蛍烏賊、空を飛ぶ

作者:飛翔優

●蛍とホタルイカ
 夜でも茹だるような暑さが広がる夏の時期。港町に住む少年カイトは、両親とともに山の中でキャンプを行っていた。
 目的は、両親が見せたがっていた蛍。
 水が綺麗な場所に棲んでいるという蛍を求め、カイトは両親と共に川のそばへと移動する。
 危険だからと言われ両親の手をギュッと握りしめながら、川やその周辺を観察していた。
 夜闇をかき分け探すうち、段々と目が疲れてくる。カイトが目をこすり始めた時、父親が上流の方角を指差した。
「カイト、みてごらん。あそこにいるのが蛍だよ」
「え……」
 慌てて視線を向ければ、そこには明滅する何かがいた。
 目を凝らし、その全景を探ろうと試みる。
 合わせたかのように、明滅する何かもカイトたちのもとへと近づいてきた。
 ずり、ずりと粘着くような水音を奏でながら。
 少しずつ輝きを強いものへと変えながら……。
「っ……」
 手を伸ばせば届くような距離へと近づいてきた時、カイトは一人息を呑む。
 見えたのは赤みを帯びた体。
 短い触手。
 ここにいるはずのない、見たこともないほどに大きなホタルイカがそこにはいた。
 正確にはホタルイカではない。頭のあたりに、虫のような羽を生やしていたのだから。
「……」
 カイトが言葉を失う中、ホタルイカは羽をはためかせる。
 大人の目線の高さほどに浮かんだ後、カイトに向かって襲いかかり――。

「うわぁ!!」
 ――カイトは飛び起き、ほっと胸をなでおろした。
 周囲を見回せば、自分の部屋。
 カレンダーを確認すれば、まだまだ夏には遠い六月半ば。
「……やっぱ、ずかんで調べればよかったかなぁ。ホタルって聞いても、前にじっちゃが持ってきたホタルイカしか思い浮かばないし……」
 首を捻りながら窓の外へと、街の図書館がある方角へと視線を向けていく。
 窓の前に一人の女性が立っていた。
「え……」
 カイトが戸惑いの声を上げる中、女性は歩みよってくる。
 後ずさる暇もない間に、女性は一本の鍵を取り出し……カイトの胸を貫いた。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの驚きはとても新鮮で楽しかったわ」
 鍵が引き抜かれた時、カイトは倒れる。
 入れ替わるようにして、子供くらいのサイズを持ち頭のあたりに虫の羽を生やしているホタルイカが出現した。
 ホタルイカはドリームイーターの証たるモザイクに覆われた発光器官を点滅させながら、窓の外へと視線を向け……。

●ドリームイーター討伐作戦
「なるほど、それで……」
「はい、ですから……」
 泉賀・壬蔭(紅蓮の炎を纏いし者・e00386)と会話していた笹島・ねむ(ウェアライダーのヘリオライダー・en0003)は、足を運んできたケルベロスたちと挨拶を交わしていく。
 メンバーが揃ったことを確認し、説明を開始した。
「子供のころって、ビックリする夢を見たりしますよね! 理屈は全く通っていないんだけど、とにかくビックリして夜中に飛び起きたり……」
 そのビックリする夢を見た小学一年生の男の子、カイトがドリームイーターに襲われ、その驚きを奪われてしまうという事件が置きていることが、壬蔭の予想によって発覚した。
「驚きを奪ったドリームイーターはすでに姿を消しているみたいです。ですが、奪われた驚きをもとにして現実化したドリームイーターが、事件を起こそうとしているみたいなんです」
 現れたドリームイーターによる被害が出る前に、退治する必要がある。
 このドリームイーターを倒すことができれば、驚きを奪われてしまった被害者も目を覚ましてくれることだろう。
「次は……っと」
 ねむは地図を取り出し、港町の海岸線近くにある住宅地に丸をつけた。
「ドリームイーターが発生しているのはこの住宅地。カイトくんの家もある区域になりますね」
 時間帯は夜零時以降。
 幸い、この周辺は終電が早く、深夜帯まで営業している店もないため、人通りはほとんどない。最低限の人払いさえ行っていれば、人々を危険に晒すことなくドリームイーターを探索することができるだろう。
 また、ドリームイーターの側も誰かを驚かせたくて仕方ないらしく、付近を歩いているだけでも向こうからやってきて驚かせようとしてくる。
 この際に驚きが通じなかった相手を優先的に狙い始める性質も持っている。その辺りも考慮すれば、戦いを優位に進めることができるだろう。
「最後に、今回のドリームイーターについて説明しますね」
 個体数は一体。
 姿は、子供くらいのサイズを持ち頭に虫のような羽を生やしているホタルイカ。
 カイトは漁師であるお爺さんの影響でホタルイカは見たことがある一方、蛍は見たことがなかった。そして、今年の夏にでも蛍を見に行くかと両親に言われ、図鑑などを確認せずに頭のなかで色々と想像した結果、このような姿になってしまったのだろう。
 戦闘方針は攻撃特化。
 激しい光を浴びせかけ、複数人を威圧する。一箇所に収束したレーザーで、相手を加護ごと貫く。翼を用いて敵陣を飛び回りながら触手を連続して叩きつける、といった攻撃を仕掛けてくる。
「以上で説明を終了します」
 ねむは資料をまとめ、締めくくった。
「子供の無邪気な夢を奪って、ドリームイーターを作るなんて許せないですよね! ですのでどうか、カイトくんが再び目を覚ますことができるよう、夏になったら本物の蛍を見に行くことができるよう、よろしくお願いします!」


参加者
泉賀・壬蔭(紅蓮の炎を纏いし者・e00386)
デフェール・グラッジ(ペネトレイトバレット・e02355)
滝・仁志(みそら・e11759)
スヴァリン・ハーミット(隠者は盾となりて・e16394)
深宮司・蒼(綿津見降ろし・e16730)
朝霞・結(紡ぎ結び続く縁・e25547)
リン・イスハガル(凶星の氷闇龍・e29560)
小鳥遊・涼香(サキュバスの鹵獲術士・e31920)

■リプレイ

●少年の驚きから生まれたもの
 耳を澄ませば波の音、深呼吸をすれば潮の香り。月明かりの下でも変わることなく世界を満たす海原が、よせては返す港町。事件が解決するまでに誰かが足を運んでこないよう、家から出てくることのないように、ケルベロスたちは様々な力を用いて人払いを行った。
 準備を整えた上で穏やかな静寂に眠る街を練り歩く。
 曲がり角につくたびに向こう側を伺った。空き地と思しき大きな空間を見つけるたびにランタンを向けていく。時に立ち止まって耳を澄まし……滝・仁志(みそら・e11759)は、ドリームイーターの痕跡を探していた。
 心に巡るは今宵のドリームイーター。
 羽の生えた巨大なホタルイカ、という姿を持つというドリームイーター。
 蛍じゃなくて、蛍な烏賊。
 羽根が生えているのが子供らしくて可愛いと思う。何よりも、蛍も蛍烏賊も綺麗だ。
 けれど……。
「……人に危害を加えるのは見過ごせないな」
 足元を歩くテレビウム・カポが頷いた。
 同様の思いを持つ者たちとの会話も交わしながら、やがて商店街へとたどり着く。
 左右を確認し、仁志は――。
「……どこだ?」
 ――立ち止まり、耳を澄ますよう促した。
 どこからともかくずり……ずり……と、濡れそぼった何かを引きずっているような音が聞こえてくる。
 ケルベロスたちが周囲に警戒のアンテナを張り巡らさせていく中、不意に、月が輝き始め……。
「うわ、なんだありゃ」
 月を背に羽ばたきながら、それは地面に降り立った。
 触手を足のように用いて立つ、光を宿す柔軟な身体。
 発光器官をモザイクに染めた、人間子供サイズのホタルイカ型ドリームイーターだ。
「って、これはまたストレートな想像図だなッ」
「すっげーなんだあれ!?」
「いや、コレがホタルイカとか無理があんだろ……光ってるけど! 光ってるけど!」
「なんか違う!! 私の知ってるイカの動きじゃないんだよ?!」
 小鳥遊・涼香(サキュバスの鹵獲術士・e31920)と深宮司・蒼(綿津見降ろし・e16730)、デフェール・グラッジ(ペネトレイトバレット・e02355)と朝霞・結(紡ぎ結び続く縁・e25547)が驚きの声をあげていく。
「やはり、想像以上の物が現れたな……エンペラが羽なのか……」
「空飛ぶイカというのも、浪漫がある気がするが、発光しているのは……いかがなものか。だが、十分に驚くに値する見た目じゃわい……」
 泉賀・壬蔭(紅蓮の炎を纏いし者・e00386)とリン・イスハガル(凶星の氷闇龍・e29560)は冷静な様子を見せながらも、少しだけ後ずさった。
 多くの者を驚かせる事ができたからか。ドリームイーターはダンスでも踊っているかのように、楽しげに体をくねらせていく。
 けれどもすぐさま動きを止めて瞳に映した。
「紳士は如何なる状況、如何なる生物にも動揺しないのさ!」
 驚く様子を見せなかったスヴァリン・ハーミット(隠者は盾となりて・e16394)、ボクスドラゴンのイージス、カポの姿を。

●蛍になったホタルイカ?
 ドリームイーターが羽をはためかせて宙に浮く。
 低空を飛行しながら発行器官に光を集め、レーザービームに変えて放ってきた。
 余裕な笑みを崩さずに、スヴァリンはゲシュタルトグレイブを横に振るう。
「おっと、その程度じゃ撃ちぬけないよ!」
 打ち払うも衝撃は残ったか少しだけ動きを止めた彼を横目に、リンはゲシュタルトグレイブの穂先に雷を宿し――。
「っ、中々やるようじゃの」
 ――稲妻の速度で突きを放つも、二本の触手に阻まれた。
「じゃが……」
 にやりと笑い柄に力を込めていく。
 力比べへと持ち込む中、壬蔭が頭の上を飛び越えた。
「終わったら皆でおやつタイムだ。ねーさん、ハコ、イージス、カポもよろしく頼むな!」
 サーヴァントたちに呼びかけながら、落下の勢いと雷を乗せた拳を放つ。
 弾力のある頭に埋め込まれていくさまを横目に、仁志は砲弾をぶっ放した!
 三本の触手に阻まれ、本体へは届かず地に落ちる。
 勢いのままスヴァリンと壬蔭をはねのけたドリームイーターは、月に近い場所へと飛翔した。
 ケルベロスたちが視線を送る中、ドリームイーターは急降下。
 前衛陣の間を飛び回りつつ触手を振り回してきた。
 すかさずスヴァリンが踏み込んで、一撃、二撃と打ち払っていく。
「はは、このくらい軽い軽い! この紳士を突破したければ、もっと強い力で来なよ!」
 さなかにも、イージスとカポが各々の方法で触手を受け止めていた。
 守ってくれている仲間たちを支えるため、涼香がウイングキャット・ねーさんと結に視線を送っていく。
「言葉通り、そこまで堪えてはいないみたいだけど……」
「流石に二つ、三つと重なるとそうでもないね。万が一がないように、今は治療も重ねるよ」
「わかった」
 頷き、涼香は鎖を振り回す。
「皆を護るおまじないだよ。ちょっとだけ、おすそ分け」
 守護方陣を書き記し、スヴァリンらを治療し耐えるための加護を与えていった。
 同様に結が、ねーさんが治療を行う中、ドリームイーターは月を背にする形で静止していく。
 見上げる中、発光器官が輝きを増した。
 瞬く間もなく、力を持つ光が前衛陣へと降り注ぐ。
「それならまた、くるり、くるり」
 涼香はその場で一つターンを刻んだ。
 ひらりと舞う袖がゆらぎを生み、前衛陣を癒やす風を巻き起こす。
 一撃一撃の威力は高くとも、協力して治療していけばきっと大丈夫。
 スヴァリンたちが前線に立ち続けているのがその証!
 守られているからこそ正確かつ力いっぱいの攻撃を。
「わりぃ、イカ! お前さんにゃ何の罪もねーんだが……焼くとうまそーだし腹減る見た目してんな!!」
 デフェールが炎に染めた光の剣を振り上げる。
 呼吸を重ね、リンが竜の幻影を解放した。
「少しでも戦力を削ぎ落とす。そうすれば、スヴァリンらの負担も減るはずじゃ」
 炎の剣を避けたドリームイーターが竜の幻影に飲み込まれていく。
 香ばしい匂いが漂い始めた。
「……しかし、うむ、おにぎりがほしいのう。むしろ……っと」
 口の端を拭う仕草を見せながら、リンは再びゲシュタルトグレイブに雷を宿していく。
 声を上げようとしているお腹を意志の力で押さえ込みながら、大地を蹴り穂先を突き出して――。

 蹴りを放つたび、拳越しに螺旋を叩き込むたび、ドリームイーターの動きは鈍る。
 なお力強く羽ばたき前線を飛び回っていくさまを眺めながら、蒼は深く腰を落とした。
 ドリームイーターの意識の多くがスヴァリンらに向いている以上、自分の立っている場所は安全圏。
 十分に狙いを定めて攻撃を行う事ができるのだ。
 二枚刃の巨大な手裏剣を抜き、駆ける。
 飛び回るドリームイーターとのすれ違いざまに、一閃。
「……まだまだやーらけーなー。絶対イカじゃねー見た目なのに!」
 柔軟な体に包まれ勢いを殺されて、駆け抜ける。
 手裏剣を支点代わりに振り回し勢いを反転させながら振り向けば、ドリームイーターをいなしたばかりらしいスヴァリンたちが見えた。
 表情は変わっていないけれどどことなく疲労しているようにも思えたから、軽やかに舞い癒しのリズムを刻んでいた結に問いかけた。
「おーい、治療のサポートは必要か―?」
「んー」
 結は改めてスヴァリンたちを観察し、首を横に振っていく。
「大丈夫。治療は私たちだけで十分だと思うから、蒼くんは攻撃に集中してー」
「わかったー!」
 蒼が元気にドリームイーターめがけて蹴りを放つ。
 すかさずボクスドラゴンのハコが体当たりをかましていく中、結は涼香と視線を交わして頷きあった。
「蒼くんだけじゃない。みんなが全力を尽くせるように」
「頑張ろうね。ねーさんもよろしく」
 二人が、そしてねーさんが、各々のスタイルでスヴァリンたちを支えていく。
 治療を終えたスヴァリンを狙い、再びレーザービームが放たれた。
 穂先で弾いてはいるけれど、衝撃は重く……。
「……動きは鈍ってるけど、スヴァリンさんたちも癒しきれない傷がかさんでいる。釣り合ってしまっている……ってところかな」
 結は目を細め、満月に似たエネルギーの光球を差し向けた。
 やるべきことは変わらない。ドリームイーターも傷ついている以上、ケルベロス側の優位が揺らいでいるわけではないのだから。
 変わることがあるとするならば……じきに、結と涼香だけで治療が間に合う時間が訪れる。その時は、ねーさんが攻撃を加速させてくれることだろう。

 羽ばたきの音色が歪なものへと変わっていた。
 右へ、左へとふらつく様子も見せている。
 触手もまた、正面の二本が失われていた。
 故に正面へと踏み込んで、壬蔭はふらつくドリームイーターの中心へと殴りかかる。
 拳は大気と擦れあい、炎を纏て捉えた。
「紅炎煉撃 イカ焼きって感じか……」
 かぐわしい匂いが強まる中、ドリームイーターは地面へと叩き落された。
 直後、その柔軟な体に六発の弾丸が撃ち込まれていく。
「そーいや、イカって焼いて食えんだよなぁ……」
 デフェールが口の端を持ち上げながら、得物に漂う煙を消していく。
 対象的に、ドリームイーターの炎は青へと変わった。
 それでもなお翼をはためかせ、遥かな空へ――。
「させねーよ!」
 ――それよりも高く飛んでいた蒼がドリームイーターを踏みつけて、地面へと叩き落とした。
 二度、三度とバウンドする内に、触手が一本千切れ飛んだ。
 地面の上で静止すると共に羽をばたつかせ、前衛陣の間を飛び回っていくドリームイーター。
 勢いなど欠片もない。
 全ていなし、弾き返した。
「さぁ、心行くまで味わって――」
 果てには仁志の放つ色とりどりの光からなる重力の波に、衝撃に襲われ動きを止めた。
 すかさずカポが飛びつきその体を地面へと叩き落としていく。
 デフェールは光の剣に炎を走らせた。
 翼を広げ、店のシャッターほどの高さまで飛び上がり、滑空。
「もう終わらせるぞ! いい加減食いたくなってきた!」
「ああ、そうだな」
 炎の剣が盾代わりの触手を二本切り飛ばしていくさまを見つめながら、壬蔭は拳い雷を宿す。
 呼吸を止めると共に姿を消し――。
 ――次の刹那には、ドリームイーターを街灯へとふっ飛ばした。
「……」
 静かな息を吐く壬蔭が見つめる中、ドリームイーターは炎の中に消えていく。
 半ばにて光が空へと向かった気がしたのは、きっと驚きの主へと向かったから。
 ケルベロスたちは安堵の息を吐き出すと共に、修復などの事後処理を開始して……。

●星空に勝利の祝杯を!
 より戦うのに適した場所まで下がる余裕はあまりなかったものの、被害は問題のない程度に抑えられた今宵の戦い。
 ならば勝利の祝杯を……と、ケルベロスたちは海岸に移動した。
 静かな波音が響いている砂浜に、スヴァリンがレジャーシートを敷いていく。
「座る場所が無ければレジャーシートもあるよー! 紳士だからね!」
 紳士の笑顔に促され、レジャーシートの上にお菓子やおにぎり、おつまみと言った様々な品物が配置された。
 驚きの主だったカイトの様子を見てくると言って別れたリンを待ち……そして、無事だったとの報告を受け取った後、祝杯が上げられていく。
 ジュースを一口で飲み干した蒼は、並べられたお菓子を前に目を輝かせた。
「おー、お菓子一杯だ! プリン……! これ食っていい?」
「あ、プリン? 私も頂きます」
 もちろん、とプリンを手渡されていく蒼と涼香。
 蒼ががっついていく横で、涼香はねーさんにスプーンを差し出していた。
「はい、ねーさん。あーん」
 はずんだ調子でねーさんがプリンを食べる中、仁志もまたカポと並んでバナナをぱくついていく。
 ひと仕事して疲れた後。
 バナナも甘いお菓子も良いおやつ。
 物足りない者たちはおつまみにも手を出していた。
 シートの外側では、壬蔭が烏賊の一夜干しを炙っている。
「みんな、好きなもの食べてなー。サーヴァントたちも遠慮せず」
「がははは!! 酒はいい!!! それから、焼けたらオレにも分けてくれなぁ!!」
 デフェールが快活に笑いながら、カップに新たな酒を注いでいく。
 楽しげな時を過ごしていく仲間たちを見つめながら、リンもおにぎりをもぐもぐと。
 後で焼きイカを分けてもらおうとも考えながら、次のおにぎりへと手を伸ばしていく。
 そんな折、ハコにお菓子を与えていた結は肩に温もりある重さを感じた。
 視線を向ければ蒼がお菓子を握ったまま眠りこけていた。
「蒼くん、大丈夫?」
 もう、夜は遅い。
 エネルギーも尽きてしまったというところなのだろう。軽く揺さぶるが、蒼が目をさます気配はない。
 仕方ないと肩を貸したまま、蒼に上着をかぶせていく。
 帰る時は送っていくと壬蔭が申し出る中、宴会は続いていく。
 変わることなく輝き続ける夜空の下。月に、星々に、港町の平和を取り戻したことを伝えるため!

作者:飛翔優 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年6月15日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 4/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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