ライチの香りにご用心

作者:飛翔優

●甘い香りに誘われて
 眩いほどの陽射しの下、緑が艶やかに輝く大阪城近くの雑木林。制服を荒く着崩したヤンキーと思しき男子学生が一人、木漏れ日の下を歩いていた。
 何か気に障る事でもあったのだろう。たびたび舌打ちを刻みながら、地面を強く蹴りつける。時には叫びにも似た声を上げ、手近な樹を殴りつけていた。
「……あ?」
 不意に、雑木林のざわめきに紛れるようにして自分を呼んでいるかのような声が聞こえてきた。
 耳を澄ませば、それは湿り気を帯びた女性の声だということがわかる。
「何で俺を……つまらねーことだったらしょーちしねーぞ」
 苛立たしげに、雑木林へと足を向けるた。
 しばしの時を経て、開けてた場所へと到達する。
「あ……なんだ、お前……」
 見開く瞳の中、写り込んでいるのは木を背に佇む一人の女性。
 遠目で見るだけでもたわわな果実があることがわかる素晴らしいプロポーションを持ち、服の代わりに植物の皮のようなものを纏っている女性が、艶かしく話しかけてきた。
 ――私を剥いてみない? 一緒にイイコトしましょうよ。
「……」
 男子学生はゴクリと生唾を飲み込んで、女性へと近づいていく。
 迎え入れた女性は甘い香りを漂わせながら、皮の上に生まれている谷間を見せつけながら、ゆっくりと男子学生の手を導いて……。

 程なくして、男子学生が倒れた。
 いつの間にやら剥かれていたズボンを、パンツを履くことなく。
 同様に、生まれたままの? 姿を暴かれていた女性が見つめる中。
 風の訪れとともに、男子学生は土の中に埋もれていく。
 女性の……バナナイーターの養分に成り果て、雑木林は再び静寂へと……。

●バナナイーター討伐作戦
 足を運んできたケルベロスたちを迎え入れた黒瀬・ダンテ(オラトリオのヘリオライダー・en0004)は、メンバーが揃ったことを確認し説明を開始した。
「爆殖核爆砕戦後、大阪城に残った攻性植物の調査を行っていたミルラ・コンミフォラさんたちから、新たな情報が得られたこと……知っている方も多いと思うっす」
 調査によると、大阪城付近の雑木林などで、男性を魅了するたわわに実った果実的な攻性植物、バナナイーターが出現しているようだ。
「バナナイーターは十五歳以上の男性が近寄ると現れて、その果実の魅力で魅了し、絞り尽くして殺害することでグラビティ・チェインを奪い尽くしてしまうみたいっす」
 あるいは、攻性植物はこうして奪ったグラビティ・チェインを使って新たな作戦を行うつもりなのかもしれない。
「なので皆さんには、この出現するバナナイーターを撃破して、誘惑されてしまう犠牲者を救って来て欲しいんっすよ」
 ダンテは地図を取り出し、大阪城近くの雑木林の一角を指し示した。
「今回のバナナイーターが出現するのはこの雑木林、時間帯は午後三時半ごろ。この近くを、制服を着崩した男子高校生が通りかかるっす」
 バナナイーターを出現させるためには、そのまま男子高校生を誘惑させるか、彼を避難させた上でケルベロスの男性が囮となる必要がある。
 バナナイーターは攻性植物の拠点となっている大阪城から地下茎を通じて送られているようで、囮となった人数に応じたバナナイーターが出現するようだ。
「もっとも、出現するバナナイーターは一体目を除き、戦闘力は低くなっているみたいっす。だから、ある程度の数を出して纏めて叩く、なんてこともできるっすね」
 注意点として、バナナイーターが出現してから三分以内に攻撃を仕掛けてしまうと、出現した地下茎を通ってすぐに撤退してしまう点が挙げられる。
 つまり、囮となった者は三分間、誘惑されているふりをして接触を続ける必要があるのだ。
 幸いその三分間はバナナイーターの側も攻撃などは行わない様子。囮が一般人であってもすぐに死んでしまうといったことはないだろう。
「最後に、特徴や戦闘能力について説明するっすね」
 今回のバナナイーター。一体目の戦闘力が高く他が低い以外は、多少の差異はあれど同じような特徴を持っている。
 姿は、ライチの木を背に佇む抜群のプロポーションを持つ女性。上は胸の半分、下は太もものギリギリまでをライチの皮のような何かで覆っており、剥いてイイコトしない? という誘惑を仕掛けてくる。
 戦闘においては妨害特化。
 相手の防具をライチの皮のように向き無力化する。抱きしめながらライチを食べさせ心を奪う。皮のままのライチを雨のように降らせ、複数人を連続して攻撃する、といったグラビティを使って来る。
「以上で説明を終了するっす」
 ダンテは資料をまとめ、締めくくった。
「大阪城の攻性植物の調査を行ってくれた方々の苦労に報いるためにも、攻性植物の活動を阻止してきて欲しいっす。どうか、よろしく頼むっすよ!」


参加者
岬守・響(シトゥンペカムイ・e00012)
ミリアム・フォルテ(緋蒼を繰る者・e00108)
エルネスタ・クロイツァー(下着屋の小さな夢魔・e02216)
レナ・フォルトゥス(森羅万象爆裂魔人・e05306)
葛之葉・咲耶(野に咲く藤の花のように・e32485)
出雲・緋霈(歪みの道化師・e33518)
神無月・佐祐理(機械鎧の半身・e35450)
鹿目・万里子(迷いの白鹿・e36557)

■リプレイ

●ライチの色香に誘われて
 緑陽が艶やかに輝く晴れた日に、涼し気な風が駆け抜けていく雑木林近くの道路。
 チラつく木漏れ日が目に優しい静かな道に、たびたび舌打ちを刻んでいる男子学生がやって来た。
 彼が苛立ち混じりに一本の木を蹴りつけようとした時、顔の半分を大きな目が描かれた布で隠す葛之葉・咲耶(野に咲く藤の花のように・e32485)が飛び出し進路を塞いでいく。
「こんにちはぁ、今日は良い天気だねー」
「あ」
 男子学生は苛立たしげにガンを飛ばしてきた。
 臆することなく本題を切り出していく。
「ここはデウスエクスが出て危ないからぁ早くおうちに帰るんだよぉ?」
「……ちっ」
 いくら自分を強く見せようとしていても、手を出してはならない相手のことはわかるのだろう。男子学生は雑木林に背を向けて、道の反対側にある路地へと立ち去っていった。
 咲耶が背中を見送る中、雑木林の中からはエルネスタ・クロイツァー(下着屋の小さな夢魔・e02216)が顔を出す。
「うまくいったみたいだねー」
「そうだねぇ。無事に終わってなによりだよぉ。キヒヒ」
 口元を歪めて笑いながら、咲耶はエルネスタと共に仲間たちとの合流を目指して歩き始めた。
 風が吹くたびにざわめく木々の下、腐葉土を踏みしめながら進む中、エルネスタは一人思い抱く。
 何らかの理由で男子学生が立ち去らなかったならば、エルネスタが十八歳の姿に変身した上で誘惑し、安全な場所へと送る手はずだった。
 その際、彼はどんな反応を見せただろう。
 大人っぽく振る舞うエルネスタの甘い言葉の誘惑の果て、元の幼い姿に戻って激励する姿にどんな感情を抱いただろう?
「……」
 渡すはずだった炭酸飲料に口をつけながら、エルネスタはあり得たかもしれない未来を想像していく……。

 土と草と、木々の香りに、甘い匂いが混じる場所。
 鬱蒼と生い茂る植物の群れをかき分けて、雑木林を進んだ先……少しだけ木々が開けている場所に、彼女はいた。
 どことなく異質な雰囲気を漂わせている樹木を背に。手に余りそうなほどの果実から挟まれれば逃げる気などなくなってしまいそうなほど艶やかな太ももまでを紅い服のような何かで覆っている、見目麗しいその女性。
 彼女は開けた場所に足を踏み入れた男、皮パンをはき皮のジャケットを羽織っている出雲・緋霈(歪みの道化師・e33518)を見つけるなり、手招きを始めていく。
「おやおや、これはまた……」
 緋霈はにやりと表情を緩めながら、迷うことなく女性に歩みよっていく。
 互いに手を伸ばせば抱きしめられる位置で立ち止まり、見つめ合う。
 誘われるがまま紅い服のような何かに手を伸ばせば、女性もまた緋霈の皮のジャケットに触れてきた。
「……ふふっ」
 相手を傷つける事のないように、表情を曇らせてしまわぬように。一枚、一枚丁寧に、秘められし世界を暴いていく。
 重力下に解放された果実がフルフルと震え始めた時、逞しき肉体も外気に触れた。
 互いに片方の指先を先端へと滑らせながら、更に深い場所を――。
 ――作戦のため、女性陣は木の陰に隠れそんな光景を見守っていた。
 徐々に濡れ始めていく二人の逢瀬を横目に捉えつつ、ミリアム・フォルテ(緋蒼を繰る者・e00108)は深いため息を吐き出していく。
「ほんと、なんでこんなのに引っかかるんだか……」
 明らかに怪しい呼び声に、明らかに怪しい場所にいる半裸の女性。怪しまぬ方が嘘のはずなのに、被害者になるかもしれなかった者は少なくない。
 男のサガか、それとも女性が……バナナイーターがそういった性質を持ち合わせているとでも言うのだろうか。
「……み、見てる方が恥ずかしくなって参りました」
 そんな折、神無月・佐祐理(機械鎧の半身・e35450)が頬を赤らめ顔を覆った。
 指の間から覗き込んでいる様も見えたから、ミリアムが声をかけていく。
「だったら目をそらしてなさい。大丈夫、私たちがきちんと見守って、タイミングも教えるから……って、万里子?」
 一方、鹿目・万里子(迷いの白鹿・e36557)が、どことなくそわそわとしているビハインド・チノアの横で膝に載せたスケッチブックにペンを走らせていた。
 ミリアムは小首をかしげ、スケッチブックを覗き込む。
 木を背にしている半裸の女性が……バナナイーターが描かれていた。
「これは、バナナイーター?」
「……あ」
 万里子が顔を上げ、頷いていく。
「はい。その、いち学者の身としては大変興味深いデウスエクスですし、姿の記録を残しておこうと……」
 まるで、ギリシア神話の木の精ドライアドを彷彿とさせるその姿。それとの差異と思しき箇所や実際の行動、緋霈に対する反応などを欄外に記していた。
「そう、頑張ってね」
 どことなくホッとした様子でミリアムが元の位置へと戻ろうとした時、咲耶とエルネスタが戻ってきた。
 ミリアムはエルネスタに目に毒だから……と警告しつつ、再び元の位置へと戻っていく。
 開けた場所の中心ではもう、二人を阻むものは何もない状態となっていて……。
「もうすぐ時間です。十、九、八、七……」
 懐中時計を眺めていた岬守・響(シトゥンペカムイ・e00012)が、三分経過を告げるカウントダウンを開始した。
 ミリアムは身構え、世界から音を消していく。
 空も、木々も、緋霈の姿さえも横に置き、バナナイーターだけを注視して……。
「ゼロ!」
「こっから先は全年齢だ馬鹿野郎」
 木陰から飛び出し、一糸まとわぬ緋霈に上着をぶん投げながらバナナイーターへと駆け寄った。
 受け取る緋霈をよそに彼女が脚を振り上げた時――。
「行くわよ!! ファイアボール!!」
 ――レナ・フォルトゥス(森羅万象爆裂魔人・e05306)の放つ強化された炎の砲弾が横を駆け抜けた。
 頭を抱えてしゃがむ女性の頭上を、木の幹を捉え、その全身を焼き焦がし始めていく。
 甘い香りもどこか強まったように感じながら、ミリアムが幹に蹴りを叩き込んだ時……バナナイーターとの戦いが開幕した。

●剥く女
 殺到していくケルベロスたちを拒絶するかのように、前衛陣の頭上にライチの実が雨あられのごとく降り注ぐ。
 反応しきれず、佐祐理はライチの雨の中。フィルムスーツに胸部装甲という武装故に抑えることのできない体型にぶつかってくる硬さに強い痛みを覚えていく。
 表情には出さずにゾディアックソードを握りしめた。
 ライチの雨が止むと共に守護星座の力を解放し、自分を含む前衛陣の治療を始めていく。
「このくらいのダメージ、どうってことはありませんよ!」
「無茶だけはしないでねぇ」
 咲耶もまた佐祐理を中心に雷の壁を生成し、治療を行いながら加護を施していく。
 動きを淀ませる事なく改めてバナナイーターへと向かっていく仲間たちの気配を感じ取りながら、状況把握に努めていた。
 音を頼りにする限りでは、女性ではなく木の部分にダメージは積み重なっている。双方繋がった存在なのだから、順調にダメージを与えられているということなのだろう。
「御霊さんお願い!」
 そんな中、隣に立っているだろう十八歳の姿に成長したエルネスタが何かを射出した音が聞こえてきた。
 柔らかな何かに突き刺さっていく気配も感じ取る。
「……順調、みたいだねぇ、皆さん……」
 少しだけ表情に影を宿しながら、頬に汗を伝わせながら、けれど決して臆した様子を見せはしない。
 跳ねる鼓動を乱れそうになる呼吸を必至に抑え込んでいく中、佐祐理がバナナイーターの腕に捕まった気配を感じ取る。
 佐祐理はバナナイーターの腕の中、冷めた瞳で張り付いたような笑みを見つめていた。
 知らぬといった様子でどこからともなく取り出されたライチの実を、メスの形に変化させたオウガメタルで切り飛ばしていく。
「ごめんなさいね。私の右腕は貴方の肢体を撫でさすって愛でるようには、出来ていないんですよ!」
 薄い笑みを浮かべながら、佐祐理は豊かな果実に手を伸ばす。
 引きちぎらん勢いで掴みながら、右目にエネルギーを収束させ、貫いた。
「Das Adlerauge!!」
 地面をも焼くレーザービームで、バナナイーターの右胸を。
 たまらないといった様子ではねのけられた佐祐理への追撃は許さぬと、チノアが間に割り込んだ。
 チノアへ手を出すことは許さぬとばかりに、万里子が杭を突き立てていく。
「っ!」
 トリガーを引き、木の部分に杭を打ち込んだ。
 貫いた箇所が凍結し、徐々にその面積を増していく。
 さなかには咲耶が電流を放ち、佐祐理の治療を行った。
「大丈夫、大丈夫だよぉ。この調子なら……」
 最初は自分に言い聞かせるように。
 次からは皆へと伝えるために。
 優位はケルベロスの側にあると精一杯の言葉で伝えていく……!

 女性の背後へと回り込み得物を叩き込んだチノアが、距離を取る前に腕を掴まれた。
 逃れんともがく中、女性はチノアの服に手をかける。
 細身ながら均整の取れた肉体が涼し気な風に晒され始め……。
「そ、その! デウスエクスとはいえ、他の助成に脱がされるのはどうかしてますわチノア!」
 万里子の言葉に反応し、チノアが女性の腕を振りほどいた。
 服を拾い集めながら戻ってくるチノアを横目に、万里子はこぶりなモンゴル弓を構えていく。
「色々と言いたいことはあるけれど……それは後で! 今は……借りるよ、その力」
 チノアのグラビティ・チェインを元にしたエネルギーの矢を番え、バナナイーターの女性部分へと向けていく。
 狙いを定め、深く深く息を吐き、指先以外を固定し……射出!
「渦巻く風よ、閉じこめよ! 吹き抜ける風よ、祖なる姿となれ!」
 矢は瞬時に蒼い毛並みの狼へと変貌し、つむじ風を引き連れ女性を目指す。
 半ばにて追い抜いたつむじ風が女性の体を弄ぶ中、狼は疾風の如く駆け抜け……一閃!
 牙を用いて切り裂いた。
 傷ついた脇腹の辺りを押さえながら女性はよろめいていく。
 姿勢を正す暇も与えず、響の雷を帯びた如意棒が上空へと突き上げた。
「そろそろ終わらせよう。もう、だいぶ傷ついているはずだよ」
 雷を注ぎ込むと共に如意棒を引き、距離を取る。
 入れ替わるように矢が駆けた。
 矢は女性の、木の……バナナイーターの横を抜けた後、前触れもなく反転した。
「絶対的な隙、逃しはしない」
 ミリアムが力を注ぐまま、矢は幹を貫いていく。
 いつ折れてしまってもおかしくないほどに幹を揺さぶりながら、バナナイーターはライチの雨を降らしていく。
 響は耐えた。
 最大級の攻撃を叩き込むために。
 範囲外に立つレナもまた立ち止まり、照準を合わせ続けている。
 決して外さない。
 可能ならば急所を捉える。
 この戦いをケルベロスの勝利で収めるために。
 ライチの雨が止むと共に、レナは大地を蹴った。
 手刀にオーラを巡らせ鋭き刃に変えながら女性の懐へと潜り込み、三日月のごとき軌跡を描く!
「……ようやくもぎ取れたみたいね」
 切り飛ばした部分を一瞥した後、体をのけぞらせている女性を蹴りのける。
 その体を、鎖が木に縛り付けた。
「ちょっと猟奇的かもしれないけど……でも、良い姿になったねー」
 ヘラヘラと笑う緋霈の手の中で、鎖はより扇情的に女性を締め付けた。
 抵抗する気力がなくなったか、重ねていた呪縛が全身を伝ったか……女性も、木も……バナナイーター全体が動きを止めていく。
 故にレナは炎の球を作り出した。
「さあ、終わらせましょう! ファイアボール!!」
 強化されている炎の球は虚空を焦がし、バナナイーターをも焼き始めた。
 女性の部分が少しずつ形を失っていく。
 滅びゆく兆しを見つめながら、響は握る神々が宿る一振りの神剣を。
「斬り裂き、廻れ。神宿る剣」
 一跳躍で懐へと入り込み、斜めに斬る。
 刃は、皮一枚まで食い込んだ。
 切り落とすことは敵わぬと響きが刃を引く中、咲耶が呼び出したのは氷の騎士のエネルギー体。
「これでぇ……!」
 体中を震わせながらも、正面へと差し向ける。
 騎士は懐へ入り込むと共に槍を構え、女性ごと木を貫いた!
 炎が消え、バナナイーターを氷が満たしていく。
 てっぺんまでが包まれると共に砕け散り、跡形もなく消え去った。

●残り香もいずれ風にさらわれて
 甘い香りだけを残しあるべき平和を取り戻した、雑木林の開けた場所。
 肩の力を抜きながら、響がひとりごちていく。
「考えてみれば攻性植物がこうして、明確に人間を標的にした擬態を持っているというのはなかなか興味深いね。対デウスエクスでも、効果はあったのだろうか」
「私も、攻性植物がこの手を出すとは思えなかったのよね。今まで、こういうのって、ほぼ豚野郎ぐらいでしたし」
「ていめいかもしないようなかんじなんですよねー」
 レナや幼い姿に戻ったエルネスタもまた首をかしげるも、答えは出ない。
 検証を行うことはできるだろうから、早々に事後処理を終えて立ち去ろうと彼女たちは行動を始めていく。
 一方、緋霈は女性たちを見回していた。
「囮役で火照った体を持て余しそうだから~誰か女の子相手してくんないかな~? してくれたら頑張っちゃう~」
 気づけば、渡されたはずの上着を羽織っていなかった。
「って、あ……」
 頬を赤らめ、佐祐理は逃げた。
 一方、作業を終えたエルネスタは改めて興味深げに見つめながら、スケッチブックを取り出していく。
「じょせいはしたぎもふくめてよくえがいたりしてるけど、おとこのひとのはだかをめにするきかいがすくないんだよね」
 さらさらと、スケッチブックの上を走るペン。
 合意の上なら、けれど年齢が……と考えながら、ミリアムはとりあえず別のことを口にした。
「茎、壊せれば良いのだけれど」
 地下茎を通って発生すると言うバナナイーター。その根源にいつか出会えるように、その際には解決へと導くことができるように……今は、元の景色を取り戻した上での休息を……!

作者:飛翔優 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年6月16日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
 あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。