(「みんな、楽しそうだなぁ……」)
夕刻の住宅街。秋の日は釣瓶落とし、という諺が示すように、町並みは夕闇に包まれている。しかし、だからといって灯りがない訳ではない。カボチャをくり抜いたランタン、様々な色を放つイルミネーションライト、燭台に灯された蝋燭。その周りにはシーツで作られたお化けやコミカルな骸骨が飾られ、来るハロウィンに向けての準備が進められていた。
そんな煌びやかな光景を家の中から眺めながら、小柄な少女は羨ましそうに溜息を漏らしていた。少女は友達が少なかった。だが、かといって人が嫌いな訳ではない。内気で話し下手な為に作れなかったのである。そんな自分を変えようと、このハロウィンやその準備に参加してみたいのだが。
(「知らない人に話しかけるのは……やっぱり怖いな」)
イベントでフレンドリーな空気があるとは言え、人の数が数だ。少女は内気さから気後れしてしまい、窓越しでそれを見つめる事しかできなかった。
「でも、やっぱり楽しみたいな……」
そうしてもじもじしていると、少女の背後に赤い頭巾を被った人影が音もなく現れた。気配を感じて少女が振り返った、瞬間。
「え……?」
とん、と鍵の先端が少女を貫いた。驚く間もなく少女は意識を失うと、床へと倒れ込んだ。怪我も傷もないが、意識を取り戻す様子はない。
「ハロウィンパーティーに参加したい……ですか。その夢、かなえてあげましょう。世界で一番楽しいパーティーに参加して、その心の欠損を埋めるのです」
赤い頭巾の女の子、否、ドリームイーターの言葉に呼応し、少女の側に新たなドリームイーターが現れた。恥ずかしがり屋な気質を反映してか、お化けシーツに身を包んでいる。目に当たる場所からは、内部のモザイクが見て取れた。
そうして生まれたハロウィンドリームイーターは、音もなくその場から消え去るのであった。
●
「皆さん、集まって頂き有り難う御座います。実は藤咲・うるる(サニーガール・e00086)さんの調査により、日本各地でドリームイーターが暗躍している事が確認されました」
集まったケルベロス達へ、セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)は開口一番そう切り出した。
「出現しているドリームイーターは、ハロウィンのお祭りに対して劣等感を持っていた人から生み出されており、ハロウィンパーティーの当日に一斉に動き出すようです」
ハロウィンドリームイーターが現れるのは、世界で最も盛り上がるハロウィンパーティー会場、つまり、鎌倉のハロウィンパーティーの会場だ。多くの人々が集まる場所にデウスエクスが出現してしまえば、パーティーは大混乱に陥るだろう。
「そこで皆さんには、実際のハロウィンパーティーが開始する直前までに、ハロウィンドリームイーターを撃破して欲しいのです」
ハロウィンドリームイーターは、ハロウィンパーティーが始まると同時に出現する。そのため、鎌倉でハロウィンパーティーが始まる時間よりも早く、ケルベロス達があたかもハロウィンパーティーが始まったように楽しそうに振るまえば、それにつられたハロウィンドリームイーターを誘き出すことが出来るだろう。
「ハロウィンドリームイーターは、白いシーツを被ったお化けの格好をしています。手には鍵を持っており、それを武器に攻撃を仕掛けてきますね」
心を抉り取る鍵、悪夢を飛ばし精神を侵食、相手の欲望を食らう技などが主な攻撃手段となる。
「今回のハロウィンパーティーは、鎌倉復興の象徴となるでしょう。それ故に、惨劇を起こす訳にはいきません」
どうか、宜しくお願いします。そう話を締め括ると、ケルベロス達を送り出すのであった。
参加者 | |
---|---|
アジサイ・フォルドレイズ(絶望請負人・e02470) |
千手・明子(天上天下わたくしがあきらちゃ・e02471) |
槙野・清登(惰眠ライダー・e03074) |
文岩・小麻呂(ウェアライダーの降魔拳士・e03225) |
ペーター・ボールド(燃え盛る禿頭・e03938) |
卯月・結奈(地球人の刀剣士・e04387) |
八神・楓(氷結にて終焉を送る者・e10139) |
チューマ・ウチョマージ(荒野の鉄火・e11970) |
●陽気な空気に誘われて
ハロウィン当日の鎌倉市。町のあちこちに装飾が施され、多くの人々がイベントを楽しむ……その少し前。イベントに襲撃を掛けてくるドリームイーターを誘き出すべく、ケルベロス達は少し早く会場入りしていた。さて、そんな集まったケルベロス達が一体何を始めていたかというと……。
「いやぁ、ハンカチ落としなんて何十年ぶりかな。やけに楽しみだな」
「こういうのもたまには良いですよね」
芝生の上に内向きで車座になり、ハンカチ落としに興じていた。よれたスーツにステッキ、そして付けひげを付けたチャップリンスタイルのチューマ・ウチョマージ(荒野の鉄火・e11970)は、オルトロスとおそろいの魔女ルックに身を包んだ卯月・結奈(地球人の刀剣士・e04387)とそっと笑い合う。楽しそうな雰囲気を出すにはと考えた結果、八人はこうしてわいわい遊ぶ事を選んだのである。
「さって、それじゃ最初の鬼は俺かね? 鬼が誰かの背中側にハンカチを落として、それに気付いたら鬼を追いかける。一周する間に追いつけば鬼の負け、自分の場所に座られたら鬼を交代……だっけか?」
「さらに、鬼になった奴には罰ゲーム、って訳だ。一発芸でも何でも、面白ければオッケーだぜ!」
指折りルールを確認しながら、吸血鬼の格好をした八神・楓(氷結にて終焉を送る者・e10139)に、カボチャの被り物をしたペーター・ボールド(燃え盛る禿頭・e03938)がサムズアップで応える。地獄化した頭髪がカボチャの中でめらめらと輝く様はそれだけで凄まじくシュールであった。
「よし、それじゃ……行くぜ?」
そう言って、仲間達の後ろをそろそろと歩き始める楓。ハンカチを落とされた事にすら気付かず一周されるのもアウトなので、決して気は抜けないのだが。
「……それ、面白い仮装ですわね? 頭は大丈夫ですの、物理的に」
カボチャをモチーフにしたミニドレスに身を包んだ千手・明子(天上天下わたくしがあきらちゃ・e02471)は、そんな中積極的に周囲へと話しかけ、集中力を削ぎに行く。手を抜かずに全力、それが遊びを楽しむ秘訣なのだ。
「リアリティを追求したらこうなった。下手にすれば安っぽくなって……むっ!?」
その標的となっていたアジサイ・フォルドレイズ(絶望請負人・e02470)も満更では無さそうに、普段の甲冑姿に加えて頭を貫通している矢について説明していた……その時、ぱさりという微かな音を聞き取った。
「むっ、しまった!」
「おおっと、遅い遅い!」
慌てて立ち上がるが、既に楓は駆け出している。アジサイも懸命に追いかけたものの、その差は決定的であり……数秒後、鬼の交代が確定した。
「さぁ、罰ゲームは何にする? 特製ドリンクなんかオススメだぞ」
「ううむ、それも魅力的だが、まずは特技でも披露しようか」
メイドコスの槙野・清登(惰眠ライダー・e03074)が胸元から取り出す栄養ドリンクを丁寧に辞しつつ、アジサイは輪の中へと踏み出す。傍らでは清登のライドキャリバーがヘッドセットを引っかけながら、キャリキャリとタイヤを回していた。
「それでは……」
そうして彼は木の板やバットを取り出すと、おもむろに頭を振りかぶってそれらをパカパカ割り始めた。その頑丈さに驚く一同を前にして。
「どうだ、頑丈だろう? ……ま、矢が刺さってるんだが」
「ええい矢かましいっ!」
の一言と明子のツッコミで落ちをつけ、仲間達を笑わせるのであった。その後もゲームは進み、それと同時に次々と罰ゲームも行われてゆく。
「俺は一発芸をやるぜ……朝日!」
「ハロウィンメイド☆マジカルすみこ、歌います!」
「物まねやります……携帯CMのお父さん」
ペーターが地獄化を解いたスキンヘットに灯りを照らして笑いを誘ったり、清登が自作のテーマ曲を80年代アイドル風に歌って盛り上げ、獣人姿の文岩・小麻呂(ウェアライダーの降魔拳士・e03225)は一世を風靡した銀行のチワワや白いお父さん犬の物まねをして場を和ませる。
「デンデデデ、デッデーデ、デッデーデ、デッデ!」
「ちっとばっかし囓った程度だが……マジックなんてどうだい?」
懐かしのメロディを口ずさみつつオレンジ刺しに失敗したチューマが、清登の胸元から取り出された特製ドリンク(スパイス大増量カレー)を一気飲みして悶絶したり、楓は指先で燃やした紙幣を新品状態に巻き戻してみたり等のパフォーマンスを披露し。
「わたくしのこの美貌こそ芸のようなもの! 写真の準備はよろしくて!?」
「あきこちゃん目線下さい!」
自慢の髪を掻き上げポーズを取った明子を、清登や仲間達が猛烈に激写して赤面させたり等、ゲームは非常に和気藹々と進んでいった。
「ふぅ……中々熱中してしまったな。そろそろ件のドリームイーターが現れても良さそうなのだが」
「そ、そうですね……って、あれ、もしかして」
ゲームの合間を縫って、結奈が罰ゲームとして踊りながら配った御菓子や御茶を囓る面々。持参したジャーキーを噛みながらそう呟く小麻呂の肩を、恥ずかしがっていた結奈がそっと叩いた。仲間達が彼女の指さす方向を見やると、会場の飾り付けの影から、そっとお化けシーツが此方を覗いているのが見えた。その目元からは、ドリームイーターの証たるモザイクが。
「……何時から居たのかしらね、あの子」
「まぁ、元の女の子が恥ずかしがり屋らしいし、ってこっちに来るぜ!?」
苦笑する明子の横で、ペーターが警告の声を発する。見つかったと分かった途端、ドリームイーターが鍵を片手にケルベロス達へ突進してきたのだ。瞬時に臨戦態勢を整えるケルベロス達。
斯くして、ハロウィンパーティーの前哨戦がここに幕を上げるのであった。
●絢爛豪華な怪奇宴
「いじらしいな……故に許せん。奴ら、人の劣等感をなんだと思ってやがる。顕現させ、人目に触れさせるだけに飽き足らず、害を成すよう仕向けるなど」
突進してくるドリームイーターへ真っ先に反応したのはアジサイ。抱き竦めるように両腕を振るうや、巨龍の顎の如くシーツに包まれた身体を切り裂くと同時にその足を止めさせる。
「だからこそ、パーティーが始まるまでに終わらせてやろうぜ。でなきゃ、そもそも参加出来ないから、なっ!」
「ハロウィンを寝て過ごすなんて、それこそ寂しいしな!」
その隙に、楓が黄金の頭上高く投擲、その輝きで味方を強化し迎撃体制を整える。一方、清登もキャリバーを突撃させつつ、お化けシーツを内側から爆破させた。
ーーオオォ……。
だがお化けシーツは攻撃に乗じて内部よりモザイクを飛ばした。それは明子の全身をすっぽりと包み込む。
「っ、これは幻これは幻……!」
敵味方の姿へ被さるように、ゾンビが視界をちらつき始める。恐怖を押さえて二振りの刀を振るうも、鈍った太刀筋は容易く避けられてしまった。返す刀で鍵を振るうお化けシーツに対し。
「おっと、そんな事より、俺のイカスヘアーを見て行けよ……地獄ヘアー七変化劇場!」
割り込んだペーターがそれを受け止めた。そのまま相手の目の前へ頭をずずっと突き出すと、カボチャの内部で地獄と化した毛髪がモヒカンやリーゼント等に次々変化、相手を釘付けにしてゆく。
「つられて来てくれた所悪いが、まだ開始時間じゃあないし、本来の君でもない。そうして動けないまま退散して貰おう」
更に、小麻呂はケルベロスチェインを伸ばすと、シーツをグルグル巻きに束縛していった。ジタバタと足掻くが、解ける様子もない。そうして動けなくなったところへと結奈が斬りかかった。
「内気な気持ちは分かります。だからこそ、本人が来なきゃ意味がないんです!」
空気を切り裂き放たれる双刃がシーツを散らし、ドリームイーターの受けてきた傷を更に広げてゆく。動きの取れぬお化けシーツだが、空いた穴よりモザイクを溢れ出させ口を形成、結奈へと襲いかかるや霊斬刀へがっちりと食らいつく。
「っ、武器が……!?」
「待っていろ、拘束ごと撃ち抜く!」
そのまま一息に結奈を飲み込もうとするお化けシーツを、後方よりチューマが狙い撃つ。胴体に固定された砲台が一斉に火を吹き、モザイクを弾き飛ばした。ごろごろと地面を転がったお化けシーツだが、痛苦を感じさせぬ動きで立ち上がる。
ーーオ、ォオ。
緻密な連携を取るケルベロス達を前に、ドリームイーターは何処か羨ましげな色を滲ませながら、囁きを漏らすのであった。
●夕暮れ時の閉幕
戦闘も徐々に佳境を迎えると同時に、陽もゆっくりと沈み夕闇が降り始める。各所に灯された蝋燭に照らされながら、お化けシーツはゆらゆらと身体を揺らし、刃を交えていた。
「内気だろうが恥ずかしがり屋だろうがやはりデウスエクス、しぶといねぇ。日が暮れ始めちまったな」
お化けシーツは一度に複数の相手を攻撃する技を持っておらず、攻撃されても回復は比較的容易だった。故に楓も、鍵を振って次々と打ち出されるモザイクを避けつつ、縛霊手の掌より巨大な光弾を放って攻撃に参加出来ている。しかしその分、相手の耐久力は高い。
「ふむ、ならばここで一つ、大技を見舞った方が良いだろう……超銃! 合身! 超銃器神! ガンッ! グリッ! オォォォォン!」
攻撃の余波でふわりと舞い上がったお化けシーツへ、チューマは必殺の一撃を叩き込まんとする。彼の叫びに呼応し虚空より『超銃ガングリフォン』が呼び出され、チューマと合体した。
「バッドドリーム・クラッシュ!」
裂帛の気合いと共に、最大火力で放たれた銃弾は狙い違わずお化けシーツへと命中、風穴を開けながら地面へと叩きとす。
ーーオオォオ。
しかしお化けシーツも落下しながら身体を捻り、頭上よりペーターを強襲、頭頂部へ深々と鍵を突き刺した。
「お、おおっ!? やめろ、髪を毟るんじゃねぇっ!?」
「ああ、地獄化した髪が酷い事に! 頼む、時間を稼いでくれ!」
トラウマに襲われたペーターを治すべく、清登は自由を表すオーラで包み込み、荒れた精神を癒してゆく。その間、二機のライドキャリバーがお化けシーツの周囲を縦横無尽に走り回り、その横槍を防ぎ続けた。
「うう、酷い目に遭ったぜ……俺の自慢の地獄ヘアーが乱れちまった」
「その気持ち、よく分かりますわ。私も、先程の分と合わせて返礼させて頂きます、覚悟は宜しくて?」
トラウマを振り払ったペーターの肩を叩きながら、同じように催眠から目覚めた明子が得物を手にお化けシーツへと向かう。双刀へ莫大なグラビティを込めて振るわれた一撃は、今度こそ相手を捉えた。更には間髪入れずに放たれたペーターの蹴撃により、忽ちお化けシーツの全身が炎上する。
「これではまるでキャンドルのようだな。同情するが、手加減はせんぞ!」
身体を振って炎を消そうとするお化けシーツの姿に気の毒さを感じながらも、アジサイは大振りな斧を手に肉薄する。対して、相手も炎の中からモザイクを出して食らいつかんとする。交差は一瞬。アジサイは腕を噛まれながらも、強引にモザイクを断ち切っていた。
ーーォ、ア……。
これまでケルベロス達の攻撃を耐えていたものの、そろそろドリームイーターも限界に近づいてきているらしかった。動きの鈍った様子を見ながら、結奈は決着を着けるべく太刀を構える。
「元になった子がきちんとハロウィンに参加できるために、ここで終わらせます。行こう、フラム……桜花滅雷斬!」
刀身へ雷を纏わせながら、結奈は電光石火の速さで両の刃を振るい、その動きに剣をくわえたオルトロスが追従する。三つの刃は相手の急所へと吸い込まれ、ドリームイーターの体力を尽く奪い去るが。
ーーア、ォアア……!
それでも最後の力を使って、手にした鍵を突き出さんとした……寸前。
「もう眠れ。今の所はさようなら、だ」
極限まで全身を獣化させた小麻呂が、刹那の差で先手を取っていた。鍵先を払いのけ、強化された身体能力で猛烈な追撃を叩き込んでゆく。
「この後の本物のパーティーに本当のお前さんがやって来るならば。仮装していようがいまいが……俺達は歓迎するよ」
完膚無きまでに打ちのめされたドリームイーター。それはプルプルと小刻みに身体を震わせると……。
ーーポンッ!
という音と共に、一回り小さくなって地面へと落ちる。見るとそれはデウスエクスではなく、本物の飾り付け用お化けシーツへと変化しているのであった。
●開幕、ハロウィンパーティー!
「……どうなってんのかね、こいつは。残ったり消えたりってのは良く聞くけれども。何かやったのか?」
「い、いや。心当たりはないが……うん、何の変哲もない飾り付けだな」
戦闘後、地面に落ちたお化けシーツを楓と小麻呂はしげしげと眺めていた。それは探せばどこでも見つかるような、ありふれた吊り下げ式のお化けシーツである。
「まぁ、ハロウィンに参加したがりなドリームイーターだったのですし、そういう事もあるということでよろしいんじゃなくて?」
悪戯っぽく微笑みながら、明子はそっとお化けシーツを手に取ると、会場の一部へそっと飾り付けた。風に吹かれて、ひらひらとシーツの裾がはためく。
「ある意味、これもこれでパーティーへの参加なのかな。これと同じように、元になった子も参加してくれればいいのだが」
「なに、本人でないとは言え、共に遊んだようなものだ。ならばもう友達同然、だろう?」
他の飾り付けと同じように、会場の風景へと溶け込んだお化けシーツを見つめ、どこか安堵したような表情を浮かべる清登とアジサイ。そんな二人の後ろから、ペーターが腕を回して肩を組む。
「そうそう。ハロウィンってのは『みんな』で楽しむもんだからな! その子が入りやすいように、俺たちが盛り上げようぜ!」
鎌倉の町並みに視線を向けると、それまでぼんやりとしていた灯りが、徐々にくっきりと輝き始めるのが見えた。それと同時に、少しずつ人影も増え始める。思い思いの仮装を行い、菓子を手に笑い合う人々が。
「元になった子の身元は知りようがないから、迎えには行けませんけど……あの中の何処かに居るのでしょうか?」
「なぁに、きっと来ているさ……」
心配げな結奈の言葉に、ニカッと朗らかな笑みを浮かべるチューマ。あの少女が本当に会場へ来ているのか、それを確かめる術はない。しかし、此処には誰でも分け隔て無く受け入れる雰囲気が確かに満ちていた。内気な少女でも参加したくなる程の、陽気な空気が。
斯くして、ケルベロス達によって悲劇は未然に防がれ、そして。
華々しいハロウィンの夜が幕開くのであった。
作者:月見月 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2015年10月31日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 7
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