「さーて、うまく写真がとれたらいいんだけど……」
と言いながらきょろきょろしているのは、一眼レフを首から下げ、片手にライトを持った少女。年は17、8といった所だろうか。
住宅地からはかなり離れた山のふもと。一軒、家がぽつりと立っているが空き家のようだ。
「あ、ここ! あのアンダーグラウンドの王者が死ぬ時まで住んでたっていわれてる家!」
少女はまず、家の外観を撮影し始め、
「密かに行われていた地下格闘技大会……試合は相手を殺すまで続き、沢山の招待者が観覧に訪れて……って何かアニメか漫画みたいだけど」
カメラを1度おろし、少女は家へさらに近づこうとする。
「そこでずっと無敗だった拳法家……がひっそりと生涯を終えた後も、夜な夜な対戦相手を求めて現れる、なんて噂をきいちゃったら、格闘技ファンのはしくれとしては姿を拝まないわけにはいかないわよね!」
と意気込んだ瞬間、少女はぱったりとその場に倒れた。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『興味』にとても興味があります」
鍵を手にした第五の魔女・アウゲイアスが言う。
そしてその隣には上半身は裸、下半身だけに武術着を身に着けた――細身ながら見事な筋肉を晒し、剃り上げた頭からは長い弁髪を垂らした男が立っていた。
「この怪物、対戦相手を求めているという事は、出会った人は殺してしまうのだろう?」
アンゼリカ・アーベントロート(黄金騎使・e09974)が言う。
「その通りです」
セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)は頷き、
「『興味』を奪ったドリームイーターは既に姿を消しているようですが、奪われた『興味』を元にして現実化したドリームイーターが事件を起こそうとしています」
「わかった。被害がでる前に迅速に現場へ向かおう。ドリームイーターを倒せば『興味』を奪われた被害者も、目を覚ますはずだしな」
敵のドリームイーターは1体。戦闘時にはキャスターポジションで、魔人降臨、旋刃脚、気咬弾、ハウリングフィスト、指天殺相当のグラビティを使用する。人を見つけると『自分が何者であるか』を問い、正しく対応できなければ殺してしまう一方、正しく対応できれば見逃す事もあるようだが、
「ケルベロスの戦闘には影響はないだろう」
またこのドリームイーターは、自分の事を信じていたり噂していたりする人がいると引き寄せられる性質がある。うまく誘き出せば有利に戦う事も可能だ。
「なかなか手強い相手の様だ。数の分はあるが、気を引き締めてかかるとしようか」
アンゼリカの大きな瞳がより一層の光を帯びる。セリカは、よろしくお願いしますと頭を下げた。
参加者 | |
---|---|
ディディエ・ジケル(緋の誓約・e00121) |
テルル・ライト(クォーツシリーズ・e00524) |
カリーナ・ストレリツォーヴァ(デスパレートデスパレード・e00642) |
市松・重臣(爺児・e03058) |
龍神・機竜(その運命に涙する・e04677) |
アンゼリカ・アーベントロート(黄金騎使・e09974) |
黒木・市邨(蔓に歯車・e13181) |
東・天紅(くすんだ人形・e18896) |
●
「この辺りで良いだろうか?」
掲げて見せたランプに灯る天光色の炎が、同じ色の瞳をさらに深く輝かせ、首元のペンダントに描かれた寄り添い合う二本のバラをも映し出した。黄金色の月の様なオラトリオの側には灰色の波打つ髪を片側の瞳を隠しながら流す少女が添う。
「はい」
アンゼリカ・アーベントロート(黄金騎使・e09974)の問いに、小さな丸眼鏡をかけの向こう、緑の瞳を片方閉じたテルル・ライト(クォーツシリーズ・e00524)が答える。
「ここなら被害者にも影響なく、足場も十分と思われます」
テルルは掌の上にビューを映し出し、アンゼリカと東・天紅(くすんだ人形・e18896)に見せた。頷き、アンゼリカはランプを腰へ装着、テルルは目を開き画像を閉じると、テレビウムの先生を抱き上げる。丸眼鏡も色合いもよく似た二人。それはテルルにとって先生が大事な存在である証なのかもしれない。
「それにしても地下格闘技大会……眉唾な気がするんですが、本当にあるんでしょうか?」
テルルが言うと、先生も首を傾げた。
「……何とも物騒な逸話だな」
高い身の丈から落ち地を這うように低く、闇を妨げぬ静かな声は気怠げに。クロサギの翼は灯りあって尚夜に馴染み、後ろ髪を留める様に白八重梔子顕す和装のオラトリオ、ディディエ・ジケル(緋の誓約・e00121)。色黒の肌に赤い瞳。滅多に揺るがない表情と日本画のような烟る眉は強い印象を残す。
「俺は拳法家じゃねえからよく分からないが、相当強いんだろうな」
名前の通りドラゴンを模したシルバーの機体のライドキャリバー、バトルドラゴンを傍らに、龍神・機竜(その運命に涙する・e04677)。『終末』の意味を持つ外骨格は彼自身も仲間をも護る。
「筋金入りじゃな。実に解り易くて好い!」
張り出した竜の角も緋色の翼も勇壮ながら、隠居と称し自宅警備員満喫中。とは思えない活き活きとした返答は市松・重臣(爺児・e03058)。
「正しく夢の様な物語には、幾つになっても心躍るというもの。儂も昔は色々と無茶を……したかはさて置き、力比べは望む所」
「強敵は俺も歓迎だぜ」
ハスキーな声を奏でる唇に、咥えた葉巻はライトなドライシガー、フレーバーはスパイシーラム。黒龍の角を持つ赤と黒混じる銀の髪は腰を超える長さまで無造作に落ちている。カリーナ・ストレリツォーヴァ(デスパレートデスパレード・e00642)。
「儂らも件の少女も好奇心に殺されぬ様、気張って行くとしようぞ八雲! っと少しじっとしておれ」
首元の唐草模様の布の上に重臣がLEDの提灯を括り付けてやる間、霊犬の八雲は尻尾ぱたぱた、きちんとおすわり。
「それはそれは、相応の死線を掻い潜ってきた強者なんだろう、ね」
黒髪さらりと小首を傾げれば左腕の白の勿忘草咲く蔓も、黒木・市邨(蔓に歯車・e13181)の顔を見る様に首を持ち上げた。
「存命で仲間であったなら、さぞ頼りになったろう」
どことなくアンゼリカらしい言葉に、天紅は口元に微笑みを浮かべ、
「彼は……命を賭けてまで、何を求めて、戦ったのかしら」
誘き寄せる為の噂話。だが本心からの興味も隠しきれず。
「身命果てても尚燃え尽きぬ闘魂か。浪漫という奴じゃな、滾る話だのう」
重臣が八雲の頭をひと撫でして立ち上がる。八雲の提灯を見る先生をニコニコ眺めるテルル。市邨は自分の灯りを前方へ翳した。
(「死して尚彷徨う程に狂えるものがあることは、或る種幸せなのだろうか」)
――それとも。
視線の先、月を背に弁髪を流した男が言う。
「答えよ。我は何者だ」
●
「そんなの俺が知るか!」
実年齢の割に少年の様な機竜の返答。同時機竜の身体からオーラが噴き上がり、男は片足を退いた。年の割に幼いのはお互い様と重臣はバールを肩上で弾ませ間に入る。
「見目は見事なれど所詮徒夢。今宵儚く散る運命にある者、とでも称そうか」
何者であれ成すべきは一つ、
「いざ尋常に、勝負!」
重臣がバールを投げた。男は後ろ反りに避けるや否や上半身を回し、勢いのせ間合いを詰める。足か拳か。構えをとった重臣の手前、男は鋭く飛んだ。
「ぬ!」
瞬間足が振り抜かれ、交差させた重臣の腕を蹴り砕く。男は空中で鋏の様に切り替えた逆足で連続の蹴りを試みるが、
「!」
バールが弧を描き戻った。男の片腕が叩き落とす。だがバールはその腕を破壊、滴った血の上に着地した男へ八雲が飛びかかった。その剣へは胸元へ引き寄せた脚を斬らせ、男は片足立ちのままぐるり番犬達を見回す。
(「――尊い命は奪わせない」)
「かかっておいで、無敗の怪物」
無感情な声がした。人懐っこい笑みはとうに消えている。市邨は緑透る瞳をすうと細め、
「お前に敗北を教えてやるよ」
真横に腕を差し伸べた。
「……蔓、出番だよ。往っておいで」
言い終わるが早いか、蔓が男へ襲いかかる。男は迷いなく肘から曲げた片腕を前へ出し、蔓へ与え絡ませた。だがさらに触手を広げ、男の身体全体を包みこむ。男が手刀で切り払おうとした瞬間、今度は頭上から煌めきが降り注ぐ。
「我々も良い対戦相手となるはずさ」
白い翼が鳴り、金の髪が流れ、足元には星が集う。
「――さぁ、黄金騎使がお相手しよう」
男がいきなり回し蹴った。アンゼリカは咄嗟にそれを肩当てで食い止め、下方から逆足で重力を反転、男の顎を蹴り抜く。
(「過去の幻影は答えはしない」)
それでも、自分が戦う理由さえ解っていればいい。
――愛する人と共に、穏やかに過ごすため。自分と同じく、ありふれた幸せを望む人達のため。
天紅が星座剣を地に向けた。髪がぶわりと舞い上がり、描かれた星座から光が放たれる。
「前衛へお願いします」
テルルはドローンを出現させた機竜へ伝え、先に自分のドローンを警護へ向かわせた。
「了解だ」
機竜がドローンを操作する間に、バトルドラゴンは強烈な閃光を放った先生を護るように位置取る。一方男はアンゼリカに蹴り倒されかけた所を数回のバク転でしのいでいた。そして1つ息をつくと、爪先から這い登るように呪紋が現れる。が、それが完成する前に、
「早速ひとつ封じてやろうか」
敵は無論絶え間ない仲間達の動きを見極め、死角から狙うは牙の名を冠する長銃。カリーナがКЛЫКから撃ちだした弾丸は腕を男の腕へ命中。男の表情の僅かな動きから、妨害役の恩恵が十分に効いた事がわかる。
「どうだい、自慢の身体が思うように使えない気分は」
長大なライフルを軽快に取り回し煽るカリーナ。続き、
「!」
回復を1度諦め、男は大きく飛び退いた。それ程までに脅威だった。辺り一体が赤く映る程のドラゴンの幻影。逃げ切れない。男は地面に片手をつき体勢を下げてできる限り避けようとする。だがドラゴンは食いつく瞬間さらに大きさを増し、男の全身を焼いた。
「……火力には自信が有るのでな」
身に纏うは渦巻くオーラ。閉じた唐傘をとん、と地面に鳴らしディディエが言った。
●
男の蹴りが突きが拳が、空気を斬り裂く音が響く。先生への怒りに囚われている事で、攻撃は盾役に集中する。
「させるか」
バトルドラゴンに騎乗、機竜が男の拳の前に飛び込んだ。拳がバトルドラゴンの機体を砕いたが、機竜は一歩早く宙高く飛び上がり、男の後ろに回ってオーラをためる。男が攻撃を警戒、振り返った。しかし回復を優先する機竜はオーラを仲間へ飛ばし、天紅は片手にのせた魔導書の断章を紐解き、詠唱を開始する。そして、
「攻撃します」
軽やかに走り抜けながらも正確に、後方からテルルが撃ちこんだ光線は男を凍りつかせるとともに、付呪も破壊する。先生は勿論同じ回復役の天紅や、庇い後に反射的に回復を繰り返す機竜の動きを把握しつつ、テルルも度々攻撃に回った。さらに付呪が重ねられても、カリーナと重臣の竜爪が間髪入れずに引き砕く。
「裂き甲斐があるねェ、ドラゴニアン冥利に尽きるってもんだぜ」
血に染まった爪をわざと見せつけるように硬化させたまま飛び抜けたカリーナを、男が双掌から撃ちだしたオーラ弾が追う。が、カリーナは空中で翼を動かし方向を変え、黒い刀身に金のエングレーブを施した巨大な鉈斧でオーラを叩き割った。なびく銀髪の周囲に光漂っていたルーンは、着地と同時、再びРезкоеへ刻まれる。
先生はさすがに疲れが見えるものの自己回復を主体に体力を維持。市邨の詠唱は常に危なげなく完成し、光線は呪いの如く男を石化し始め、
「……中々に、血が逸る」
ディディエの頬に一筋赤い線が走った。皮1枚の蹴りは脅し。気配はわかっていた。だがディディエはもう1つの気配も察し、至近距離の男が見えていないかの様に双眸を閉じ、詠唱を開始する。
「此処は任せい!」
ディディエに向かった男の肘を厚い色黒の掌が掴み、骨が砕ける音がした。組み合った重臣の手元からどうと血が落ちる。テルルは直ぐに銃を構え、
「『楽にしてあげましょう』」
ドン、と重臣の胸のど真ん中を撃ち抜いた。重臣は胸を押さえてよろめき、
「まさか……味方に止めを刺されるとは……此処までか……」
「『……冗談ですよ?』」
テルルが言うと、重臣しゃきっと立ち直り、
「おう、かたじけない」
薬液の入った弾丸は重臣の傷を癒し、奪われた生命力も回復。そうこうしている間に、
「『……現し世へと至れ、妖精王よ。汝の軌跡を、此処へ』」
諳んじるは妖精王の物語。その音がディディエによって『魔音』となり、その不可解な攻撃性に男は思わず両耳を塞ぐ。だがそれは何処からか沁み渡り、逃れることはできない。
炎に氷に石に侵された身体で、攻撃を回避する事はほぼ不可能。ならばと男は果敢に攻め続ける。
「……私は弱い。とても無敗とはいかない」
オーラに脇腹を抉られ、血飛沫に白い翼を染めながらもアンゼリカは微笑む。
「それでもね、仲間が、そして愛する人が傍にいることは何よりの力となる」
振り返らずとも、天紅が友の形見である犬笛を手にしたのがわかった。
「お見せしよう! 『我が騎士剣には、もう1つの姿がある……! 火よ、水よ、風よ、大地よ……混じりて裁きの刃となれ!』」
アンゼリカの両手に光が集まり、
「『誰の、何も、奪わせない。失わせたくない、から。どうか私にも、温かな色を――』」
犬笛が天紅の想いを癒しの力へと昇華する。
「黎明の光よ、明日を照らす、道標となって……!」
闇を払い雲を晴らすかの様な紅い光に包まれながら、翼を真後ろへ引いたアンゼリカが敵を惑わす螺旋軌道で接近、男を真正面から切り刻んだ。
「蔓、彼処だ」
市邨が瞬時に演算して割り出した男の弱点――関節を狙い、蔓が数本に蔦を伸ばして痛烈に破壊する。そして、
「今が時じゃな。『儂の本気を見せてしんぜよう』」
重臣の得体の知れない闘気に、男は技を出される前にと一気に詰め寄ってきた。重臣も激突せんという勢いで出る。男が鋭く手刀を仕掛けた。八雲が首を傾げる、
「グ!」
バリリリリリイン! と男の指先が、重臣がどこから出したか両手で振りかぶった一枚障子を突き破った。障子とくれば当然とばかり、続けて突きの応酬。お互い障子紙を穴だらけにした所で、考える事は同じ、
「ぶち破りからの……蹴りじゃ!」
障子を介して拳が交差したかと思うと引き抜き、飛び上がり、飛び蹴りが噛み合う。僅かの差、重臣の足が先に男の首を蹴りぬき、地面に叩き落とした。そこを八雲がじっと見つめてぼっと燃やす。
「くっ、楽しいねェ。そう思わないか?」
カリーナは笑みをこぼし、
「そォら、黒曜の名に於いて、骨の髄まで削り落とそうじゃないか。『裂け、黒曜』」
咆哮が地を震わせた。巻き起こった旋風にのって向かうは具現化した黒曜の鱗。
「全く楽しいぜ。搦め手で刻んで回るのも実に楽しい」
圧縮された旋風が一気に弾け、鱗が男の身体中を傷つける。対し男も旋風の様に回転、放った蹴りは機竜がオーラ纏う全身で耐え抜き、間髪いれずにテルルは止めを刺しもといメディカルバレットを撃ちこんだ。
●
男の猛攻が続く。回復に油断はなかったもののクリティカルに先生とバトルドラゴンが消滅。ディディエの腹へ膝蹴りが入る。が、
「……もう失せろ。夜も更けた」
唇の端から血が伝った。同時ランパスが至近距離の男の胸元を真一文字に斬り裂き、返り血がディディエを濡らす。飛び退いた男も満身創痍な事は明らかだった。
「拳法家に相応しい倒し方をしてやるよ」
機竜が突進。男が構えを取る。が、
「そろそろ君に、解放を。『――揺らめく焔の裏側に、君は一体何を視る』」
市邨の詠唱に、合わせて蔓が花を揺らした。男にも蔓が絡まる。但しそれは、焔の蔓。
「『俺の最後の武器……それは勇気だぁぁぁぁぁ!』」
陽炎に翻弄される男を機竜が殴り飛ばした。ゆらり、ゆらゆら。想い出持たぬ怪物は、陽炎に何を見る。
「終わりだ、怪物よ」
陽炎の向こう、下る騎士の審判。
(「あなたに、力を」)
天紅が魔術書を紐解く。常軌を逸した脳髄の賦活、けれどアンゼリカには優しい恋人の囁きにも思え、
「『――我が光剣。受けることなど出来ないっ!』」
振り下ろされた光剣は、構えた男の腕ごと、身体を斬り通した。光が男を照らし、陽炎と混じり合う。
「さようなら。安らかに眠ると良い」
最期の夢がせめて優しいものであれ。市邨がそっと瞳を閉じ、
「無敗の夢から覚めたか? あばよ」
機竜が言う。消え往く男は、笑っている様にも見えた。
「一件落着かね」
カリーナは新しい葉巻を咥え直す。被害者に状況を伝える間にバトルドラゴンと先生も復活、テルルはぎゅっと先生を抱きしめた。
「夢喰いが、自分が何者であるかを問うのは何故なのかな」
(「自分が何者かなんて、俺も解らないけど」)
帰路、市邨は空の掌をじっと見つめる。何もなかったあの頃から、少しでも俺は変わっているのだろうか。と、
「蔓、」
蔓が掌まで蔦を伸ばしていた。大切な人の顔もふと、浮かんだ。
一方、戦闘の記録をとっていたテルルは、
「完了です。あ、あちらに東さんとアンゼリカさんが。東さ」
タブレットを手にしたままのテルルを、邪魔しちゃいけませんとばかり先生が引きずっていった。
●
「少しは格好良く戦えたかな」
アンゼリカが天紅の手を取る。
「……アンゼリカは、いつだって、かっこいい、よ」
天紅は優しく手を包み返した。戦う姿を思い出し頬が赤らむ。
「私は負けても、傷ついても失敗してもいい。君がいてくれれば、それで立ち上がれるから!」
輝く様な笑顔はいつも自分を包んでくれる。天紅は手に力を込め、
「「私は、あなたが傷ついてもいい、とは、言えないけれど……何があっても、必ず、傍にいるよ。あなたがいてくれれば、幸せな未来を、信じられるから」
月雲逢瀬。紡ぐも、迎える様に受け止め返す言の葉も、同じ。
合間にそっと口づけを。
作者:森下映 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2017年6月28日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 2/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 5
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