君がいるから

作者:雨音瑛

●嫉みと憧れ
 体から羽毛を生やした人間が、椅子に縛り付けられた男を眺めている。
「よう、榊。社内デザインコンペ1位、ひとまず『おめでとう』か?」
「桐沢先輩、なんで……こんなこと」
「なんで? なんでって、お前……」
 そこまで言って、桐沢と呼ばれた異形は舌打ちをした。
「俺より10も年下で! 期待の新人なんて言われて! 入社早々、社内デザインコンペ1位で! これで妬まないって方がどうかしてるんじゃねえの!?」
「……僕は、先輩に憧れてこの会社に……」
 榊の言葉に、桐沢は皮肉めいた笑みを浮かべる。
「この期に及んでお世辞とは、デキる男は違うねぇ? 俺のどこに憧れる要素があるよ? デザイン会社に入社したものの、鳴かず飛ばすで細かい調整だけが取り柄。社内デザインコンペなんざそもそも参加すらさせてもらえないこの俺の、どこに憧れるってんだ?」
「先輩のつくるデザインは、細かいところが整ってい、て……僕なんかじゃ、とても……無理、で……」
「……もういいよ。黙れ。な?」
 桐沢は微笑み、震える榊の指をナイフで切り落とした。

●ヘリポートにて
「仙台市にある廃アパートの一室で、ビルシャナを召喚した人間が事件を起こそうとしている」
 ヘリポートに集まったケルベロスに、ウィズ・ホライズン(レプリカントのヘリオライダー・en0158)が告げた。
「ビルシャナを召喚した男、桐沢は理不尽で身勝手な理由からビルシャナに復讐を願った。そして願いが叶えばビルシャナのいうことを聞く、という契約を結んでしまったらしい」
「俺が警戒していたとおり、ってことか……。桐沢が復讐を果たしてビルシャナになる前に、そして榊が死んでしまう前に助けてやりたいな」
 宵華・季由(華猫協奏曲・e20803)が、ヘリポートを見渡した。
「では、詳しい情報を私から。現場……桐沢と榊がいる場所は、今は使われていないアパートの一階だ。扉や窓を破壊すれば、簡単に侵入できる」
 戦闘となるのは、桐沢と融合したビルシャナ1体。怒りのためか攻撃力は高く、炎や氷を放つ攻撃のほか、トラウマを具現化する鐘を鳴らすこともあるという。
「戦闘時、桐沢は復讐を邪魔したケルベロスの排除を優先的に行おうとする。苦しめて復讐したいと考えているようで、榊を攻撃することはない……が、桐沢は自身が敗北して死にそうになった場合、榊を道連れに殺そうとする場合もある。注意が必要だ」
 また、ビルシャナと融合した桐沢は基本的に撃破時にビルシャナと一緒に死亡する。
「可能性は低いが……桐沢が『復讐を諦めて契約を解除する』と宣言すれば、撃破語に人間として生き返らせることもできるようだ。とはいえ、この契約解除は心から行わなければならない」
 つまり『死にたくなければ契約を解除しろ』といった利己的な説得では救出できないということだ。
「君たちに頼みたいのは『ビルシャナを倒すこと』。だが……榊はもちろん、可能であれば桐沢も救ってあげたいところだな」
 小さく息を吐き、ウィズが説明を終える。
「――しかし、嫉妬とは恐ろしいものだ。誰もが持ち得る闇……放っておくわけにはいかないよな」
 つぶやき、季由はうなずいた。


参加者
結城・八尋(その拳は護るために・e03795)
除・神月(猛拳・e16846)
久瀬・了介(連矢羽・e22297)
ウィルマ・ゴールドクレスト(地球人の降魔拳士・e23007)
山内・源三郎(姜子牙・e24606)
フィオナ・オブライエン(アガートラーム・e27935)
柔・宇佐子(ナインチェプラウス・e33881)
沖田・ありあ(白のラメンタビーレ・e36935)

■リプレイ

●理解者は
 月が雲に隠れる。
 廃アパートの前に集ったケルベロスたちは視線をかわし、うなずいた。
 結城・八尋(その拳は護るために・e03795)は拳で、除・神月(猛拳・e16846)は足で。勢いのままにドアを破れば、ビルシャナ化しつつある桐沢が、今まさに榊に危害を加えようとしていた。
 神月は駆け出し、二人の間に割って入る。
「させねーヨ! ウィルマ、頼んだゼ」
 言われ、ウィルマ・ゴールドクレスト(地球人の降魔拳士・e23007)はうなずいて榊を縛るロープを引きちぎった。榊の手を取り、庇える範囲まで連れ出す。
「人、の、嫉妬って、根深くて、怖いもの、ですねえ?」
「え、あ、ケルベロス……?」
 やや混乱している様子の榊に、ウィルマは凛とした所作を見せた。
「大丈夫、大丈夫……」
 両手を握るって笑顔を見せれば、榊は礼儀正しく頭を下げる。
「僕を助けてくれたんですよね。ありがとうございます」
「あ、まり、仲がよろしくなかったの、です、か?」
 そんなことはないはず、と首をひねる榊に、ウィルマは小さく息を吐いた。
「で、は……あの方、の感情には気づいていなかった、と」
 何か言おうとした榊だったが、それは激高した桐沢の声にかき消される。
「なんだお前らはああああああ!! 俺の邪魔をするなああああッ!」
 両腕を広げた桐沢が、神月へと孔雀形の炎を放つ。だが、それを受けたのは八尋だった。
「っと、通さねぇよ!」
 その隙に、山内・源三郎(姜子牙・e24606)は光の翼を暴走させ、光の粒子へと姿を変えて桐沢に突撃する。
 桐沢の背後に抜けたところで、源三郎は小さく息を吐いた。
 事前に桐沢が務める会社から彼の作品を借りてこられれば良かったのだが、予知の範囲では勤め先までは判明していない。
 それでも――手元に作品がなくとも、榊の言葉から推測できることがある。
「文字や写真の細かい修正、配色……そういったものが確かに広告の質を高めているのじゃろう」
 普段とは打って変わり、源三郎は真面目な調子で桐沢に語りかけた。
「ぶっちゃけた話、わしらトーシロでは判断できないところがある」
 そこまで聞いて、桐沢は自嘲めいた笑みを浮かべる。
「はん、素人がどんな説経するつもりだよ?」
「だがな、わかるやつ、この仕事に携わってるやつや榊は必ず気づいているはずじゃ。お主の作品のすごさがな」
 無言になる榊に、柔・宇佐子(ナインチェプラウス・e33881)が続ける。
「あるスポーツプレイヤーがスター選手をヒマワリに、自分を月見草にたとえたという話があるわ」
 言いつつ、宇佐子は満ちた月に似た光の球を源三郎へと放った。
「花の中にはヒマワリもあれば、人目につかないところでひっそりと夜に咲く月見草だってあるのよ。皆がすぐに気づくひまわりと、ちっぽけで地味な月見草」
 でも、と続ける宇佐子を、桐沢はいぶかしげに見遣る。
「ふと気づいてあらためて見てみると、月見草のかわいさに気がづくのよ。みんながみんな、あなたのすごさがわかっているわけじゃないけどきっとわかっている人もいるとおもうのよ。……少なくともわたしは、あなたは絶対にすごいとおもっているのよ」
 桐沢が努力家であること。細かい作業ができること。それは絶対に素晴らしいことであると、宇佐子は桐沢を褒める。
「俺だって……自分のことをそう思ってたことがあったさ。こんな細かい作業できるのは、俺しかいない、ってな……」
 泣き笑いのような表情をする桐沢をちらりとも見ずに、ウイングキャット「ヘルキャット」が重そうな体から生えた羽を羽ばたかせた。

●望むことは
 応戦しながらの説得において、援護は心強いものになる。神月はルナティックヒールを応用したグラビティ「ルナティックオーラ」を展開した。
 満月を思わせる蜜色のエネルギー空間が、前衛を包み込む。もたらされるのは、肌で空気の流れを、匂いで敵の位置を感知する、狩りを行う獣の鋭敏な感覚だ。
 続くフィオナ・オブライエン(アガートラーム・e27935)は、癒やし手として最大限の力を発揮するためのグラビティを自身に使用する。
「其は勇者スレンによりて奪われしもの。其はディーアン・キェーフトによりて齎されしもの。しろがねの右腕よ、癒やしの力を!」
 右のガントレットから放たれた光がフィオナの回復力を底上げする。フィオナのウイングキャット「キアラ」もブルーグレーの毛並みを揺らして翼をはためかせた。
 久瀬・了介(連矢羽・e22297)もまた、説得に加わる。
「お前の取り柄の細かい作業技術も、一朝一夕で身についたものじゃないだろう? 10年間苦労して鍛え、培ったお前だけの能力だ。妬み嫉みで簡単に切り捨てられる程、お前の10年は軽かったのか?」
 ダメージコントロールで前衛を癒し、了介は桐沢を直視した。
 戸惑う桐沢を横目に、八尋は紙兵を前衛へと撒いた。
「そら、守護飛ばしてこい!」
 言いたいことはあるが、今は仲間への加護を優先して。そんな八尋の前に、ナノナノの「ありえった」がバリアを張る。
 指示通りの動きにうなずき、沖田・ありあ(白のラメンタビーレ・e36935)が妖精弓を引き絞った。仲間の頭上を通り抜けた矢は、真っ直ぐに桐沢の体を貫く。
 桐沢は一日下がり、氷の輪を後衛に向けて放った。直後、ウィルマの展開したケルベロスチェインが後衛を守護する魔法陣となる。
 その後は、榊の顔をよく見せて。
「……あなたは今す、すっきりして、不満がなく、なって……た、楽しい? 劣等感は消え、ましたか?」
 言われ、桐沢は榊を見る。
「そう、しなければいれらなかった、気持ち。きっと、誰も、全部は分かって、あげられない。で、も……それが、本当に、あなたの望み、ですか? ……そんな姿になってまで」
 ウィルマが、桐沢に鏡を向ける。外灯や月の光が入り込んでいるとは言え、薄暗い室内ではまともに見えない。
 それでも、桐沢は鏡と榊から思い切り視線を逸らした。桐沢の反応に、ウィルマは思わず口角を歪ませる。
「オイ! お前の憧れがビルシャナ野郎にいいように使われてんだゾ! 先輩後輩とか関係ネー、お前が憧れてんならしっかり全部伝えてやんナ。好きな作品とかあんだロ?」
 と、榊に呼びかけるのは神月。
「は、はい! 先輩が先月調整してたポスター、キャッチコピーにあったひらがなの文字間隔! あと、メインの被写体にかからないように配慮した絶妙な位置! それでもバランスが取れてて! ぱっと見は均等な余白なのに、定規で測ったら微妙に違ってて!」
「そ、そんなことまでしてたのかよ! で、でもなあ、コ、コツさえ掴めば誰だってできるんだよ!」
 嫉んだ相手からの賞賛に動揺しながら、桐沢は怒鳴るように言う。
(「得意な武器があんなラ、桐沢も十分スゲーと思うんだけどナー」)
 二人の応酬に首をかしげ、神月が桐沢に肉薄した。
「あたしは見ての通りがさつだからヨ、デザインの事は知らネー」
 と、桐沢の胸元に拳を叩き込み。
「けどこーゆーのっテ、細かい所が重要何じゃねーの? デザインを知らねーあたしが一番感動すんのハ、細けー所までちゃんとしてんのをみた時なんだゼ」
 神月は、言い切った。

●必要なものは
 ヘルキャットが清らかな風を後衛へ送る。対して、宇佐子は攻撃へとシフトする。うさぎの耳をなびかせ、桐沢の足元へ蹴撃を。
「出でよ我が猟犬! 全てを喰らえ!」
 畳みかけるは、源三郎の召喚したやたらにでかい黒い犬。犬たちは桐沢に飛びかかって好き放題暴れ――事後は、言うことを聞かない猟犬たちをやっとのことでどこかへと戻して。
 マントをなびかせなながら尻尾の輪を飛ばすキアラに次いで、フィオナはオウガメタル「Dreige」から、オウガ粒子を放出した。
「確かに、派手な仕事が評価されやすいってのは分かるよ。ケルベロスだって……その、クラッシャーとかスナイパーのほうが分かりやすく恰好いいしね。僕だって、たまにはそういう派手な仕事したくなる事あるもの」
 でも、とフィオナは静かに首を振る。
「でも、だからってみんながそういう事しちゃったら、何も回らないじゃあないか。評価されにくい仕事をこなせる人こそが、本当にデキる男って事じゃないのかな?」
 力強い笑顔を向け、フィオナがうなずいた。
「それに……榊さんのためにも、あなたの事は、できれば殺したくはない……」
 その呟きにありあがうなずき、優しく語りかける。
「私たちはあなたも救いたい」
 ありあ自身、デビューを約束された歌手だ。家族が殺されたことをきっかけに光が当たった。だから、目映いばかりの才能を嫉む気持ちは、わからなくもない。
「きっと華やかな場所に憬れていらっしゃるのでしょう。ひと目につかない自分の能力を疎ましく思っているのかもしれない。けれども、それならどうして十年もの間同じ職場で働けたのでしょう」
 問いかけに答えない桐沢に、ありあは微笑みかける。
「貴方のことを尊敬する人はたくさんいるんです。榊さん然り、上司や他の人然り」
 ありあもまた、ありえったがいたから生きてこられたという側面もある。ありあはありえったとうなずきあい、矢を放つ。ありえったは桐沢の側面に回り込み、尻尾を突き刺す。
(「無能という訳でもないだろうに、贅沢な話だ」)
 心の中でためいき一つ、了介は達人の一撃を叩き込んだ。
「彼を殺したとして、お前の立場の何が変わる? コンペで一位になれるまで上を潰し続けるか?」
 どう見ても現実的ではないだろうと、了介は続ける。
「事を成したとしてもビルシャナの僕、仮にこの場を切り抜けてもケルベロスはお前を追い続ける。それだけの代償を払う価値がこの復讐にはあるのか?」
 了介の述べる言葉はまさに、正論。直接改心することはないだろうが、揺さぶりをかけるのが了介の狙いだ。
「せぇぇぇいっ!」
 勢いよく右の拳を叩き込むのは、八尋。
「桐沢っつったか、俺は雑誌記者だ。グルメ雑誌の記者をやってる」
 いわば同業者の八尋は、桐沢の目を見て続ける。
「雑誌ってのは派手なだけじゃダメだ。デザインが細部までちゃんとしてねぇと、客の目には留まらねぇ。そういう仕事はな、お前みたいな才能の持ち主こそ必要なんだよ。そこの後輩も、そういう仕事ぶりに憧れたんじゃねぇのか?」
 そう、見るものがいなければデザインは何の意味も持たない。見せるには、そして読ませるには、アイディアだけでもダメだ。細かい調整だけでもダメだ。
 不意に、桐沢の目から涙が零れた。

●新たな願い
 桐沢は迷うように頭を振り、浄罪の鐘を鳴らした。
「あれ、なんで涙……俺は復讐を……俺の復讐は……俺はデザインが……俺にはアイディアが……細かい調整が……」
 ふらり揺れる桐沢に、源三郎が光となって体当たりを喰らわせる。加わるは、宇佐子の将来性を感じる渾身の一撃。
 羽毛が凍り付いたためか、桐沢は一度だけ身震いをする。
「ああ……。本当に、本当に、どうしようもない、人」
 前髪ごしに桐沢を見て、ウィルマはクスリと笑う。前衛に風を送るヘルキャットに続き、ウィルマは花弁のオーラを降り注がせた。
「桐沢ァ! お前に憧れてる後輩ニ、これ以上かっこわりートコ見せるつもりかヨ!? とっととその鳥野郎、お前の中から追い出しちまいナ!」
 如意棒を伸ばして桐沢を突き、神月が発破を掛ける。
 キアラが再び引っ掻こうと桐沢に走り寄るが、桐沢は直前で体をひねり、回避する。その先にいたフィオナが、Dreigeを纏った拳で桐沢を押し返すように殴りつけた。
「被害確認。状況を立て直す」
 桐沢と仲間の様子を冷静に観察していた了介は、迅速な応急措置を施した。一人を回復するグラビティを持ち込んでいれば個別の回復もできたが、癒やし手が二人体制の現状、ダメージコントロールでも十分凌げる。
 ありえったがハートの光線を放ったのを合図に、ありあがバラードを歌い出す。
「せめて私に足があれば 声が出れば あなたを追いかけたいのに 涙の海に溺れていく」
 悲哀を感じる歌声にグラビティを乗せ、ありあは歌い上げた。そうして呼吸を整え、続ける。
「貴方の得意なことはなんですか。それは人には負けないことでしょう。人にはできないことでしょう。――私たちは存じています。あなたにだって、華やかな勲章がついていることを」
 そこまで言って、ありあは小さく祈りの歌を口ずさんだ。どうか皆が幸せになれますように、と。
「仕事ってのは一人だけじゃ出来ることの嵩が知れてるもんだ。どうせならお前ら二人で、でかいこと成し遂げてみせろ! ビルシャナとの契約なんぞに、命を使うんじゃねぇ!」
 猛スピードで全力の貫手を喰らわせながら、八尋が叫ぶように言った。
「二人、で……? ……なあ、さか」
「やりましょう先輩!!」
 桐沢の言葉を遮って叫ぶ榊の目が、輝いている。桐沢は拭うように目元をこすった。
「……俺の、負けだ。『契約』を『解除』するよ」
 桐沢は、契約を解除した。ならばケルベロスたちが成すことは、ひとつだけだ。
「ああ……。本当に、本当に、人間ってめんどうくさい」
 またクスリと笑って、ウィルマは蒼い炎を纏った巨大な剣を召還した。
「さようなら」
 言葉に合わせて、剣は桐沢を水平に斬る。
 難儀するとは解っていても、源三郎も二匹の黒い二を呼び出した。
「光り輝く才能に打ち勝たねば、自身の成長はないのじゃ。それはそれとして、ワシをモデルに広告なんてどうかのう?」
 茶目っ気のある笑顔を浮かべる源三郎の頼みに、桐沢は苦笑する。
「和服の広告制作があるんだ。今度、ぜひうちに来てくれよ。写真を使ったデザインが得意な奴がいるんだ」
 今なら榊にもわかる。自分が求めたものが、自分にあるものが。
「ぺちゃくちゃ小賢しい鳥頭ハ、これで退場しちまいナ!」
 忌まわしい姿を断ち切るのは、神月による降魔の一撃。
 羽毛が散らばり、人の姿に戻った桐沢が倒れ込んだ。桐沢は起き上がるなり、榊の眼前まで歩み寄り――。
「榊、すまなかった」
 直角に頭を下げる桐沢を、榊は数秒だけ無言で見る。
「焼き肉、おごってください。それでチャラです」
「お前……いいのか、それで」
「いいんです。僕、おおざっぱですから。だから先輩の細かいデザイン調整のコツとか、食べながら聞きたいです」
 真顔で言われ、桐沢は大きくため息をついた。あとは何やら楽しそうにデザイン談義をして、桐沢と榊は去ってゆく。やがて振り返り、頭を下げて礼を述べる二人に手を振り、八尋は笑って見送る。
「っし、今日もよく働いたっと」
 心地よい疲れを感じながら、八尋もその場を後にした。

作者:雨音瑛 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年6月19日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 7/キャラが大事にされていた 0
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