秘密結社喫茶店主はうらぶれて

作者:なちゅい

●流行らなかった喫茶店
 関東某所の寂れた裏通り。
 すでに、閉店した店の中の奥で、1人の男が肩を落とす。
「いいと思ったんだがな……秘密結社喫茶」
 黒ずくめの衣装に、身を包む男、松田・雅彦。そばには怪しげな覆面が置かれてある。
 松田はこの店で、秘密結社喫茶なるものを経営していた。
 開店当初は物珍しさもあって、ちらほらと客が訪れていたのだが、残念なことに経営が軌道に乗るには至らず、閉店せざるをえなくなってしまったのだ。
 魅力が足りなかったのか、接客が悪かったのか。やり方次第では通好みな固定客がつくかもしれないが、どのみち、松田の経営方針ではダメだったのは状況が物語っている。
「はぁ……」
 溜息をつく松田。その後ろに、いつの間にか頭に2本の角を生やした淑女の姿が。
 肩から胸の辺りがモザイクに包まれていたこの魔女。その正体はドリームイーターであり、『パッチワーク』の魔女の1人 『第十の魔女・ゲリュオン』だ。
「…………」
 ゲリュオンは無言で、手にした鍵で松田の心臓を一突きしてしまう。
 何が起こったのか分からず、松田は床の上に崩れ落ちる。ゲリュオンは彼の体から、血どころか、傷一つ残さず、鍵を抜き取って見せた。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『後悔』を奪わせてもらいましょう」
 ゲリュオンが具現化した松田の『後悔』。それは、松田が黒ずくめの衣装に覆面を被った姿とほぼ同じ人型を取る。ただし、その覆面の中、目元や首辺りから中のモザイクが漏れ出ていた。
 新たに生まれたドリームイーターの姿を見てゲリュオンは小さく笑い、いずこともなく去って行ったのだった。

 とあるビルの屋上へとやってきたケルベロス達。
 リーゼリット・クローナ(シャドウエルフのヘリオライダー・en0039)がやってきたメンバーへと手を振る。
「ようこそ、来てくれてありがとう」
 挨拶を交わすケルベロスの中、人首・ツグミ(絶対正義・e37943)がこんな話を持ち出す。
「秘密結社的な雰囲気の喫茶を潰した『後悔』が、奪われるそうですねーぇ」
「うん、耳が早いね」
 ツグミの話に頷くリーゼリットは、早速説明を始める。
 折角夢を叶えたのに、店が潰れたことで『後悔』の念にかられている人が、ドリームイーターに襲われてしまう事件が起きてしまう。
 その夢喰いは『後悔』を奪った後に姿を消してしまったが、奪われた『後悔』は現実化して新たなドリームイーターとなって事件を引き起こそうといる。
「被害を及ぼす前に、このドリームイーターを倒して欲しいんだ」
 このドリームイーターを討伐できれば、『後悔』を奪われてしまった被害者も目を覚ますはずだ。
 被害者、松田・雅彦は店の奥、従業員用の詰め所で倒れている。無事、事件が解決したのであれば、彼を介抱した後で何かフォローがあるといいだろう。
 現れるドリームイーターは1体のみ。配下などはいない。
「ドリームイーターは潰れた店の店内で、何事もなかったかのように営業を再開させているよ」
 一般客はいないので、避難の必要性はない。だが、放置しておくと、ドリームイーターは近づいてきた人を客として店の中に引き入れ、強制的にサービスを与えて殺すような行動をするようだ。
 客を手にかけるタイミングとならば、夢喰いは秘密結社の総統風にグラビティを発し、攻撃を仕掛けてくる。
 ところで、このドリームイーターはデウスエクスである以上、倒さねばならないのは間違いないが、相手は一般人の『後悔』から生まれたもの。ならば……。
「相手の『後悔』の念が少しでも弱まったなら、夢喰いとの戦いが楽になるかもしれないね」
 ドリームイーターの振舞うサービスとは、秘密結社風に喫茶店としてのサービスを提供することだ。
 普通にコーヒーなどのメニューを注文して店内の雰囲気を楽しむと、幾分違った形で戦いに臨むことができるかもしれない。
 一通り説明を終えたリーゼリットは、最後にこう語る。
「秘密結社風の喫茶店って、需要はどのくらいあるのだろう」
 どうやら、リーゼリットはあまり興味がないようだが、コーヒーが美味しいお店なら一度は言ってみたいかもしれないと語る。
「ともあれ、どうか、このドリームイーターの撃破を。……よろしく頼んだよ」
 彼女はそうして、事態の収拾をケルベロスへと託すのだった。


参加者
東雲・苺(ドワーフの自宅警備員・e03771)
霖道・裁一(残機数無限で警備する羽サバト・e04479)
エフイー・ヨハン(虚空の彼方をも狙い撃つ機人・e08148)
久遠寺・眞白(豪腕戦鬼・e13208)
夜殻・睡(氷葬・e14891)
秋空・彼方(英勇戦記ブレイブスター・e16735)
浜本・英世(ドクター風・e34862)
神苑・紫姫(ヒメムラサキ色吸血鬼・e36718)

■リプレイ

●怪しさに惹かれて
 朝、関東某所の裏通りへとやってきたケルベロス達。
「秘密組織ねぇ……。中々、面白そうなことをやってるじゃねーか」
 Tシャツ着用の美青年、エフイー・ヨハン(虚空の彼方をも狙い撃つ機人・e08148)が楽しそうに笑う。
「秘密結社喫茶……! 構成員のふり……! 実に楽しそうじゃないか!」
 小麦色の肌をしたドワーフ、久遠寺・眞白(豪腕戦鬼・e13208)もかなりノリノリで叫ぶ。
「とても怪しい。だが、それがいいですね」
 続いて口を開いたのは、サバト服着用の霖道・裁一(残機数無限で警備する羽サバト・e04479)だ。彼自身の方が怪しげ爆発である。
 ややテンション高めのメンバー達が多い中、夜殻・睡(氷葬・e14891)だけは無表情のまま。彼は女性メンバーから少しだけ距離を取って歩いていた。
「なかなか面白そうな趣のお店ですが……、世の中非常ですわね」
 高貴さを主張したような服装の神苑・紫姫(ヒメムラサキ色吸血鬼・e36718)も乗り気ではあるのだが、それだけにこの店がもう営業していないことを惜しんでいる。
「俺は秘密結社風のこの店、普通に評価したいんですけど。潰れたのが惜しい」
 それに賛同する裁一は、自身が団長として活動する旅団の団員達にも同意を促すと。
「秘密結社、かっこいいねー。ロマンかなっ。こういうの楽しいと思うよっ」
「こういう遊び心のあるお店って、結構好きなんですが……」
 眼鏡をかけたツインテールの少女……に見える東雲・苺(ドワーフの自宅警備員・e03771)もかなり乗り気な様子。柔和な表情の秋空・彼方(英勇戦記ブレイブスター・e16735)も、楽しそうな店なだけに、閉店を残念がっていたようだ。
「店のコンセプトは面白いのだが、もてなすと言いつつ、一番偉そうな立場を店長がやるのはどうなのだろ……」
 どうせなら、表向きは腰を低くしておきつつ、時折隠れて声だけで指令を発するとかの方が……。浜本・英世(ドクター風・e34862)はアゴに手を当てて考える。
「っと、見せのコンセプトを改めて考え直す前に、そこに救う人ならざる者を退治せねば、だね」
「だな。一般人を巻き込んでいる時点でアウトだぜ!」
 英世の言葉に、エフイーが強く拳を握って叫ぶ。
「今はしっかりとドリームイーターを倒すことをがんばりましょうか」
 彼方の言葉に頷くメンバー達。程なく一行の視界に目的の店が見えてきたのだった。

●秘密結社喫茶を楽しんでみよう
 怪しげなムードが漂う店内。
「よく来たな。貴様らを盛大にもてなしてやろう」
 黒ずくめの覆面を被った怪しげな男が、入ってきた客……ケルベロスへと告げ、メニューを差し出す。
 そんな店主……いや、ドリームイーターの接待を受けるケルベロス。まずは、英世が黒マントを翻して一礼する。
「スイス支部から参りました、プロフェッサーHと申します」
 店主はしばし首を傾げていたが、エフイーが手帳を広げ、伊達眼鏡をクイッと吊り上げる。
「総統、9時から外国支部の客人との面会、9時半から例の重要案件の取引ですよ。お忘れなく?」
「ああ、そうだったな……」
 エフイーの合いの手に、店主は怪しむことなく大きく頷く。
「総統閣下。この度はお呼び頂き、恐悦至極に存じます」
 オーダーは紅茶ということで、店主はアールグレイティーに、小倉トーストを添えて用意する。甘い食べ物に合わせて、紅茶の甘さは控えめだ。
「これなら、貴様らの口にも合うだろう」
「なるほど、それが総統の流儀ですか、流石で御座います」
 お勧めのメニューについて聞き、英世はそれっぽいリアクションを指定する。
 続いて入ってきたのは、裁一を中心とした怪しげな一団だ。
「……首領。俺ちょっと、邪魔にならないよう隅の方行ってるんで」
 スーツ着用の睡は戦闘員を装うも、ここでも少し無愛想な対応を見せていた。
 いずれ劣らぬ他メンバーの個性的な格好に対し、彼は少々怖がる仕草の演技をする。そして、仲間から少し距離を置き、有事の際に対応できるギリギリの位置で着席していた。
「総統さま、例のものを頼んだよっ。あと今度の作戦の武器とかもらえるかなー?」
「ふむ、そこで待つがいい」
 秘密結社らしく正体を隠していた苺。彼女は店主……総統さまの機嫌を伺いながら、思わせぶりに注文していく。そして、裁一と共に意味ありげに何らかの作戦について語っていた。
 彼方も彼なりに楽しむ。下っ端構成員を演じつつ、彼はへこへこしながら仲間と談笑していたようである。
 程なく、店主はメンバーが注文した品を用意して。
 秘密結社風とはいえ、喫茶店は喫茶店。店主はコーヒーを淹れ、小倉トーストと共にトレイで運んでくる。
「これが欲しかったのだろう? 存分に味わうがよい」
「ほほう、分かってますねぇ。その闇が凝縮されたかのようなコーヒー……それを待っていたのですよ。ククク……小倉あんのトーストも我らの糧にしても?」
 裁一はいつものサバト服での参加ということもあり、この場においても完全に悪の組織の一員として馴染んでしまっている。
 睡がオーダーしたのは、ブラックコーヒー。超辛党の彼には、一緒についてきたあんこ乗せのトーストはちょっと辛いらしく、挙手した仲間へと譲渡していた。
 少し遅れる形で、紫姫も入店してくる。
「久しいな、総統閣下」
「……?」
「私の顔を忘れたなんて、良い冗談だ。キミの同業者――というより取引相手と言った方が近いか?」
 折角だからと、紫姫はこの状況を楽しもうと『結社との取引先である別組織の人間』という体でやってきた。
「お嬢、こちらを」
 そばにいたスーツにサングラスという出で立ちの眞白。彼女はアタッシュケースをテーブルの上に載せ、ケースを開く。ちなみに、中に詰められていたのは市販の小麦粉である。
「今日も取引の話だ。ま、とりあえず一杯頼むよ」
 ここでの一杯は当然、コーヒーである。秘密結社などの知識について、生半可な状態で依頼に臨んでいる紫姫。その後も彼女は勢いで店主へと語りかける。
「『アレ』の流通経路の話なんだが……、どうも『連中』に嗅ぎ付けられているらしい」
「何……?」
 店主がノリよく返事するそばで、眞白が出された小倉トーストとゆで卵をもぐもぐと頬張る。その味は決して悪くない。
「致命傷となる前に、尻尾切りとルート変更が現実的な対抗策だな。……ついては、少しばかり対応に人手を貸して頂きたい。なに、タダとは言わん」
 先行入店組の食器を下げる店主。彼なりに秘密結社風に接客できて満足していたようだ。
 しかしながら、その正体はドリームイーター。店主の覆面から漏れ出すモザイクがそれを如実に物語る。
 店内にいる客の命を奪う為に。奥から出てきた店主、いや、夢喰いは両目を光らせ、背後にオーラで具現化した構成員の群れを従えていた。
「…………!」
 しかし、客席では、ケルベロス達がすでに臨戦態勢に入っていて。
「流石は総統、私が造反を企てているとご存じだったとは……って、もういいのかい?」
 この雰囲気に心地良さを覚えていた英世だったが、討伐せねばならぬ敵。後ろ髪を引かれながらも、彼は冷静に状況を見定めて真剣な表情で戦闘態勢に入る。
「ブレイブスター! セットオン!」
 彼方も詠唱と共に左手に装着した愛用のガントレットの宝石から全身を纏う鎧を具現化し、下っ端構成員からヒーローへと変身していく。
「らしくなってきたな……。ゆくぞ!」
 含み笑いをするドリームイーターに対し、ケルベロスはその討伐の為にグラビティを発していくのだった。

●それは、結社の内部抗争か
 秘密結社喫茶店内で始まる、客と店主の戦い。
 ドリームイーターの店主は、やってきた客の命を奪おうと襲い掛かってくる。
「さぁて、では俺がここの新たなボスになってやりましょう!」
 敵よりも先に、裁一が動く。彼は改造スマートフォンを手にし、電波を発した。
「我が悪の力を見よ!」
 洗脳電波に耐える夢喰い。エフイーも構えたライフル「テアフライシューティア」から凍結光線を発射し、敵の体を凍りつかせていく。
「者ども、ゆけ!」
 オーラで具現化していた構成員の群れを、夢喰いはけしかけてくる。それらはケルベロス達に対して圧力をかけてきた。
 苺はボクスドラゴンのマカロンと一緒に身構え、その構成員達の特攻を受け止める。
「マカロンも一緒に行くよっ」
 ビシッと敵を指差す苺は、封印箱に入ったマカロンのタックルに合わせ、ゲシュタルトグレイブを大きく振るい、床を叩き割るほどに強烈な一撃を夢喰いへと叩き込む。
 女性から距離を取っていた睡も戦いとならば、仲間に続く形で斬霊刀「雨燕」の刀身を敵の急所を狙って振り下ろす。
 続き、飛び上がった英世が流星の如き蹴りで夢喰いの上半身を力強く蹴り付け、正面からは眞白が電光石火の蹴りを夢喰いの腹に浴びせかけた。
 その間に、紫姫はビハインドのステラに敵の足止めと縛り付けを任せつつ、自身は戦場を美しく舞い踊り、店内に花弁のオーラを降らせて仲間のプレッシャーを解いていく。
「なかなかやるな。では、これならどうだ?」
 続き、水晶剣の群れを招来した夢喰い。それを飛ばした敵は、幾多の刃でケルベロス達を斬り、貫き、傷つけてくる。
「くっ……」
 オーラの構成員による突撃、水晶剣の斬撃を浴びて、彼方は顔をしかめる。
 なんとか戦況を良くしようと彼方は自分達の後方に爆発を起こし、士気を高めるのだった。

●まさかの爆発オチである
 一見すれば、その戦いは秘密結社の内部抗争のようにも見える。
 黒スーツの睡は螺旋の拳を敵へと突き入れ、マントを靡かせた英世も重い一撃を竜鎚で夢喰いへと叩きつけて行く。それは紛れもなく、ケルベロスとデウスエクスの戦いだ。
 ライドキャリバーのヤタガラスが炎を纏った突撃と、激しいスピンで敵を攻め立てる中、彼方はドローンを飛ばして回復に当たる。
 思った以上に威力の高い攻撃に、彼方は回復に回ることを余儀なくされていた。
 だが、仲間のカバーには苺も当たっており、ケルベロス全体としてはさほど被害は大きくない。
「ターゲット・ロックオン! 狙い撃つぜ!」
 回復役として立ち回るエフイーが自動ロックオン機能を有するエネルギーバイザーを仲間に撃ち出し、グラビティでの癒しと合わせて攻撃の命中補正を行う。
 紫姫も仲間の回復最優先で動いており、改造スマートフォンでタップ、フリック、スワイプを素早く繰り返してネットに心温まるエピソードを投稿し、その温かい雰囲気で仲間を癒していく。
「かくなる上は!」
 叫ぶ夢喰い。今度はどこからか取り出したスイッチを地から強く押し、ケルベロスに爆撃を浴びせかける。
 堪えた苺は敵が逃げないようにと気がけながら、重力を宿した蹴りで夢喰いの動きを制していく。着地や攻撃のモーションの至る所でポージングしているのは、戦闘前のお芝居を引きずっているのだろう。
 戦ううち、徐々に夢喰いの動きが鈍ってきていることを見た睡は、「雨燕」の刀身に冷気を纏わせて。
「喰い千切れ、八つ頭の蛇」
 秒間に、彼は八度の刺突で敵に襲い掛かる。それらはまるで八つの頭を持つ大蛇の如く軌道を描き、敵へと襲い掛かる。
「……切り裂け、ギア・スラッシャー!」
 英世も負けてはいない。三枚の歯車状の刃を投射した彼はそれらを遠隔操作し、仲間の与えた傷へと重ねるように切り裂いていく。その傷口からは、モザイクが零れ落ち始めていた。
「こ、こんなはずは……」
 退路を探そうとする夢喰いは、爆破スイッチを手に取る。
 だが、眞白がそれをさせじとチェーンソー剣を唸らせ、その身体を切り裂く。
「おっと、爆破は俺も負けませんよ!」
 対抗心を抱いた裁一もまた、爆破スイッチを手にしてぽちり。
 ちゅどおおおおぉぉぉぉ……ん。
 店内に轟音が起こり、爆風が吹き荒れて。
 気づけば、夢喰いの体は塵も残さず消えていた。
 すぐに、裁一は意味もなく仲間を纏め、ネットに投稿を行ってなんかかんやで仲間の癒しをはかる。
「今回の依頼はこうして、悪の組織の一員を倒しましたとさ」
 イイハナシダナー。
 …………本当か?

●もっと攻めてこ
 ケルベロス達はその後、店奥の控え室で気を失っていた店主を介抱する。
「ん、ここは……うわっ!!」
 目覚めた店主は素になってケルベロス達の個性的過ぎる姿に慌てていたが、一行が事情を説明するとなんとか落ち着きを取り戻す。
「秘密結社……、面白い店は大歓迎だ」
 英世がそう口にすると、メンバー達は次々に自身の意見を店主へと伝えていく。
「私は好きだぞ、こういった趣向の店も」
 眞白は率直に褒めて見せたが、店の雰囲気の割に普通過ぎるメニューが引っかかっていた様子だ。
「甘いトーストは兎も角、コーヒーは美味かったな」
 店内の片づけをしていた睡もそこで顔を出し、メニューについて主観を語る。
「固定客がつかなかったのは、まだ物足りないからかもだねー。もっと攻めよっ」
 店主に傷はないかと診ていた苺。彼女は相談に乗る形で、店の方向性についてアドバイスする。ちなみに、店主に怪我はないようだ。
「ふむ、参考になります」
 ケルベロス達に絶賛されたことで、店主は少しずつやる気を見せていた。
「また来る時は、『別支社の幹部』という体で行ってみたいですわね」
 明後日の方向を見ていた紫姫が店主の方を見つめて。
「……『また来たい』ですの。OK?」
「お、OK」
 有無を言わさぬプレッシャーに、店主は頷く。
 それによって気を良くした自称吸血鬼の紫姫は、小悪魔っぽい笑みを浮かべていたのだった。

作者:なちゅい 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年8月9日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 4
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