「ゲ、ゲドムガサラ……よりにもよって!?」
めまいじみて頭を揺らし、跳鹿・穫は白目をむいた。
北海道五稜郭、及び石川県金沢城で行われた螺旋忍法帖防衛戦で、地球に逃げてきた螺旋帝の血族の一人『緋紗雨』を保護したケルベロス忍軍。しかし、螺旋帝の血族『イグニス』と同盟を結んだドラゴン勢力が、緋紗雨を奪還すべく動き始めたというのだ。
刺客として動くのは、智龍『ゲドムガサラ』。去年の四月六日に起こった『八竜襲撃事件』にて、ジャバウォックを始めとする八体をたきつけて日本に送った張本人だ。
かの竜は秘術により緋紗雨の居場所を特定できるようで、まっすぐに緋紗雨目指し、軍勢を連れてやってくるというのだ。
ゲドムガサラはもちろんのこと、彼が引き連れてくる軍勢も相当な数であり、市街地での防衛戦では大きな被害が出てしまう。そこで、皆にはエインヘリアルによって要塞化された天下の名城『飫肥城』を拠点とし、迎撃戦を行ってもらう。
ゲドムガサラの軍勢は『宝玉封魂竜』なるドラゴンで構成されている。この竜は定命化で死にかけていた個体を、ゲドムガサラが人間たちの憎悪と拒絶を使った秘術『宝玉封魂法』で無理矢理生き延びさせた、いわばドラゴンゾンビのようなもの。
本来ならば死亡している状態である為か、その姿は紅い宝石がこびりついた骸骨のようなものになってしまっているが、元のドラゴン時に準じる戦闘能力を持っている。それが大挙して押し寄せてくるので、注意が必要だ。
しかしながら、宝玉封魂竜には弱点もある。定命化で既に死亡している身であるためか、彼らは大した知能を持たず、ゲドムガサラの指揮を受けねばまともに戦うことさえできない。つまり、宝玉封魂竜の大群を切り開き、敵本陣のゲドムガサラを倒せれば、残る竜を駆逐も不可能ではない。ただ、今回はあくまで防衛戦なので、そこを忘れないようにしてもらいたい。
このチームに最初に攻めてくる宝玉封魂竜は、ガラスの骸骨で出来ている。ガラスとはいえその身は強固で、光を使った攻撃や肉弾戦を得意とする。さらには肉体の性質上、光系のグラビティは効果が薄く、物によっては反射することさえ可能のようだ。
ちなみに、この個体を撃破して敵陣切り込みに成功すればゲドムガサラと、失敗すれば押し寄せてくる宝玉封魂竜との戦闘になる。
「かなりめまぐるしいことになっているけど、ここで折角のチャンスは逃せない! 防衛、きっちり頼んだよ!」
参加者 | |
---|---|
篁・メノウ(わたの原八十島かけて漕ぎ出ぬ・e00903) |
ラハティエル・マッケンゼン(マドンナリリーの花婿・e01199) |
ディクロ・リガルジィ(静寂の魔銃士・e01872) |
灰野・余白(空白・e02087) |
館花・詩月(咲杜の巫女・e03451) |
カーネリア・リンクス(黒鉄の華・e04082) |
黄檗・瓔珞(斬鬼の幻影・e13568) |
夜殻・睡(氷葬・e14891) |
赤く染まる夕暮れに、軋むような咆哮が響く。天を埋めるは大群と為す骸骨の竜。流星群じみて飛来する軍勢を見上げ、灰野・余白(空白・e02087)は手の中で槍を回した。
「おー来よった来よった。ぎょーさん来よったわァ」
「うん。予定通りだね」
うなずく館花・詩月(咲杜の巫女・e03451)がコンパウントボウを展開。真紅の袴めいた複層装甲表面が開き、ビット兵装を宙に浮かべる。各所へ急降下していく群れの奥、夕焼けを照り返す透明な輝きが見えた。扇を開く篁・メノウ(わたの原八十島かけて漕ぎ出ぬ・e00903)の周囲に紫の風が渦を巻く。接近してくるガラスの竜影!
「神殺さんと欲するならば、竜の一匹斬り伏せよ……ってね! ……と言ってもあたしは支援役だし、カーネリアに任すけど」
「任せとけって。そっちこそヘマするなよ?」
カーネリア・リンクス(黒鉄の華・e04082)が不敵に笑い、炎に巻かれる。銀の長髪、黒い花柄着物姿に変化した彼女を横目に黄檗・瓔珞(斬鬼の幻影・e13568)は鋭く輝く薄目を開いた。
「うん、準備はよさそうだねぇ。それじゃ……始めようか?」
「ん」
夜殻・睡(氷葬・e14891)が短く返しだるげに立つ。眼鏡越しの瞳に映る竜の輪郭を光が包み、頭骨を太陽じみて眩く光らせる。身構えた直後、開いたアギトが光線を吐き出した! メノウが素早く舞い踊る!
「清き風、吹き荒れろ! 『青嵐』っ!」
光線の光が爆発し、周囲を白に染め上げた。骨の翼を広げて制動をかけるガラスの竜。その虚無の眼下を八つの影が飛翔する! 紫の追い風を受けたラハティエル・マッケンゼン(マドンナリリーの花婿・e01199)は胸のロケットペンダントを握る。
「帰ったら式を挙げような、リリア。愛している……フッ!」
炎翼を開いて加速! 全身を星空めいて光らす竜に刃を向けた。
「我が名はラハティエル! 滅びの竜よ、我が黄金の炎を見、そして絶望せよッ!」
ガラスの竜が空を仰いで咆哮し光の矢を雨の如く解き放つ! 詩月は宙で弓射姿勢。弦三本を一度に引っ張る。
「睡ッ!」
「はいよ」
気だるげに返した睡が抜刀! 飛翔し光の雨と衝突する粒子の斬撃に詩月は連続で弓を鳴らした。発射された札が粒子を固め蒼の障壁に変える。ディクロ・リガルジィ(静寂の魔銃士・e01872)は銀目模様の銃を引き抜き連続ドロウ! 崩壊した障壁を貫く光の雨とすれ違った弾丸はガラスの体の各所で爆発、竜の体勢を打ち崩す! 貫通した矢にいくらか体を裂かれながらもカーネリアはメノウに声を投げかけた。
「メノウッ! もういっちょ頼むぜ!」
「よっしゃ行ったれ! 『塵旋風』っ!」
紫がかった黒刀が振られ、暴風が仲間達を空へ空へ押し上げる! 二又に分かれたディクロの尾がガラスの首とカーネリアの腕に巻きつきワイヤーめいて高速牽引。吠える竜の光輝く爪をめがけて火の矢と化したラハティエルが刺突を打った!
「恐れよ。炎剣テスタロッサッ!」
燃える切っ先が骨の手の平に激突、光芒をまき散らして押し止めた。ディクロは竜の頭上へ上がり、カーネリアを引き上げる。
「それじゃあ行くよ?」
「おうよッ! 篁流格闘術!」
片足を掲げるカーネリアより早くディクロが降下。ガラスの額に銀の刃を打ち込んで跳び、思い切り引き下ろす! 切っ先埋まるナイフにかかと落としを叩きこむ!
「『垂雪』ッ!」
ガィンと鈍い音を響かせ刃が半ばまで埋没! 絶叫した竜はラハティエルを振り払い全身から対空砲火めいて光の矢を噴出させた。先攻した三人の全身を穿ちかすめる光弾幕を、余白は不敵な笑みを浮かべて掻い潜る。
「さあて、どこまでいけるかのう」
「地獄には行ってくれるなよ……っと」
睡は虚空に高速斬撃を切り込み刀持たぬ手を開いて掲げる。直後、巨大な盾めいて氷の結晶が展開。光の矢の軌道を逸らしあらぬ方へ受け流す! そのまま切っ先を後ろに構えて吹雪を放ち飛翔する! 後に続く余白と瓔珞!
突撃してくる氷の盾に竜はアギトに閃光を溜め発射! 光大砲を受けた盾は奥で閃光を乱反射させひび割れる。睡はバリアを縦一文字に斬り裂き下降、余白と瓔珞は光線を紙一重で避け前に飛び出す! ガラスの体に放たれる、鬼めいたガントレットと黒白槍の二重刺突。その瞬間、被弾箇所から光が爆発し二人をカウンターめいて吹き飛ばした!
「ぬぉッ……!」
弾かれた瓔珞めがけて光の爪を振り上げる竜に詩月は弓の弦を打ち鳴らす。腕を爆轟に打たれた竜の周囲をメノウの紫風が円弧を描いて吹き荒れ仲間達を余さず拾う。一定距離をスライドしたラハティエルと余白が特攻! 振り回される光の尾を螺旋軌道を描いて回避した二人は炎の蹴りと回転突きを命中させる。不協和音を響かす骨が強くきらめく!
「メノウさん、解除!」
叫ぶディクロが伸ばした尾で二人を引っ張る。その瞬間風の輪が消え竜の身から光の環が拡散! 破壊の光が焦がすチャイナ服や着物を荒ぶ吹雪が凍結させる。睡の吹雪をカーネリアの銀髪が突き抜けて伸び、燃えながら竜を絡めとった。暴れ抵抗する体に浮かぶ水銀の染みを見とがめた瓔珞は指を弾く!
「よっと」
彼足元の銀髪が爆発! 爆風を追い風に瓔珞が接近した直後竜は再び全方位掃射を敢行。銀髪を引き千切り降る豪雨に肩部や腕部装甲をはがされ袴型装甲ごと足を撃たれた詩月は吹雪の中に符を放つ。符を中心に雪が渦巻き氷雪の鎧武者達を生成、仲間の盾となりつつ竜に突進!
「ディクロ、あいつを止める!」
「わかった! やろうか!」
ジャケットを裂かれながらもディクロは二人をつかむ二本尾をほどき竜にむかってけしかけた。黒液の尾は肥大化しながら真っ直ぐ伸長! 無差別砲火をすり抜けて竜の体を締め上げる! 止まらぬ掃射は尾を貫通。身代わりになった氷武者を破壊しまくる邪竜にディクロは銃口を突きつけ怨嗟を吐き出す!
「静かにしなよ! いい加減うるさい!」
牙を剥き出しトリガを連射! 漆黒の弾丸は軌道上で黒牙に変化し液体の尾を突き抜けて骨の体に突き刺さる! 続いて詩月は三本弦を一度に絞ってコンパウントボウを空撃ち。巫術の砲が竜の顔面を爆破した。緩む射撃にメノウはボロボロの着物を振るい二刀流で回り舞う!
「篁流回復術! 『東尋坊』ッ!」
円弧の刃軌道から噴き出す暴風を得たラハティエルが炎の双翼を大きく広げた。翼は灼熱をまき散らし、強く羽ばたく!
「我が鮮朱の火こそ滅びの焔! 髄の奥まで融けるが良いッ!」
鮮烈な爆風が竜を飲み込む! 無い喉枯らして叫ぶ骨竜の身が濡れたように照り、爆炎斬り裂く余白を映す。緑槍を捨て黒白の二槍を構えた余白はそれを同時に投げ放つ!
「さあ、遠慮なく食らいぃや!」
爆炎の中を飛翔し刺さった槍は螺旋状に破裂! たちまち形成されたモノクロの竜巻に囚われた竜は悲鳴をあげつつ両手とアギトに光をチャージ。だがカーネリアが飛ばした銀の大トゲが両手を貫き溶けかかった身を削る。やや弱まる光を竜は構わず全力放出! 尾と爆風と黒白の螺旋をまとめて蹴散らし、さらに細かな光の槍でケルベロスを強襲。辛うじて致命傷を避けながらも面々の服は血に染まる。舌打ちする睡の体を吹雪が包む!
「篁、館花ッ!」
睡は刀を振り下ろし吹雪を解放。傷つきながらも舞うメノウの風がそれをさらって辺りに広げ、流れに乗った詩月の札が雪をまとって鎧をかたどり仲間を守る。傷口を凍らす吹雪に乗って風雪の外装を蹴り上昇した瓔珞はラハティエルに背を向ける!
「ラハティエルくん! さっきのもっかい出せないか!」
「! 問題ない!」
「俺も乗るぜッ!」
割り込むカーネリアと瓔珞の後ろでラハティエルは再度大翼を大きく広げる。吹雪を染める炎の輝き。そちらへ振り向き光を放とうとする竜の首にディクロの尾が絡みつき、本人がロデオめいて頭に飛びつく! 刺さったままの柄をつかんで上向かせ、天に向かって光を吐かす。無防備な胸を狙う余白は緑槍をつかんで引き絞る!
「いよいよ年貢の納め時だ。もう一回死んでもらうよ!」
「でやあああああああッ!」
ジャベリンめいて放たれた槍がガラスの肋骨を破壊! 露出する心臓じみた紅玉をにらんだ瓔珞は合図を繰り出す!
「頼んだよ!」
「邪悪を焦がす我が炎! フラム・ド・シナブルッ!」
全力で羽ばたいた炎翼に押され瓔珞とカーネリアがロケットじみた速度で飛んだ! 断末魔じみて絶叫しなおも輝く竜の体に弓を向け、詩月は爪弾くように弦を弾く。展開していた雪の鎧が砕け散り、吹雪と共に竜へ殺到! ディクロの離れた透明な体を余さず雪化粧で覆い光を遮断。突っ込んでいく二人にメノウは一刀流で演武を踊る!
「篁流回復術、『神渡し』ィッ!」
空から吹き下ろす紫の風が二人を速度の地平へ誘う。二人は氷像と化した竜の心臓、紅玉をにらみ腕を引く。
「絶招……」
「篁流格闘術ッ!」
迫る掌底! だが竜を覆う雪から閃光が噴き出し、破壊! 封印を突き破った竜は激昂し大きく開いたアギトに超新星爆発めいた激しい光を凝集させた。二人は既にワン・インチ距離! 睡が余白にかざした手から冷気が噴出、彼女の前で槍となる!
「させるかっての……」
「同感じゃ。遠慮なく食らいぃや!」
余白は氷の槍をつかんでアギトめがけて全力投擲! 同時に竜の身に無数に刺さったディクロの黒牙が肥大化してガラスの身を食い破る。解放より早く口腔に入った槍は光を暴発させ顎を砕いた。ガラスの破片を浴びる二人は紅玉に潜り、掌底を突きだす!
「崩天掌!」
「『深雪』ィッ!」
重い重低音が響き、玉に渾身の一撃が命中。衝撃を受けた紅玉は砕け、竜全身が波打つようにひび割れた、その時である! 壊れかけのルビーから黒い霧が噴き出し目を見開く二人を飲み込んだ。そして爆発的膨張!
「カーネリアっ!」
「いかん! メノウ殿、余白殿!」
飛行したラハティエルが自由落下を始めるメノウと余白を受けとめカーブを描いて降下する。同じく下方に逃れたディクロと睡に、黒霧から大量出血したカーネリアと瓔珞が投げ落とされた。ディクロは尾を伸ばしてキャッチする!
「睡さん回復!」
「わかってるよ」
睡はディクロの尾に飛び乗って先端へ走る。冷気まとう手で二人に触れて傷を凍らした瞬間、真上を覆う黒い霧が局所的に光り出す! 詩月は落ちながら霧に弓を連続発射。飛翔した符が展開し半透明の城壁を召喚した直後、霧はレーザーの雨を降らせた! 呪詛めいた咆哮が響き城壁が閃光に包まれる! 光の雨が降り注ぐ中ラハティエルが合流。
「大事ないか!」
「あー、あるね。今すごく危機を感じる私ディクロさん」
上向きの風を受けながら、ディクロが光芒散らす空を仰いだ。手で影を作りつつ、余白はその視線を追う。
「……第二形態って感じやないな?」
「いや……さっきのは手応えがあった。ありゃ別個体だろうねぇ……」
渋い顔でつぶやく瓔珞に、ディクロはうなずく。
「僕も同意見。きっとガラスのヤツに霧のドラゴンが寄生してたんだ。で、宿主が死んだから食って出てきたってとこかな?」
「ガラスで済めばよし、駄目なら二匹目……」
「加えて、死んだ前者を食わせて強化する。かの邪智の竜の策謀か。実に有効だ。戦術的に……」
メノウとラハティエルが苦く口にし、一同の足が地を踏みしめる。そして障壁を消し去り、暗雲めいて覆い被さる黒霧から覗く頭部に武器を突きつけた! 弦を引いた詩月は静かに告げる。
「さて、そろそろ誰かしら本命についてもおかしくない時間だ。傷も浅いわけじゃないし、これ以上の戦闘は危険も大きい。最も、タダで逃がしてはくれなさそうだけど」
「ならアイツもぶっ飛ばすッ! それで解決だ!」
「まだまだ先もあるからのう」
カーネリアが吠え、余白は不敵な笑みで穂先を上げる。霧の奥から不気味な咆哮が響き、漂う霧が光り出した。一方で刀を取るメノウとカーネリアをそれぞれ紫風と炎が包む!
「行くよカーネリア!」
「おう! 篁流二連撃ッ!」
竜巻めいて膨れ上がる剣気が獅子をかたどる! 再度無数の光弾を放つ霧に向かって一歩踏み込み突きを放った!
『砲華・連獅子ッ!』
地を揺るがす咆哮を上げ二頭の獅子が天を狙う! 光の雨を跳ね返しながら突撃する号砲の下でディクロと睡は光雨の地帯を駆け抜け跳躍。尾で地を打って跳ねたディクロはもう片方で睡を持ち上げ投げ飛ばす! 垂直上昇する吹雪を引く刀を斬り上げた。
「よっ」
吹雪に裂かれ、凍った傷にディクロが拳をたたき込む。だが霧から振るわれた爪が砕ける黒氷ごと二人を弾く! 一方竜頭周りに当たった呪符が爆発し、黒白の槍が渦を巻いて爆炎諸共霧を散らした。流動する霧の竜めがけてラハティエルが飛ぶ! 炎の回転突きで霧を貫き、抱えた瓔珞を投下。霧にダイブした瓔珞は回転しガントレットからパチンコ玉大の銀弾を射出し指を弾く。霧の複数個所が同時に爆発! そこかしこで霧が散る!
「どこだー……あの赤いのは……」
走査する瓔珞背後で霧がうごめく。霧は竜の頭部の形に固まりアギトに瓔珞を捕捉した。それを下から貫く銀のトゲ!
「篁流射撃術・『霧雨』ぇッ!」
水に流れる砂じみて竜の頭が霧散する。直後に咆哮が霧に反響、光を四方八方に乱射する! 鋭い動きで剣舞を踊るメノウ!
「篁流回復術、『禍魔癒太刀』っ!」
無数の斬撃めいた紫の風が放たれ光線にぶつかって対消滅し、仲間に当たって傷をふさぐ。その上空、光の嵐を飛行しながらラハティエルは片翼で空気を叩いた!
「霧なる竜よ、散るがいい!」
猛烈な熱波が霧を押す! 吹き飛ばされる寸前、霧は一点収束して骸骨竜の姿に戻る。爆風を咆哮で吹き飛ばした背に余白は槍を突き刺した! そこへ竜の頭が百八十度回転し光のブレス! 跳び下がって回避する身を霧が捕え実体化。骨の手に余白を握る!
「ぬぉッ!」
黒竜はパージした頭部に光を収束。だが開いた下顎が睡の吹雪に襲われ凍結し、御業の拳がそれを砕く! 直後に骨の手はアイアンメイデンめいてトゲを出し、グレーのチャイナ服を引き裂き余白を投げ出した。同時に上空で実体化した別の手が爪撃でラハティエルを叩き落とす! 血を流して転がる二人に駆け寄るディクロが機械靴を起動。虹色の魔力を放つ頭上で、再び空を覆う霧から無傷の頭部が覗く。発光し始めるそれを見て、詩月は告げた。
「一旦退こう。これ以上はまずい」
「異論なし」
「……クソッ!」
うなずくディクロと毒づくカーネリアが倒れた二人に背負う横で、瓔珞は足元に銀球をばらまき、蹴り飛ばす! 指を弾いて全弾爆破すると同時に一同は一斉に身をひるがえした。紫の追い風を起こしてメノウが叫ぶ。
「とにかく城だ! 急いで戻ろう!」
「ままなんねーなー……ったく」
響く轟音と咆哮と風を背に、八人は一気に城まで駆けた。
作者:鹿崎シーカー |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2017年7月6日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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