クラゲの群れに飛び込めば

作者:飛翔優

●過去の記憶とお誘いと
「……」
 月の下、街灯を辿るようにして家路を急いでいた女性は、スマホのアプリを落とし深い溜め息を吐き出していく。
「海へのお誘い……かぁ」
 アプリ画面に記されていた友人からの誘いを反芻し、瞳を伏せた。
「楽しいってことはわかってるんだけど……」
 昔、夏の終わりに友人といった海。はしゃいでいる内に足を滑らせ、深い場所に落っこちた。その時はすぐに引き上げられ、溺れることもなかったのだけど……。
「……クラゲが、ねえ。今の時期はいないってわかってるんだけど、それでも……」
 無意識の内に体を抱き、再び深い溜め息を。
 長い時間が流れても、あの時に肌をなでていったクラゲの感触は中々消えない。プールなら大丈夫だけど、海となると……と二の足を踏んでしまう。
「……うん。申し訳ないけど、やっぱり断ろう……?」
 スマホを覗き込んだ時、手を伸ばせば届く距離で誰かが立ち止まった。
 小首を傾げ視線を向ければ、一人の女が立っていた。
 女は女性が口を開く前に距離を詰め――。
 ――一本の鍵で、女性の心臓を貫いた。
「あ……」
「あはは、私のモザイクは晴れないけど、あなたの嫌悪する気持ちもわからなくはないな」
 鍵が引き抜かれる勢いのまま、女性は地面に倒れ伏す。
 入れ替わるようにして、何かが道路に出現した。
 それは、乗用車ほどのサイズを持つ大きな水の塊。
 内部では触手がモザイクに覆われている無数のクラゲが蠢いていて……。

●ドリームイーター討伐作戦
 ケルベロスたちを出迎えた笹島・ねむ(ウェアライダーのヘリオライダー・en0003)は、メンバーが揃ったことを確認した上で説明を開始した。
「みんなは、苦手なものとかありますか?」
 今回は、この苦手なものへの嫌悪を奪って、事件を起こすドリームイーターがいる様子。
「嫌悪を奪ったドリームイーターはもう、姿を消しているみたいです。ですが、奪われた嫌悪を元にして現実化した怪物型のドリームイーターによって、事件が引き起こされようとしているんです」
 怪物型のドリームイーターによる被害が出る前に、撃破する必要がある。
 また、このドリームイーターを撃破すれば、嫌悪を奪われてしまった被害者も目を覚ましてくれることだろう。
「それで、出現場所なのですが……」
 ねむは地図を広げ、駅に近い住宅地に丸をつけた。
「この一帯になります。時間帯は夜九時頃で、まだまだ仕事帰りの方々が歩いているので、避難誘導を行いながら探すと良いと思います!」
 肝心のドリームイーターの姿は、乗用車ほどのサイズを持つ水の塊の中に、モザイクの触手を持つ無数のクラゲが蠢いている……という姿の怪物。地面を擦ったり、ジャンプしたりして移動する。
「この嫌悪を奪われてしまったお姉さんは、昔、誤ってクラゲだらけの海に飛び込んでしまったみたいで……その嫌悪が、このドリームイーターを生み出してしまったみたいですね」
 戦いにおいては妨害特化。
 肥大化し、飲み込んだ敵陣を無数のクラゲで包み込み捕縛する攻撃。自らの体を様々な形状に変化させて敵陣に襲いかかり毒針で刺す攻撃。同様の方法で敵陣の口の中へと水の腕とも呼ぶべき形状を差し込み多数のクラゲを流し込む……といった攻撃を仕掛けてくる。
「これで、説明は終わりになります!」
 ねむは資料をまとめ、締めくくった。
「色々と気持ち悪いてきだけど……でも、だからこそ、絶対に倒さなきゃいけない相手だと思うんです。ですからどうか、よろしくお願いします。ドリームイーターを打ち倒し、お姉さんを救ってきてください!」


参加者
リリー・ヴェル(君追ミュゲット・e15729)
音無・凪(片端のキツツキ・e16182)
荊・綺華(エウカリスティカ・e19440)
ユリア・ベルンシュタイン(奥様は魔女ときどき剣鬼・e22025)
相川・愛(すきゃたーぶれいん・e23799)
小柳・瑠奈(暴龍・e31095)
高千穂・ましろ(白の魔法少女・e37948)
月・いろこ(滑稽な踊り・e39729)

■リプレイ

●夏夜の怪異
 太陽の残り香と機械の熱が混じり合い、吹き抜けていく風すらも暑く感じる夜のこと。駅に近い住宅地を、高千穂・ましろ(白の魔法少女・e37948)は荊・綺華(エウカリスティカ・e19440)、相川・愛(すきゃたーぶれいん・e23799)と共に歩いていた。
「クラゲ型のドリームイーターですか……うう、夢に出そうです」
 どことなく腰が引けた様子で周囲を伺いながら、ましろは二人と共に街灯から街灯へと渡り歩く。
 一方、綺華は駅の方角から歩いてくる一般人を見つけるたびに二人と一緒に駆けよって避難を呼びかけていた。
「今……デウスエクス……がいるです……だから……避難をです……」
「もしもデウスエクスらしき存在……ええと、大きな水の塊の中にいっぱいのクラゲさんがいる、みたいな姿なのですけど。見つけたら決して近づかずに逃げてください」
 愛が言葉を付け加え、素直に頷いてくれた女性を駅の方角へと送り出す。
 周囲を警戒した上で、改めて探索を再開した。
 一般人と出会ってしまう前に見つけ、退治する。その強い意志のもと……。

 駅から少し離れた区域を探索している音無・凪(片端のキツツキ・e16182)と小柳・瑠奈(暴龍・e31095)、リリー・ヴェル(君追ミュゲット・e15729)。
 木陰、物陰、曲がり角の向こう側……凪は暗がりを見つけるたびに証明を向け、丁寧に闇を払っていく。
「大きさから考えりゃ闇に紛れることはないと思うが……万が一の可能性もあるからねぇ」
「クラゲという要素を加えても、透明度は高いだろうしね。念には念を入れるに越したことはないよ……っと」
 瑠奈は凪を手で制しながらマンションの方角へと足を向けた。
 リリーが若干警戒する様子を見せたけど、向かう先にいるのがサラリーマン風の男性だとわかり構えを解いていく。
 さなかにも瑠奈が男性を呼び止め、説明を開始した。
 問題なく受け入れたのだろう。男性がどことなく緊張した面持ちで、深く頷いていく。
「助かるよ。でも、駅よりも家の方が近いんだっけ?」
「は、はい」
「わかった」
 瑠奈は二人を呼び寄せ、地図を広げた。
「方角は変わるけど未探索区域な事に違いはない。少しの間だけこの人を送って行きたいんだけど、いいかな」
「わかった。ただ、もしも送ってる途中にデウスエクスが出たら、そのときゃ素直に逃げてくれよ」
 肩の力を抜きながら、凪は男性へと視線を向ける。
「はい、ありがとうございます!」
 深く頭を下げていくさまを見守った後、三人は男性を送りながら探索を行う……という流れになった。
 もちろん、暗がりを照らすことは怠らない。
 どこにドリームイーターがひそんでいるかわからないのだから。
 探索を続ける中、凪は一人思い抱く。
 この所食べ物系のドリームイーター退治を続けてこなしてきたけれど、流石にクラゲは食べられない。確かに、見た目だけならそういう創作菓子もありそうだけど……。
「……」
 嘆息を交えながらも警戒を怠ることはない。
 様々な場所に灯りを向け、ドリームイーターの居場所を探っていく……。

●クラゲと水を蓄えて
 同道する月・いろこ(滑稽な踊り・e39729)に空からの探索を任せながら、女性を駅の方角へと送り返したユリア・ベルンシュタイン(奥様は魔女ときどき剣鬼・e22025)。
 リリーのウイングキャット・フェリーチェと共に地上での捜索を再開しようとした時、携帯端末が鳴りはじめた。
 落ち着いた調子で取り出せば、画面上には月の文字。
「……何か見つけたの?」
「十字路を三つ超えた先。横断歩道のない右側の広い道。街灯の下、不自然に光を反射してる何かがあった」
「わかったわ。向かいましょう」
「ああ。私は一班に連絡するから、ユリアは二班への連絡を頼む」
「ええ、お願いね」
 通信を切ると共に、走り出しながらユリアは凪への連絡を取っていく。
 説明を終える頃には十字路へと到達し、地上へと降りてきたいろことの合流を果たしていく。
 他の仲間達を待つために曲がり角の影に身を隠しながら道の先を伺えば……。
「……本当にクラゲなのね。気持ち悪いのは我慢するとして、切りがいがあるといいのだけど」
「こんなゲテモノ、さすがの私も食べられそうにないしな……っと」
 街灯の下、フルフルと震えている車サイズの水の塊。モザイクの触手を持つクラゲの群れをふよふよと浮かばせながら、ずりずりと二人が場所へと近づいてくる。
「……ばれたか?」
「いえ、多分進行方向だったんじゃないかしら」
「それなら……」
 いろこが口の足を持ち上げ、ユリアは頷く。
 仲間たちを待つのを諦め仕掛けると、呼吸を重ね水の……ドリームイーターの眼前へと躍り出た。
「私はあなたみたいなゲテモノは食べれないけど、この子達はは残さず食べてくれるぜ」
 驚いた様子で止まっていくドリームイーターを前に、いろこは具現化した白骨魚の群れを差し向ける。
 空気の中を泳ぐ白骨魚に紛れる形で、ユリアはグレイブに雷を宿しながら距離を詰めた。
 何匹もの白骨魚が水の中に飲み込まれクラゲに包まれていく中、ユリアは穂先を突き出していく。
「……手応え、ないわねぇ……」
 文字通り水を貫いたかのような感触を覚え、眉を潜めた。
 さなかにも、数匹のクラゲがグレイブを伝い外へ飛び出してこようとする様が見える。
 閉口しながらグレイブを横に払い、クラゲを散らしながら飛び退いた。
 後を追うように水でできた無数の触手が伸びてきた。
 一本、二本と切り払い、眼前まで迫れば後ろへ跳びつつ石づきで上方へと払いのける。
 諦めずに伸びてくる触手の群れを防ぐため、グレイブを風車のように回しはじめた。
 散らされていく水の粒子が煌めきとなって彼女を飾り立てていくさまを視界の端に捉えながら、いろこは小さな息を吐く。
「それなりに攻撃は激しいな」
「ええ。でも、負ける気はないわよ」
「当然!」
 ユリアの言葉に頷きながら簒奪者の鎌を横に構えた。
「治療はフェリーチェもしてくれるはずだ。だったら、攻撃も緩めずにやっていく。こいつはどうだ!」
 地面と水平になるように投擲。
 ドリームイーターを横に両断するも、簒奪者の鎌がいろこの手元へと戻る頃には元の姿へと戻っていく。
 それでも削れている、興味を引くことはできているはずだと、二人はフェリーチェの援護を受けながらドリームイーターと対峙し続けていく。

 雷を宿したグレイブを突き立てた直後、風船のように膨らんだ水の体に飲み込まれたユリア。
 我先にとばかりに殺到してくるクラゲには目もくれず、一歩、二歩と前に進みながら穂先を突き出し続け、貫き脱出した。
 髪や服から水を滴らせながらついてきてしまったクラゲを払い除け、瞳に冷たい光を浮かべていく。
「っ! これは……」
 その体を、オウガ粒子が優しく包み込んできた。
 発生源を辿れば、綺華がオウガメタルを操っている様が見える。
「無事……だったです……?」
「……ええ、ありがとう」
 表情を和らげるユリアにうなずき返し、綺華はウイングキャットのばすてとさまと共にドリームイーターとの距離を詰めた。
 同様にましろと愛が戦列に並んでいく中、綺華はドリームイーターを見つめていく。
「……くらげ……ふわふわ……可愛いですかね……」
 透明な水の中、ふよふよと浮かぶクラゲたち。
 数匹そのような感情を抱くこともあっただろう。
 実際は数え切れないほどのクラゲの群れ。触手がモザイクに覆われていることも重なれば……。
「……」
 ふるふると首を横に振り、改めてドリームイーターの様子をうかがっていく。
 ドリームイーターの側も綺華を伺う様子を見せたけど、その暇など与えんとばかりに魔法少女に変身したましろがビームを放ち、いろこが鎌を投げていく。
 それでもなお興味を惹かれたか、一度ターゲットに定めた相手は変えないのか、ドリームイーターがじりじりと綺華のもとへと近づいてくる。
 何が仕掛けられても対処できるように身構えながら、綺華は銃を抜き放ち……。
「っ!」
 目にも留まらぬ速さで弾丸を打ち込んだ時、ドリームイーターの体が肥大化する。
 腕を手元へと戻し綺華は後ろへ跳ぶものの、逃れきれず水の体の中に飲み込まれた。
 クラゲの群れが視界を塞いだ。
 一匹に、二匹と清らかなる衣装の中へと入り込まれ、肌を撫で回していく感触に全身を震えさせていく。
 息苦しさと嫌悪感が精神に苛まれる。
 さなかにも肌を滑るクラゲは数を増し、綺華は――。
「ぶはっ……」
 ――背後に熱を感じた直後、首根っこの辺りを捕まれ外へと解放された。
 こほこほと水を吐き出しクラゲを振り落としていく中、自分を救出してくれた腕の主へと視線を向けていく。
「間に合ったみたいです、ね。ヨカッタです、よ」
 凪、瑠奈と共に合流を果たしたリリーが、水に濡れる綺華を見つめぎこちなく微笑んだ。
 さなかにもフェリーチェが魔法を放ちドリームイーターの追撃を防いでいく。
 仲間が時間を稼いでくれているうちに……と、愛が綺華のもとへと駆け寄り治療を施しはじめた。
「いたいのいたいの、とんでけー!」
 優しい魔力を込めた言霊が、綺華の体からダメージを拭っていく。
 少しずつ呼吸が正常なものへと戻っていくさまを見つめながら、小さくうなずき返していく。
「が、がんばってください。わたしが、皆様を、援護します……」
「……うん」
 コクリと頷き、綺華が最前線へと戻っていく。
 最前線では、杖をドリームイーターに突き立てたましろが水の体の中へと飲み込まれていた。
「きゃあっ!」
 ――大人しく降伏すれば、命は取らない。そう告げたけれど、やはり言葉は通じていなかった。
 口を閉ざしたまま姿勢を正そうとするものの、逃さんとばかりにクラゲたちはましろのもとへと集ってくる。
 瞬く間にも視界を塞がれ、袖を裾を塞がれて……。
「っ!?」
 全身を撫で回され叫びそうになるも、空気が漏れるのを感じて口を閉ざす。
 クラゲたちはましろの深い場所へ、深い場所へと侵攻して行った。
 やがて頬に朱がさし、瞳も潤んだ者へと変わっていく。息苦しさが勝るか自ら口を開くことはなかったけれど……。
「っ!?」
 唇の僅かな隙間から入り込んできたか、先に少しだけ口を開いた際に入り込まれたか、ましろの口が強引に開かれた。
 瞬く間にクラゲが殺到し、ましろは全身を大きく震わせていく。
 直後、強い熱が駆け抜ける。
 ドリームイーターの一部が凹み、ましろが地面に投げ出された。
「あ……」
 力を失いかけているかのようにへたり込んでいく彼女を見つめ、ドリームイーターを貫いた龍の幻影の担い手たる瑠奈は愛へと視線を送った。
「ましろ君の治療を頼む」
「は、はい!」
 頷き、急いでましろの治療へと向かう愛。
 幸い命に別状はなく、戦闘不能になったわけでもない。肉体的には十分に戦線復帰することができるだろう。
「……」
 信じ、愛はましろに張り付いているクラゲを払いながら治療を施していく。
 治療の邪魔はさせないと、いろこは白骨化した魚を解き放ち……。
「……少しずつだけど、小さくなってるみたいだね」
 視線の先、水分を失ったのかクラゲを失ったのか、ふたまわりほど小さくなったように思えるドリームイーターが佇んでいる。
「大丈夫、手応えはないけど効いている。この調子で戦っていこう」
 仲間たちに発破をかけながら、白骨魚たちがドリームイーターを喰らっていくさまを見つめていた……。

●水の滴る良いケルベロス
 水を滴らせながら戦う前衛陣の細かなダメージを拭うため、愛は無人の小型治療機械を展開した。
「み、みんなが無事に帰れるように……お願い、します」
 願いを託された小型治療機械たちが前衛陣の服を乾かしていく中、リリーはルーンアックスを掲げて跳躍。
 バイクほどのサイズに縮まったドリームイーターの中心を力任せに両断した。
「……」
 刃の離れた場所からもとに戻っていくさまを横めに飛び退けば、水の腕が後を追いかけてくる。
 直後、真白い鳥の様な一刀が水の腕を切り落とした。
「させねぇよ!」
 担い手たる凪は手首を返し、刃を炎に染めてドリームイーターを横一文字に両断する。
 再び元に戻る様子を見せていくものの、飛び散った水滴は飲み込めず更に形は小さくなった。
 クラゲの数も頑張れば数え切れそうなほどに減っている。
 反撃の勢いそのものはまだまだ健在だから、綺華は銃を乱射した。
「……抑えます、です……」
 薬莢が飛び出すたびに水滴が滴る中、ばすてとさまも尻尾の輪を飛ばしていく。
 動きが抑え込まれていくドリームイーターに、脚を震わせながらも立っているましろが杖の先端を突き付けた。
「凍らせれば、きっと……!」
 光線を浴びせかけ、体積の半分ほどが凍りつかせた。
 煌めきが散る。
 風刃に砕かれて。
 鉄扇を振り下ろしたユリアが見つめる中。
「ようやく切りがいが出てきたわね。もう、終わるみたいだけど」
「トドメは任せたよ、子猫ちゃん」
 瑠奈もまた凍てつく光を放ち、残る体積を氷の柱へと変えた。
 動けなくなっていくクラゲを見つめながら、リリーが洋灯に白を燈していく。
「水中をふわり、ゆらり。かわいらしいクラゲさま、ですけれど。このようにおおきいと、あんまりかわいらしさはありません、ね」
 柔らかな光は指先の操るまま、鋭利な刃となりてドリームイーターの中心を貫いた。
「うみはとてもキレイ、ですもの。こわがらせるのは、だめです」
 静かに告げるリリーが見つめる中、ドリームイーターはゆっくりと崩れ落ちていく。
 もう、元の姿に戻ろうとすることはない。
 地面に吸い込まれることはなく、水蒸気に変わることもなく、跡形もなく消滅した。

 夏夜の風さえも涼しく感じられる戦場跡。リリーが構えを時、安堵の息を吐き出した。
「ぶじにおわって、よかった、です」
 頷き合い、同様に緊張を解いていく仲間たち。程なくして各々の治療や後片付けと言った事後処理が始まった。
 自分の担当分を終えた後、凪は携帯端末を取り出して調べ物を始めていく。
「……お、食べれるクラゲってのもあるんだな」
「おや、そうなのか。じゃ、運がなかったな、今回は。ま、食べられた事で何かが変わったとは思えねぇけどな」
 冗談めかした調子で、いろこは肩をすくめていく。
 仮に食べられたとしても、それはきちんと調理すればの話。あるいは踊り食いのできる種も探せばあるかもしれないけれど……食べ方としては特殊な部類に入るだろう。
 何より、危険なクラゲも数多い。
 今回対峙したドリームイーターのもととなった女性が体験しただろうできごと同様に。
 だからこそ注意して海を楽しむ。そうすればきっと、楽しい思い出が育まれていくのだから!

作者:飛翔優 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年8月21日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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