●スターフルーツテンプテーション
程よくきらめく木漏れ日と木々のざわめきが混じり合い、涼しやかな空気に満たされている六月始めの朝。大阪城雑木林近くの道路でランニングを行っていたお爺さんが、小首を傾げて立ち止まった。
「なんじゃ?」
息を整え、耳を澄ませる。
自分を呼ぶ、若い女性の声が聞こえてきた。
なぜだか、その子は少しだけ湿り気を帯びているようにも感じられた。
お爺さんはキョロキョロと左右を見回した後、咳払い。
「別に期待しとるわけじゃないが……万が一、何らかの事件じゃったらいかん。確かめねば」
言葉とは裏腹に鼻の下を伸ばしながら、雑木林の中へと向かっていく。程なくして開けた場所へと到達し、その中心に生えた木の側に佇んでいる女性を発見した。
「おう!?」
遠目でもわかる瑞々しい体つき、果実の先端とエルドラドへの扉だけが星型の何かに隠されているという肢体。瞳をうるませながらに微笑むさまは、お爺さんを誘っているようにも思われて……。
「ほっほ、据え膳食わぬはなんとやら。今行くから、まっとれまっとれ」
だらしない笑みを浮かべながら、お爺さんは女性へとつか付いていく。
その両腕と柔らかな果実に抱きしめられ、お爺さんは……。
それから、一時間ほどの時が経っただろうか。
女性が腕を解くと共に、下半身を露出させたお爺さんが仰向けに倒れていく。もはや動くこともない先端がだらりと下る中、全身が地中に埋もれ始めていく。
見つめる女性は笑みを浮かべたまま木に背を預けた。
全てはグラビティ・チェインを絞り尽くし、自分の……攻性植物の栄養とするために。
●バナナイーター討伐作戦
ケルベロスたちを出迎えた黒瀬・ダンテ(オラトリオのヘリオライダー・en0004)は、メンバーが揃ったことを確認するとともに説明を開始した。
「爆殖核爆砕戦後、大阪城に残った攻性植物達の調査を行っていたミルラ・コンミフォラさん達から新たな情報が得られたこと、知ってる人もいると思うっす」
調査によると、大阪城付近の雑木林などで、男性を魅了するたわわに実った果実的な攻性植物、バナナイーターが出現しているようなのだ。
バナナイーターは十五歳以上の男性が近寄ると現れて、その果実の魅力で魅了し、絞り尽くして殺害することでグラビティ・チェインを奪い尽くしてしまうのだ。
「攻性植物は、こうして奪ったグラビティ・チェインを使って新たな作戦を行うつもりなのかもしれないっす。だから、皆さんにはこの出現するバナナイーターを撃破して、誘惑されてしまう犠牲者を救って来て欲しいんっすよ」
ダンテは地図を広げ、大坂城近くの雑木林の一角に丸をつけた。
「皆さんが相対するバナナイーターが出現するのはこの辺りになるっす。そして、一般の方が出会う前に先回りすることができるっすよ」
攻性植物を出現させるためには、そのまま一般人を誘惑させるか、一般人を避難させた上で十五歳以上の男性ケルベロスが囮となる必要がある。
バナナイーターは攻性植物の拠点となっている大坂城から地下茎を通じて送られているようで、囮となった人数に応じた数の攻性植物が出現する、という性質も持っているらしい。
「もっとも、出現するバナナイーターは、一体以外は戦闘力が低いみたいっす。だから、ある程度の数を出して一気に叩くってことも可能っすね」
注意点としては、バナナイーターが出現してから三分以内に攻撃を仕掛けてしまうと、出現した地下茎を通ってすぐに撤退してしまうということ。
つまり、囮となた者は三分間、攻撃などはせずに接触し続ける必要があるのだ。
幸い、バナナイーターの側も三分間は攻撃などはせず、対象を誘惑し続ける。そのため、囮が一般人であっても死ぬことはない。
また、バナナイーターはケルベロスであっても男性であれば獲物と扱う様子。バナナイーターの誘惑はケルベロスには効果はないが、誘惑されているようなふりをする必要もあるだろう。
「当日は、近くでランニングを行っていたお爺さんが誘惑さられる未来があるっすね。どの手段を取るかはおまかせするっすけど、どちらにせよお爺さんに対処できるようにして欲しいっすよ」
最後にと、ダンテはバナナイーターについての説明を開始した。
姿は概ね、隠すべき場所だけを星型に切り分けられたスターフルーツで隠しているだけの、瑞々しい肢体を持つ女性。また、スターフルーツの木を背にしている。
戦いにおいては妨害特化。
相手に抱きつき体をこすることで魅了の毒を浸透させようとする。相手の服などを脱がせ代わりに星型に切ったスターフルーツで大事な場所を隠す……といった攻撃。そして、星型に切り分けられたスターフルーツを流星群のように降り注がせ複数人を何度も攻撃するグラビティ、の三種を使い分けてくる。
「以上で説明を終了するっす」
ダンテは資料をまとめ、締めくくった。
「大坂城の攻性植物の調査を行ってくれた皆の苦労に報いるためにも、どうか、攻性植物の活動を阻止して欲しいっすよ」
参加者 | |
---|---|
クリームヒルデ・ビスマルク(自宅警備ヒーラー天使系・e01397) |
ユーカリプタス・グランディス(神宮寺家毒舌戦闘侍女・e06876) |
神宮寺・結里花(目指せ大和撫子・e07405) |
善田・万造(命のもとから鉄拳治療・e11405) |
天王寺・勇午(縞馬・e16358) |
リリス・ヴァンパイア(自称吸血鬼・e34072) |
土門・キッス(爆乳天女・e36524) |
朧・遊鬼(遊戯を司る者・e36891) |
●雑木林に潜む色の名は
汗ばむような陽射しが降り注いでいるけれど、木陰に入れば心地よい世界が広がっている六月はじめ。涼し気なざわめきが木漏れ日を躍らせていく雑木林近くの小さな道路。お爺さんは短パンにタンクトップという姿でランニングを行っていた。
足取りが乱れることはなく、呼吸にも無理はない。まだまだ逝くには早いお爺さんを護るため、ゴスロリ姿のリリス・ヴァンパイア(自称吸血鬼・e34072)が進路上に立ちふさがった。
慣れた調子で避ける軌道をとり始めていくお爺さんに、リリスは声をかけていく。
「そこのお爺さん、ちょっといいかしら?」
「?」
小首を傾げながら、立ち止まっていくお爺さん。
リリスは健やかなる胸を張り、不敵に微笑みかけていく。
――慎ましい胸にも、十分な魅力はあると思う。だから、私の胸の魅力で一般人の老人を誘惑し、避難させる。そうすることで、バナナイーターになんか負けていないことを証明できる!
「さあ、老人よ、この私の高貴な胸に飛び込んでくるがいいわ」
大見得を切った以上、決して失敗する訳にはいかない!
リリスは、一秒、二秒と反応を待った。
五秒、十秒と経過しても、お爺さんが何かをしてくる気配はない。
頬に汗を伝わせながら、改めてお爺さんを見つめれば……。
「って、ちょっと、どこを……」
雑木林の方角へと視線を向けていた。
たどればそこには、肌もあらわな少女の姿が……。
「あ、待ちなさい! ちょっと……もう!」
少女の名は土門・キッス(爆乳天女・e36524)。リリスよりも幼いながら、果実の成熟度合いは段違いな女の子。
両腕で持ち上げても溢れてしまう膨らみをたゆんたゆんと揺らしながら、キッスはお爺さんをバナナイーター出現予定地点からは離れた場所へと導いていく。
「おじさん……♪ キッスに気持ちいいコトしてぇ……♪ キてキてぇ♪」
「……」
リリスが瞳の端に涙を溜めて膝から崩れ落ちる中、キッスはお爺さんと共に雑木林の中へと消えていく……。
枝葉のざわめきを聞きながら、別働隊も行動を始めていた。
「一般人を危険に晒したくはないんで、囮役は男性陣に任せた、たっぷり星がついてそうなぷるるんを楽しむがいい」
囮役を務める男性三名に笑いかけた後、クリームヒルデ・ビスマルク(自宅警備ヒーラー天使系・e01397)は小さく肩をすくめていく。
「仕事でタダで堪能できるんですぜ旦那。まったくいい時代ですな」
「おいおい、もうちっとは心配してくれてもいいんじゃぁねーか?」
言葉とは裏腹に快活な笑顔を浮かべながら、善田・万造(命のもとから鉄拳治療・e11405)は木陰に隠れていくクリームヒルデを見送っていく。
朧・遊鬼(遊戯を司る者・e36891)も女性陣に預けたナノナノ・ルーナを目で追った後、改めて雑木林へと向き直った。
「なかなか面妖な……だが、受けたからには全力でやるぞ」
「はい、頑張りましょう」
天王寺・勇午(縞馬・e16358)が頷いて、作戦行動を開始した。
程なくして、彼らの耳にかすかな声音が聞こえてくる。
それは、湿り気を帯びた女性の声。三人は顔を見合わせた後、声の方角を目指して歩き始めた。
腐葉土を踏みしめて、木々を草花をかき分け進む先、少しだけ開けた場所へと到達する。
背の高い三本の木それぞれを背に、静かに佇む三人の女性。誰も彼もが見目麗しい上、大事な場所が星型の何かに隠されているのを除き瑞々しい肉体を惜しげもなく晒している美女たちだ。
遊鬼は顔を真赤にし、片手で口元を覆い始めていく。
「っ!? これは……なんと魅惑的な」
「あれに見えるはチョメチョメ!」
一方、万造は目を逸らす事なく……むしろ舐め回すように見回して、鼻の下を伸ばした。
「……」
一瞬だけ、肢体だけを映す瞳に真剣味を帯びた光が宿る。
「わしは、チョメチョメの誘惑に負けぬ……!」
その光が嘘のように裏腹に弾んだ足取りで、右側に佇んでいるポニーテールの美女へと歩み寄っていった。
「だ、駄目だ……いや……しかし……抗い難い……」
一方、遊鬼は極力見ないようにしながらも、ちらり、ちらりとウェーブヘアの美女の様子を横目で伺っていた。
目が合うたび、蠱惑的な流し目を送ってきた。
そのたびに頭をぶんぶんと横に振るものの、二人の距離は徐々に近くなっていく。
概ね魅了されている演技をしている……そのはずな二人とは対象的に、勇午はスタスタとボブカットな美女に歩みよっていった。
「うん、なんていうか、美味しそうな感じがしますね」
もっとも、彼にとっては比喩ではない。
「それはともかく、見た目にすごいっていうけど、ぼくの姉さんたちもすごいおっぱいだけどね」
元々草食男子なのだから。
「それ以前に、たわわに実った果物が美味しそうだし……」
艶やかな白黒のシマシマが特徴的な、シマウマの獣人なのだから!
身の危険を感じた様子もなく、ボブカットの美女は勇午を誘い続けていく。
三者三様な反応を見せながら、熱い……熱い? ひとときは過ぎていく……。
●バナナイータースレイヤー
時が訪れればすぐに攻撃を仕掛けることができるよう、木々が開けた場所の観察を行っている女性陣。
どことなく肩を落としながら合流してきたリリスを迎え入れた後、神宮寺・結里花(目指せ大和撫子・e07405)はユーカリプタス・グランディス(神宮寺家毒舌戦闘侍女・e06876)に語りかけていた。
「バナナイーターねぇ……何ていうか、こうあからさま過ぎないっすかね。自分だったら、こんな痴女がいきなり出てきたら誘惑される前にドン引きすると思うんすけど……男の連中は違うんスかね。よー分からん……っす」
「……私の部下のドワーフが発見した金の成る木といい、こういう何というか、少しおまぬけな感じで人を誘惑するのが攻性植物の中では流行っているのでしょうかね。私としても、引っかかる人の気がしれませんが……」
実際、乳繰り合っている者もじれったそうに近づいては離れている者もどことなく瞳に獲物を狩る獣のような光を宿している者も、もバナナイーターを討伐するための演技を行っている、そのはずだ。
「まあ、危険なことには変わりないのでしっかりと対応致しましょう」
「そうっすね。危険な攻性植物には違いないっす。きっちり駆除して片づけるっす。まあ、地下茎があるみたいだし、根絶にはそれをどうにかする必要があると思うっすけど」
会話を交わしていくさなかにも、目の前の光景は概ね熱いものへと変わっていく。もっとも、全員とはいかず……どこか、のどかな雰囲気さえ漂わせてはいたけれど。
何はともあれさておいて、程なくして三分経過を告げるアラームの音色が鳴り響いた。
「さ、神宮寺の戦巫女としてしっかりと仕事をこなしましょうか。ついてきなさい、ユーカリ」
「神宮寺家、筆頭戦闘侍女。ユーカリ、参ります」
結里花が戦装束を身に纏い、ユーカリプタスはスカートの裾を摘み折り目正しく一礼する。
鉄火場では万造も柔らかな膨らみから手を離し……ついでとばかりに二つほどスターフルーツを奪い去り、にやりと口の端を持ち上げパワーを込めたオーラの鞭を縦横無尽に振り回した。
「こやつが最も強力なバナナイーターじゃ! 今しばらく、わしがお相手仕る!」
「それにしても、三分って、よく考えたら短かったですね……カップラーメンですか」
一方、勇午は地面を蹴りボブカットのバナナイーターに襲いかかった。
流石に物理的に身の危険を感じたらしいバナナイーターが避ける中、勇午は草を食べるのに適した両顎でスターフルーツの木に噛み付いていく。
「草食獣って、英語ではグラスイーターって言いますけどね。このまま食べつくしてあげますよ」
「いいかげん頭に来てるの。私の大鎌で、バナナイーターのたわわな実を切り落としてあ・げ・る」
最初に狙うべき相手は示されたと、リリスが禍々しき大鎌両手にボブカットのバナナイーターへと切りかかった。
胸をかばうようにしゃがみこんだバナナイーターの頭上を駆け、刃を幹の半ばまで食い込ませる。
「さあ、反撃の時間です」
さなかには、ユーカリプタスがカラフルな爆発を巻き起こした。
込められている力を受け取りながら、結里花はバトルオーラを雷の羽衣へと変化させていく。
「迅きこと、雷の如く!! はためけ! 雷装天女よ!!」
全身を淡く輝かせた次の刹那、轟音と共にかき消えた。
瞬く間も与えずにボブカットバナナイーターへと居たり、一撃、二撃と華麗な連撃を刻んでいく。
順調に攻撃を重ねていく結里花に万が一がないよう、ユーカリプタスはミミックのトラッシュボックスを送り出した。
「お嬢様に危険がないよう、しっかり勤めを果たしてきて下さいませ」
頷き、ボブカットバナナイーターのもとへと向かっていくトラッシュボックス。
半ばにて、遊鬼と戯れていたウェーブヘアバナナイーターへと進路を変えた。
何かしらの誘惑を受けたわけではない。
結里花が打ち上げたボブカットバナナイーターがクリームヒルデの放つ弾丸に撃ち抜かれ、その体を凍りつかせたから。
「……首尾よく一体目、だな。ぶっ放して、とっとと仕留めてしまおうか」
即座に視線を外し、ウェーブヘアバナナイーターへと向き直る。
さなかには水着に着替えたキッスもやって来た。
キッスは早くも一体目が倒れたことを感じ取り軽く瞳を伏せながらも、振り切りポニーテールバナナイーターへと向き直る。
可能ならば、女の子には助かって欲しい。バナナイーターも救いたい。もう、美しい花が根絶やされる世界は嫌だから。
だから……。
――あなたに戦いは向いてない。キッスと同じ、普通の女の子。一緒に生きましょ? こっちで攻性植物の仲間が待ってるわ。
今回のバナナイーターの攻撃方法から、彼女たちをミーティアと名付けたキッスが治療の傍らで説得を行っていく。
そんな中でも、クリームヒルデは翼を広げた。
「さてさて……っと」
不意に空から降り注いできたスターフルーツ流星群をオウガ粒子で蹴散らしつつ、翼から光を放ちウェーブヘアバナナイーターの体を射抜く。
負けじと新たな流星群を巻き起こしていくウェーブヘアバナナイーターを横目に、本体はリリスとの距離を詰めていた。
「は、何よ! 私だって負けないんだから、覚悟……」
キッスの言葉もリリスの言葉も聞いてないとばかりに、ゴスロリ服に手を伸ばしてきた。
「って、ちょっと、私の服に手をかけて何を……」
服の裾に触れた瞬間、リリスの体が外気に触れる。
抵抗する暇もなく生まれたままの姿に……幸い、大事な場所は星型に切られたスターフルーツで隠されていたのだけれど……。
「い、いやあっ!」
体中を真っ赤にし、座り込んでいくリリス。
瞳に涙を溜めながら、キッスは更に声を張り上げた。
「ミーティア止めて! 話を聞いて! 私の言葉を……」
「……残念だが、説得は失敗だ」
遊鬼が強い言葉で遮った。
「ケルベロスなら分かるだろう? ここでヤツを逃して被害が増えたら……俺らが来た意味がなかろう!」
視線は送らず、リリスを示……そうとして、なぜかは知らぬが憤っているなど彼女が存外元気な事に気がつく。
代わりに、バナナイーターへと視線を向けるよう促した。
戦いが始まり、キッスが合流してから今の今まで、彼女が話を聞いた様子を見せたことはない。聞く耳を持たないのか、それともまた別の理由か……いずれにせよ、この個体に言葉が届くことはないだろう。
「後は本体だけ……ですな」
そんな折、クリームヒルデがウェーブヘアバナナイーターを氷塊の中に閉じ込めた。
すかさず遊鬼が本体に肉薄し、赤黒い巨大剣を横に薙いでいく。
硬い幹に阻まれ、刃は樹皮に食い込む程度で止まってしまった。
けれど、動きを止めるのには十二分。
「失礼!」
ユーカリプタスが回し蹴りを放ち、激しき突風にて女性を幹に押し付けた。
すかさず結里花が踏み込んで、如意棒の性質を持つ御幣を紅蓮に染めて振り回す。
「燃え尽きなさい!」
女性部分が頭を抱えて避けたものの、御幣の先端は幹に触れスターフルーツの樹を焼き始める。
焔の中心へと攻撃が集う中、万造が樹の幹に二本の……片や万能ペンが、片や万能消しゴムが仕込まれている杖を打ち付けた。
「ほっほ、無敵の万造を相手するには、ちと年季が足りんかったのう」
腐葉土すら焼き焦がすほどの電流を流し込み、女性部分をも硬直させた。
さなかに懐へと踏み込んだ遊鬼は一瞬だけキッスへと視線を向け、瞳を閉ざし……。
「さぁ、俺が鬼だ。精々綺麗に凍りついてくれ」
氷のような青い鬼火を一つ、二つと召喚し、巨大な剣へと向かわせる。
静かな息を吐くと共に剣を横に構え、フルスイング!
刃が幹に食い込めば、青き鬼火がバナナイーターを凍てつかせる。
瞬く間に氷の中へと閉じ込められたバナナイーターは、まるで示し合わせたかのように……一つ、二つ、三つと砕け、消滅していった……。
●爽やかな風が吹く中で
清らかなる静寂を取り戻した、大坂城近くの雑木林。
武装を解き、結里花はユーカリプタスに視線を送る。
「それじゃ、戦いの跡を修復するっすよ」
「かしこまりました、お嬢様」
裾を摘み折り目正しく一礼していくユーカリプタス。
同様に各々の治療も行われていく中、遊鬼は女性陣に頭を下げた。
「……宜しくない光景を見せてすまぬ」
ルーナがなの~と付け加え、女性陣の反応をうかがっていく。
色とりどりな返答が成されていく中、勇午は口の中に残っていたスターフルーツの葉を飲み込み空を仰いでいく。
「なんていうか、オークとは別の意味で危ない敵ですよね」
目的や対象こそ違えど、過程は重なるところがある両者。いつの日か、各々何らかの形で解決する日は来るのだろうか?
いつか掴み取れることを信じ……今は、帰還し休息を。
心も体も休め、かけがえのない日々を過ごして次の作戦に備えること……それこそが、最良の未来を導く糧となるのだから。
作者:飛翔優 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2017年6月9日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 1/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 12
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