角ミサイルの恐怖! ガチホモユニコーン、再び!

作者:雷紋寺音弥

●伝説の一角獣、再び!?
 人里離れた森の奥。草木も眠る丑三つ刻に、獣道を歩く人影が一つ。
「情報によれば、やつはきっと、ここにいるわ。今度こそ、間違いない……!」
 道の端に盛られた獣のフンの塊を懐中電灯で照らし、人影の正体であった女性が呟いた。
「男の子が大好きなユニコーン……。それも、角をミサイルにできる個体なんて、最高クラスにレアなUMAだわ。なんとしてでも、捕まえてやるんだから!」
 女性は小声で叫び、再び歩き出した。ちなみに、先程のフンはどう考えても鹿の落し物だったが、彼女は完全に自分の直感が正しいと信じているようだ。
 このまま行けば、きっとユニコーンを捕まえられる。そう、彼女が思った矢先、背中から巨大な鍵が、彼女の心臓を一突きに貫いた。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『興味』にとても興味があります」
 崩れ落ちる女性の後ろに立っていたのは、漆黒のローブを羽織ったドリームイーター。
 第五の魔女・アウゲイアス。『興味』の感情が欠落した存在が静かに笑えば、倒れた女性の傍らには、いつしか額からモザイク模様の角を生やした神々しい雰囲気の馬が佇んでいた。

●今度はミサイルだ!
「うぅ……霧鷹・ユーリ(鬼天竺鼠のウィッチドクター・e30284)さんの懸念していた悪夢が、現実のものになってしまったっす……。男の子が大好きなユニコーン……。ドリームイーターの力によって、やつがまた姿を現したっすよ……」
 その日、ケルベロス達の前に現れた黒瀬・ダンテ(オラトリオのヘリオライダー・en0004)は、完全に怯えた様子で自分の背後を気にしながら、自らの垣間見た予知について語り始めた。
 場所は奈良県の山林地帯。男の子好きなユニコーンが目撃されたという情報を得て、そこへ向かった未確認生物ハンターを自称する女性。彼女がドリームイーターに襲われて、『興味』を奪われてしまった結果、ユニコーンのドリームイーターが具現化されてしまったらしい。
「『興味』を奪ったドリームイーターは、既に姿を消しているっす。その代わりに、具現化させられたユニコーンのドリームイーターが、事件を起こそうっとしているっすよ……」
 伝説によれば、ユニコーンは清らかな乙女にしか心を許さない。しかし、具現化したドリームイーターは、何故か男の子が大好きで、狙いを定めた相手の尻を角で突いてくるという習性を持つ。
「これだけでも最悪の敵っすけど……今回のユニコーンは、以前よりも技が別の意味でパワーアップしてるっす」
 具体的には、モザイク状の角を伸ばすことではなく、飛ばすことに特化しているのだという。発射された角はしつこく相手の尻を追い掛ける他にも、刺さると身体が痺れたり、変な気分になって敵味方の判別がつかなくなってしまったりするらしい。
 また、当然のことながら、その狙いは非情なるスナイパーの如し。技は全て遠距離まで届くため、後衛にいても油断はできない。
「あ、ちなみに、女の子には興味がないどころか、目の仇にしているっす。自分の邪魔をしようとする女子には、もれなく角を飛ばして殺そうとしてくるっすよ」
 どうやら、なんだかんだで、今回も男女関係なく襲われるようだ。こんな危険な獣、このまま放置しておくわけにも行くまい。
「敵のドリームイーターは、人間を見つけると『自分が何者であるか』を問いかけて、それに正しく対応できなければ殺してしまうっす。自分のことを信じていたり、噂していたりする人が居ると、その人の方に引き寄せられる性質も持っているみたいっすね……」
 あまり気は進まないだろうが、この性質を利用して敵を誘き寄せるのも手だ。
 二度あることは三度あると言われるが、できれば三度目などあって欲しくない。最後に、それだけ言って、ダンテは改めてケルベロス達に依頼した。


参加者
四辻・樒(黒の背反・e03880)
月篠・灯音(犬好きの新妻・e04557)
分福・楽雲(笑うポンポコリン・e08036)
リリス・セイレーン(ちょっとこ鴨太郎・e16609)
キルティア・リーシュト(草の操者・e23570)
櫟・千梨(踊る狛鼠・e23597)
霧鷹・ユーリ(鬼天竺鼠のウィッチドクター・e30284)
真田・結城(白銀の狼・e36342)

■リプレイ

●伝説、再び
 鬱蒼とした森の中。微かに聞こえる風の音と、獣の鳴き声以外は聞こえない場所。
 情報にあった奈良県の山林地帯を歩くケルベロス達だったが、メンバーの半数、特に男性陣は足取りが重かった。
「ねぇ、知ってるのだ? 樒。この森にはこわーいこわぁぁぁぁい噂があるのだ。そう、すっごい美形のユニコーンさんが現れて、可愛い男の子たちを虜にしてしまうのだ……問答無用で! しかも、翌朝お尻がひりひりするらしいのだ!」
 そんな中、月篠・灯音(犬好きの新妻・e04557)は何かを煽るようにして語る。最後の方は少しばかり青ざめつつ、切迫した雰囲気も付け加え。
「ふむ、美形のユニコーンな。男の子を魅了するほど美しいなら、それは見てみたい気はする。しかし、尻がひりひりするのか……気を付けないとな」
 どこかずれた返事をしつつ、四辻・樒(黒の背反・e03880)が噂話に乗って言った。
 もっとも、仮に噂が本当ならば、真っ先に狙われるのは彼女達ではないだろう。現に、男性陣の中には明らかに背後を気にしつつ、怯えた様子を隠し切れない者もおり。
「噂っつーか、オイラ体験者その2って感じなんですけどね……。つーか噂の出所はどこなんだよ!」
 分福・楽雲(笑うポンポコリン・e08036)が思わず突っ込みを入れて叫んだ瞬間、近くの茂みが激しく揺れた。
「うっ……あ、あれは……」
 目の前に現れたのは、神々しいオーラを纏った一本角の馬。それを見た途端、恐ろしい既視感とトラウマに襲われ、楽雲が思わず言葉を切った。
「我、汝ラ二問ウ……。我ハ、何者カ? 汝ラノ思ウ真実ヲ答エヨ!」
 以前と同じく、威厳に満ち溢れた声で問い掛けて来るユニコーン。だが、ここで少しでも妙な事を口走ったが最後、敵を無駄に刺激して、自分の尻が危険に晒される。
「輝いていて、神々しい雰囲気のユニコーンさん!」
 殺る気満々で素振りをしていた霧鷹・ユーリ(鬼天竺鼠のウィッチドクター・e30284)が、満面の笑みと共に答えた。解答に満足してくれたのか、今のところユニコーンは何も仕掛けては来ない。
「お美しいユニコーン様。我々などが目にするには勿体無い存在です帰れ」
 ドサクサに紛れ、櫟・千梨(踊る狛鼠・e23597)が礼讃の中に罵倒を込めていたが、それはそれ。
「UMAだが馬だか知りませんが、とりあえずユニコーンって言えばいいのでしょうか?」
「ええ、それで間違いないでしょう。あれは……ユニコーンです」
 キルティア・リーシュト(草の操者・e23570)の言葉に、真田・結城(白銀の狼・e36342)が少しばかり含みを込めて答えた。その際、殆ど聞こえない程度の小声で、『ガチホモの』と付けるのも忘れずに。
「それにしても、僕の知っているユニコーンの知識では、ユニコーンはガチホモではなく処女を好んだ筈なんですが……ひょっとして、僕ちょっとピンチです? わぁお!」
 だが、そんな中、キルティアがどこかすっとぼけた口調で笑いながら、何気なく口にした時だった。
「貴様……処女ヲ好マヌ者ハ、一角獣ノ資格ガ無イト申スカ……。許セヌ!」
 途端にブチ切れ、全身から異様なオーラを発しながら、ユニコーンが蹄で大地をかく。
 ああ、これはどこかで見た光景。というか、やっぱりこうなってしまうのかと、楽雲は思わず尻に力を込め。
「うーん……。世の中は広いというべきか、なんというべきか……」
 早くもドン引きしているリリス・セイレーン(ちょっとこ鴨太郎・e16609)だったが、そんな彼女の気持ちなど関係なく、ユニコーンはケルベロス達目掛け、額の角をミサイルの如く飛ばして来た。

●うましか対決?
 激昂したユニコーンの額より、発射されたモザイクの角。百発百中の狙いを誇る角ミサイルは、真っ直ぐにキルティアの尻を狙っていた。
「うわわ! もしかして、僕を狙ってる!?」
 思わず尻を押さえて逃げ回るキルティアだったが、しかしミサイルホーンはしつこくキルティアの尻を狙って追い掛けて来る。コンピュータ搭載の誘導弾顔負けの追尾性能に、思わずキルティアが覚悟を決め、頭を抱えてしゃがみ込んだ時だった。
「はっは! ツノが飛んだらただの馬だ……って、ぐぁぁぁぁっ!?」
 運悪く、しゃがみ込んだキルティアの前に立っていたのは、調子に乗って敵を挑発していた楽雲だった。哀れ、キルティアの頭の上を掠めたミサイルホーンは目標を逸れ、代わりに楽雲の尻へとクリティカルヒット!
「あ……ぁぁぁ……し、尻が……」
 身体をくの字に曲げて、楽雲は尻を押さえたまま悶絶している。ホラー映画の続編等に前作の生き残りが出た場合、意外とあっさり死んでしまうことがある。そんなお約束を、ノンフィクションで体現することになってしまった。
「うわっ! 凄く痛そうなのだ……。早く手当てしないと、大変なのだ!」
「ん、守るのは大事だな。灯、そちらは頼む」
 長剣を掲げて星辰の加護を広げる樒の言葉に、灯音は無言で頷いた。そのまま手にした杖を振り被り、斜め45度の角度から楽雲の尻をぶっ叩く!
「いってぇぇぇぇっ!!」
 ショック療法を伴う強引な応急手当で、なんとか楽雲の尻に刺さった角を引っこ抜いた。だが、身体の傷は癒されても、心の傷までは完璧に癒すことは無理だった。
「うぅぅ……ふざけやがってぇっ! こうなりゃ、攻撃も回避も難しくしてやる!」
 片手で尻を押さえながら、楽雲が高々と大地を蹴る。地面を離れた瞬間、衝撃で尻に鈍痛が走った気がしたが、もはやそんなことを気にしている場合でもない。
「くらぇぇぇぇっ!」
 先程の返礼とばかりに、ユニコーンの顔面に流星の如き蹴りをお見舞いする。その一撃に敵の足が止まったところで、他の仲間達も一斉に仕掛けた。
「ユニコーン様お許し下さい若しくは帰れ」
 少しでもミサイルの命中精度を下げようと、指輪から光剣を抜き放って斬り掛かる千梨。まあ、気持ちは解らないでもない。あんな角の一撃を食らったら最後、尻だけでなく心まで抉られそうな気がする。
「とにかく、いまは足を止めます!」
「そうね……。できれば、そのまま石にでもなってくれた方が助かるんだけど……」
 ユーリのアームドフォートが火を噴くのに合わせ、リリスもまた古代語呪文を詠唱して光線を放つが、その瞳は恐ろしく冷めきっていた。
 ああ、自分は深夜の山奥にて、いったい何をやっているのか。できることなら、一刻も早く帰りたい。というか、巻き添えを食らって自分の尻にも角が刺さるのではないかと、正直なところ、気が気でない。
「足を止める、か……。確かに、それが一番早いかもしれない」
 爆風が晴れると同時に、結城は日本刀を引き抜いて、ユニコーンの身体を抉るように斬り付ける。その一撃にユニコーンが少しだけ怯んだ様子を見せたところで、キルティアが改めて堂々の宣戦布告!
「僕の目的と言えばですね、角を持つ動物として、どっちの角が勝つか一度は勝負してみたかったんです」
 そういうわけで、勝負だ馬……ではなく、UMA。ちなみに、そんな彼は鹿のウェアライダー。馬VS鹿で何と読むかは、この際スルーしておくことにして。
「てぇぇぇいっ!」
 脚力に自信があるのは、こちらも同じ。キルティアの蹴りがユニコーンの後ろ脚を捉え、何かの砕けるような音がした。だが、どう考えても骨が折れているとしか思えない一撃を受けながら、それでもユニコーンは立っていた。
「オノレ……鹿如キガ、崇高ナル神獣ニ盾突クトハ……許スマジ!」
 蹄で大地を引っ掻きながら、ユニコーンは再びケルベロス達に角を向けて来る。回転し、射出されるモザイクの角。それは空高く打ち上げられると、U字の軌道を描き、真っ直ぐにキルティアの尻を狙って来た……の、だが。
「退いて、退いて~! ぶつかっちゃうよ~!!」
「えっ!? ちょっ……ぎゃぁぁぁっ!?」
 逃げ回るキルティアを狙っていた角が逸れて、何の因果か再び楽雲の尻に突き刺さる。深夜の森に、激痛に悶え苦しむ青年の、哀れな悲鳴が響き渡った。

●催眠パニック!
 角ミサイルを武器とする、恐るべきガチホモユニコーン。後衛にいても決して油断できない戦いに、森には緊迫した空気が漂っていた。
「森の中の明りと、神秘的なユニコーン。灯と一緒に見る光景としては綺麗だが……ユニコーンの中身があれではな」
 雷の霊力を帯びた長剣で突きを繰り出しつつ、樒がユニコーンの角と斬り結びながらぼやいた。
 今のところ、自分が狙われている様子はないが、しかしこのままでは男性陣が尻と心に深刻なダメージを追うことになる。早々に敵を始末しなければ、そろそろ主に楽雲の尻が危ない。
「ふぉぉぉ! 角からお尻をまもるのだー!」
 こうなれば、奥の手を使うしかないと、灯音が自ら手乗りサイズに分裂し、味方の盾となる陣形を組んで踊り出した。
「手乗り月ちゃん大分身なのだ! 皆の者、配置につくのだー!」
 指揮官……というか、本体であろう101人目の灯音が樒の頭に乗って、残る分身達に指示を出す。だが、無数の灯音に邪魔をされる形になっても、ユニコーンは何ら動ずることなしに、頭の角を発射して来た。
「愚カナ……。其ノ様ナ児戯デ、我ガ聖ナル角ガ受ケ止メラレルト思ッタカ?」
 どちらかというと、性なる角と呼べそうな攻撃を繰り出しつつ、ドヤ顔で告げるユニコーン。すかさず、灯音の分身達が人間櫓を組んで盾になったが、それでも完全に勢いを殺すことはできず。
「マスターのお尻だけは死守しますよ!」
 千梨が狙われていることを悟り、キルティアが自らの身を顧みず飛び出した。瞬間、彼の尻をユニコーンの角が貫いて、キルティアはその場に倒れ伏したのだが。
「ああ、なんてことだ。まさか、お前が先にやられてしま……って、どうしたキルティア?」
「えへへぇ……ま・す・た・ぁ♪」
 恍惚とした表情を浮かべつつ、頭の角を振りかざして、キルティアは何故か千梨の方へと向かって行く。そのまま彼を近くの茂みに押し倒すと、自らの角を武器として、魔を食らう一撃を千梨の尻にお見舞いした。
「ふわぁ……。さっすがますたぁ! お、い、し、い、です♪」
「鹿角か……。ああ、立派だな……。というか、何故、俺を狙う……」
 突き刺した角から千梨の魂を吸収し、キルティアは指を咥えて満足顔だ。しかし、対する千梨は、こちらは完全に心を破壊されており、顔面を両手で隠して戦闘どころではなくなっていた。
「じょ、冗談じゃねぇ……。このまま、仲間にまで尻を狙われてたまるか!」
 震える腰を叱咤しながら、楽雲は手にしたエクスカリバールで、思い切り敵の尻をブッ叩いた。先程から、味方の盾になり過ぎて足腰が限界に近かったが、そんなことは言っていられなかった。
「こうなったら、一か八かです! 3秒殺し! 死ねェェェっ☆」
 ジェット噴射の勢いで突撃し、ユーリは敵の尻にパイルバンカーの先を突き立てる。大型の杭打機から射出される金属製の杭。それが尻に突き刺さった瞬間、ユニコーンは今までの神々しさがブチ壊しにされるような、なんとも艶めかしい悲鳴を上げて飛び上がった。
「オッフォォォォッ!!」
「まだまだ! ここが! ここが良いんですね!」
 調子に乗って、もう一撃。再び杭を叩き込んだところで、ユーリは今度こそ確信した。
「このユニコーンさんにも効果的です!」
 どうやら、今回の敵も自分の尻を狙われるのは慣れていなかったようである。ならば、やることは一つしかないと、他の者達も頷き一斉攻撃!
「そこが弱点なのかしら? とにかく、早く倒さないと」
 加速したリリスのハンマーが、敵の尻に更なる追い打ちをお見舞いする。再び、奇声を発してユニコーンが跳び上がれば、そこには刀の柄に手を掛けた結城が待ち構えており。
「これで終わりだ」
 抜き放った白銀の刃が一閃、ガチホモのユニコーンを斬り捨てる。最期は尻から真っ二つにされ、恐るべきドリームイーターは、深夜の山林に霧となって散った。

●もう勘弁してください!
 戦いが終わった森の中。執拗に尻を狙われた男性陣達に、リリスは心配そうな視線を向けつつも、可能な限りのヒールを施していた。
「これで大丈夫だと思うけれど……。えっと、元気だしてね?」
 もっとも、対する男性陣達からの返答はない。特に、仲間からも狙われた千梨に至っては、完全に心神喪失の一歩手前に陥っている。
「後は、心の傷が一刻も早く癒えるのを祈るしかありませんね」
 同じく、ヒールを終えた結城が言ったが、そう簡単に傷が癒えれば苦労はしない。下手をすればこれから先、馬を見る度に今日のことを思い出し、尻が疼き兼ねないのだから。
「中々手強い相手でしたね! 嫌なことは忘れてさっさと帰りましょう。ね、マスター!」
「ああ、そうだ、な……」
 都合の悪いことは忘れて笑っているキルティアとは反対に、千梨は力無く頷くだけ。その瞳は完全に死んでおり、もはや世の中の全てが信じられなくなったような顔になっていた。
「しっきみーーーっ! 帰るのだー」
「ん、終わったか。それでは帰るとしよう。今晩は何が食べたい?」
 一方、そんな千梨とは正反対に、樒も灯音も既に夕食のことで頭がいっぱい。飛び付いてきた灯音の頭を軽く撫でつつ、樒は優しく微笑んでいる。
 戦いは終わった。だが、このまま黙って帰ってしまえば、新たなガチホモユニコーンが出現するのは時間の問題だった。
「えっと……もう、こんな珍獣、探すのやめませんか? このままだと、被害が拡大の一途なんですよぅ……」
「なんだったら、いっそのこと珍獣じゃなくて美獣を探してみないかい? たとえば、俺みたいなさ」
 意識を取り戻した珍獣ハンターの女性を介抱しつつ、ユーリと楽雲がそれぞれ告げる。それでも、女性はどこか不満そうな顔をしていたが、直ぐに気を取り直して立ち上がった。
「う~ん……まあ、そういうことなら仕方ないかな。それに、珍獣の目撃情報は、ユニコーンだけじゃなくて、他にもまだまだあるし♪」
 例えば、アメリカで目撃されたこともあるという、ジャッカロープと呼ばれる角の生えたウサギなど。他にも、まだまだ探していないUMAはたくさんいると、女性は笑いながらケルベロス達に言った。
「えぇと……できれば、角の生えたのは、もう探さない方がいい気がするんですよぅ……」
「それに、ウサギって、確か一年中発情期だった気が……。頼むから、勘弁してくれよ……」
 思わず青くなるユーリと楽雲。大元のドリームイーターを倒さない限り、しばらくは身を削るモグラ叩きが続くことになるのかもしれない。

作者:雷紋寺音弥 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年6月30日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 1/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 6
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