ぼろぼろの遊具が並び、錆付いた小型の観覧車が寂し気に立っている。どこもかしこも草が生え放題で、手入れは全くされていない。それどころか人が入った形跡も殆ど見当たらなかった。
「ここが廃墟になった遊園地か……ちょっと雰囲気あるかも」
そんな廃墟の遊園地に少年が足を踏み入れる。暑い夏のはずなのに、その荒廃した雰囲気の所為で少し涼しく感じる。
「噂だと、ここで人身事故が起きて、その所為で遊園地が閉鎖され、廃墟となったこの場所で遊具が勝手に動き出して紛れ込んだ人を襲うって話しだったよな……」
塗装の禿げたコーヒーカップや、馬の壊れたメリーゴーランドに目をやる。そして最後に最も目立つ観覧車へ視線を向けて凝視する。だが暫くしても何も変化がないと緊張していた少年は息を吐いた。
「まあそんなのあるわけないよな。でも今度やる肝試しの場所にはちょうどいいかも!」
少年は夏休みに友達と行う肝試しの場所を探しにここまで来ていた。
「雰囲気はスゲーしな。マジ夜とかだとビビりそう……」
想像しておー怖っと少年は腕をさする。
「じゃあここ第一候補にしとこっと、それじゃあ帰るかなー」
少年が振り返る。そこには魔女が立っていた。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『興味』にとても興味があります」
魔女が手にした鍵が吸い込まれるように少年の胸に刺さる。そして鍵が抜かれると、傷一つ無い少年が意識を失い崩れ落ちた。
その場には既に魔女の姿は消え、代わりに現れたのは遊園地にあるのと同じような観覧車。だがその外装は新しくなり、ぴかぴかに輝いている。
『楽しみましょう♪ 楽しみましょう♪ 殺人ショーの始まりです!』
観覧車がゴロンと回転を始める。人を虐殺する遊具、殺人観覧車がスタートした。
「新しいドリームイーターを見つけたのです! 今度は遊園地の観覧車が敵となるみたいだよ!」
円谷・円(デッドリバイバル・e07301)が新しい敵を見つけたと、ケルベロス達に告げる。
「第五の魔女・アウゲイアスが、少年から奪った『興味』を使いドリームイーターを生み出してしまうようです」
隣に立つセリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)が詳しく事件の情報を提示する。
「現れたドリームイーターは人々を襲いグラビティ・チェインを奪ってしまいます。被害が出る前に敵を撃破してもらいたいのです。敵を倒せば眠った少年も目を覚まします」
今動けば敵が人を襲う前に戦える。そして敵を倒す事が少年を救う方法でもある。
「敵となるのは観覧車の姿をしたドリームイーターです。全長は10mを超えています。その巨体で人を踏み潰したり、中に人を閉じ込めて高速回転してシェイクしたり、ゴンドラを飛ばすといった攻撃をしてくるようです」
その巨体が当たれば、人など容易く死んでしまうだろう。
「現れるのは宮城県にある廃遊園地です。周辺に人はいませんので、倒れている少年さえ巻き込まないようにすれば存分に戦う事ができます」
観覧車が少年を狙う事は無い。少し離れた場所に移せば安心して戦える。
「夏休みに肝試しというのは学生の間ではよく聞く話ですね。そんな他愛もない遊びが悲劇に変わるのを放っては置けません。皆さんの力で人を殺す観覧車を止め、少年を助けてあげてください」
お願いしますとセリカは一礼し、素早くヘリオンの準備へ向かう。
「遊園地ってとっても楽しいものだよね。廃遊園地でもアトラクションを披露してくれるなら、たっぷり楽しみ倒すだけだよっ」
ここでしか楽しめないアトラクションだと円が笑みを見せると、ケルベロス達も楽し気な顔となり、殺人観覧車攻略に乗り出すのだった。
参加者 | |
---|---|
ミューシエル・フォード(キュリオシティウィンド・e00331) |
エイン・メア(ライトメア・e01402) |
小鳥遊・優雨(優しい雨・e01598) |
片白・芙蓉(兎頂天・e02798) |
円谷・円(デッドリバイバル・e07301) |
鷹野・慶(業障・e08354) |
リリス・セイレーン(空に焦がれて・e16609) |
長谷川・わかな(笑顔花まる元気っ子・e31807) |
●廃墟
草木の茂った遊園地跡。物好きしか来ない場所へ雑草をかき分けてケルベロスが足を踏み入れる。
「こんな場所に1人で来たのか、よく来れたなよな……」
廃墟を見て鷹野・慶(業障・e08354)はいかにも何か出そうな場所だと怖がってみせる。
「廃墟の遊園地って雰囲気あるよねぇ……これが夜だったら怖くてダメだったかも、私ー」
周囲を窺う長谷川・わかな(笑顔花まる元気っ子・e31807)は、昼なのに何だか肌寒く感じると腕を撫でた。
「採算が取れなくなると廃墟になるのも仕方ないことですが……寂しいものですね」
遊具を見てそわそわしているボクスドラゴンのイチイを抱っこした小鳥遊・優雨(優しい雨・e01598)は、荒れ果てた姿を見て物悲しい気持ちになる。
「はいきょに入るのってとってもあぶないんだから、おにーさんに言っておかなきゃだよね」
鬱蒼とした風景を見て、ミューシエル・フォード(キュリオシティウィンド・e00331)は危ない場所だと注意する。
「これは熱い光景よ……! フフフ夜を楽しみにする気持ち、よくわかるの」
暗い雰囲気とは一転、片白・芙蓉(兎頂天・e02798)は伸びきった雑草の隙間から遠目に見える観覧車を見て心躍らす。
「廃遊園地って雰囲気あるよね~。何か出たりしないかな。ドリームイーター? そういうのはイイかな……」
もっと浪漫のあるものがいいと、円谷・円(デッドリバイバル・e07301)は朽ち果てた遊具に目を向ける。
「こういう廃墟も趣きがあっていいわね。私はわりとこういうところ好きなのよね」
わくわくした様子でリリス・セイレーン(空に焦がれて・e16609)は錆ついた遊具を見て回る。
「んむんむーぅ、夏の解放感というものは、少年の好奇心たる『興味』を刺激してやまないのですねーぇ」
思案するようにエイン・メア(ライトメア・e01402)は腕を組みこくこくと頷く。
「そんなわけで、まどっちの慧眼によって危険を事前に回避できるまたとない機会、わたしも精一杯頑張りますーぅ!」
そして腕を上げ飛び跳ね元気いっぱいに気合を入れる。すると仲間達もオーッと腕を上げた。
●観覧車
拓けた場所へ出ると、古びた動かぬ観覧車と倒れた少年の姿。さらにその隣にもう1つの観覧車が見える。それはまるで新品のように鮮やかで電気も無いのに自力で稼働していた。
『楽しみましょう♪ 楽しみましょう♪ 殺人ショーを始めましょう!』
アナウンスが流れると、ゴロンゴロンと観覧車が転がるように移動を始めた。
「念の為に安全な場所に運んでおくわっ少しの間お願いね!」
芙蓉が少年を抱え上げ観覧車と反対方向へと運び出す。任せてとテレビウムの帝釈天・梓紗がフラッシュを焚いて敵を眩く照らす。ウイングキャットのユキも少年を守るように敵との間に入った。
「観覧車のトラウマって何かな?」
円は黒い魔力弾を撃ち込み、敵の意識に悪夢を浮ばせる。
『ああっお客さんが0人なんて!? 回る意味がないよね!』
観覧車は動揺したように回転を止める。
「なるほどね~、お客さんが居ないんじゃ動く意味もないよね」
「遊園地はね、みんなが安心して楽しめるところじゃなきゃいけないんだよ!」
相手に言い聞かせるようにビシッと指差してミューシエルが告げる。
「それが出来なかったから閉まっちゃったのに、危ない目にあわせるためだけにまた動かすなんて許せないんだからっ! ミューが生まれる前にはもう閉まってたかもしれない場所だけど、ここで過ごした人たちの想いは伝わってくるもん!」
生み出した弾丸を撃ち出しゴンドラの1つを凍りつかせた。
「まずは涼しげに凍らせちゃいますねーぇ」
続けてライフルの銃口を向けたエインは、冷凍光線を放ち照射したゴンドラを凍結させた。
「氷のオブジェにしてやるぜ、数こそ力ってやつだ」
さらに慶は恐鳥の嘴の如き戦鎚を振り下ろし、ゴンドラを凹ませると同時に一瞬にして凍らせた。
「観覧車のダモクレスではなく、ドリームイーターなんですね、今回は」
ダモクレスにしか見えないと思いながらも、優雨は棍を折りヌンチャクのように振り回して迫るゴンドラを叩き割る。
『お客様ごあんなーい♪』
ゴンドラが口のように開き落下してくると、飛び込んだイチイが中に吸い込まれ、ドアが閉じるとゴロンゴロンと激しく回転を始める。体をぶつけながらもイチイは楽しげに内部をタックルして更に揺れを激しくした。
「遊園地も観覧車も楽しいものだと聞くけれど、殺人ショーは楽しくないわ? こうやって踊るほうが楽しいわよ」
トンッと跳ねたリリスが軽やかに舞い踊ると足元から可憐な蕾が咲き乱れ、甘い香りが観覧車を包み意識を幻に誘う。
「さてさて、人様に迷惑をかけないうちにドリームイーターさんには退場して貰わなきゃね!」
その間に足元に駆け寄ったわかなは鉄鍋で思い切りゴンドラを殴りつけ、ゴーンッと痛そうな音が響きゴンドラが大きく揺れて接続部が壊れ吹っ飛んた。
『さあ、観覧車は今日も絶賛稼働中ですよ!』
観覧車が動き出し踏み潰そうと迫って来る。
「やってるみたいね、クククそれじゃまお掃除といきましょうかっ」
少年を移動させて戻った芙蓉は楽しそうに笑って参戦し、御業を呼び出して観覧車に組み付かせた。だがその巨体を完全に止められずに観覧車はゆっくりと動き割れたコーヒーカップの遊具を踏み潰してくる。
「ずいぶん涼しくなりましたねーぇ、お次は動きを止めましーょう♪」
エインはハンマーを砲へ変形させ、大きな弾を撃ち出して観覧車の軸部分を爆発させた。衝撃に観覧車が軋み動きが鈍る。だがゴンドラが掬い上げるようにドアを開けて迫る。それをウイングキャットの蓬莱が庇うように押し退けて代わりに自らが中へ囚われ、グルグルとゴンドラが回転してシェイクする。
「凍ってたら壊しやすそうだね!」
えいっと凍ったゴンドラに飛びついたわかなは、子ども用包丁を何度も刺して凍った装甲を砕きドアがボロッと外れて落下し、中からふらつく蓬莱が飛び出した。
「観覧車は楽しく遊ぶ為のものだよね、それが人を襲うなんて間違ってるの」
円は空に浮ぶ月を召喚し、降り注ぐ輝きが加護となって仲間達に力を与える。
「廃墟にある観覧車にしては派手過ぎるわね、古びている方が趣があるわよ」
ふわりとリリスは舞うように腕を振るうと、魔力の光がゴンドラを照らし石へと変えていく。
「お次は溶けるくらいに熱くしてやろうか」
慶は竜の幻を生み出し、その顎から放たれる炎が観覧車を炙った。
「あぶなくない遊園地に戻してあげるからね!」
杖を構えたミューシエルは火の玉を放ち、敵にぶつけてゴンドラをさらに燃やす。
「仕方ないですね……遊んでばかりではダメですよ」
激しく揺れる中でイチイが楽しそうに跳ねているのを見た優雨は小さく溜息を吐き、高く跳んで振り上げた斧をゴンドラに叩き込み揺れを更に激しくした。
『お客様、当アトラクションを楽しむ際にはご自由に抵抗してください。それが殺人ショーを大いに盛り上げます!』
上から回転するゴンドラが外れ放物線を描いて落下してくる。
「ヤバイ投げてくるわー! ヤバイヤバイ!」
降って来るゴンドラを楽しそうに見上げ、芙蓉は氷の騎士を召喚して槍っぽいニンジンによる一撃を打ち込む。ゴンドラは弾かれ凍りながら軌道を変えた。
「こっちには来るなよ……って来やがった!?」
運悪く落下地点に居た慶は黒い液体を伸ばしゴンドラを下から貫き、空中で串刺しにした。だが砕けたゴンドラの破片が降り注いで慶は慌てて飛び退いた。
「熱いのと冷たいのを交代で当てたら、ばりーんって割れちゃうんだから!」
ミューシエルが弾丸を撃ち込んで凍らせると、急激な温度差にゴンドラの1つが砕けて落下した。
「大きいからどんどん壊していかないとね!」
鉄鍋を振り上げたわかなは、加速した鍋をゴンドラに思い切り叩き込む。するとグルグル回転して隣のゴンドラにぶつかった。
そこでゴンドラがゴロンとドアを口のように開けてわかなを捕え回転を始める。
「観覧車というよりは絶叫マシンですね……私は遠慮しておきます」
優雨は斧に光を纏わせ、振り抜くとゴンドラを打ち飛ばした。
『前進します、どうか必死にお逃げください♪』
ゴロンと観覧車が動き出す。今度は今までよりも勢いが上がっていた。
「これに踏まれたらぺしゃんこになっちゃいそうなの、みんな気を付けるの!」
月が消えると次は空から薬液の雨を降らせ、円は仲間の異常を綺麗に洗い流してしまう。
「大きい分だけ、小回りは利かないみたいね」
軽やかに横に跳んで躱したリリスはゴンドラに足を掛けて更に跳び、観覧車の中心部まで舞うように跳び続けて蹴りを放った。中心の軸が揺れて回転が止まった。
「マッドプライズ『ザ・ドラゴン』~ぅ♪」
楽しげにエインはドラゴンの眷属より鹵獲した力を快楽エネルギーを以て開放し、翼と腕を一体化して飛翔すると観覧車に巨大な拳を叩き込む。するとゴンドラを繋ぐホイールが大きく歪んだ。
●ショー
『さあお客様、無慈悲に潰されてください!』
「観覧車が動いちゃダメですーぅ。そこでじっとしててくださいねーぇ」
そこへエインは砲撃を連続で行い、爆発で敵を怯ませる。
「遊園地のアトラクションだもん! こわくなんてないよ!」
跳び移ったミューシエルはバールを叩きつけ、窓を割り侵入してゴンドラの中から滅多打ちにして穴だらけにした。
「フフフたっぷり遊んであげる!」
地を蹴った芙蓉はゴンドラに跳び乗り、傷口にナイフを突き立て、抉り込むように傷を広げながら引き抜いた。
「ぅぅ……気持ち悪い……」
わかなは鉄鍋を叩きつけてドアを吹っ飛ばし、目を回し千鳥足でゴンドラから脱出した。
「この調子でゴンドラを全て潰してしまうの」
円が矢を放つとゴンドラの窓を射抜きガラス片を撒き散らした。蓬莱も爪で引っ掻きゴンドラに傷をつける。
「ええ、廃墟に似合う姿に変えてしまうわよ」
リリスはハンマーからの噴射を利用してフィギュアスケートのようにクルクル回転し、遠心力を最大に高めてハンマーを叩き込んだ。壊れたゴンドラからふらふらと目を回したイチイが戻る。
「満足しましたか? なら倒してしまいましょうか」
優雨が空中で指を動かしウルズのルーンを描くと、近くの仲間達を癒しルーンの力が宿る。イチイはまた元気にゴンドラへ向かい、外からブレスを叩き込んだ。
「同じ場所をぐるぐる回る日は終わり。自由に駆けて蹴って来い」
慶が魔法を唱えるとメリーゴーランドの壊れた馬が本物の馬に変化し、観覧車に突進してゴンドラや軸を蹴り飛ばし、歪ませ表面を削り取った。そこへユキが爪で引っ掻き爪痕が軸に深く残る。
『殺人ショーをお楽しみになるには何人か死んでみる事をお勧めします♪』
もう半分も残っていないゴンドラが全て上から落ちてくると、梓紗は可愛い兎の愛らしい動画を流して仲間の気力を高めた。
「遊園地はこわい場所じゃなくて、みんなが楽しむ場所なんだよ!」
ミューシエルは杖を鳥の姿に変えて放ち、飛翔する白き鳥はゴンドラを貫き吹き飛ばす。
「またこっちに飛んでくるのかよ、返却するぜ」
慶が戦鎚を全力で叩き込み、打ち返したゴンドラは放物線を描くと観覧車のフレームにぶつかって砕け散った。
「兎やるわよ! 観覧車で遊び放題よ!」
芙蓉が呼び掛けると草陰からぴょんと兎が姿を見せる。兎は次々と現れ、兎のエネルギー体が地を埋め尽くすと、一気に観覧車に襲い掛かり津波のような衝突に軸が曲がり、低い位置にあったゴンドラは兎が通り過ぎると穴だらけになっていた。
『遊びましょう! 遊びましょう!』
観覧車が重々しそうに回転して迫って来る。
「そろそろドリームイーター遊園地は閉園の時間です」
その正面で地面を強く踏みしめた優雨は、斧をフルスイングして叩き込み観覧車の動きを止めた。
「粗大ゴミに出すにもーぉ、小さく潰さないといけませんよねーぇ」
そこへ観覧車に向かってスカートを翻しながら跳躍したエインは、竜の巨腕を振り抜きホイールを叩き潰して押し戻した。
「もう気持ち悪いのはごめんです。叩き潰しちゃいますよ!」
観覧車によじ登ったわかなは鉄鍋を上から叩きつけ、ホイールを叩き折った。
「最後は華やかな夢を見ながら逝くといいわ」
蝶が飛ぶようにひらりとリリスが舞うと、花に包まれる幻に観覧車が見惚れて動きを止めた。
『もっと遊びま──』
「もう乗客は居ないの、この遊園地はずっと前に廃業してるんだよ」
円が黒い弾丸を中心に撃ち込む。すると観覧車がゆっくり横転し動かなくなった。
●遊戯
「ごめんなさい!」
「今回はミュー達が来れたけど、野生の動物とかホームレスのおじさん達と出くわしちゃったら大変だからね! 気をつけてね!」
めっとミューシエルは少年を叱り、子供らしい仕草に謝る少年の顔から緊張が抜け落ちた。
「夏だし、肝試しも楽しいけれど……刺激はほどほどにしないと楽しめなくなっちゃうわよ?」
遊園地の写真を撮っていたリリスが少年にやんわり釘をさす。
「危険なところに立ち入るのは、ダメーぇ! ですよーぉ? おねーぇさんとの約束ですーぅ♪」
「その根性は評価してあげるの。でも今の日本は物騒故ね、あまり興味本位で動いては駄目よ?」
エインと芙蓉も叱ると、少年は申し訳なさそうに頭を下げた。
「もう危ないことはしないよ」
少年がしっかり反省すると、反省会はこれで終わりとケルベロス達は気分を切り替えた。
「その代わりといっては何ですがーぁ、写真も一緒に撮ったりして、恐怖体験よりも楽しい体験をしましーょう♪」
「写真を撮るなら撮りまくってくれてもいいのよー!」
エインと芙蓉が廃墟の撮影を始める。
「みんなで写真を撮りたいな」
「変なもんが写りこんだりはしない……よな……?」
ミューシエルの言葉に不安な気持ちを隠して慶が並び、皆で揃って遊園地を背景に写真を撮る。
その後ヒールを掛けると、ぼろぼろだった遊具が修復され今にも動きそうな姿を取り戻した。
「コーヒーカップで遊ぶの!」
楽しそうに円は大きなコーヒーカップに乗って人力でクルクル回す。それを見て他の仲間も一緒に遊び始めた。
「廃墟な遊園地もいいけど、普通の遊園地にも遊びに行ってみたいわね」
それを写真に収めリリスは一緒に遊びに行ったら楽しいだろうなと想像する。
「1人だと怖いけど、みんなでワイワイ見てると楽しいねぇ。キミも、もう1人でこんな所に来ちゃダメだよ?」
「うん、今度はみんなで来るよ!」
遊園地は皆と来るものだとわかなが言うと、少年は深く頷いた。
「楽しめましたか?」
優雨の問いにイチイが胸元に飛んで抱っこされ、もっと遊ぶと指差す。それに微笑み返して優雨も一緒に仲間の元へと歩き出した。
作者:天木一 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2017年8月8日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 7
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