールが地面に展開した鎖に守護の力を送り込んだ直後、泰山の姿がかき消えた。
 横薙ぎをガントレットで受けたギヨチネが弾き飛ばされる。
 すかさず挟撃するジューンとるり。ジューンの飛び蹴りは槍にオーラを纏わせて弾かれ、るりが放った炎の竜に呑まれながらも泰山は火炎を生みながら槍を振るい、双牙やイ・ドさえ蹴散らしながら地を蹴った。
「まずは一人!」
 オルンがロッドを縦に構え、咄嗟に重い胴薙ぎを受け止めようとした。
「ぐ、っ……!」
 斬撃の威力に地面を転がり、何とか受け身を取ったオルンが顔を上げる。
「させませんよ」
 轟、と音を立てて迫る打ち下ろしを、空が片手の鞘でギリギリと受け止め、そして弾き返した。態勢を崩されて後退する泰山。踏み込んだイ・ドが真紅のオーラを纏った拳で泰山を撃ち抜く。
「大丈夫?」
 テオドールがオルンに歩み寄り、サキュバスミストで傷口を塞ぎながら声をかけた。
「ええ。……まだ、やれることはある」
 応えながら、僅かにオルンは拳を握りしめた。
 眼前で、空が泰山と斬り合っている。イ・ドの投げバールを泰山が弾き返した隙に、間合いを詰めたジューンが浴衣を翻しながら掌底を叩き込んだ。怒りに任せた炎の振り上げをギヨチネが体を張って防ぐ。
 深い裂傷が刻まれ膝を折りかけたその精悍な体に、オルンは手をかざした。
「誰も倒れさせはしません。……それが僕の役目です」
 雷の力が傷を癒し、電気的なショックで落ちかけた意識を引き戻す。
「何故、崩せぬ」
 満身創痍のギヨチネが立ち上がり、力のこもった目で泰山を射抜いた。
「……所詮、究極とは名ばかりだからでありましょう」
「ああ。形だけをなぞる貴様の技は、炎も氷もチンケな手品に過ぎん。断じて、武術などというものでは、ない」
「抜かせぇッ!」
 身を低くした双牙を、凍気をはらんだ穂先が襲う。対する双牙は諸手を手刀の形に突き出し地を蹴った。
 全身に回転運動を加え、自らが必殺の槍の如く泰山を穿ち抜く。
 二歩三歩と後退し、呻きと共に泰山が膝をついた。
「経験、記憶。その蓄積がないということが如何なることか、キサマには分かるまい」
 大槌を手にしたイ・ドが、続けざまに言葉を突きつけた。
「簡単な結論だ。キサマは自らの槍術を、我がものにできていない」
 いつの間にか背後に迫ったテオドールが泰山の首筋めがけて手したナイフを閃かせる。
「究極だなんて、自分の力を過信したね」
 理想を求めることもなく、今に安住する……それは歩みを止めているのと同じだ。
 テオドールは知っている。投げ出さずに、修練を重ね続けることの困難さを。
 だからこそ、たとえ一歩でも。
 歩み続ける者達が、足を止めた者に負けるものか――。
 一閃が泰山の体に裂傷を刻み、イ・ドが自らのオウガメタルを槍の形に変形させた。
「泰山……キサマの動き、『学習』させて貰った」
 泰山の刺突と同様の構えを取ったイ・ド。両者が技を繰り出し、交差する。
「なん、だと……吾が槍術が……!」
 その絶対的な好機に。
「これがボクの全力だ! 英雄の一撃(ヒーローアーツ)!」
 力を溜めていたジューンが、浴衣が翻しながら渾身の一撃を放った。
 光条に包まれながら咆哮する泰山。
「千招有るを怖れず、一招熟するを怖れよ。……私もこの槍だけ、ガングニールの再現度を高める事こそが目標」
 尚も立ち続ける泰山に、ガングニールを手にしたるりが空中から急襲。
「消えて終わりよ……ジャッジメント!!」
 るりの手にした擬似神槍が今度こそ泰山の胸を貫く。
 迎撃しようと天に槍を突き出したまま、泰山が塵と化し、消えていった。

●遥かな高みへ
 山の気候は変わりやすいというが、上空に広がるのは相変わらず穏やかな秋晴れだった。
「無事でいらっしゃればそれに越したことはございませんが」
 翼をはためかせ、ある程度まで上昇すると、ギヨチネは滑空した。山腹に倒れているという青年の姿を捜索する。
 初めに見つけたのは山籠り用の荷物だった。見晴らしの良い開けた山腹、その露出した山肌に、白の道着を纏った青年がうつ伏せに倒れている。ギヨチネが、道なき道を登るケルベロス達に合図した。
「こんなところで修行していたわけですか」
 山からの眺望にちらと目を向けてから、空が倒れている人影に歩み寄る。
「本当に山籠りって感じだったんだね」
 ジューンが言い、るりもまた澄ました顔で青年の選んだ修練の地を見渡した。
「もう目を覚ます筈だが」
 イ・ドが青年の横に膝をつき、脈を取り、抱えるように仰向けにする。
 意識を取り戻した青年が呻き、半身を起こした。
「俺は……」
「大丈夫のようだな」
 双牙が青年の様子を見て安堵する。
「あんた達は一体……」
 ジューンが笑みと共に頷いてみせた。
「ボクたちはケルベロスだよ。キミはちょっと事件に巻き込まれちゃったんだ」
 一通りの事情を過不足なく説明していくジューン。
「なんと礼を言って良いのやら。そうか……そうだったんだな……」
 テオドールは少し距離を置いたところでその様子を見ていた。青年が、歯噛みして拳を握り締めるのも。
「一度山を下りようと思う。無理をしても何もならんしな」
「……そうなるよね」
 小さくテオドールが呟いた。一心に進んできた道を否定されたとすれば、その絶望は如何ばかりか。
「私の目標の話、聞いてもらえるかしら」
 励ましにでもなればいいのだけど、とるりが語り始める。
「独りで修行するのはいいと思う。私もそうだし。でも、競い合うライバルがいるっていうのも悪くないんじゃない」
 瞑目した青年が息を吸い込み、小さく頷いた。
「立てるな、青年」
 イ・ドの言葉に応じるように立ち上がり、砂埃を払う。
「済まない、大丈夫だ。自分の足で歩ける」
 大丈夫なはずはない。テオドールは思う。それでも、青年の目はまだ死んでいなかった。
「敗北は口惜しく、挫折に膝をつく想いもあろう。だがキサマはまだ彼方に『理想』があることを知ったのだ」
「今回は相手が異形のものだった故に敗れたかも存じませんが、その努力は裏切りませぬ」
 静かに歩んできたギヨチネが青年に言葉を重ねた。
「目指すべき高みか……ああ、確かにその通りだ」
「追い求め、研鑽を詰まれてきたのでしょう。その姿勢は正直眩しい。どうか、あなたの理想に辿り着かれる日が訪れることを祈ります」
 オルンの言葉を聞きながら、青年は山を見据えていた。未だ高みにある山峰に。
 諦めていないのだ。まだ。
 テオドールが感嘆するように軽く息を吐き、笑みを見せながら言った。
「諦めない心、お互いずっとちゃんと持ってようね。……貴方を見習って、オレも前と上を見て歩き続けなきゃいけないと、また思えたから」
「ありがとう。……また積み重ねていこうと思う。それが俺に出来る全てだ」
「これはお前のだな」
 折れた槍の柄を拾い上げた双牙が、青年にそれを投げわたす。青年が柄を掴み、風切りの音を立てて振るった。
 踏みにじられた闘志が再び燃え上がったのだ。強い意識を秘めた穏やかな瞳が、ケルベロス達に向けられる。
 るりも微かに笑みを含みながら応じた。
「先に辿り着いてみせるわ。私が目指す到達点へ」
 一度は折られた槍を手に青年が演舞する。
 その槍術には、ケルベロス達が守った輝きが確かに宿っていた。

作者:飛角龍馬 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年9月26日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 7/感動した 2/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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