桃色テディベアは好きですか?

作者:青雨緑茶

「モコちゃんも、お花あげましょねー」
 暖かなパステルカラーの花畑。頭に花冠を飾った少女は、目の前に座るモコモコした桃色のテディベアにも同じ花冠を作って、その頭へと乗せる。
 テディベアのモコちゃんは少女の宝物であり、大好きなお友達。少女の夢の世界で自在に動き、キラキラした光の中で少女を楽しませる。だが……。
「え?」
 不意にテディベアが立ち上がる。しかもみるみる大きくなって、見上げるほど巨大な姿となる。
 そして突然、少女を追いかけ回し始めたのだ!
「きゃああああ! うわぁーんっ!!」
 大好きなお友達が急に自分を襲うものになる。少女は驚き、泣いて逃げ惑い――そこで、目を覚ました。
「ゆめ……だったの?」
 見慣れた寝室でほっと胸を撫で下ろし、一緒に寝ていたテディベアを小さな手でおずおずと撫でる。
 もちろん襲いかかってくるどころか動きもしない。いつも通りのその姿に少女は心の底から安心した。
 その心臓を、第三の魔女・ケリュネイアが手に持つ鍵で一突きするまでは。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『驚き』はとても新鮮で楽しかったわ」
 意識を失って崩れ落ちた少女を見下ろし、ケリュネイアは囁く。
 ケリュネイアが姿を消すのと入れ違いに、少女の傍らに添い寝する本物のテディベアとは別の、大きな桃色のモコモコがずるりと出現する。
 まさしく少女の『驚き』を具現化したような、桃色テディベアのドリームイーターは、音もなく夜の窓から外へ出た。


「ビックリする夢を見た子供が、ドリームイーターに襲われ、その『驚き』を奪われてしまう事件が起こっているっす。子供の無邪気な夢を奪って、ドリームイーターを作るなんて許せないっす!」
 黒瀬・ダンテ(オラトリオのヘリオライダー・en0004)は、集まったケルベロスに熱い憤りを見せて事件の概要を説明する。
「『驚き』を奪ったドリームイーターは既に姿を消してるみたいっすけど、奪われた『驚き』を元にして現実化したドリームイーターが、事件を起こそうとしているっす。
 現れたドリームイーターによる被害が出る前に、このドリームイーターを撃破して欲しいっす! こいつを倒すことができれば、『驚き』を奪われてしまった被害者の子供も、目を覚ますはずっすよ!」

 続けて、ダンテは資料を配る。
「敵のドリームイーターは1体のみで、配下などは存在しないっす。
 普通に殴る蹴る攻撃もしてくるっすけど、桃色のふわふわボディに抱きつきたくさせる『魅惑のふわふわ』、口からキャンディのつぶてを吐き出す『キャンディ弾』、ふわふわの手足やボディから太く鋭い針が飛び出して対象を突き刺す『ビックリ針』なんかのグラビティも使ってくるっす」
 見た目は愛らしい桃色のテディベアだが、それに惑わされて油断しようものなら手痛い目に遭いそうな敵である。
 ドリームイーターが現れるのは、夜の市街地で、被害者の少女の家の近所となる。相手を驚かせたくてしょうがないようなので、付近を歩いているだけで向こうからやってきて、驚かせようとしてくるだろう。
「最初は30cmくらいの小さい姿で近づいてきて、目の前でみるみる大きくなって2.5mほどの大きなサイズに、っていうのが驚かせる基本パターンみたいっすね」
 ドリームイーターは、自分の驚きが通じなかった相手(驚かなかったケルベロス)を優先的に狙ってくるようだ。
 この性質をうまく利用できれば、有利に戦えるかもしれない。

「ケルベロスの皆さん! ドリームイーターを倒して、被害者の子供が再び目を覚ませるように、事件を解決して下さいっす! よろしくお願いするっす!」
 ダンテはそう拳を握り、ケルベロス達を激励した。


参加者
エイダ・トンプソン(夢見る胡蝶・e00330)
リュートニア・ファーレン(紅氷の一閃・e02550)
赤星・緋色(小学生ご当地ヒーロー・e03584)
鮫洲・蓮華(ぽかちゃん先生の助手・e09420)
マイア・ヴェルナテッド(咲き乱れる結晶華・e14079)
風戸・文香(エレクトリカ・e22917)
クオン・ライアート(緋の巨獣・e24469)
風鈴・羽菜(シャドウエルフの巫術士・e39832)

■リプレイ


「ひゃっふー! キャンディの回収は任せろー!」
 現場である市街地に集合したケルベロス達の中でも、赤星・緋色(小学生ご当地ヒーロー・e03584)はひときわアグレッシブに飛び跳ねる。
「ピンクのくまさんですか、とてもかわいいでしょうね。……あ、いえ、その、お仕事頑張ります」
「テディイベア可愛いですよね。私もいくつか持ってますよ!」
 風鈴・羽菜(シャドウエルフの巫術士・e39832)は、広げる殺界形成のイメージ像につい浮かんでしまう桃色くまさんをどうにか振り解こうと頭を振る。その隣では可愛いものが大好きなエイダ・トンプソン(夢見る胡蝶・e00330)は、ふわふわ甘く舞うような思考を匂い立たせて女子らしい話に花を咲かす。
「私はあまりぬいぐるみで遊ぶ子供じゃなかったですが、そこに付け込んでくるとは嫌な敵ですね……」
 風戸・文香(エレクトリカ・e22917)は魔女のやり方に眉を顰め、殺界形成との合わせ技でキープアウトテープの効果を発動する。念には念を、だ。
「しかし、動く桃色の熊の人形か……うむ、演技抜きに普通に怖いな」
「ちょっと怖いけど……僕達もがんばろうね、クゥ」
 仲間と共に探索を開始するクオン・ライアート(緋の巨獣・e24469)は、その熊がただ可愛いだけのぬいぐるみではないものと意識して、周囲に目を光らせる。傍でリュートニア・ファーレン(紅氷の一閃・e02550)はボクスドラゴンのクゥを抱き、戦闘前の不安を少しでも紛らわせようとしていた。
「……でも、ぬいぐるみがせいぜい3メートル程度の大きさになったところでねえ?」
 マイア・ヴェルナテッド(咲き乱れる結晶華・e14079)は気だるげに髪を掻き揚げる。彼女からすれば、ぬいぐるみから針やキャンディではなくもっと別なものが出てきて欲しかったところだ。
「相手の大きさはもうわかってるし、攻撃手段も教えてもらったしね! ぽかちゃん先生、どう?」
 鮫洲・蓮華(ぽかちゃん先生の助手・e09420)が頭上を見上げて問いかけると、目立たないように飛ぶウイングキャットが路地の角向こうを示す。
 一同が角を曲がった先にあったのは駐車場。
 街灯もあり、置かれた車の数も少なく、広さも充分。
 そうして、その車の陰から30cmほどの桃色のモコモコがひょっこり現れたかと思うと、とことこ、愛らしい動きでケルベロスに近づいてきた。
「ピンクテディベアだー! おっきくなってふわふわになるのは知ってるよー」
 蓮華がことさら平気そうに声を上げるのとほぼ同時、桃色テディベアはその通り一同の目の前でムクムクとみるみる大きくなり、一番背の高いマイアすら軽く追い越すサイズとなる。
「うおっ! なんだこの人形?!」
「わ! こんなところに桃色のクマさんが?!! 着ぐるみなんでしょうか??」
「……って、大き過ぎませんか!!」
 盛大に声を上げるクオン、エイダ、羽菜。それにマイアとリュートニアと緋色も、ある者は素で、ある者は攻撃対象から外れるよう意図的に、しっかり驚くリアクションを取る。
 驚かなかったのはディフェンダーとして敵の攻撃を受けとめる役割を買って出た文香と、同じく先の蓮華。
「モコーー!!」
 桃色テディベアは二人を優先的に狙うべき敵と認識し、つぶらな瞳を爛々と光らせて雄叫びを上げた。


 ケルベロス達の初手は、ジャマーであるマイアのスターサンクチュアリやエイダの「紅瞳覚醒」を始めとして、前衛の4人と一匹に有利なエフェクトを掛ける事から始まった。
「僕の力、受け取って……!」
 リュートニアも後方からリボルバー銃を構え、祝福を受けた弾丸を前衛へと撃ち、敵に与えるダメージが増加する加護を与える。
 第三の魔女・ケリュネイアの足取りはまだ掴めていない。こうして一つずつ止めていかないと、と引き金を引くその指には、おとなしそうな見目の内にも芯の強さが窺える。
 他の者も敵を氷漬けにしたり足止めしたり、あるいはそのモコモコの毛皮を裂き貫いて攻撃を通りやすくしたりと、下準備に余念がない。
「モコッ☆ モコモッコッ☆」
 テディベアは両腕を広げ、優先的に狙う二人を含む前衛に向けて魅惑的なオーラを放つ。さあボクの腕に飛び込んでおいでよ、ふわふわだよ、と言わんばかりに。
「なんてかわいい……、いえ、卑怯な攻撃を……!」
 その魅惑の魔法は後方までは届かないが、それでもキュートな見た目と動きに惑わされぬよう堪え、逆に敵の意識をこちらへ向けさせようと羽菜はわざと音を立てて舞い踊る。
「……これも一種のフェロモンなのかしらね?」
 マイアは冷静に呟き、攻性植物の結晶花『Amber Mistelten』を捕食形態に変化させ、喰らいつかせて多量の毒を注入する。
 やる気がないわけではないのだが、彼女は快楽主義者のサキュバス。快楽エネルギーが得られるわけでもなければえっちなハプニングが期待できるわけでもない敵に対して、淡々と最小限の動きで立ち回る姿はいつにも増してミステリアスに映る。
「だが、効かんぞこの程度!」
 クゥからも重ね掛けされたBS耐性の効果で敵の魅惑のふわふわを振り払ったクオンも、最前線で真っ向から堂々と敵の正面に立ち、自身の攻性植物たる命の樹を蔓触手形態に変形させ、テディベアに絡みつかせてギリリと締め上げる。
「モッ、モコモコォ……!!」
 文字通りの搦め手に押され、テディベアはジャキンッ!! と太く鋭い針をボディから飛び出させる。
 狙われたのは、至近距離で今まさに氷の一撃を叩き込もうとした文香。
「痛ぅッ! どんな事になるのか、ヘリオンで聴いてたはずなのに……っ」
 盾となるつもりであったのだから、敵の攻撃を受けとめる事は何も問題ない。だが彼女の着用するスポーツウェアは敵の仕掛けてくるグラビティに対して耐性が薄く、左肩をざっくりと貫いた傷は、想定よりも深かった。
 けれどここで派手に反応すれば、敵の攻撃対象から外れてしまうかもしれない。そう懸念した文香は、声を上げそうになるのを必死に押さえ込み、唇を噛んで平静を装おうとする。
「文香ちゃん! ぽかちゃん先生、治療お願い!」
 蓮華にお願いされたぽかちゃん先生が飛んできて、ふわふわの体やプニプニの肉球を駆使して文香の受けた痛手を癒す。こちらのふわふわは桃色熊とは違って安心安全、正真正銘の治療系ふわふわだ。
「キャンディはともかく、針の方はいらないよ! ぬいぐるみに針が残ってたら検針漏れで製造元の問題がなんやかんや!」
 小学生にしては小難しい言い回しをして、緋色は命中率が高く確実度の高いグラビティを優先してちゃきちゃきと動き、達人の一撃を食らわせる。
「にしても、ふわふわで……これは狡いですよぁ……っ」
 今まで様々なドリームイーターと戦ってきたが、この桃色の敵は思わず抱きつきたくなるふわふわに掛かったら針の餌食という、女子心をピンポイントで突くえげつない罠。葛藤しつつもエイダは古代語の詠唱をして魔法の光線を放ち、あわよくばそのふわふわボディを石化させようと試みる。
 仲間の状態を常に最大限まで良好に保っておきたいリュートニアも、ヒールグラビティの合間合間には、クゥとのコンビネーションで手堅いダメージを少しずつ敵に与えてゆく。
「モコォーッ! モコッ! モコッ!」
 ふわふわのでっかいぬいぐるみが丸太のような腕を振り回して殴る蹴るしてくる姿というのはいささか緊張感に欠ける絵面だが、近接するケルベロスを闇雲にぶん殴ろうとしてくる打撃力が地味に高いものだから普通に侮れない。
 それを羽菜がすかさず歩み出て、手にする扇でシャドウリッパーを繰り出す。密やかに、だが急所を掻き斬られた事によりただでさえその身に受けていた数々の悪い効果が増し、テディベアはたたらを踏む。
 その一瞬に、クオンは間合いを詰める。
「その隙、逃すかぁぁ!!」
 大きく振りかぶった斧を光り輝く呪力と共に渾身の力で振り下ろし、仲間との連携を強く意識する彼女の戦い方に相応しい一撃となった。
 続けてマイアが撃ち放った黒色の魔力弾が直撃し、敵が悪夢に苛まれている間にエイダが動く。
「さぁ踊りましょう――蝶のように」
 夢みる蝶々の魔力によって生み出された無数の紅い蝶。美しくも気まぐれな蝶の戯れ(エフェ・パピヨン)が纏わりつき、テディベアの体力を奪い動きを鈍らせる。
 攻撃力こそ脅威だというものの、回復の手段を持たない脳筋な桃色テディベア。いや、そのピンク色の頭の中に詰まっているのは筋肉ではなく、恐らくはふわふわの綿であるはずだが――それはともかく。
 チームワークを冴えさせて上手く全体のダメージ配分をコントロールし、これでもかとバッドステータスに次ぐバッドステータスを叩き込んで攻めゆくケルベロス達は早くも戦況を優勢に持ち込みつつある。
「モッ……モコモコォーッ!」
 ひときわ大きく咆哮したテディベアがぱかっと口を大きく開け、色とりどりのカラフルなキャンディをマシンガンのように撃ち出してくる。
 次なる標的は、今はまだ他の者に比べて戦闘経験が劣る、羽菜だ。
「羽菜ちゃん、あぶなーい!」
 先輩ケルベロスとして特に注意を払っていた蓮華はその危機を見逃す事なく、体を張って射線を遮り、キャンディ弾のつぶてを一粒残らず受けとめる。
「あ……ありがとうございます……!」
 天真爛漫な先輩の背中は、決して大きくはないその広さ以上に頼もしく映った事だろう。
「蓮華さん、今、回復するからね! クゥ、落ちてる飴は食べたら駄目だよ……!」
 味方の受けるどんな小さなダメージも見逃さず早め早めにとヒールを心掛けて援護するリュートニアが、マインドリングから浮遊する光の盾を具現化し、防護すると共にその傷をしっかりと癒してゆく。
 その間隙を縫うように文香は、敵の守りを更に貫かんと、小柄な体を高速で回転させながらテディベアへと突撃。
「モコモコッ、モコモコモコ……ッ!!」
 桃色の敵はなおもキャンディ弾を射出してくる。見た目はどうにもファンシーだが、当たれば間違いなく痛いときているから始末に負えない。
「ふっふっふー、その攻撃は私には効かないよ! いちげきひっさーつッ!!」
 緋色は色彩豊富な飴玉の雨をひらりとかわして大きく飛び上がり、グラビティチェインを纏わせたエアシューズで渾身のキックをお見舞いする。命中すると同時にグラビティチェインが解放され、まるで特撮ヒーロー番組のような派手な爆発が巻き起こった。
「モ゛ッ!」
 鈍い声を上げて頭をへこませ、反撃に再びビックリ針をジャキィンッ! と飛び出させるテディベア。
 だがその動きは……一人のケルベロスの瞳によって遮られる。
「……せめて、あなたの中から出てくるのがえっちな触手や螺旋忍軍だったら、話は別なんだけどねえ?」
 魔力を秘めた魔眼を妖しく輝かせて敵を凝視し、その身体機能を狂わせる呪い。ぬいぐるみに果たして神経系統があるのかは謎だが、そのChaotic glance(ムチツジョノイチベツ)によって更なる状態異常が引き起こされたのは手に取るように明らかだった。
「ふん、人形風情が……。いいだろう、色々と驚かせてくれた『礼』だ」
 敵の活動限界は近い。クオンは緋い光の翼で上空に高々と飛翔し、地表に向かって槍を構える。
「貴様にも同じ『驚き』をくれてやろう!」
 その槍を敵の真ん前の地面へと投擲し、槍が刺さった地点を中心に展開された魔法陣から、巨大な緋の獣が召喚される。天をも揺るがす咆哮を上げて束縛から放たれたその野獣は、ファンシーなテディベアとは、真逆にして同類。
 『巨大な熊』のような姿の戦獣・ハル(ビースト・ハル)は、敵を破壊し蹂躙すべく、絶対的な暴力を振るう。
「モッ……モッ、モコモコッ……モコモコッ……!」
 充分過ぎるほど状態異常を付与してきたケルベロス達が一気に火力を解放して攻め立てる勢いは誰にも止められない。
「こっちも、良い感じに温まってきたわ!」
 文香は腰ベルトに下げたハンダごて、もといソルダリンアイロンの高温に熱した剣先を突きつけて、ところどころが破れて綿がはみ出るテディベアの被毛を高熱で焼きつける。
 物心ついた頃からぬいぐるみではなく家に転がっていた修理不能の家電をオモチャ代わりに育った生粋のメカフェチである彼女にとっては、手に馴染んだ工具こそが一番の得物だ。
「これで終わりです……風が奏でる羽菜の舞、ご覧くださいませ……!!」
 着物の袖を翻して力の限りに舞い、羽菜はもう立っているのがやっとの敵めがけて炎弾を放ち、燃え上がる業炎で包み――桃色テディベアのドリームイーターは、灰のごとく散っていった。


 ヒールグラビティを持つ面々が手分けして周辺の損傷を修復し、多少の幻想が混じるもののおおむね元通りとなった市街地にて。
「お疲れさま、クゥ」
「ぽかちゃん先生も、お疲れさまー」
 街灯の下でリュートニアと蓮華は、活躍してくれたそれぞれのサーヴァントを抱いて撫で、労っている。
「お疲れ様でした、みなさん」
「うむ。さほど手こずらずに倒せて何よりだ」
 深々とお辞儀をする羽菜と、仲間の無事と戦果を貴んで頷くクオン。
「さて、これで女の子は無事に目を覚ましますかね」
「食べ物を攻撃に使うなんて、なんてひどいくまだー。一応、無事か確認してから帰ろー」
 被害者の少女の自宅がある方向へ目を向けるエイダに、テディベアから撃ち出されたキャンディをもぐもぐしながら緋色が応える。キャンディはお星様の形で、甘酸っぱいイチゴ味だ。
「……私はさっさと撤収したいのだけれど」
 仕事を終えたマイアはあくまでもクールに腕を組む。
 文香も一つ、包み紙を開けてキャンディを口に放り込んでみる。こちらは電気のようなしゅわしゅわレモン味。
 もし他の者も拾ったキャンディを食べてみるなら、凶悪な桃色熊が放ってきたとは思えないほど普通に美味しい事がわかるだろう。
 一同が少女の家に向かうと、少女は何事もなかったかのように無事に意識を取り戻している。その腕に本物の桃色テディベア、モコちゃんを抱いて。
 パッチワークの魔女に関してはいまだ謎が多いが、ともあれ今夜もケルベロス達は街を守り、罪なき子供をまた一人を救ったのだった。

作者:青雨緑茶 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年9月18日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 5/感動した 0/素敵だった 3/キャラが大事にされていた 0
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