●ケルベロス大運動会
度重なる全世界決戦体制――ケルベロス・ウォーの発動。これによって世界経済は大きく疲弊してしまった。
この経済状況を打破する為におもしろイベントで収益をあげようという事になる。
つまり、ケルベロス大運動会の開催だ。
ケルベロス達に通常のダメージは効かない。
そこで世界中のプロモーター達が、危険すぎる故に使用できなかった「ハイパーエクストリームスポーツ・アトラクション」の数々を持ち寄り、巨大で危険なスポーツ要塞を造り上げたのだ。
第2回ケルベロス大運動会の舞台に選ばれた国、それは『ケニア』だ。
ケニア各地で、ケルベロス達の挑戦をそれらは待っている。
●アフリカごはん
「今年もケルベロス大運動会頑張ってねー、ってことでせっかくのケニアだから、本場のアフリカ料理をお昼に食べてきたらどうかなと思って」
オススメのお店をいくつか調べておいたよと夜浪・イチ(蘇芳のヘリオライダー・en0047)は紡いだ。
「わーい! お昼ご飯! ピックアップありがとう!」
と、ザザ・コドラ(鴇色・en0050)は尾を跳ねさせ、どんなお店なのと尋ねた。
「うん、とりあえず首都の方と、海辺の方で一件ずつ。どこ行ったらいいかなーってわかんない人もいると思うから俺のオススメを教えるね」
というわけで。
「ひとつめは、野生動物のお肉を食べる事ができます」
「野生……動物……?」
「うん。乱獲は禁止されてるんだけど、許可のある店は出すことができるらしくて」
イチが調べてきたひとつは首都にある『野生動物の肉』を食べる事が出来る店。
野生動物の肉はゲームミートと呼ばれている。野生動物の乱獲は出来ない為、許可のある店でしか出せないとのこと。
「ワニとか、ダチョウとかシマウマとか。キリンとかガゼルとか。その日の仕入れによって変わるんだって。もちろん牛とか鶏とかもあるよ」
「ひえぇ……わ、わに……きりん……確かにケニアじゃないと食べれないおにく……」
「そだね、ケニアならではってお店。もうひとつは海辺の方にあるお店で、海産物系」
海辺の町にある『海産物万歳』なお店。
透明度の高い海へ突き出すように作られた広いテラスに客席が構えられている。海風を感じつつ、美味しい海産物を頂くというもの。
「海産物は甲殻類が多いね。イセエビみたいな感じのを、縦に真っ二つして焼いた感じのとか、カニまるごとどーんとか。貝とかも焼き立てあつあつがくるね」
「焼き立て海鮮ってだけでおいしそう……」
海産物は豪快な感じの料理。凝った味付けというより素材の味を楽しむような調理方法とのこと。
そこで、でもとザザは言う。
「でもでも! ケニアっぽいご飯も食べたい! 野生動物のお肉はケニアっぽいけど、こう主食的なのとか。一般的に食べられてるものとかー」
「あ、それは大丈夫。だいたいのお店では、ケニアで一般的に食べられているウガリとかあるみたいだから」
「うがり? どんなのか想像できないけど頼めばわかるかしらかしら」
「うん、きっとそれが一番だね。それからケニアって紅茶の産地でもあるからどこのお店でも飲めるみたい。ミルクティーにすると美味しいって」
それからもちろん、ぱっと目に付いた店にふらーっと入ってみるのもありだと思うよとイチは続ける。
が、しかし。マーケットの片隅にあるようなところはぼったくられたり。さらに衛生的にアウトな所もあったりするので、そういう所に足を向けるなら自己責任。ケルベロスなのでダメージを受けて死にはしないが、お腹の調子が大変なことになる可能性はある。何があっても覚悟の上でとのこと。
「俺が教えてあげられるのは俺が行ってもおいしく食べられて大丈夫そうなとこが基準だから、自分で開拓する人は自己責任でね」
けれど、一応用心はして、生水、生野菜等はとらずに火の通ったもの食べて欲しいとイチは言う。
「ケニア料理楽しんで食べて、大運動会頑張ってね」
大運動会の合間のひと時、お腹いっぱいになればそれからも頑張れるはず。
●海ごはん
ほんとに豪快だねとシルとクローネは顔見合わせる。
目の前には大きなカニにロブスター。けれどそれだけではなくて。
「んー、わたし、これ好きかもっ♪」
ビーフシチューみたいで、でもさっぱりとシルはカランガを勧める。
「ティラピアのココナッツシチューやフライも、ぼくは好きだな」
と、クローネとシルはちょっとずつ交換を。
「デザートも忘れないようにしないとね」
「ミルクティーもね!」
楽しい食事は始まったばかり。
海上レストランは初めてのヒナキ。
思ったより過ごしやすいわねとヒメも言う。
そして初めての料理にそわそわ。
自宅で再現できないかな、とこっそり思っていると。
「これも美味しいわよ、ヒナキ」
ヒメはあーんとエビをヒナキの口許へ。
するとお返しにヒナキからヒメにもあーんを。
たまにはこういうものも良いもの。
「お、来た来た。って、マーケットで並んでるのを見た時も思ったがでかいな?!」
更にどーんとトマトベースで煮込まれたティラピア。そして塩焼きのエビに主食らしいウガリ。
それを前に覇漠があげたのは驚きの声だ。
「手づかみで食べるのが伝統とはいえ、スプーンもあるから無理をするなよ?」
莉音は頷いてスプーンを。
「わああっ、とってもとっても美味ですなのね~♪」
ピラウというポイラフのようなものを莉音は一口。
食べてみれば美味しくて、頬に手をあてどんどん進む。
豪快に魚の頭から、骨も気にせず食べていたクロセルは次に蟹を。
「これは、食べたことが無いのでな、楽しみである」
殻ごとそのまま、しかし予想以上の硬さに口を離し、誤魔化すように笑顔を作る。
その横でもくもくと煉三はウガリにカランガを合わせ食べていた。
「ん、美味いな」
そして、莉音のトルゥティにもお裾分け。
生魚は少し不安なので、焼きエビを。
今日は兄弟で。
「気になるし、ちょっとシマウマの肉を食べてみようかな」
ルークは手を伸ばし、まず一口。
「中々いける味だな……牛肉に近いかも?」
弟のウェルシェはキリンを。けれど兄のも気になって。
「お兄ちゃんのも食べたいな。交換しない?」
「よし、ウェル。交換するか? ほら、あ~ん」
ルークが口元に運べばどこから食べようかとウェルシェは迷って、意を決しぱくっと食べれば肉汁の熱さに驚いた。
ルークはその姿に大丈夫かとおろおろと。
シィラはふと、エルガーへ視線向ける。
異国の地で一緒にこうして食事を。
彼の優しさを返したいとも思う。そこでそうだ、と思いついたのは。
「いつもお世話になってるお礼、今日の海産物はご馳走させて下さいな」
「ん? ……では、今日はご馳走様。その代わり、次回は俺に任せてもらおう」
彼女がどうであるのか、エルガーは分析することをやめる。
それよりも今を楽しみ、彼女もそうであれば嬉しいのだから。
そして次の約束を。
この前は山だったので今日は海。
でてきた魚介類を平らげ、締めにはミルクティ。
「俺、割と山の方の出だから海って身近じゃなかったんだよなぁ」
つかさの言葉にレイヴンも。
「……俺も海はこの前行ったくらいだな」
そして今度、ミュゲも一緒に泳ぐのもいいかもしれないと、穏やかな時間。
「ぉー! 赤くて固くて強そうですね!」
「わぁ~! こういう豪快な調理方法も味があっていいですね!」
直火で焼かれた甲殻類にエフイーは驚いて。
思い出話をしながら食べていればふと。
「海の眺めも良くて、料理も美味しい……それをアッシュさんと一緒に楽しめるのが、とっても嬉しいです」
「私も……とっても楽しいです。これからもっといろんな世界を見せてくださいね」
肩に頭預け、アシュレイも笑む。
食べたい、けれど自分で殻を割るのは。
「へい2人共、ジャンケンしましょう」
そうザザとペシュメリアに持ちかけたのは茜。
敗者には殻を割らせる――策士ここに極まれりと笑み零して。
「……凡その見当がつくのですが」
ぼそっとペシュメリアはザザに目配せ。
ザザも分かっていると頷く。
負けるとは誰も微塵にも思っていない。
それは一発勝負。
剥いたげるよ、と手を出せば。
「べ、別にいいわよ、自分でやるから」
「え、自分でする?」
じゃあ剥き方教えると隼の手元をジョゼは凝視し、見様見真似。
暫し無言で格闘しておまちかねの頂きます。
「あ、美味しい……」
「あーーーうっまい! サーセン麦酒くださぁーい! ジョゼちゃんは? 何飲む??」
「えと、じゃあパインジュース……」
潮の薫に夢中で頬張っていたジョゼは顔あげる。
今回はオレのおごりだというマサムネの声にごちになります! の、声が重なって。
折角のごちそうだし楽しまないと、と儚は言う。
ケニアというと、草原な印象。けれどこういう景観も楽しめるのは以外で嬉しい驚きだと信吾は言って、けど、と思う。
何度見ても同じ卓を囲むのは野郎ばかり。
「可愛い女の子もいれば尚更いいのに」
男子会だしな、と信吾が言うと。
「男子会に可愛い女子が居なくてすまんな」
かわりに結城を推しておこうとシャルフィン。
その結城は飲物をついだりと気を利かせつつ、ちょこちょこ口にしていた。
日本を飛び出していろいろな知識が手に入る気がする。
でも相変わらずなものもと儚はマサムネ達を見て思う。
「あっ、見られてたか」
というのはシャルフィンにあーんするマサムネ。
「いろんな意味で御馳走様っした!」
と信吾が言えば笑い声。
今年の夏も皆と一緒に海の幸を食べられて嬉しいとイヴェットは潮の香とさざ波の音に目を細め贅沢な時間ねと零す。
どれも美味しそうで選べないとラズリアは笑って、出した結論は。
「全部頂いちゃいましょう! 大丈夫ですよ、ちゃんと全部食べますからっ」
色々と並ぶ料理にエレオスは、わ、と驚きの声。
「大きいエビさんが真っ二つになってます……!」
どれから食べるのか迷いつつ、できたてはあつあつだけど、美味しいとエレオスは笑み。
折角なのでとウガリなどもと結弦はまずそれをぱくり。
「……ちょっと淡白な気がするのは日本の味付けになれているからなのか、食べなれていないからなのか……」 けれどそれも魚介と共に食べれば美味しく。
貝も美味しいとイヴェットが笑み零すとそれも美味しそうでオーダー追加でっ! とラズリア。
そしてお腹いっぱいになったら、運動会の続きを。
多少食べ過ぎてしまっても、大丈夫。
●街中ごはん
ミシェルとノルはお店の開拓。
というのも、飲食店を営んでいる者としてはコーヒーや紅茶でよい物があれば購入したい。
「ここでは難しいですが帰国したら水だしコーヒーも試してみたいですね」
これは良さそうだとマーケットで仕入れるミシェルの姿にノルは俺もいつか、こんな落ち着いた雰囲気になれたらなと思う。
ケニアの味を店でも味わえるように二人の仕入れは続く。
「わたくしの推し肉は黒毛和牛ですけれども。おまけにベジタリアンですがアフリカのご飯には興味ありますのよ」
「いやエフェメラちゃんめっちゃ矛盾したこと言ったね!?」
直接狩る事が出来ないのは残念だが、郷に入っては郷に従えと、半分冗談混ぜながら釧が最初に手にしたのはダチョウの串焼き。
「卵は割と有名だが肉は初めてだ」
「俺はワニ気になるな、ワニ」
強ェヤツの肉食ったが精もつきそうだろとローデッドは言って、一口食んで満足げに頷く。
最初は皆の表情見つつ、肉を選んでいたダリルはヤギの丸焼きをみて。
「何かものすごい豪快に焼かれている……」
「まあ、百聞は一食にしかずと言う。食べるといい」
未明はダリルの皿へその肉を。
「……キリンの肉も、あるのね?」
「おれもキリン食べたい」
じっとその肉見詰めていた宿利は未明へとおすそわけ。
「私、前にキリンの絵、余り上手に描けなかったから食べたら上手にになるかしら……」
「いっぱい食べて上手にキリンが描けるように……」
「画力は……上がるのか?」
瞬くローデッドに宿利と八幡は冗談と。
エフェメラはキリンの肉も食べられるなんて、と串を持ち。
「ああ、ああ、兎の前で他の動物のお肉を頂くのは少々心が痛みますけれども、兎も好きですのよ」
「じゃあ締めは兎肉でお願いします!」
そう言って八幡はチラッ。
「美味しく食べられれば本望だろうよ」
昔からミートパイにされたりするしと未明も笑って。
「別にウサギ肉を食うなとは言わないがこっちを見るのは止めろッ」
「美味しそう感が半端ない気がする」
そう言ってダリルもぱくりと。
場所や雰囲気が変わるだけで、いつもより美味しく感じられるような賑やかで楽しい時間。
食べたことがない肉ばかりで、悩みつつイヴリンが選んだのはガゼル。
どんなものかと思いつつその串にかぶりつくと美味で『ヤバい、うまい!』と心の中で叫びを。
その隣でユアはキリンの串焼き。そして一口食べた瞬間にぱぁっと花咲く表情。
そしてイヴリンを見ると、同じようで。
美味しいねとサムズアップするとイヴリンも同じように。
半分くらい食べて、気になって二人で交換を。
海上レストランも気になったけど、やっぱケニアでしか食べられない物を。
「ワニ、ダチョウ、シマウマ、ガゼルは分かるけど、キリンまで食べれるのね!」
ユーロにそうねと頷いて、ルリィはキリンやガゼルは想像付かないわねと目の前の肉を見つめる。
「お姉さまが食べてるのも美味しそう」
と、ユーロの視線にルリィはちょっとだけよと分ければお礼にとあーんでお返しが。
肉食の俺よりハニーのほうが随分楽しそうだなと虎次郎が笑うのはブリュンヒルトの姿を見て。
キリンとガゼルを食べて、ブリュンヒルトはガゼルの方がご飯に合うかもと楽しげだ。
「はいダーリン、あーん♪」
差し出された肉にがぶっと虎次郎もかぶりつく。
二人で楽しく食べて満足して。
お腹だけでなく心も満たされる。
ちょっとした罪悪感は振り払って代わりに感謝していただきます。
ティルエラはその癖のなさに少し驚く。
どうぞと差し出された肉にトーマは一瞬ひるみつつ。気恥ずかしいけれどもらって。その様子に其程照れる物ですかねとティルエラは首傾げる。
「ティルエラさんみたいな綺麗な方にされたら照れますよね!」
そう言ってロゼットはティルエラとトーマ、それぞれにあーんと差し出す。
ティルエラはフォークから躊躇いなくぱくり。
ちょっとずつ交換すればどの肉も美味しい。
最後には紅茶にミルクでごちそうさま。
アラドファルにとっては馴染み薄い野生動物の肉。
「綾も食べてみて、この、手、付いてるやつ……お願い……」
「……手のところ? うん……うん! おいしいのじゃ!」
ワニの手と握手しながら綾はもぐもぐ。
どんな生き物とでも仲良くなれそうだなと、アラドファルは思いつつ、肉だけじゃなくて野菜もと世話を焼く。
その肉は未知の世界。
「俺たちが食物連鎖の頂点だ!」
と、あぽろが選んだのはワニ。
「あの凶暴な肉食獣を食えるなんてな……へへっ、ワニより強くなった気分だぜ。味は……弾力ある強い肉、美味い!」
意外とあっさりしていていくらでも食べれそう。
こんな味がするのですねとロゼは今口にした、キリンの肉を見詰め、美味しいと零す。
「ふむふむ。サバンナを駆けるだけあってか、筋が硬めですね」
シルクはシマウマを食べ、もぐもぐと食べごっくんと飲み込む。
「まさか野生動物の肉が食えるなんてな」
「これがガゼルの串焼き……今の私はライオンなのね」
そう言ってベルカナもぱくり。
そうなると他の肉も気になるもので。
「皆さん、もしよろしかったら、食べさせあいっこしませんか? 私のキリン、美味しいですよ!」
「私のガゼルもどうぞ! 飛び跳ねたくなる美味しさよ」
大自然の力と生命を頂いて午後からも一頑張り。
口にしたワニは鶏肉に近い感じで。
「でも、もっと弾力がある、ような? 如月ちゃん、そっちはどぉ?」
萌花はよかったらとあーんで差し出す。
「わぅ、周りに人いるのに……もぅ……あーんっ……んむ……あ、美味しいしぷりぷりしてる……♪」
ダチョウも香料たっぷりでと如月からもお返しのあーん。
その後はチャイを二人で。
「食の開拓も興味津々でしたが……」
野生動物が食べられるのは許可店だけ。
いぶきは色んなお肉を食べ比べてみようと思っていた。
何より先ず、よく食べようと思ったのかと心躍る。
デフェールの口周りについていた肉の欠片。
それを指で拭って里桜そのままペロッと。
「……塩もおいしいから、お肉が一層おいしくなるのかな? デフェ、どうしたの?」
「ペロッとされたらそりゃ照れるに決まってんだろ! 今オレめっちゃ照れてんの!」
そう言いつつも、里桜の気持ちはすでにミルクティーに向いて注文中。
「鰐と駝鳥……? アラタちゃん凄い」
私はどれも初めてとメイはかぷり。
「わ、美味しいね」
「意外と食べやすいのですね」
梅はお次はとウガリをスープに浸して。
「ウガリはご飯なの?」
「メイ様、ウガリももちもちしていてとても美味しいですよ!」
野趣あふれる風味と歯応えとアイヴォリーもあれこれ欲張り。
「さあ、これでシマウマみたいに走れるようになるかしら?」
「アフリカパワー? 大地に帰るかな」
それを聞いてアラタはニヤリと笑って、持ってきたものを取り出す。
「じゃーんっ♪」
「ハイギョフライ!」
「実は露店を探して買って来た! 分かち合おう」
皆で気になっていたハイギョフライ。
メイとアイヴォリーは瞳輝かせる。
その味は想像と違うけれど美味しくて。
「食べたいと言ったの、覚えてくれていたのですね」
皿はすぐに空っぽになるがお腹に余裕はまだまだ。
「ワニ肉は歯応えのある鶏肉という感じだった。ダチョウ肉はどんな感じなんだ?」
「ダチョウは馬肉みたいで美味しかったですわ~」
有司の問いにシアは笑って。
「お塩のみですから素材の味がよく味わえますね~」
串料理は気軽に交換できるなと言い、食後の紅茶も楽しみで。
ケニアをお腹いっぱい満喫。
ロディが食べるのを見て。
「どう? おいしい?」
「ほら、これなんかあっさりした味だから翼でもイケるんじゃないか?」
翼はそっかとロディのを横からぱくり。
「……って、オレの喰いかけを直接齧るなよ!」
自分の喰えよなとごくんと飲み込んでロディははたと瞬いた。
「……って、おい。これって、もしかして……」
「じゃああたしの分食べていいよー、はい、あーん♪」
口元に差し出され、たじたじのロディ。翼はもちろん、わかってやっている。
「……みんな、どーぞなの……」
いつも仲良くしてもらってるお礼とリィナは皆で大皿の肉をシェア。
「こっちのパンにはさんで食べるのも美味しいよ~みんなもやってみて~」
と、チャパティに挟んで緋霈も勧め。
「ん~……ライラはよく食べるに~見てて気持ちいい~」
ライラに次々差し出していく緋霈。
「むー……美味しいですけど、これは少し恥ずかしいです……」
ライラは戸惑いつつも目の前の食べ物の誘惑に勝てず素直にぱくりと。
それを見てあーんとエリスは叔牙におねだり。
実は肉は苦手な叔牙はスクマウィキやウガリ、ピラウを。
そのピラウを一口、エリスへ。
そのお返しはダチョウバーガーだ。
「おとと、バーガーあーんって結構難しいね…」
「とと……崩さぬ様、食べるの。結構大変……」
その妹の様にユッドベートは笑み零し、隣のエリスへと笑いかける。
「エリスちゃん、どうです? 楽しめました」
これも美味しかったですよとユッドベートが勧めると。
「……わぁ、美味しそうなの……ほんとに、食べて、いいの……?」
と、リィナは満面の笑みと共に。
豚肉が食べたいけれど、この際なんの肉でも。
ガゼルはさっぱりした牛のよう。次のシマウマはきっと美味しいはずと食べるが、微妙とリリはルースへ無言で押し付けて。
利き肉紛いの事をするのだろうと思っていたら案の定と回された肉をルースは口にする。
キリンは悪くはないとリリが思ったところで。
「……おい、俺のキリンはどこだ」
「あぁ、アンタのキリンならば」
ライオンが食っていったわよとリリは笑う。
木蓮はまず一通り肉を食べて。
そして許しを貰ったのでワサビ醤油を。
「ケニアの大地の育んだお肉と日本の発酵文化の生んだ調味料のコラボです」
どっちも美味しいと手は進む。
初めてのダチョウ肉。
「んむ、食べ応えあるな。締まった感触が面白い」
そっちは、とヒコが問う前に春次は。
「……ん? ん!? 美味い! ワニ、めっちゃトリ!」
「ワニなのにトリなのかよ」
食レポ下手くそすぎるんは何時もの事、食べてみと差し出された串をどれ一口と貰って、あげて。
「他も意外な味がするんやろか?」
次は何を、と問えば伸びる手に肉は攫われ。
「――……って、それは俺の肉だろっ!」
早く食べんと無くなってまうでという声に、ヒコは春次の方の串に手を伸ばす。
「これがキリンの……」
伝説の動物と同じ名。食べると強くなれそうな気がいたしますとカノン。
それは噂によるとハムのような味とのこと。
その目の前にリティアが差し出す一口分の肉。
「はい、あーん♪」
せっかくですしわけっこしましょうとリティアに差し出された串にぱくり。
「美味しいですっ……! けれど、少し照れてしまいますね」
そう言いながらもとても幸せそうにカノンは笑む。
癖があるけど食べやすいとガゼルの肉を食べミルラは皆にもと差し出す。
こうして並んでるのを見れば普通の肉と緋織は零しワニから。
「じゃあメリッサはキリンのお肉からいきます」
メリッサが口にしたキリンは甘みがあって。
皆でちょっとずつ交換。
「異国のものは何かと新鮮だ」
「これ、日本でも作れそう?」
肉以外のものを食べていた緋織がそう言ってミルラが頷く。
「そうだね、日本で手に入るものでも作れるのかな?」
今度試してみようかと言うと、味見くらいならと緋織。
メリッサも皆様にもご馳走したいなぁと頷いた。
肉食男子会inケニア、ということで。
「今日はケニアならではの肉を食べるぞー!」
宵一の一声に思い思いの注文を。
「『ワニの串焼き』って字面すごいよね」
メニュー見ながら樹は唸り。
「肉以外ももちろん網羅しよう」
と、晟は言って副菜なども色々と。
日本ではないし、しっかり火は通した方が良さそうな。
そんなわけで焼きが足りなければブレスで何とかしようと晟は言うのだが。
「炭にならないようには善処しよう」
そんな不安もあったり。
ミツキはガゼルの足一本にワイルドに噛みつく。
「んー、うまい! 肉が大きいとより美味しい気がするぜ」
「樹のはワニ?」
ちょっと食べ比べと一切れずつ宵一と樹は交換。
なんだかそれぞれ、イメージとは逆な感じがと樹は言う。
晟は塩だけではと思い胡椒を持参。
ミツキは日本で再現してみようとカランガやギゼリを味わっている。
「肉じゃがっぽいが……トマトベースなのか」
ロイコってのは日本じゃ手に入らねぇのかなと言うミツキに探してみるかと晟は言って、この後の事を思う。
ビールは欲しいが、他にもまだやることがあったなと。
まだケルベロス大運動会は終わっていない。
お腹を満たして、午後からもケロべロス達は様々なものに挑戦してゆく。
作者:志羽 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2017年8月12日
難度:易しい
参加:86人
結果:成功!
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