●襲ってきた宇宙人……?
夢というのは、本当に不思議なもので。
無意識な中で見て、想わぬ体験をすることも多々ある。
それは、子供のときだとなお強く、びっくりする夢を見るものだ。
辺りはすっかり暗くなってしまい、小学生の天川・あかねは家路を急ぐ。
習い事が長引いてしまった彼女。その教室と自宅がさほど離れていないこともあり、いつも徒歩で行き来している。普段の行いとほとんど変わらぬこともあって、あかねはこれが夢だとは意識していない。
「早く帰らなきゃ」
おなかもぐーぐーと鳴っている。今日の晩御飯はなんだろうか。大好きなカレーコロッケだったら嬉しいな。
そんな彼女の前方に、なにやら大きな円盤のようなものが飛来する。その中央部から、光が地面に放射された。
何が起こっているのか理解できないあかね。その間に、光の中から銀色の肌をした小型の人影が現れ、すぐにあかねに向けて小型の円盤を2つ投げ飛ばしてきた。
「きゃああっ!」
突然現れた人外の襲撃に、まだ年端も行かぬ少女は驚き……、目覚めてしまう。
気づけば、自宅の自分の部屋。布団から体を起こして時計を見れば、まだ夜中の2時。
「なーんだ、夢……か……」
あかねは再び、意識を失うこととなる。その背から大きな鍵で心臓を貫かれてしまったからだ。
ベッドの上にばったりと倒れた少女から鍵を引き抜いたのは、ウェアライダーの姿をした少女だった。そいつは、白い鹿のような生物に跨っていて。少女の胸部、そして、跨る鹿の生物はうっすらとモザイクに包まれている。
第三の魔女・ケリュネイア。それがこの魔女の名だ。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『驚き』はとても新鮮で楽しかったわ」
倒れたあかねは心臓を貫かれたはずだが、その体には傷すらついてはいない。
その隣には、新たなドリームイーターが姿を成す。それは、あかねが夢で見たのと同じ姿の怪人。灰色の肌に小柄な体躯をした宇宙人で、周囲にモザイクに覆われた小型の円盤を2つ浮遊させていた。
不気味な笑みを浮かべたその怪人は、その部屋の窓の外へと飛び降りて行ったのである……。
ヘリポートにて――。
ドリームイーターが出現という話が出れば、ケルベロスも定期的に夢について語り合うことがある。
「夢って、本当面白いよね」
リーゼリット・クローナ(ほんわかヘリオライダー・en0039)はケルベロス達が語り合うその話を、微笑ましげな表情で耳にしていた。
そこに、やってきた大きな帽子にローブ姿のクララ・リンドヴァル(鉄錆魔女・e18856)がこんな話を持ちかける。
「宇宙人に遭遇する夢をきっかけに、事件が起こるそうですね」
そこからは、依頼モード。リーゼリットは真顔でこくりと頷き、ケルベロスが集まってきていたことを確認して説明を始める。
「ドリームイーターに襲われて、『驚き』を奪われた少女を助けて欲しいんだ」
『驚き』を奪ったドリームイーターは姿を消してしまったが、奪われた『驚き』を元にして現実化した新たなドリームイーターが事件を起こそうとしている。
「被害が発生してしまう前に、この夢喰いを撃破してほしい」
このドリームイーターを倒す事ができれば、『驚き』を奪われてしまった少女は目を覚ますはずだ。無事、事件が解決したならば、自室ベッドで眠る少女へフォローを行うとよいだろう。
現れるドリームイーターは1体だけで、配下などはいない。
「灰色の体をした小柄な人型で、やや頭が大きく、大きな目が印象的だね」
宇宙人の姿をした夢喰いは、モザイクに包まれた2つの小型円盤を操る。それを飛ばして直接斬りつけてきたり、モザイクに包んで相手の知識を奪おうとしたりする。また、それらを口の形に変えて直接食らいつかせてくることもあるようだ。
「ドリームイーターは夜中、鹿児島市内の住宅地に現れるよ」
敵は被害者の少女、天川・あかねの自宅周辺を彷徨い、出会った相手を驚かせようとする。この為、現場周辺を歩いているだけで、向こうから驚かせにやってくるはずだ。
「あと、このドリームイーターは驚かない相手を優先的に狙う習性があるようだよ」
これを踏まえ、作戦に活用するとよいだろう。
説明を終えたリーゼリットは、少しだけ困った表情をしていた。
「そもそも、地球人からすれば、ボクを含めた異種族の人達って宇宙人になるんじゃないかな……」
デウスエクスはともかく、それだけ、異種族の人達も地球になじんでいるということだろうか。
「でも、未知の宇宙人と遭遇したなら、ボクも驚いてしまうかな」
いくら予知が可能なヘリオライダーとはいえ、びっくりすることも多々あるんだよと彼女は笑っていたのだった。
参加者 | |
---|---|
レクシア・クーン(咲き誇る姫紫君子蘭・e00448) |
キーリア・スコティニャ(老害童子・e04853) |
クララ・リンドヴァル(鉄錆魔女・e18856) |
弓曳・天鵞絨(イミテイションオートマタ・e20370) |
ウェイン・デッカード(鋼鉄殲機・e22756) |
グレイシア・ヴァーミリオン(夜闇の音色・e24932) |
キアラ・エスタリン(光放つ蝶の騎士・e36085) |
ルーニア・リステリアス(微睡はいつまでも・e37648) |
●未知との遭遇……?
夜中、鹿児島県鹿児島市に降り立ったケルベロス達。
被害者宅周辺で夢喰いの討伐をするに当たり、メンバー達は準備を整えつつ、周囲を見回す。
通行人がいれば、声かけをとウェイン・デッカード(鋼鉄殲機・e22756)も考えていたが、深夜ということで人通りはなくどうやらその心配もなさそうだ。
「流石はデウスエクス、時間もお構いなしですか」
笑顔を浮かべはしていたが、レクシア・クーン(咲き誇る姫紫君子蘭・e00448)は小さく首を振る。襲われた少女の安眠の為にも、手早く解決させねばと彼女は意気込む。
今回現れる怪人型ドリームイーターは、グレイ型だという。
定命化を経ていない異形という点では、火星のタコ型宇宙人と同じですがと、大きなつば広ハットを被ったクララ・リンドヴァル(鉄錆魔女・e18856)がランプを点灯させつつ、主観を口にしていた。
「それより登場の遅いグレイの場合は、映像系メディアへの露出が多いのでそういったものの影響かも知れません……」
「いずれにせよ、デウスエクスという宇宙からの侵略者がいる以上、そう驚きはございませんね」
緑の長髪を三つ編みにした弓曳・天鵞絨(イミテイションオートマタ・e20370)はポーカーフェイスのまま、淡々と語る。むしろ、驚いた風を装う方が彼女にとって難しかったりする。
「未知の宇宙人は居るとすれば、十中八九デウスエクスな気がするのじゃ。敵は増やしたくないのう」
対して、見た目少年、還暦オーバーのキーリア・スコティニャ(老害童子・e04853)はのほほんと微笑を浮かべた。
「宇宙人とか興味があって、仕方ない時期とかあるよねぇ」
ハンズフリーライトを腰に付けたグレイシア・ヴァーミリオン(夜闇の音色・e24932)も、小さい頃にそういった存在を見つけて捕獲したいとか超思っていた……らしい。
「未知との遭遇、とてもワクワクする言葉だ」
金髪の髪に大きなリボンを飾るルーニア・リステリアス(微睡はいつまでも・e37648)が、大きくあくびをして背伸びをする。
夢の中とはいえ、そこには驚きがあり、ドキドキがあり、そこから興味が生まれる。驚きのない世界など色合わせてしまい、とても詰まらないに違いない。
「取り戻さないとな」
皆、ルーニアに同意し、そのまま周辺を徘徊して夢喰いの捜索を進める。
そして、メンバー達はふわふわと浮く円盤らしいものを発見して。
「あ、あの浮いている円盤はなんなんだー……」
「わー……、びっくりしたねぇ」
やや棒読みで、ルーニアがわざとらしく驚く。グレイシアもそれに合わせて棒読みになっていたが、こちらは本人なりに驚くようにと頑張っている様子。
そして、暗がりの中からゆっくりと現れたのは……、銀色の肌をした小型の人影。
「「……!」」
それに、金色の蝶型の光の翼が特徴的なキアラ・エスタリン(光放つ蝶の騎士・e36085)が、驚く素振りを見せる。
(「幾ら分かっているとはいえ、情報通りの見た目なら深夜に遭遇するというのは怖いですね……」)
レクシアもリアクションして見せたが、こちらはどうやら素のようだった。
だが、他メンバーは割と淡白な対応で。
「……こんなベタな宇宙人が、まだ現存していたのございますか!」
表情はほぼ変わらないが、天鵞絨は声を上げて茶目っ気まじりに言い放つ。
「宇宙……人……? いや、確かに地球人のような見た目をしていないけれど……」
驚く、いや、驚こうとするウェインだが、残念なことにまったくもってそうは見えない。レプリカントの彼は、感情表現が苦手なのだ。
「宇宙人……僕の知っているそれとは全然違うけれど、これは何人? 火星人?」
「宇宙人といえばグレイだったか、まだ人型だな。火星人みたいな見た目じゃなくて良かった」
ルーニアの思い浮かべた火星人とは、タコのような姿をしているのだろうか。
対して、前に出て身構えるクララとキーリア。
「……。ええと、こんにちは?」
この日の為にと、過去の報告書に当たって定命化に関する項を読み込んできたクララ。理論武装はばっちりだ。
「これくらいでは、散々デウスエクス見慣れたわしは驚かぬよ」
身につけたローブを翻し、キーリアも平然と対する。
その夢喰いは周囲を浮遊するモザイクに包まれた円盤を操り、2人を主に敵視しているようだ。
「……うん。その周囲に飛ばしているモザイクの塊、見た目があまりよくないね」
ウェインはマフラーをはためかせ、身構える。
「早めに倒させてもらうよ」
「宇宙の力に地球の力で対抗する。ロマンじゃな。わしは種族では地球人ではないのじゃが」
ぼそりと呟き、キーリアがフードの下で笑う。
「この『驚き』はあかねさんにとってのみ意味がある……。そうである筈です。そうでなくては」
この場で唯一の地球人であるクララはゾディアックソードを抜き、静かに言い放つ。
「”不変”のリンドヴァル、参ります……」
「懺悔も何もなさそうだけれど――懺悔の時間だ」
敵の動きを探るウェイン。普段、決め文句として告げる一言だが、懺悔など必要なさそうな相手に、少しだけ疑問交じりに告げた。
不気味な動きの夢喰いは腕を伸ばし、くるくると回転するモザイクに包まれた円盤をケルベロスへと放ってきたのだった。
●宇宙人との交戦……?
驚かないメンバーを見定めた夢喰い……グレイ型のドリームイーターは、キーリア、クララの2人へと主に円盤を投げ飛ばす。
それは、ケルベロスの狙い通りである。盾役のみ驚かないよう振舞うことで、敵の狙いを2人に集める作戦だ。
円盤アタックは前方にいたケルベロスを全員切り裂いていくが、キーリアは多少の傷など意に介することもなく跳び上がり、流星の蹴りを敵の体へと叩き込む。
「千罠箱、お主もやったれい」
主の声に応じ、ミミック千罠箱も大きくフタ……口を開いて、夢喰いの体へとかぶりついていく。
後々の対策も兼ね、クララは地面に描いた守護星座を光らせて、自身を含む前衛メンバーを包み込む。
地獄化した翼を噴き上げ、エアシューズで滑走するレクシア。蒼い光の尾を引いて戦場を駆け巡る彼女も、星座による守護を仲間へと重ねていく。ルーニアも相手がジャマーということもあり、真に自由になるオーラで自らを包み、敵の攻撃に備えていた。
「宇宙人だろうが、生物には違いないでございます。――つまり攻撃は通るはず、でございます」
実際、仲間が一撃を与えている。天鵞絨は時折驚く振りをしながらも、強烈な一蹴を浴びせかけていく。とにかく、確実に攻撃を当てていこうと彼女は考えていたのだ。
続く、キアラは仲間達が自分達の守りを固めていたこともあり、半透明の御業を呼び寄せて攻撃を仕掛ける。放たれた炎弾は夢喰いに命中し、銀の肌を焦がす。
さらに、ウェインが追い討ちをかける。肘から先を回転させた彼は、敵の腹へと突き入れた。
そこへ、背中に光の翼を展開させたグレイシアが腕を突き出す。
「大気に満ちる空気よ、凍れ」
グレイシアの呼びかけに応じ、その周囲の空気が凍てついて。
「氷の刃となりて、切り刻め……」
凍った空気は無数の鋭い氷の針となり、放射される。
それらに串刺しとなった夢喰い。その傷からどろりとモザイクが零れ落ちた。
大きな目をすがめた夢喰いは両腕を大きく動かし、なおも円盤を操ってケルベロス達を驚かせ、あるいは傷つけようとしてくるのだった。
戦場を怪しげに飛び回るモザイク円盤は、夢喰いの攻撃手段の全てでもある。
敵がそれに意識を集中させる間に天鵞絨が日本刀で切り込み、グレイ型の体躯を切り裂いていく。
一見すると宇宙人と見紛う敵の姿だが、その傷口からまたもモザイクが流れ落ちることで、ケルベロス達は改めてその正体がドリームイーターであると再認識する。
そして、その円盤は相手に触れ、広がるモザイクで包み込むことで知識を吸収しようとしてきた。
だが、回復役として、生真面目に立ち回るキアラがそれを是とはしない。
蝶のような光の翼をはためかせ、キアラは履いていた妖精の蝶翼靴でステップを踏む。戦場を舞い踊る彼女は仲間へと花弁のオーラを降らせ、癒していった。
その間に、グレイシアが敵の足元から溶岩を噴出させることで敵を威圧していくが、夢喰いの狙いはなかなかブレない。飛んで来る円盤は時に、包むモザイクに侵食されて大きく変形し、口の形となって食らい付いてくる。
「「ひゃあっ!?」」
盾役メンバーの為に、敢えて驚いてみせるレクシアとキアラの2人は互いに身を寄せ合い、悲鳴を上げた。
「これが宇宙人……得体も知れなくて怖いです、レクシアさん……!」
キアラは身を硬直させ、目の前のオラトリオの体を抱く。
そのレクシアは本気で驚いていた様子だったが、このままというわけにもいかない。彼女は再び蒼い光の尾を引いて動き出す。
「追い縋る者には燃え立ち諌め、振り離す者には燃え上り戒めよ。 彼の者を喰らい縛れ――迦楼羅の炎」
生命力を奪う地獄の炎弾を生み出す要領で、レクシアは小さな炎弾を無数に放っていく。
それらが夢喰いへと命中すると、奪い取った生命力を燃料として燃え続ける。そうして、敵の動きを鈍らせることで、自身の高起動戦闘で優位に立つのだ。
夢喰いの動きに精彩さがなくなってきていたのを、天鵞絨は見逃さない。
「――Code:Mergen、起動」
それは、とあるエインヘリアルから鹵獲した奥義。
「神の矢よ、敵を穿て」
天鵞絨の手にする弓から勢いよく放たれた矢。奥義は完全再現とは至らなかったものの、射れば百発百中。それは雷のように宙を駆け抜けて敵を、夢喰いの体を貫く。
しかし、敵もなかなか抵抗を止めない。
回転して襲い来るモザイク円盤の斬撃に身を裂かれながらも、キーリアも負けじと反撃する。
「大人しくして貰おうかのう。食らうがよい」
ゲシュタルトグレイブを振るい、キーリアは稲妻のように一閃した切っ先が敵の喉元を突き、その体に痺れを走らせた。
だが、キーリア自身も、体力が徐々に落ちてきているのを感じて。
「おお?! 強い、これが宇宙パワー!」
敵の狙いからそれる為にやや驚く素振りを示すと、キアラがすぐに回復へと動く。
「今癒します。蒼の抱擁にて、再び立ち上がる力を!」
広げた光の翼から蒼く優しい光が放たれ、さらに抱擁するようにキーリアの体を包み込んでいき、傷を癒しと同時に加護を与えていった。
その間に、矢面になるメンバーのすぐ後ろから、ルーニアは円盤の撃墜を狙い、大きく何かを振りかぶるモーションを取る。
「ピッチャー振りかぶって、投げました!」
ただ、それは牽制でしかない。なぜならば。
「……攻撃は地面から出るがな」
ルーニアのやる気は溶岩となり、敵の足元から吹き出たのだ。ボークなのだろうが、この戦いにおいては反則にはならないだろう。
また、円盤に意識を集中させた夢喰いには、大きな隙が出来る。
「この一瞬に、永遠の輝きを――――」
ウェインが行使するのは、射手座を冠したダモクレスの技術。
星空から銀色の流星群が降り注ぐ中、全身のリミッターを解除した彼は銀色の粒子を纏って高速移動を始める。
射撃によって、夢喰いを中心に浮かび上がる青白い十字架。ウェインはそれを目掛けて、嵐のように連続して夢喰いへと飛び蹴りを食らわせていく。
凛々しく立ち回るグレイシアは間髪入れずに攻め込み、ケルベロスチェイン「AQUA」を追尾させて敵の体を捕らえる。
「UMA確保、かねぇ」
動きを制限し、グレイシアが告げる。
だが、夢喰いは暴れ、抵抗を止めることなく操作する円盤でケルベロスを切り刻んできた。
再び身構える盾役メンバーは円盤の斬撃に耐え切り、さらに攻勢を強めて。
「ほれ、宇宙人の石像でも作ってやるわい」
古代語の詠唱と共に、キーリアは魔法光線を発射し、敵の左腕の所々を石と化す。
そして、回復メインに動いていたクララがここで攻撃に出る。
「至近距離でも……戦えますっ……!!」
両手を突き出したクララ。すると、魔導書に突然牙が生え、ガシガシと音を立てた。
「……あの。これ、お返しします」
荒々しく動く魔導書を制御し、クララは夢喰いの体を食らいつかせる。その体から漏れ出るモザイクごと、魔導書はグレイ型のドリームイーターを食らいつくしてしまった。
敵の消滅を確認したクララは、脱いだ長手袋をふわりと地面に落とす。
レクシアはふとキアラを見ると、彼女の頬には一滴の涙が零れ落ちていて。
「どうぞ、これを使って下さい」
「ありがとうございます……」
懐から取り出したハンカチをレクシアは、キアラへと手渡して。
「戦闘後はつい、涙をながしてしまって……」
キアラは感謝を示しつつ、その涙を拭うのだった。
●素敵な夢を見る為に
戦場となった住宅街の道は、所々にひび割れや亀裂が走ってしまっている。
グレイシアはその改修の為に、真に自由なる者のオーラを発して。
「ちょっと形が変わっちゃうかもだけど……」
植物交じりの幻想がひびや亀裂を埋めていく。これもまたご愛嬌と、グレイシアは小さく微笑んだ。
その後、メンバー達は被害者、天川・あかね宅を訪ねる。
「夜分に申し訳ありません。実は……」
両親も娘が夢喰いに襲われて昏睡していたことに気づいていたらしく、ケルベロス達に感謝の意を示す。
次の夕食は、彼女の好きなもので元気づけてあげて欲しい。レクシアは事情を説明の後で、両親へとそう一言添えていた。
さらに、メンバー達は被害に遭ったあかねの様子も見に行く。目覚めた彼女は小さく震えていて。
「あのね、宇宙人が、円盤が……」
その話を、クララが優しげな表情で聞き手に回る。時折、ウェインも相槌を打っていたようだ。
「グレイなどより、もっと怖いデウスエクスがいるのでございます」
あかねの夢の話が終わったところで、天鵞絨がそんなフォローの言葉を口にする。
「そんな奴らは天鵞絨達ケルベロスがなんとかするので、安心するでございます」
「うん……」
まだ、夜中ということもあり、喋りつかれたのかあかねは眠りへとついていく。
「これからも、ワクワクを忘れずに素敵な夢を見て欲しい」
それが、彼女の未来に繋がるだろうとルーニアは疑わず、愛用の枕を手にまどろみ始めたのだった。
作者:なちゅい |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2017年7月3日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 4
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