鎌倉ハロウィンパーティー~俺に触ると火傷するぜ?

作者:えとわーる

 手にした魔女の衣装を見て、海原・凪は唸る。
 ハロウィンパーティに用意したコスプレ衣装だったのだが、どうにもサイズがあって無い。
 実は試着した時に、すでにサイズがあって無い事には気づいていたが、きっとお昼がまだだからと、誤魔化して購入したのだ。
 が、現実はとても残酷だった。
 肩はもちろん、胸元どころか背中まで、わりと大きく見せるタイプの衣装なのだが、一番気に入っているのはスカートの部分。
 上半身と違って、ロングスカートに分類する丈なのだが、大きな南瓜のお化けと、影の大きなお城に蝙蝠やお墓がプリントされており、とてもハロウィンっぽいのだ。
 上は寒いからと何かを羽織ってもいいし、マントをつけてもいい。
 が、スタイルが悪すぎるせいか、服が下がっていくのだ。主に胸元が。
 さすがに、上着を着たとしても、丸出しで参加する気にはなれない。衣装は友達が用意してくれた分もあったが、どうしてもこれじゃないと嫌だった。
「あーあー、行きたかったなー」
「ハロウィンパーティーに参加したい……ですか」
 突然の声に、凪が驚きの声を上げるよりも早く、鍵が凪の心臓を貫く。鍵から視線をたどっていけば、いつからいたのか、そこには赤い頭巾をかぶった少女のドリームイーターが。
「その夢、かなえてあげましょう。世界で一番楽しいパーティーに参加して、その心の欠損を埋めるのです」
 凪の中から夢が吸い取られ、凪は意識を失い倒れてしまうが、その横に、全身をモザイク化したドリームイーターが現れた。
 生まれたてのドリームイーターはコスプレ衣装を手に取ると、何処かへと去っていった。

「とりっくおあとまーと!」
 笹島・ねむ(ウェアライダーのヘリオライダー・en0003)は元気いっぱい、何故かトマトを要求していた。
「ハロウィンの挨拶なのです!」
 完全な言い間違いを、ケルベロス達は優しさでスルーした。
「藤咲・うるる(サニーガール・e00086)ちゃんが調査してくれたのですが、日本各地でドリームイーターが暗躍しているようです」
 出現しているドリームイーターは、ハロウィンのお祭りに対して劣等感を持っていた人で、パーティー当日に一斉に動き出すのだという。
「ハロウィンに現れるので、ハロウィンドリームイーターと呼びます。そのハロウィンドリームイーターが現れるのは、世界で最も盛り上がる会場」
 ぐぐっと、ねむはため込む。
「そう、鎌倉のハロウィンパーティー会場です! みんなで、パーティーが始まる直前までに、ハロウィンドリームイーターを倒してください!」
 会場に現れるハロウィンドリームイーターはコスプレをしているのだという。
「衣装は顔が出るタイプのこんにゃくです。全身をモザイク化してて、俺に触れると火傷するぜと、書いてあるので、わかりやすいと思います!」
 こんにゃくといえば、お化け屋敷などでも驚かす小道具の定番。ある意味、ハロウィンらしいコスプレと言えなくもない。
「ハロウィンドリームイーターは、ハロウィンパーティーが始まると同時に現れます。ので、始まる前に、みんなで、ハロウィンパーティーを先にはじめちゃってください」
 そうすれば、パーティーが始まったと勘違いしたハロウィンドリームイーターを誘き出せる事が出来ると、ねむは言う。
「お菓子をもらったり、コスプレしたり、お菓子を貰う為にも」
 えいやとばかりに、ねむはパンチを放つ。
「ハロウィンドリームイーターを倒して、ハロウィンパーティーを楽しみましょー!」


参加者
八代・社(ヴァンガード・e00037)
ヴェルナー・ブラウン(オラトリオの鹵獲術士・e00155)
風峰・蒼弥(烈風飛燕・e03246)
峰岸・周(地球人の刀剣士・e03978)
アーティラリィ・エレクセリア(闇を照らす日輪・e05574)
神宮寺・結里花(目指せ大和撫子・e07405)
ロザリア・レノワール(黒き稲妻・e11689)
新城・珈織(刀剣なんとか・e16594)

■リプレイ


 鎌倉ハロウィンパーティーが始まる前、ケルベロス達はハロウィンドリームイーターを倒すべく、偽のパーティーの準備にいそしんでいた。
 偽と言っても、相手を釣り上げる為には、もうすでにパーティーが始まっていると勘違いさせる必要がある。ゆえに、ケルベロス達の仮装も本番さながらの気合の入ったものが混じっていた。
「鎌倉のハロウィンパーティー楽しそうですね」
 ロザリア・レノワール(黒き稲妻・e11689)の言葉に、アーティラリィ・エレクセリア(闇を照らす日輪・e05574)はうむ、横柄に頷く。
「そんなお楽しみを邪魔しようとするドリームイーターは、本当に迷惑千万です」
 わさわさ。
「うむ、本当に迷惑極まりないのじゃ」
 わさわさ。
「しかし、ハロウィンドリームイーター……なんというか凄まじくニッチな存在じゃなぁ」
「いやいや、ニッチな存在は、お二人っすから! というか、どこで売ってたっすか、手作りっすか!?」
 動くたびに頭の上で葉こすれを起こす、アーティラリィとロザリアに我慢が出来ずに神宮寺・結里花(目指せ大和撫子・e07405)がツッコミを入れた。
 アーティラリィのコスプレはちくわ。縦に立てた状態の顔が出るタイプのちくわの着ぐるみは、模様というか焦げ跡がやけに再現率が高い。
 オラトリオの特徴の一つである髪に咲いている花は、ちくわの穴から天に向かってまっすぐ伸びる大きなひまわり。何か作業をするたびに、着ぐるみにぶつかるのか、葉のこすれる音を立てていた。
 一方、ロザリアのコスプレは、真っ白な肌が徐々に緑色になっていくグラデーションが美しい、あおくび大根の着ぐるみ。葉っぱも青々と元気にしげり、動くたびに、こちらもわさわさと葉のこすれた音を立てる。ちくわとちがい、二股大根にすることで、人が入っていても違和感が若干低くなる事と、ピリ辛と書かれた辛口アピールが心憎い。
 ちなみに結里花のコスプレは、魔女。ジャックオーランタンをイメージしたような、顔の付いた尖がり帽子に、先端にジャックオーランタンがついた杖。オレンジをベースにしたゴシックに、見えないところも南瓜ですと、かぼちゃパンツをはいていた。
「食べ物とかここに置けばいいの?」
 他の3人とは違い、何処ででも売っていそうな魔女風の三角帽子とマントを上から着ただけの簡易コスプレセット姿の新城・珈織(刀剣なんとか・e16594)が、1.5Lの清涼飲料水を数本と、ヒゲの紳士のチキン屋で買ってきたパーティーサイズの唐揚げBOXをテーブルの上に置いていく。
 実は料理をいろいろ作ってくる者はいたが、飲み物を用意したのは結里花と珈織の二人だけだったりする。もしも、二人が飲み物を用意していなかったら、南瓜料理を飲み物もなく食べ続けるという、ある意味苦行的な行いが行われていた、のかもしれない。


「普段こういう服着ないから、ちょっとドキドキするよね」
 ヴェルナー・ブラウン(オラトリオの鹵獲術士・e00155)は中世の貴族をイメージさせるロココスタイル。中に着込んでいる白いシャツの袖にはフリルが付き、その上からは花をあしらった刺繍が施された黒いベスト。同色のジャケットは丈が長く、袖や襟周りなどに金糸で刺繍が施されている。下は、7分丈のパンツにタイツ。そして、フリルのついたチョーカーの中央には、イミテーションとはいえ大きな宝石が縫い付けられていた。
「そうだな」
 八代・社(ヴァンガード・e00037)は言われて自身のコスプレに目を向ける。吸血鬼のコスプレのつもりだが、何をどうしたらいいのかわからず、単に黒いマントを羽織っただけの物だが、その黒いマントでさえ普段ならば身に纏うこともない。ハロウィンならではの衣装と言えるだろう。
「折角の皆が楽しめるパーティーを台無しになんてさせないの」
「パーティ本番、潰させるわけにはいかないからね」
 ヴェルナーの言葉に、風峰・蒼弥(烈風飛燕・e03246)が用意してきたャックオーランタンを飾り付けながら、同意する。
 蒼弥が用意してきたのは、段ボール製の南瓜型ブリキロボ。色をそれっぽく塗ったり、ギミックを仕込んだりと、割と自信作なのだが、インパクトという点では、大根やちくわには負けていた。
「ハロウィンパーティーを成功させる為に、ドリームイーターを仕留める事ですかね」
 そう言って蝙蝠型の装飾品を飾っている峰岸・周(地球人の刀剣士・e03978)は全身包帯姿のミイラ男。一見動きづらそうに見えるが、包帯を巻く時に、関節部分にさえ気を付ければ、動きを阻害される事もない。ただ、しっかりと包帯を止めておかないと、垂れてきた包帯を踏んで転んでしまう可能性があるので、注意が必要だ。
 何度か装飾品の角度を確認すると、上手くいったのか、周は満足そうに頷く。
「まぁ、それに折角ですから、模擬パーティーも楽しみますか」
 飾り付けと同時に料理の盛り付けも終了。
 時計を見れば、鎌倉ハロウィンパーティーまでには、十分に時間が余っており、周囲には一般人もいない。
 仮にこの周辺が戦闘に巻き込まれ、それなりに破壊されたとしても、この後で行われる本物のハロウィンに問題がない事を改めて確認した後、ケルベロス達は顔を見合わせ、頷く。
 各自飲み物をコップに注ぎ、ゆっくりと頭上へと掲げる。
『ハッピーハロウィン!』
『トリックオアトリート!』
 ハロウィンに混ざりこむ、本物の怪物を退治する為の餌、偽のハロウィンパーティーはこうして始まった。


「お菓子を用意したの」
 まずはハロウィンらしく、お菓子から。という事で、ヴェルナーが用意したジャックオランタンの絵をカラメルソースで描いた南瓜プリンとジャックオランタンの形南瓜クッキーを食べ始める。
 クッキーはほろっと口の中でほどけて、南瓜の風味が広がる。プリンの方は、丁寧に裏ごしされた滑らかな舌触りに、微かな苦みをもったカラメルソースが実によく合っていた。
 見て楽しく、食べておいしい南瓜のお菓子に、ケルベロス達に笑みが浮かぶ。
 続いて出されたのは、ハロウィンという事で、南瓜料理。
 その内南瓜のパイが3人、シチューが2人かぶったりしたが、作った人物が違えば味が違うのもよくある話。むしろ、食べ比べが出来て、話のネタになったりもする。
 社、周、結里花の3人のパンプキンパイが切り分けられ、それぞれの皿の上に乗せられる。ついでに、アーティラリィが用意したアップルパイも乗せら、それぞれ自分のペースで食べていく。
 南瓜の甘味を存分に生かしたもの、南瓜の素朴さを前面におしだしたもの、そして、丹念に裏ごしをし滑らかさをだしたものと、それぞれに味わいの個性がはっきりと出る。
 また、アップルパイが南瓜と違う甘みを提供するおかげで、個性を際立たせる役にもたった。
 シチューも、あえて南瓜の身を分かりやすく残したシチューと裏ごしをされた滑らかなシチューが、身体を内側から温め、パイとは違う優しい甘さがほっとさせる。
 社の用意したほくほくのカボチャコロッケもソースを掛けるまでもなく美味しく、結里花の用意したそぼろ煮の、どこか懐かしい素朴な味付けが、和食のありがたみを感じさせた。
 料理はどれも美味しいが、南瓜ばかりで基本的に甘い。そこに颯爽と現れる珈織が用意した唐揚げBOXは、予想以上に人気を博した。
「ふふり、料理には自信あるのじゃぞ?」
 自慢げにアーティラリィが出したのは、一見すると、丸ごとの南瓜。が、正体は南瓜を丸ごと器にしたパンプキンチーズフォンデュ。
 串に刺した野菜やソーセージに、とろりと溶けた南瓜とチーズが絡み合い、甘みの中に広がるチーズの塩分が絶妙な風味を醸し出していた。
「唐揚げも合うよね」
 珈織の言葉に、仲間達が真似してつけ始める。
「どれも美味しいですね」
 食べ物を特に用意してこなかったロザリアは、もりもりと消費していく。
 ある程度、食欲が満たされたケルベロス達は、余興を楽しむことにした。
「これ、しゃがむとでっかい南瓜になるんですよ」
 蒼弥がギミックその1を披露する。おーと声が上がるものの、やはり、ヒマワリを咲かしたちくわや、ピリ辛と書かれた二股あおくび大根がいると、どうしてもインパクトに負ける。
 ゆえに、評価は普通にすごい、と言ったものになった。
「え、普通? そっかー……」
 若干落ち込みつつも、ならばと、ロボットダンスに切り替える。
「ブリキなのにキレがありますね」
「段ボールなのにキレがあるな」
 周と社がお茶を飲みながら評する。
 美味しい料理と楽しい余興、すっかりパーティーを楽しんでいると、ついにハロウィンドリームイーターが現れた。
 

 どこまでもフラットな体のライン。それは果たしてこんにゃくの着ぐるみを着ているせいなのか。
 ともあれ、全身モザイク化したハロウィンドリームイーターが、ケルベロス達が仕掛けた偽パーティーを勘違いして、現れた事には違いがなかった。
「ハロウィンパーティーに混ぜて……ハロウィン?」
 モザイクがかかった顔だというのに、はっきりと困惑したのがわかる声で、ハロウィンドリームイーターがケルベロス達に聞き返す。
「あなたに言われる筋合いはありません!」
「なんでハロウィンでコンニャクなんじゃー!?」
 こんにゃくに、大根とちくわが言い返す。とてもシュールな空間の中、結里花が朱い杯に入った甘酒を飲み干すと、意識を戦闘モードへと移行する。
「神宮寺流戦巫女、結里花参ります」 
 そして、戦闘モードに移行するものが、もう一人。
「こんなギミックもあるんです! 破ァッ!」
『脱げたー!?』
 蒼弥の気合と共に、段ボール製の南瓜ブリキロボがはじけ飛ぶ。はじけ飛んだ下は、全裸……ではなく、普通の服装。
「良かった、着てた」
 ほっと安堵のため息をつくこんにゃくに、周がグラビティ・チェインを超圧縮しつつ、走り寄る。
「映せ夢幻泡影――鉄鼠!」
 その手に生まれ出たのは棒手裏剣。投げつけられた棒手裏剣は、こんにゃくに深く突き刺さり、爆発した。
「トリートorトリート! モザイク止めなきゃ、退治しちゃうぞ」
 ロザリアが冗談めかして口にすると、すぐに意識を集中する。
「励起。昇圧、集束……」
 ロザリアの周辺の大気がうねり、放電現象が始まり出す。バリバリと音がする電気を制御し、掌に収束させる。
「発雷!」
 プラズマ化した一撃、天怒雷鳴(シュペールエクレール)がこんにゃくを吹き飛ばす。
「俺に触れると火傷するですか、私に触れると痺れますよ」
 さらに追い打ち、結里花が凛とした声で詠唱を唱え始める。
「ナウマク・サマンダ・ボダナン・インダラヤ・ソワカ。雷の右!!」
 右手に巳神の化身である因達羅(インドラ)の御業を身に宿し、渾身の雷属性の魔力撃を撃ち放つ。こんにゃくに当たると同時に、雷へと変化した御業が、こんにゃく内部で荒れ狂う。
「壁役が少ないので頑張らねばなぁ」
 アーティラリィが雷の壁を後衛に張り巡らせ、こんにゃくの攻撃に備える。
「雷、雷、雷……電気屋か!」
 ツッコミを入れつつ、こんにゃくは知識を喰らうモザイクを飛ばす。モザイクは幾何学に変化しながらロザリアへと向かい、蒼弥が強引に身体をねじ込んで、代わりにモザイクに包まれた。
「たかがこんにゃく一切れ、押し返してやるッ!」
 何かを奪われる感覚にゾッとしながらも、 斬霊刀に手をかけ、空舞う燕のような飛ぶ斬撃、飛燕(ヒエン)を見舞う。
「これが壱の秘剣・飛燕だ、なんてね」
「アツアツのこんにゃくさんをもっと熱くしちゃおうかな」
 ヴェルナーの掌から現れた幻影の竜が破壊の炎をまき散らす。その炎に紛れて、珈織が車斤金失剣(ザンテツケン)をこんにゃくに振るう。
「またつまらぬものを斬ってしまった」
 言葉の後に走る斬撃の線が、こんにゃくに刻まれる。まるで隠し包丁のように。もっとも、素材自体、べつにこんにゃくでもないのだが。
「あァ、もっとバカスカ撃ちてえなあ……」
 社は縛霊手の祭壇から紙兵を大量散布し、前衛の守護にあてる。脇にぶら下げたままの自身のリボルバーに目が行くが、まだその時ではないと、回復と壁役に意識を割く。

「天に仰ぎ見るべきこの余の眼前に立ち塞がるか。その不敬、断罪を持って償うがよい!」
 アーティラリィが周囲の光を集め、ちくわが光り輝く。
「蒼天を照らすは輝ける日輪、夜天を払いて暁を導かん」
 集められた光がちくわを通して、頭のヒマワリへと収束していく。
「その光をもって焼き尽くし、我が征く道を切り開け!」
 ひまわりから放たれた熱線、日輪の昇光(ニチリンノショウコウ)がこんにゃくを炎に包み、さらにはロザリアの飛び蹴りがこんにゃくを撃つ。
「くっ、色物枠の攻撃を食らうとは」
 吐き捨てるこんにゃくだが、確かに傍目に見ると、ちくわから生えたひまわりがビームを撃って、大根が飛び蹴りをこんにゃくに食らわしたという、シュールな光景だ。
 もし、この光景をそのまま報告書に書いて提出したら、まず間違いなく、目を覚まして出直して来いと怒鳴られる事だろう。
「今回はちょっとばっかり鬱憤が溜まってるんだ。一発食らっていけよ、ドリームイーター」
 オーラで青く輝く腕とリボルバーを魔術回路で接続、オーラを纏った両腕を通じ、空想銃弾(Imaginary Bullet)をリボルバーに装填すると、こんにゃくに近接戦闘を仕掛ける。
 こんにゃくの腕を跳ね上げ、開いた脇腹に『砲』そのものと化した両腕をぴたりと貼り付けた。
「歪め。おれの魔弾をくれてやる」
 連続して叩き込まれる魔弾の砲撃に、こんにゃくの身体が歪む。
 戦いながら、ずっとデータ集めをしていたヴェルナーの足が止まる。弥終の檻(イクスプリズン)を詠唱するために。
「天に遍く星々の煌きよ」
 ヴェルナーの詠唱の間を埋める為、周がこんにゃくへと走り寄る。
「映せ夢幻泡影――神滅!」
 生み出されたのは純白の長剣。こんにゃくへと深々と突き刺すと、その場から飛びずさる。直後、恒星を模した高密度のエネルギー体がこんにゃくを包囲した。
「ここに集いて、彼の者を打ち砕け」
 最初に爆発が起こったのは、周が突き刺した神滅。その爆発を引き金に、包囲していたエネルギー体が一斉に爆発、そのエネルギーが内側、こんにゃくに向かってだけ放出されていき、爆縮する。
 爆発の後に残されたのは、南瓜の飾りだった。

 破壊の後をヒールで回復していく。その分幻想的になっていくが、なんといっても今日はハロウィン。むしろ、この風景の方があっているだろう。
『ハッピーハロウィン!』
 どこからともなく聞こえてきた声に、ケルベロス達も唱和する。
 ハロウィンの飾りの中に、南瓜の飾りの横におでんの食品サンプルが混じっていたのは、ここだけの話。

作者:えとわーる 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2015年10月31日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 2/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 4
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