「いーち、にー、さーん」
お風呂で少年が数を数える。
「ひゃーく、よし、あったま洗おー」
風呂から上がりシャワーを浴びて、少年はわしゃわしゃと頭を洗い始める。
「ふん~ふんっふ~」
お気に入りのアニメ主題歌を鼻歌で歌いながら少年は泡だらけの頭にシャワーを掛ける。
「あれ?」
そして閉じていた目を開くと、排水溝に拳大の黒い塊が見えた。
「なんだろこれ?」
近づいて覗いてみると、それは髪の毛の塊だった。
「か、髪のかたまり?」
少年はふと壁にある鏡を見る。
「うわーーーーーっ髪が!!」
そこに映ったのはバッサリと頭頂部の髪が抜け落ちた見るも無残な姿だった。
「これじゃあカッパみたいじゃん! 学校いけないよ!!」
そして頭を触るたびにするすると髪が抜け落ちていく。
「やめてーーー!?」
ガバッと寝汗を掻いた少年が上体を起こす。そこは真っ暗なベッドの上だった。
「かみ! 髪は……ある」
少年は頭に手をやって髪の毛が抜けていないか確認する。
「はぁっ……夢だったか。良かった~カッパになるところだった……ハゲないよね?」
深く息を吐いて少年は肩の力を抜き、頭がピカピカのお爺ちゃんの事を思い出す。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『驚き』はとても新鮮で楽しかったわ」
いつの間にそこに居たのか、部屋に現れた魔女が鍵を少年の胸に突き刺す。少年は意識を失いベッドに倒れ、そして幻であったように魔女の姿も消える。
『髪……モット髪ヲ……』
そこへ現れたのは1mほどある巨大な髪の毛が集合して出来たような生き物。一本一本の髪が太く長く蛇のように蠢き、窓から外へと出るとするすると外壁を伝い夜の暗闇へ消えた。
「新たなドリームイーターの事件発生なのです!」
元気に香祭・悠花(ジュエルコンダクター・e01845)がケルベロス達を出迎えた。
「第三の魔女・ケリュネイアが少年から奪った『驚き』から新たなドリームイーターを生み出したようです」
説明は自分からとセリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)が話し始める。
「ドリームイーターは人々を襲ってグラビティ・チェインを奪おうとします。皆さんには現場に赴きそれを阻止してほしいのです」
ドリームイーターを倒せば眠りに就いた少年も目覚める。
「現れるドリームイーターは髪の毛が集まった不気味な姿をしています。相手に絡みついて締め上げたりといった攻撃手段を持ち、こちらの攻撃に対しては軟体動物のように力を受け流すようです」
髪の毛の集合体なので、トリッキーな動きをしてくるようだ。
「敵が現れた場所は東京の住宅地で、通りがかった人、それも男性を優先して襲おうとしているようです」
襲われた男性は髪を円形に抜き取られ、驚いたところを殺されてしまう。
「そこで驚かなかった者が居た場合、執拗に狙う特性があるようです」
驚きから生まれた性質がそういった行動をとらせるようだ。
「男性でも髪の毛が抜け落ちたら恐ろしい悪夢でしょう。現実に髪を刈り取るなんて蛮行です。このドリームイーターが騒ぎを起こす前に退治してください」
よろしくお願いしますとセリカが一礼して出発の準備にヘリオンへと向かう。
「髪は女の命なのです! 男は……たぶん男性も髪が大事なのです! 髪が奪われる前にがんばって退治するのですよ!」
悠花が気合を入れて拳を上げると、ケルベロス達もそれに合わせて髪を守ってみせると拳を上げた。
参加者 | |
---|---|
赤堀・いちご(ないしょのお嬢様・e00103) |
源・那岐(疾風の舞剣士・e01215) |
香祭・悠花(ジュエルコンダクター・e01845) |
ミスティアン・マクローリン(レプリカントの鎧装騎兵・e05683) |
円谷・円(デッドリバイバル・e07301) |
ガラム・マサラ(弱虫くノ一・e08803) |
マロン・ビネガー(六花流転・e17169) |
十六夜・刃鉄(一匹竜・e33149) |
●脱毛の悪夢
静まり返った夜道を足音を鳴らしながらケルベロス達がゆく。
「髪の毛を狙ってくるなんて恐ろしいです」
髪が奪われた姿を想像して赤堀・いちご(ないしょのお嬢様・e00103)が震える。
「私は芸能人なので、勝手に髪型変えたりするわけにはいきませんし、万が一にも狙われないようにしなくては。男性を優先的に……ですか……」
指で髪を弄り決して近づかないようにしようと心に決める。
「髪を狙うなんてとんでもない敵ね」
被害が出る前にどうにかしようとミスティアン・マクローリン(レプリカントの鎧装騎兵・e05683)は足早にマンションへ向かう。
「念のため人払いもしとくかな」
十六夜・刃鉄(一匹竜・e33149)は目的地に向かう途中で見かけた人に、近づかぬようにと声をかけて注意を促した。
「髪の毛を奪う怪物……許せないのです! 絶対にここで退治するのです」
ふんっと可愛らしく気合を入れて、香祭・悠花(ジュエルコンダクター・e01845)が敵を探してキョロキョロと周囲を探る。
「翼を毟られるのと毛髪が抜かれるのでは、どちらが心理的に辛いでしょうか……」
マロン・ビネガー(六花流転・e17169)がその両方を想像しゾッとした表情を見せ、どちらも嫌だと頭を振って想像を打ち消した。
「髪の毛を狙う怪物ですか……。私も髪伸ばすの苦労しましたし、自慢の髪なので、抜かれるのは断固拒否です」
源・那岐(疾風の舞剣士・e01215)は絶対に髪を奪われるのを阻止して見せると意気込み、マンション周辺への道路を立入禁止テープで一時的に塞ぐ。
「人は何故毛の有無に拘るのか。難しい問題なの。どうせなら髪じゃなくてムダ毛が抜けて欲しい~」
女の子は色々とお手入れが大変なのだと、円谷・円(デッドリバイバル・e07301)は呟きながらテープを張るのを手伝う。
「また髪の話をしている……とあるえらい人がよく口にする言葉です」
皆の髪の話しを聞きながら、ガラム・マサラ(弱虫くノ一・e08803)はそんな言葉を思い出す。
「男性にとって髪が抜けるというのは非常に悩ましい問題なのでしょう。特に気にしている人にとっては!!! 某・上様の為にも、なんとしてもこのドリームイーターは倒しましょう」
真剣な口調を作ってマサラは暗がりに足を踏み入れた。その時、足裏から柔らかな感触が伝わる。影の中に目を凝らせば、そこには巨大なうねうねとした怪しげな髪の集合体が絨毯のように広がっていた。
●髪の怪物
『髪……髪ヲ……』
地面から声がするとビクッと反射的に飛び退き、ケルベロス達は戦闘態勢に入る。すると髪が集まりふわりと目線まで浮かぶ。
「うわっ、何これ!?」
その不気味さに円は大仰に驚き、霧を発生させて仲間の足裏に絡みついた毛を浄化する。ウイングキャットの蓬莱は掛かってこいととばかりに堂々と前に出て胸を張った。
「なんかすげーえげつねえな! こんな奴に襲われてハゲになるとか冗談じゃねーぞ!?」
本気で驚きそうになるのを堪えた刃鉄の顔、ではなく、その上の毛髪をじーっと見つめるような視線を感じる。
『髪……男毛』
そして怪毛が蛇のように毛を向けて迫るのに合わせ、刃鉄は手にしたスイッチを押しカラフルな爆発を起こして目晦ましにすると地面に身を投げ出して回避した。
「アリカさん、よろしくお願いします」
いちごが呼びかけると、任せろとばかりに前に出たボクスドラゴンのアリカがブレスを吐きつける。それに合わせていちごも黒い液体を槍のように伸ばして敵を貫いた。怪毛がその槍を取り込み引っ張り込もうとすると、いちごはすぐに液体を切り離す。
「コセイも一緒にがんばりましょう!」
悠花は手にしたギターを掻き鳴らし、力強いメロディで敵を圧迫し動きを鈍らせると、オルトロスのコセイが銜えた刀で毛を切り裂く。
「なんか浮かんでますね。まあ、大きい塊ですね」
敵の狙いに入らないよう那岐はさりげなく離れ、そして左右に銀色のライフルと黒褐色のガトリングを持ち、撃ちまくって弾幕を張って敵を釘付けにする。
「髪は長い友達、じゃない、女の命! そして男にとっても! それを台無しにするのは許せない!」
ビシッと敵を指さしたミスティアンは、胸部を変形展開し光線を放って敵を撃ち抜く。
『髪……』
攻撃を受けた怪毛が枝毛になった部分を切り離し、捕まえようとふわりと飛んでくる。
「マンダーもオスなんですけど狙われるんでしょうかね?」
ガラムが隣を見ると、ボクスドラゴンのマンダーが首を傾げた。
「いけ! がんばれマンダー! 毛が抜けてもあなたはあなたですよ!」
そんな適当な応援をしつつ、囮となったマンダーがちょろちょろと敵の目先で動いて捕まり吹っ飛ばされている間に、世界のカレー力を集約したスパイスを振り撒くと爆発が起こった。敵の毛がパーマをかけたようにチリチリになって動きが鈍る。
「世間には脱毛クリームやサロン等も有るですが、抜くのと抜かれるのとは大違いなのです!」
そこへ憤ったマロンがロッドを振るうと魔弾が放たれ、敵の体を凍結して落下させた。
「うねうねしていて気持ち悪いのです……!」
ジャラリと鎖が四方に伸び、悠花は腕を振るうと一斉に鎖が敵に殺到し凍った全身を貫く。そして傷口から毒が侵食していく。
『髪ヲ……』
ずりずりと地面を這うように怪毛が足元に迫る。
「こ、こわいです……!」
執拗に頭を狙う敵に恐怖心を覚えながら、いちごは黒い液体を敵の下に広げ全身を呑み込んで拘束する。
「無理やり禿げは勘弁です!!」
那岐は弾丸に炎を纏わせて次々と撃ち込み髪に火を点けると、敵は暴れて火をもみ消す。
「相手がどうあれ、私は叩きのめすのみよ」
そこへローラーダッシュで接近したミスティアンは、炎を発す足で敵をサッカーボールのように蹴り飛ばした。
『髪ヲ、寄越セ……!』
吹っ飛んだ怪毛は電柱に毛を伸ばして絡みつかせ、そこでぐるりと反転して勢いよく頭に向かって突っ込んで来る。それを刃鉄は腕で受け止めた。すると吸盤のように髪が腕に絡みつき、蛇のように頭に近づいてくる。
「こいつはヤバイ、さっさと片付けちまおうぜっ」
こんなヤバイ奴の相手を長々とするのは堪らないと、刃鉄は手の爪を刃物のようにして敵に5本の爪痕を残し引き千切って投げ捨てる。剥がれた腕には真っ赤な丸い痣が幾つも出来ていた。
「それで引っこ抜くんだ……髪の毛を抜かれないよう気を付けるんだよ!」
注意を呼び掛けつつ、円が霧で仲間を包み込み傷を癒す。
「ザックザクに斬り刻んであげるのです!」
駆けながらマロンは小型の刀を抜くと、すれ違いざまに髪を切り捨て、更にぐるっと周囲を回って斬りつけた。
「チリチリになったら、次はひんやりさせちゃいます!」
ガラムが螺旋の渦に乗せて吹雪を起こし敵をカチンコチンの凍りづけにした。
『髪、薄ク……ヤガテ禿ゲル……』
まるで踊るようにクネクネと怪毛が蠢くと、それを直視てしまったいちごの脳裏に自らの髪が抜け落ちる悪夢が過ぎる。貧血を起こしたようにいちごがよろめき、それを大丈夫かと刃鉄が支える。
「みんなの大切な髪を守るんだよ!」
任せてと円は霧を展開し、その幻を打ち消して心を癒す。
「はぁ、はぁ……髪の毛は大切なものなんです! 芸能人ともなれば商売道具の一つなんですよ!」
深呼吸で心を落ち着かせたいちごは黒い魔力弾を投げつけ、お返しに敵に己の毛が抜ける幻を見せると、敵の髪が逆立った。
「髪の毛を失う気持ちを味合わせてあげるのです!」
更に悠花がギターを爪弾き逡巡していまうような曲を響かせると、敵は心を惑わせて毛が抜けていく。
『髪、抜ク、スキンヘッドナラ、怖クナイ……!』
傷んだ部分を切り捨て随分と髪が少なくなった怪毛は、身軽に塀を登り頭上から襲い掛かって来る。
「ハゲはハゲだろうが、疾きこと風の如しってな!」
近づく前に、離れた間合いから刃鉄が腕を振るうと、風が刃となって敵を切り裂いた。
「こっちに来るってことは、やられたいってことね!」
勢いが弱まったところへ、ミスティアンは向かって来る敵に胸部から光線を放ち、勢いを完全に殺して吹っ飛ばした。
「見栄えがよくありませんね……かわいい花で飾ってみるのです!」
そこへマロンが色とりどりの花を召喚し、敵に纏わりつかせて神経を狂わせていく。
『髪……男ノ髪ヲ……』
ふらふらしながらも、怪毛は刃鉄に向かってずりずりと前進してくる。
「刃鉄さんが酷い有様になる前に倒します!」
ライフルを向けた那岐が光弾を撃ち込むと、グラビティが中和し敵の動きが緩慢になる。
「長くて鬱陶しい髪をカットしてやりますよ!」
ガラムが忍者刀を縦横無尽に振るい、傷んだ髪を虎刈りに斬り落とした。
●それは恐ろしい未来
『髪ガ、薄クナル……恐ロシイ……恐ロシイ……』
怪毛がわしゃわしゃ動くと液体が染み出てどんどんと髪が伸び、傷んだ髪がすべすべとなりキューティクルを輝かせる。
「抜け毛はゴミ箱にポイ! ですっ」
マロンは敵の生え変わったばかりの髪を掴み足で押しながら引っこ抜いた。ブチブチと不吉な音を立てながら蛇のような髪が抜け落ちる。
『髪ーーーーー!』
暴れる怪毛がブンブン髪を鞭のように振り回してマロンを薙ぎ倒し、覆いかぶさってくる。そこへアリカが割り込むと、身代わりに円形に毛が抜け落ちる。
その様子に顔を青くして逃れようとしたいちごは、慌てて悠花にぶつかってしまう。
「す、すみません」
「大丈夫なのです」
ペコペコと謝ったいちごは、黒い液体の壁を作って敵の動きを抑制する。
「逆に髪の毛が減る気分を味わうのです!」
悠花の伸ばした鎖が四方から敵を貫き宙に磔にすると、コセイは青い炎で髪を燃やして怯ませる。
「男性の方も髪の毛大切ですよね……ちなみに女性でも禿げは出来るそうです!」
そんな蘊蓄を口にしながらも、那岐は左右の銃から影の弾丸を放ち、敵の髪を侵食し枯れさせていく。
『髪ォーーー!』
それでも怪毛は怯まずに髪を使って飛び掛かる。
「何があっても仲間を傷つけさせたりしない!」
ミスティアンは大きな手裏剣を投げつけて敵を打ち抜き、そのまま回転して飛んで壁に串刺しにした。
「トラウマで自滅しちゃえーっ」
その隙に円が黒い魔弾を投げ、髪に襲われる幻影を敵に見せる。すると髪が逆立ち暴れ回る。その先にはいちごの姿があった。
「そいつは違うだろ!
カラフルな爆発で煙幕を張った刃鉄が割り込み、敵の攻撃を受け止める。すると頭に覆いかぶされた。
「可愛いモフモフを守らなくてはいけません! モフモフ守るべし! ツルツルなら問題なし! よってマンダーGO!」
そこへガラムがマンダーを飛び込ませると、ぽいっと怪毛が毛の無いものは要らないとばかりにマンダーを放り捨てた。その隙を突いてガラムがチェーンソー剣で毛を刈り取り頭から引っぺがした。
『アアアアアッ髪ー! 髪髪髪!』
まるで突然禿げて絶叫する人のように悲鳴を発した怪毛が襲い掛かる。
「髪を刈るなんて、そんな恐ろしい被害者を作らせません!」
手に光の剣を生み出したいちごは、一気に駆け出して上段から敵を斬り裂いた。
「自分の髪を失って、髪の大切さを知るべきです!」
続いて那岐が軽やかに舞うと、空色の風が吹き抜け、その風に乗るように舞い飛びながら四方八方から銃弾を敵に浴びせた。
『寄越セッ髪ヲ……寄越セ!』
幾ら傷を負っても怪毛は諦めず刃鉄の足に絡みつき、全身を縛りながら頭へ向かって這い上っていく。
「させないよ! 星よ、切り裂け! スターショット!」
ミスティアンが五芒星の形をした大きな手裏剣を投げると、キラキラ輝く星が敵に向かって真っ直ぐ飛び縛る髪を何本も斬り裂いて拘束を緩めた。
「親父はハゲてなかったけど爺はハゲてたな……」
そんな事を思い出し冷や汗を掻いた刃鉄は頭を振って意識を切り替える。
「絶対にハゲたりなんかしない!」
八つ当たりするように、敵にむかって両手の刃物の如き爪を振るいバラバラにしていく。
『髪ガ、禿ゲニ人権ハナイ……』
またもや液体が噴き出し髪が伸び始める。
「他人の毛を抜いておいて自分は育毛……そうは問屋? が下ろさないです!」
刀を手に飛び掛かったマロンが生えるそばから毛を切断していく。
「モフモフの為に消えてもらいますよ!」
跳躍し頭上を取ったガラムが忍者刀を振り下ろし、大きく髪を断ち切った。
『髪ィィッ』
弱々しくもまだ敵は諦めない。
「髪は女の命! 絶対に奪わせたりしないの!」
円の背後に月が写しだされ、試験瓶を投げると割れた中の薬が散布して敵の周囲を濡らす。すると毛がすべすべして地面を滑って動けなくなった。
「魔石の力よ顕現せよ。光の剣もて、我が道を切り開かん!」
悠花が魔石の力から六振りの光輝く剣を生み出した。
「これで成敗なのです!」
指揮者のように腕を振るうと舞うように剣が飛翔し敵を幾重にも斬り刻む。
『オ前達ノ、夢デモ、カ、ミ……ヲ』
最後まで髪に拘りながら、怪毛は消え去った。
●目覚め
「怖い髪の毛お化けは退治したよ、もう大丈夫だからね」
「えっと、ありがとう!」
そう告げて那岐は目覚めた少年を安心させ、マンションを後にして仲間と合流する。
「何か男の髪に恨みでもあったのかな?」
執拗に男性を狙う行動原理に怨念めいたものを感じ、ミスティアンは仲間が無事で良かったと肩の力を抜く。
「同じ毛でも、ムダ毛の処理なら喜ばれたかもですが……」
そんな便利なドリームイーターなら人気が出ただろうとマロンが妄想する。
「アリカさんありがとう、助かりました」
ほっと息を吐いたいちごはアリカを抱き上げてヒールを掛け、抜けた毛を少し生えさせて優しく撫でた。
「コセイも無事で良かったのですよ!」
悠花がコセイを抱き上げて撫でると、気持ち良さそうにコセイは目を細めた。
「ふう、怖い相手でした」
それを眺め、いい仕事をしたとガラムは満足そうに汗を拭う。その隣でちょっとは自分も褒めろとマンダーが尻尾でペシペシと足を叩いていた。
「髪の毛が残ってたらホラーだから、しっかりお掃除しないとだね」
周辺をヒールしながら円が干からびた髪を見つけると消滅させて綺麗に掃除する。蓬莱をそれを手伝うように翼を羽ばたかせて涼やかな風を起こた。
「10円ハゲとかないか出来てねえだろうな……」
念の為にと刃鉄が自らの頭をべたべた触って確認し、仲間にも確認してもらって大丈夫という言葉を得るとようやく安堵の息を吐く。
「この年で禿げハゲたくはねえからな」
ぼさぼさ頭を掻きながら絶対に禿げそうにないコセイを羨ましそうに見るのだった。
綺麗に現場を片付けると、ケルベロス達は恐ろしい敵であったと現場を去る、決して今日の夢に現れませんようにと願いながら。
作者:天木一 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2017年7月2日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 7/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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