●螺旋帝の血族を守れ
先日行われた螺旋忍法帖防衛作戦について、ヘリオライダーはまず話し始めた。
「金沢城と五稜郭で行われた戦いの結果、金沢城では忍法帖を守り抜くことに成功し、螺旋帝の血族である『緋紗雨』さんを保護することができました」
石田・芹架(ドラゴニアンのヘリオライダー・en0117)はいつも通り淡々と告げた。
もう1人の血族である『亜紗斬』の所在は不明だが、まずは十分な結果を出せたと言っていいだろう。
「しかし、同じく血族の『イグニス』と同盟を組んだドラゴン勢力は、緋紗雨さんを狙って行動を開始しました」
送り込まれる刺客は智龍『ゲドムガサラ』。
どうやら、なんらかの秘術によって緋紗雨の居場所を特定できるらしく、ゲドムガサラはまっすぐに向かってきている。
もちろん強力なドラゴンといえど、単体で挑んでくるほど愚かではない。
「敵は『宝玉封魂竜』なる竜の軍勢を引き連れているようです」
宝玉封魂竜は、定命化によって死に瀕しているドラゴンをゲドムガサラが無理やり生き延びさせている竜だという。
本来なら死亡しているため骸骨のような姿をしているが、戦闘能力は元のドラゴンと同等。
しかも非常に数が多いため、市街地などで戦闘になれば多くの犠牲者が出てしまう。
「そのため、かつてエインヘリアルによって要塞化された宮崎県の名城『飫肥城』で迎撃作戦を行うことになりました」
緋紗雨と共に飫肥城に向かい、そこで迎撃を行って欲しいと芹架は告げた。
「残念ながら、難攻不落の要塞であっても膨大な数の敵を防ぎきることは困難です」
ただ、宝玉封魂竜が十分な力を発揮するのは、あくまでゲドムガサラの指揮下にあるときだけだ。
ゲドムガサラさえ倒してしまえば、駆逐することは不可能ではない。
「皆さんには前衛の宝玉封魂竜を倒した後、ゲドムガサラへの切り込みを試みていただきます」
切り込みに成功した場合は、そのままゲドムガサラの撃破を目指すことになる。
また、失敗したチームにもゲドムガサラ撃破まで城を守るという役目がある。
「つまり、単に目の前の敵を倒すだけでなく、その後のことも考えなければならないということです」
困難な作戦だと、芹架は言った。
それから、芹架は前衛としてこのチームと遭遇するはずのドラゴンについて説明を始めた。
「骸骨と化したドラゴンで、宝玉が埋まっているのは宝玉封魂竜に共通の特徴です。皆さんが最初に戦う相手は、さらに骨の各所に色とりどりの発光体が埋まっています」
どうやら、どこかでイルミネーションを喰らって進化したらしい。
グラビティによる強化を破壊する骨の爪による単体攻撃の他に、発光体を用いた2種類の攻撃を行える。
「1つ目は発光による攻撃です。一定のリズムを持つ光で神経的なダメージと共に攻撃の手を鈍らせる効果を与えてきます」
これは範囲に効果がある。
「もう1つは無数の光を一点に集中して放つことで、熱によるダメージを与えてきます。これを受けると炎上してしまいます」
ゲドムガサラの元へ切り込むためには、可能な限り早くこの竜を撃破する必要がある。
とはいえ、この竜に全力を注ぎすぎてはせっかくゲドムガサラに接近しても有効打は与えられない。
逆もまたしかりだ。ゲドムガサラのことばかり考えていては竜の早期撃破は難しいだろう。
「もっとも、ゲドムガサラにたどり着けなくても、緋紗雨さんの護衛という重要な仕事もあります」
繰り返しになるが、宝玉封魂竜は前衛の敵以外にも多数存在する。迎え撃つ者がいなければ緋紗雨が危ない。
あるいは最初から護衛するつもりで戦うのも1つの選択肢かもしれない。そうすれば前衛との戦いで急ぐ必要がなくなるだろう。
「宝玉封魂竜とゲドムガサラは強力な敵です。守りきれない場合は、緋紗雨さんを引き渡すというのも選択肢かもしれませんね」
緋紗雨も最終的には倒すべき相手なのだから。
イグニス戦が厳しくなるとしても、ここでケルベロスが大打撃を受けては元も子もない。
「ですが、利用できるものはできるだけ利用したほうがいいでしょう」
無理をしない程度に頑張って欲しいと芹架は言った。
参加者 | |
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エニーケ・スコルーク(鎧装女武・e00486) |
山之内・涼子(おにぎり拳士・e02918) |
マグル・コンフィ(地球人のキンダーウィッチ・e03345) |
丹羽・秀久(水が如し・e04266) |
神白・鈴(天狼姉弟の天使なお姉ちゃん・e04623) |
神白・煉(死神を追う天狼姉弟の弟狼・e07023) |
姫宮・楓(異形抱えし裏表の少女・e14089) |
アリア・ホワイトアイス(氷の魔女・e29756) |
●迎え撃つ者たち
飫肥城にはすでに数えきれないほどのケルベロスたちが集まっていた。
智龍ゲドムガサラに率いられた宝玉封魂竜との戦いはもう近い。
「先にお伝えしておきますが、正直後ろから撃ちたい気持ちです」
エニーケ・スコルーク(鎧装女武・e00486)は仲間たちに告げた。
「ですが敵方の事情を知っているのは彼女だけですからね。ドラゴン退治のついでで今だけは護ってあげますわよ」
礼儀正しく、しかして冷徹に、彼女は言葉を放つ。
「彼女が裏切ったりしたら次は敵同士だという事をお忘れなきよう」
馬面の騎士の目を、ショートカットの少女がまっすぐに見つめた。
「それがエニーケさんの考えなんだね。でも、エニーケさんと一緒に戦えるのは楽しみだよ。一緒にがんばろうね!」
同じ旅団のメンバーで、顔見知りでもある山之内・涼子(おにぎり拳士・e02918)の言葉に、エニーケは頷いた。
「……でも確かに、このお城、飫肥城って緋紗雨さんが指定した場所なんですよね」
神白・鈴(天狼姉弟の天使なお姉ちゃん・e04623)が不安げな表情を見せた。
「逃走や強襲用の魔空回廊が近くに無いかには注意したいな。ケルベロス一網打尽とか狙われたら困りますし」
オラトリオの少女は眉を寄せる。
「そういえばこのお城も昔は奪い、奪われなんだっけ……」
涼子が言った。
「妙なことを考えてないかは心配ですね……。緋紗雨さんも結局は忍軍ですから」
姫宮・楓(異形抱えし裏表の少女・e14089)は身を守ろうとするかのように胸の前で手を重ね合わせていた。
「でも、彼女が言っていることに道理はありますから、護衛する価値はあると思います」
その点に関して、異を唱える者はいなかった。
実際、心情はともかく作戦として、このチームは前衛の宝玉封魂竜を倒した後、飫肥城の防衛に回る予定でいる。
緋紗雨も本来は敵なのだ。無条件に信用できるような相手ではない。疑念を抱くのは必要だったし、また当然でもあった。
「いずれにせよ、今はやるべきことをやりましょう。かつて重傷をおった八竜グラヴィオールとの戦い……その因縁もここで断ちます」
丹羽・秀久(水が如し・e04266)は人の好さそうな顔を引き締める。
「ま、できれば八竜に怪我させられた団員のためにも、ゲドムガサラの野郎を一発ぶんなぐってやりたかったがな」
神白・煉(死神を追う天狼姉弟の弟狼・e07023)が拳を握って腕を振り回して見せる。
「わたしも、お友達のルナールさんの仇を討ちたかったけど……。無理してても危なかった……かな?」
姉である鈴も彼の言葉に頷く。
「ああ。緋紗雨の護衛に回るべきだって意見が多いなら仕方ねえ。ゲートの場所を聞き出すためにも全力で行くぜ」
熱血少年には、突っ走る方が性に合っていたのかもしれない。けれど、決めたことにいつまでもこだわっている時間はない。
言葉を交わしているうちに、敵はもう近くまで迫っていた。
かじっていた携帯食料を飲み込んで、マグル・コンフィ(地球人のキンダーウィッチ・e03345)はゾディアックソードを抜いた。
「来ます。思うところはあるかもしれませんが……力を合わせて緋紗雨さんを守り抜きましょう!」
「うーん……とりあえず、今は、共通の邪魔者、排除すれば、良し、ってことかな? ……難しいことは、頭の良い人が、たぶん、考えて、くれてるし……私は、目の前の敵に、集中、と」
アリア・ホワイトアイス(氷の魔女・e29756)は眠たげな表情で言った。
「それにしても、この数の、ドラゴンが、定命化で、死にかけてたことに、ちょっとびっくり」
服も髪も真っ白な少女の言葉通り、前衛だけでも数十体の敵が近づいてくる。さらに、その後ろにも数えきれないほどの竜が控えているのだった。
●瞬きの竜を討て
無数の光が瞬いているのが、ケルベロスたちの目に見えた。
骸骨の骨には色とりどりの電球が埋まっている。
「来るぜ!」
弱っていてもドラゴンというべきか。待ちかまえていたケルベロスたちが攻撃をかけるよりも、竜の電飾がリズミカルに点滅し始めるほうが早かった。
楓は頭の奥に疼痛を感じた。
手から力が抜ける。いや、最初から力は入っていただろうか? 彼女は戦いが苦手だった。たとえ相手が侵略者だとしても。
「私の中の脅威……、異形の魂……お願い……! 暴虐の龍を……、その黒き螺旋で……倒して……!」
呼びかけたのは自分の中に眠るもの。気弱な楓ではない、戦いに適した『カエデ』を目覚めさせる。
『カエデ』となった楓は異形の外装を纏い、異形の武装を構えた戦士へと変わった。
「ハッ……玉石仕込んだ龍の残骸か……、それで死を超越できたと思うてか? 死んだら疾く龍界の黄泉路に向かわんか、愚か者め!」
口調すら変わった楓が、守りを固めながら竜を嘲る。
その間にも、仲間たちは攻撃を開始していた。
鈴が羽扇を振るのに合わせ、先陣を切って突っ込んでいくのは煉だった。
蒼炎をまとった鋭い蹴りが敵を切り裂く。
「さあ、いっくよー!」
涼子は彼に負けじと一気に前進する。
動きやすそうなジャージ姿が宙を舞った。空中で重力を操った彼女は、痛烈な飛び蹴りを骨へと叩き込む。
素早く飛び退いた涼子は、視界の端にエニーケがうごめく幻影をまとって腕を十字に組んでいるのをとらえる。
鈴の羽扇が生み出した幻影が、女騎士の姿をいくつにも分かれさせているように見えた。
「ドラゴンを退治するのは自衛隊だけではなくてよ!」
必殺の光線が、足の止まった敵を捕捉える。
「エニーケさんもがんばってる。ボクも、まだまだ行くよ!」
巨大な骨が組み合わさった敵の前で、涼子は両手のバトルガントレットを握った。
宝玉封魂法の力を得た竜は、本来の力を発揮できるという。
骨だらけの姿からは想像できないほどの力で、瞬きの竜は容赦なくケルベロスたちを傷つけていく。
しかし、それは彼らの守りを突き崩せるほどのものではなかった。
「ノエル姉さん……力を借りますね」
秀久と楓に、マグルのビハインドも加わって仲間たちをかばっている。
彼自身は鎖を巻き付かせた剣を掲げて、鈴やそのサーヴァントであるリュガと共に仲間を支援し、回復していた。
「君が兄弟を思ったように私は仲間を想う……その硬い鋏を今高々と掲げ、魔から我らを守護したまえ!」
蟹座の姿を地に描き出し、前衛と後衛にマグルは星座の守りを付与していた。
アリアは中衛から敵の妨害を行っていた。
敵を縛り上げ、そして凍り付かせる。
だが、御業による捕縛をものともせずに、骨の爪がアリアの体を引き裂く。
「きゃ……!」
口の中で小さな悲鳴が漏れた。
城跡の地面に、白い少女が叩きつけられた。
「アリアさん、大丈夫ですか? すぐに治しますね」
鈴が呼びかけてきて、精神の盾を付与してくれた。
(「堅実に、無理、しないで……」)
氷の魔女を自認する彼女は、手に冷気を集めながら敵へと接近する。
「一気に、凍っちゃえ」
駆け抜けざまに敵へと指先を触れさせながら、アリアは離脱した。一点へ集めて、高めた冷気は敵を一瞬にして氷漬けにする。
無数の発光体が埋まっている骨が、音を立てて凍り付く。
凍ったところに仲間たちはさらに攻撃をしかけて、体力を削り取っていく。
氷の中で発光体が輝く。
瞬きの竜は、最後となる攻撃を放った。
もはや骨だけと化した体はボロボロに傷ついている。
とっさに煉をかばい、秀久は攻撃に身をさらす。
「さすがドラゴン。最後まで気は抜けませんね。ですが……」
「ああ、これで終わりにしてやるぜ!」
煉は蒼炎のオーラを燃やして前進する。
「たたみかけます! 私に付いてきなさい!」
エニーケの必殺光線が竜の動きを止めた。
「任せな! これが親父から受け継いだ、俺の牙だっ!」
烈火の闘気が煉の腕を包み込み、加速する。
「はっ、死に損ないが、てめぇらが集めた恐怖や憎悪ごと燃え尽きろ!」
駆け抜けた少年の軌跡に蒼き炎がほとばしり、竜骨を激しく焼いていく。
魂すらも焼き尽くす炎の中で、瞬きの竜は断末魔の悲鳴を上げていた。
一度、緋紗雨がいるはずの場所を煉は振り向いた。
仲間たちも言っていたが、あの女も決して信用できるわけではない。
(「狙いはイグニス連合とケルベロスの潰しあいってとこか? ドラゴンを片付けたら、約束を反故にして逃げるかもしれねぇ」)
骨の竜を片付けた後、さらに戦う覚悟だけは決めておくつもりでいた。
だが、戦いは、まだ終わっていない。
●終わらぬ防衛戦
確実に倒すことを優先したためか、他の多くのチームはすでに前衛の宝玉封魂竜を撃破しているようだった。
ゲドムガサラを狙う者たちはとうに突破を試みているのだろう。
「すぐに次の敵が来るようじゃ。皆、気を抜くでないぞ。死にぞこないの骨龍相手に死に目に負う事は無いからのう」
楓が不敵に言った。
休む間もなく次の敵が近づいてきているのがわかった。
「今のところ救援が必要なチームはなさそうですわね」
「抜けたチームもいるようです。少し下がって、防衛線を埋めないと」
「ええ。――手助けが必要になった人たちは合図してください! こちらは少し引いて防衛を続けます!」
マグルはエニーケや秀久の言葉を受けて、声を張り上げた。
人よりも声が大きいマグルだが、果たして戦闘の喧騒の中でもちゃんと他のチームまで届いているかどうか……わからないが、まずはやるべきことを続けるしかない。
当然ながら次いで現れた敵も骨の竜であった。
骨の尻尾が前衛たちを薙ぎ払う。
楓がとっさに涼子をかばって、2人分のダメージを受ける。
「果たして死を超えた程度でわらわの死線を超えられるかな?」
痛打を受けつつも、戦闘前とはまるで様子の違う楓は動じていない。
「鈴さん、私が楓さんを回復します」
「うん、お願いします。わたしはみんなをまとめて回復するね」
声に応じながら、鈴は氷の花を壁として生み出し、仲間たちを守っている。
楓自身も真っ黒なオウガメタルから粒子を放出して回復しているようだ。
マグルは楓の傷に心霊手術を施す。
「しっかり支えなくちゃ。ノエル姉さん、よろしくお願いします」
ビハインドに声をかけて、マグルは気合を入れなおした。
しばし戦いが続き、ケルベロスたちは3体目の竜と戦っていた。
2体目の敵は倒せていない。
ある程度ダメージを与えたところで敵は撤退していき、入れ替わりに次なる宝玉封魂竜がケルベロスたちの前に現れたのだ。
秀久は突撃してくる竜の爪を受け止める。
その間にも、彼は周囲の状況を注視していた。
(「信号弾を上げているチームはなさそうですね……」)
彼自身も用意してきた信号弾だが、今のところこれを活用する状況に陥っているチームはいないようだった。活用する隙もなく倒された者はいないと信じたい。
秀久は緋紗雨のほうも警戒していたが、今のところ目立ってなにか動きを起こした様子はないようだ。
ゲドムガサラに攻撃をしかけたチームはどうなっただろう。
そもそも何チームが到達できたのかもわからないのだ。ただ、少なくとも、突破をしかけて戻ってきていないチームがあることは確かだった。
「攻撃班が背後を気にせず戦えるように後方の守りを頑張らないと」
いざとなれば暴走してでも……その気概を持って、秀久は仲間たちを守り続ける。
3体目の敵に巻き付いた不可視の鎖が、竜の動きを止める。
「好きには、させない」
アリアが捕縛した敵へと、煉の炎に包まれた狼頭のハンマーと、涼子の痛烈な拳が相次いで叩き込んでいた。
痛打を受けた敵が、また後退を始める。
そしてさらに別の1体が支援するようにケルベロスたちと竜の間に割り込んできた。
「……違う。あの敵は、さっき逃げていった竜です」
エニーケが言った。
「また戻ってきたってこと?」
「後退して、回復してきたみたいですね」
鈴は疑問の声を上げた涼子に告げた。
倒れないように持ちこたえ続ける敵は厄介だ。それは、倒れる者がいないように支え続けている鈴にはよくわかる。
戦闘時間はすでに通常の戦闘をはるかに超えている。ゲドムガサラへの切込みに失敗して戻ってきたチームも多いようだ。
(「でも、防衛が厳しいってことは、それだけ切り込めているってことのはず……」)
鈴は一度大きく息を吸い、吐く。
「とにかく、ゲドムガサラを倒せるまで支え続けないと。絶対に、撃破まで持ちこたえて見せます。エニーケさん、レンちゃん、回復はわたしに任せて全力で攻撃をっ!」
弟や、一目置く仲間に声をかけると、鈴はさらにオラトリオの秘技を使った。
時を凍結させ、あたかも氷花の盾が出現したかのように、仲間を守る。
ボクスドラゴンのリュガも、傷の深い仲間へと属性をインストールして守っていた。
「回復になんか戻らせなきゃいいんだろ? やってやるさ!」
煉が気勢を上げる。
だが、それが難しいことだと、弟もわかっているはずだった。
戦いは終わりが見えぬまま続いていた。
「緋紗雨からしっかり情報を聞き出さなくては、割に合いませんわね」
エニーケはため息をついた。
もちろん、楽に勝てても情報は聞き出すつもりであったが。
とはいあ、守りを重視した陣形のおかげか、倒れているものはいない。敵に合わせた防具を用意した者の工夫も功を奏していた。
そろそろまた敵が後退するタイミングだろう。
だが、たたみかければ倒しきれるかもしれない。
煉の拳に合わせて、風の精霊の加護を受けた競走馬の革から作った靴で、幸運の星を飛ばす。
「マグルさん、続いてください!」
「はい、凍てつく氷の礫よ、理力をまといて弾丸となれ!!」
近くにいたマグルに呼びかけると、星によってひびが入った部分に彼は氷の礫を叩き込む。
竜が、倒れた。
撤退を支援するために新たな敵が来る様子もない。
「敵が……混乱しているようです」
秀久が言った。
「それじゃ、もしかして……」
「きっとそうです! ゲドムガサラを倒したんですよ!」
アリアの言葉を継いで、鈴が大きな声を出した。
「なれば、後は掃討戦とゆこうかの」
楓が口の端を上げる。
「うん。もう一働きだね!」
「ま、一発ぶち込んでやれなかったのはまだ心残りだが……その分、派手にやってやるぜ!」
涼子や煉は、まるで疲れが吹き飛んだかのようだった。
ゲドムガサラによって支えられていた攻勢は、その死とともに一気に瓦解し、ケルベロスたちは残った敵を瞬く間に蹴散らしていた。
作者:青葉桂都 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2017年7月6日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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