冥土喫茶へ潜入せよ!

作者:ハッピーエンド

●誕生! 冥土喫茶のメイドさん
「何故、私の店はつぶれてしまったのかしら……」
 月の綺麗な夜。小さな店の中で女性が嘆いていた。
「冥土にメイド、どちらにでもコスプレできるメイド喫茶。ウケルと思ったのに……」
 疲れ顔の女性は、ため息をつく。
「用意したコスプレ衣装。特に鎌とか、どう処分しようかしら? ……鎌だけに、次はオカマ喫茶でも開こうかしら?」
 自嘲する女性。しかし、その身体が不意に前へと倒れた。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『後悔』を奪わせてもらいましょう」
 店内に静かな声が響く。女性の胸には鍵のような何かがつきたてられている。奪われた女性の後悔。ソレはまたたくまに『メイド』へと姿を変え、オモチャの鎌を手に取った。
「おかえりなさいませ、ご主人様」
 鎌を手にしたドリームイーターは、楽しそうに微笑んだのだった。

●冥土喫茶へ潜入せよ!
「クーリン・レンフォード(紫苑一輪・e01408)さんから頂いた情報をもとに捜査した結果、冥土喫茶をつぶしてしまった女性の『後悔』が奪われるという事件が発見されました。誕生したメイド型ドリームイーターにより、事件が起こされようとしています。被害が出る前に、ドリームイーターを撃破して下さい。撃破する事ができれば、被害者の女性も、目を覚ましてくれるでしょう」
 セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)は予言を終えると、事件の概要を伝えはじめる。
「ドリームイーターは単独で行動しており仲間はいません。戦闘場所はお店の中、お客はいません。いきなり戦闘を仕掛ける事もできますが、客としてサービスを受け、そのサービスを心から楽しんであげると、ドリームイーターは満足して戦闘力が減少するようです。また、満足させてからドリームイーターを倒した場合、意識を取り戻した被害者にも良い影響があるようです」
「つまり、コスプレを楽しんでから倒せばいいって事なのかな?」
 セリカの説明に、クーリンの目が輝いた。
「そうみたいだね。見て、この可愛さ。ドリームイーターもメロメロだ♪」
 ハニー・ホットミルク(シャドウエルフの螺旋忍者・en0253)がクーリンに笑いかける。振り返るクーリン。そこには白いカチューシャを頭にかぶり、小首をかしげるキィの姿があった。
「そうですね。皆さんの可愛いコスプレを見れば、ドリームイーターも満足し戦闘力が減少してしまうことでしょう」
 セリカは微笑むと、説明を終えた。
「クーリンさんがもたらして下さった情報のおかげで、手遅れとなる前に事件を予言することができました。生み出されたドリームイーターの討伐、よろしくお願い致します」
 セリカはそう言うと、丁寧にお辞儀したのだった。


参加者
クーリン・レンフォード(紫苑一輪・e01408)
弘前・仁王(魂のざわめき・e02120)
レティシア・シェムナイル(みどりのゆめ・e07779)
エフイー・ヨハン(虚空の彼方をも狙い撃つ機人・e08148)
マティアス・エルンスト(レプリフォース第二代団長・e18301)
グラナティア・ランヴォイア(狂焔の石榴石・e33474)
アンセルム・ビドー(蔦に鎖す・e34762)
東雲・燈子(星空散歩・e38041)

■リプレイ

●冥土喫茶
「おかえりなさいませ、ご主人様」
 扉をひらくと、そこには鎌を手にしたメイドがいた。店内には白いテーブルクロスがかけられたテーブルがあり、メイド服や執事服、怪しげな冥土服を着たマネキンたちが窓からさしこむ月明かりで怪しく煌めいていた。
「この店ではお客様役と、スタッフ役とで別れるシステムとなっております。さっそくですが、こちらで衣装替えをお願いします。私のことは冥とおよびください」
 冥は手にした鎌を一振りすると、ケルベロスたちを更衣スペースへと促した。
「よっしゃ! あたいから行くぜ!」
 グラナティア・ランヴォイア(狂焔の石榴石・e33474)は叫ぶと、前を歩くクーリン・レンフォード(紫苑一輪・e01408)と東雲・燈子(星空散歩・e38041)を追い越し、真っ先に更衣室へと飛び込んだ。一方、その後ろでは、持参したゴスロリ風メイド服で着飾った人形に、冥から渡されたティーセットを持たせてご満悦だったアンセルム・ビドー(蔦に鎖す・e34762)が、なにかに気づいた様子で、黒ローブに素早く袖を通し死神に扮し姿をくらませた。
「メイドさんには毎日お世話になってるけど、メイド喫茶って何だかんだ行くのは初めてだな~!」
 レティシアを見つめるエフイー・ヨハン(虚空の彼方をも狙い撃つ機人・e08148)は、明るい声をホールに響かせた。レティシア・シェムナイル(みどりのゆめ・e07779)はそんなエフイーをジーッと見つめている。店内のメイド服を見ていたレティシアだが、ご主人様であるエフイーの趣味に合わせるのが大事と思い至ったのだ。
「ヨハンさんのお好みのメイド服ありますカ?」
「ピンクのミニスカメイド服にガーターベルト!」
 上目使いで尋ねるレティシアに決め顔で答えるエフイー。その顔には1点の曇りも無い。
「えええ、ミニですカ!? で、でもそれがご主人様の希望でしたら、ワタシ、頑張りマス!」
 頬を染めるレティシア。恥ずかしいが期待には応えねばならない。イチマツさんとデザイアをひきつれ更衣室へ姿を消すレティシアにエフイーは笑顔で手をふる。その後ろでは、弘前・仁王(魂のざわめき・e02120)が、すでに相棒の赤いボクスドラゴンと一緒にパリッとした執事服に着替え終えていた。
「さて、普段しない恰好ですがちゃんと決まってますかね?」
「うん。執事服もバッチリだね! カッコいい! 特にニオは、普段の格好を知ってるから新鮮だ」
 落ち着かない様子で尋ねる仁王に、着替えを終えたクーリンは明るく応えた。
「ありがとうございます。クーリンのメイド姿も似合ってますね」
 くるりと1回転するクーリン。ロングのメイド服がふわりと舞い、ファミリアロッドのキィがその裾にじゃれつく。
「あっ、こらキィったら」
 キィのエプロンドレスは乱れ、カチューシャがずりおちた。
「ありゃ、折角の可愛い姿が勿体無い」
「大丈夫、キィもすぐ落ち着きますよ」
 着替えを終えた燈子は死神マントをひるがえらしながらキィのカチューシャを戻し、仁王も笑いながらエプロンドレスを整えていく。
「もう、キィッたら」
 イヤイヤと首をふるキィの頭をクーリンが優しくなでた。ほどなくキィはクーリンの腕の中で気持ち良さそうに目をつむる。
「ハニーさん。まだ服装決めてないんだね。メイド服なんてどうかな?」
 肌をかなり白めに塗り、目の下にクマのメイクをした冥土なメイドの燈子はマネキンを見つめているハニーに声をかけた。
「うーん。どういうのを着ればいいのか分からなくって」
 燈子の人懐っこい声に、ハニーは面目なさそうに頬をかいた。そこに執事服を着たマティアス・エルンスト(レプリフォース第二代団長・e18301)がやってきて、2人で丁寧なアドバイスを始めた。
「すごい! お詳しいんですね♪」
「慣れているから当然だろう」
 喜ぶハニー。うなずくマティアス。ハニーは嬉しそうに更衣室へと姿を消した。その後にはマティアスがウキウキと周りの執事を見回しながら、執事服をとっかえひっかえ選び始めた。
「お帰りなさいませ、お嬢様。……これで良いのだろうか?」
 マティアスは冥の横へと近づいていくと、ピュアな瞳で執事の演じ方を訊ね、教わり始めた。その瞳の中は輝きに満ちている。
「しかし、本当に皆さんお似合いですね」
 お互い褒めあうケルベロスたち。そこへ着替えを終えたレティシアとハニーが戻ってきた。ピンクのミニスカメイド服にガーターベルトできめたレティシアとオーソドックスなメイド然としたハニー。
「いや~、新しい恰好のレティちゃんも可愛い! これぞ萌えだな!」
「幸せな気持ち♪」
 エフイーとレティシアは顔を見合わせ微笑んだ。そこへ、着替えを終えたグラナティアが戻る。跳ねた癖っ毛を丁寧にブラッシングして清潔感を出していたために時間がかかったようだ。手にメイドとしては場違いな獲物を持っており、どうやらメイドではなく冥土を選んだようである。
「さて皆様。準備完了のようですので、行きましょうか」
 先ほどとうってかわり高めの声を響かせるグラナティア。しかし、その足が止まる。
「……アンセルム様、何をしていらっしゃるのですか?」
 その瞳の先には何かを成し遂げた男の顔をしているアンセルム。あわてて背中に何かを隠すが、グラナティアがおしのける。隠されていたのは、カップから紅茶をいれる姿をしたマネキンであった。照れるアンセルムをからかうグラナティア。
「そうだ、記念撮影でもどうですか?」
 2人のやり取りをほほえましい表情で見ていた仁王が店内にあったカメラを指さした。
「ご主人様。私が撮るので是非どうぞ」
 冥の笑顔に、グラナティアもからかうのをやめた。
「はい、チーズ♪」
 写真の中の執事、メイド、冥土は、みんな幸せそうに微笑んでいたのだった。

●血の池に沈むオムライム
「それではご主人様、お席にご案内させていただきます」
 冥はケルベロスたちを、席へと案内した。
「注文していいのかな? それとも接客かな?」
 燈子はそわそわしている。
「冥土だけに、死に水をとって下さい! ……なんてね♪」
「かしこまりましたお嬢様。末期のオーダー、めくるめく死に水のソーダでございますね。あ、こちらがメニューになります」
「あるんだ!」
 嬉しそうな声をあげた燈子に冥は微笑むと、優しい動作で、次々とケルベロス達の目の前にメニューを差し出していった。
「冥土のお勧め、ラストティータイム?」
「絶望渦まくチョコラテってどうなのかな?」
「血の池に沈むオムライスかぁ」
「冥土の釜で揚げられたポテトフライとカラアゲ(団体用)ですか……」
 メニューで盛り上がっていくケルベロスたち。
「あ、オムライス頼もうかな?」
「私もオムライス頼みたいです」
 好奇心から注文をするアンセルムに、燈子も楽しそうに手をあげる。
「それじゃ、俺様も!」
「では、私もそれで。それと団体用のポテトフライとカラアゲを2つ」
 エフイーと仁王も注文したことにより、4人のお客様役が決定、スタッフ役のケルベロスたちは厨房へと向う。
「楽しみだよね~オムライス!」
 談笑する客。トントントン……厨房からタマネギを刻む音が響いてくる。ジュー……ほどなく何かを焼く音に変わり、ケチャップの香りがただよいだす……。
「お帰りなさいませ、お嬢様」
「お帰りなさいませ、ご主人様」
 マティアスはアイズフォンで検索した知識に冥から受けた助言を足し、メイドであるグラナティアと一緒に挨拶をすることで自然なおもてなしを実現した。執事服もシックに着こなしている。身をのりだすお客役。その前に、それぞれ自作のオムライスを持った4人があらわれる。とろける卵、塩コショウの風味。ハニーがもってきたつけあわせのオニオンスープも鼻腔をくすぐる。
「マティアスさん。これが血の池に沈むオムライスなんだね!」
「素晴らしい! グラナティアさん、わかってますね!」
「レティちゃん最高!」
「クーリン、流石ですね」
 ケチャップの海に沈むオムライスに燈子が、マネキン、人形、自分が描かれたオムライスにアンセルムが、大好きと描かれたオムライスにエフイーが、メイド姿のキィが描かれたオムライスに仁王が、それぞれ喜びの悲鳴をあげる。
「ご主人様たちは飲み込みが早くて助かりました」
 指導をした冥は団体用のポテトフライとカラアゲをさしだしながら、満足そうに頷いた。心から冥土喫茶を楽しむ一同。しかし、ドリームイーターは倒さねばならない。最後のカラアゲがエフイーの口へと消えた――。
「すまないが、ドリームイーターは討伐せねばならない」
 マティアスが申し訳なさそうに宣言すると、燈子も寂しそうに鎌を取る。
「ハニーさん。状態異常への対応お願いします」
 静まりかえった店内に、アンセルムの指示が響く。
「食後の運動ですね。喜んでお付き合いしましょう」
 冥は穏やかに笑みを浮かべる。戦いの火蓋は切って落とされた。

●氷漬けのドリームイーター
 仁王の攻性植物とボクスドラゴンは光りを発し、クーリンが冥へと炎の幻影を放った。
「あら、靴が汚れてしまいましたわ」
 冥は軽口をたたきながら靴についた火の粉を払うが、マティアスに頭を踏みつけられる。
「ターゲット・ロックオン! 狙い撃つぜ!」
「戦うメイド戦で負けるワケにはいきまセン……!」
 倒れた冥にたたみかける2人。エフイーは特殊フィールドでレティシアたちを包み、強化されたレティシアは倒れた冥に氷結の螺旋をぶつけ氷づけにし、デザイアとイチマツさんが凍った冥をひっかく。
「ヤンチャですのね、ご主人様……」
 冥はホコリを掃いながらたちあがる。しかし、アンセルムに踏まれ、再び地面へとめりこんだ。
「ご主人様じゃないよ、私もメイドだからね!」
 燈子は簒奪者の鎌をあぶなっかしく振りかぶり、冥へと激しく斬りつけた。
「ご注文は何になさいますか? 当店では、和風(根性注入五号棒(鉄パイプ)けつバット旧日本帝国海軍体験コース)と洋風(メリケンサックでマウントパンチなバイオレンスアクション映画体験コース)のメニューをご用意しております」
 グラナティアはすました顔で手にした獲物をふるうと、冥の凍結をさらに促す。
「冷たいですわ、ご主人様」
 冥が放ったモザイクは巨大な口へと姿を変えアンセルムへと襲い掛かる。アンセルムは後ろへ飛ぶが避けきれない。
「店内での乱暴は、ご遠慮ください」
 アンセルムに襲い掛かるモザイク、その前にグラナティアが割り込み攻撃を代わりに受けた。
「ありがとうございます、グラナティアさん」
「お気になさらないでください」
 危機が去り安堵するアンセルム。グラナディアは輝きながらグッと親指をたてる。
「ご主人様。無視しないでください」
 不満げな声をあげる冥。
「キィ、出番だよ」
 その横からクーリンがキィを走らせる。キィはカチューシャを揺らし、スカートをひらひらさせながら走り、冥へと体当たりをする。
「相手にしていただき、ありがとうございます~♪」
 テーブルを蹴散らし嬉しそうに壁まで吹っ飛ぶ冥。
「特殊コマンド、実行。……凍てつけ」
 マティアスは周囲の水蒸気をコアへと集積して放ち、転がる冥を氷づけにし、エフイーはその隙に、更に特殊フィールドを展開する。
「ご主人さ……、じゃナイ。ヨハンさん。ありがとうございマス!」
 強化されたレティシアは照れたように片目をつむると銃をかまえ、アンセルムも空気中の水分を凍らせ無数の氷槍を生み出した。レティシアから影の弾丸が、アンセルムから氷槍が冥へと放たれる。
「あぁ……、愛がたくさん?」
 風きり音をあげながら殺到する脅威の嵐。顔をあげたばかりの冥は、その嵐にのみこまれ氷の彫像となる。
「えっと、次は……こっちだっけ」
「お客様、愛のおかわりはいかがですか?」
 氷づけの冥に、燈子とグラナティアの蹴りが決まり地面へとめりこませる。
「ご主人様おかしいです。贔屓はいけません。ですが、あなたに奉仕したくてたまらないんです!」
 原因は燈子の攻撃により生じた怒り。冥の手から放たれたモザイクが燈子めがけ殺到する。燈子は目をつむり覚悟を決めるが、モザイクが燈子を飲み込むことは無かった。
「すまないが、仲間に手をださせるわけにはいかない」
 マティアスはモザイクがぶつかる手前で体をわりこませ、燈子をかばった。
「ありがとうございます。マティアスさん」
「どういたしまして」
 あたふたと頭を下げる燈子に、マティアスは敵から目を切らさずに答えた。しかし、その目の奥には優しさが灯っている。
「ご主人様。私も仲間にいれてください」
 冥は追撃をかけようと走ってくるが、そんなことは仲間達が許さない。クーリンの炎が冥の顔を焼き、火を消そうと手を振る冥の足をエフイーが氷結光線で釘づけ、そこをレティシアが爆破し、空中へ打ち上げられた冥の急所をアンセルムが斬りさいた。
「お見事ですご主人様。もう冥の教えることはありません……」
 倒れふす冥。戦線に復帰したマティアスがその体を踏みつけ、燈子が鎌で斬りつける。
「メイドは踏むものではございません!」
「了解しました。それでは洋風をおめしあがりください」
 嘆く冥の体に、グラナティアの拳がめりこんだ。
 攻撃を受けるたびに広がる微細なヒビ。氷につつまれた冥の限界は近かった。
「ご主人様。またお会いできる日を心よりお待ちしております」
 負けを悟った冥はうやうやしくお辞儀をすると、レティシアにモザイクを飛ばし一目散に逃げ出した。
「!?」
 思わず目をつむるレティシア。しかし、その体を襲うであろう衝撃はこない。目をあけると後光がさしたデザイアが。
「ありがとう。デザイア」
「なーに、当然のことだぜ!」
 デザイアの頭をなでるレティシアにエフイーが応える。
「今のうちですね……」
 扉へと駆ける冥。しかし、扉の前にはクーリンの姿が。冥の足が止まる。
「こんなこともあろうかと、警戒してたんだよね」
 その横では、キメ顔で胸をはるキィの頭からカチューシャがまたずり落ちていた。
「Destruction on my summons―!」
 クーリンが叫ぶやコヨーテのカジュラが出現し冥にくらいつく。
「後は、おまかせください!」
 カジュラが消える直前。燈子は御業を召還すると冥を鷲掴みに拘束。
「皆さん、次の攻撃で決めますよ! 飢える魂よ……」
 回復をひかえ、隙をうかがっていた仁王の攻撃が冥へとせまる。
 即座にエフイーから放たれた光弾が、冥のモザイクを散らす。
「これでモ、忍者なのデ……!」
「特殊コマンド、実行。……凍てつけ」
「其は、凍気纏いし儚き楔。刹那たる汝に不滅を与えよう」
 レティシアが突進し、その周りをマティアスとアンセルムが放った氷槍が風きり音をあげながら併走し、冥の体をつらぬいた。
 冥の体を覆う氷に走るひびがみるみるうちに大きく広がっていく。
「そんな……。私まだまだご奉仕したい……」
 すでに消滅を待つのみとなった冥の、悲しげな主張。
「安心しな。てめぇのご奉仕、悪くなかったぜ……。だからもう休みな」
「本当ですか? 満足いただけたでしょうか?」
 じょじょに崩れゆく冥に、グラナティアはゆっくり頷く。そして――。
「踊り狂いなァ! 煉獄の焔! あたいの焔からは誰も逃れられねぇのさ。万象一切すべて灼き尽くすまでなァ!」
 グラナティアは体から湧き上がる煉獄の焔を集束させ冥へと叩き付けた。
「あたたかい……」
 氷がとけ冥の体は炎につつまれ消滅する。かくしてドリームイーター事件は解決したのだった。

●そして宴会へ
「メイドのお勧め、テェィスティティータイム。楽しみですね」
「私は希望あふれるチョコラテが気になるんだよね」
 復活した被害者の治療とかたづけを終え、店内には楽しげな声が響いていた。
「……私はこういうお店楽しかったですよ、元気出してくださいね!」
「まっ、あんたの方向性はちと修正が必要かもしれねぇが面白ぇ試みだったと思うぜ」
 燈子とグラナティアが女主人を励ましたかいもあり、ささやかながらパーティが開かれている。
「かたづけありがと~! さっ、当店自慢の料理、食べていってね」
 白いテーブルクロスのひかれた綺麗な机で談笑する一同のもとに、厨房から主人、レティシア、ハニーが戻ってくる。お店として料理するには調理師免許やらがややこしいので、今回は友だちとのパーティ扱い。つまり無料でいいそうだ。
「キィ、一緒に食べようね」
 膝上で丸まるキィにクーリンが微笑みかける。その様子を見ながら仁王と相棒、それにグラナティアがチョコラテをほおばっている。
「自慢のプリンも、どんどん食べてね」
 女主人にうながされ、幸せそうにプリンに舌鼓をうつマティアス、その隣ではアンセルムが小物を持ったマネキンを見ながら、人形と優雅に紅茶をかたむけている。
「ご主……、いえ。ヨハンさん。プリンです、どうゾ」
 女主人から教わった特性プリンを、おずおずエフイーの前にさしだすレティシア。エフイーはスプーンを受け取ると、もったいぶってユックリと食べ始めた。そして微笑むとレティシアを抱きしめる。
 甘い匂いにつつまれた和やかな宴会。誰かのつぶやきが店内に響いた。
「冥土のメイド喫茶、楽しかった♪」

作者:ハッピーエンド 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年7月18日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 3/キャラが大事にされていた 4
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