殺人鬼の夜

作者:紫村雪乃


 闇降る湖畔。
 キャンプ場ではないのだが、時折テントをはる者がいる。が、今は誰の姿も見えなかった。
 その時、光が闇を切り裂いた。ライトの光だ。もっているのは二十歳ほどの若者であった。
「ここだな」
 若者の目が期待に輝いた。
 殺人鬼が出る。そういう噂のある場所であった。キャンプしていた者がチェーンソーで切り刻まれたらしい。が、真偽は定かでなかった。だから若者は確かめにきたのである。
「私のモザイクは晴れないけれど……」
 突如、若者の背後で声がした。それが第五の魔女・アウゲイアスの声であることは無論若者は知らない。
「あなたの『興味』にとても興味があります」
 魔女は若者の心臓を鍵で突き刺した。若者が声もなく倒れる。すると若者の側にすうと影が現れた。
 それは巨漢であった。目のみ露出した仮面をつけているため、表情はわからない。黒のレインコートをまとっていた。
 その時、機械音が鳴り響いた。モーターの駆動音のようである。それは、巨漢の手のチェーンソー剣が吼える音であった。


「不思議な物事に強い『興味』をもっている人がドリームイーターに襲われ、その『興味』を奪われてしまう事件が起こってしまったようです」
 ケルベロスたちを見回し、セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)がいった。
 今回の被害者は倉敷卓人という名の大学生。彼の興味から生まれたのは殺人鬼の噂が現実化したドリームイーターであった。
「皆さんの目的は、このドリームイーターを倒す事です」
 セリカはいった。このドリームイーターは、彼のことを噂する者に引き寄せられる。その特性を利用すればおびき寄せることも可能だろう。
「場所は湖畔。広いので、戦闘するに支障はありません。ただ街灯などの明かりはないので真っ暗です」
 明かりが必要でしょう。そう告げてから、セリカはドリームイーターの戦闘力について説明を始めた。
「武器はチェーンソー剣。威力は絶大。ケルベロスである皆さんにとっても。またドリームイーターは殺人鬼の噂が具現化したものらしく、隠形が得意です。一気に撃滅できなかった場合、一旦周囲の樹木が闇に潜み、再び殺戮の機会を窺うでしょう。探知することは難しいので、気をつけてください」
 セリカは怖気のにじんだ目でケルベロスたちを見回した。
「不気味な敵です。けれど倒すことのできる者は皆さんだけ。お願いします」


参加者
十夜・泉(地球人のミュージックファイター・e00031)
暁星・輝凛(獅子座の斬翔騎士・e00443)
佐竹・勇華(は駆け出し勇者・e00771)
楡金・澄華(氷刃・e01056)
クリームヒルデ・ビスマルク(自宅警備ヒーラー天使系・e01397)
クローチェ・ドール(愛迷スコルピオーネ・e01590)
盟神探湯・ふわり(悪夢に彷徨う愛色の・e19466)

■リプレイ


 闇の湖畔に幾つかの光が揺れ動いている。
 その光に浮かび上がったのは八人の男女であった。
「流石に、ホラーものには出たことないんだよなぁ……」
 八人の中の一人から声がもれた。どこか辟易した声音。声の主は端麗な容姿の美少年であった。名を暁星・輝凛(獅子座の斬翔騎士・e00443)といい、元子役タレントという来歴の持ち主である。
 すると別の男が辺りを見回した。こちらは女性的な顔立ちの美青年である。髪も瞳も夜を凝結させたような黒であった。
「近くに一般人はいないようですね」
 美青年――十夜・泉(地球人のミュージックファイター・e00031)はつぶやいた。どうやらこの青年には闇を見通すことができるらしい。もしかすると夜の声すら聞こえるのではあるまいか。
「うーん」
 佐竹・勇華(は駆け出し勇者・e00771)という名の少女が唸った。ピンク色の髪をもつ可愛らしい少女だ。その可憐な様子からは窺い知れないが、かつて関東八屋形に数えられた源氏の名門である佐竹家の分家――佐竹東家の末裔であった。
「キャンプ場に殺人鬼……そういう噂もあるんだねー。結構意外な感じかも」
「やはり、某名作映画の影響でしょうか?」
 誰にともなく娘が問うた。夜目にも鮮やかな銀髪の持ち主で、童顔のためか少女にしか見えない。どこか儚げで、夜に現れた妖精を思わせた。名はクリームヒルデ・ビスマルク(自宅警備ヒーラー天使系・e01397)。
「だろうな」
 楡金・澄華(氷刃・e01056)という名の娘が凛然たる顔を縦に振った。うなずいたのである。無造作に後ろで結った髪が揺れた。
 上杉忍軍として名高い軒猿の末裔、なおかつ生真面目な彼女にしてもその有名映画が何であるのかはわかった。仮面、巨漢、チェーンソー、殺人鬼――それらの条件が揃う映画は多くない。
「世界で最も有名な殺人鬼に似ているな。まぁ、今回は誰も殺させないのだがな」
 澄華は独語した。思い上がりでないことは、自身に満ちた口調であることからわかった。
 すると男がふんと鼻を鳴らした。長い金髪を背に流した美麗な顔の青年である。
 ただ名をクローチェ・ドール(愛迷スコルピオーネ・e01590)というその青年にはどこか昏い雰囲気があった。身に染み付いた暴力が滲み出しているような男である。
「チェーンソーの殺人鬼か……まるでレトロな映画か小説だな。ふふん。まぁ、たまには殺人鬼を殺すというのも悪くない。それが夢喰でもね」
「確かにな」
 別の男がいった。偶然であるがクローチェと年齢が同じである。そしてまた、身にまとった雰囲気も似ていた。ただヴォルフ・フェアレーター(闇狼・e00354)というこの青年の方がより陰鬱で鋭い。クローチェがむき出しのナイフであるなら、ヴォルフは研ぎ澄まされた針といってよかった。
「元殺し屋が殺し屋になったばかりの子供を殺すとは……皮肉が効いてるな」
 薄く笑うと、ヴォルフはガーデンライトをばらまくように投げた。その光に、八人めのケルベロスの姿が浮かび上がる。このような場所には似合わない、いや、もしかすると最もふさわしいのかもしれない美少女だ。
 美少女――盟神探湯・ふわり(悪夢に彷徨う愛色の・e19466)は闇に黒々と沈む湖を見つめ、ふわりと微笑んだ。
「真っ暗な湖で、夜に隠れて人を襲う殺人鬼さん……映画みたいって言うか、なんかロマンチックなのー」
 まるで逢引する娘のようにわくわくしながらふわりはいった。この場合、そのような台詞を吐くことのできる彼女の神経とはどのようなものであるのか。何を考えているかよくわからぬ少女であった。


 泉はかかとをコツコツと鳴らした。いつものおまじないである。
「少しばかり恐ろしそうな相手ですが、無事に戻ってグランドマスターに美味しいものを作ってもらいましょう」
 輝凛にむかって泉が囁いた。そして耳を澄ませる。チェーンソーの駆動音など騒音にしかすぎないが、考えてみればそれもまた泉にとって興味の対象の一つだ。
「ここって」
 辺りを見回し、着物を基調とした衣服をまとった少女が口を開いた。勇華である。
「チェーンソー持った殺人鬼が出るんだって。チェーンソー……どこかのホラー映画の殺人鬼みたい」
「やはり十三日とか金曜日とかのスペシャルデーに出てくるんですかね? 鉈とかも使ったりマスクで顔を隠してるかも?」
 興味津々といった様子でクリームヒルデがいった。その目は油断なく木々の背後などを探っている。
 するとふわりが怖気を覚えたかのように身を震わせた。
「楽しいキャンプなのに、殺人鬼さんに襲われてバラバラにされちゃうって怖いのー。気持ち良い緑と水の匂いの中に、血の匂いが混ざっちゃうの?」
 小首をかしげたふわりであるが、やがてその端麗な顔に妖精めいた笑みをうかべた。熱にうかされたように頬を赤く染め、身体をもじもじさせる。これから起こる惨劇を想像し、性的に興奮しているのであった。
「……けどなんか、ちょっとゾクゾクしちゃうのー……」
 その時だ。突如、闇から黒影が飛び出した。ライトの光に浮かび上がったのは異様な巨漢の姿であった。
 目のみ露出した仮面をつけている、黒のレインコートをまとっていた。手にはチェーンソー剣をひっ下げている。――殺人鬼を具現化したドリームイーターだ。
 ケルベロスたちは十分警戒していた。が、それでもわからなかった。殺人鬼の接近に。
 はじかれたようにケルベロスたちは臨戦態勢に滑り込んだ。が、間にあわない。一瞬にして駆動させると、殺人鬼はチェーンソー剣を横一文字にはしらせた。
「あぐっ」
 聴覚が一瞬飛んだかと思うような激しい金属音。鋸状の刃にズタズタに切り裂かれ、勇華が吹き飛ばされた。地に叩きつけられた時、勇華は血まみれの肉塊と化している。
 殺人鬼は続けざまに襲った。
 ギンッ。
 空に火花を散らせ、クローチェのfragmentum pieta Dl:due――惨殺ナイフが殺人鬼のチェーンソー剣を受け止めた。受け止めえたのは荒事に慣れたクローチェならではである。
「佐竹さん」
 クリームヒルデが叫んだ。勇華の身体は衣服ごと切り裂かれ、鮮血にまみれている。血で斑になった白い乳房がこぼれていた。
 クリームヒルデは自らのオーラを勇華に送った。何ものにもとらわれることのない絶対自由の気だ。勇華の負った傷を時間そのものを復元するかのように再生する。
「ぬっ」
 クローチェは呻いた。かかる場合、クローチェの脚がはねあがる。が、殺人鬼に押さえつけられ、クローチェは蹴りを放つことができない。化物じみた怪力をつかい、殺人鬼はクローチェを押しのけ、ついには突き放した。
 そのまま無造作に一歩進み、追い打ちをかけようとする殺人鬼の前に澄香が立ち塞がる。
「殺人鬼も忍者も裏稼業だが……のべつまくなし命を奪う下賤な真似はせんよ」
 澄香はいった。冷静な声音が殺人鬼の耳に届いているかどうかはわからない。硬質な仮面の奥の表情は誰にもわからなかった。
 刹那、澄香の声を断ち切るかのようにチェーンソー剣が振り下ろされ、華奢な体躯の澄香の手の二刀――黒夜叉姫と斬竜之大太刀【凍雲】とぶつかりあう。衝撃で澄香の足元の地が陥没した。
「恐るべき怪力よ。が、惜しむらくは力のみ。それだけでは勝てぬ」
 渾身の力で押し返し、澄香は叫んだ。殺人鬼は何も言わない。ただひたすらに無言のまま。まるで異世界の魔物のように。それがいっそう不気味であった。
「この技、避けきれるかな……?」
 澄香の目が光った。
 次の瞬間である。殺人鬼の周囲に明滅する魔法陣がいくつも現出した。さらに次の瞬間、魔法陣から光が噴出した。それは虚数空間から汲み出された圧倒的破壊熱量である。
 光に殺人鬼が灼かれた。が、殺人鬼はわずかに身動ぎしたのみだ。のみか、思いのほか素早い動きで澄香を襲った。彼女のしなやかな肉体に血にまみれたチェーンソー剣を叩きこむ。唸り走る刃は存分に澄香の肉を切り裂いた。
 その時、しぶく血煙をくぐりぬけ、一つの影が走った泉だ。踏み込みの速さは尋常ではない。また閃かせた刃の鋭さも。白光が闇ごと殺人鬼の肉体を切り裂く。
 さしもの殺人鬼も足をとめた。そして背を返した。


「ふふふ。殺人鬼さんの、硬くて凄いのー。それでふわりも貫いてほしいのー。でもお友達にはしちゃだめなのー」
 淫蕩に舌なめずりすると、ふわりは鎖を放った。それは意思あるもののように地を疾り、仲間を守護する防御陣を描く。
「何処まで逃げてくれますか?」
 純粋な殺意と好奇心に目を光らせ、ヴォルフはLament――惨殺ナイフを放った。それは流星のごとく煌きながら疾った。
 殺人鬼は横に跳んだ。ナイフの軌道を読んだのである。が、驚くべきことにナイフは自ら軌道を変え、殺人鬼の背に突き刺さった。
 ヴォルフの放つ攻撃は狼のごとく獲物を求めて自ら疾るのであった。
 が、それでも殺人鬼の足はとまらなかった。闇に飛び込む。ヴォルフのウォンテッドは間に合わなかった。
 再び静寂が訪れた。凍りついたような静寂が。
 はじかれたようにケルベロスたちは集まった。背をつけるようにして円陣を組む。
 輝凛は感覚を研ぎ澄ませた。が、気配をつかむことはできない。隠形に長けた忍びである澄香にしても同じであった。恐るべき潜伏の業だ。
「どこなの?」
 勇華もまた辺りをすばやく見回した。が、何者の姿も見えない。
「よーし、パパがんばっちゃうぞー」
 クリームヒルデの眼前の空間に光子で描かたキーボードやタッチパネルを現出させた。ものすごい速度で操作。殺人鬼の攻略法法を表示させる。
「そうなのかー」
 クリームヒルデはうなずいた。これで仲間の対殺人鬼防御力も上昇するはずだ。
 その時である。闇から躍り上がった巨影があった。殺人鬼だ。
 警戒していたものの、殺人鬼の動きはケルベロスたちの予想を超えて速かった。そしてケルベロスたちの反射速度を殺人鬼の襲撃速度は上回っていた。癒し手たるクリームヒルデめがけてチェーンソー剣が薙ぎつけられる。
 血が闇にしぶいた。クリームヒルデの――いや、勇華の。咄嗟にチェーンソー剣の前に飛び出したのである。それは彼女の本能的行動であった。
 盾になる。言葉でいえば簡単だ。が、勇華はすでに瀕死の傷を負っている。その上でなお彼女は仲間を庇って傷を負ったのだ。その犠牲テク精神をなんと評してよいか。
 勇華は勇者を目指す少女であった。それが叶うかどうか、現段階ではわからない。が、勇者たる資質は確実に勇華という少女にはあるといってよかった。
 勇華を薙ぎ倒した後、殺人鬼はチェーンソー剣を翻らせた。
 その時だ。殺人鬼の腕がとまった。黄金に輝く手に掴みとめられて。
 輝凛だ。その身は金色色に輝いている。それは彼が体内にやどした膨大かつ超高密度のグラビティの発露であった。
「唸れ金色、響け重撃――この輝きで弾け飛べ!」
 掴んだ掌から輝凛はグラビティを流し込んだ。
 刹那だ。殺人鬼の腕が内部から爆裂した。同時、振り払われた輝凛の身は子猫のように空を舞い、木々に激突。数本へし折った後、輝凛は地に落ちた。
 どす黒い血にまみれた腕で、三度殺人鬼はチェーンソー剣をふるった。その腕はいまだ健在だ。振り払われたため、完全破壊に至るまで輝凛はグラビティを流し込むことはできなかったのだった。が――。
 殺人鬼の手はとまった。その眼前、くろぐろとした深淵が口を開いている。
「あ、んぅっ♪ 殺人鬼さんの血なの……あったかくて、ヌルヌルしててぇ……ふわり、これ好きなのー……♪」
 半顔を鮮血に染め、ふわりは妖艶に笑った。頬の血を指で拭い、唇に運ぶ。美味しそうにしゃぶった。
 そのふわりの手にはナイフが握られていた。殺人鬼の悪夢存在を具現化したのし彼女であったのだ。殺人鬼すら凍りつかせる悪夢とは、そもいかなるものであるのだろうか。
「クリームヒルデ君。輝凛君を」
 叫ぶと泉はしなやかに襲った。舞うように接近。その左右手のナイフで殺人鬼を存分に切り裂いた。疾る白光が赤光に変わる。
 耳障りな駆動音をふりまき、殺人鬼はチェーンソー剣を横凪ぎにした。かなり命が削り取られているはずだが、それを感じさせぬ機敏かつ獰猛な動きである。が、その切っ先は空をうった。
 殺人鬼の刃を躱したのはヴォルフだ。暗殺者であった彼はターゲットの動きをほとんどミリ単位で見切ることができる。弱った殺人鬼の一閃を躱すことなど造作もなかった。
 ヴォルフはUnterwelt――ゲシュタルトグレイブを繰り出した。空気との摩擦熱で赤熱化すらているてUnterweltの切っ先はまさに迅雷。避けも躱しもならぬ殺人鬼の肉を穿った。
 次の瞬間だ。キィンと音たてて殺人鬼のチェーンソー剣がはねあげられた。クローチェの左右手のナイフ――『fragmentum pieta Dl:due』と『fragmentum serata Dl:due』によって。
「たいした怪力だよ。さっきはしてやられた。その借りは返さないとね。stupido molto……あまり手を煩わせないでくれ給え。僕は殺すのを楽しみに来ている訳ではないのでね。殺人鬼……出番は終わりだ」
 クローチェの脚がはねあがった。目にもまらぬ蹴りを殺人鬼の腹にぶち込む。
 さすがの殺人鬼も身を折った。その目は空を舞う一人の少年の姿を見とめた。輝凛だ。
 殺人鬼は必死になって身を起こした。が、間にあわない。闇に舞う梟のように輝凛は襲った。流星の破壊力をつま先に込め、殺人鬼に叩き込む。
 今度こそ殺人鬼は蹴りの衝撃により後方に吹き飛ばされた。いや、衝撃を利用し、殺人鬼は空を舞って闇に飛び込んだ。
 が――。
 黒々とした闇の寸前、殺人鬼の動きはとまった。その背からは二つの刃が血をからみつかせて突き出ている。
「隠形ならうぬには負けぬつもりだ」
 夜叉姫と斬竜之大太刀【凍雲】を手に、澄香は冷たく告げた。

 闇に溶けるようにブルースハープの音が流れている。泉だ。
 近くには被害者である倉敷卓人が横たわっている。クリームヒルデと澄香が探し出してきたのだ。おそらくもうすぐ目覚めるだろう。
 そのむこう。うっそりとヴォルフはむなしげに佇んでいた。すでに殺人鬼にも被害者にも興味をなくしているのだ。
 殺人鬼の夜は終わったのだった。

作者:紫村雪乃 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年7月16日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 2/感動した 0/素敵だった 3/キャラが大事にされていた 0
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