鎌倉ハロウィンパーティー~飴色フィエスタ

作者:小鳥遊彩羽

 ハロウィンの日を目前に控え、街は華やかに彩られていた。
 見渡せば、どこもかしこも鮮やかな色で溢れ、人々の心も沸き立っている。
 当日はどんな風に過ごそうか――恋人と、あるいは友人たちと、尽きぬ話の種をいくつも咲かせ、互いに笑い合う人々。
(「……でも、あたしには」)
 一緒に楽しんでくれる恋人も、友達もいない。
 ハロウィンを楽しみにする人々の様子を、遠くからただ眺めることしか出来ない。
 そんな一人の少女の心臓を、一本の『鍵』が貫いた。
「――ハロウィンパーティーに参加したい……ですか。その夢、叶えてあげましょう」
 崩れ落ちた少女を見つめるのは、赤い頭巾を被ったもう一人の少女。
 鍵は確かに心臓を穿ったにもかかわらず、倒れた少女の身体には傷一つついていなかった。
「世界で一番楽しいパーティーに参加して、その心の欠損を埋めるのです」
 ――そして、新たなドリームイーターが誕生する。
 紫とオレンジを基調とした、いわゆる魔法使いの少女のような服に身を包んだそのドリームイーターは、全身を彩るモザイクをちらつかせながら、どこへともなく姿を消した。

●飴色フィエスタ
「大変です! 日本各地でドリームイーターが動き出そうとしているみたいなんです!」
 笹島・ねむ(ウェアライダーのヘリオライダー・en0003)が、集まったケルベロスたちへとそう切り出す。
 それは、ハロウィンのお祭りに対して劣等感を持っていた人々の夢が歪んだ形で生み出されたもの。
 藤咲・うるる(サニーガール・e00086)の調査により、ハロウィンパーティーの当日に、これらのドリームイーターが一斉に動き出すらしいということが判明した。
 ハロウィンドリームイーターが現れるのは、世界で最も盛り上がるハロウィンパーティー会場――つまり、鎌倉のハロウィンパーティーの会場である。
「なので、ハロウィンパーティーの本番が始まる直前までに、このハロウィンドリームイーターをみんなの力で倒して欲しいんです!」
 ハロウィンドリームイーターはツインテールの少女の姿で、全身がモザイクで出来ている。服装は、一見すると魔法使い、あるいは魔女のような格好だろうか。紫とオレンジを基調とした――いわゆるハロウィンらしい色合いのふりふりしたワンピースにとんがり帽子を被り、さらにアクセサリーのように色とりどりのキャンディを髪や腕、胸元などに飾り付けているのだという。
「このドリームイーターは、ハロウィンパーティーが始まると同時に現れます。ハロウィンの賑やかで楽しそうな雰囲気につられるみたいです」
 そのため、ハロウィンパーティーが始まる時間よりも早く、あたかもハロウィンパーティーが始まったかのように楽しそうに振るまえば、ハロウィンドリームイーターを誘き出すことが出来るだろうとねむは続けた。
「ちょうど、会場から少し離れた場所に小さな公園があります。ですので、そこでみんなでパーティーとかしてみてもいいかもしれないですね」
 例えば仮装をしたり、ハロウィンらしいお菓子を持ち寄ってみたりなど、やり方は色々あるだろう。
「ハロウィンパーティーをみんなでめいっぱい楽しむためにも、ドリームイーターをやっつけてきちゃってください! よろしくお願いします!」
 ねむはそう締め括り、笑顔でケルベロスたちを送り出した。


参加者
コッペリア・オートマタ(アンティークドール・e00616)
シグリッド・エクレフ(虹見る小鳥・e02274)
ラピス・ウィンドフィールド(天蓋の綺羅星・e03720)
ココ・プラム(春告草・e03748)
アルルカン・ハーレクイン(道化騎士・e07000)
黒木・市邨(蔓に歯俥・e13181)
ランジ・シャト(舞い爆ぜる瞬炎・e15793)
エルフリード・ファッシュ(シャドウエルフのガンスリンガー・e16840)

■リプレイ

 ケルベロスハロウィンの本会場から少し離れた、とある公園。
 集まったケルベロスたちは思い思いの仮装をし、菓子や飲み物を携え、もう一つのパーティーの準備に勤しんでいた。
「わぁ、皆さん、衣装が凝ってる♪ 可愛かったり、かっこよかったり……工夫されて素敵っ!」
 色画用紙で作った南瓜やコウモリを樹々や遊具にぺたぺたと貼り付ける、そんな作業の傍らで皆の姿に目を輝かせるラピス・ウィンドフィールド(天蓋の綺羅星・e03720)の仮装は、銀髪がよく映える白い振袖姿の雪女。
 さりげなく飾られた南瓜のバッジは、皆で決めたアクセントである。
 今にもお化けが出てきそうなハロウィンらしいBGMは、スピーカーと繋がっているスマートフォンが奏でているもの。
「さあ、ドリームイーターの気を引けるように、楽しいパーティにしませんとね!」
 ふわりと翻るエプロンドレス。そしてカチューシャにストラップシューズ。お伽噺の少女に扮したシグリッド・エクレフ(虹見る小鳥・e02274)は、公園の入り口近くに設けたテーブルに黒のストライプが入った鮮やかなオレンジ色のクロスをかけると、重石代わりにジャック・オ・ランタンを中央に据えて、灯りを入れた。
 置かれたトレイには、骸骨やコウモリ型のクッキーや小さなパンプキンパイなどがたくさん並べられる。アクセント代わりの南瓜のバスケットには、色とりどりの飴玉やチョコをたっぷりと詰め込んで。
「たのしいがいっぱいで、わくわくするね、松!」
 華やかに彩られてゆく公園内を見回し、準備の合間に一息ついたココ・プラム(春告草・e03748)は相棒のミミック、松乃進に笑いかける。
 黒を基調としたゴシックワンピースに黒マント、目には赤色のコンタクトレンズを入れ、お菓子をたくさん詰め込んだ南瓜のポシェットを斜め掛け。絵本で見てきたドラキュラさんをイメージしたらしいココの姿はさしずめ、愛らしいお子様吸血鬼ガールと言ったところだろう。松乃進も黒いねじれたツノをつけ、何とも勇ましい風貌だ。
(「ちょっと勇気を出せばこんな時に独りぼっち、なんてことにはならないのに……」)
 胸中でそう独りごちながらも、こういう時のお楽しみと言わんばかりにシグリッドが整えたテーブルの上からクッキーを一つ攫って、ハロウィンカラーの海賊船長に扮したランジ・シャト(舞い爆ぜる瞬炎・e15793)は鼻歌交じりに植木や遊具に南瓜やコウモリの飾りを施しにゆく。
「まっ、アタシたちはアタシたちで思う存分楽しまなきゃね!」 
 摘んだクッキーの代わりに、チョコで南瓜の目と口が描かれた、一口サイズのシュークリームを並べて。
 コッペリア・オートマタ(アンティークドール・e00616)は黒の三角帽子を被った小さな魔女に扮し、会場内を楽しそうに飾り付けていた。
 彼女が手にしているのはお菓子の入ったバスケットと、そして鮮やかなオレンジのジャック・オ・ランタンが先端についた魔法のステッキだ。実は鉄で出来ているこのステッキは、杖というより最早メイスに近い。普段から重い鉄塊剣を振り回しているコッペリアだからこそ、軽々と持つのも容易というわけだ。
 エルフリード・ファッシュ(シャドウエルフのガンスリンガー・e16840)は、フランケンシュタインのような仮装にジャック・オ・ランタンがたくさん描かれたシャツを着て準備に勤しんでいた。
 持ち込んだジュースやお菓子を並べつつ、念のために殺界を形成しておくのも忘れない。
「本物のパーティーに負けないように、賑やかにしなくちゃ、ね」
 黒木・市邨(蔓に歯俥・e13181)は着物にスタンドカラーのシャツ、そして袴と、いわゆる書生さんの格好で、手にオレンジ色の南瓜のランプと本──魔導書を携えていた。彼のもう一つの武器である攻性植物は、ハロウィンらしい飾りを装いランプにくっついている。
 市邨の手によって色彩豊かなランプたちが散りばめられ、木と木がカラフルなフラッグガーランドで繋がれてゆく。
 樹木の根元や遊具の側、至る所に大量に並べられたジャックオランタンの灯りは、ドラキュラ伯爵に扮するアルルカン・ハーレクイン(道化騎士・e07000)の手によるものだ。
 普段は出している狐の耳と尻尾は今日はなく、狼男ではウェアライダーとして芸がないと選んだ吸血鬼の仮装に俄然張り切っているアルルカン。
 南瓜に囲まれているとそれだけでハロウィンという気分になってしまうのは、きっと彼だけではない。
 心躍る一足早いハロウィンの準備も、ドリームイーターを誘き寄せるためと考えたら複雑な気分になってしまうけれど。
(「……まあ、今を全力で楽しむといたしましょう。楽しいことは好きですから、ね」)
 それに、この戦いが終われば――本物のハロウィンが始まるのだから。

 乾杯のグラスが合わさる音が高らかに響いた後、ランジが掲げた手の先で、銃の形をしたクラッカーがぽんと弾ける。
「はい、ココのオススメの、かぼちゃのクッキーと、紅茶のスコーンだよ!」
 テーブルの上のスコーンを示し、ポシェットに忍ばせていたクッキーを配ってから、ココは何かに気づいたように「あっ」と小さく声を漏らした。
「お菓子をくれなきゃいたずらしちゃうぞ! だから、ドラキュラさんのココがお菓子配ったら、なんだかおかしいかなぁ……?」
「そんなことはないよ、ココちゃん。それなら私だって、お菓子をくれなきゃいたずら……凍らせちゃうぞ! だし……」
「皆それぞれに仮初の衣を纏っておられます。どのような立場であれ、宴を楽しむことが出来れば、それで良いのではないでしょうか」
 ココとラピスのやり取りに、そっとフォローのような言葉を挟むコッペリア。彼女のバスケットの中身は、最初にここに来た時よりもだいぶ増えていた。
「Trick or Treat! おはぎ、おはぎはありませんか? ないのであればあんこを使ったお菓子を……!」
 日本に来て初めてぼた餅を食べ、すっかりあんこが大好きになったエルフリード。それ故に彼はあんこのお菓子を求めていたが、残念ながら今回のパーティーでは用意されていなかったようだ。
「さぁ、イタズラされたくなかったらお菓子をよこしなさい。――なんてね」
 ランジが目をつけたのは、ノンアルコールのスパークリングワインを片手にすっかり寛いでいる市邨だった。
「イタズラも気になる、けど――はい。トリックオアトリート、だっけ?」
 市邨は人懐っこい笑みを覗かせながら、和紙で包まれたお菓子を差し出した。
「みんなにも、はい」
 淡い包みを広げれば、南瓜型の飴玉がころりと踊る。
 ハロウィンは、周囲の楽しげな雰囲気に乗っかりつつ美味しい物が食べられる日。
 そんな認識でいるアルルカンは、持ち寄られたたくさんのお菓子にすっかりご満悦だ。
 そうして、皆がパーティーを楽しんでいたその時。
 不意に空気が揺らいだのを、ケルベロスたちはすぐに感じ取る。
 ――まるで、私も混ぜてと言わんばかりに。
 次の瞬間、全身がモザイクで出来た一人の少女が姿を現していた。

 紫とオレンジの鮮やかなワンピースを纏い、色とりどりのキャンディで全身を飾ったその歪な少女こそ、ケルベロスたちが待ち受けていたドリームイーターに他ならなかった。
「あら、お待ちかねのゲストがいらっしゃったみたいね」
 ランジが笑みを深めて向き直る。同時に、他のケルベロスたちも動き出していた。
(「……ドリームイーターになどならなくても、きっと、喜んでお迎え致しましたのに」)
 それでもシグリッドは精一杯の笑顔を浮かべ、ドレスの裾を摘み優雅な一礼をしてみせた。
「いらっしゃいまし。お待ちしておりましたわ!」
 前後衛に素早く分かれ、ドリームイーターを囲むように、ケルベロスたちは布陣する。
「トリックオアトリート。――君は、何をお望み?」
 愉しげに笑いかける市邨の傍らで、ココが素早く魔導書を開いた。
「松、行くよ!!」
 ミミックの松乃進へと呼びかけながら、ココは古代語の詠唱を紡ぎ上げ、光線を放った。松乃進がエクトプラズムの剣や斧で斬りかかると同時、モザイクの一部が色を失くし、石化させた手応えを感じ取る。
 次の瞬間、ケルベロスたちの存在を見定めたらしい夢喰いの少女が、動いた。掲げた手の先から放たれたモザイクが網のように広がってラピスを包み、心の奥底まで侵食していく。
「よそ見してんじゃないわよ! 間抜け!!」
 少女の意識を引きつけるべく、すかさずランジが飛び出した。鞭のように振り回される炎が、まるでラピスを覆った悪夢ごと払おうとするかのように鮮やかに燃え上がる。
「ラピスさん、大丈夫ですか!?」
 すぐさま、シグリッドがラピスへとライトニングロッドを差し向ける。
 高らかに響いた声と共に迸った眩い輝きがラピスを覆ったモザイクを散らし、そして同時に確かな力を添えた。
「これくらい、何ともなかったのに。でもありがと、シグリッドさん」
 長い髪を赤いリボンで手早く纏め上げ、ラピスは凛と声を響かせる。
「天空よりラピスが命ず、蒼き風よ来たれ!」
 詠唱と共に、天空の蒼い風がラピスの手の上で膨れ上がる。まさに渦と呼べる大きな風が、一直線にドリームイーターへと収束した。
 風の刃で裂かれ、モザイクが弾けて散っていく。
 蒼風がまだ消えぬ内に、二振りの鉄塊剣をそれぞれの肩に担ぎ上げながら、コッペリアが歩み出た。
「地獄の炎に焼かれて己が罪を知りなさい」
 コッペリアは表情一つ変えず、己が炎を纏わせた剣を軽々と叩きつける。
「お前はお菓子をくれなさそうだからイタズラしてやる!」
 勇ましく声を上げ、バスターライフルの引き金を引くエルフリード。巨大な銃口から放たれたエネルギー光弾が、少女のモザイクの一部を焼き払う。
「初めまして、魔法使いのお嬢さん? 一緒にハロウィンを楽しもうではありませんか。……出来ることなら本当の貴女と共に、ね」
 胸に手を当て一礼するアルルカン。その周囲に、花が舞う。
 姿なき歌声に合わせ無音の剣舞を演じる白の花弁が緩やかに黄色へと変じ、モザイクの少女を包み込んだ。
 花の余韻を残したまま、夢喰いの少女の袂へ疾く踏み込んだのは市邨。
 戦いが始まる前とは違う、鋭い笑みがそこにはあった。伸ばした手の先から躍り出た蔓がうねりながら絡みつき、その力ごと絞り取るように強くきつく締め上げる。
「――俺は外さない、よ」
 市邨が零した言葉に応えるかのように、夢喰いの少女はモザイクの塊を市邨へと飛ばした。

 どれほど苛烈な攻撃を受けようとも、ドリームイーターは退くことも逃げる素振りも見せず、その場に在り続けていた。
「みんなのハロウィン、がんばって守るよ!」
 ココの翼が罪を灼く聖なる光を放ち、追随した松乃進がガブリとモザイクを噛み砕く。
 夢を奪われてしまった少女だって、きっとこんなことを望んだわけではなかっただろう。
 浮き足立つ街の様子に欠落を感じるのなら、例え一期一会であったとしても、楽しむ気持ちは共有出来る――そう、伝えたかった。
 死角へと滑り込んだアルルカンは螺旋を籠めた掌で少女に軽く触れ、服越しにモザイクが爆ぜた気配を感じ取った。
「……本人が救われない夢に、意味などない。――そうでしょう?」
 偽りの夢を終わらせるため、ケルベロスたちは一気に畳み掛けていく。
「皆様のことは、わたくしがお守りしますわ!」
 シグリッドが張り巡らせた雷の壁が、前で戦うケルベロスたちの確かな支えとなった。
「ここから先には、行かせないわよ?」
 余裕のある笑みを浮かべたまま、ランジは流れるような動きで竜の尻尾を振るい、少女の身体を薙ぎ払う。
「君にはとびきりのトリックをあげる、よ」
 市邨はにぃっと笑い、仮装に見立てていた魔導書を繰って光線を放った。そんなところから攻撃が飛んで来るなど思っていなかった――かどうかは定かではないが、弾けた衝撃に大きくよろめいた辺り、予測出来なかったのかもしれない。
「ふふ、驚いた? ――ねえ、でも、もうすぐお別れの時間、だよ」
 すでに殆どのモザイクを散らし、存在そのものが今にも消えてしまいそうなドリームイーターへと、市邨は語りかける。
「大切な夢が、こころが、人を傷付けるなど、在ってはならないこと。……さあ、在るべき場所にお帰り」
「どうだ、俺たちにお菓子を渡す気になったか!」
 無論、そんなはずはないことも、答えが返らないこともエルフリードは知っている。そして、それはこの際大した問題ではない。
 少女の足元目掛け、エルフリードは幾つもの弾丸や礫をばら撒いた。
「嫉妬、羨望は悪徳なれど、人は誰しも持ってしまうものでございますが、一歩踏み出してみるだけで状況は改善できるものでございます」
 淡々と言葉を綴り、コッペリアは地獄の炎弾を放った。命までも喰らいつくさんとばかりに燃え盛る炎の余韻を手繰るように、軽やかに躍り出たラピスがドリームイーターへと肉薄する。
「本物のハロウィンを楽しみに待ってる、皆の邪魔はさせない!」
 気合一閃、振り抜かれたリングの剣がモザイクの欠けた箇所を的確に貫き、斬り広げて――それが、最後の一撃となった。
 ドリームイーターの少女をつくり上げていたモザイクはすべて剥がれ落ち、その姿は瞬くような煌めきを残して消えていった。

「お疲れさまなんだよ、みんな! これで本物のハロウィンが始まるね」
 戦いが終わり、ココの顔に満面の笑みが戻る。松乃進も何だか嬉しそうに、ぴょんぴょんと飛び跳ねていた。
「……折角だし、少しだけ。パーティーの続き、していきません?」
「それは名案ですわ、ラピスさん! では、わたくし、お飲み物をご用意いたしますわね」
 ラピスの申し出を、断る者などいるはずはなかった。笑みの花咲かせ、シグリッドはテーブルの方に向かう。
 幸いにも、戦闘から逃れていたテーブルやその上のお菓子類は無事だった。戦いの衝撃で壊れた遊具などは、ヒールで修復出来るだろう。
「ああ、本会場にはおはぎがあるといいのだが……」
 彼にとってはとても大事なことを、思い出したように呟くエルフリード。
「今度こそ、ハロウィンナイトの始まり、だね。ふふ、愉しい夜になりそうだっ!」
 本番が楽しみな気持ちを隠し切れない市邨は、堪らずといった様子で声を弾ませる。
 その横で、楽しみですねとコッペリアが静かに同意していた。
 ――どうか、彼女が救われますように。
 グラスを手に、アルルカンはそっと、顔も名前も知らぬ一人の少女の幸いを祈った。
 ランジがウィンクを添えてグラスを掲げる。仲間たちもそれに続いた。
「ハッピーハロウィン♪」
 お疲れ様の意味も込めて、もう一度――乾杯!

作者:小鳥遊彩羽 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2015年10月31日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 2/感動した 0/素敵だった 5/キャラが大事にされていた 4
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