●音なく時を刻むもの
砂が落ちる。水が落ちる。
店内にある砂時計と水時計の数は、入荷した店主本人ですら把握しきれないほど。思わず店主の口からこぼれるため息は、今にも雨が降りそうな天候のせいではない。
「お店、今日で最後だな……開店してから売れたのは、たった2個かあ」
木製のテーブル、その上に並ぶ砂時計の間にできた隙間を見て店主は呟いた。
「このご時世、砂時計と水時計だけじゃやっぱ無理だった、かあ……」
頭を抱える店主の心臓を、背後から何かが貫く。店主は倒れ、第十の魔女・ゲリュオンは満足そうに微笑んだ。先ほど店主の心臓を突いた鍵を手に。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『後悔』を奪わせてもらいましょう」
とたん、店主のそばにドリームイーターが生み出される。それは、砂色のシャツと水色のエプロンをつけ――まるでこの店の店主であるかのような姿をしていた。
●ヘリポートにて
砂時計と水時計の専門店がドリームイーターに襲われたと、ウィズ・ホライズン(レプリカントのヘリオライダー・en0158)が告げる。それは左潟・十郎(風落ちパーシモン・e25634)が警戒していたことでもある、と。
「店主は第十の魔女・ゲリュオンに襲われ『後悔』を奪われた。ゲリュオン本人の行方は不明だが、『後悔』を元にして現実化したドリームイーターが事件を起こそうとしているようなのだ」
このドリームイーターによる被害が出る前に、撃破を。撃破さえすれば『後悔』を奪われた被害者も目を覚ますだろうと、ウィズが続ける。
「戦闘となるドリームイーターは1体のみで、配下はいない。しかし命中・回避ともに高いため厄介な相手だ――が、作戦次第で有利に戦うこともできる」
その作戦とは『客として入店し、砂時計や水時計を選んだり購入したりして心から楽しむ』こと。そうすればドリームイーターが満足し、戦闘力が減少するという。
「ドリームイーターを満足させてから倒した場合、店主の後悔の気持ちが薄れて『前向きに頑張ろう』という気持ちになれる効果もあるようだ。とはいえ、判断は君たちに任せよう」
戦場は店内だと付け足し、ウィズは説明を終えた。
「水時計も砂時計も、あまり日常的に使うものではないからな……しかし、閉店させてしまうには惜しい店だ。無事に撃破できたら、何か店を続けられるような助言をしてやりたいな」
十郎はうなずき、ヘリポートを見渡した。
参加者 | |
---|---|
アイン・オルキス(誇りの帆を上げて・e00841) |
アラドファル・セタラ(微睡む影・e00884) |
古鐘・るり(安楽椅子の魔女・e01248) |
守屋・一騎(戦場に在る者・e02341) |
ジョゼ・エモニエ(月暈・e03878) |
レイラ・クリスティ(蒼氷の魔導士・e21318) |
左潟・十郎(風落ちパーシモン・e25634) |
デニス・ドレヴァンツ(花護・e26865) |
●時の止まった場所
古びたドアに下げられた木製のプレートが揺れる。刻まれているびは、店の名前である『ながれ』というどこか味のある文字。
(「針は刻む、螺子は巻く。水と砂だから『ながれ』と名付けたのだろうか」)
そんなことを考えながら、デニス・ドレヴァンツ(花護・e26865)はドアを押した。
静かな店内には、カウンターに佇む偽の店長以外誰もいない。小さく礼をする店長を一瞥して、アイン・オルキス(誇りの帆を上げて・e00841)は店内をゆっくりと歩む。
商売がうまくいかない、というのはよくある話だ。しかし、この砂時計と水時計の専門店を終わらせるには少々勿体ない。
(「とはいえ、広告や宣伝は定期的に出しているのだろうか」)
アインは首を傾げつつ、まずは店内を一回りしようと少し軋む床の上をゆっくりと歩いてゆく。
「歯車とかすげー。初めて見た」
目を輝かせるのは、守屋・一騎(戦場に在る者・e02341)。さらさらと落ちる砂の合間に、金古美の歯車が顔をのぞかせている。
「スチームパンクみたいで素敵かも……!」
レイラ・クリスティ(蒼氷の魔導士・e21318)も、砂に埋もれてゆく歯車を見つめる。
「こういった、お洒落な時計で時間を計ると、ただ時間を計るよりも、素敵な時間になりそうです」
微笑み、レイラ財布をチェックする。
「素敵ね、この中にあるオブジェ。何時間でも眺めていられそうだわ」
そう言って、古鐘・るり(安楽椅子の魔女・e01248)は砂時計を見つめる。自分用の砂時計を選ぼうと、他の商品も手に取っては悩む。
はたと気付いてカウンターへ向かい、るりは店長へと話しかける。
「……お薦めの物はあるかしら。客間に置きたいの。珍しい品物に興味を持ってもらえると思うし、話が弾むでしょう?」
アンティークで統一した洋館の一室に合うものならなお良いという言葉に、店長は少しばかり考え込む。
「でしたら、こちらの少々大ぶりなものはいかがでしょうか? これでしたら、いらした方の目にも留まると思いますよ。いくつかご用意しておりますので、調度品の色に合わせて選べるかと思います」
店長に案内され、るりは少し大きめの砂時計をひとつひとつ眺めてゆく。
「これは……随分と珍しいものが揃っているね。それに、とても美しい時計ばかりだね」
店内を見回すのは、デニス。手に取った砂時計をひっくり返し、音もなく落ちる砂を楽しんでいる。
「愛娘も喜びそうなものが沢山あるね。贈り物にしても良い……いや、今度は連れて来たいな」
穏やかに告げ、デニスは砂時計を台に戻した。その戻した砂時計を、左潟・十郎(風落ちパーシモン・e25634)がじっと見る。
「この大きさと色、いいかもな」
「ほう。十郎はどんな用途で砂時計を?」
問われ、十郎は砂時計を置く。
「紅茶やハーブティーをよく飲むんだが、時間を計るのにキッチンタイマーだとどうも味気無くてさ」
「私も紅茶は好きでね、茶葉を開かせ淹れる時に砂時計を使うのだが……落として割ってしまったからちょうど砂時計が欲しいと思っていたのだよ」
そう言って、デニスは置かれた砂時計のひとつをまた手に取る。金色のフレームの中、黒い砂の中に沈んでいるのは、複数の球だ。
「……これは、天体模型をイメージしたものかな? アンティーク調で素敵だ、オブジェにもなるね」
うなずき、デニスは購入を決めた。
●夢見心地
水時計の種類も豊富だ。その形に興味を示しつつも、十郎はつい目移りしてしまう。他の仲間が見ているのはどんな時計だろうと、一歩退いて店内を見る。
「アンティーク好きとして、これは盲点だったわ」
と、るりが呟く。手近な水時計を逆さにして、水滴が流れるさまを視線で追っている。
砂時計や水時計をひっくり返しても、時を遡ることはできない。ただ、新しい時間が動き出すだけ。過去には戻れないが、何度でもやり直すことはできる――砂と水の時計が、教えてくれているようだ。
「水時計か。ベッドの側に置いてぼーっと眺めていたら……きっと良い眠りにつけるに違いない……」
ふあ、と欠伸をするのはアラドファル・セタラ(微睡む影・e00884)。しかしここで寝てはいかんと、小さく首を振って水時計に顔を近づける。
「確かに、この単調な動きはずっと眺めてると眠ってしまいそうになるな……」
アインが同意を示し、水時計のすぐ隣にある長時間用の砂時計を手に取った。
「ふむ……この砂時計、仮眠用に使えるな」
視線を落とし、アインは1時間、2時間、3時間を計測できる時計を見つける。そして、値段の描かれたタグを見れば。
「値段は……こんなものか、いいだろう」
店内に置かれたかごを取り、アインは満足げに砂時計を入れる。
「居住空間の時計は全て電子時計だからな……」
そのうえ壁に埋め込んでいるため、手元で管理できる時計はひとつも無いのだ。仕事とはいえ、アインにとってちょうど良い機会であった。
「確かに、砂時計や水時計はデジタル時計には無い魅力がある。俺も一つ買って行こうか」
落ちゆく雫は小さく可愛らしく、まるで生き物のよう。眺めるだけで癒されるそれらからひとつを選んで、アラドファルは手に取る。
水色と紫色の二色が使われた水時計。混じり合ったらまた美しい色になりそうな二色は、混じりそうで混ざらない不思議な具合だ。
選んだものをカウンターに持って行き、アラドファルは店長に笑顔を向けた。
「ゆっくり砂が、水が落ちる様は時計の針を追うよりも見ていて楽しいな……店主、此処は素晴らしいものを置いているな。今度は義娘を連れて来たいと思っている」
「ありがとうございます。ええ、ぜひ今度はご家族といらしてください。……他の皆さんも楽しんでいるようで、何よりです」
店主は顔をほころばせ、店内を見渡す。
「砂時計はいくつか持っていますけど……沢山の形に、色、造形、こんなにも沢山の種類があるのですね」
ひとつひとつ確かめては逆さにするレイラに、十郎がひとつの砂時計を差し出した。
「ほら、君に似合いそうなのがあるぞ。雪が降ってるみたいで綺麗だな」
白い砂の中に雪の結晶のオブジェが入っている砂時計に、レイラはぐっと顔を近づける。
「わ、本当。雪が降っているみたいで綺麗です……!」
手の上にのせてじっくり観察すれば、砂が、結晶のオブジェが光を反射してきらきらと輝いている。
「ほら、十郎さんも見てください、とても綺麗ですよ?」
「……本当だな」
と、十郎は楽しそうなレイラの横顔を見て微笑んだ。
●時の迷宮
数え切れないほどの時計から気に入ったひとつを探すのは、まるで宝さがしのよう。
ジョゼ・エモニエ(月暈・e03878)は、彼女が「先生」と呼ぶウイングキャット「レーヴ」とともに店内をそっと歩く。
「水時計にも心惹かれるけど……今日は瀟洒な砂時計を見つけたいわね。ね、先生?」
ジョゼは灰色の猫を、次いで並べられた小ぶりな砂時計を見る。
木製の枠に、翡翠の砂。見た目こそどこにでも在りそうなものだが、ジョゼにとっては懐かしい盛りの温もりを想起させるものだ。
回転式のものは、鮮やかな青砂のせいか地球儀にも見える。
ひときわ変わったものといえば、破摧した鯨の骨を砂にしている砂時計。砂を覆う青い硝子には気泡が混じり、まるで海のよう。
「時計という時計がバラバラに時間を計っている所為かしら。時を忘れてしまうわね、先生」
この中から1つを選ぶなんて至難すぎやしないだろうか、とジョゼは唸る。
「職人の拘りが窺える逸品ばかり。きっと店に1日中いても飽きないわね――先生、気になる時計はあった?」
問われ、レーヴはひとつの砂時計を尻尾で示す。ジョゼは示された砂時計を手に取り、傾けた。
星月を鏤刻した黄銅の枠。傾きと重力に合わせて菫泥石の砂が降り積もる。砂に埋もれるのは、黄金の駱駝だ。いわゆる、骨董品。
「砂漠の夜を渡る旅人になった様で想像力を掻き立てられるわ。うん、さすが先生、良い趣味してるわ」
「おお……そんな品もあるんスね。俺もアンティーク系のもの、何かひとつ選びたいっス!」
物珍しそうにうろうろしていた一騎は、歯車の砂時計を手にアンティーク系の砂時計とにらめっこ。うなって悩んで決めたのは、白い砂が流れるものを、黒い金属の枠で囲ったもの。一騎は、シリンダーみたいな外観のそれと歯車の砂時計をカウンターに持ってゆく。
「いい買い物になったっス。ありがとうございますっス!」
にっかり笑い、一騎は十郎に目配せする。十郎はこくりとうなずき、店の入り口にキープアウトテープを貼り付けた。
「……? お客さん、一体何を……?」
慌ててカウンターから出てくる店長の前に、るりが立ち塞がる。
「ここの店主……彼の時を止めたのはお前ね。返してもらうわ」
店長の反応よりも一瞬早く。
「駆けろ……オーキスッ!」
アインが、電撃で作られた馬を召喚した。本物と見まごうかのような馬は店長を強かに踏みつける。
「ケルベロスですね……! くっ、これしき!」
起き上がった店長は、ケルベロスに対抗せんと巨大な砂時計を召喚する。店長が指を鳴らすと同時に硝子が砕け、ケルベロスたちに降り注ぐ。
傷を受けて目を細めながらも、十郎は獣化した腕で店長に一撃を加える。吹き飛ばして商品に傷を付けないようにと気遣えば、受けた傷をまるで気にしていない一騎がブラックスライムを展開した。
黒い残滓が店長を飲み込んだその隙に、アラドファルが殺界を形成する。
「念には念を、と言うからな」
「商品もそうだけど、一般人を傷つけさせるわけにはいかないものね――消えて終わりよ……ジャッジメント!!」
神槍のレプリカは、るりが示した場所を正確に貫く。直後に肉薄するのはデニス。動きはいたく冷静、かつ武器の扱いは正確。惨殺ナイフの刀身を店主の眼前に構え、トラウマを想起させる。
素早く店長の背後に回りこんだジョゼが、影と見間違うような斬撃を与える。対して、レーヴは正面から尻尾の尾を飛ばして店長の顔面に命中させた。
一方、レイラは味方の援護へ。
「相手の戦闘力が低下していても……油断はできませんよね」
と、雷の壁を築いた。
●時が流れ出した場所
店長の攻撃と回避は、精彩を欠いていた。それもそのはず、砂時計と水時計を楽しむケルベロスたちを見て、店長はこれ以上ないほどに満足していたのだ。
一騎は一気に店長との距離を詰め、右目に灯る獄炎をブラックスライムに纏わせた。狙いをつけるまでもない間合い。炎と衝撃を叩きつけ、続くジョゼのために数歩下がる。
「ありがと。先生も続いてね」
ジョゼの口から零れる言葉は、店長を確かに照らす光となって。連なるレーヴのひっかきに、店長は小さな悲鳴を上げる。
「ならば……こうですっ!」
打ち出された水時計の中身を回避して、十郎は闇色の狼を呼び出した。
「聞こえるか、森の守り手達の唸り声が」
狼の群れは、十郎の足元に落ちる影から現れる。そして十郎は畳みかけるよう、後方――レイラへと視線を送った。返答は、柔らかな笑顔ひとつ。
「無慈悲なりし氷の精霊よ。その力で彼の者に手向けの抱擁と終焉を」
店長の真下で巨大な魔法陣が輝く。現れた巨大な水柱は凍り付き、無慈悲にも砕かれる。
手足に氷が張り付いた店長に、アインがドラゴニックハンマー「Eraser Head【OW】」を向けた。着弾した竜砲弾に続くのは、アラドファルの所持する武器。
「君は目を瞑るだけでいい」
共に流れる細やかな光、それらが成す軌跡には星が零れる。
るりがすかさず魔導書「ファースタリ」をひもとく。召喚される「混沌なる緑色の粘菌」は、店長を侵食してゆく。
「後悔が過ぎ去ったら、新しい時が動き出すわ。目覚めの時間よ」
そう、もはや店長の体についた傷は無数。いつ倒れてもおかしくない。
デニスはとどめを狙い、小さく呟く。
「――味わってみるか?」
その狼は、例えるならば暗夜の月だ。鋭い爪は、店長を仕留めんと閃いた。
敵の最後は、悲鳴もなく抵抗もなく。ドリームイーターの店長は水のように不定形となった後、砂のようにさらさらと崩れて消え去った。
「さて……時計は大丈夫だったかな?」
デニスが店内の様子を確認する。幸いにも、店内の損傷箇所は床と数えるほどの商品だけ。ケルベロスたちは手早く丁寧にヒールし、本物の店長がいるバックルームを訪れた。
ケルベロスたちは、目覚めたばかりの店長にデウスエクスのことを説明した。
すると、それもう深々と頭を下げて店長は礼を述べる。それはさておき、と、アインは問いかける。
「広告や宣伝は定期的に出しているか?」
店長は沈黙した。
「であれば、まだチャンスはある。一度情報が広がれば結構お客が来るかもしれないぞ。SNSで繁盛する店はよく聞く。ひとまず宣伝だ」
それでも波に乗るまでは大変だが、頑張って店を続けて欲しいとアラドファルが励ます。
「どんな宣伝をするかも重要よ。日頃から砂時計を買いたいなんて思っている人は、殆どいないと思うわ。馴染みがないもの」
冷静に現状を説明するのはるり。
「そういう人に砂時計のある生活を提案する……興味を持たせる売り込み方が良いと思うのよ。砂時計ファンが増えたら嬉しいでしょう」
なるほど、と目を見開く店長。レイラも優しく声をかける。
「今回はちょっと失敗しちゃったかもしれませんけど……とても素敵なお店でした。だから、元気出してくださいね?」
やり直しは、何回でもできるのだ。前に進めるなら、それにこしたことはない。
「雨は降っても止む。時計は時間を刻み続ける」
一騎が示唆に富む言葉をかける。砂時計をひっくり返さなければ、時はそのままでいられる。しかしそれでは意味がない。
「後悔もこだわりも今も全部過去になる。立ち止まってたら色んなものに置いてかれちまう」
だから、強がりでも構わない、動くべき時に立ち止まる暇はない。何せ、時は待ってくれないのだから。自身にも言い含めるような一騎の言葉に、店長は。
「ですね。砂と水に笑われちゃいます」
困ったように笑って、立ち上がった。
「そうだ、うちは小さいけど薬店をやっててな。近い内にハーブティーの類も作ろうかなと思ってるんだ。その時には、ここの時計も一緒に置かせて貰えたら嬉しい……考えて貰えるかな?」
十郎の提案に、店長は首を縦に振った。
「もちろんですとも! 皆さんのおかげで、なんだかとてもやる気が出てきましたよ!」
ぐるんと腕を回す店長に、ジョゼはひとつの砂時計を見せた。
「……これ、頂ける?
砂時計の中には、表情の見えない金色の駱駝。
「とても愉しかったわ。時間すら忘れてしまう程に」
「ええ、そんな店でありたいんです」
そしてお代は不要ですと、店長は再び礼を述べた。
作者:雨音瑛 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2017年7月8日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 5/キャラが大事にされていた 2
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