決戦第十の魔女~小さなお店の大きな後悔

作者:雨音瑛

●木製看板専門店
 夕暮れの雨が、窓を穿つ。不規則に、規則的に。
 店内に灯されたろうそくが、店主のため息で揺れる。
「個人のお店の木製看板だけをオーダーメイドでつくる店……さすがに専門的すぎたか……」
 店内の壁に立てかけた木の板には、架空の店の名前が彫られている。和風、アンティーク調、アメリカン、さまざまなデザインで。それだけさまざまな種類の依頼に応える、という意気込みなのだろう。
 不意にドアをノックする音で、店主ははっとして立ち上がる。しかし浮かべた笑みを一瞬で消し、申し訳なさそうにドアを開いた。
「すみません、今日はもう閉店で――って、もうずっと閉店になっちゃうんですけど……」
 店主の言葉に、ゲリュオンは穏やかな笑みを浮かべた。

●ヘリオンにて
「個人店舗の木製看板をオーダーメイドでつくる店に、第十の魔女・ゲリュオンが現れる」
 それは、シィ・ブラントネール(蒼天に坐すシャファク・e03575)の調査で判明したことだと、ウィズ・ホライズン(レプリカントのヘリオライダー・en0158)が続ける。
「これまでならば、ゲリュオンが被害者を鍵で突いて『後悔』を奪い、ドリームイーターを生み出してからでなければ介入できなかった。しかし今回はゲリュオンが店を訪れ、店長と出会ったところで介入できる。シィの調査のおかげだな」
 ここで第十の魔女・ゲリュオンを撃破できれば、彼女が引き起こしている事件を終わらせられるのだと、ウィズはうなずいた。
 戦闘となるのは、第十の魔女・ゲリュオンのみ。配下などは存在しないが、これまでゲリュオンが生み出してきたドリームイーターよりも戦闘力が高い。
「ゲリュオンは、足元にモザイクを絡める攻撃、『後悔』を求める心を炎に変えて敵軍に放つ攻撃、加護を打ち砕くモザイクを放つ攻撃を使い分けてくる。……とはいえ、ゲリュオンにとってはドリームイーターを生み出す前にケルベロスと遭遇するのは、想定外のことだろう。状況によっては、ゲリュオン逃走の可能性も否定できないため、それを阻む策が必要になるかもしれないな」
 また、店の周辺に人の気配はないが、店内には店主がいる。
「ゲリュオンとは店内での戦闘となるるため、店主を避難させる必要もあるだろう」
 その他、ゲリュオンと接触するタイミングが早ければゲリュオンが逃走してしまう可能性もあること、遅ければ店主の『後悔』を奪って新たなドリームイーターを生み出してしまうことを告げ、ウィズは説明を終えた。
「ここで第十の魔女・ゲリュオンを倒せば、二度とこのような事件が起きることはないのね……みんな、協力をお願い」
 シィはうなずき、ヘリポートに集ったケルベロスたちを見渡した。


参加者
結城・レオナルド(弱虫ヘラクレス・e00032)
リリア・カサブランカ(グロリオサの花嫁・e00241)
シィ・ブラントネール(遥か気高きペイジィグァン・e03575)
メロウ・グランデル(眼鏡店主ケルベロス美大生・e03824)
コマキ・シュヴァルツデーン(月と翡翠・e09233)
七種・徹也(玉鋼・e09487)
月詠・宝(サキュバスのウィッチドクター・e16953)
羽鳥・紺(まだ見ぬ世界にあこがれて・e19339)

■リプレイ

●邂逅
 木製看板専門店「ウッドサイン」。重厚な木製のドアを思い切り開け、七種・徹也(玉鋼・e09487)とメロウ・グランデル(眼鏡店主ケルベロス美大生・e03824)が素早く踏み込んだ。ライドキャリバー「たたら吹き」とシャーマンズゴースト「レトラ」も、メロウに続いて店内へと入り込む。
 さらに続くのは、結城・レオナルド(弱虫ヘラクレス・e00032)と、リリア・カサブランカ(グロリオサの花嫁・e00241)。
「そこまでです、第十の魔女・ゲリュオン!」
 リリアの声が、店内に響く。名を呼ばれ、頭部から牛の角を生やす女性――第十の魔女・ゲリュオンは、目を細めてケルベロスたちを見遣った。
「まあ、お客様ですか? ……この店、閉店には時期尚早だったということでしょうか……ふふ、残念ですね」
 くすくすと笑うゲリュオン。彼女と向かい会う店主の小山・暁は、状況が飲み込めていないのか、ぽかんとした様子でゲリュオンとケルベロスを交互に見ている。
 そんな暁の前に、レオナルドが壁になるように割って入る。直後、徹也が暁の手を引いた。
「店主の保護は任せろッ!」
 徹也は暁を促し、正面口から出てゆく。それと入れ替わりに、月詠・宝(サキュバスのウィッチドクター・e16953)をはじめとした後衛を担うメンバーが店へと入った。
 ケルベロスとサーヴァントは、それぞれ窓やドアの前へ。ゲリュオンを逃すまいと、退路を断つ布陣を展開した。コマキ・シュヴァルツデーン(月と翡翠・e09233)は、翼を広げて視覚的にも通行を困難に見せかけようとする。
「パッチワークの魔女――俺は後悔している」
 ゲリュオンの目と鼻の先で、レオナルドがつぶやくように言う。しかし自身の声の小ささに気付き、すぐさまトーンを上げようと、視線を上げた。
「あの日、お前達から逃げたことを。仲間を、姉さんを守れなかったことを。弱かった自分、戦えなかった自分をずっと悔やんできた」
 だけど、と、レオナルドは首を振った。
「その後悔は今日までだ。いくぞ、第十の魔女……この後悔はここで断ち切って見せる!」
 精一杯の啖呵を切るレオナルドに、ゲリュオンは柔らかな笑みをたたえて杖を水平に構えた。
「良いでしょう。魔女を侮ったこと、あなた達にはたっぷりと後悔して貰いましょう」
 ゲリュオンの眼前に、モザイクが現れる。それは前衛の前で飛散し、ケルベロスの足元を絡め取ろうと蠢いた。
 対して、リリアが放つのは眩い雷光。ゲリュオンの体が、雷撃に包まれる。
「それは此方の台詞よ。ケルベロスを侮ったこと、後悔して貰うわ。そう、あなたがお望みの『後悔』をね!」
「魔力と知恵を他人のために使う賢い女をこそ魔女という。貴女を魔女とは認めない……行くわよ、ゲリュオン! グロゥ・コル・アスリン・トゥヴァル、この身に纏いて紡ぎ結ぶ。いざ奏で響けや、極光の願い詩《Thuaidh=Solas》」
 リリアの言葉にうなずき、コマキが翼を広げた。角と髪が翠に輝き、一子相伝の呪歌を歌い上げる。
 音が止むが早いか、レオナルドの手にしたドラゴニックハンマーが加速した。
 宝も雷撃を加え――る前に白いのに声をかけ、一度だけ撫でた。
「今までの事件の黒幕だ、ここで抑えるぞ」
「ナノ!」
 と、白いのが良い返事をする。宝はライトニングロッドをかざし、ゲリュオンへと雷撃を重ねた。

●合流
「ついに魔女との決戦、ここが正念場ですね」
 羽鳥・紺(まだ見ぬ世界にあこがれて・e19339)。の言葉に、誰もがうなずく。
 どう見積もっても、魔女は強敵だ。ならば、他のことを考えていては足元を掬われかねないと、紺は判断する。店主は徹也を信じて任せ、自身は魔女を倒すことだけを。
 ゲリュオンを貫かんと、紺の手にしたゲシュタルトグレイブが稲妻を帯びる。ゲリュオンに肉薄し、腰だめに構えた槍を突き入れる。
 それでも微笑みを崩さないゲリュオンは、一筋縄ではいかない相手なのだろう。
 シィ・ブラントネール(遥か気高きペイジィグァン・e03575)は、サーヴァントとファミリアそれぞれを見た。
「魔女との決戦、頼りにしてるわよ、レトラ、エト!」
 気合いは十分のオラトリオは、時空の調停者の力を遺憾なく発揮する。
「贈り物よ、受け取ってくれるかしら?」
 空間を連結する、遠隔攻撃の術。背後からの攻撃にも怯まない魔女に、レトラが非物質化した爪で斬りつける。
 白いのに癒されたメロウもまた、眼鏡を光らせて攻撃の一手を。
「――その技、ちょっとお借りしますね」
 ゲリュオンに受けたモザイクの技。それを再現するかのように、モザイクのようなものをゲリュオンの足元へと撃ち込んだ。
「模倣技、ですか。器用な技を使うケルベロスもいるのですね、驚きました」
 ゲリュオンの、芝居じみた口調。ダメージは与えられているが、まだまだ余裕のようだ。
 ウイングキャット「リム」がゲリュオンの懐に飛び込み、引っ掻こうと爪を出す。が、ゲリュオンは杖をかざして回避した。
 店内のフローリングが軋む音を上げる。そこに、竜砲弾が撃ち込まれた。
 開いたドアから外の光が、そしてドラゴニックハンマーを構えたシルエットが差し込む。
「待たせたなッ!」
 そう叫んで戦列に加わるのは、徹也。いつの間にか左腕のプロテクターが外れ、地獄の炎が揺れている。
 主の帰還を喜ぶように、たたら吹きが炎をまとってゲリュオンへと突撃した。
 片足を軸に、ゲリュオンがひらりと炎を避ける。そのまま舞うように杖をひとふり、モザイクの塊を生み出す。
「全員揃おうと……無駄、ですよ」
 レオナルドに向かうモザイク。を、受けたのはレトラであった。加護をも打ち砕くモザイク、そのあまりの威力にレトラが消滅する。執事のように礼をして消え去るレトラ、その場所にシィが腕を伸ばす。
「レトラ!」
 戦闘が終わって時間が経てば、サーヴァントは復活する。伸ばした手を握りしめ、シィはゲリュオンを睨んだ。嘆いている場合ではない。今は、魔女の撃破を第一に、と。
 リリアはシィを気遣うように見た後、惨殺ナイフ「El Diablo」から弾丸を精製する。撃ち出してゲリュオンを貫けば、レオナルドのオーラの弾丸も喰らいつく。
 たたら吹きがエンジンを唸らせてゲリュオンにスピンを見舞う一方、白いのは必至に前衛の負傷状況を確認してヒールを施す。
 ゲリュオンを締め上げるのは、宝とコマキの鎖。
「それにしても……その名前、堕ちた女神の息子のそのまた息子、殿方の名前でしょう? 貴女の親御は何を思って名付けたのかしら?」
 問いには答えず、ゲリュオンは目を細めて微笑むだけであった。

●一進一退
 ゲリュオンの回避率は高く、また攻撃の命中率も高い。だが、何度か当てた攻撃の効果で、ようやく攻撃が安定して当たるようになってきた。
 戦闘のさなか、メロウはひとつの眼鏡を取り出す。少しばかり時代を先取りしすぎたがためにまったく売れず、在庫を圧迫している眼鏡――『近眼の鷲』特別オリジナルメガネ、その名も『大回転ドリルメガネ』だ。レンズ部分から突き出す二つのドリルは、店内の照明を受けて輝いている。
「かわいいでしょう? この子らのおかげで私の店は常時3分の1が死んでいます」
 その眼鏡を頭に装着してダブルメガネになりながら、メロウはドラゴニックハンマーを振りかぶった。
「チョコは賞味期限があるからいいんです。切れたら捨てる踏ん切りがつきます。でも、メガネは腐らないんです。モノは腐らず店を腐らせていくんです……存在するだけで!」
 メロウは叫んだ。対して、ゲリュオンの反応は冷たく。
「そうですか」
「そうですかとはなんですか! 私の後悔には興味がないと!? ええい、リム、やっちゃいなさい!」
 リムの尻尾からリングが外れ、ゲリュオン目がけて飛んでゆく。憤慨するメロウとて、盾役としていくつもの傷を負っている。同じく盾役を担う徹也も然り。
 徹也は左手を地面に着き、地獄の炎を辺りに広げた。
「欲張りで良い。この左腕は誰かを守る為に―――ッ!!」
 炎は前衛の仲間へと広がり、傷を癒してゆく。立ち上がった徹也は、魔女へと呼びかける。
「俺はデウスエクスの襲撃でかみさんを失った。もしその時の俺に力があれば、守れたかもしれねェ……後悔はいくらしても足りねェな」
 亡くした妻『菫』と、離れて暮らす娘の顔が、徹也の脳裏をよぎる。徹也は炎の指先を握り、微笑をたたえる魔女を見遣った。
 後衛の回復をするのは、コマキ。ブラッドスターを歌い上げ、癒えてゆく仲間の傷をちらりと見た。
「守りと癒しこそ魔女の本領、これが私のウィッチクラフトよ」
 コマキの横で、宝がサキュバスミストで自身を、白いのがバリアで徹也を癒す。そう、白いのも癒やし手なのだ。
「頼りにしてるわよ、小さなメディックさん」
「ナノナノ!」
 コマキが白いのと視線を交わし、うなずいた。
 たたら吹きのスピンが、今度は確かにゲリュオンを轢く。表情ひとつ変えないゲリュオンに、紺は怯みそうになる。だが、と大切な人からの贈り物である首飾り「Wish you all the best」に触れる。
 紺はうなずき、黒い影をゲリュオンの足元に発生させた。
「迂闊に踏み込んだ報いを受けなさい、私の世界は甘くないです」
 絡みつく蔦のような影が、ゲリュオンから体力を奪う。また、シィはファミリアロッド「Etoile filante」から、魔法の矢を射出した。
「暴虐の幻狼だったかしら? 12人揃っても狼一頭抑え切れなかった癖にたった一人で大丈夫?」
 シィは問いかける。矢がゲリュオンに、床に突き刺さるのを見ながら。
「そういえばアナタはギュバラギュバラ言わないのね?」
 挑発の言葉に、ゲリュオンは無反応だ。杖を体の前でくるりと回し、またもやモザイクを生み出す。
 ゲリュオンのまばたきひとつ、モザイクは前衛のケルベロスたちに襲いかかる。
「させるかッ!」
 徹也は、レオナルドの前に出た。おかげで、レオナルドは無傷だ。しかし前衛を狙った攻撃を庇ったことで、徹也の受けたダメージは2倍。そして、たたら吹きも過剰なダメージを受け、消え去る。
「俺たちはここまで、か……お前はしっかりやれ、よ……」
 膝を突き、そのまま倒れる徹也を、ゲリュオンは冷ややかに見つめる。
「随分と馬鹿なことをするんですね。庇わなければ、まだ戦えたのかもしれないというのに」
「あなたにはわからない。『後悔』も、それ以外の思いも」
 リリアはライトニングロッドを握り直し、雷撃を放った。
「絶対に、絶対に、ここで……!」
 レオナルドが咆吼を上げ、ゲリュオンへと如意棒を叩き込んだ。

●その胸の後悔は
 灯された炎を白いのに癒され、宝はゲリュオンと視線を合わせた。
「しっかり見てろよ……」
 とたん、ゲリュオンの視界が歪んでゆく。その隙に、宝はゲリュオンの背後へと回りこんだ。叩き込んだ一撃に、ゲリュオンはよろめく。
 紺の足取りも危うい。痛みでふらつきそうになるのをこらえ、紺は一瞬で弾丸を放った。
「最後まで……諦めません」
 体温と同じ温度になった首飾りに、紺はもう一度触れる。
 自身の攻撃や仲間の攻撃が命中するたび、シィはゲリュオンの反応をうかがっていた。しかし、どれかの攻撃に特に傷が深い、といったような反応は見えない。どの攻撃を受け手も余裕の笑みをたたえたままだ。
 リボルバー銃「Balle d'argent」で、シィは店内のスチール机に向かって銀弾を撃ち出した。跳弾はゲリュオンの腕を貫く。少しだけ驚いた表情を見せるゲリュオンを正面に、メロウはオーラの弾丸を生成した。
「回るんですよ、ドリルがちゃんと。穴も掘れるし」
 ゲリュオンは、弾丸を回避しきれない。
「なんで売れなかったんですかあ!」
 命中。ドリルメガネの無念を、メロウは悲痛な叫びに変えたのであった。
 リムがゲリュオンの足に爪痕を残し、コマキはルーンアックスを手に破壊のルーンを描いてシィを癒す。
「思ったよりはやるのですね……でも」
 ゲリュオンが放つは、炎。求める後悔に焦がれる心が、後衛を包み込む。炎の熱に、白いのが消滅する。宝は歯噛みし、ゲリュオンをにらみ付けた。痛みなど、もう感じない。ただ目の前の魔女を、消し去るだけだ。
 リリアがEl Diabloの刃を変化させ、ゲリュオンを一閃する。
「レオナルドさん、続いてください!」
 リリアに呼びかけられ、レオナルドはびくりとする。
 ゲリュオンとの戦いに、レオナルドは終始恐怖を覚えていた。
「でも、もう後悔はしたくない……だから、俺に勇気を! もう誰も、失わない為に!」
 地獄化した心臓から、うるさいほどの鼓動が聞こえる。レオナルドは胸を叩き、居合いの構えを見せた。
「心静かに――恐怖よ、今だけは静まれ!」
 高速の斬撃は一度だけではなく、何度も、何度も。レオナルドの心臓の炎から発生した陽炎で、ゲリュオンは斬撃に気付かない。
「……あら?」
 気付いた時には、既に手遅れだ。ゲリュオンは、緩やかにくずおれた。
「……ええ、悔いは無いです。……まして、後悔など私は知りません」
 その言葉を最後にゲリュオンの体はモザイク状になり、跡形もなく消え去った。
 これで、『後悔』に嘆く店主を襲うドリームイーターの事件は二度と起きないだろう。
 勝利の余韻に浸るには、早い。店内はひどく損傷しているのだ。それに、店主の安否確認も済んでいない。
 徹也のヒールを終えたリリアは自身の傷をそのままに、店主の様子を確認しようと店を出て行く。
 その間に、宝が店内にヒールを施してゆく。砕けた看板サンプルや壁、フローリングが、幻想を帯びながら修復される。
 ヒールを終えたところで、店主を連れたリリアが戻ってきた。
 店内には、まだ木材の破片など転がっている。
「片付けだったら心配しないで。わたし、お掃除だって得意なのよ!」
 店主を励ますように微笑みかけ、リリアが箒で木片を掃いてゆく。
 ひととおり片付けが終わったところで、店主はケルベロスたちに頭を下げた。しかし、店主の表情はまだ暗いままだ。
「お気を落とさないで。開店したばかりの喫茶店に、一つ看板をお願いできるかしら?」
「俺にも、店の看板を頼みたい」
 コマキに続いて、宝も軽く手を挙げて店主へと告げる。
「そうね、木材は……オリーブはあるかしら?」
 コマキの言葉に、店主は材料の置いてあるバックヤードへと案内する。
「これで多くの店主たちの夢を利用した魔女のお話はおしまいね。願わくば……これまでの店主たちの後悔がいつの日か希望になりますように」
 活気を取り戻しつつある店主を横目に、リリアはそっと呟いた。まるで、物語のハッピーエンドを祈るように。

作者:雨音瑛 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年9月11日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 7/キャラが大事にされていた 1
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