ここはちょっと人里から離れた山の中。
「せい! やぁ!」
そこで胴着に身を包んだ青年が、拳を握り修行をしていた。その動きから見る人が見れば空手である事が分かる。空手の基本的な修練を終えると……今度は今までとは違う自己流の動きの修練を始めた。どうやら空手の基礎と、自己流の動きを区別して修行している様子だった。
そんな青年の背後に突如、強い気配が現れる。
「誰だ!」
その気配を敏感に感じ、自己流の動きで振り返る青年。しかし、現れた気配に明らかに狼狽する。持っている巨大な鍵、モザイク化している足、そして何よりも山の中にそぐわぬ服装の美少女に目に見えて赤面する青年。
「お前の、最高の『武術』を見せてみな!」
そんな青年を無視して、現れたドリームイーター幻武極(げんぶ・きわめ)が言うと、その青年の目が虚になる。しかし、その操られたような虚の目であるが、構えはしっかりとしたもの。足は強く地面を掴み、右拳は強く握られ、左拳は軽く握られている。その構えが彼の構えなのだろう。
そのままドリームイーターへ向かい拳を打ち込む。しかし、その一撃に微動だにしないドリームイーター。
「その一撃では僕のモザイクは晴れなかったけど、お前の武術はそれはそれで素晴らしかったよ」
そう言うと、その青年の胸に鍵を突き刺す。すると、その青年は力が抜け、その場に倒れてしまう。
「……コーブーシー!」
その青年から現れたのは、2メートル近い巨大な人型で拳と肘がモザイクに覆われたドリームイーター。
「コーブーシー!」
意味不明な叫び声と同時に、拳のモザイクが巨大化し、離れた場所の樹木に拳跡が残る。
「お前の武術を見せ付けてきなよ」
「ブーシー!」
そのまま、幻武極に送り出され意味不明な叫び声を上げながら、ゆっくりと歩き始めた……。
●
「ドリームイーターさんが現れました!」
いつものように地図を広げながら、少しでもケルベロスの皆に分かりやすい説明を心がけながら、チヒロは説明を始めた。
「被害者に遭ったお兄さんは山で修行していたところ、ドリームイーターに襲われました」
どうやら、武術を極めようとして修行を行っている武術家を襲っているドリームイーターが現れたようだ。名前は幻武極(げんぶきわめ)。
自分に欠損している『武術』を奪ってモザイクを晴らそうとしている様子だ。
「町に向かう途中に、広い場所があるので、そこで待って入れば間違いなくドリームイーターさんはあらわれます。そこで、やっつけて下さい」
今回のドリームイーターは、被害者の男性から生み出されたモノ。被害者の青年は襲われた山の中で倒れている。囚われている訳ではないので、手加減などは不要。
「それと、お兄さんですが山の中で倒れています。ドリームイーターを倒すと目を覚ますはずですが、万が一に備えて救急の方が保護に向かってくれています」
倒れている青年についてもチヒロの方で対応している。なので、ケルベロスがドリームイーターを倒せば万事解決する。
「とはいえ、ちょっと変わったドリームイーターなので油断は禁物です」
そう言いながら、ドリームイーターについて説明に移るのだった。
●
「武術って色々あるのですね」
しっかり説明する為に、ちょっと武術について調べたっぽいチヒロなのだが、その資料の中に普通に漫画が混じっている。それも、真面目な格闘漫画ではないのも含まれている。
「あ、この漫画面白かったですよ」
そんな視線に気づいたからか、笑顔で漫画を紹介するチヒロだが、その漫画ではICBMを素手で破壊する格闘家が登場する。
もっとも、相手がドリームイーターであり、常識など通用しない事や、被害者が漫画や映画などから影響を受ける事を考えると、資料としては悪くないのだが。
「それで、今回のドリームイーターなのですが、空手らしいです」
『らしい』というのは、まあ、そういう事だ。どうやら、普通に物理法則を無視した遠距離攻撃をしてくるらしい。
「だけど、この漫画にもあるのですが一つの理念はある様子です」
その理念は『空手に先手無し』という事。ケルベロスたちが『攻撃』攻撃してこない限り、ドリームイーターも攻撃をしてこないらしい。
そんな話をしながら笑顔で漫画の一ページを開いて見せるチヒロ。
「ともかく、今回のドリームイーターさんは、やっつけてしまえば大丈夫です。それでは、よろしくお願いします」
そう言って説明を終えるチヒロだった。
参加者 | |
---|---|
楚・思江(楽都在爾生中・e01131) |
愛柳・ミライ(宇宙救済係・e02784) |
タンザナイト・ディープブルー(流れ落ち星・e03342) |
田抜・常(タヌキかキツネか・e06852) |
フローネ・グラネット(紫水晶の盾・e09983) |
ヒエル・ホノラルム(不器用な守りの拳・e27518) |
劉・沙門(激情の拳・e29501) |
ルフィリア・クレセント(月華明瞭・e36045) |
●
ここはとある山の麓。そこに8人のケルベロスが集まっていた。
「ドリームイーターがまた活発に行動してきましたね」
ルフィリア・クレセント(月華明瞭・e36045)が呟く。ここに集まっているのは、出現したドリームイーターを迎撃する為。
「『先んじて戦地に処りて、敵を待つものは佚す』……万全で臨みます!」
フローネ・グラネット(紫水晶の盾・e09983)の言葉は孫子の兵法。『簡単に言うと、先に戦場に着いていれば有利に戦える』という事。その言葉通り、ドリームイーター。が出現する前に戦場に到着、待ち構えている。その間に、劉・沙門(激情の拳・e29501)がキープアウトテープを張り、万が一にも一般人が巻き込まれないようにと細心の注意を払う。
「今回のドリームイーターは空手家さんから出現したようですね」
今回の被害者は空手家の青年。山の中で修行をしているところをドリームイーター・幻武極に襲われた。
「山にこもって修行、か……」
そんな青年の行動と過去の自分の行動を重ねる楚・思江(楽都在爾生中・e01131)。
「なんでかね、妙に微笑ましく感じるのはよ」
思江も過去に料理の修行で無茶をしていた事があるらしく、青年と想いを重ね、懐かしく感じていた。
「空手か……競技人口は武道の中でも一位二位を争うものだが、俺は未経験だ」
そんな空手だが、競技人口はとても多い。一般的に想像する人だと柔道などの方が多く感じる人もいるかもしれないが、様々な流派がある空手は世界で親しまれ、競技人口は6000万人とも言われている。
「どんなものか楽しみだ」
「武術について詳しくはありませんが、武術を基にしたドリームイーター、その力、油断できるものではありません」
沙門の言葉に真面目に答えるフローネ。
「私もほあちゃー! って、ICBMを撃ち落とせるぐらい強くなりたいのです……!」
しかし、そのドリームイーターが使う空手は、正統派の空手とは大きく違う。
どうやら被害者の青年が妄想していた空手が混じってしまっているようなのだ。愛柳・ミライ(宇宙救済係・e02784)の言う通り、爆弾でもICBMでも素手で防ぐような事も出来る……かもしれないトンデモ空手である。
そんな妄想は思春期(だけじゃなくても)の人なら誰でも妄想するような事。そんな妄想や勘違いが具現化したドリームイーターなのだ。
「自分の妄想を外に垂れ流されるなんて、いたたまれないのです!」
だから、タンザナイト・ディープブルー(流れ落ち星・e03342)の言葉が一番的を得ているような気がする。
「目撃者がタンザ達だけである内に早く消すです」
とても優しいタンザナイトの心遣い。被害者の男性が聞いたら間違いなく感謝するだろう。
「そんな妄想はともかく、基礎を押さえた上で、自分の思い描いた強さを持っているのは良い事だと思う」
ヒエル・ホノラルム(不器用な守りの拳・e27518)が静かに呟く。 その青年は別に現実と妄想の区別が付いてない訳じゃない。ならば、ヒエルの言う通り良い事だ。ただ、それがドリームイーターに利用されただけなのだ。
「空手のドリームイーター、以前のお仕事を思い出しますね」
そん中で以前の仕事を思い出していたのは田抜・常(タヌキかキツネか・e06852)。空手家と言っても皆様々。流派ごとの差もあるし、フルコンタクト空手と寸止め空手を比べると大きく掛け離れている。ちなみに、今回の青年はフルコンタクト空手で有名な流派の所属。
そんな話をしながら、ケルベロスたちはドリームイーターの到着を待つのだった。
●
ケルベロスたちが待っていると、山の方から激しい音を立てて木々が倒れ、ドリームイーターが現れる。
「コーブ-シー!」
意味不明な奇声を上げるドリームイーターに、冷静に対処したのはルフィリア。
「よろしくお願いします」
丁寧に『礼』をした。
「……レーイ」
それに対して、ドリームイーターであっても、最低限の作法はあるようで、丁寧に礼を返した。それに従い、他のケルベロスたちも礼を返す。
「コーブーシー」
『礼』を終えると、慣れた動きで構えを取る。
その構えを合図にケルベロスたちが動き出す。
「お前の攻撃は必ず当たる。これまで培ってきた経験が生きるはずだ」
最初に響いたのはヒエルの言葉。仲間たちに『当てる』という意思を増幅させ、味方の集中力を高める。
同時にフローネとタンザナイトがヒールドローンを展開させ、沙門がケルベロスチェンを展開させ、さらにルフィリアが自身に禍々しい幻影を被せ、戦いに備える。
「……コ?」
戦いの準備を整えていくケルベロスたちに、微妙な反応のドリームイーター。
「クッキーちゃん、お願いです!」
「正々堂々ってノリじゃなくて悪ぃがな」
さらに、ミライと思江が光り輝くオウガ粒子を放出させ、味方の超感覚を覚醒させる。
「……ブ?」
そんな様子に困惑している……訳ではないようだが、構えを取ったまま動く様子のないドリームイーター。
「がっちり態勢を整えさせてもらうのですよ」
最後の仕上げとばかりに、常が扇をパチンと閉じる。その瞬間、ケルベロスたちの背後に爆炎が上がり、仲間たちを鼓舞する。
「シー!」
その様子を見ていたドリームイーターは、その爆炎に続くように、気合いの入った奇声を上げながら、力強く構えを取る。
すると、モザイクが防具のように覆う。ケルベロスたちが気合いを入れるのを見て、同様に気合いを入れ直すドリームイーター。
「さあ、理想と団結のどちらが勝つか、試してみましょう。見せて下さい、最高の空手とやらを!」
「コーブーシー!」
タンザナイトの言葉に答えるように、再び奇声を上げる。ここからが本当の戦いだ!
●
「……お前さんがどん夢を見たかなんざ、俺ぁ知らねえ。だが、真の成長ってぇのは、『自分に欠けているもの』『自分が絶対にできないこと』を受け入れることから始まるんだ」
被害者の青年が聞いたら、心のノートにメモしそうな言葉を告げながら踏み込む思江。
「コー!」
踏み込に反応し一歩距離を取るドリームイーターにバトルガントレットのエンジンを点火する思江。
「ひっぺがしてやらぁ!」
一歩取った距離をエンジンのブーストで詰め、拳を叩き込む思江。
「ブー!」
それをモザイクで防ぐも、そのモザイクが砕け虚空のチリとなる。
「天地を……繋げっ!」
そこへ連携して踏み込むタンザナイト。地獄から星界まで吹き上がる光芒を呼び出し、悪しき神おあら地球を祓う。
「ガンガン気合を入れていくのです……!」
さらに支援を行うミライ。ボクスドラゴン・ポンちゃんの属性インストールと一緒に再びオウガ粒子を放出させる。
「ミライさんの光りと共に」
ミライの支援を受け、フローネが音速の拳をドリームイーターに叩き込み、連携攻撃を繰り出していく。
そんなケルベロスたち全員の攻撃を受けてから、やっと動き出すドリームイーター。
「コーブーシー!」
ドリームイーターは沙門を正面に四股立に構え拳を握る。しかし、沙門との距離は二足半以上。
「シーコー!」
しかし、そのまま放たれた正拳突きは、腕が異常に伸びて沙門まで届く。
「我が八方拳の教えのひとつに『技と技の間はしなやかであるべし』とある!」
そんな特異なドリームイーターの攻撃を打点をずらして腕で受け、カウンター気味に攻撃を繰り出す沙門。
「コーブーシー!」
ブーストにより急加速する拳で撃ち抜くと、悲鳴のような奇声を上げるドリームイーター。さらに、そこへミミックのオウギがエクロプラズムで作った武器で追撃する。
「闇雲に攻撃するだけでは、しなやかさが足りぬよ」
まるで指南するように、言葉を告げながらミミックのオウギと共に連携攻撃を繰り出し、ドリームイーターにダメージを蓄積させていく。
「流石に実際の型とは違う妄想の空手ですね」
後衛から観察していたルフィリアが冷静に分析しながら、オーラの弾丸を発射する。
「予測はしにくいですが、慣れればどうとでもなります。ケルベロスの独自グラビティに比べれば想像できる範囲内ですし」
無表情で的確な指摘をするルフィリア。余計な先入観さえなければ、ちょっとホーミングしてくるだけの攻撃である。
今ルフィリアが放った気咬弾でも似たような挙動は可能である。
完全に読み切られてしまったドリームイーター。別のデウスエクスであれば悔しがったりするかもしれない状況だが、ドリームイーターはこちらの言葉に反応せず、闇雲に攻撃を繰り返すだけ。
「コブシー!」
そんなドリームイーターの攻撃を見ながら、若干生ぬるい表情を浮かべる思江。
「なあ……こいつはドリームイーターの悪ふざけの産物と、被害者の兄ちゃんの妄想、どっちに起因してんだ?」
距離やら何やら色々無視したトンデモ空手を見ながら呟く思江。
「青年がこのような力の顕現を望んている訳ではない筈だ」
あさっての方向から飛んでくる正拳突き(?)を拳で弾きながらヒエルが答える。
そのままライドキャリバー・魂現拳が高速回転しながら突撃するのに合わせて、手足にオーラを纏った拳でドリームイーターに音速の一撃を繰り出す。
「『先手無し』だからって、あえて後手に回るのは違うでしょうに……」
さきほど攻撃を弾いたヒエルの拳に幻影を付与しながら常が答える。ドリームイーターの行動から考えると、理念についても言葉だけが一人歩きして勘違いしているように見える。
実際、このドリームイーターは敵を探してあえて攻撃を受け、それから反撃をしようとしている。そんな行為が『空手に先手無し』な訳では無い。
「言わせてもらいますが、地球はデウスエクスから侵略されまくっていつも後手後手な四面楚歌なのです」
常の言う通り、基本後手に回っているのが現実である。
「『先手無し』で戦わなきゃならない苦しさを思い知らせてやるのです」
そんな魂の叫びをほとばしらせる常。
「コーブーシー!」
しかし、ドリームイーターは理解していない様子で叫び暴れるのだった。
●
ドリームイーターにかなりのダメージを蓄積させるも、それでもモザイクを展開させ好戦的な姿を見せる。
「倒れないのは格闘家だからか……」
予想よりも高い耐久力に呟きが漏れるも、それで戦況が覆る事は無い。
「貴様には視界も足りぬ。一点の急所を狙いすぎると読まれてしまうぞ」
まるで指導者のように檄を飛ばしながら、拳を避け懐に潜り込み、プロレスのラリアットのような動きでドリームイーターを空中にぶっ飛ばす沙門。
「八方天拳、六の奥義!」
覇気と同時に大きく跳躍し、ドリームイーターの頭上を取る。
「毘沙門天!」
咆哮と同時に踵落としで地面に叩きつける。
「ブー!」
地面に叩きつけられ、悲鳴を上げるドリームイーター。そこへ踏み込む二つの影。
「ココロの力、この腕に……!」
フローネの腕をすみれ色のオーラが縛霊手・御霊紫魂腕を包み込む。
「私がサポートに入ります」
さらにミライの腕をオウガメタル・クッキーちゃんが包み込む。
「ミライさんと共鳴させたこの拳! 喰らいなさい!」
「クッキーちゃんぱーんち!」
フローネの菫色とミライの銀色が交差し、十字を描く。
さらに常とルフィリアが二つの旋風となり、刃の蹴りを繰り出す。
「ブー!」
ケルベロスたちの連携攻撃に大きく身体を揺らしドリームイーター。そこへさらに追撃を仕掛ける思江。
「いくらひとから奪ったってな、絶対に叶わねえ。そのモザイクはな、今のままじゃ永遠に晴れやしねえんだぜぇ!」
拳を握りながら叫ぶ思江の言葉は、この場にいるドリームイーターではなく、元凶となるドリームイーター・幻武極に告げるような叫び。
「ごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおあああっっ!!!」
その言葉に気合を乗せて、天地を劈くような雄叫びを上げる思江。
「コーーー!!」
激しい思江の雄叫びを押されるように、よろめくドリームイーター。
しかし、それでも反撃に動く。よろめくように動いていたのかと思うと、そのまま奇想天外な動きで回転し、後ろ回し蹴りを放つ。
「ブー!」
奇襲気味に放たれた後ろ回し蹴りが思江を捉えたかと思った瞬間、アメジスト色の光が割り込み、強烈な回し蹴りを受ける。
「誰も倒させません!」
蹴りで砕かれたアメジストの盾を再び展開させながらフローネの声が響く。
「ブ……」
そんな声に気圧されるように、一瞬よろめくドリームイーター。その瞬間、タンザナイトとヒエルが一瞬だけ視線を交わし、同時に拳を握る。
「……」
言葉は交わさずとも、拳は交わす。ヒエルの音速の拳とタンザナイトの獣の拳が交差する。
「ブ……」
響く打撃音は一つ。その音と共に、森に静寂は走る。
「シーーーーー!!」
次の瞬間、ドリームイーターの断末魔が響き、そして全身がモザイクとなってゆっくりと消滅していく。
ケルベロスたちの勝利だ!。
●
「団結は理想に勝ったのです。えーと、押忍」
消滅していくドリームイーターに一礼するタンザナイト。今頃、被害者の青年は目を覚ましている事だろう。その青年にも救急の方々が対処してくれるはずだ。
「例の兄ちゃんがどんな修行をしてんのか、ちと見てみたくもあったな」
思江が無事であろう青年に思いを馳せながら呟く。
「ならば、激励に行こう。一人の拳士として」
そんな青年に激励しようと山を登ろうとするヒエルをそっと止めるタンザナイト。
「……」
深く語らず、ただ首を横に振る。タンザナイトには、今頃事情を知った青年が恥ずかしくて悶えている姿が容易に想像出来た。
ある意味、このドリームイーターは彼の黒歴史ノートそのものなのだ。彼に必要なのは『激励』ではなく、思い出をそっと仕舞うための『時間』なのだ。それが、誰にでもある事であっても、やはり『恥ずかしい』のだ。
「ま、しゃぁねえやな、カカカッ! 適当にヒールしながら帰るとするか」
そんな空気の中、思江の快活な笑い声が響く。
「たしかに。結構、壊れたね」
「そうですね」
ほとんどはドリームイーターの攻撃による結果だが、色々と壊れてしまっている。このまま放置は出来ない。
最低限のヒールを行いながら、呟くタンザナイト。
「ケルベロスの描く『最高の武術』って何でしょうね?」
「……」
そんなタンザナイトの言葉に応える者は居ない。最高の武術なんて、人それぞれだろう。特に個性豊かなケルベロスにとっては、より奇想天外だろう。
皆、目指す『最高』があるのかもしれない。そんな事を考えながら、帰路に付くケルベロスたちであった。
作者:雪見進 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2017年9月14日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 5/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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