降るのは雨ではなくて……サメ!?

作者:なちゅい

●空から降ってきたのは……
 夢というのは、本当に不思議なもので。
 無意識な中で見て、想わぬ体験をすることも多々ある。
 それは、子供のときだとなお強く、びっくりする夢を見るものだ。

 少年、篠山・陽太は、夢の中でてくてくと歩いていた。
 おそらくは、友達の家に向かっているのだろう。それほど目的を意識することなく歩く彼の頭上では、真っ黒な雲が黙々と湧き出ていて……、突然、何かが降ってきた。
「あめ……じゃなくて、さめ!?」
 降ってきたのは、雨ではなく、まさかのサメ……鮫だったのである。
 さすがに大きくはなく、掌にいくつも乗るようなサイズではあったが、サメはサメ。大きく口をガブガブされれば、さすがに幼稚園児にはたまらない。
「わわっ!!」
 夜中、真っ暗な部屋の中で飛び起きた陽太。そこは、いつもの自室だ。
「なんだ、夢か……ええっ?」
 だが、陽太はすぐにまた、布団の上で意識を失うこととなる。彼の背から、ウェアライダーの姿をした少女が大きな鍵を突き刺していたからだ。
 白い鹿のような生物に跨ったこの少女。彼女の胸部とその鹿がうっすらとモザイクに包まれている。
 第三の魔女・ケリュネイア。それがこの魔女の名だ。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『驚き』はとても新鮮で楽しかったわ」
 ケリュネイアは陽太の体から鍵を引き抜くが、その体には傷一つ付いてはいない。
 その代わり……というべきか。隣に、新たなドリームイーターが姿を成す。
 それは、陽太が夢で見たサメと同じ姿形をしていたが、人間大にまで大きくなっている。また、夢とは違い、その表皮はモザイクに包まれていて。
 悠然と宙を泳ぐそのサメは、部屋から外へと飛び出していったのだった。

 そろそろ、梅雨も明けようという時期。
 空が晴れてくることも多くなり、照りつける太陽で夏の訪れを感じるある日。
 依頼を求めてヘリポートへとやってきたケルベロス達は、リーゼリット・クローナ(ほんわかヘリオライダー・en0039)がジークリンデ・エーヴェルヴァイン(幻肢愛のオヒメサマ・e01185)と会話しているところに出くわす。
「だから、雨の代わりにサメが降るらしいんだよ」
 ジークリンデの話を受けて、リーゼリットがヘリオンで予知を行うと。どうやらそれは現実のものとなるらしい。
「ドリームイーターに襲われた少年が、夢で見た『驚き』の感情を奪われるようだね」
 その夢の内容が、雨のようにサメが降るというファンタジックなものだったらしい。
 『驚き』を奪ったドリームイーターは姿を消してしまったが、奪われた『驚き』を元にして現実化した新たなドリームイーターが事件を起こそうとしている。
「被害が発生してしまう前に、この夢喰いを撃破してほしい」
 このドリームイーターを倒す事ができれば、『驚き』を奪われてしまった少年は目を覚ますはずだ。無事、事件が解決したならば、自室ベッドで眠る少年へフォローを行うとよいだろう。
 現れるドリームイーターは1体だけで、配下などは従えてはいない。
「敵は表皮を淡いモザイクに包んだ、子供が描いたような可愛らしいサメの姿をしているね」
 戦闘になれば、サメの夢喰いは直接食らい付いてきたり、モザイクを飛ばして相手の知識を奪おうとしたりする。また、夢の通りに上空に展開したモザイクの雲から、小さなサメを降らしてくるらしい。
「ドリームイーターは夜中、愛媛県大洲市の住宅地に現れるよ」
 敵は被害者の少年、篠山・陽太の自宅周辺を彷徨い、出会った相手を驚かせようとする。この為、現場周辺を歩いているだけで、向こうから驚かせにやってくるはずだ。
「あと、このドリームイーターは驚かない相手を優先的に狙う習性があるようだよ」
 これを踏まえて、戦略として活用するとよいだろう。
 説明を終え、リーゼリットはくすりと笑う。
「それにしても、雨の代わりにサメか……。なんだろう。実際は大変だけど、それだけ聞くとちょっとだけ和んでしまうな」
 子供の夢だからこそ、それはほのぼのと聞こえるが、ドリームイーターが介入してくるとなれば、穏やかではいられない。
「夢は夢のままに。よろしく頼んだよ」
 リーゼリットはそうして、ドリームイーター討伐をケルベロスへと託すのだった。


参加者
ジークリンデ・エーヴェルヴァイン(幻肢愛のオヒメサマ・e01185)
リーア・ツヴァイベルク(紫花を追う・e01765)
浦葉・響花(未完の歌姫・e03196)
セット・サンダークラップ(青天に響く霹靂の竜・e14228)
流水・破神(治療方法は物理・e23364)
ユグゴト・ツァン(凹凸普遍な悩深逃・e23397)
篠村・鈴音(焔剣・e28705)
レーヴ・ミラー(ウラエウス・e32349)

■リプレイ

●今、流行りはサメ……?
 愛媛県大洲市に降り立ったケルベロス達。
 夜中の暗がりの中、クールでスレンダーな印象の浦葉・響花(未完の歌姫・e03196)が懐中電灯を点灯し、夜道を照らす。
「最近、鮫がらみの事件が多いよね。もしかして、鮫がブームなのかしら?」
 今の流行にはついていけないと言う響花。さすがに流行ではないだろうとツッコミが入りそうなものだが……。
「空からサメ……? 何処かで聞いたような話ですね」
「何と言いますか……。所謂、B級映画のような悪夢ですね」
 眼鏡に黒髪長髪の篠村・鈴音(焔剣・e28705)、幼いながらも非常に大人びたレーヴ・ミラー(ウラエウス・e32349)は揃って、チェーンソーでも担いで来ればよかったかもと口にしていた。
「……これがもっとリアルなサメだったら、確かにB級映画か何かみたいだったのだけれど……」
 白と紫の花を胸に抱く、リーア・ツヴァイベルク(紫花を追う・e01765)もまた同じような反応をする。
 リーアは映画自体観ないと言うことだが、地面を泳ぐサメや頭が2つのサメが出る映画があることは知っている様子。サメは意外にも流行っているのかもしれない。
「空の鮫か。黄色の鮫ならば日常故に。容易いものだ」
 頭を抱える赤いシスター服を纏い、蟹鋏じみた地獄の尻尾を持つユグゴト・ツァン(凹凸普遍な悩深逃・e23397)が師団を思い出して告げる。
 ただ、彼女は興味を利用する夢喰いの嗜好に関しては、理解に苦しんでいた様子だった。

●サメの降る街
 住宅地を歩くケルベロス達。
 周囲に被害が及ばぬようにと、四肢を地獄化させたジークリンデ・エーヴェルヴァイン(幻肢愛のオヒメサマ・e01185)が殺界を形成し、人払いを行う。
 その中で敵をおびき寄せるべく一行はうろつくのだが、青い鱗の竜派ドラゴニアン、セット・サンダークラップ(青天に響く霹靂の竜・e14228)はファンタジックなサメと聞き、わくわくしながら歩いている。
 ハンズフリーの灯りで周囲を照らす、流水・破神(治療方法は物理・e23364)。ドワーフの為に背丈が低い彼だが、灯り以上に眼光を光らせて周囲に視線を走らせる。
 万一にも一般人がいてはいけない。響花も散歩した近隣住人がいないかと確認していた。
 そんな中だ。メンバーの頭上から何かが降って来たのは。
「うわああああ、サメだああああああ!!」
 鈴音がそれを見て指を差し、まるで生まれたての子鹿のように全身を震わせる。
 メンバーの頭上から、可愛らしくデフォルメされた無数の小さなサメが口をガブガブとさせながら、落ちてきたのだ。
「シェ~~」
 どこぞの出っ歯なおじさんと同じポーズで、かなりわざとらしく響花は叫ぶ。
「待て。思った以上に幻想的な。巨躯を有する鮫」
 ユグゴトもまた演技の為に腰が抜けたフリをし、頭を抱えて横たわる。
「胴が千切られ。分断され。咀嚼される己を想像し――胃液が競い始めた。現実が恐ろしい」
 そうして驚く反応をするメンバーもいれば、やや淡白な驚きを示す者の姿も。
「う、うわ、驚いたな……」
 ほぼ棒読みで、中性的な顔立ちのリーアはオーバーに声を上げる。
(「サメよりももっと怖いものを、普段から相手にしてるからね……」)
 可愛らしさすら覚えるそのサメの姿に、リーアは気を抜ける感覚すら覚える。フリになってしまうのも仕方がないというものだ。
「……可愛らしいサメが、住宅街に……!」
 レーヴもそうして驚いて見せるが、その可愛らしさで驚く仕草をして見せていた。きっと、これはこれでありなのだろう。
 一方で、この後のドリームイーターとの戦いに備えるメンバーもいる。
(「驚いてやるもんですか」)
 ジークリンデは毅然とした態度でサメの雨に対し、挑発してみせる。
 盾役のセットだが、彼は降って来るサメに目を輝かせてすらいた。
 その姿を見ていたのか、闇から現われたのは、表皮が淡いモザイクに覆われた、人間大のデフォルメしたサメだった。
 こちらも盾役の破神。だからなんだといわんばかりに、彼は胸を張って。
「……で、もう良いか? さっさと殴り合おうぜ」
 武装白衣を纏う彼はやや苛立ち気に、チョコレートシガレットをバリバリと噛み砕き、拳を構える。
「てめぇなんぞ、驚く要素なんて元からねえじゃん?」
 そんな主張する破神に、サメの夢喰いは憤慨していたようだ。
 もっとも、それでもプンプンと起こっているようにしか見えず、可愛らしくしか見えないのだが。
「なんとも、恐怖といいますか……」
 それに、レーヴもしばしほのぼのしてしまうが、相手がドリームイーターであることを思い出して。
「プラレチ、さぁ……参りましょう」
 彼女は連れているウイングキャットへと呼びかけ、襲い来る夢喰いに対するべくエクスカリバールを手に取るのだった。

●可愛らしいサメの夢喰い
 牙を光らせるサメの姿をしたドリームイーター。ただ、子供の夢ということもあってか、その見た目はあまりにも可愛らしい。
「しゃーーー」
 夢喰いが鳴き声を上げると、頭上にモザイクが集まって雲になる。
 そして、そこから再び、サメの雨がケルベロスへと降り注ぐ。前線にいるセットや破神を狙ったもので、今度はそれらのサメ達がこぞって食らいつく。
 その可愛らしいサメに、セットは動きづらそうにしながらも、バスターライフルを構えて夢喰いをビームで撃ち貫く。
「竜牙兵の雨とか見ているケルベロスからすると、迫力不足にも程があるぜ」
 ケルベロスをやっていれば、トンデモ光景など日常茶飯事。デウスエクスの方がよほどビックリ生物だと、破神は夢喰いの攻撃を鼻で笑う。
「……鮫肌でぶん殴りにくい。面倒だから、これで削り取ってやるぜ」
 そして、彼は拳で地面に叩きつけるようにして、夢喰いへと強烈な一撃を叩き込んでいく。
「うわあ、驚いたなあ」
 全く驚きを見せぬ前衛陣に対して、リーアはかなりわざとらしくリアクションしつつ、黄金の果実を輝かせて前線メンバーの体に一時的な進化を促す。
「煤の剣……、いっけえええっ!」
 鈴音は手にする斬霊刀「緋焔」に魔煤を纏わせて長大な黒剣へと造り替え、黒い長髪を揺らしつつ夢喰いの体を叩き切る。
 そこへ、響花が逆方向からとび込む。
 雨のように降るサメの食らいつきを武装で受け止めていた彼女は、滑らないようにと履いてきた靴で電光石火の蹴りを叩き込んだ。
「糞。少々腰に奔った程度」
 全身に灰色の地獄『冷気』を纏うユグゴトもサメからダメージを負っていたが、構うことなく淡いモザイクに包まれた夢喰いの身体を拳で殴りつける。
「なんとも苛立つわね」
 さらに、ジークリンデも荒々しく猛攻を仕掛ける。
「私は私のコトバで語る。憎い(好きよ)殺す(愛す)わ。獣と姫は貴方の命をご所望よ……」
 愛憎相反する想いによって地獄の出力を上げ、ジークリンデは魔剣を構える。
(「苛立つわ……。だってそうでしょう?」)
 子供の夢で人が死ぬなんて、溜まったもんじゃない。そう考える小柄な体躯の彼女は、眼前のサメを襲う。
「甘く苦い愛憎の溶熱で、貴方を美味しく頂くわ!」
 振るわれる炎は相手を溶かし食らう。されど、サメはあっさりとそれを躱して見せた。
 それでも、ジークリンデは構うことなく体勢を整え、見切り対策の為に蹴りを入れるチャンスを狙う。
 替わりに攻め入ってきたのは、レーヴだ。
 彼女がエクスカリバールの尖端を敵に叩きつけると、ウイングキャットのプラレチが尻尾の輪を飛ばし、敵の口を塞ごうとする。
 降っていたサメはいつの間にか、足元でモザイクになって霧散していく。
 そんな中、夢喰いは輪で邪魔されながらも大きな口をパクパクと動かし、セットへと食らい付いてきた。
 それを凌いだセットが釘を生やしたエクスカリバールでモザイクに包まれた敵を殴り付けると、高速で身体を回転させた破神が襲い掛かる。
「フカヒレにしてやるぜ、大人しくしてろ」
 彼は一言吐き捨て、敵のモザイクの上から夢喰いの体を強く殴り付け、そいつの体に衝撃を走らせたのだった。

 相手は、デフォルメした可愛らしいサメの姿をしたドリームイーター。
 メンバーによっては、夢喰いは戦い慣れた敵。それだけにケルベロスにもやや油断があったと言える。
「危なっ! 何で噛みついてきたの!」
 盾役のカバーが追いつかず、食らいつかれた響花が大袈裟に叫ぶ。そうして、敵の狙いを出来るだけ自分から反らそうとしつつ、彼女は捕食モードとしたブラックスライムを食らいつかせていく。
 確かに、敵は驚こうとしないディフェンダー勢を優先して狙ってはいたが、わざと驚くメンバーを完全に狙わないわけではない。
 時に襲い来る攻撃に、緋焔で斬りかかっていた鈴音が対処できずに敵に食らいつかれていたし、エクスカリバールで攻撃していたレーヴも夢喰いのモザイクに包まれ、知識を奪われて全身を硬直させてしまう。
 ただ、盾となるメンバーは可能な限り粘ろうと必死だ。
 攻撃される仲間の盾となるべく、飛び出す破神。見た目以上に重い敵の攻撃に体力の減少を感じながらも、強がりを見せる。
「ハッ……軽い、軽い。その程度じゃ物足りねえぜ」
 その言葉が彼に自己暗示をかけ、自身の傷を回復し、自身の体を強化する。
 そして、傷つく仲間の回復に当たるのはリーアだ。
「まだこれからだよ」
 魔導書を紐解くリーアは詠唱を始めた。そうして、彼は仲間達に常軌を逸した強化を施す。
 その間に、メンバー達は夢喰いを攻め立てていく。
 仲間から支援を受けた鈴音が敵にグラビティを籠めた一刀を浴びせ、傷口を凍らせる。
 続く響花が仲間と共に敵を挟み、光の剣を発して夢喰いに斬りかかれば、対面する位置のユグゴトが動いて。
「我等は仔山羊。黒山羊の祝福を受けた、繁栄の象徴で在る。邪な母は千を孕み、千を貪る巨体成り。観よ。有象無象が帰還する。潰れて砕けろ」
 ただ、相手を潰す為に、彼女は全身全霊を籠める。
「し、しゃ……」
 その圧力に耐える夢喰いがさらにサメの雨を降らせようと声を上げたが、ジークリンデがさせじと再び魔剣を振るう。
(「こいつはここで倒す」)
 ジークリンデの頭の中で響く仇敵の笑い声。それに、眉を顰めた彼女は……。
「黙ってなさい」
 声を払拭するように言い放ったジークリンデは確実に相手を捉え、夢喰いの胴体を切り裂く。
 だが、トドメには至らない。
「しゃーーーー」
 再び、降り注ぐサメの雨。それに食いつかれる仲間達を見たセットは、自らも体をガブガブとかじられる感触を感じつつ、太く長大なライフル銃からエネルギー光弾を発射する。
「しゃーーー……!」
 それに貫かれて大きく嘶いた夢喰いの体が爆ぜ、モザイクとなって消えていく。
「師団の鮫は元気だろうか」
 なんとなく、それを見たユグゴトは頭を抱えながら呟いたのだった。

●またサメが来ようとも
 ドリームイーター本体が倒れたことで、この近辺に降っていたサメも完全に姿をなくしていた。
 しかし、戦場となった住宅地の道には壁や道路に亀裂が走るなど、戦いの爪跡が残っている。
 それらのヒールを行うのだが、響花は他者向けのヒールグラビティを所持していない為、仲間に道路の修復などを頼んでいた。
「夜遅くに騒がしてスミマセン」
 事後処理中、気になって現場へとやってきた近隣住人へ、彼女は事情説明もしていたようだ。

 程々にその修復を済ませたメンバー達は、被害者となった篠山・陽太宅へと向かう。
 篠山夫妻に案内されたケルベロス達は早速、目覚めた陽太へと声をかけていく。
「悪い夢は去ったわ」
 さらりとジークリンデが淡白にフォローの言葉を口にすると、ベッドで起き上がる体勢の陽太の脇に壷を取り出したユグゴトが座る。
「私特製の蜂蜜を舐るべき。甘美な夢が訪れる筈よ」
 その中には、黄金色に輝く蜂蜜がたっぷりと入っていた。
 そして、お菓子大好きなセットが、すでにこの近場を後にしていた破神から見舞い品として託されたチョコシガレットと、自身の用意したサメ型のクッキーを手渡す。
「次は逆に、鮫を食べちゃう夢を見るっすよ!」
「サメより強いのはシャチだそうです。覚えておきましょう」
 鈴音は柔和な表情を浮かべ、シャチのぬいぐるみを彼へと差し出した。
「ありがとっ!」
 ケルベロスから色々な物をもらった陽太は、嬉しそうに笑う。
 そこで、レーヴも口を開く。
「サメが降る……というのは、実際あれば恐ろしいものですが」
 非常に綺麗な顔立ちのレーヴに、陽太は顔を真っ赤にしていたが。彼女は気づかずに語り続ける。
 様々な体験をし、映画やアニメ、ドラマといった物を見れば、見方や感じ方が変わるかもしれない。
 ……とはいえ、5歳の陽太には少し早い話だったようで、きょとんとしてしまっていた。
「もし空からサメが降ってきても、また僕らが退治してあげるさ」
 それに、サメだって全てが怖いわけではなく、人を襲わないヤツもいるとリーアが説明すると、陽太は素直に頷いていた。
 デウスエクスは現実の恐怖。ただ、ケルベロスもまた、現実の守護者だとレーヴが再び口を開いて。
「また怖い夢を見て、怖いデウスエクスが来ても、私達ケルベロスが守りますから、安心して過ごしてくださいね」
 今度はちゃんと理解できたのか、陽太はシャチのぬいぐるみを抱きながら、「うん!」と大きく返事をして見せたのだった。

作者:なちゅい 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年7月24日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 4/キャラが大事にされていた 2
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