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次に螺旋忍軍の『彷徨えるゲート』が出現する場所が判明した。
――セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)はそう告げた。
この情報により、螺旋忍軍との決戦を行う事が可能になる。
『螺旋帝の血族・緋紗雨を智龍ゲドムガサラから守り切った』成果だと、セリカは、ケルベロスたちを労い讃えた。
しかし、決戦を行う上で、大きな障害がある。
正義のケルベロス忍軍から螺旋忍法帖を奪取し、螺旋帝の血族『亜紗斬』を捕縛した『最上忍軍』だ。
「最上忍軍は、螺旋帝の血族・イグニスから新たな命令を受け、各勢力に潜入していた螺旋忍軍達を利用して『螺旋忍軍のゲートが現れる地点に戦力を集結』させようとしています。
ダモクレスからは『載霊機ドレッドノートの戦い』の残党勢力。
エインヘリアルからは、ザイフリートやイグニスの後釜を狙う王子とその私兵団。
更に、各勢力が研究していた屍隷兵の中で、戦闘力の高い者達を集めた軍勢も用意しているようですね。
彼らは、螺旋忍軍から『魔竜王の遺産である、強大なグラビティ・チェインの塊が発見された』『このグラビティ・チェインを得る事ができれば、巨大な功績になる』『この事実を知ったケルベロスの襲撃が予測されている』等、都合のいい偽情報を掴まされているようです。
また『魔竜王の遺産は独占が望ましいが、複数の勢力が参戦してくる事が予測されている為、敵に漁夫の利を与えない為の立ち回りが重要である』と説明されており、デウスエクス同士では戦端を開かずに牽制しあうように仕向けられています。
イグニスとドラゴン勢力は、集めた戦力を『ゲートから戦力を送り込むまでの防衛戦力』として利用しようとしているようです。
ケルベロスウォーを発動しない限り、集結する軍勢を全て撃破する事は不可能。
しかし、行軍中の軍勢を襲撃して、主だった指揮官を撃破する事ができれば、敵勢力を弱体化させることができる筈です。
危険な任務となりますが、どうか、皆さんの力をお貸しください」
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襲撃の標的は、エインヘリアルの軍勢。エインヘリアルの第十一王子『マン・ハオウ』と、その私兵集団である。
最上忍軍から情報を得て、私兵団を率いる『ペンプ・オグ』以下11体の歴戦のエインヘリアルが数百名のエインヘリアルの軍勢を率い、地球へ向かっている。
この状態で、有力なエインヘリアルを撃破するのはかなり難しい。しかし、このエインヘリアル達の特殊な性質を利用する事で、チャンスが生まれるのだと、セリカは言う。
「マン・ハオウ以下有力なエインヘリアル達は、背の低い美少女を特別視しており、そういった存在が目の前に現れれば、軍勢を待機させて自分達だけで突撃してくるのです。
……言いたいことはあるかと思います、色々と。ですが、12体の有力なエインヘリアルが固まって襲ってくるのですから、決して侮る事はできません。
つり出した『マン・ハオウ』以下有力なエインヘリアルを撃破するか、或いは、指揮官が出払ったエインヘリアルの軍勢を攻撃して数を減らすといった作戦が有効でしょう。
残されたエインヘリアルの軍勢の中には、最上忍軍の『最上・幻夢』の姿もあるようなので、その撃破を狙っていくのも良いかもしれません。
私兵団の隊長である『ペンプ・オグ』は、少女よりも『マン・ハオウ』の安全を優先するため、襲撃してきたケルベロスが手強いと知れば、『マン・ハオウ』と共に軍勢の元に撤退しようとするでしょう。
その他の私兵団員は各個撃破が可能なようですが、その戦闘力は高く、確実な撃破を目指すならば、1体につき2チームが連携して戦うのが望ましいでしょう。
進軍中の敵を強襲する奇襲作戦となります。作戦終了後は、素早く撤退しなければ、敵の勢力圏に取り残されることになるので注意してください」
エインヘリアルの第十一王子『マン・ハオウ』が、イグニスの配下に加わる事があれば、イグニスの影響力がエインヘリアルにも及ぶようになる危険性もある。可能ならば、ここで『マン・ハオウ』を討ち取っておきたいところだ。
「螺旋忍軍との決戦はもうすぐです。ここで敵戦力を削る事ができなければ、状況は悪化してしまうでしょう。危険な任務ですが、頑張ってください」
ご武運を。そう締めくくり、セリカはケルベロスたちをヘリオンへと誘うのだった。
参加者 | |
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メリルディ・ファーレン(陽だまりのふわふわ綿菓子・e00015) |
幸・鳳琴(黄龍拳・e00039) |
ジョーイ・ガーシュイン(地球人の鎧装騎兵・e00706) |
アニエス・ジケル(銀青仙花・e01341) |
毒島・漆(魔導煉成医・e01815) |
ラプチャー・デナイザ(真実の愛を求道する者・e04713) |
タージェ・シャルトルーズ(風巻のソードダンサー・e21560) |
リカルド・アーヴェント(彷徨いの絶風機人・e22893) |
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紀伊山地、伯母子岳。
ここを越えた奈良平野に螺旋忍軍の『彷徨えるゲート』が出現する。
イグニスとドラゴン勢力は、集めた戦力を『ゲートから戦力を送り込むまでの防衛戦力』として利用しようとしているのだった。
そのために螺旋忍軍から偽の情報を吹き込まれたエインヘリアルの軍勢が、奈良平野を目指してこの山道を進軍していた。
やってきたのはザイフリートやイグニスの後釜を狙うエインヘリアルの第十一王子『マン・ハオウ』とその私兵団。
歴戦のエインヘリアルがさらに数百名のエインヘリアルを率いる一大軍勢である。
奈良平野に大量のグラビティ・チェインがあり、またケルベロス達がそこへやって来ると信じ、彼らは意気盛んに山を越えていた。
その軍が徐々に解れだす。
小さな美少女たちが、何人も、彼らの前に姿を現したからだ。
その度に、歴戦の私掠団員は次々、自分の軍勢を待機させてはそちらへ向かってしまう。団長のマン・ハオウすらも例外ではなかった。
そして、団員の一人、セイジュ・オーの目の前にも、2人の少女が現れた。
艶やかな黒髪を風になびかせて踊る少女と、白い傘を差して微笑む少女。
彼女たちは、エインヘリアルを釣りだし各個撃破を狙う、ケルベロスの囮なのだった。
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軽やかに跳ねて踊るタージェ・シャルトルーズ(風巻のソードダンサー・e21560)にセイジュ・オーの目は釘付けになる。
「セイジュ・オー! 君の相手は私達だよ。さぁ、一緒に踊ろう」
タージェがフェアリーブーツの踵を鳴らせば、きらめく星がセイジュ・オーに降り注いだ。
「鬼さん、こちら! セイジュ・オーさん、アニエスたちとあそびましょう!」
白い傘をくるくると回しアニエス・ジケル(銀青仙花・e01341)は微笑み誘う。
「馬鹿め! 美少女が誘えばホイホイついていくとでも思ったか! どうせ後ろに仲間が潜んでいるのだろう?」
唇を釣り上げて笑うセイジュ・オーの額から、たらりと血が垂れる。タージェの放った星が直撃したせいだ。装甲にもいくつか穴が開いている。
「……だが、罠と知っていても行かねばならぬ時もある。よかろう! 罠にはまって踏みつぶすとしよう」
そう言って、若干スキップ入った足取りで後を追うセイジュ・オーであった。
「あはは♪ こっちこっち!」
「セイジュ・オーさん、手のなる方へ!」
セイジュ・オーが追えば、2人は逃げる。つかず離れずの距離を保とうとする少女達だったが、セイジュ・オーは全速力で後を追い、あっという間に距離を縮めた。 逃げるふたりの前に回り込み、進路をふさぐ。
「わ、やば……?」
「さて、ではその体(血)を頂こうか」
舌なめずりで巨剣を構えるセイジュ・オーの頭上に、その時、光輝を引いて星が流れ落ちた。
「そうはさせないっ!」
幸・鳳琴(黄龍拳・e00039)がスターゲイザーで飛び込んだ。重力を乗せた重い蹴りをセイジュオーに叩き込む。
「むん!!」
腐っても歴戦の戦士。セイジュオーは振り向きもせず、巨剣をかざして鳳琴の襲撃を受け止めた。
ぶんと振り回す剣から間合いを離し、鳳琴はタージェとアニエスを庇うように立つ鳳琴。
「おぅ、もう一匹いたか……ふむ、ううむ」
鳳琴を上から下までまじまじと見たセイジュ・オーは、首をふり深くため息をついて言った。
「去年、会いたかったな……」
「……っ!?」
●
「動かないでっ!」
甘ったるい香りが漂い、飛んできた言葉通り、セイジュ・オーの足元が固まったように重くなる。
足元を見れば、メリルディ・ファーレン(陽だまりのふわふわ綿菓子・e00015)撒いた粉砂糖に覆われている。
「チッ」
どこに潜んでいたのかと、セイジュ・オーは舌打ちする。
ぐるりと首を回した死角から、砲弾が飛来した。巨剣で受けようとするが間に合わず、喰らった。
それは、毒島・漆(魔導煉成医・e01815) の撃ったホローポイント弾だ。
追い撃つように、ラプチャー・デナイザ(真実の愛を求道する者・e04713)の放ったドラゴンの幻影が纏わりつく。
「少女や幼女は愛でるものというのに、殺すとは野蛮な者達でござるな」
(「流石エインヘリアル、一筋縄ではいかないか。しかし……うわぁ……」)
セイジュ・オーの残念な言動に、リカルド・アーヴェント(彷徨いの絶風機人・e22893)は、内心引き気味である。
気を取り直し、リカルドは鳳琴に「破壊のルーン」を宿した。
支援を受けた鳳琴の背後に輝く龍のオーラが立ち昇った。
「悪辣な敵……必ずここで倒すっ!」
先ほどの発言が刺さってか、いつも以上にポテンシャルが上がっている。単純にして剛なる一撃が叩き込まれ、セイジュオーを蹂躙する。
「でぇりゃァァァ!!!!」
ジョーイ・ガーシュイン(地球人の鎧装騎兵・e00706)が、 鬼神の一太刀を浴びせる。 だが大振りの一刀を、セイジュ・オーは跳び退いて躱す。
他軍勢から少しでも目を逸らそうと、アニエスは煙幕で戦場を包みこんだ。
一人の犠牲も出すまいと決意を胸にメリルディは符を放つ。「御業」はセイジュ・オーを鷲掴みにして離さない。
「漆!」
「『愚天……混色夜叉ッ!』 」
漆は物質化したグラビティチェインを纏い、捕縛されたセイジュ・オーを攻撃した。セイジュオーの生命力を削り奪い取る。
「邪魔をするな! 美少女以外に用はない!」
潔くそう言い放つと、セイジュ・オーはその巨剣を振りかざす。星座のオーラを放てば、メリルディの分は漆が庇って受け止める。
「ピコピコ!」
電子音と共にアニエスへの攻撃を庇ったのはテレビウムのポチだ。
(「愛でござるなあ……」)
庇いあう姿に感動しつつも、こっそり負の感情を溜めているラプチャー。彼の愛はどこにあるのか。
メリルディが炎を纏った蹴りを放つのに合わせ、漆の穿壊銃で殴りつけた。
傷付いたセイジュ・オーにラプチャーはフランベルジュでズタズタラッシュを仕掛けた。
リカルドは全身の装甲から光輝くオウガ粒子を放出し、鳳琴の超感覚を覚醒させた。
鳳琴の鋭敏になった感覚は、攻撃の精度を上げる。セイジュ・オーの防御をかわし、鳳琴は杭を突き刺した。その切先は深々と貫き、纏う冷気が凍てつかせる。
動きは鈍ったとみたジョーイは神速で抜刀し、斬りつける。だが、セイジュ・オーは紙一重でその切先を躱していた。
「クッソめんどくせえ……」
零した一言は彼の口癖ではあったが、図らずも皆の気持ちを代弁していた。強いロリコン、めんどくさい。
「ブッブー!」
ポチは顔から閃光を放ち、セイジュ・オーを眩しがらせることに成功していた。
「もういっちょ食らいなぁ!」
巨剣に星座の力を宿し、薙ぎ払う。
力を込めて繰り出されるオーラはラプチャーと鳳琴を襲い、凍り付かせた。
「おっと、今のはいいのが入ったなあ」
よろめく2人を見て、セイジュ・オーは機嫌をよくしたようだ。
「どうよ、ケルベロス? そっちの2人を大人しく渡すならてめえらは見逃してやってもいいんだぜ?」
せせら笑う。本気じゃないことは誰の目にも明らかだ。
「お断りだよッ!」
ことさらにタージェは声を張る。フェアリーシューズの踵を鳴らし、花弁のオーラを降らせ、友を癒す。
「連れ去られてなんて、やりませんから!」
祈りの光を降らせてアニエスが言えば、ポチも画面を光らせて同意を示した。
「誰も犠牲にしたくないのです」
メリルディの言葉に誰もが同意を示した。
「……まあ、そうだよな。言って見ただけさ」
セイジュ・オーは笑みを消して、巨剣を構え直した。
「じゃあ、死ねよ」
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星座の重力を宿した斬撃を、セイジュ・オーは力任せに振り、落とす。
ジョーイは受けきれず一撃を喰らった。骨が砕ける音がして、腕をもぎ取られそうな衝撃にも剣を落とさないのは、意地だ。
「わ、わ。いそぎ、回復します……!」
アニエスは治癒を願い、その祈りは光となってジョーイに降り注ぐ。
治癒を得たジョーイの反撃、的確な斬撃はセイジュ・オーの装甲を砕いた。もとより攻撃に主眼を置く私掠団員たちの装甲はさほど厚くない。
その威力で胸甲がはじけ飛ぶ。
「正直怖いけど、ここで退くわけにはいかない、んだよッ!」
タージェは自らを鼓舞し、剣龍の舞を舞った。風のように舞うタージェのナイフから5匹の小龍が具現化する。
その舞につかの間魅了されるセイジュ・オー。その隙をついて5匹の竜は襲い掛かり食らいついた。
肉を抉られる激痛がセイジュ・オーの表情を歪める。
たたらを踏んで、その巨体がよろめいた。
それでも踏みとどまったセイジュ・オーは、剣を振るい、力を込めて竜を弾き飛ばす。
その口元には、いやらしい笑みが浮かんだ。
「無垢で、純粋で、そして強い。貴様らの血を啜ればマン・ハオウ様の強さはどれほどになるだろう」
セイジュ・オーは滴る自分の血を舐め、2人を見る。
「そんなことはさせないっ!」
鳳琴は高く跳躍する。電光石火の蹴りがセイジュ・オーの横面を捕らえ痛打を与えた。
脳が揺れるほどの衝撃にセイジュ・オーはたまらず下がる。間合いを離し、手にした剣で星座を描き傷を癒した。
●
「Corneille noire!」
メリルディはナイフを振るい、刀身にトラウマを映し具現化した。他者の目に見えぬトラウマに襲われた、セイジュ・オーはもがき苦しみの声を上げる。
「うぬう! ぐぁっ! やめろ、幼女め、幼女めぇええっ!」
何が見えているのかはわからないが、どうやら、幼女っぽいトラウマが具現しているらしい。
(「美少女が好きなのに、幼女に対してトラウマを持ってるのか……?」)
リカルド、内心困惑する。思えば、美少女好きと言っても、欲するのは主に無垢な血なのだ。自分たちの考える以上に、彼らの美少女への思いは歪んでいるのかもしれない。
「……深淵を覗くものは、深淵にも覗かれているでござるよ……」
ラプチャー、思うところがあるのか、しみじみ呟く。
そんな彼から負感情が噴き出し、鋭く黒い刃を具現化する。美少女愛を謳いながらその指向を認められない者への近親嫌悪、そしてラヴい人たちを間近に見たせいでその黒さ鋭さはいや増した。そう言えばさっき凍らされたっけ。
「これが拙者の気持ちでござるよ……自身の行いを振り返りながら切り刻まれろでござる」
「ぐぁあ! 何故かお前には言われたくない気がするぞーっ!?」
セイジュ・オーの叫びには耳を貸さない。負の刃はその鬱屈を顕すように過激に動き回り斬り刻んだ。
色々な傷口を抉られ広げられたせいで、セイジュ・オーはがくりと片膝をつき、荒い息を吐いていた。
「よくも……やってくれたな! この屈辱はその2人に購ってもらう」
歴戦のエインヘリアルの怒気が膨らめば、やはり恐ろしく、場を威圧する。
セイジュ・オーは、剣に宿した星座のオーラを飛ばして凍らせる。アニエスを狙った斬撃は、割って入ったポチが受けた。
「ピコ……ブー……」
「ポチくん!」
青ざめるアニエスの足元にテレビウムは転がる。ザザ……と砂嵐が流れプツリと切れた。
メリルデイを庇ってオーラを受けた漆は、全身を地獄の炎で覆い尽くして癒した。
「えいっ……!」
ポチの分まで、アニエスは超硬化した爪を振るい、挑む。
花弁が舞い散る。タージェが戦場を美しく舞い踊り、花びらのオーラを降らせている。
リカルドが放つ光の粒子と共に、癒しの力が広がった。
「Quelque chose d’absorbe」
メリルディの攻性植物は命ぜられるままセイジュオーに絡みつく。
「強者は強者、流石でござるが……此方にも負けれない理由がある故」
ラプチャーの放つドラゴンの幻影が焼き焦がした。
「『渦巻け叡智、示し導き、風よ絶て。吼えよ、絶風の『咎凪』よ』 」
責めに転じたリカルドは魔術で風を集約し、流れを絶つ程の圧縮弾として放出した。
攻性植物を振り払い、幻影に焦がされながらセイジュ・オーは巨剣を振り上げ、振り回す。
目障りだとばかり、ジョーイへ振り下ろすその斬撃を、アニエスが飛び込み受けた。
刃の食い込む激痛をタージェが舞い飛ばした小龍が癒し、消えかけたアニエスの意識をつなぎとめる。
そして、セイジュ・オーは連れ去るべきアニエスが自ら飛び込み深手を負った事に驚いていた。
「ば、バカなのか!?」
理解できないと、剣を引く。大きな隙が出来た。
「……一発デケェの行くから、しっかり受け止めろよ?」
下方からした低い声にはっと目を遣った時にはすでに遅い。
「……でぇりゃァァァ!!!!」
ジョーイが吼える。足元の小兵から噴き上がる鬼神のオーラに、セイジュ・オーは動けない。
一度はかわした大振りの攻撃も、ここまで間合いが近ければ外しようもない。
轟剣一閃、全ての力を込めた冥刀の切先は、エインヘリアルの巨躯をも紙のように容易く斬り裂き、真っ二つにした。
同時に叩き込まれた重力の鎖が、その心臓を砕いていた。
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「純粋……無垢の、血……残念だ……だが、悦かった、ぞ……」
セイジュ・オーは満足気に笑い、崩れ落ちた。セイジュ・オーの体は、二つに裂けた傷口から崩れ始め、終いに光の粒子となって全て消えうせた。
強敵を撃破したものの、勝利の余韻に浸る暇はなかった。
ここは敵軍の真っただ中だ。援軍がやってくる前にこの場を離れなければならない。
地を踏み鳴らす軍勢の音がすぐ近くに聞こえている。
この勝利が、大きな勝利へ繋がることを祈り、ケルベロスたちは戦場を後にした。
作者:黄秦 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2017年7月21日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 5/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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