オークはサウナがお好き

作者:紫村雪乃


 つつう、と汗が滴り、乳首の先からぼとりと落ちた。
 そこはかなり広いサウナであった。中には十人ほどの半裸の女性がいた。ほとんどが二十歳ほど。全員座しているのだが、股間の上にはタオルを広げていた。
 外にはプールとジャクジーがあった。が、今は誰ね利用してはいなかった。
「きゃっ」
 一人の女性が小さく声をもらした。何かが足を這ったからだ。
 それは触手であった。生えているのは豚の顔と人の体躯をも魔物の背からた。オークである。
「きゃあ」
 今度こそ女性は大きな悲鳴を上げた。オークのいない方の出口にむかって駆け出す。入口は二つあった。
 すると十近い数のオークがなだれ込んできた。そして女性に襲いかかる。
 汗と粘液にまみれた魔宴がはじまった。


「オーク達が女性達を略奪していく事件が発生するのが予知されました」
 セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)がいった。
 東京近郊のサウナ。オーク達は魔空回廊からそこに現れ、寛いでいる女性を略奪しようとしているのだった。
「襲われる女性を避難させてしまうと、別の場所に出現してしまって被害を防げなくなるので、女性の避難はオーク達が出現してから行う必要があります。女性達の避難が完了していない場合は、戦闘中にオークに悪戯をされてしまう場合があるので、できるだけ避難させてあげるようにしてください」
 注意すると、セリカはオークの戦闘能力について話し始めた。
「オークの数は十。攻撃方法は触手です。その触手で打つ、締める、貫くなどできるようです。さらに恐ろしいのは触手の魔力。催淫効果をもっているようです。ケルベロスですら耐えることは困難でしょう。気をつけてください」
 セリカは頬を紅潮させると、告げた。
「サウナに現れるだけあって、このオークは女性の汗が好物らしく、舐め取ろうとします。いやらしいオーク達の略奪を許すことはできません、絶対に女性達を救ってください」


参加者
シルキー・ギルズランド(ぱんつはかない系無表情座敷童・e04255)
コクマ・シヴァルス(ドヴェルグの賢者・e04813)
ルナ・カグラ(蒼き銃使いの狂想・e15411)
イリュジオン・フリュイデファンデ(堕落へ誘う蛇・e19541)
黎泉寺・紫織(ウェアライダーの鹵獲術士・e27269)
プラン・クラリス(愛玩の紫水晶・e28432)
香河・将司(魔王を宿す者・e28567)
夢見・カンナ(北の大地の雷・e28700)

■リプレイ


 むっと熱気が立ち込めていた。サウナの中だ。
 十数人の女性がいるのだが、その幾つかの視線が釘付けとなっていた。一人の少女に対して。
 無論、その女性たちは知る由もないが、少女の名はシルキー・ギルズランド(ぱんつはかない系無表情座敷童・e04255)といった。表情が乏しいものの、可愛らしい顔立ちの美少女だ。
 が、女性たちの目をひいているのはシルキーの美貌ではない。その姿であった。なんとシルキーは赤い帯をしめた白い襦袢をまとっているのである。
 襦袢が汗で濡れて透けているので、乳首が股間の翳りがうっすらと見えていた。それは全裸であるよりもかえって艶然とした姿であった。
「またオークですのね」
 濡れたように艶やかな黒髪の女がうっすらと頬を染めた。イリュジオン・フリュイデファンデ(堕落へ誘う蛇・e19541)という名のサキュバスである。四十七歳という年齢であるのだが、とてもそうは見えなかった。可憐な童顔のためか、艶のある肉体のためか、三十代にしか見えない。
 イリュジオンは隣の娘に目をむけた。
 青髪青瞳の冷然たる美しい娘。名をルナ・カグラ(蒼き銃使いの狂想・e15411)といい、イリュジオンにとっては娘といってよいほどの存在であった。
「はい、おかあさん」
 ルナはうなずいた。珠のような汗がむっちりとした乳房にういている。
「オークも懲りないですね。でも今度は負けません」
「そうね」
 うなずきながらも、しかしイリュジオンは心中首を横に振っていた。
「ああ、でも、またオークの魔力ではしたなくなってしまいそうですわ。……どうせならルナと一緒に楽しんでしまいたいですわね、ふふ」
 イリュジオンは目を潤ませた。オークに嬲られることを、この女性はむしろ期待している。
「ああ、ルナ……おかあさんにたくさん甘えて……一緒に楽しみましょうね。娘のルナにされる事なら、なんでも許してしまいますわね…ふふ」

「今度はサウナに出たんだ?」
 イリュジオンたちからやや離れたところで娘が口を開いた。可憐な顔立ちの美しい娘だ。その美貌にはそぐわない肉感的な肉体を惜しげもなくさらしている。ピンク色の乳首から汗が滴り落ち、股間の白い翳りも汗でぴたりと肌にはりついていた。プラン・クラリス(愛玩の紫水晶・e28432)という名のサキュバスである。
 すると傍らの 少女が薄く笑った。紫髪紫瞳の美しい少女だ。挑発するような美しさであるのは、少女が猫のウェアライダーであるからかもしれない。
 少女――黎泉寺・紫織(ウェアライダーの鹵獲術士・e27269)はしなやかな裸体に浮いた汗を拭いながらいった。
「彼らもこれを機にサウナで汗を流せばいいのに……なんて、冗談だけど」
 冗談めかして紫織はいった。微笑みながら。が、その目は笑っていなかった。
 紫織の瞳の奥には炎がちろちろと燃えている。紅蓮の復讐の炎だ。デウスエクスは彼女の家族を惨殺した敵であった。と――。
 ことり、と青の髪をショートにした少女が紫織に身体を預けてきた。夢見・カンナ(北の大地の雷・e28700)という名の少女だ。十六歳のはずだが、もっと年下に見える。それは可愛い童顔のためであろう。
「わたし、サウナに入るの初めて。あつくてくらくらする……」
 カンナは蕾のような唇を喘がせた。

 残る二人のケルベロスはサウナの外で待機していた。コクマ・シヴァルス(ドヴェルグの賢者・e04813)と香河・将司(魔王を宿す者・e28567)の二人である。
「戦争で多数の勢力が犇く中オークは平常運転ですね。私達もいつも通り排除致しましょうか」
 将司は端正な顔に苦笑をにじませた。するとコクマが浅黒い精悍な顔を縦に振った。
「ああ。が、まずは避難誘導だ」
 熱血漢らしくコクマは生真面目にいった。ドワーフ特有の小柄であるのだが、そうした時、彼の身は圧倒的な迫力を備える。
 そのコクマを羨ましそうに将司はちらと見やった。何故なら、彼は抑える者であったからだ。
 彼は己の裡にある者を飼っていた。それは魔王ともいうべきデウスエクスである。日々、将司はその魔王の目覚めを抑えているのであった。
 その時だ、悲鳴が響いた。


 一人の女性の足に触手が巻き付いている。離れたところに異形の姿があった。オークだ。
 タオルで隠していおいたエクスカリバール――サキュバス巫女の祓串を手にプランは跳んだ。股間がくぱあっと開いてしまってオークの目にさらされるが、かまっている余裕はなかった。汗を散らせ、乳房をぷるんと揺らせ、サキュバス巫女の祓串で触手をプランは叩き切る。そして女性にむかって叫んだ。
「はやく逃げて」
「は、はい」
 女性が逃げ出した。その後を追うように他の女性も走り出す。
 それを追うように触手が疾った。するとプランの手がすばやく動いた。触手に触れる。
 次の瞬間。オークが苦悶した。凄まじい快感と苦痛が一斉に流れ込んできたからだ。
「触手の魔力は凄いけど……触っただけで気持ち良く出来るのは私もだよ」
 プランが触手を通して流し込んだのは、彼女が今までに経験してきた快楽と苦痛である。それを一時に全て追体験させられるのだ。通常人ならば一瞬で廃人と化してしまうだろう。
 と、別のオークの触手がプランを狙ってとんだ。が、同距離をプランは跳び退り間合いをたもつ。
「裸だし、サウナに入ってて汗かいてるし、オークの意識を引き付ける事は出来るよね。触手に触れないように遠距離グラビティで攻めれば」
 プランが掌を突き出した。
 次の瞬間だ。掌からのドラゴンの幻影が躍り出、オークを炎で包んだ。圧倒的な火力の前に、オークは成す術もなかった。

 同じ時、カンナは囮役となっていた。いや、そうでなくとも、実際にはそうなっていただろう。熱さのためにめまいを覚え、満足動ことができなかったからだ。
「こ、こっちこないでぇ……」
 よろめきながら、カンナは悲鳴に似た声をあげた。これは演技ではない。またオークもそう思った。格好の獲物を前にオークたちがニンマリ笑う。
 オークが触手をのばした。が、くらくらしているためにカンナには躱すことは不可能だ。容易く触手がカンナに巻き付いた。
「ひゅんっ!? そこキュッとするのダメぇっ!」
 カンナが身をよじった。触手は巻き付くだけでなく、カンナの肉体を嬲りはじめたのだ。触手で彼女の乳首をこりこりと弄る。
 触手から逃れようとカンナを身をもがかせた。が、熱さのためか、それともオークの魔力故か、身体に力が入らなかった。
 そうと見て取ったオークはさらに触手をすすめた。バスタオルの隙間から潜り込ませた触手をカンナの全身と股間に這わせる。
「おねえさま…わらひ…もう…あああぁぁぁ!」
 凄まじい快感に、カンナは身悶えた。なんんどかオークと戦ったことはあったが、これほどの性的快感き初めてだ。
 嫌なのに抵抗する気力がどんどん失せていく。代わって膨れ上がるのは性欲だ。大切なところを他人にいじられることがこれほど興奮するとは思わなかった。
「わたし、このまま、おちちゃうのかな……」
 涙をうかべ、呟いた。オークに堕とされた場合、立派な巫女となることは不可能になるかもしれない。けれど、欲しいという気持ちもまた真実であった。もっといやらしいことをして欲しいという気持ちが。
「堕ちちゃっても……いい。さ、最後まで……したいの。ああん。したいのぉ」
 決心すると、カンナはオークに自ら口づけし、触手の先端を導いた。

「少しだけ、遊んであげてもいいわよ。どうかしら?」
 紫織は艶然と笑った。こたえるようにオークたちがブヒヒといやらしく笑う。めちゃくちゃにしてやるつもりであるのは明白だ。
 オークたちが紫織に襲いかかった。触手を巻き付かせる。
 汗に濡れた華奢に肉体を這い回る触手を、紫織はしかし嘲笑していた。元々彼女は快楽主義者である。触手で嬲られることは望むところででもあったのだ。
「んっ……焦らしてるつもりかしら?」
 乳首をころころと触手の先端で転がすオークを紫織は嘲った。ぞくぞくと乳首の先端から快感が身体中に広がっているが、まだ耐えられないというほどではない。
 すると、いきなり触手の先端が紫織の中に入り込んだ。汗と粘液で濡れているのでいとも容易く。
「あっ、そんな」
 紫織は背を仰け反らせた。いきなり中に侵入されるとは思わなかったのだ。
「はあん。だめぇ」
 紫織はオークにしがみついた。その背に爪を食い込ませる。彼女の中で触手がはずるりずるりと蠢いていた。
 敵であるはずのデウスエクスに身を汚される。背徳的な快感に紫織は酔いしれていた。
「そこ、いい、もっとしてぇ!」
 カンナと同じようにオークにしがみつくと、さらなる快感を追い求めて紫織は自ら腰を振った。


 悲鳴を聞きつけてコクマと将司がサウナに飛び込んだ。入口にむかって数名の女性が逃げてくる。全裸の者もいれば半裸の者もいる。全員、汗でびっしょり濡れていた。
 純情なコクマは裸の女性に戸惑ったものの、やはり放ってはおけない。用意したバスタオルを渡す。
 将司の方は落ち着いていた。冷静にバスタオルを渡すと、
「私達はケルベロスです、オークの相手は任せて避難してください」
 と女性たちに声をかけた。そしてちらりとサウナ室に目をむけた。入口ドアのガラスが曇っていて内部は良く見えない。ただすすり泣く声や気持ちよさそうに喘ぐ声、さらには甘える声が聞こえてくる。どうやら恐るべき淫らな魔宴が繰り広げられているようであった。

 そう。確かに魔宴は繰り広げられていた。囮となったケルベロスたちの健気な活躍によって。
「貴方達も汗を掻きたいのなら……わたしと追いかけっこしましょう……」
 透けた襦袢の裾を乱してシルキーは奥に逃げた。誘き寄せられたと知らずにオークが迫る。すぐにシルキーは壁際に追い詰められた。
「汗……好きなんでしょ……」
 観念したようにシルキーは襦袢の前を開いた。小ぶりの乳房や真っ白な腹、やや膨らんだ秘部を覆う翳りがオークたちの目にさらされた。
「ブヒヒ」
 喜悦に目を光らせると、一斉にオークたちが襲いかかった。シルキーの全身の汗を濡れた舌で丹念に舐めとる。乳首を転がし、臍に尖らせた舌の先端を差し込む。尻も股間も同じだ。オークたちはマーキングしているのだった。
「わたし……オークのものになるのかな……」
 オークに好き放題舐められながら、ふとシルキーはそう思った。表情は変わらないが、肉体は蕩けてしまっている。もうどうなってもいいと思った。だからシルキーもオークたちの先端を舐め始めた。
「ああん。お口の中も汚してえ」

 ルナはわざと倒れてみせた。バスタオルがはだける。
 オークが襲いかかった。すると彼らが触る前にルナは叫んでしまった。
「汗で蒸れてるから……だから匂いだけは嗅がないで」
「ブヒ」
 オークたちは目を見交わした。ルナの弱点を見抜いたと思ったのだ。
 ルナに飛びつくと下半身を広げ、匂いを嗅ぐ。
「そんなとこ嗅いじゃ駄目! これなら触手の方がまだマシ……あんっ」
 ルナがびくりと身を震わせた。オークの触手が全身をぬらりと這ったからだ。凄まじい快感が全身を蕩かせていく。もう何がなんだか良くわからない。
「バレちゃった……ルナが臭がられて濡れる変態だって知られちゃった……!」
「いいのよ。ルナ」
 オークの触手を手と舌で奉仕しながらイリュジオンが微笑んだ。すでに触手を肉体の奥で味わっている。この女性の場合、獲物はむしろオークの方であったかもしれない。
「恥ずかしいところ、おねだりするの。そうすればもっと気持ちよくなれるから」
「はい、おかあさん」
 子供のようにイリュジオンの乳首にキスして、ルナは自らくぱぁっと大事な部分な広げると、オークにおねだりした。
「ルナの蒸れた臭いところに舌じやなくて触手様のお情をけください」
 するとオークが舌なめずりして触手をすすめた。それだけではない。すぼまりにはイリュジオンが舌を入れた。
「もっと気持ちよくしてあげる」
「ああん。おかあさん。そこ、いい。触手もいいのお」
 狂ったようにルナは身悶えた。

 女性たちの避難を終えたコクマと将司がサウナ室に飛び込んだ。
 中はむっとする熱気と甘い香りに満ちていた。蠢いている白い肉は囮となったケルベロスたちだ。全員オークの魔力に酔い、自ら触手に身をゆだねている。凄艶ともいえる光景であった。
 ごくりと唾を飲み込み、無理やりコクマはケルベロスたちの痴態から視線をもぎはなした。そしてオークに襲いかかった。
「我が拳に宿るはアウルゲルミル! 天地創造を司りし巨人の怒りが齎すは」
 神器とリンクし、コクマは膨大な熱量をその身に召喚した。のみならず、その熱量を拳に収束させる。
「己を否定した世界の破壊なり!」
 コクマはオークに拳を叩きつけた。放出された熱量は、限定的ながらも神のみもつ世界を創造し、破壊するものだ。空間ごとオークが微塵に砕け散った。
「やるわね、コクマ」
 一人でオークと戦っていたプランが叫んだ。その顔めがけて触手がとぶ。が、ぴたりと触手がとまった。ビハインド――イヴが掴みとめたのだ。するとナハト――ボクスドラゴンがオークに体当りした。
「とどめよ」
 プランの手からサキュバス巫女の祓串がとんでオークをうった。
 将司はシルキーに覆いかぶさっていたオークに肉薄した。神ですら打ち据えることの可能な超鋼金属製の巨大ハンマーを振り下ろす。
 雷鳴にも似た轟音。一撃うけたオークは凍りついていた。生命の進化可能性を根こそぎ奪われ、存在そのものが停止してしまったのだ。
「まだです」
 将司は刃の鋭さを秘めた蹴りを放った。コクマはスルードゲルミル――鉄塊剣を振り下ろした。大地すら切り裂くような重い一撃がオークを両断する。三人のケルベロスと一体のビハインドが入り乱れ、次々とオークを屠っていった。


「ルナ……まだ火照ったままなの……もっとして!」
 静寂のもどったサウナ室でルナがせがんだ。もっとめちゃくちゃになりたかった。が、優しくイリュジオンはルナを抱きしめた。すでにオークの魔力からは解放されている。
「ここじゃだめよ。我慢してね」
 たくさんの足音が近づいてきている。おそらくは女性従業員たちだ。彼女たちの目の前で痴態を演じることはできなかった。
 それはシルキーも同じであった。本当は将司に洗い清めて欲しかったが、女性従業員たちがやってきたので将司もコクマもサウナから出てしまっている。故に一人で股間にシャワーむけ、洗い流し始めた。
「将司の……欲しかったな」
 ぽつりとシルキーは呟いた。
「私も」
 裸身を惜しそうに見つめて去っていったコクマの目を思い出し、プランはそっと指をしゃぶった。

作者:紫村雪乃 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年7月30日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 3/キャラが大事にされていた 1
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