『ハロウィンパーティーに行こう。その日は一緒に、仮装を楽しもうね』
それは始まりの約束。
いつもは遊んでくれないパパのくれた、温かな贈り物。
「おねがい! あたしに力をかして!」
場面は幼い少女が父親の手をひっぱり入店したおもちゃ屋さんから。
あどけない笑顔を輝かせ、少女はおもちゃのステッキに話しかける。
「プリティヒールパワー! メェイクアーップ!」
夢への世界にぴょーんとじゃんぷ。おでこにびしぃっと指をあてて決めポーズ!
どやぁ!!
本人にしか見えない魔法少女の衣装にチェンジして、リアクションを求めるようにパパの顔へと視線を向けた。
「うぅ~ん」
けれど期待していた笑顔はなくて。代わりに浮かんでいるのは困り顔。
「ごめんね。それはパパのライバル会社のキャラクターなんだ」
魔法少女の仮装はダメと、パパは言った。
「???」
それはひとつの齟齬のお話。
父親にとっての仮装とは、キョンシーやカボチャ、お化けのシーツ。
少女にとっての仮装とは、大好きなキャラクターへのなりきり遊び。
よくわからない説明から伝わったことは、ワクワクと楽しみにしていた計画が、ぷくぷくと水の泡となって消えたこと。
「パパなんて大っきらい!」
気づいたら、そんな言葉を残して走りだしていた。
だって、いい子でいないと嫌われちゃう。
なりきることを練習した魔法少女でなくちゃ、どうやってわがままを伝えたらいいのかわからない。
魔法少女は元気いっぱい。いたずらをしても、決め台詞をいえばすぐに仲直り。
「大好きな衣装でハロウィンパーティーに参加したい……ですか。
その夢、かなえてあげましょう」
いつからそこにいたのか。
赤い頭巾を被ったドリームイーターは少女の胸に鍵を刺す。
「世界で一番楽しいパーティーに参加して、その心の欠損を埋めるのです」
あなたは、だあれ? 声のうまれる前に、トサリと倒れる。
そうして。
魔法少女の衣装を着たパンプキンヘッドのハロウィンドリームイーターが現れ、消えた。
「トリック・オア・トリートです!」
お菓子をおねだりするように、手のひらを向けてぐっぱぐっぱ。
えへへ、と天真爛漫な笑顔を振りまいて、ねむは切り出した。
「藤咲・うるる(サニーガール・e00086)さんが調査してくれたのですが、ドリームイーターが暗躍しているのです!」
パンダのお耳をピコピコ。元気よく、ねむは説明を始めた。
どうやら、ハロウィンのお祭りに対してなんらかの劣等感をもった者たちが、ハロウィンパーティーの当日に一斉に動き出すようだ。
ハロウィンドリームイーターが現れるのは世界で最も盛り上がるハロウィンパーティー会場。つまり、鎌倉のハロウィンパーティーの会場ということらしい。
「本当のパーティーが開始される前に、ハロウィンドリームイーターを倒して欲しいのです!」
ハロウィンドリームイーターは、ハロウィンパーティーが始まると同時に現れる。
実際の開始時間よりも早く、あたかもハロウィンパーティーが始まったように楽しそうに振るまえば敵を誘き出すことができるだろう。
「パーティーを主催しているのは、被害者のパパさんなのです」
その父親には既に話が通っているらしい。
現在、被害者となった少女は保護され、病院の一室で眠り続けているのだという。
「ご馳走を食べちゃってもいいのですっ!」
主催者に曰く、ドリームイーターをおびき出すための協力は惜しまない。
必要であれば、ケルベロス達の仮装を映えさせる『演出』の事前協力にも願い出ているという。
「パパさんにお願いされちゃいました。ええっと。『皆さんの戦う姿をカメラに撮らせてほしい』だそうです!」
メモに視線を走らせ、黒耳ピコピコ。
それは父親なりの罪滅ぼし。
魔法少女が大好きな女の子は、ケルベロスもまた大好きなのだという。
戦いの様子はビデオレターとなり女の子の所へと届けられる。
メッセージがあれば、伝えてみるのもいいだろう。
「ハロウィンパーティーを楽しむために、ドリームイーターは倒しちゃってほしいのです!
ねむからのお願い、聞いてくださいっ」
ぺこり、行儀よくねむはお辞儀した。
参加者 | |
---|---|
ラトウィッジ・ザクサー(悪夢喰らい・e00136) |
ノア・ノワール(黒から黒へ・e00225) |
筒路・茜(躑躅・e00679) |
ティア・アルカーク(幻想詩人・e01464) |
ルーチェ・プロキオン(魔法少女ぷりずむルーチェ・e04143) |
アルバス・ヘディキウム(鹵獲術士・e04975) |
笹ヶ根・鐐(白壁の護熊・e10049) |
紅月・チアキ(煉獄・e13628) |
●
ジャック・オー・ランタンから漏れる幻想的な光は、どこか懐かしさを感じさせる。
今宵はハロウィン。どこかへと旅でた童心たちの帰る、一夜限りの魔法の日。
白で統一された魔法使い風のファッションにとんがりボウシ。
それがアルバス・ヘディキウム(鹵獲術士・e04975)の仮装だった。
静かにカボチャのスープを口へと運ぶ。
幸福を味わうアルバスの死角から、そっと忍び寄る狼男。もとい、狼女の影!
「がおー! 食べちゃいますよ! ……なんちゃって」
ルーチェ・プロキオン(魔法少女ぷりずむルーチェ・e04143)は悪戯成功とばかりに朗らかに笑う。
ふわモコな狼の着ぐるみ。ルーチェの愛らしさにぴったりな仮装といえた。
「あ。ごめんなさい! お食事中でしたね!」
ぺこりと頭を下げる。
「謝ることは、ない。ルーチェも、食べるか?」
表情に変化が乏しい分、その声色に優しさを乗せた。
ハロウィンドリームイーターは楽しそうなハロウィンパーティーに出現するという。
ケルベロスは魔法少女側と悪役側に別れ、ヒーローショー形式の流れを継いだ『魔法少女ショー』を演じる計画を立てた。
ストーリーの1ページ目は他愛もない談笑から。
「――、なぁに、大体魔法少女モノなら白い人は強いって相場が決まってるものさ」
吐息でくすりと笑うのはノア・ノワール(黒から黒へ・e00225)
妖艶な蝙蝠の翼。サキュバスであるノアは仮装を必要とせず、ハロウィン的ともいえる普段着での参加をしていた。
「白いのは強いのか……」
アルバスは心のメモに筆を走らせる。どうやら、白さは地味さへとは繋がらないらしい。
「ふふっ」
被害者となった女の子は、魔法少女とケルベロスが大好きなのだという。
その父親は此度の戦いを無人カメラで撮影し、女の子へ贈ることを予定していた。
「……ちょっと楽しみ、かな?」
ノアの言葉に同意を示したのは筒路・茜(躑躅・e00679)
「――、そだね、私達の演技力があればハリウッドも飛びついて来るってものなんだっ♪」
茜は南瓜売りの少女の仮装に身を包み、「おひとついかが?」と手のひらサイズの南瓜をケルベロスに配る。
蓋を開けてみれば、ハートやコウモリの形をしたマカロニが入れられたグラタンとなっていた。
ハートは茜、コウモリはノアを模しているのだろう。
●
「ふわはははは!」
スモークの中、スポットライトが白熊さんを照らす。登場したのは笹ヶ根・鐐(白壁の護熊・e10049)
「美味そうなご馳走が並んでるじゃないか。ここは俺達が頂くとするかぁ!」
『私が悪いボスです!』と言わんばかりの立ち振る舞い。
鐐は海賊の衣装に身を包んでいる。ボクスドラゴンの明燐もご主人の晴れ姿にどことなく誇らしげだ。
「アタシ敵幹部よっ! 幹部!」
早く悪役やりたい! とばかりにラトウィッジ・ザクサー(悪夢喰らい・e00136)がぴょこりと鐐の背中から顔をのぞかせる。
ラトウィッジの仮装は血まみれの白衣に包帯をぐるぐる。マッドなドクターがモチーフ、といったところか。
「普段は女に間違われるけど、今日はそんなことないぜ!」
どやっ! 黒の革ジャンに革ズボン。トゲトゲのついた肩パット。ブーツに狼の尻尾と耳を装着!
更にさらに、悪役っぽく顔や肌に傷をペイント。気合も十分! 今夜の紅月・チアキ(煉獄・e13628)はイケメンな下っ端役だ。
「よろしくお願いします」
礼儀正しく登場した最期の悪役はティア・アルカーク(幻想詩人・e01464)
普段着が黒を基調とした喪装なので、悪役のカラーにもピッタリ。
ちょっぴり撮影は恥ずかしいけれど、できるかぎり頑張ります。
「歓呼せよ!」
ラトウィッジは水を得た魚といったように嬉々として悪役を演じる。ルーチェに向けてグラビティを使用した。
「いたっ。……あれ? 痛くありません」
ラトウィッジの飛ばしたグラビティはちくっとする痛みを持ったヒール。
「大丈夫! ヒールよ! どうぞいい感じに痛がって! ね!」
ラトウィッジはお酒を片手にヒールを飛ばす。
「ふわははは! うめえなぁ」
鐐は豪快にお肉にかぶりつく。
テーブルの上では、食べ過ぎた明燐がお腹を丸くしてコロコロと転がった。
「うおおおお! ホットケーキだ!」
狼男になりきっているチアキは丸いものを見ると嬉しくなるらしい。フォークとナイフを装備してぱくぱくと平らげていく。
口いっぱいに広がるしあわせ。嬉しそうに吠えた。
「ご馳走は俺たちのものだー!」
会場が盛り上がりを増していく中、ティアは入り口からこちらを伺うモザイクの姿を発見した。
なんとなく、一緒に遊びたいけど恥ずかしくって和に入れない。そんな様子が伺える。
(「黒系をメインに……いえ、総帥の笹ヶ根さんが白ですからその方が……?」)
ティアは会場のカーテンを拝借し、悪役用のマントを作っていた。
(「でも、悪側なので黒っぽい方が良さそうですね」)
ティアが用意しているのは、ハロウィンドリームイーター用の衣装。
相手は現在、魔法少女にパンプキンヘッドといった装い。
被害者の女の子と同じ思考力をもつ敵と一緒に遊ぶなら、悪役用の衣装も必要となるのだろう。
完成したマントと悪役用の仮面をテーブルに置き、ティアはハロウィンドリームイーターに向けて柔らかく微笑んだ。
「仮面を着ければ多少は恥ずかしさも紛れますよね」
ケルベロスの所へ戻っていくティアの後ろ姿を、南瓜頭はじっと見ていた。
●
「悪いシロクマさん達にお料理を独り占めされちゃいました!」
「ふふ……このパーティーはアタシ達が占拠するのだわ!」
「許せません! そんな悪い人たちには、正義のおしおきです!」
場面は魔法少女たちの変身シーンへ。
先にことわりを入れておけば、変身が完了するまでの視点は無人カメラの撮影した『編集済み』の映像となる。
ルーチェは大きな星の飾りのついた魔法のステッキを掲げる。
背景はさながらハロウィンに彩られた遊園地。
魔女やパンプキンがメリーゴーランドのようにルーチェの周りを疾走する。
その中心となる場所で、ルーチェはオレンジの光に包まれステップを踏む。
ポン!
手を掲げると、可愛らしいオレンジの衣装が腕を包んだ。
ポポン!
くるりと身を翻す。オレンジのひらひらスカートがふわりと生まれた。
全身を魔法少女の衣装にチェンジして、カメラに向かってウィンクばっちん☆
「魔法少女ぷりずむルーチェ、参上です♪」
悪はしぶとい。
「ご馳走は俺たちのものだ! お前らなんかに渡さねえ!」
悪役セリフを口にするのはチアキその人。
「そうやってご馳走を独り占めしようとする悪い子達には――おしおきが必要、だよね?」
ノアの声は空から降ってきた。
バササッ!
ハロウィン会場を彩っていたコウモリの飾りが魂を宿したように空を舞う。
数百のコウモリ達の一斉飛行はさながら光さえ塗りつぶす闇そのもの。覆うようにノアを包み隠した。
レンズ越しの映像の世界は一面の黒で静止する。
訪れる静謐の時。
突然、ガラスにヒビが入るように世界に数多の線が引かれた。
パリーン!
黒の世界はひび割れた。
現れたのは妖艶な微笑みをたたえるノアの姿。見れば、衣装も黒を基調としたカッコ可愛い魔法少女衣装へとチェンジしている。
「魔法少女ノワール、ドレスアップ! ――なんてね♪」
「ノアぁっ♪」
瞳をキラキラと輝かせて見惚れていたのは茜。
恍惚めいた表情でノアを見つめ、ほぅ。と幸せそうに吐息をひとつ。
そしてしばらくしてから、茜の変身シーンを催促する無人カメラの視線に気付いた。
「――、あ」
テイク2。
はらり、はらりと雪が降る。
ここは白銀の世界。
茜の仮装の元となった『南瓜売りの少女』のイメージシーン。
凍えた少女がハロウィン南瓜ランタンに火を点け暖をとろうとしたところで、突然、白雪が燃え上がった。
ボォッ!
火は灰へとはならず、その姿をつつじの花へと変え世界を赤く染め上げた。
現れたのはパンプキンランチャーを構えてポーズをとる茜。赤を基調としたカッコ可愛い魔法少女の衣装へとチェンジしている。
「はいはーい、魔法少女筒路・あか…のーのー、パンプキン茜の登場だのさ」
「あらぁ、アタシ達に盾突こうっていうの? 良い度胸ねぇ!」
ラトウィッジはお酒を飲みすぎたのか頬に朱がさしている。
「歓呼せよ!」
ちくっとするヒールグラビティを放った。
「その野望、打ち砕いて見せよう」
しゅっ!
どこから飛んできたのか、白薔薇がそれを叩き落とした。
視点を変えれば、白薔薇にヒールの効果を発揮してグラビティは消えた。
「何者よっ!?」
いつの間に登ったのか、天井に備えられたシャンデリアの上でアルバスが立っていた。
「私の名はタキシード白いやつ」
アルバスは白いタキシード姿に、白いバラ。仮面もつけて正体不明の魔法少女援護役に仮装を変えていた。
シャンデリアから飛び降りてして華麗に着地。魔法少女と合流を果たす。
魔法少女側が出揃い、展開は加速する。
「―――、南瓜の種ビーム!!」
カボチャの種ぽぽぽーん!
「このご馳走はやらねぇぞ! ってうぎゃー!」
「任せてくださいボス! あんな奴ら俺がヨユーでやっつけちまいますよ! ってぎゃあ。覚えてろよーー!」
「やられました」
きっちり悪役のお約束を守り倒れる3人。
「いったぁい!? ちょっと! お姉さんには優しくするもんでしょぉ!?」
ところがお酒が入りすぎて役を忘れたのか、ラトウィッジはちくっとするヒールグラビティで反撃をしてくる。
ちくっ、ちくっ。ちょっぴり、痛いゾ。
「さぁ、おしおきだ。――悪者、なんだろ?」
酔っぱらいさんには、気付け程度に痛みを与えることがこの状況ではプラスへと働く。
ノアはトラウマボールをラトウィッジへぽーんと投げた。虎と馬の被り物をしたマッチョメンに襲いかかられる幻覚を見せる、文字通りのトラウマ付きだ。
「きゃああ。アタシ、お姉さん! NOTホモよお!」
……いったいどんな幻覚を見ているのだろうか。
「あとはお願いします」
応えるように、ティアの用意した悪役用のマントと仮面をつけたハロウィンドリームイーターが最後にババーンと登場した!
●
ハロウィンドリームイーターが登場したことで、魔法少女と悪役に別れたケルベロスは共闘のために歩み寄る。
「このままではパーティーが台無しになってしまいます……!」
「まずはカボチャお嬢さん。お前達との続きはその後だな」
それにラトウィッジは「鐐ちゃんが言うなら……」と恭順を示し、
「今の敵はおまえ!」
チアキはびしっとハロウィンドリームイーターを指差した。
そんな様子を、ティアは微笑ましそうに眺めている。展開の流れに依存はないらしい。
戦闘開始を告げるように茜の持つパンプキンランチャーが爆炎に巻かれ、中からバスターライフルを取り出す。
「――、さぁ、本当のパーティの始まりだね」
イズディスハロウィン?
ハロウィンドリームイーターはラトウィッジに向けてモザイクの塊を放つ。
ボクスドラゴンの明燐が勢いよくジャンプをして、身を盾としてそれを防いだ。ダメージから受身が取れず、着地に失敗しコロコロと転がる。
「いいぞ、明燐!」
「ありがと! ね! 明燐ちゃん!」
すかさずラトウィッジは癒しの力を明燐に贈る。
嬉しかったのだろう。パタパタとボクスドラゴンの尻尾を揺らして礼を示した。
「これより響くは、追憶の調べ」
ティアは手を交差させ祈りの形を作り、力ある詩を紡ぐ。
詩を聞いた対象へおくる、ティアの痛みの記憶。
ハロウィンドリームイーターは何か悲しい場面を見たように、肩を落としメソメソしはじめた。
「あ……、ごめんなさい」
精神年齢の低い敵には効果が高すぎたのかもしれない。
なんとなく申し訳ないことをしてしまったように、使用グラビティを変更した。
「あ、あれ? ちょっと待って! 俺ここまでいいとこなし!?」
チアキ君はとてもいい下っ端役でしたね。
「うおおお! 満月よ! 俺に真の力を!」
ステンドグラスに向かって手を伸ばす。
月明かりの祝福はなかったけれど、代わりにスポットライトがチアキを照らした。
ブラックスライムのクロちゃんは数多のコウモリへと形を変える。黒の刃の集合体となり、モザイクイーターを深々と破り。砕き。抉る。
「やったああ! 俺かっこいー!」
敵はモザイクを巨大な口へと形を変えルーチェへと疾走を開始する。
魔法少女を庇い守ったのはアルバス。
「指一本触れさせん」
魔法少女を守るため、マントを盾とし受け流す。
だが思いのほか一撃が重い。ダメージからアルバスの正体を隠す仮面が外れた。
「貴方は……まさかアルバスさん!」
「アルバスではない。タキシード白いやつだ」
アルバスは律儀に演技を通した。
「ふふっ……こういう魔法はお好きかな?」
ノアは大量の使い魔たちを召喚し、敵に向かわせる。
にゃあにゃあ。わんわん。
ペットたちはドリームイーターを遊び相手と認識したよう。
すりすり。ごろごろろ。
こ、これは振り払えない……。
ハロウィンドリームイーターは手で顔を覆い足を止めた。
敵へのバッドステータスが十分に溜まったことを認め、茜は地獄化した瞳に時計盤を映す。
「お菓子をくれても悪戯しちゃうんだよ」
意志を手放したように、ハロウィンドリームイーターの手足が固まる。
「――、愉しんでいってね?」
大気が渦巻く。破滅を叫ぶ。
レプリカントであるルーチェの両腕。その肘から先が高速で回転し、双竜を思わせる巨大な風が渦を巻く。
「邪悪な意思を吹き飛ばす、正義の旋風!」
素晴らしい力技で粉砕した。恐るべきレプリカント魔法(力技)であった。
ハロウィンドリームイーターは足取りおぼつかず、ふらふらと彷徨う。
ぽす。たどり着いたさきは鐐の胸の中。
「そのまま楽しい夢の中へ落ちるがいい……」
最後はせめて、優しい終わりを。
もふもふした腕の中、温かなお布団に安心したようにハロウィンドリームイーターは眠りに落ちる。
ポン!
煙が上がる、ハロウィンドリームイーターだったものはその姿を南瓜へと変えていた。
●南瓜を贈ろう
ケルベロスは被害者の女の子に宛てたメッセージカードを書き、お菓子と一緒に中身のくり抜かれた南瓜へしまっていく。
アルバスもメッセージを考えていたが、結局、カードの代わりに薔薇を入れた。
見れば、先ほどラトウィッジのヒールを受けた薔薇だった。多少ファンタジーな外見になり、薔薇に綺麗な青が入っていた。
アルバスに代わり、ルーチェがメッセージを書いた。
『このお花にね、あなたに勇気が出るおまじないをかけたよ。
思ってること全部パパに話したら、ちゃんと仲直りしようね♪』
作者:戸高露木 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2015年10月31日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 1/素敵だった 3/キャラが大事にされていた 4
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