●とある町の海沿いで
足元に打ち寄せる波を気にしながら、少女は海の中から突き出る岩を見遣る。
「この辺からなら見えるかな」
波の音に重なるようにして、少女がつぶやいた。
「聞いてみたいな。人魚が竪琴を奏で、悲恋を歌う……声楽を学ぶものとして、そして……失恋した身として」
少女は少しばかり目を伏せ、再び岩を見遣る。
「でも、人魚はとてもさみしがり。彼女を見たが最後、海に引きずり込まれ、命を失う……」
それでも見てみたい。聞いてみたい。ごく小さな声で言う少女の前に、ひとりの女性が佇む。少女が疑問を口にする前に、女性は鍵を突き入れた。
少女の、心臓に。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『興味』にとても興味があります」
倒れる少女のそばから現れたものは、海から突き出る岩に身を預け――手にした竪琴を鳴らし、歌声を重ねた。
●ヘリポートにて
夜の海に行って欲しい。ウィズ・ホライズン(レプリカントのヘリオライダー・en0158)の言葉に、月霜・いづな(まっしぐら・e10015)はこくりとうなずいた。
「わたくしのけいかいしていた、にんぎょのじけんですね?」
その問いに、ウィズは同意を示す。
「いづなの警戒していたとおりだ。海辺に現れる人魚が竪琴と歌で人を惑わし、海に引きずり込む……そんな噂に強い『興味』を持った少女がドリームイーターに襲われ、『興味』を奪われてしまう事件が起きた」
『興味』を奪ったドリームイーター、第五の魔女・アウゲイアスは既に姿を消している。しかし、奪われた『興味』を元にして現実化した人魚のドリームイーターが事件を起こそうとしているようだ。
「君たちにお願いしたいのは、人魚のドリームイーターの撃破だ。一般人に被害が出る前に、被害者の少女のために、よろしく頼む」
続けて、ウィズは敵の情報を説明する。
「戦場は夜の海辺。戦闘となる敵は、人魚の姿をしたドリームイーター1体のみだ。配下などはいない。回避が高く、攻撃の命中力は高いという、厄介な相手だ」
また、このドリームイーターは人間を見つけると「自分は何者か」を問う行為をする。
「今回の正しい答えは『悲恋を歌う人魚』だな。そう答えれば見逃してもらえることもあるが、答えられなかったり間違った答えをしたりすると、怒って殺そうとしてくる。……が、どちらにせよ戦闘には影響ない」
加えて、ドリームイーターは自身を信じていたり噂している人がいたりすると、その人の方に引き寄せられる性質があるという。
「うまく誘き出せれば、有利に戦えるだろう。どのようにするかは、君たちに任せる。よろしく頼むぞ」
「にんぎょがうたう、かなしきうた。うわさとはいえ、なんだかこころぐるしいですね。みなさまがた、どうか、ごきょうりょくをおねがいします」
そう言って、いづなは頭を下げた。
参加者 | |
---|---|
八柳・蜂(械蜂・e00563) |
月霜・いづな(まっしぐら・e10015) |
ノア・ウォルシュ(太陽は僕の敵・e12067) |
リサ・ギャラッハ(雲居ヒンメル・e18759) |
ザンニ・ライオネス(白夜幻燈・e18810) |
十六夜・うつほ(囁く様に唱を紡ぐ・e22151) |
藍凛・カノン(過ぎし日の回顧・e28635) |
ヨウ・ネルハ(ドワーフの降魔拳士・e32472) |
●よびごえ
砂の上を歩く音が、夜の海に響く。
「まあ――なみのおとが、いたしますね」
足を止めて波の音に聞き入るのは、月霜・いづな(まっしぐら・e10015)。胸のうちに去来するのは、自身の出自。そして、海の向こうに住むものへの不思議な思い。
打ち上げられた貝や硝子が、そしてひとりの少女が、寄せる波で塗れている。今回の被害者である少女を、ザンニ・ライオネス(白夜幻燈・e18810)が肩にかついだ。
「それじゃ、自分が彼女を安全な場所に移動させてくるっすね」
海際からある程度離したところで、ザンニは仲間の元へと戻る。
あとは人魚を誘き寄せるだけだ。
「それじゃ、始めようか。……悲恋を歌う人魚が出るのはこの辺りかな……?」
ノア・ウォルシュ(太陽は僕の敵・e12067)が口を開いた。
「そんで、海に引きずり込むんだろ? 聞いてっとセイレーンみたいだがあれは鳥か。まぁ人魚でもそれらしい気はするし、違和感ないな」
得心したといわんばかりに、ヨウ・ネルハ(ドワーフの降魔拳士・e32472)がうなずく。
「二つの話が混じっているようですね。……確か、人魚姫の物語は思い届かず泡沫になってしまうから……悲恋ですよね。彼が好きで、声を失ってまで人になったのに」
左腕に視線を落とし、八柳・蜂(械蜂・e00563)がつぶやいた。
まだ、歌は聞こえない。ケルベロスたちの静かな声が、ただ波の音に重なる。
「そう言えば十六夜さんはミュージックファイターじゃが……何か思う事などあったりするのかの?」
日中よりは快活な表情で、藍凛・カノン(過ぎし日の回顧・e28635)が問いかけた。
「どうやら悲恋歌が多いようじゃが……。あるならば吾輩に少しばかり聞かせて貰えぬかのぉ?」
そう問われ、十六夜・うつほ(囁く様に唱を紡ぐ・e22151)は小首を傾げて話し始める。
「うむ……そうじゃのう……妾にとっては……歌はもう……既に自分の一部の様なものでな。あの娘の様に悲恋などと大層なものを歌い上げたりなどは中々……」
避難させた少女を遠くからちらりと見て、うつほは続ける。
「それにまぁ……想い出はここに……」
瞳を閉じ、ゆっくりと両の手を胸に当てる。その動作を、カノンは黙って見守る。
「置いておくのが最良では無いかと思うのじゃ。彼女はきっと哀しい気持ちばかりが溢れてしまうのでは無いかのう。戦って倒さねばならぬとは少し……心苦しい……」
うつほの言葉に、カノンは静かに相づちを打った。
仲間たちの話に興味を抱きつつ、いづなは波打ち際にしゃがみこむ。
「にんぎょさんは……どんなこいを、したのかしら。わたくしは、まだしらぬきもち」
そっと手を伸ばし、夜の海水に触れる。
(「……二本の足ではなく、尾鰭では海をゆく、つめたい鱗の肌では共に歩み、生きられぬと嘆いたのかしら」)
夏の気温でゆっくり乾く指先をそのままにして、立ち上がる。
「おしたいしておりますと、おそばにいさせてと、こいした方に、つげられぬまま……かなわぬこいを、うたっているのでしょうか」
――どうぞ、おきかせくださいな。いづなは、海の上でてらてらと揺れる月をじっと見た。寄せては返す波がひときわ大きくなり、その間から人ならざるものが現れる。
「ねえ、私のこと……知ってる?」
歌うような問いかけ。月の光で顔半分を照らされた人魚は、泣き笑いのような表情だ。それでも、美しい顔をしていることがわかる。
「悲恋を歌う美人の人魚、か?」
小さく息を吐き、ヨウが応える。不意にくすりと笑ったような声が聞こえた、気がした。
ザンニは、肩に乗る青目の烏を杖に変化させる。鳥を模した杖を手に、正答を。カノンやノア、うつほも次々と同じ答えを口にする。
答えたあと、問い返すのはリサ・ギャラッハ(雲居ヒンメル・e18759)。
「ねえ、聞かせてください。あなたはなぜ歌っているんですか。悲しい歌を。好きな人を見つけて、幸せだったのではないですか。報われなかったとしても」
まっすぐな声に、人魚は哀しそうな微笑みを返すだけだ。
思案顔に悪戯めいた笑みを浮かべ、蜂が人魚を見遣る。
「あなたは、『綺麗な人魚姫』……なんてね。海へ引きずり込めるものなら、どうぞ?」
正しい答えを知ってはいるけれど、あえて。腕に灯る紫の炎を揺らし、蜂は身構えた。
●うたごえ
人魚が、海の上を跳ねる。ザンニは人魚を視線で追い、砂を踏みしめて跳躍する。今度は体も人魚に追従させ、流星の蹴りを食らわせた。
「住む世界や生きる場所が違うことが悲恋に繋がってしまうなら、人魚姫はまさに悲しいお話ということになってしまうっすよねぇ」
水滴が跳ね、人魚の鱗がきらきらと輝く。
「……誰かに書かれた物語ではない、現実はそうではないと思いたいところですが……まずは夢喰いを何とかするお仕事が優先っすね」
続くリサはかぶりを振り、人魚に語りかけるかのように語る。
「……私も。泡になって消えてしまえたら。報われなくてもいい、恋がしたかった」
どうせ引きずりこむのなら、私を。
「無関係な人よりは、ずっといいですよ」
まっすぐに人魚を見つめ、リサは「御業」で動きを阻害する。テレビウム「フィオナ」の閃光を回避した人魚は、おもむろに歌い出した。
透き通った歌声が、前衛に響き渡る。人魚の目尻からは、はらりと涙がこぼれる。
「催眠効果のある歌、じゃったか……十六夜さん、援護は任せたぞい」
竜砲弾を撃ち出しながら、カノンがうつほに微笑みかける。
「頼りにされるというのは良いものじゃのぅ……ふふ、妾に任せるのじゃ」
うつほは微笑み返し、「ブラッドスター」を歌い上げる。人魚の歌とは、まるで趣の異なる音だ。
和箪笥のような姿をしたミミック「つづら」が、具現化した武器で人魚に迫る。普段のぐうたらっぷりが嘘のように、機敏な動きだ。しかし人魚はゆるやかに微笑み、その攻撃を回避した。
(「ねえ、どこからいらしたの? とおいうみのむこうを、しっていますか――」)
口にはせず、心の中で好奇心からの疑問を形に。
放つ御業は、仲間の攻撃を当てやすくするために。
「なかないで、うつくしいひと」
デウスエクス・ジュエルジグラット――すなわちドリームイーター。ゆめまぼろしにも似たものへと、いづなは優しく声をかける。
ウイングキャット「ペトロニウス」が主を含む前衛へと風を送れば、人魚を回復しそうになっていたノアは正気に返る。
「この歌は確かに危ないね。ペトロニウス、ありがとう」
そうして、ノアは攻撃へと移る。
「今日はドローンは無いから……これ、かな」
人魚に肉薄し、暴風を交えた回し蹴り。人魚の口からこぼれるのは歌ではなく、短い声だ。人魚はするりと海を泳ぎ、ケルベロスたちを見る。
嘆くでもなく、怒るでもなく、ただ、じっと。
「あの歌に引き込まれてはたまりませんね」
と、蜂が攻性植物に輝く果実を実らせた。まばゆい光は前衛へ。続いて、ヨウも縛霊手を前衛に向ける。
「さて、今回の俺は回復薬だ。厄介なモノは払わせて貰おうか」
そう言って、ヨウは前方に向けて紙兵を放つ。邪気を祓う紙兵は、狙いどおりに仲間を守護する。役割こそ後方支援ではあるが、ヨウの視線は戦いを楽しむよう。それでも動きは最小限に、的確に――確実に、仕事を全うできるように。
●ゆめうつつ
素早く、また的確に攻撃を当てる人魚を相手に、ケルベロスたちはうまく立ち回っていた。後衛から確実な攻撃を当てつつ、状態異常には素早く反応して。
「もう少し、人魚殿の攻撃手数を減らしたいところじゃのぅ……」
細めた目は、浮かぶ月と同じ色。うつほは紙兵を仲間の周囲に巡らせ、援護とする。
つづらの撒いた黄金から目をそらした人魚へ、いづなは炎の弾を放つ。闇色の海を照らす火の色は、人魚をも赤く染める。
それを追うのは、光の弾。ノアの縛霊手から放たれた光は大きく、まばゆく。波に逆らうように海上を滑り、人魚目がけた直線を描いた。
今度はペトロニウスも攻撃へ。浮遊して、人魚の体表を爪で一閃する。
ひたすらに仲間の傷を癒すのは、ヨウ。
「回復は俺に任せて、みんなは攻撃に集中してくれよ」
そのための回復役だと、ヨウは勢いよく癒しのオーラをノアへと放つ。
「……さて。戦闘開始時よりも有利になってきてるような気がするっす」
オウガメタルをまとった拳を人魚に命中させ、ザンニが仲間へと告げる。
人魚は素早く海中を移動し、リサの元へと現れる。残像から想起されるトラウマは、知らずのうちにリサを傷つける。
それでも呼吸ひとつ乱さず、リサはオウガメタル「Dunphort airgid」をまとって懸命に人魚を追う。
この人魚はドリームイーターだ。とはいえ、リサは自身が大好きな話を思い出さずにはいられない。
自分が消えても愛する人を見つけられた、あの話。リサにとってはハッピーエンドの、しあわせな話。
しあわせ。リサにとっての幸せは、彼女の出自が許さない。
「恋をして、愛を見つけて、家族をもって……でも、私には無理なんです」
だから、せめて。
「自分が泡になって消えてしまうのだとしても、報われないのだとしても――燃えるような恋がしたいのです」
吐息にも似た声で願うように囁く主を、フィオナが静かに癒す。
下半身を器用に動かしては海中を移動する人魚を、カノンの放ったオーラの弾丸が捉えた。その弾丸と同じくらいの速度で、蜂が人魚に迫る。
左腕に灯る地獄の炎をケルベロスチェインに纏わせ、蜂は勢いのままに叩きつけた。手応えを感じて岩場を蹴り、陸地へ戻る。
しかし着地はわずかに海の中。足首に感じる水温は体温とあまり変わらず、冷たいとも温かいとも思えない。
引きずっていた昔のことを少し思い出すだけで、あとは何でもない。本当に何でもないのだと、蜂は左腕を軸にして体勢を整えた。
●うたかた
いつからか、潮風のにおいはまるで気にならなくなっていた。戦闘に集中しているためか、それとも単に慣れたためか。
ペトロニウスは前衛へと風を送り、ケルベロスの傷をふさいでゆく。直後、ノアの生じさせた暴風は海水を、人魚を巻き込んだ。
未だゆるりと泳ぐ人魚を、蜂が指差す。
「……おいたは、いけませんね」
血液と地獄から生成された毒針は、月光を受けて人魚へと到達する。毒に顔をゆがめる人魚の顔は、いくつもの攻撃を受けて傷ついた体は、それでもなお美しいといえる。
「ふむ……これだけあれば、問題ないかえ? では、妾も加わるとしようかのぅ」
うつほは仲間を見渡し、回復は十分と判断する。
「遠き地より来れ同胞……妾の前に立ち塞がる者に永遠の後悔を味あわせてやるが良い! 逃げる事も立ち向かう事も許さず消え失せよ……同胞怨嗟!」
人魚を斬りつけ、足元まで縫い付ける。人魚に絡みつくは深紅のオーラ。さながら過去に流れた、同胞の血だ。
紅に重なる紅は、ザンニのエアシューズがまとった炎。リサもまた、畳みかける。
「ミァン、ミァン。暫しの間、手伝って。貴女の力を今此処に」
祈りに呼応して、真白の竜が現れる。咆吼は、夜の海を割るような雷条を結ぶ。
フィオナがザンニを癒せば、人魚もこくりと秘薬を飲み干した。
「今さら、じゃのぅ」
カノンがつぶやき、簒奪者の鎌を放つ。その視線には憐れみとも同情ともつかない色が浮かんでいる。つづらの武器もまた、人魚を打つ。
高らかな柏手がふたつ、響いた。
「いざや共に参らむ、昼ひなかの天座す霜と呼ばれしや、清き宮の護り部よ。月の姫、月の彦、しろがねの爪牙打ち鳴らせ!」
雌雄二頭の子狼はいづなの言葉にうなずきすら返さず、気付けば銀風となって人魚を切り裂いた。
人魚の口から最後にこぼれる、血色の泡。と、歌声。
人魚と歌は溶けて、ぷくり、とひとつの泡すら消えた。
それを見届け、いづなは深々と頭を下げる。
「あなたさまの、こいごころ。しかと、ききとどけました」
「ねぇ、人魚さん。綺麗な歌を、ありがとう。私、あなたの歌好きですよ」
不意に吹いた風が、蜂の髪を揺らした。
砂浜は静寂を取り戻す。再び波の音だけが聞こえる場所となる。
ヨウがあたりを見回し、ふむ、とうなずいた。
「ヒール……は、必要なさそうだな」
「じゃな。あとは被害者の女性の安否を確認しに行くとしようかのぅ」
カノンが同意を示し、ケルベロスたちはザンニが避難させた被害者の元へ向かう。目を覚ましつつある被害者をノアが助け起こし、念のためにヒールを施す。
「……ええと、みなさん、は……?」
「君はデウスエクスに『興味』を奪われて気を失っていたんだ。でも、俺たちケルベロスが解決したから、もう大丈夫」
ノアが穏やかに伝えると、少女はよく通る声で礼を述べたのだった。
(「深い悲しみや喜びのような強い情動こそが歌に命を吹き込む……って、これは友達の歌手の受け売りだけど。きっと彼女も失恋を糧に声楽家として成長するんだろうな」)
ぼんやりと思い、ノアはどうしたしまして、と告げた。
何度も礼を述べる少女に、うつほとカノンが声をかける。
「実らぬ恋とて……相手が生きていると言う、それだけで幸せだと感じることも出来よう」
「願わくばお主の心に幸があらんことを……」
優しい言葉をかけるカノンの背を、うつほは穏やかな目で見つめた。
(「妾の心に何かが留まる事などあの日から無いと思っておったが……何じゃろうな、妾の内に感じるこの暖かいものは……凍てつき動かぬものを少しずつ溶かす、小さな焔の様のようじゃ」)
うつほは、抱く思いを確かめるように胸元へと手を当てた。
人魚の消えた海は、変わらず。
寄せては返す波、そのあいだに光る鱗が見えた――ような、気がして。いづなは身じろぎひとつせず、耳をすませる。
「なみよ、どうか、とどけてあげてくださいませ」
重ねた言葉は、波の音に乗せるように。どうか、海の底へ、と。
作者:雨音瑛 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2017年7月24日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 4/キャラが大事にされていた 2
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