智龍襲来～血の痕を斃す陽は

■リプレイ

●飫肥城の理
　螺旋忍法帖防衛戦の結果、緋紗雨の保護作戦に成功したケルベロス達。
　……しかしながら、ただ単純に緋紗雨を保護しただけで終わる事は無く、緋紗雨を奪取しようと、竜十字島より大量に現れし師客……智龍『ゲドムガサラ』。
　彼ら骸骨の如き姿をした龍と、その配下である宝玉封魂竜の大量軍勢が仕掛けてくるという一大事に、ケルベロス達は飫肥城へと集結していた。
「敵の敵は味方……否、利害の一致といった所か」
「そうですねっ。お城でニンジャｖｓドラゴン合戦！！　まるで映画ですねっ！！　でも護衛対象の緋紗雨さんは、完全な味方という訳じゃないんですね～ざんねんっ！！」
　葛葉・影二（暗銀忍狐・e02830）に天真爛漫にピリカ・コルテット（くれいじーおれんじ・e08106）が元気よく言う。
　勿論、緋紗雨を守るという事は、デウスエクスを守るという事。
　そして、デウスエクスを奪おうとしているのも、デウスエクスな訳で……デウスエクスを奪うのがデウスエクス。
「デウスエクスを護るって、正直思う所はあるけど、掴まったらゲートわかる人いなくなっちゃうからしょうがないわよね」
「そうだな。正直……緋紗雨のことは許せる相手と思っていない。だけど、今それを言っている場合じゃないだろう。今は緋紗雨を守る為に戦ってやる！　それに、ドラゴンにも借りはあるんだ。奴等の隙にさせるかよ！」
「うん……なんであれ……私は……護るだけ……また、手から零れ落ちるの……見たくない……二度目は……いらない……護るために、力を振るう……そのためなら……いくらでも、この身を……差し出すから……だから……諦めないで……！」
　リリー・デザイア（耽美なりし幻像・e27385）、淡島・死狼（シニガミヘッズ・e16447）、そして津雲・しらべ（だっきゅ・e35874）らの言葉に、影二、ジェノバイド・ドラグロア（元八八八番被験体・e06599）、リリーらも。
「そうだな。何れにせよ、全力を以て守り通さねばなるまい」
「そうだな。こりゃあ、久しぶりに滾ってきたぜぇ！」
「そうね。放置もできないし、頑張って撃退するわよー。えいえいおー！」
　拳を振り上げるリリー……そして、飫肥城へと集結しつつある宝玉封魂竜。
「おーおー……何処見ても骨だらけだな、うざってぇ。砕いて潰して二度と復活出来なくしてやらぁ」
　と鬼島・大介（最終鬼畜喧嘩屋・e22433）がタバコを咥えながら吐き捨てると、暁・歌夜（ヘスペリアの守護者・e08548）も。
「ええ……そうですね。確実に仕留めましょう」
　目の前の宝玉封魂竜達に武器を掲げ、そしてケルベロス達は対峙するのであった。

●軋轢の苛烈な息吹
　そして……空より次々と現れ死、宝玉封魂竜達。
　絶え間なく押し寄せる宝玉封魂竜の軍勢に、ケルベロス達は……流石に驚かざるを得ない。
　しかし、この防衛戦を突破されては、折角保護した筈の緋紗雨も奪われる結果となってしまう……だからこそ、ここより先に通す訳には行かないだろう。
「おお、これはすっごいですねー！」
　とピリカの言葉に対し、死狼は。
「ああ。でも負けられねえ。ほら、来いよ、ドラゴン！　やれるもんならやってみろ！」
　威勢良く、襲い来るドラゴン達に叫ぶ……と、その声に気づいたのか、宝玉封魂竜の一体が、空からケルベロスらの前へと急降下。
　骨だけの姿に、背中に二対の翼……さらにその胸元には、緑色の宝玉が鈍く輝く。
　……そんな宝玉封魂竜に対し、ジェノバイドが。
「食い止めるぞ！」
　と勢いよく、先陣切ってスカルブレイカーを叩き込むと、更に大介も如意直突きを叩き込み、次々と体力を削り取る。
　更に、ジャマーの影二が螺旋氷縛波による氷効果を付与すると、死狼が魔人降臨。
「変幻自在に動く鎖と、デウスエクスの怨念！　受けきれるものなら止めてみやがれ！」
　と力強く叩き込む。
　そして、歌夜がブレイブマインで前衛陣への壊アップを付与すると……ディフェンダーのリリーとしらべが。
「骨になっても竜って事は相当に強いと想うから、気を引き締めて戦わないとね」
「うん……その骨……砕けば……脆くなる、かな……」
　と言いつつ、しらべは接近、フォーチュンスターで服破りを付与すると、リリーも。
「ほら、遅いわよ！」
　と、『陰極・禁足痛打』にて、渾身の一撃から足止めの効果を付与していく。
　……一方、宝玉封魂竜の攻撃。
『グガアア……！！』
　と、荒ぶる咆哮を上げて、毒のドラゴンブレスを吐き出す。
　毒々しいブレスが、ケルベロス達に強い毒の効果を刻み込んでいく……が、すぐピリカと、そのボクスドラゴン、プリムが。
「大丈夫ですかっ！」
　とまばゆい光を放ち、前衛陣に『わたしです』でキュアを振りまくと、更に深いダメージを受けた仲間にプリムが属性インストールで更にヒールで回復。
　……大体、全開に近い状況を維持する。
　そして、次の刻、歌夜が。
「これも少しばかりの死天剣戟陣の応用でして」
　と『残影の剣戟』で、前衛列に妨アップの効果を付与。
　続く影二が。
「身動きも出来まい……！」
　と『葛葉流・螺旋醒め釘』で、石化効果を敵に付与するが……その効果は現れない。
「っ……！」
『グギャウゥウ……！！』
　と唸り声を上げて、続くは竜の爪にて薙ぎ払い、渾身の一撃を叩きつける……がその攻撃をカバーリングするはリリー。
　大きく、地面に叩きつけられたリリーに、すぐプリム、ピリカがエレキブーストと、属性インストールで回復する。
「ありがとっ……いや、中々強敵ね。まぁ、解ってた事だけど」
　とリリーは敢て、自信満々に再度対峙。
　そしてしらべが。
「その爪……いらない……その牙も……砕く……」
　と、クイックドロウで武器封じの攻撃を叩き込むと、リリーは接近、轟竜砲。
　更に大介が、ヒットアンドアウェイにて。
「力ってのは……こういうモノだッ！！」
　と、『全てを焼き尽くす螺旋の一撃』にて、炎効果を付与すると、更にジェノバイドが。
「行くぜ！！」
　と絶空斬にて、ジグザグからバッドステータスを更に倍増させていく。
　……しかし、まだまだ宝玉封魂竜は弱る気配を見せない。
　いや、むしろ更に力強い咆哮を上げ、ケルベロス達を苦しめていく。
　爪撃、毒のドラゴンブレスに加え、獰猛なる牙で接近、生き血を啜るドレイン攻撃、等々……攻妨回復の三種が揃った攻撃を繰り返す。
　勿論、ケルベロス達も、各自の役割をふまえた上での攻防を繰り返しつつも、決して後方、飫肥城へ立ち入らせない、という気合いでもって対峙し続ける。
「しゃらくせぇ……！！」
　と苛立ち気味に大介が吐き捨てるが、その傍らでリリーが。
「冷静さを失ってはダメよ！　気を引き締めて！！」
　と、リリーが言葉を飛ばし、それぞれの立場を認識。
　死狼の螺旋撃に、影二の毒手裏剣、歌夜のシャドウリッパーが確実にダメージとバッドステータスを倍加。
　リリーの轟竜砲に、しらべがファナティックレインボウで怒りを付与し、攻撃のターゲットを自分の方に誘き寄せると、ジェノバイドが。
「そろそろ、倒れろっ！！」
　と息巻きながらの、死角からの雷刃突や、大介のサイコフォース。
　……そして、宝玉封魂竜との戦闘開始から、約10分。
　流石に、対峙していた宝玉封魂竜の体力も、かなり削れてきている。
　と……その瞬間。
『グォオ……！！』
　と、咆哮を上げた宝玉封魂竜は……大きく翼をはためかせ、ケルベロス達の前から離脱。
　空を飛ぶ宝玉封魂竜を引き留める事は難しく……いや、その代わりというべくか、次なる宝玉封魂竜がケルベロス達の前に降り立つ。
「ちっ……連戦か」
　と大介が舌打ちするも、休む間もなく対峙せざるを得ない。
「仕方ねえ……緋紗雨は大丈夫か？」
「……仲間達を……信じる……しかない……」
　と、ジェノバイドにしらべが静かに呟きつつ……更なる宝玉封魂竜に剣を向ける。
　次々と、襲いかかる宝玉封魂竜の波状攻撃……一糸乱れぬ連携は、ケルベロス達の追撃を留めながらも……ケルベロス達は攻防し続けるのであった。

●傷痕開く
　そして……ケルベロス達が対峙し始めてから、25分。
　……何度となく、宝玉封魂竜の連携に苦しめられていたケルベロス達……だが。
『グガア……！』
　と、唸り声を上げた宝玉封魂竜。
「っ……」
　一瞬、歌夜が身構えるものの、動きは無い。
　しかし、次の瞬間……今迄の一糸乱れぬ連携が、少しずつ崩れ始める。
「……これは……もしや……」
「ああ……これは、ゲドムガサラを撃破したんだろう。ゲドムガサラの統率を失った宝玉封魂竜は、最早連携する事も出来ないのだろう」
「そうですね……取りあえず、撃退は出来たのですね……」
「ああ。統率を失った宝玉封魂竜……もはやケルベロスの敵じゃないぜ！！」
　死狼、歌夜に声を上げるジェノバイド。
　そしてケルベロス達は、目の前に立ち塞がる、宝玉封魂竜に対し……気合いを入れ、次々と攻撃を仕掛ける。
　今迄の防戦から一方、一気に攻勢へと傾いたケルベロス達の猛攻を……宝玉封魂竜は抑える事が出来ずに、一気に押し込まれていく。
　そして……そこから数分の内に、目の前にて暴れる宝玉封魂竜を抑えつけ、体力を削り……そして、宝玉封魂竜は、断末魔の絶叫と共に崩れ墜ちていく。
　そして周りにて宝玉封魂竜に対峙する仲間達も、一体、又一体と……次々と倒して行き、程なくして、退治為ていた宝玉封魂竜を全て、叩き潰されていく。
　……そして、全ての戦いを終えた後、息を吐くしらべ。
「……終わった……かな……？」
　安堵の息を吐く彼女に、影二と歌夜が。
「ああ……そうだな。取りあえず、緋紗雨が無事だったか確認はしておこう。これで終わりじゃない。まだ、始まりだろうからな……」
「……そうですね……相手も必死になって、次の手を企ててくるかもしれませんからね……」
　と……頷き合った。

作者：幾夜緋琉	重傷：なし 死亡：なし 暴走：なし
種類： 公開：2017年7月6日 難度：やや難 参加：8人 結果：成功！
得票：格好よかった 4／感動した 0／素敵だった 0／キャラが大事にされていた 2
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