Gカップ以上の女性しか認めぬ明王

作者:なちゅい

●おっぱいなき者女性にあらず!
 とある部屋にて。
 正方形に組み合わせて配置された長机に向かい、10数人の男達が椅子に座っていた。
「皆、おっぱいは好きか?」
 その奥側に座っていたのは、鳥人間と化した男。そいつはこの場の男性達へと問いかける。
「「「…………!」」」
 黙って頷く男性達。その周囲に飾られていたポスターや映像はグラビアアイドルなどが多いが、その中でも女性の胸に注目した者ばかり。しかも、かなり大きなバストを持つ女性達である。
「Gカップ……トップとアンダーの差、25センチ。それより小さい者は女性とは認めん」
「「「おおおおお、おっぱい、おっぱい、おっぱい!!!」」」
 叫び始める男性達。その目は完全に血走っており、正気とは思えない。
 一方で、鳥人間……ビルシャナとなった男性はゆっくりと立ち上がり、満足気にそれを見つめていて。
「さて、新たな同士を探しに行くとしよう。胸の大きい者こそ女性としてあるべきなのだ……!」
 含み笑いをしつつ、その男はこの部屋を後にしていくのだった。

 ヘリポートへとやってきたケルベロス。
 そこで、少しだけしょぼんとした態度でケルベロスを待っていたのは、リーゼリット・クローナ(ほんわかヘリオライダー・en0039)だった。
「Gカップ以上の女しか認めない明王が現れるって聞いたぜ」
 カルマ・プレンダーガスト(ヴァルキュリアの鹵獲術士・e35587)がそんな話を持ち出すと、リーゼリットが一層沈み込んでしまう。
「大きい女性しか認めないとか、本当もう言ったらいいか……」
 ちょっと主張しすぎる胸は彼女にとってはコンプレックス。人の視線を集めるのが少しだけ気になるようで。だからこそ、今回のビルシャナの主張に思うことがあるらしい。
 その間にも、集まるケルベロス。それもあって、リーゼリットは説明を始めることとした。
 鎌倉奪還戦の際にビルシャナ大菩薩から飛び去った光。その影響は今なお続いている。
「皆の現場到着時にはすでに、ビルシャナとなった男性は自らの主張によって成人男性10人余りを同調させているようだね」
 そのまま放置すると、男性達はビルシャナの信者と成り果ててしまう。戦いとなれば、この人々はビルシャナの配下として戦闘に参加してしまう。
「ビルシャナを倒せば、この人々は救出できるけれど……」
 配下が多い場合はそれだけ戦闘においてケルベロス側が不利となってしまう。
 できれば、ビルシャナと戦う前に説得しておきたいが、この人々の目を覚ますのは簡単ではない。
「重要なのは、インパクトのある主張だよ」
 人々をじっくりと説き伏せて目を覚ますことも可能ではあるが、やはり、衝撃というのは大きいもの。それを踏まえて、良い説得方法を考えたい。
 ビルシャナとなったのは、現地の会社員だった男性、荒屋敷・朋和である。
「このビルシャナが現れるのは、秋田県の秋田駅の西口の通りだね」
 荒屋敷は信者を取り込もうと、「Gカップ以上の女しか認めない」と、自らの教義を繰り返し語っている。それに共感できぬ者はこの場から距離を置いている為、基本的には人々の説得メインで動いて問題ないだろう。
「ビルシャナはある程度、皆が説得を終えたタイミングで襲ってくるから、油断はしないようにね」
 害となると判断した者に対しては、ビルシャナは経文を唱えて洗脳をはかる他、鋭い視線で敵にプレッシャーを与えることもある。また、巨乳に対する熱い想いを力に変えて体力を回復することもあるようだ。
「あと、戦いが始まるまでに説得できなかった信者も、ビルシャナを守るべく動いてくるよ」
 この地点で残っていた信者は倒してしまう他ないので、予め認識しておきたい。
 説明を終え、リーゼリットは小さく嘆息した。
「正直、胸しか見てないのかなって考えると、なんだかね……」
 ケルベロス達も色々と想うことはあるだろう。その想いを、ボクの代わりにぶつけてきて欲しいと、彼女は依頼に臨むケルベロス達へと願うのだった。


参加者
癒伽・ゆゆこ(湯治杜の人形巫女・e00730)
白雪・まゆ(月のように太陽のように・e01987)
アイリス・ゴールド(愛と正義の小悪魔・e04481)
因幡・白兎(因幡のゲス兎・e05145)
西院・玉緒(夢幻ノ獄・e15589)
ラズェ・ストラング(青の迫撃・e25336)
カルマ・プレンダーガスト(ヴァルキュリアの鹵獲術士・e35587)
エレス・ビルゴドレアム(揺蕩う幻影・e36308)

■リプレイ

●おっぱいとは!
 現地、秋田県秋田市に降り立つケルベロス達は、走って現場に向かう。
「あのバストは、G以上と見た!」
 因幡・白兎(因幡のゲス兎・e05145)は先程、依頼説明をしていたリーゼリットの胸をガン見していた。
 以前撮ったバニーガールの写真と照らし合わせた上で、本人に詰め寄っていたのだが。真っ赤になる彼女に、その熱意を依頼にと呆れられていたらしい。
「次こそは……!」
 しかしながら、彼は全く懲りる様子がなさそうだ。
「『おっぱいは正義』。これは、まさに真理」
 真顔で断言するカルマ・プレンダーガスト(ヴァルキュリアの鹵獲術士・e35587)は、死に場所は大きなおっぱいの胸の中というのが、男子の共通の夢だと語る。
「……しかし、胸の大きい女性だけがいいわけじゃない! 脚のすらっとした美少女もいいぞ!」
 男とは、実に罪深い生き物。ふっとあさっての方向へと笑いかけたカルマを放置し、メンバー達は現場へと急ぐ。

 秋田駅前。
「「「おっぱい、おっぱい、おっぱい!!!」」」
 ビルシャナを中心に、大声を上げる男性達。この近辺を行く人々はさすがに、近づこうともしない。
 メンバー達はすぐにその対処をすべく、ビルシャナ達へと接触していく。
「おぱーいに貴賤なし。おっぱいもちっぱいも雄っぱいもけもっぱいも皆等しく愛でる存在なり」
 まず、ゴスロリ衣装を纏うアイリス・ゴールド(愛と正義の小悪魔・e04481)がぺたんこ同盟幹部として、これだけはと言い放つ。
「貧乳はステータス」
 無表情ながらも威圧感のある一言。男性達は刹那その動きを止める。
「G以上しか女性でない、というのなら、あなたたちのお母さまは、もちろんG以上なのですよね?」
 そこで白雪・まゆ(月のように太陽のように・e01987)が男性達へと軽い牽制を行う。
「違うなら、お母さますら否定することになりますですが、それでいいのですか?」
「Gカップもない者の主張など、認めない!」
 だが、ぺったんこなまゆの言葉を、男性達は耳にすらしない。
「なら、わたしもあなたたちの存在を認めなくてもいいですよね」
 まゆは能面のような表情で、大きな鈍器を手にする。
「もう、手加減とかしないで、ハンマー振り回しちゃおうかなー?」
 ……というわけにもいかず。まゆは一般の人は助けてあげますねと微笑む。
 そばで、大きめのタブレットを操作していた癒伽・ゆゆこ(湯治杜の人形巫女・e00730)が流し始めた映像は、彼女自身が色々な服装でアピールするというものだ。
「えと、ご主人様のお願いなら、なんでも、がんばらせていだだきます、ですっ」
 白いサマードレスでお花畑を走るゆゆこ。画面が切り替わると、誰もいない砂浜で彼女が画面越しに誘いかける。
「おニーさん達も、一緒に泳ぎましょうですっ」
「……!」
 いくらおっぱいと叫ぶ男達でも、少女の可愛らしさに無反応というわけには行かない。
「あやや!? い、一緒にお風呂、なのです!? ……のぼせちゃうかもですけど、おにーさんにお願いなら……」
「おおっ!」
 お風呂前ですでに赤くなるゆゆこ。風呂から上がれば、湯上りのバスタオルがなんともそそる。
「一緒にお休み……むねがどきどき、なのです……」
「むほおおっ!!」
 そして、暗い寝室で、パジャマ姿のゆゆこと2人きり。キュートながらも大胆なお誘いに、男性達はときめいてしまう。
「ど、どうでしょうか? 今ならこれからこういうサービス、しちゃうですよ?」
 そして、リアルなゆゆこも顔を赤くする。しかし……。
「「「おっぱい、おっぱい、おっぱい!!!」」」
 ビルシャナが叫び始めるのに、男性達もまた腕を振り上げる。
 全く効果がないようにも見えるが、体を張ったゆゆこの行為は決して無駄ではない。実際、その視線がゆゆこに向く男性もいた。
「Alpha、Bravo、Charlie、Delta、Echo、Foxtrot……Golf!」
 アルファベットを淡々と告げるようにして近づくラズェ・ストラング(青の迫撃・e25336)は最後に声を荒げて。
「確かに、それは男のエデンだ。否定はしねぇよ」
 ビルシャナ、荒屋敷・朋和を一瞥した後、ラズェは人々を見回して問いかける。
「だがな、全員が巨乳であることで、巨乳は巨乳足りうるのだろうか?」
 ラズェはそうして、普通サイズ以下の胸の重要性を説こうとするが、ビルシャナも負けていない。
「何を言う。全員が巨乳などとは、素晴らしい世界ではないか!」
「「「おっぱい、おっぱい、おっぱい!!!」」」
「おっぱいは素晴らしいものだ! 優しく僕らの心も身体も包んでくれる! 大きければ大きいほど良い!」
 叫ぶ男性達に同意し、「おっぱい最高!」とカルマも叫ぶ。
「だがしかし、だがしかし。巨乳ばかりに注目しているようではまだ甘い」
 例えば、Gカップであっても、とんでもなくふくよかな女性だったなら。
「やっぱり、顔・胸・くびれ・尻・脚のバランスが大事だろ!」
 超美少女のぺたん娘と胸だけ大きい残念女性、同時に告白されたなら。
「どうする? 美少女選ぶだろ! 大体、全部揃ってる女なんてそういないよ!」
 カルマはそうして、声を荒げた。なお、チームの女性メンバーの姿はあえて目にしない。
「そんな相手以外は女じゃないなんて言ってたら、結婚どころか付き合うことも無理だっつーの! 現実を見ろ!」
「その教義はさ……問題ありすぎるんだよ。じゃあさ、何で信者にGカップ以上の女の子がいないのさ」
 白兎も真顔で問いかけた直後、進み出たエレス・ビルゴドレアム(揺蕩う幻影・e36308)は見事な胸を野郎どもへと見せ付ける。
「おお……!!」
「貴方達のその基準はよく分からないですが、私は女性として認めていただけている様ですね」
 ならばと、持論を語り出すエレス。
 結局のところ、男性達の好みでしかないその基準。それなら、この場の人々を男性と認めるかどうか、自身の好みで言わせてもらうと彼女はその顔を1人ずつ覗き込む。ビルシャナただ1人を除いて。
「……残念ながら、全員男性とは認められない様です」
 エレスもまた、判断基準を彼らと同じカップで定めている。
「ただし、人としての器……カップという意味ですが」
 大きい胸なのは自由だが、それ以外を排他的に扱う器の小さな者を男性と認めるわけにはいかないとエレスは告げる。
「あ、ビルシャナはもう人ですらないので」
「エレス、そんなにディスっちゃ可哀想じゃない」
 その後方で、ケルベロス達の後方から西院・玉緒(夢幻ノ獄・e15589)が頭だけを出し、男性達をフォローする。
 うぐぐとくちばしが変形しそうな勢いで口を歪めるビルシャナの前に、白兎が再び現れて。
「君達の器は、Aカップブラよりも小さいんだよ!」
 他を認めずに目を向けない行為は、未来のGカップを見落とすことになると白兎は説く。
 さらに、反論させずに彼はフリップをドン。
「はい、これはこの国のGカップの女性の人口の推移ね。どんどん増えてってるのわかるでしょ?」
 この際、データの出典とか信憑性なんてものは気にしない。
「もしバストサイズが先天的な要因だけで決まるなら、こんなには増えない! これは大建造期を経て、この国生活が豊かになったことに起因している。つまりはね、努力次第でGカップになれる人材ってのはまだまだいるんだよ! 君達は大きくなる可能性を持ったおっぱいたちにも目を向けるべきだよ! そしてGカップ育成を支援すべき!」
 勢いで圧倒する白兎。メンバー達は勢いで畳み掛けるが、元々勢いで直進している男性達の欲望はなかなか押さえつけられない。
「全てはおっぱいの前には無力!」
「「「おっぱい、おっぱい、おっぱい!!!」」」
 おそるべきは、おっぱいの魔力、そしてビルシャナの力である。
「Gカップ以上の女しか認めない……か。わたしは、あなた達のお眼鏡にかなうのかしら?」
「「「おおおお!!!」」」
 前に出てきた玉緒はほぼ全身の肌をさらすほどの露出姿で、さも当然とKカップの爆乳をドヤ顔で見せ付けた。しかも、ノーブラである。
 先ほどは、男性をフォローした彼女。しかし……。
「でも、わたしは胸の大小で人を判断しないわ」
 本当の魅力は、胸よりも内面にある。玉緒はそう語る。
「――で。あなた達に、誇れるものはある? ……無いわよね?」
 眼鏡の端を上げる彼女は、突き刺すような視線で男性達を射殺す。目の泳ぐ男性達を見て、「いけず」な玉緒は満面の笑みを浮かべた。
 そこで、機を窺っていたアイリスが前に出る。視線をそらそうとする男性達に、彼女は笑いを浮かべて。
「くく、これを見てもそんなことが言えるかな? アルティメットモード起動☆」
 ゴスロリ衣装はフリルと錯覚を利用して、貧乳に見せかけていただけ。マイクロビキニアーマー姿へと変身したアイリスは、惜しげなくGカップよりも大きな胸を露わにした。
「はっはっは、貴様らが今ディスっていたのは実はGカップ以上だ、これは教義に反するのではないのかね? ん? ん?」
 これにはさすがに、男性達も唖然としてしまう。巨乳をディスっていた事実を、彼らは認めざるを得ない。
「そんなことより、そこにもふりがいのありそうなけもっぱいがあるではないか」
 アイリスが示したのは、ふかふかの羽毛に包まれたビルシャナ荒屋敷の姿。
「是非みんなでもふるべきだ、そう思うだろう?」
「おのれ、やらせはせんぞぉぉ!」
 もはややぶれかぶれになったビルシャナは、両腕を広げて経文を呟き始めたのである。

●お仕置きしてつくねにしちゃいましょう
 いくらもふもふをと示されても、デウスエクスが相手と自覚すれば、信者とならずに済んだ男性達はその場から逃げ始める。
 残されたのは、ビルシャナ荒屋敷ただ1人だ。教義を語ってくる敵を、玉緒はドヤ乳で挑発する。
「そこまでの信念があるとは、正直驚きだわ。その覚悟に敬意を表して、触らせてあ・げ・る」
「おおっ!」
 鼻息を荒くするビルシャナを、玉緒は軽くあしらう。
「――なんてね。そんな訳ないでしょう?」
 己の感覚を高めた玉緒は、するりと敵の手を避けて見せる。
「打ち破るぜ?」
 敵に対処する為、自身に対して破剣の力を纏わせたラズェ。彼はアームドフォート「十二式縮展迫撃砲」の砲口を突きつけた。
 それに敵が気を取られていると、経文を耳にしていた白兎が叫ぶ。
「ぶっちゃけ手に収まりきらなくて、顔を程よく埋められるサイズなら何でもいい!」
 ……なんとも素直なことである。
 その間に、まゆは身長よりも大きな「鋼の軍曹」の名を持つハンマーを力任せにビルシャナへ叩きつけていく。

 ビルシャナは想像以上に抵抗を続ける。
 相手がビルシャナと侮っていた部分もあり、ほとんど戦略無しにメンバー達が攻撃していたことも大きいのだが……。
 そんな彼らを庇っていたのは、ゆゆこだ。
「誰かが傷ついて、辛くなるのは……私だって辛いから……!」
 その上で彼女は神に祈り、加護の結界に包んでから再び敵の右手側で身を張る。また、エレスが後方から幻影のようなオーラを飛ばし、それによって回復を行っていたようだ。
「G以下を認めないというなら……」
 いつの間にか左手側にいたまゆが精神を高めて爆破を起こすと同時に、全力ビンタを見舞う。彼女なりの説得(物理)らしい。
「おっきいしか認めないのは、いけない事なのですっ」
 ゆゆこも仲間達の攻撃の合間を見て、しっかりとエネルギー光弾を放つと同時に、ビンタでビルシャナの頬を殴りつける。
 ぺしっぺしっ、ぺしっぺしっ。
「認めますですか?」
「お、おっぱいいいいいっ!」
 だが、敵は断固として認めず、アイリスの大きな胸を見つめる。
 そいつをアイリスは攻性植物の蔓触手で縛りつけて触手プレイを始めると、カルマが突き出した手にドラゴンの幻影を現していて。
「派手にぶっ放してやる!」
 発射した炎を浴び、燃え上がる敵へとカルマは言い放つ。
「俺も巨乳派ですけどね……それだけが全てではないのだ」
「何を言う。おっぱいこそ女性。それが真理だ」
 だが、敵はしつこく経文を唱える。
 惑わされかけたアイリスへ、白兎は分身を纏わせて負担を軽減させ、エレスも失われた面影を傷む歌を響かせ、仲間を正気に戻しつつ敵を打ち砕く力を与える。
 それによって正気を取り戻したアイリスは、敵に向けてアレな視線を投げかける。
「けもっぱいはいいものだ。ふかふかであればあるほどいいものだ」
 なんと、おっさんビルシャナを脳内で男の娘な鳥っ娘に萌え変換させていたのだ。
「ばふっと顔を埋めた時の感覚は、なんと称したものか」
 さすがに鳥頭なのは、レベルの高い彼女にとってもややきつかったらしいのはさておき。その視線は赤い情熱となって、ねっとり絡みつくようにビルシャナへと送られる。
「Gも結構。HもIも大いに結構。アンタの気持ちは承知できる」
 さらに、戦場となる街中を素早く動き回るラズェは、敵に一定の理解を示す。
「だがな、そのシュプレヒコールが巨乳に与える気持ちを考えてみろ!」
 時に飛んで来る敵の視線に射抜かれても彼は気丈に主張し、両手の重粒子演算機関のスイッチを押して、敵の周囲にセットした爆弾を起爆する。
「巨乳が巨乳であることを主張できる、自慢できる世の中を俺は護りたい! 俺は巨乳を護りたい!!」
「ぐうっ……おっぱい!」
 怯むビルシャナが叫ぶと、巨乳を愛する力をグラビティに変え、その傷を塞いでしまう。
 ただ、ケルベロスの攻撃によって、敵の体力はかなり低下していた。
「お仕置きが必要ね。……逝かせてあげるわ」
 玉緒は脱いだジャケットを振り回して踊り、しばしその舞いで周囲を魅了する。長い髪の毛を依り代に、彼女は巨大な御業の半身をその身へと降ろして。
「あなたと遊ぶの、もう飽きちゃったわ。終わりにしましょうか。 ……じゃあね?」
 銃は鈍器と主張する彼女。御業にもその拳でビルシャナの体を殴りつけていく。
 そこへ、ぴったりと張り付き、ビンタをかましていたまゆが竜鎚を振り上げる。
「一撃必砕! 全・力・全・開っ!」
 大きく一回転した彼女は、その遠心力で敵の体を粉砕した。
「お、おっぱ、い……」
 がっくりと倒れ伏すビルシャナを目にしたラズェは、タバコに火をつける。
「大切なことだよ。声を張り上げたアンタは見守ることを辞めたんだ」
 いつの間にか沈み始めた夕日を背に、彼は紫煙を燻ぶらせる。
「さらば、強敵よ!」
 カルマもまた、一声上げて颯爽とこの場を去っていく。
 そばではドヤ乳する玉緒に、白兎が「おっぱいおっぱい!」と、腕を振り上げる。
 そんなどうしようもないウサギの姿を、腕組みして己の胸を示しつつ、エレスは達観した様に見つめていたのだった。

作者:なちゅい 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年6月19日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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