怒りと悲しみのおっぱい怪人

作者:雷紋寺音弥

●破壊されたおっぱい
 深夜、街角のアパートの一室にて、なにやら机に向かう青年が一人。
「ふふふ……。やっぱり、女の子のフィギュアは自分で作ったのが最高だよなぁ……。なにより、自分で作ればバストの大きさも自由自在! FカップでもGカップでも、思いのままだ!」
 なにやら恍惚とした表情で、青年は自分の作った新しいフィギュアを棚に置いた。
 その棚に並んでいるのは、全て青年が自作した美少女フィギュア。あらゆる種族、あらゆる服装を徹底的に作り込んで再現しているが、青年が何よりも拘っているのは胸だった。
 所狭しと並べられたフィギュアの美少女達は、どれも目のやり場に困る程の巨乳ばかり。だが、その中の1体に青年が手を伸ばした瞬間……唐突に部屋の窓ガラスがブチ割られ、二人の魔女が押し入ってきた。
「な、なんだ、君達は!? いきなり入って来て、何の用……!?」
 青年が言葉を言い終わらない内に、魔女達は彼のことを軽く払い除け、フィギュアの飾られた棚へと手を伸ばす。そして……力任せに棚を倒したかと思うと、散らばったフィギュアを手当たり次第に踏み潰し始めたのだ。
「あぁっ!? ぁぁぁぁっ!! や、やめろぉぉぉっ!! それは……そのおっぱいは全部、僕の魂の結晶なんだぞぉぉぉっ!!」
 お気に入りのフィギュア達の手足が捥げ、首が吹っ飛んで行く光景を前にして、青年は思わず叫びながら魔女へ掴みかかった。が、しかし、抵抗空しく胸元を鍵で貫かれ、そのまま意識を失って動かなくなった。
「私達のモザイクは晴れなかったねえ。けれどあなたの怒りと……」
「オマエの悲しみ、悪くナカッタ!」
 第八の魔女・ディオメデス。そして、第九の魔女・ヒッポリュテ。二人の笑い声が部屋の中に響き渡る中、いつしか青年の傍らには、巨大な胸から手足の生えた白黒二体の怪物が姿を現していた。

●キラーおっぱい、現る!
「パッチワークの魔女が、また動き出しちゃったみたいです。今回の魔女は、大切な物を持っている人を襲って、その大切な物を壊しちゃうんですけど……」
 そこまで言って、笹島・ねむ(ウェアライダーのヘリオライダー・en0003)は少しばかり歯切れが悪そうに言葉を切った。
 ねむの話では、今回の事件で動いたのは、第八の魔女・ディオメデスと第九の魔女・ヒッポリュテの2体。それぞれ、『怒り』と『悲しみ』の心を奪うドリームイーターで、大切な物を壊された人間の『怒り』と『悲しみ』からドリームイーターを生み出すのだとか。
「えっと……その……今回の事件で襲われちゃう人なんですけど……。あの……おっぱいの大きな女の子のお人形さんを、たくさん持ってるお兄さんで……」
 だんだんと、ねむの顔が気まずい表情になって来た。
 ちなみに、生み出されたドリームイータは合わせて2体。連携行動が得意で、『怒り』のドリームイーターが前衛を、『悲しみ』のドリームイーターが後衛を務めている。一般人を見つけると、悲しみのドリームイーターが『物品を壊された悲しみ』を語り、その悲しみを理解できなければ、『怒り』でもって殺害するようだ。
「えっと……て、敵のドリームイーターは……そ、その……女の人のおっぱいから、直接手足が生えたみたいな形をしています! 現れた後は、お兄さんの住んでいるアパートの裏庭にいるみたいです」
 顔を真っ赤にしながら、ねむは思わずケルベロス達から目を背けて叫んで言った。
 いや、しかしそれにしても、その敵の姿はどうなのか。恐らく、被害者の青年の持っていた、巨乳に対する強烈な執着心がそのまま具現化されたのだろうが……顔も胴体もなく、胸から直接手足が生えている怪物など、もうどこから突っ込んでいいのか解らない。
 なお、敵は色白と色黒が、それぞれ1体ずつ。ご丁寧に胸元……というか、本体の真ん中がモザイク化しており、危ない部分は見えないので、そこだけは安心だが。
「戦いになると……あの……黒い方のおっぱいは、相手を叩いて潰す技を使って来ます。し、白い方は……変な光線とかガスとか、後は念力で攻撃して来ます」
 色黒の怪物は前衛を担当し、巨大なおっぱいで敵を殴る、薙ぎ倒す、圧殺するといった技を使って来る。その一方で、色白の方は後衛を担当し、相手を腑抜けにさせる光線や催眠効果のあるガス、極限まで相手を興奮させて炎上させる念力などを使用する。
「ねむには、お兄さんのお人形が、どれだけ凄いか解りません。でも……大切な物を目の前で壊されたら、やっぱり悲しいと思います」
 たとえ、それがちょっとエッチな感じの美少女フィギュアであったとしても。そう言って締め括るねむだったが、これ以上は彼女に『おっぱい』を連呼させるのも何だか酷だ。
 色々と突っ込みどころの多い敵だが、必ず倒す。そう決意したケルベロス達のことを、ねむは笑顔で見送った。


参加者
キャスパー・ピースフル(壊れたままの人間模倣・e00098)
レーン・レーン(蒼鱗水龍・e02990)
コクマ・シヴァルス(ドヴェルグの賢者・e04813)
神宮・翼(聖翼光震・e15906)
フェイト・テトラ(飯マズ属性持ち美少年高校生・e17946)
月影・環(神霊纏いし月の巫女・e20994)
ジャスティン・ロー(水玉ポップガール・e23362)
ソルヴィン・フォルナー(ウィズジョーカー・e40080)

■リプレイ

●怒れる黒乳、嘆く白乳
 夜の帳が降りた街の一角にて。ドリームイーター出現の報を受け、アパートの裏庭へと向かったケルベロス達。
「まったく、おっぱいを破壊するとは許せん! いつか奴らのおっぱいを罰してくれるわい!」
 元凶となった二人の魔女。その暴挙に腹を立てるソルヴィン・フォルナー(ウィズジョーカー・e40080)だったが、その頭の中は既におっぱいのことでいっぱいだ。もっとも、張本人の魔女達は既に去っていたので、今は新たに生まれたドリームイーターの方を討伐するしかないのだが。
 虫の声を耳にしながら、ケルベロス達は裏庭へと足を踏み入れた。瞬間、彼らの目の前に現れたのは、巨大な白と黒の豊満な肉塊!
「おっぱいだよ、分かるかいホコロビ……それは男のロマン……って、痛っ!!」
 巨大なおっぱいの出現にキャスパー・ピースフル(壊れたままの人間模倣・e00098)が想いを馳せた瞬間、相棒のミミックであるホコロビが、彼の尻に噛み付いた。
「そうだねおっぱいだね。きっと触感とか素材に拘ってたりもしたんだろうな~……じゃなくて! しっかりドリームイーター倒すよ!」
 開始早々、こんなところで腑抜けてはいられない。思わず流されそうになったジャスティン・ロー(水玉ポップガール・e23362)が突っ込みを入れたところで、白と黒のおっぱい怪人達は、自らの怒りと嘆きを感情のままにぶつけて来た。
「あぁ……おっぱい……失われたおっぱい……」
「嘆かわしい! この悲しみの解らぬ者、乳の狭間に抱かれて死ぬが良い!!」
 なんというか、そのまま聞くと色々な意味で危険な怒りと悲しみだった。おまけに、巨大な胸から人間の手足だけ生えた敵の姿が、そのシュールさを強調している。
「Gカップですか? わたくしはJですが……正直重いですわよ?」
 巨乳には巨乳の苦労がある。そんなレーン・レーン(蒼鱗水龍・e02990)の呟きにも、おっぱい怪人達は耳を傾ける様子はない。おっぱいこそは至高の宝。だから、自分達の怒りと悲しみを理解して、万人が敬うべきなのだと言って譲らない。
「……そんなに、おっぱいが好き、ですか……。なんというか、かなり頭痛い、ですけど……」
 喚き散らすデフォルメおっぱいどもに、月影・環(神霊纏いし月の巫女・e20994)が溜息交じりに言葉を切った。
 100歩譲って、人の好みは千差万別だというのは解る。おっぱいが好きなのも、まあ男の性といえば、それまでだ……が、それでもお前達の、その姿はどうなのか。いくらおっぱいが素晴らしいとはいえ、乳だけの存在に何の意味があるのかと。
「デザインはアレだけど、大切なものを壊されれば悲しむのは当然だし、その気持ちを馬鹿にされたら怒るのも当然だよね。だから、あのドリームイータは絶対に許せないよね。デザインはアレだけど!」
 大事なことなので、二度言った。連中の姿形は置いておき、まずは討伐に集中せんと、気合を入れる神宮・翼(聖翼光震・e15906)。その一方で、怒りと悲しみに染まったおっぱい達も、ケルベロス達を自らの獲物と認識したようだ。
「おっぱいは宝なのよ! それなのに……どうしても、私達と戦うというの!」
「むきぃぃぃっ! この、偽善者どもぉっ! 殺してやるぅぅぅっ!!」
 左右の乳……と、いうよりも、全身をバインバインと揺らしながら、おっぱい怪人達が真っ赤になって煙を上げていた。
「おっぱい……おっぱいすごい……こわい」
 いよいよ、これは見るに堪えない程に酷過ぎる光景。案の定、あまりの不気味さに、早くもフェイト・テトラ(飯マズ属性持ち美少年高校生・e17946)は震えながら後退っていた。が、しかし、そんな敵の姿を見てもなお、真っ向から立ち向かう者は存在する。
「その悲しみと怒り……そしてその一念……解る! 解るぞ!!!」
 ならば、その怒りと悲しみは自分達が晴らしてやろう。そう、コクマ・シヴァルス(ドヴェルグの賢者・e04813)が告げたところで、夜の裏庭で何とも珍奇なおっぱい大戦が幕を開けた。

●おっぱいパニック!
 巨大なおっぱいから手足が生えただけの、何とも奇妙なドリームイーター。どう考えても、セクシーさの欠片もない容姿。だが、その馬鹿馬鹿しい外見に反し、敵の攻撃はなかなかどうして強力だった。
「ふんぬぅぅぅっ! おっぱいサイクロォォォン!!」
 巨大な乳に遠心力を乗せて、黒いおっぱいが力任せに振り回して来た。その一撃は衝撃波だけで一度にケルベロス達を薙ぎ払い、攻撃の余波が家々との境界であるブロック塀を粉砕する。
「くっ、これがおっぱいの力……」
 直撃を受けて吹き飛ばされながらも、レーンは辛うじて攻撃を受け流し堪えていた。
 見た目に反し、凄まじい威力。振り回される爆乳はハンマーの如く巨大な岩塊でも粉砕し、その巨体で圧し掛かられようものならば、大型の車でさえ容易にプレスされてしまうだろう。
「んふふ~、余所見は駄目よぉ~ん♪ あなた達も、おっぱいの素晴らしさを教えてあげるわぁ~ん♪」
 立て続けに、襲い掛かってくる白い乳。その両手で自らの身体を揉み出すと、辺りには瞬く間にピンク色のガスが充満し。
「これは……皆さん、気を付けてください!」
 そう、環が叫んだ時には既に遅く、辺り一面、敵のガスで包まれた後。サーヴァント達が身を呈して主人達をガスから守るが、その代償は決して小さくはなく。
「ちょっ……痛い! 痛いってば! これはおっぱいじゃなくて、僕の尻だよ!」
 完全に錯乱したホコロビに、再び尻を齧られるキャスパー。しかも、今度は本気で殺しに掛かっているためか、痛さの度合いも尋常ではなく。
「こっちじゃないよ、ピロ! 敵はあっち……って、重いよ! 止めて! 僕の胸、轢き潰さないでぇぇぇっ!!」
 同じく、ライドキャリバーのピロに圧し掛かられ、ジャスティンがスピンで胸元を削られていた。
「うぅ……な、なんて恐ろしい敵なんでしょうか……」
 自分のライドキャリバーに牽制させつつ、フェイトは桃色の霧を出してピロを正気に戻して行く。ピンクにはピンク、精神攻撃には精神的ヒール。なんとか混乱を終息させることはできたようだが、しかし彼だけでは回復の手が足りず。
「デザインはアレだけど、攻撃は油断できないよね……」
 同じく、翼もまた桃色の霧を発したところで、なんとかホコロビも正気に戻った模様。
「くっ……! おっぱい勝負なら負けませんわよ!  根性!」」
 ここから先は、本気で行く。躊躇いもなくコートを脱ぎ捨て、溜めていた気の力を解放するレーン。その下から現れたのは、なんとも大胆でド派手な水着。それこそ、どこからともなく「わ~お♪」とかいう音が聞こえて来そうな程に。
「よ~し、反撃開始だよ!」
「ええ……それにしても……もう少しマシな見た目にならなかったのでしょうか……」
 先程の恨みを晴らすべくジャスティンが杖先から電撃を飛ばし、環が攻性植物の蔓でを解き放った。だが、巨大なおっぱいを蔓で縛り上げ、更には電撃を浴びせてしまったため、なんとも言えぬ微妙な光景に。
「あぁんっ! そ、そんなに強くしちゃ駄目ぇぇん!」
 もがき苦しむおっぱい怪人。これがセクシーなお姉さんだったら、少しは絵にもなっただろう。しかし、今、目の前にいる敵は、単なる巨大な乳そのもの! それこそ、遠間から見たら乳なのか尻なのか、それさえも解らない程に、全身が不条理の塊だ。
 もっとも、そんな光景でさえも脳内で色々と変換し、自らの糧とできる猛者もいる。
「おっぱい祭りだイェエエエエイ!!」
「賑やかしというやつじゃ……おっぱいは好きじゃが! ふはは!」
 まずは危険な色黒バストから始末する。キャスパーの蹴りが爆乳に炸裂し、ソルヴィンが燃え盛る杖を追い撃ちとばかりに振り下ろし。
「我が拳に宿るはアウルゲルミル! 天地創造を司りし巨人の怒りが齎すは……己を否定した世界の破壊なり!」
 刻真が生み出した神器と自らを繋げ、力を拳に収束させたコクマが黒乳に迫る! 限定的ながらも、敵を存在する空間ごと『破壊』する一撃。その両手から迸るオーラを直に注ぎ込むべく……コクマは躊躇うことなく乳の化け物にダイブして、余すところなく揉みしだいた!
「ぁぁぁぁっ! や、止めてぇぇぇっ! そんなにされたら壊れちゃぅぅぅっ!!」
 全身を痙攣させながら、空間諸共に破壊される黒バスト。意味深な台詞を叫びつつ、怒りを体現せしドリームイーターは、虚空の彼方へと消え去った。

●地獄のバストプレッシャー
 黒いバストを始末して、残るは白いバストのみ。しかし、火力の面では黒に劣るとはいえ、多彩な搦め手を用いる白もまた厄介な敵であることに変わりはない。
「あぁ……シュガーちゃんが……。あなた達、よくもやってくれたわねぇっ!!」
 同胞が倒された悲しみを叫びながら、錯乱したように襲い掛かってくる白バスト。
 いや、というか、シュガーちゃんってなんだよ。
 もしや、黒いバストだから、黒糖に見立ててシュガーちゃん? それでは、白い方はクリームに見立ててホイップちゃんとでも言うつもりか。
 なんというか、もう馬鹿馬鹿し過ぎて言葉も出なかった。とりあえず、そんな名前を名乗るのであれば、せめて魔法少女みたいな格好のお姉さんの姿で具現化しろと。
「も、もう、さっさと倒しちゃいましょう! そうしましょう!」
 あまりの不気味さに、とうとう我慢できなくなったのだろう。
 オウガメタルで拳を固め、フェイトが白乳に殴り掛かった。並の装甲であれば、容易に貫いてしまうであろう威力を誇る一撃。だが……巨大なおっぱいの塊は、あろうことか彼の攻撃を正面から受けとめ、その腕を谷間で挟み込んだ!
「うふふ……どうかしら、私の奥義は? 名付けて、爆乳白羽取りよぉん♪」
「ふぇぇ……ぬ、抜けないです!? なんでですか!?」
 谷間にガッチリと拳をホールドされてしまい、攻撃を受け止められたフェイトが慌てふためく。間髪入れず、ライドキャリバーが燃えながら突進して助けようとしたが、それさえも敵は全身で受け止めて。
「ふんごぉぉぉっ! 負けない! 負けないわぁぁぁっ!!」
 全身を炎に包まれながらも、気合いで耐えてハートを燃やす。その熱は谷間を通してフェイとの身体へと伝わり、彼の心を意に反して揺さぶって。
「ふあぁぁぁ……な、なんだか、変な気持ちに……って、熱っ! 熱いです! なんで僕が燃えてるんですか!?」
 気が付けば、臨界に達した興奮が炎となって噴出し、そのまま身体を焼かれてしまう始末。
「こら~! フェイトくんを離せ~!」
 見兼ねたジャスティンがピロと共に砲撃を食らわせ、白乳を衝撃で吹っ飛ばした。それが反撃の合図となり、残る者達は一斉におっぱいへと殺到して行く。
「さあ、これを受け切れまして?」
 その身に纏った闘気に地獄の業火を乗せて、レーンは爆乳の化け物を殴り飛ばした。さすがに、これは受け止められず、巨大なおっぱいが炎に包まれた。
「やっぱ胸だけだと、いや嬉しいんだけど! どうせなら、お顔の方も頑張って、大きなお姉さん再現してほしかったなー!?」
 続けて、全身の砲塔をおっぱいへと向け、情け容赦ない砲弾の雨を浴びせ掛けるキャスパー。怒涛の連撃に動きを鈍らせたところへ、ホコロビが敵の右乳へ噛り付き。
「胸元がモザイクで隠れて……乳首当てゲームか!? 達人の一撃を食らわしてやるわい!」
 何やらセクハラ紛いの台詞を吐きながら、襲い掛かるソルヴィンだったが、それはそれ。
「うぅむ……偽物じゃし、こう『熱』がないのう……イマイチじゃ」
 もっとも、実際に触った感触は微妙だったので、なんとも煮え切らないまま終わったようだが。
「っていうか、ビームとかガスとか出すおっぱいってどうなの!?」
「之では唯の魔物でしかない! 真の魅力はそんな物ではない筈だぁ!!」
 所詮はデフォルメされた乳の化け物。本物のおっぱいには程遠い。
 翼の放った黒き魔弾がおっぱいの谷間を直撃し、全身を回転させて突撃するコクマが、谷間の中を貫いた。その上で、最後は環が茨の棘と化した蔓草で、おっぱい怪人を縛り上げ。
「此処は月の庭、私の領域、です」
「あぁんっ! そ、そんなに強く縛られたら……ちゅ、ちゅぶれ……んにゅぅぅぅっ!!」
 爆乳に食い込む無数の棘。情け容赦ない猛攻の前に、嘆きの白乳もまた、文字通り全身を絞られて昇天した。

●ああ、おっぱいよ永遠なれ
 戦いを終えたアパートの一室。青年を介抱したケルベロス達は、今回の事件で破壊されてしまったフィギュアを直すべく、改めて青年に協力を申し出ていた。
「うぅ……おっぱい……怖い……怖ぃぃ……」
 もっとも、フェイトだけは何やらトラウマになったらしく、部屋の片隅で震えながら様子を見ているだけだったが。
「大丈夫、キミのおっぱいへの情熱は本物だ! また作ってあげてね……」
 壊れたフィギュアは、また新しく作ればいい。そう言ってキャスパーが慰めたところで、他の者達も青年に声をかけ。
「フィギュア、また作り直しましょう? モデルとしてなら協力しますわよ」
「皆も協力してくれるみたいだし、直すの頑張ろ! あ、それと、後でフィギュアのおっぱい触らせてね!」
「あ、モデルならあたしも手伝えるよ?」
 レーンとジャスティンも協力することを告げ、翼もモデルに立候補。その傍らでは、早くもソルヴィンが女性陣の胸元を、資料作りと称して撮影しまくっていた。
「ふはは! 撮るぞ! 上下左右陰影強調圧力……様々なおっぱいの顔を!」
 まあ、実際は大いに個人的な趣味の部分も入っている気がしたが、この際、気にした方が負けである。
「うむ、何とも素晴らしく包容力のあるお胸だろうか……。見入ってしまう」
 同じく、コクマも主にレーンの胸元に魅入っていたが、まあ、あんな化け物を相手にした後である。このくらいの役得がなければ、それこそおっぱいを見る度にゲテモノを思い出してしまい兼ねない。
「うぅ……皆さん、ありがとうございます!」
 自分の趣味を理解してくれたと思ったのか、青年は泣きながら、早速新しいフィギュアの作成に取り組んでいた。一朝一夕で作れるものではないだろうが、彼の情熱が失われない限りは、新しいおっぱいフィギュアを生み出してくれるに違いない。
 巨乳はロマン、爆乳は正義。そんな空気が漂う中……最後に、環が小さな声で、そっと呟く姿があった。
「……でも、たまにはちっぱいもいい、ですよ?」

作者:雷紋寺音弥 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年9月16日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 1/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
 あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。