イケないエロスライム!

作者:ゆうきつかさ

●奇妙な夢
「きゃああああああああ! あ、あれ……ゆ、夢……!?」
 目を覚ました子供は、自分が今まで見ていたのが、夢だったのか、それとも現実だったのか、判断する事が出来なくなっていた。
 夢の中に現れたのは、服を溶かして襲うエッチなスライム。
 通称、エロスライム。
 それに襲われて、あっと言う間に服を溶かされ、すっぽんぽん。
 危うく、あんな事や、こんな事をされる前に、何とか目を覚ましたようである。
 故に、後もう少し目を覚ますのが遅ければ……酷い目に遭っていたかも知れない。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『驚き』はとても新鮮で楽しかったわ」
 そんな中、第三の魔女・ケリュネイアが現れ、手に持った鍵で起きたばかりの子供の心臓を一突き。
 この攻撃はドリームイーターが人間の夢を得るための行為……。
 それによって、子供の『驚き』を具現化したようなスライムのドリームイーターが産み出された。
 驚きを奪われた子供は意識を失って崩れ落ち、ドリームイーターが倒されるまで、深い眠りにつくのであった。

●都内某所
「子供の頃はビックリする夢を見たりしますよね。理屈は全く通っていなくとも、とにかくビックリして、夜中に飛び起きたり……。そのビックリする夢を見た子供が、ドリームイーターに襲われ、その『驚き』を奪われてしまう事件が起こっているようです。植原・八千代(淫魔拳士・e05846)さんが危惧した通り、奪われた『驚き』を元にして現実化したドリームイーターが、事件を起こそうとしているようです。現れたドリームイーターによる被害が出る前に、このドリームイーターを撃破して下さい。このドリームイーターを倒す事ができれば、『驚き』を奪われてしまった被害者も、目を覚ましてくれるでしょう」
 セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)が、教室ほどの大きさがある部屋にケルベロス達を集め、今回の依頼を説明し始めた。
「ドリームイーターは一体のみ。配下などは存在していません。またドリームイーターが現れるは夜の市街地で、被害に遭った子供の家の近所です。ドリームイーターは、相手を驚かせたくて仕方がないようなので、付近を歩いているだけで向こうから現れ、驚かせようとしてくるでしょう。そのため、驚かなかった相手を優先的に狙ってきます。またドリームイーターはイケナイ液体を飛ばして、服をドロドロに溶かした上で、性別に関係なくイケナイ事をしてくるので注意しておきましょう」
 そう言ってセリカがケルベロス達に資料を配っていく。
「子供の無邪気な夢を奪って、ドリームイーターを作るなんて許せません。被害者の子供が、再び目を覚ませるように、ドリームイーターを倒して、事件を解決してください」
 そして、セリカはケルベロス達に対して、深々と頭を下げるのであった。


参加者
クオン・テンペスト(黒炎天使・e00165)
村雨・ベル(エルフの錬金術師・e00811)
コクマ・シヴァルス(ドヴェルグの賢者・e04813)
鏡月・空(藻塩の如く・e04902)
植原・八千代(淫魔拳士・e05846)
ヤマダ・タエコ(ボッチなアニソンロッカー・e11869)
綺羅星・ぽてと(耳が弱い・e13821)
フィゼル・ハートレット(全てを焼滅されし者・e32092)

■リプレイ

●夜の市街地
「……まったく、何というけしからんスライムだ! そもそも、存在自体がけしからん! 一体、どうして、こんなモノが生み出されてしまったのか。理由を考えるだけでも……その……まあ……あれだ。思春期とは実に恐ろしいものだな……、うん」
 コクマ・シヴァルス(ドヴェルグの賢者・e04813)は、仲間達と共にドリームイーターが確認された市街地にやって来た。
 この市街地にはドリームイーターを生み出した少女が住んでおり、彼女によって生み出されたエロスライムが暴れている場所でもあるようだ。
 エロスライムは本能の赴くまま、一般人に襲い掛かって欲望の限りを尽くしているらしく、市街地はまるでゴーストタウンの如く静まり返っていた。
「驚かしてくるドリームイーターはともかく……服を溶かすスライムか……。厄介だな……。まあ、嫌な予感はするが倒しておかないとだしな……。おそらく、放っておいても、ろくな事にはならないだろうから……」
 クオン・テンペスト(黒炎天使・e00165)が、自分自身を言い聞かせる。
 色々な意味で嫌な予感しかしないのだが、ある意味でお約束。
 運命だと言っても大袈裟ではないだろう。
「それにしても、よりにもよってなんというものを生み出したのでしょうかね。まあ、思春期なので想像豊かなせいか、身近にそう言った内容の本が多かったのか、分かりませんが……」
 鏡月・空(藻塩の如く・e04902)が、呆れた様子で溜息をつく。
 この時点でツッコミどころが満載であるものの、深入りしたところで残念な結果しか待っていない。
 妙なフラグを立ててしまうキッカケになってしまうため、なるべくならば触れるべきではないだろう。
「てっきり、うちの商品のスライムが逃げ出して悪さしちゃったのかと危惧しちゃいましたよ! そう言った意味でも、許せません! 営業妨害なんてさせませんからね!」
 村雨・ベル(エルフの錬金術師・e00811)が言い掛かり気味の愚痴をこぼしつつ、念のために殺界形成を使う。
 アルカナ魔法商会では『服だけ溶かすスライム』絶賛発売中のため、このドリームイーターが存在している事自体、営業妨害以外のナニモノでもなかった。
「このスライムってドリームイーターが生み出したものらしいけど、ドリームイーターにもオークみたいなのがいるのかな? 正直、ろくな事にならなそうだけど、依頼請けた以上はきっちりとやるよ」
 フィゼル・ハートレット(全てを焼滅されし者・e32092)が、何となく気合を入れる。
 何やら嫌な予感しかしていないものの、ここで逃げる訳にもいかないので、頑張るしかなさそうだ。
「……と言うか、いけない事って何だろね~。しかも、子供の性欲が呼び出したエロスライムって……。まあ、そう言う年頃だったから、興味を持ったのかも知れないけど……」
 ヤマダ・タエコ(ボッチなアニソンロッカー・e11869)が、色々と察した様子で口を開く。
 あれこれツッコミどころが満載ではあるものの、ちょっとおマセな女の子であったと考えるべきだろう。
「確かにいたいけな子供が、そんな夢を見たって事が驚きよねぇ……。その辺を考えると、色々と怖い気も……」
 綺羅星・ぽてと(耳が弱い・e13821)が、何処か遠くを見つめる。
 そのせいか、ドリームイーターよりも、それを生み出した子供の将来に不安を覚えているのだが、それはそれ、これはこれと考えた方が幸せかも知れない。
「うん、まあ、放っておくと色々と危険よね。被害者の子供も助けないといけないし……」
 そう言って植原・八千代(淫魔拳士・e05846)が、ドリームイーターを倒すため、力強い足取りで歩き出すのであった。

●エロスライム
「ココこそ私のゲリラライブ会場です。さあ、御近所の皆さんも、遠慮なく聞いてください。もちろん、無料ッ! サービスですッ!」
 ヤマダがラブフェロモンを使い、ゲリラライブを敢行ッ!
 殺界形成の影響で、一般人が文句を言ってくる事も、観客になる事も無いが、ヤマダ自身は好きに歌えて上機嫌。
 ハイテンションで歌声を響かせ、幸せな気持ちに包まれていた。
(「あ、居た……」)
 ぽてとが物陰に潜むドリームイーターに気づき、ゴクリと唾を飲み込んだ。
 いまのところ、ドリームイーターは気づいておらず、ポヨポヨと身体を揺らして移動している最中のようだ。
 そう言った意味で、攻撃を仕掛けるチャンスであるが、タイミングを間違えば、あっと言う間に『クッ……、殺せ!』状態になってしまう事だろう。
「さて、倒す前にたっぷりと遊んじゃいましょうか。こういうのが実際に出現するとかなかなかないしね」
 八千代が含みのある笑みを浮かべ、ドリームイーターに視線を送る。
 ドリームイーターは未だに気づいていないのか、八千代達がいない方向に向かって、ポヨポヨと身体を揺らして進んでいた。
「先手必勝☆」
 すぐさま、ぽてとが間合いを詰め、ドリームイーターに攻撃を放つ。
 その攻撃は確実にドリームイーターに命中していたものの、致命傷にはならなかった。
「キシャアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」
 だが、そのリアクションが気に食わなかったのか、ドリームイーターが無数の触手を伸ばして、ケルベロス達に攻撃を仕掛けていく。
「あ、しまったっ!? は、速いっ!?」
 次の瞬間、ぽてとの左足にドリームイーターの触手がぬるっと絡まり、その場にドスンと尻餅をつく。
「キィシャアアアアアアアアアアアアア!」
 それと同時に、ドリームイーターが、ケルベロス達を覆うようにして、無数の触手を伸ばしてきた。
「べっとりぬるぬるいやぁー!」
 その途端、ベルが身の危険を感じて、ドリームイーターに背を向ける。
 正直、逃げるつもりはなかったが、それよりも早く身体が反応した。
 それはベルにとって悲劇であったが、いまさらどうしようも出来ない事。
 しかし、ドリームイーターの触手に捕まって、眼鏡までベットリ。
 あっという間に、全身ドロドロになって、薄っすら湯気まで上がっていた。
「……あ、本当に服溶かすのね。でも、何だか気持ちよくなってきたわ。むしろ、アリかも……。さすが、理想的なエロスライム。文句なしの肌触りだわ……」
 八千代がドリームイーターに襲われながら、ウットリとした表情を浮かべる。
「まぁ、色々とくんずほぐれつになるのは、きっと仕方のない事なのだ。これも運命……。逆らってもイイ事なんて無い。ならば、むしろ受け入れた方が……」
 コクマがドリームイーターに視線を送り、何かを悟った様子で口を開く。
「た、確かに……気持ちいいな……ぐっ……! こ、これは……逆らえない……!」
 そんな中、クオンが何かに取り憑かれた様子で、フィゼルに覆い被さって乱暴に服を引き千切る。
「……って、ちょ! お、落ち着いて! 冷静にならないと、ドリームイーターの思うツ……!」
 フィゼルが驚いた様子で、恥ずかしそうに声を上げた。
 しかし、クオンは暴走状態ッ!
 本能の赴くままフィゼルに襲い掛かって、どっぷりと溜まっていた欲望をぶち撒けた。
「んあ……はあはあ……凄い……。やめたくても……やめられな……い……ッ!」
 八千代も穴と言う穴にドリームイーターの触手をズブズブと突っ込まれ、恍惚とした表情を浮かべて、ビクンビクンと絶頂状態ッ!
「ううむ……良い肌の感触だ……。これは……我慢……できない……ッ!」
 コクマもヘヴンな気分に陥り、幸せそうに声をもらす。
 ドリームイーターも上機嫌な様子で白濁液を撒き散らし、感情に身を任せて妖しく触手を蠢かせる。
「こうしてはいられませんね。早くドリームイーターを倒さないと……!」
 空が色々な危機感を覚え、ドリームイーターに攻撃を仕掛けていく。
 それに腹を立てたドリームイーターが、怒り狂った様子でドピュドピュドップリと白濁液を飛ばしてきた。

●ドリームイーター
「ハアハア……何だか凄い事に……」
 ぽてとが全身白濁液まみれになりながら、虚ろな表情を浮かべて、ドリームイーターをジロリと睨む。
 ドリームイーターは空の攻撃を受けて、既にボロボロ、虫の息。
「砕けろ!! まだまだ!! そして、吹き飛べ!!」
 次の瞬間、空が蒼いオーラを纏った左手でナックルを決めつつ前に殴り込み、オーラを纏った右手で二回裏拳を入れ、すかさず百裂拳を決めて最後に蒼炎を纏ったキックでドリームイーターを蹴り飛ばす。
「キィシャアアアアアアアアアアアア!」
 その一撃を食らったドリームイーターが派手にふっ飛び、ブロック塀にぶち当たって弾け飛んだ。
「はあ……、全身スライム液でドロドロね。服も、もう欠片しか残ってないし……」
 八千代が全身ドロドロになりながら、疲れた様子で溜息をつく。
 ドリームイーターが消滅した事によって、全身に纏わりついたドロドロのモノは消え始めているものの、身体に火照りは嘘のように消えなかった。
「うう……、スライムなんて大嫌い……」
 ベルも服をドロドロに溶かされ、手ブラ状態のまま、その場に座り込む。
「確かに……何だか色々と酷い目に……。まあ、人の心は乱れやすい。欲望が尽きぬ限り、このような恐ろしい存在は、今後も現れる事があるのだろう」
 コクマがあられもない姿のまま、キリリとした表情を浮かべる。
 とりあえず、首から上はシリアス。
 それに対して、下半身は……と言ったところだろう。
「さて、行くか。まだ楽しみたいしな……。フィゼルも、そうだろう?」
 クオンがフィゼルの肩を抱き、思わせぶりな態度で微笑んだ。
「ええ……、そうね」
 フィゼルも恥ずかしそうにコクンと頷き、何処か熱に浮かされた様な眼差しでクオンを見つめる。
「まだまだライブは終わらないです。今日も私は最高にロックなの!」
 そう言ってヤマダが物足りない様子で、再び歌を歌うのであった。

作者:ゆうきつかさ 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年9月4日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 4
 あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。