闘いはリズムに乗せて

作者:天枷由良

●調子よく
 その日は快晴で、神奈川県にあるバーベキュー場の一つが大変賑わっていた。
 あちこちから漂う肉の香り。酒を片手に笑う大人と、はしゃぎまわる子どもたち。
 何処からか踊りたくなるほど陽気な音楽も聞こえてくる。
 誰もが皆、楽しげで。故に突如現れたものの正体を理解するまで、暫しの時間を要した。
「……え?」
 未だ呆然とする人々の視線が集まる先、敷地の真ん中あたりに立つ、大きな男。
 3メートルほどの屈強な肉体を持つそれ――エインヘリアルは、流れ続ける音楽に合わせて奇妙なステップを踏む。
 この動き、見たことがあるような。
 そう感じる人々もいたが、記憶を辿ったところで何の役にも立たない。
 巨躯から想像し難い身軽さで宙に舞ったエインヘリアルは、信じられないことにただの一蹴りで、人の体を半分に分けてしまったのだ。
 噴き出した血が芝生を汚し、悲鳴と怒号が飛び交う。
 それらに合わせて跳ねるエインヘリアルは、くぐもった声で笑いながら殺戮の限りを尽くすのだった。

●ヘリポートにて
「エインヘリアルによる虐殺事件を予知しました」
 ケルベロスたちを前に、セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)は丁寧な態度で語り始めた。
「エルモア・イェルネフェルト(金赤の狙撃手・e03004)さんから頂いた情報が、今回の予知に結びつきました。現れるエインヘリアルは、近頃出現の報告が続いている、過去にアスガルドで重罪を犯した凶悪犯罪者であるようです」
 言うまでもなく、凶行を止めなければ多くの人々が生命を奪われてしまう。
 それによってもたらされる恐怖と憎悪は、地球で活動するエインヘリアルの定命化を遅らせることにも繋がるかもしれない。
「急ぎ現場に向かい、エインヘリアルを撃破してください」
 敵は昼、海沿いのバーベキュー場に現れる。
 そこは芝生の広場に木製のテーブルが並んでいて、敵出現時も多くの人々が貸し出されたコンロなどを使いながら、食事と余暇を楽しんでいる状況だ。
「撃破目標であるエインヘリアルは、このバーベキュー場中央に出現します。皆さんは敵を確認すると同時にヘリオンより降下し、攻撃を加えてください」
 そうすれば、エインヘリアルは先に障害を排除しようと向かってくる。
 またバーベキュー場の利用客も、戦闘に巻き込まれまいと自主的に逃げていくだろう。
「つまり特別に避難誘導などをする必要はないわけですが、もしも多少の呼びかけなどを行うのであれば、殺気などにて排除しようとするのでなく、人々を励ますような形が好ましいでしょう」
 それから……と、セリカは少し間を置く。
「エインヘリアルの戦闘能力ですが……皆さんはカポエイラ、或いはカポエラと呼ばれるものをご存知でしょうか? 格闘技と音楽、それに踊りを混ぜ合わせた文化なのですが」
 どうやらエインヘリアルの戦い方は、このカポエイラに似ているらしい。
「腰を落とした状態で左右に体を移動させ、隙を見て様々な蹴り技を放ってくるでしょう。そのほかにも、リズムに乗ることで負傷を消すという少々ユニークな技能を持ち合わせているようです。曲芸的かつ独特な動きは非常に捉えづらいでしょうから、機動力を奪うような戦法が有効ではないかと思います」
 作戦立案の参考になさってくださいと付け加え、セリカは説明を終えた。


参加者
古鐘・るり(安楽椅子の魔女・e01248)
アイリス・フィリス(ガーディアンシールド・e02148)
神薙・灯(正々堂々真正面からの不意打ち・e05369)
エフイー・ノワール(遥遠い過去から想いを抱く機人・e07033)
暮葉・守人(狼影を纏う者・e12145)
サフィール・アルフライラ(千夜の伽星・e15381)
アニマリア・スノーフレーク(十二歳所謂二十歳・e16108)
鉄砲小路・万里矢(てっぽうはつかえません・e32099)

■リプレイ

●出撃
 古鐘・るり(安楽椅子の魔女・e01248)は知人の姿を思い浮かべる。
 予知に一役買ったあのレプリカントは、別件で踊り歌ってくるらしい。
 全く暢気なことだ。しかし彼女らしいとも言えるし、今回の事件には、るりの方が適任かもしれない。
 何故なら倒すべき相手が罪人であり、るりにとって罪は裁かれるべきものだから。
 その手段は竜を象った炎、或いは黒色の魔力弾。はたまた模造した神槍か。
 今はまだ分からない。けれど断罪の時は近い。
 ――なんて、元来口数少ない少女が考えていたかどうか。
 同乗する仲間たちの知るところではなかった。何より、彼らの意識は他に向いている。
 さて、何処に向いているか。
 答えは、アニマリア・スノーフレーク(十二歳所謂二十歳・e16108)の手中にあった。
 かちゃりと音を鳴らしたそれは――古めかしさを感じるオールインワン音響機器。
 ミニラジオカセットレコーダー。通称ミニラジカセ。
 ミニ、ミニ、と侮るなかれ。なんとCDも再生できるらしい。
「あ、リクエストあったら受け付けますよー」
 アニマリアは肩を並べていたドラゴニアン、アイリス・フィリス(ガーディアンシールド・e02148)などにゆるりと伺いつつ、スイッチを押す。
 流れてきたのは――懐かしの歌謡曲でも最新ヒットチャートでもなく、得体の知れないコメディチックBGM。
 それはスイッチ一つで、おどろおどろしいホラー風に早変わり。
「ジャズはありますか?」
 暮葉・守人(狼影を纏う者・e12145)が尋ねれば、待ってましたとばかりにピアノやらサックスやら、コントラバスやらのスローでモダンでムーディな音が響きだす。さすがミニラジカセ。すごいぞミニラジカセ。
 ところで、このミニラジカセ。デウスエクス退治の役に立つものか。
 答えは否、である。普通なら。
 しかし今日ばかりは、ひょっとしたらと可能性を秘めている。
 理由はズバリ、敵がリズムに乗って人を蹴り殺すエインヘリアルであるから。
 その技は地球の文化で言うところの、カポエラだかカポエイラだかに似ているらしい。
 ならば不気味だったり不安定だったりする曲を聞かせれば――。
「そこが弱点にもなりえます!」
 力強く言って、エフイー・ノワール(遥遠い過去から想いを抱く機人・e07033)が持ち込んだポータブルスピーカーをセット・オン。ミニラジカセの戦闘力を高めてやった。
 有線接続なのはご愛嬌。それを受けて、アニマリアも拡声器を保持するドラゴニアンの尻尾にラジカセをセット・オン。
 ついでにぴこぴこ、あれやこれやと弄り回してやれば、音響兵器アイリスの完成。
 あとは実践あるのみだ。
 準備を整えたケルベロスたちは、眼下の敵に向かって飛ぶ。

●急襲
 その光景は、星が墜ちるようだった。
 流れるでも降るでもなく、墜ちる。脚に煌きと重力を宿した四人――エフイー、サフィール・アルフライラ(千夜の伽星・e15381)、鉄砲小路・万里矢(てっぽうはつかえません・e32099)、そして神薙・灯(正々堂々真正面からの不意打ち・e05369)は、やがて一つの巨大な光となって地に墜ちた。
 それは偶然でなく、灯の呼びかけによるものだ。戦いの中で上手く技を連携させることができれば……という話だったが、その絶好の機会が最初の一手に有ったのだった。
 衝撃が大地を揺さぶり、そこそこの窪みを作り上げる。落下点に湧いたばかりのエインヘリアルは一瞬で俊敏さを奪われて土煙に埋もれ、人々は恐怖より先に驚愕を覚えた。
「――私たちはケルベロスだ」
「ここは任されたー、という訳で早いこと逃げてくれなー」
 消失していく光の中からサフィールが軽やかに、万里矢は気怠げに抜け出て呼びかける。
「みなさん、安心して下さい! あいつは私たちが倒します!」
 僅かに遅れて、アイリスがテレビウムのカーネルと一緒に降り立つなり、ダイナマイトモードに変身しながら声を上げる。
 そこでようやく、人々は我に返って避難を始めた。
 ざわめきに含まれる恐れの色は、変わらず薄い。エインヘリアルが何をするまでもなく叩き伏せられた後、力強い姿を見せたアイリスらの呼びかけが奏功したのだろう。
 この分なら木机が少々邪魔をしたところで、逃げ切るまで時間もかかるまい。
 ケルベロスたちは守るべき人々から、倒すべき敵へと意識を切り替えた。
「さてと……こんにちは、名も無き侵略者さん」
 まずは名前を聞かせてよ。窪みから這い出たばかりのエインヘリアルに、守人は問う。
 しかし返ってくるのは、言葉にならないような唸り声。
 浅黒い顔から黄ばんだ歯を剥き出しにして、罪人は身体を揺らす。
 それは次第に一定のリズムを取り始めた。
 いざ目の当たりにしてみると、アイリスの予期していた通りなかなか奇妙な姿である。
 万里矢の彷徨う視線が行き着いた先、木机に載ったミニではないラジカセから漏れる陽気な音楽に合わせ、腰を落としつつ左右に動く様は挑発しているようにも見えるし、或いは知性の欠片も無い獣にも思える、
 サフィールの胸中には「大男、総身に知恵が回り兼ね」なんて言葉すら浮かんだ。確かに、頭は鈍そうだ。
「ともあれ、潔く散って貰うぞ」
 仲間を鼓舞する爆風を起こすため、サフィールは掌に収まるほどのスイッチを取り出す。
 その瞬間、エインヘリアルは横方向にくるりと一回転して、まるでバネでも仕込まれているかのように宙へ舞った。
 ケルベロスたちも、合わせて動く。アニマリアはミニラジカセを操作して力の抜けそうな曲を流し、光り輝く星だった四人は間合いを取って蹴り技に備える。
 だがエインヘリアルの跳躍は、攻撃でなく自らの調子を取り戻すためのものだったらしい。不規則な音楽に釣られないよう、テンポの良い音楽が流れる方へ降り立つと、途端に激しく踊りだした。
 弾ける笑顔、飛び散る汗。側転を何度も繰り返したりして、なんというか、とても楽しそうだ。ミニラジカセの音など、まるで聞こえていない様子。
「うへー、面倒臭い動きすんなー……」
 思わず愚痴る万里矢。
「楽しそうな事は嫌いじゃない、相手の首を切り落とすには過分な緊張は宜しくないからな」
 サフィールは笑いながら言って、身体を揺らす。
 あれが罪人、デウスエクスでなければ首など刎ねなくてもよいのだが。
「出て来て直ぐで悪いけど、キミの好きにはさせれないな」
 所詮は殺さねばならない敵。
 守人は余裕を見せつつ、風を喚ぼうとした。
 そして。
(「……しまった」)
 その技を使える状態にはしていなかったことに気付く。
 行動の軸に据えていたものが使えないとは一大事だが、戦いが始まってからではどうしようもない。
 やむを得ず、守人は思考を切り替えて一太刀入れる隙を伺うことにした。
 程なく、その時は訪れる。敵から十分に離れたところで、るりが指を打ち鳴らして喚んだ神槍の模造品が、屈強な肉体を安々と貫いて機敏さを奪い取った。
「ダンスの相手はお断りよ。そっちのペースに合わせる気はないわ」
 穿つ穂先と同じように冷ややかな声が飛ぶ。それに紛れるほど密やかに忍び寄り、守人が刃を閃かす。
「俺の仕事は仲間を癒す事だけどさ、別に戦えない訳じゃないよ」
 囁きと共にエインヘリアルの首元が裂け、噴き出した飛沫は芝生を色濃く染めた。
 常人ならたちまち力を失くして死に至っただろうが、そこは腐ってもデウスエクス。巨躯の罪人は掻き斬られた急所を押さえることすらせず、己を傷つけた者の姿を求めて憎らしげに視線を巡らす。
 しかし、その眼が守人を探し当てる前に、さらなる衝撃がエインヘリアルを襲う。
「人の叡智より生まれし殺戮の玩具よ。我が声に応え顕れ給へ」
 アイリスが一節唱え、無数の浮遊砲台を召喚した直後。
 雪さえも退く凍気を纏った杭を、アニマリアが敵の懐目掛けて突き出した。
 直撃だけは避けようと、エインヘリアルは身を捩る。だが己のリズムを取り戻しきったようでいて、既に受けた攻撃の影響は少なからず身体に残っていた。
 無様なことに、巨躯を支える膝が折れる。その一瞬を見逃さず、アニマリアは軌道修正した杭を狙い通りのところにぶち込んだ。
 攻めに全霊を注いだ一撃が凄まじい音を響かせて肉を抉る。合わせて、アイリスの砲台が火を噴く。
 けれども飛沫などは、何かを汚す前に凝固して落ちる。
 会心の当たり、してやったりだ。
「アイリスちゃん、ありがとっ」
 アニマリアは支援してくれた仲間に礼を述べつつ退き――。
「っ!」
 悍ましい顔で喰らいついてくるエインヘリアルを見て、息を呑んだ。
 膝が迫る。間一髪で躱せば、敵は大地に手を付いて身体を捻り、脚を振り下ろしてくる。
 それを伸びたままの杭で何とか受け流す。これで終わりかと思えば、今度はバク宙から両脚が落ちてきた。
 さすがにもう、避けられない。アニマリアは痛みに備える――が、実際に訪れたのは予期したものより柔らかな衝撃。
 なんとなくエインヘリアルから漂いそうだった漢臭さも感じられず、瞬く目は藍色と視線を交える。
「危ないところでしたね」
 その言葉で、アニマリアは庇われたことを理解した。
 そして庇ったアイリスの傍らでは、戦いの衝撃に耐えられなかったミニラジカセwith拡張セットが尻尾から振り解かれ、見事にご臨終なされていた。

●善戦
 闘気を纏った蹴り技は強力だったが、それに合わせた防具を用意してきたアイリスに深手を負わせるまでは至らない。
 ましてや一人ぼっちで踊るエインヘリアルと違い、ケルベロスたちは八人組プラスワン。
 そのプラスワンであるテレビウム・カーネルが眩い光で敵を怒らせ、引きつけている間に守人がアイリスの傷を癒やしてしまう。
 自らの攻撃が徒労に終わったことでさらに猛り狂い、エインヘリアルはカーネルを蹴り飛ばした。
 柴犬の成犬ほどの大きさしかないサーヴァントはサッカーボールのように宙を舞って。
「カーネルごめんね!」
 何を血迷ったのか主人に華麗なボレーキックを繰り出され、浅黒い肌のもとへ逆戻り。
 また回し蹴りを喰らい、程なく砕け散った。
 喜劇か悲劇か判断の分かれる光景である。しかし大事なのは、カーネルが敵の攻撃機会を数度奪い取ってやったこと。
 その間に攻勢を強めたケルベロスたちは、エフイーと万里矢の攻撃を軸にエインヘリアルから機動力のみならず、戦うためのありとあらゆる力を根こそぎ奪っていく。
 結局、エインヘリアルは演舞で誰一人仕留めることのできないまま、あっという間に追い詰められていった。

 それでも、同族にさえ危ぶまれた存在であるという意地か。
 巨躯の罪人は刹那の輝きを見せた。
「陽気すぎるわね。もっと暗いほうが落ち着くと思わない?」
 垂れ流されっぱなしの音楽を聞き流しつつ言って、るりが黒色の魔力弾を撃ち当てたところで。
 エインヘリアルは力を振り絞ってリズムに乗り、灯に仕掛けた。
 まずは勢いをつけた飛び蹴り。着地するなり、また跳ねながら後ろ回し蹴り。流れるまま身体を沈めて、屈んだ態勢から後方へ宙返りしつつの蹴り。
 木机やらコンロやら、大地の凹凸などを全く意に介さない一連の動作は、るりも思わず驚愕と感嘆の声を上げてしまうほど。
「っ、命のやり取りがなければ楽しいんだけどな」
 踊り合わせるようにギリギリのところで躱し続け、灯はボヤく。
 しかし、彼が言う命のやり取りの本番は、この後に訪れた。
 繰り出された蹴りの数々は全て牽制。エインヘリアル渾身の回し蹴りが、態勢を崩した灯を狙う。
 ――と、罪人が煌めくのは此処まで。
 踊り狂う様をよく観察していたサフィールが、守人に魔法の木の葉を纏わされつつ割り入って、防具を頼りにあっさりと蹴撃を受け止める。
 おまけに陽気な音楽まで途絶えた。万里矢がバールのようなもの片手に、ミニじゃないラジカセを撲殺してしまったのだ。
「……お前が極めた技、認めてあげるわ」
 僅かな沈黙を軽い拍手で破って、るりが言う。
「こちらも、最高の技で応えましょう。……私以外がね」
 肉弾戦を領分としない少女は引き下がり、代わって四人のケルベロスが芝生を走る。
「疾風のように……駆け、そして蹴り抜ける!」
 エフイーが旋風を起こさんばかりの速さで、宣言通りに蹴り抜け。
「息の合った我らの蹴りをご披露しよう……らいだ――」
「おおっと」
 サフィールの言葉を遮りつつ、灯が二人で挟み込むように飛び蹴りを打つ。
 そこにアイリスまでもが流星のごとく降って、サンドバッグと化したエインヘリアルは耐えきれず膝をついた。
 ケルベロスたちの猛攻で機敏さは完全に失われ、もはや死は避けられない。
 それでも力尽きるまで戦うのがデウスエクス。
 エインヘリアルは耳に残る音楽を最後の拠り所として、アニマリアに回し蹴りを打つ。
 ……しかし哀しいかな。
 彼女はそれを予期していたように、情け容赦無く足払いで軸足を攫った。
 そして倒れゆく巨躯に、杭を向ける。
「滅びし街の遺志よ、頂を目指す階と成り道を切り拓けっ!!」
 先端に真白の光が収束し、武器自身が纏う凍気すら切り裂く鋭い一撃で、エインヘリアルの身体が穿たれる。
 幾度か痙攣した巨漢は、そのまま塵と化して消えていった。

●祝宴
「さぁ、沢山焼きますよ~! 皆さんどんどん食べてくださいね!」
 野菜や肉を網の上で踊らせつつ、エフイーが方々に呼びかける。
 戦いの名残を片付けたケルベロスたちは、再び余暇に興じようとする人々に混ざり、用意した食材を振る舞っていた。
「……あぁ、食べますか?」
 トングを手に調理へ加わっていた灯が、子供の視線に気づいて肉を取る。
「こっちも焼けてますよ!」
 テキパキと慣れた手つきで串焼きを量産する守人の周囲には、いつの間にか人だかりが。
 香ばしい香りにあちこちで笑みが溢れ、それを眺める守人も綻んだ顔を見せる。
 それから、るりは程よく火の通った野菜をいくつか皿に乗せ、その甘さに舌鼓を打ち。
「海近いですし、何か獲ってきましょうか?」
 アニマリアが、そんな事を言い始め。
「ま、人的被害はなくてよかったさねー」
 だらりと木机の端にもたれて、万里矢が溶けたような声を漏らす。
 そのうち、酔いの回った大人や無邪気な子供が、ケルベロスたちに賞賛の声を浴びせ。
「いえいえ、それほどでは」
 アイリスが謙遜してみせたりして、賑やかな時間は過ぎていくのだった。

作者:天枷由良 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年6月20日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 5/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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