ぷっちんぷるるんビッグプリン

作者:天木一

「おかーさーんっお腹すーいーたーー」
 少女がたたっと駆けてテーブルの椅子に座る。するとテーブルにお皿に乗ったプルンと揺れるプリンを母親が置いた。
「わぁっプリンだ! いただきまーす!」
 喜んで少女はスプーンを手にしてプリンを頬張ると、カラメルソースのほろ苦さと甘さが口に広がる。
「んーーおいしー。やっぱりぷるぷるのプリンが一番だよーー」
 少女はあっという間に平らげて皿を空にしてしまう。するとパッと新たなプリンの乗った皿を母親が置いた。
「わーー! お代わりだ! ありがとーおかーさん!」
 パクパクと食べる少女、それをじーっと母親が眺める。
「はーーー、やっぱりプリンはしあわせになっちゃうねー。いくらでも食べちゃえるよ」
 本当に幸せそうな顔をして少女がプリンを食べてしまう。
「おかーさん。ジュースないのー?」
 少女が母親へと視線を向ける。すると母親の体がぷるるんと材質を変えた。
「え?!」
 それは黄色いプリン。ぷるるんと人ほどのサイズだったプリンはどんどん大きくなり少女を呑み込む。
「うわっプリンが、大きい!?」
 そのまま部屋中をプリンが満たし、溺れるように少女をプリンで包み込んだ。
「プリンにおぼれるー!!」
 ガバッと少女が起き上がる。そこは見慣れた自分の部屋だった。
「プリンの……夢?」
 夢だと気づき少女は安堵して息を吐く。
「おっきなプリンだったなー夢なら全部食べちゃえばよかったよー」
 残念と思った時、少女の胸を鍵が貫く。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『驚き』はとても新鮮で楽しかったわ」
 目の前にいつの間にか姿を現した魔女が鍵を引き抜くと、まるで幻であったように姿を消し去る。
 意識を失った少女はベッドに倒れ込む。そこへ人ほどの大きさのプリンが現れ、窓を開けてプルンと暗い野外へ跳ねるように飛び出した。

「どうやら新しいドリームイーターが見つかったみたいね、次は大きなプリンが相手よ!」
 ヒメル・カルミンロート(セブンスヘブン・e33233)が集まったケルベロス達に新たな事件をざっくりと告げる。
「少女から奪った『驚き』から、第三の魔女・ケリュネイアがドリームイータを生み出し、人々を襲わせるようです」
 代わってセリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)が事件の説明に入る。
「ドリームイーターが人を襲いグラビティ・チェインを手に入れる前に、皆さんに撃破していただきたいのです」
 今なら人が襲われる前に現場に間に合う。そして眠った少女を目覚めさせる為にも倒してしまう必要がある。
「敵は2m程のプリンの姿をしています。人型になったり、巨大化したりする能力があります。そして美味しいプリンの体を食べさせて相手を魅了してくるようです」
 プリンは美味だが、食べると催眠状態になってしまう。
「埼玉県の住宅地に現れ、少女の家の近くで人を驚かせてから襲うようです」
 深夜の為人通りは少ない。野外の人が犠牲になる可能性は低いだろう。
「それと驚かない相手を執拗に狙ってくるようです。上手くすれば敵の狙いを絞る事が可能です」
 『驚き』から生まれた為、そのような性質を持っているようだ。
「プリンは人気のおやつです。大きなプリンを見てみたいとも思いますが、食べるには大きすぎですね。プリンに逆に食べられないよう気を付けてください」
 よろしくお願いしますとセリカは頭を下げて出発の準備に向かう。
「大きくなる……どれくらい大きくなるのかしらね。ちょっとくらいなら食べても平気かしら?」
 ヒメルは何メートルにも膨らんだプリンを想像して食べてみたいと興味に瞳を輝かせる。
「……何にしても悪さをする前に退治するわよ!」
 今はそんな事を考えている場合ではなかったとヒメルは気を取り直して動き出し、他のケルベロス達もそれぞれ準備に取り掛かった。


参加者
ギヨチネ・コルベーユ(ヤースミーン・e00772)
古鐘・るり(安楽椅子の魔女・e01248)
修月・雫(秋空から落ちる蒼き涙・e01754)
アストラ・デュアプリズム(グッドナイト・e05909)
シェネ・リリアック(迷える子悪魔・e30306)
ヒメル・カルミンロート(セブンスヘブン・e33233)
榊原・一騎(銀腕の闘拳士・e34607)
ヘレン・ラパン(月夜に出でるうさぎさん・e37918)

■リプレイ

●忍び寄る甘い香り
 既に人々が家に帰り、ひっそりとした夜道にケルベロス達が降り立つ。
「大きなバウムの次は大きなプリン! 夢のようね♪」
 足取り軽くヒメル・カルミンロート(セブンスヘブン・e33233)は美味しそうなプリンを思い描く。
「いやドリームイーターか……ま、今回もきっちり堪能……じゃなくて退治させてもらうわよ!」
 ピタリと足を止めて頭を傾け、結果的に倒せれば手段や過程で食べてしまっても仕方ないと己を納得させた。
「巨大プリンの敵でございますか……」
 大きなプリンを想像したギヨチネ・コルベーユ(ヤースミーン・e00772)は、その見るからに厳めしい顔を緩めた。
「大きいならすぐに見つかるかしら?」
 巨大なプリンを探して古鐘・るり(安楽椅子の魔女・e01248)が、身体に固定したライトで辺りを照らす。
「女の子の大好きな物からうまれた怪物かぁ……なんだか微笑ましいかなって……」
 シェネ・リリアック(迷える子悪魔・e30306)は可愛らしいプリンをイメージする。
「でも……人に被害が出る前になんとかしないと……これも番犬のお仕事です……」
 キリッとした台詞を言いながらも、その手にはスプーンとお皿を用意して食べる気満々だった。
「彼女の驚きをこんな形で利用するのは許せませんね。それにプリンに襲われるなんてことがあってはいけませんし」
 人の心を利用するドリームイーターは許さないと、修月・雫(秋空から落ちる蒼き涙・e01754)が意気込む。
「女の子がプリンを怖がったりしないよう、ドリームイーターは懲らしめないとだね」
 プリンは可愛く美味しいものだと、アストラ・デュアプリズム(グッドナイト・e05909)はぷるぷる揺れる様を思い浮かべる。
「最大6mまで大きくなる巨大プリン……」
 榊原・一騎(銀腕の闘拳士・e34607)は周囲の家を見てあれくらいのサイズだろうかと目測して、そこまで大きなプリンをイメージできずにいた。
 すると甘い香りが周囲に漂い、ぷるんといつの間にか足元に震える液体が広がっていた。それが集合しぷるぷる揺れながら目の前で巨大なプリンへと姿を変えていく。
「プリン……おいしそう……! はっ! ダメダメ! 敵なんだからちゃんと戦わないとだよね!」
 思わずプリンに見惚れたヘレン・ラパン(月夜に出でるうさぎさん・e37918)は、頭をブンブンと振って正気に戻し身構えた。

●巨大プリン
『ぷるぷるぷるー!(プリンだぞー驚け!)』
 立派なプリンが発する音が響く、言葉は分からないが何となく意味が伝わった。
「うわっ、プリンのお化け!?」
 オーバーにヒメルは両手を上げて驚く。
「自分の重さで潰れてもおかしくない大きさなのに……これは驚きだわ!」
 そして物珍しそうにプリンをじろじろと見渡した。
「でかっ!? こんなに大きなプリンは初めて見たよ!」
 その巨体に一騎は純粋に驚いて敵の標的から外れる。
「おー」
 びっくりしてピョンと跳ねたるりが大きなプリンを見上げた。
「今のにはびっくりしましたよ……!」
 突然姿を現したプリンに、ビクッと驚いた表情を見せて雫は身構える。
「わあ……こんなおっきなプリン見たこと無いかも……。シェネちゃんびっくりしちゃったー……」
 目を丸くして驚いてみせたシェネは、笑顔でぱちぱちと拍手をする。
「わー! 美味しそうなプーリーン!」
 全身で素直に驚きを表現してヘレンはプリンをほけーっと見上げた。
「私、プディングと申し上げましょうかクレームブリュレが好みでして。何か火で炙れば、良い具合に焦がすことは出来ませんでしょうか」
 平然とした顔でギヨチネが敵をいかに料理しようかと考える。
「ああ、いえ、通常のプディングも好いておりますとも。日本のマッチャや、クロゴマなどの変わり種も宜しゅうございます」
 あれこれと味を思いつくままに述べていく。
『ぷるぷるぷるー!(プリンはぷるぷるプリンが一番なんだよ!)』
「あ、ない、ですか。それは致し方ございませんな……」
 ならば仕方ないとギヨチネは鉄塊のような巨大ハンマーに炎を纏わせて叩きつけた。
「動くプリンなんてびっくりだね」
 皆とずれてワンテンポ遅くアストラが驚く。
 その隣のミミックのボックスナイトはトコトコと近づくと、中から出した剣を振るってプリンを斬った。
『ぷる!』
 するとプリンはそのまま剣ごと体内に取り込み、ポンッとボックスナイトを空高く吐き捨てた。
「美味しそうなプリンの見た目をしていますけど、攻撃は容赦なくいきますよ!」
 星々が描かれたカードを手にした雫の元に周囲の光が集まり、敵目掛けて放つ。それは流星のように駆けて敵を撃ち抜いた。
「美味しそうだけれど今は我慢だね」
 プリンから極力視線を外し、アストラがスマホからコメントの弾幕を超スピードで送信し、仲間達に助言して行動の効率化を図る。
「見とれてちゃダメだよね! がんばって戦わないと!」
 兎耳を揺らしヘレンは、ピョンッと飛び跳ねるように近づいて踏むように敵を蹴りつける。足がずぼっとはまる前にもう片方の足で蹴って距離を取る。
「こちらでございます」
 ギヨチネは敵の気を引こうと、刑戮された戦士たちの霊を招来して敵にぶつけ心を侵食する。するとプリンの狙いがギヨチネに移った。
『ぷるぷるぷるーーー』
 天辺を覆うカラメルソースが噴き出しギヨチネの体を甘く染める。それは雨のように降り注ぎネバっとした液体がケルベロスを汚していった。
「プリンはおいしいけど……惑わされないでー……」
 シェネは桃色の霧を放出してギヨチネの心と体を癒した。
「プリンは大好きだけど、さすがにこれだけ大きいと食べていいのか躊躇するね」
 ソースを躱して飛沫で服を呼ぼした一騎が敵に視線を向ける。
「少女がまた大好きなプリンを食べられるように、倒しちゃわないとね」
 一騎がスイッチを押すと、カラフルな爆発が派手に巻き起こり仲間達の士気を高める。
「このまま食べるには大きすぎよね、カットしてあげるわ!」
 ヒメルはバールのようなものを三度閃かせ、プリンをバラバラに引き裂いた。
『ぷるるんるん』
 すると小さくなった破片が纏まって人型となり、ヒメルに飛び掛かる。
「人型になった……!? ……食べ物としては人型じゃないほうがいいんじゃないかしら。せっかくだけど、元に戻ってもらえる?」
 るりが神槍ガングニールのレプリカを召喚し、放たれた槍が敵を貫く。穴からプリンが溢れて輪郭が崩れ始める。
「プリンが固くなっちゃうかしら?」
 魔導書をペラペラと捲るるりは、日記やメモの部分を読み飛ばして呪文に辿り着く。読み上げると同時に放たれた光線が敵を照射し石へと変えていく。
『ぷるるっ』
 するとプリンは固まった部分は斬り捨て、姿を崩すとまた大きなプリンへと姿を変える。
「最近すっかり暑くなりましたから、凍らせてみるのも一興でしょうか」
 そこへギヨチネはハンマーを叩き込み、凹ませた場所の熱を奪いシャーベット状にしてしまう。
「変形できないようもっと凍らせてみましょう」
 続いて雫がカードを向けると、氷の騎士が召喚され敵をランスで突き刺し凍らせてゆく。
「まずは……脚があるのかどうか分からないけど、動きをとめる!」
 勢いよく駆け出した一騎が一直線に飛び蹴りを放ち、凍ったプリンはパリンと砕け、中身がべちゃりと地面に叩きつけられた。
「ヘレンもいっしょに攻撃しちゃうよー!」
 そこへ跳びついたヘレンは振り回した腕でポカッと殴りつけた。その腕がプリンにめり込みそのまま全身を取り込まれる。そしてプリンがシェイクしヘレンの全身をプリン塗れにしてさらに口にプリンを流し込んで放り出す。目をくるくるさせたヘレンは口の中のプリンをはむはむと小動物のように夢中で食べていた。
「美味しくてもプリンには気を付けてね、食べ過ぎるとプリンになっちゃうよ!」
 アストラが放つオーロラの光がヘレンを包み、プリンの魔力を打ち消す。
「おいしそう……でも我慢……」
 その様子に自分も食べてみたいと思いながらも、地面に鎖を垂らしたシェネは魔法陣を描き仲間を守護する結界を作る。
「これは食べてみるかしないわね! そう、どれくらいの効果があるのか調べてみなくちゃいけないもの!」
 接近したヒメルが縛霊手を突っ込み、プリンを掬い取ってパクッと口に含んだ。
「ぷるんぷるんだわ! 売ってるプリンより美味しいわよ!」
 そして調べるなどといった建前を忘れ満面の笑みでプリンを勢いよく食べ始めた。

●ぷるぷるプリン
『ぷるぷるー!(沢山お食べー)』
 プリンがどろりと溶けて形を崩し、横に広がると2mを超える大きな波となって襲い掛かる。
「これも仲間を守る為致し方ありません。代わりに私が頂きましょう」
 その前に飛び込み身代わりとなったギヨチネがプリンに呑み込まれる。ボックスナイトも盾で受け止めようとして流され、ケルベロス達も一気に押し流されて呼吸しようとした口へとプリンが侵入した。
「はむっ……おいひい……。神様に感謝しなきゃ……えへへ……」
 美味しい攻撃を受けたシェネは口の周りを汚しながらもぐもぐと口を動かし、幸せそうに尻尾をふりふり動かし、その隣では巻き込まれた雫も子供っぽく無邪気な笑みを浮かべてプリンを食べていた。
「美味しくても正気を失うプリンなんて、どう考えてもヤバイよね」
 アストラはオーロラで仲間を包み、プリンを喰らう仲間達を正気に戻す。
「凍らせてアイスプリンにしちゃうわよ!」
 カードを手にしたヒメルは氷の騎士を呼び、突き出されたランスがプリンを穿ち内部から凍らせる。
「うさぎさーん、きーっく!」
 その隙にピョンピョンと塀を蹴って大きく跳躍したヘレンが、頭上から蹴りを叩き込んだ。
『ぷるるぷるー!』
 それを捕まえようと飛び跳ねるヘレンに向かってプリンが手のようなものを伸ばす。
「懐ががら空きだよっ!」
 注意が逸れたところへ間合いに飛び込んだ一騎は、ガントレットを嵌めた腕で殴りつけ、プリンを抉り取る。
『ぷる!』
 するとプリンはそのまま押し潰すように一騎に取りつき、口の中にプリンを突っ込んだ。
「んぐ!? ……あ、これ美味しいですね」
 甘いもの好きの一騎は口に飛び込んで来たプリンを味わい、次々に押し込められるプリンを食べ続ける。
『ぷるぷるぷるーっ』
 プリンは次は誰だとカラメルソースを飛ばしながら見渡す。
「夢中で食べてしまいました……恥ずかしい」
 そこへ正気に戻り羞恥に顔を赤くした雫が凍結弾を撃ち込み、一瞬にしてプリンの片面を氷に覆う。
「そろそろ味の変化が欲しいところじゃない? 焼きプリンにしたらどうかしら」
 反対側からるりが竜を召喚し放つブレスで敵を焼き目を付けた。
『ぷるるるー!(火加減!)』
 怒ったようにプリンがカラメルソースを噴き出しながら突っ込んでくる。
「食べ物を残さないことがマナーでございますので、最後まで頂きます」
 そこへカウンターでギヨチネが燃えるハンマーを叩き込んで焼き目をつけ、手で抉り出すと旨そうに頬張る。
「プリンも食べられないし、明日からがんばろうかな、たぶん、きっと……」
 後ろ向きなアストラの言葉が敵の下から溶岩を噴出させた。
『ぷるーーーーぅ!』
 突き上げられたプリンの巨体が勢いで上に浮かぶ。
「今度はこっちが驚かせますよ!」
 雫の放つ光の星がプリンを追いかけて横を素通りすると、軌道を変え背後から撃ち抜いて大きな穴を空けて吹き飛ばす。
『ぷりりーーん!(全てをプリンに!)』
 体を崩されたプリンが波のように頭上から襲い掛かり、ケルベロス達を包み込み口へと押し入ろうとする。
「人を堕落させる甘さだわ。罪深い」
 口に入ったプリンをゴクリと呑み込んだるりは、召喚した神槍を飛ばしプリンを貫いて破片を撒き散らした。
「ずっと食べてたいけど……倒さなきゃ……」
 ぐっと堪えたシェネは魔力弾を撃って敵を穿ち、プリンが恐れる悪夢を見せる。
『プップププププ!(牛乳を入れすぎると固まらないよー!)』
 恐るべきプリン作成失敗の幻に、プリンは震えて後ずさる。
「柔らかく手応えの無い相手でも、内部から破壊すれば!」
 ガントレットのジェットエンジンが噴射し、突進した一騎は加速に合わせて拳を打ち込み、腕をプリンに突っ込むと腕から魔力を流して内部から爆発を起こした。
『ぷるー』
「美味しくってもやっつけちゃうんだから!」
 木っ端微塵、バラバラに吹き飛ぶプリンの中で一番大きな塊を、ヘレンが星型のオーラ足に宿して踏みつけ、キラキラ星を散りばめながらプリンがさらに分裂し小さくなって飛び散った。
『ぷるるーーん!』
 その小さな破片から生まれたプリンたちが、玉砕の如く突っ込んでケルベロスの口へと飛び込んで来る。
「冷たくってシャリシャリしてるわね! もっともっとプリンを寄越しなさい!」
 魅了され目の色を変えたヒメルは、バールでバラバラにプリンを切り裂きながら喰らい尽くす勢いで食べる。
『ぷるぷるぷる!?』
 慌てて逃げようとするプリンに襲い掛かり、突き刺したバールの先端で引っぺがしてプリンを捕食する。やがてプリンは体を維持できぬようになり、液体のように溶け地面の染みとなって消え去った。

●好みのプリンを食べに
「プリンは好きよ、だけど深夜のプリンはギルティよ」
 おやつの時間は守らなくてはならないと、るりは消えた敵から視線を逸らし星空を見上げる。
「ごちそうさまでした。プリンをこれほど食べたのは初めてかもしれません」
 ギヨチネは満足そうに口の端についたソースを拭った。
「ヘレンさん……はじめての依頼……おつかれさまでした……」
 プリンに祈りを捧げていたシェネが振り返り、ヘレンにご褒美にと豆乳プリンを手渡した。
「プリンだー♪」
「これからも……ヘレンさんの力で……たくさんの子を助けてあげてね…」
 喜んで食べ始めるヘレンを、シェネはにこにこと微笑んで眺める。
「女の子も無事みたい、戦闘中食べられなかったんだから、帰ったらいっぱいプリンを食べてもいいよね?」
 被害者の少女の部屋を飛んで無事を確認したアストラが戻り、仲間から漂う甘い香りに可愛くお腹を鳴らした。
「……プリンを食べたくなってきましたね。帰りにどこかで買っていきましょうか」
 一度見られたのなら恥はかき捨てだと、雫は仲間を誘う。
「いいわね、まだまだ食べ足りないわ!」
 いの一番にヒメルが賛同して皆を急かす。
「そうですね、あれだけでは物足りませんから、プリンを食べに行きましょう」
 一騎も少しだけ食べた所為で、もっと甘いものが食べたくなってしまったと同意する。
「頭脳労働に糖分は欠かせないものね」
 さりげなくるりもそれに参加し、ケルベロス達は何味のプリンが好きかと話しながらその場を後にするのだった。

作者:天木一 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年6月25日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 5/キャラが大事にされていた 2
 あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。