岩屋の絵画

作者:寅杜柳


「ふう、ふう……この防空壕の奥に没落した名家の人間が大切な絵と共に眠ってると聞いてきたけど」
 ランタンを片手に暗い洞窟を歩く一人の青年がいた。
「没落して、それでも売り払わなかった絵。最期は持ち主が狂気に陥って、絵に近づいただけの他人を切り殺し、死んだ今でも絵に近づく人間を殺しているとか噂を聞いたけど……一体その絵がどんなものなのかわくわくするね」
 暗闇の中を長時間歩き続け、疲れているのか単に心細いのか独り言を呟いている。
 歩くうちに終点と思しき扉にたどり着いた。その先に何があるのかを確かめようと扉に手をかけたその時、青年の背中の中心に魔女の鍵が突き立てられる。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『興味』にとても興味があります」
 『興味』を奪われ倒れ伏した青年からあらわれたのはボロボロの貴族服を纏った骸骨。その腕にはモザイクで埋められた絵画のようなものが抱えられていた。

「とある噂話に興味を惹かれて調査に向かった人がドリームイーターに襲われて『興味』を奪われてしまう事件が起こったみたいです」
 ケルベロス達に向けて、セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)が事件の説明を始める。
「『興味』を奪ったドリームイーターはすでに姿を消したようですが、それを元に現実化した怪物型のドリームイーターはそのまま残っています」
 放置するわけにはいきませんから、このドリームイーターが人を襲う前に撃破してください、とセリカが告げた。
 ドリームイーターがあらわれるのは、防空壕として使われていた洞窟の最深部。
「戦場になる場所は元々資材の備蓄に使われていた部屋で、戦闘に支障のないくらいの広さになっています」
 敵の姿はボロボロの貴族服を纏った骸骨といった風体で、鍵を手に出現させて抉るように攻撃してきたり、その手に抱えた絵画からモザイクを飛ばす攻撃手段があるようだとセリカが説明する。
「自分に……というよりも、絵に近づく者を無差別で攻撃するみたいです。誰にも奪わせない触れさせまいとして、手当たり次第に」
 ちなみに噂の元となった人物はいたそうですが、今現在この防空壕の中には何も残ってないようです、と語る。
「それからこのドリームイーターは人間をみつけると自分が誰かを問い、正しく答えられなければ殺してしまうようです」
 もしその性質を利用できれば戦闘を有利に運べるかもしれませんね、とセリカが言葉を切る。
「ドリームイーターを倒すことができれば、被害者の青年も目を覚まします」
 こんな形で命を終わらせてしまうのも、誰かを傷つけてしまうのも悲しいですから、どうか宜しくお願いします、とヘリオライダーの女性は締めくくった。


参加者
シィカ・セィカ(デッドオアライブ・e00612)
ルヴィル・コールディ(黒翼の祓刀・e00824)
槙野・清登(棚晒しのライダー・e03074)
嵐城・タツマ(ヘルヴァフィスト・e03283)
ヒルメル・ビョルク(夢見し楽土にて・e14096)
城間星・橙乃(雪中花・e16302)
エストレイア・ティアクライス(さすらいのメイド騎士・e24843)
モヱ・スラッシュシップ(機腐人・e36624)

■リプレイ

●暗闇の中へ
「何を思ってこんな所に来たのかねえ」
 ライトの広範囲モードで視界を確保しつつ、槙野・清登(棚晒しのライダー・e03074)が呟きながら洞窟を歩く。
「ま、夏だしな。肝試しだとかちょっとした冒険だとかに掻き立てられるのはわからんでもないぜ」
 嵐城・タツマ(ヘルヴァフィスト・e03283)が同意を示す。
「これだけ長い洞窟も珍しい。なにより日が当たらないのが最高だ」
 クソ暑い中で戦うのはげんなりする、と顔をしかめる。
「持ち主が狂気に陥いる程の絵ね……どういった経緯があったのかしら」
 澄まし顔で歩みながら城間星・橙乃(雪中花・e16302)が呟く。
 感情の起伏は小さいが、初めて見る防空壕とそれに纏わる話には密かに興味がそそられている。
「現在の様に画像データを複製出来なかった時代の『原画』への思い入れは相当なものでショウネ」
 しかし、墓暴きの真似は感心出来ないと内心憤るのはモヱ・スラッシュシップ(機腐人・e36624)。
「おお、なんか出そうな雰囲気するな~」
 ランプを片手にのんびりとした口調で興味津々な様子を見せているのはルヴィル・コールディ(黒翼の祓刀・e00824)。その足元にはテレビウムのくしくしが、遅れないようちょこちょこ歩いている。
 時折愛用のギターを爪弾きながらシィカ・セィカ(デッドオアライブ・e00612)もその手の懐中電灯を何かが出そうな暗闇に向けている。
 念の為、ヒルメル・ビョルク(夢見し楽土にて・e14096)が殺界形成を行っている為、少なくとも戦闘中は他の一般人が洞窟内を訪れる事はないだろう。当人はさり気なく、好奇心に忠実に洞窟を眺めながら歩いている。
(「被害にあった青年の為にも、必ずや倒してみせましょう!」)
 気合を入れて、足取りを早めるのはエストレイア・ティアクライス(さすらいのメイド騎士・e24843)。
(「これ以上誰かが傷つく前に、倒す、だな!」)
 その気合に満ちた姿を見てか、ルヴィルもぐっ、と気合を入れる。

「……それにしても長いな。敵はまだか?」
 最初探検を楽しんでいたタツマも少し飽きてきたのか、愚痴をこぼす。
「ンー、もう少し……あっ、扉デスよ!」
 シィカが懐中電灯で照らした先には扉。この先にドリームイーターがいるに違いない。
「……暗く、重い空気。殺人鬼が住まう場所としては、実に見事な立地と言えましょうか」
 大抵の場合、壕や洞窟というのは絵を保管するには不向きな環境ではありますが、そういったことを語るのは無粋ですからと、ヒルメルがこのドリームイーターの元となった噂について語り始める。
 怪談を好んでいるからか、その語り口は妙に恐怖を煽る。
「さて、この先にいるのは殺人鬼ではなく、人を襲う怪物。準備はよろしいでしょうか?」
「こんだけ長い道歩かされたんだ。さっさと開けるぞ!」
 タツマが扉を蹴破るように開く。幽鬼のように佇む、骸骨のようなドリームイーターがそこにいた。

●興味より生まれしモノ
 ドリームイーターの姿を確認したヒルメルが一歩下がる。
 部屋への侵入者にドリームイーターが自分が何者かわかっているのか、とでも言うかのような態度でケルベロス達を見やる。
「んっんー! キミが何者か、デスって? では、ロックなボクがロックに! お答えするデス!」
 この空間の陰鬱な空気を吹き飛ばすようにシィカが大げさな身振りを交えて答える。骸骨の表情の動きはないが、ドリームイーターも注目しているようだ。
 その間にエストレイアが点灯したライトを周囲にばらまき視界を確保。橙乃は周囲を見渡し、青年の姿を確認する。既に部屋の端の方に倒れている為、巻き込まずに済みそうだと僅かに安堵する。
「キミはずばり! お屋敷に仕えていた執事のジョバンニデス! ロック!!」
 違うそうじゃないとばかりにモザイク塗れの絵からモザイクが飛び出しシィカを襲う。ノータイムだった。
(「……思い通り!」)
 勿論これは誤った回答を行った者を殺そうとする性質を利用する為の言葉だ。攻撃が来ると予想していたため、すぐにギターをかき鳴らし己の傷を癒す。
「支援であればこのメイド騎士にお任せあれ!」
 その歌をバックミュージックにエストレイアが騎士らしく、威風堂々とした立ち振る舞いから星座の護りを前衛に施す。
 さらにヒルメルが赤鉄の鎖で地面に陣を描き、守護を与える。
「それなら迷い込んだ猟友会の方デスネ。その手にお持ちの銃……アッ」
 鍵でした、とモヱも平然と誤った答えを述べる。
「え~……お前は俺だ!」
 さらにルヴィルが敢えて間違った答えを叫ぶ。
 骸骨なので表情の変化は分からないが、おそらくは怒っているようだ。
「よそ見してんじゃねえぞコラァ!」
 そんな様子に構うことなく、タツマがオウガメタルを硬質化させた鋼の拳でドリームイーターを殴り飛ばす。仲間が注意を惹き、癒しを十分に行っているのであればタツマのやるべき事は極めてシンプル。特に芸術品に興味もあるわけでもないため、躊躇いもない。
 連携して清登が伸ばした鎖がドリームイーターを締め上げる。しかし絡んだ鎖はすぐに振りほどかれ、その手に持った豪奢な鍵がルヴィルを斬りつける。
 主達の傷を癒すよう、くしくしが応援動画を流し、倒れないように鼓舞。モヱもそれに合わせ、生命力を活性化させる電気ショックをルヴィルに飛ばし、傷を完治させる。
 モヱのミミックである収納ケースが偽物の財宝をばらまき、怪物を牽制、
「いけ! 相棒!」
 加えて清登の相棒がメタリックなボディに高熱を纏い突撃。更に清登がドリームイーターの足元から溶岩を噴出させるが其方は回避された。携帯即斬や猟犬縛鎖はと比べるとこちらは少々当て難いようだ。
「よし、くしくしいくぞー!」
 ルヴィルが促しつつ、縛霊撃でドリームイーターを殴りつける。
「冷え冷えと、香り漂うは冬の華――」
 橙乃が鍔に水仙の紋様が彫られた日本刀をゆるりと振る。すると水仙の花が周辺に漂い、甘やかな凛とした香りが周囲に広がる。同時に広がるのは冬の凍てつく寒さ。冷たく怜悧な刃となった水仙が冷気と共にドリームイーターを切り裂き、そこに隙を見出したシィカが連携して殺神ウイルスを撃ち込む。
「オラァ!」
 さらにタツマが鎖を伸ばし縛り上げようとするも、まだ足止めが不十分であったからか幽鬼のような動きで回避される。
 反撃にタツマにモザイクを飛ばそうとするも、
「それは通しません」
 その一撃をモヱが雷の杖で代わりに受け止める。
「かの者に、守りの加護を!」
 エストレイアが双剣を一旦収め、祈りを捧げてその傷を癒しつつ防護の力を与える。何に対して祈りを捧げているのかは彼女自身分かっていないが、効果自体は確かだ。
「さぁ、ここからはボクのロックなステージデスヨー!」
 シィカがギターを一気にかき鳴らし、その血に流れる力を声に乗せて仲間に加護を与える。
 エストレイアとシィカの回復を確認したモヱが、神をも殺すウイルスをドリームイーターへと撃ち込み、さらに収納ケースが噛みつく。そこに清登の鎖が齧り付くように絡み動きを束縛、橙乃が不活性のグラビティの代わりに気咬弾を放つ。回避されそうになるが、捕縛で動きが鈍らせた事が幸いし命中。よろめいたドリームイーターにゆらりと、魔法の木の葉を纏ったヒルメルが影のように忍び寄り、視認困難な刃でドリームイーターを切り刻む。
(「これならいける……!」)
 エストレイアが背後に被害者の青年を庇うように立ち、状況を分析する。
 ドリームイーターの攻撃は同時に複数を狙えるものではないがその分威力は高い。
 しかしディフェンダー達が庇い、抑えられたダメージを前衛だけでなく中後衛が癒す。
 相手がジャマーであるため複数トラウマを受ける事もあるが、重ねて付与された耐性と連携の取れた回復でそれもすぐに解消される。
 さらにわざと間違えた回答をしたディフェンダー達に集中的に殺意が向けられているのもあって、護り手以外に攻撃を受けているケルベロスはいない。
 仮に集中攻撃を誰かが受け、倒れるような状況になるようならエストレイアや清登も間違った答えを言って気を惹こうとしていたが、それも無くてよさそうだ。
 戦況は、ケルベロス達側の優位へと傾いていた。

●狂気の末に
 密閉空間に、水仙の香りが漂う。
 橙乃が何度も展開した歳寒幽香はその芳香と冷気で戦場の熱気を幾分か抑えている。
 そんな空間にシィカの渾身のロックが聖歌のように響き渡り、ケルベロス達に加護を与える。何度も奏でられた音楽だが、その力強さは最初から衰えを見せない。
「みんな、ノリノリで聞いてくださいデース! イェーイ!!」
  こんなテンションではあるがケルベロスとしての役割には忠実ではある。回復の際に仲間と意思疎通を取っている事もあり、消耗もそこまで激しくはない。
 消耗が激しくなってきたからか、ドリームイーターがモザイクで己を修復する。
 その隙にモヱがオウガ粒子を開放、ヒルメル達の感覚を活性化させる。
「心配しなくても大事な絵ごとバラバラに粉砕してやるよ、本望だろォ!?」
 タツマの神速の蹴りがドリームイーターに命中、その体をくの字に曲げさせる。それでもモザイクに包まれた絵画は取り落とさない。
(「……そんなにその絵が大事、なのか?」)
 ルヴィルが縛霊手で殴りつつ、絵を庇うような仕草を見せるドリームイーターの動きに疑問を抱く。このドリームイーターは被害者の興味を元に生み出された存在であるから、その興味の元である噂の通りに絵を守ろうとしているのかもしれない。もっとも、モザイク塗れでケルベロス達にはどんな絵が描かれているかわからないが。
「……それでは、そろそろお引き取りいただきましょう」
 居住まいを正し、興味より生まれし存在に一礼したヒルメルが影の呪詛をドリームイーターに放つ。実体化した陰にのしかかられ、ドリームイーターはその豪奢な鍵を振り回す。まるで、元となった噂の人物のように。
(「案外、不安だったのかもしれませんね」)
 ドリームイーターの反応を見て、ヒルメルはその鉄面皮を崩さず冷ややかに推測する。
(「本人が本当にどう思っていたのかは分からないが……絵を奪われないよう暴れていたって辺り大体は察しが付く」)
 清登はこの事件の詳細についてスマホで調べていたが、話が古い上に噂のバリエーションが多く、事前に説明された以上に正確な情報を得る事は出来なかった。ただ、どの噂においても没落した人が絵を奪われないように暴れた、そして絵のその後は語られていないという点は共通していた。
 手放して元の日々に戻れるような金銭的な価値はない、その後の話が残らないくらいには絵自体に魔性があるわけでもない。幸福だった日々の肖像だとか個人的に失いたくない、おそらくそんな絵画だったのだろう。
 無論、ここにいるのはその人物とは無関係の、今の人間の興味から生まれた単なるドリームイーターだ。とうの昔に終わってしまった真実を変えることはできない。
 彼がその真実を失わせずに守るためにできることは、この歪められた虚像が新たな惨劇を作り出す前に撃破することだけだ。
「最近のスマホの薄さを舐めるなよ……!」
 居合抜きのような速度で清登がスマホの角を刃のようにし叩きつける。命中するのは癒しきれない傷、それを再び広げる。
「さーあステージも終わり! ご退場願うデスよ!」
 苦痛に怯んだところにシィカが鋼の拳叩き込む。それを起点に橙乃が空の霊力を帯びた白い柄の日本刀を振るう。己を癒した事で呪縛は幾分か解除されているが、残ったものを再度刃が増幅、ドリームイーターの動きを鈍らせ、更に刃がその呪縛を増幅させる。
「多層域への熱エネルギー拡散を許可。抽出モードに入りマス」
 続けてモヱが魔術的なコードを入力、炎を制御しドリームイーターへと浴びせかけて空間を炎の色で照らし出す。収納ケースも『列の途中』と書かれた看板をエクトプラズムで具現化、ドリームイーターを看板で殴りつける。
「身を撃ち縛る雷よ!」
 ルヴィルの放った光る雷がモヱの展開した炎の上からドリームイーターを貫き、さらにくしくしが主に合わせて凶器で殴り飛ばす。
「釣りはいらねぇ、遠慮せずくたばれ!」
 ここぞ、というタイミングでタツマがグラビティチェインや奪い取ってきた敵の魂を圧縮、結晶化した物を叩き込み、バックステップ。
 数瞬後、強引に圧縮された不安定な結晶は破裂。ドリームイーターを内部から破壊し、後には怪物を含め、そこに残ったモノは存在しなかった。

●お話は歪められず眠りへと
「……そういうわけで、探してたような財宝とかはないからな」
「そんなあ……」
 清登の説明を受けて落ち込んでいるのは被害者の青年だ。外傷もなく、気絶していた事以外に問題はないようだ。
「……まだ、探されますか?」
 ヒルメルが慇懃な笑みを浮かべ、被害者の青年に問う。青年はぶんぶんと首を振り、命があるだけ儲けです!と答える。
 そしてケルベロス達への感謝を口にした。
「ここにはかつて、確かに元となった人物がいたんですよね」
「そうまでして守りたかったものは何だったのかしら……」
 エストレイアの呟きに今となってはわからないけれど、と橙乃が部屋の写真を撮りつつこのドリームイーターの元となった人物と絵に思いを馳せる。
 依頼の後、彼女は写真を撮る。単なる記録の為か、それとも過去を忘れた故か。
 その方はこの暗い場所でどのような想いを胸に絵を描き、潰えていったのかと、エストレイアが噂の元となった人物に思いを馳せる。
「やすらかに、眠ってくれよな」
 あくまでマイペースに、ドラゴニアンの青年が祈りを捧げる。
「……それにしてもどんな神絵師の作品だったのでショウカ……?」
 モヱがやや不穏なことを言っているが、彼女は実物は見ない方が浪漫でいいのかもしれない。
 知らぬが仏。
「……ひぇっ!? い、今なんか音がした気がー……?」
 万一崩落したら危険だと、念のため洞窟をヒールしていたシィカが石が転がる音に驚きギターをぎゅっと握る。ドリームイーターの討伐を終えた事で気が緩み、本来の性格が出てきたのだ。
「これ以上変なの出てくる前に帰りまショウ!」
「はーい……」
「……もうこんな遊びしてんじゃねーよ……」
 ああは言ったものの、ほんの少しだけ名残惜しげにしていた被害者の青年をタツマが引っ張っていく。

 興味より生まれた歪められた存在は地上に現れることなく滅び去り、お話は新たな悲劇を加えられずそのままに。
 怪物を撃破し人を救ったケルベロス達は再び長い洞窟を通り抜け、光溢れる地上へと帰還した。

作者:寅杜柳 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年8月13日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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