戦は怖いが乳は揉む

作者:刑部

「なんだあれは!」
「うふふ……」
「おっぱいだ! わーい!」
「うふふ……」
「ギャー!」

「お待たせ、バナナイーターが現れたっす」
「オッケーまかせろ」
 と、ヘリオライダーとケルベロス。ヘリオライダーが1枚の紙を出すのを受け取る結城・レオナルド(弱虫ヘラクレス・e00032)。

 紙には、
 ・一般人を囮にするか誰かが囮になるかという二択にみせかけた一択。
 ・15歳以上の男性しか囮になれません。
 ・確変タイムは3分間。
 ・最初の以外は弱いよ。
 と書いてあり、
 追記。果物投げて来たり、食べて回復したり、ぎゅーって抱きついてくる模様。いろんな意味で果汁生絞り。
 と追記があった。
 また紙を裏返すと、『ノリでノリきれ』と書かれており、レオナルドは小さな溜め息を吐いたのだった。


参加者
結城・レオナルド(けだものフレンズ・e00032)
早川・夏輝(お気楽トルーパー・e01092)
マサムネ・ディケンズ(乙女座ラプソディ・e02729)
神寅・闇號虎(天覇絶葬・e09010)
火鳴木・地外(酷い理由で定命化した奴の一人・e20297)
エヴェリーナ・パルシネン(蒼天に翔ける・e24675)
神寅・闇虎(鬼貫の雷虎・e25652)
草薙・ひかり(闇を切り裂く伝説の光・e34295)

■リプレイ


「これで最後かもしれませんから……みんなに言っておきたいことがあります」
 にょきにょきと現れたバナナイーター達を前に結城・レオナルド(けだものフレンズ・e00032)がそう振り返り、
「みんなには黙っていましたが、俺……実は……おっぱいとか結構好きです」
「知ってた」
「知ってる」
「分かってた」
 続くレオナルドの言葉に、一斉に反応する仲間達。
「そしておっぱいが好きなのはお前だけじゃないぜ。……本音を言えば、1人と言わず3人の囮をして三方向から挟まれたかった。フッ……こんな事は口が裂けても言えんがな」
(「今全部言ったよね?」)
 鼻で笑いなら自嘲する火鳴木・地外(酷い理由で定命化した奴の一人・e20297)の姿に、襲撃予定者を避難させて戻ってきた草薙・ひかり(闇を切り裂く伝説の光・e34295)が、『何言ってんだコイツ』という視線を向け、もしかして空耳かと周囲に確認をとる。
 最も地外がおっぱいを大好きでレプリカントになったのは皆の知るところであり、何を取り繕っているのかさっぱりである。
「俺もおっぱいに埋もれたーい!」
 対照的に元気いっぱい手を挙げ、欲望をストレートに口にしたのは神寅・闇虎(鬼貫の雷虎・e25652)。
「一旦落ち着け、闇虎。胸の形はしてるが植物だぞ!」
 今にも駆け出さんとする闇虎の肩を、彼の兄である神寅・闇號虎(天覇絶葬・e09010)が掴むと、その隣に寄り添うエヴェリーナ・パルシネン(蒼天に翔ける・e24675)の視線も些か冷たい。
「確かに植物だけど、それでもおっぱいはおっぱいだよ兄貴!」
 と緑色をした瞳を輝かせる闇虎を見て、これが若さと言うやつか……と目を細めた闇號虎は悲しそうに首を左右に振り、
「囮は15歳以上じゃないとなれないのだ……」
 世の中の悲しき摂理を告げる。
「おっぱいはいいわよねーみてるといやされるわー」
 絶望を具現化させた表情を見せる闇虎に背を向ける形で、バナナイーターの胸元を注視するのは早川・夏輝(お気楽トルーパー・e01092)。自身もフィルムスーツに包んだその抜群のスタイルを惜しげも無く誇示しているのだが、視線はバナナイーター達のおっぱいに釘づけだ。
「さて、時間制限があるんだよね? オレには男の恋人がいるが、女の子もいけるクチなんだ! いくぜおっぱい、まかせろおっぱい!」
 両手の指をわきわきさせ、舌舐めずりしたマサムネ・ディケンズ(乙女座ラプソディ・e02729)が、大きく息を吸い込むと、いきなり地面を蹴って飛び掛る。
 それは確変タイムの始まりであった。


「寄るな下衆!」
 魅了する筈なのに、あえて辛辣な言葉を投げ掛けてくるおねー様タイプのバナナイーター。
(「おっぱいと合わせて何と言う圧……ですが、俺は退くわけにはいかない!」)
 その言葉に一瞬怯んだ表情を見せたレオナルドだったが、キッと顔を上げて地面を蹴る……が、それより先におねーさまにダイブしたのはマサムネ。
「うむ、このおっぱいの感触たまらん……ハリがあり柔らかく……」
「こらっ……あっ……やめろ」
 おっぱいの間に顔を埋めその感触を楽しむマサムネに、頬を紅く染めながら身を捩るバナナイーター。ネコキャットは時折マサムネに生温かい視線を飛ばしながら毛繕いしていた。
「うう……いや、ここで怯んではダメだ。勇気を! 人の目を気にせずおっぱいに踊り掛る勇気を! ……ランドーン!」
 清々しいまでのマサムネの行動に一瞬ひるんだレオナルドだったが、意を決しておねーさまに踊り掛る。
「おっ、いいねー」
「漢には……逃げるわけにはいかない勝負というのがあるんです!」
 アイコンタクトと言葉を交わし、おねーさまを弄ぶマナムネとレオナルド。
「い、いい加減に……これで……どう!」
 次の瞬間、苦悶の表情で頬を上気させたおねーさまの腰の下辺りから、大きなバナナが生えて来た。
「なん……だと……これを舐めろと言うのかな? いいのかい、オレはどっちだってイケちゃう男なんだぜ?」
「例えこの身をバナナ串刺しにされようとも、俺は諦めない!」
 だがこのおねーさまの渾身の反撃に対しても、ニヤリと笑うマサムネと毅然と胸を張るレオナルド。変態を前にすると全ては無力である事を思い知るのであった。

「これどうしたらいいの? ここにはさむの?」
「そうだ、その立派な果実で俺の顔を上手く挟めば一人前だぜ。んん? 難しいか? よし、俺が手伝ってやろう」
 自分のおっぱいに手を当てて尋ねるアホの子バナナイーターが小首を傾げると、頭から伸びるアホ毛も揺れ、鷹揚に頷いた地外がその手に自身の手を添え、揉みながらアレを挟む。
(「いょーっし、俺は今迄ダモクレス、ドリームイーター、螺旋忍軍、シャイターン、ヴァルキュリアと数多の敵の盛りを揉んだ男。それに攻性植物追加だァー! 正直このカテゴリーは難しいと思っていたが……」)
 地外は感無量と言った感じで喜びを噛みしめ、その周りをおむちーが祝う様に飛んでいた。
「しかしどのこもいいものもってるねー」
「……うん、まぁケルベロス的には害がないし、堂々とああやって遊べるってのは羨ましいけど……」
 その様を眺める夏輝が、3体のバナナイーター達のおっぱいを見比べてそう評すると、ゼブラ模様の大胆リングコスチュームで包んだ肢体、特に胸を強調する様に組んだひかりも頷きながら応じる。
「うんしょうんしょ」
「かつての同胞達にこれぐらいの柔らかさがあったなら……」
 地外は言われた通り頑張るアホの子バナナイーターを見下しながら、同胞であった女性型ダモクレスの、文字通り鉄板の如き胸……もとい胸部装甲を思い出し、過去を逡巡しつつ指をわきわきさせている。
「私の方が魅力的なのに、もう何年もあんな風にしてないよ! 私の方がほら……もっと気持ちよくしてあげられるのに!」
「あら、大胆発言ね。そーねーあたしも囮になればよかったかなー」
 その様子を見て頬を膨らませるひかりの言を軽く流した夏輝は、
(「けど、そんな事したらあの子に怒られちゃいそうね」)
 と女性の恋人の顔を思い浮かべるのだった。

「あれっ、あれっ、おっかしーなー?」
 おねーさんとアホの子と戯れるケルベロス達を見ながら、妹バナナイーターが小首を傾げる。
「……」
 自分の前には闇號虎がおり、隣に冷たい視線を向けるエヴェリーナが立っている。
 闇號虎は弟である闇虎の首根っこを掴んでおり、
「はっ、俺を仕留めたいならもっと積極的におっぱいを見せな!」
 と闇虎は宙にその体を浮かせ、手足をばたばたさせていた。
 バナナイーターとしては闇虎は年齢から、エヴェリーナは性別から対象外であり、ターゲットとしては闇號虎で魅了の力を放っているのだが、闇號虎は弟を掴んだまま微動だにしない。
(「くっ……なんという事だ。囮役を的確に分けなかったせいで、この妹タイプが余るとは……作戦的には囮として掛った風にしないといけないのだが……」)
 と、闇號虎はチラリと最愛の女性である傍らのエヴェリーナを見遣る。
「どうかしたのか?」
 と問い青い瞳を細めるエヴェリーナの方が年上であり、その眼前で妹タイプに襲い掛かるという行為は、流石にばっちこーいでも躊躇われるものがあった。
「えいっ! チョップ軍曹!」
 逡巡する闇號虎の腕に手刀をかまして自由になった闇虎が、妹バナナイーターに襲い掛かる。……が、
「あなたに用はないんだよ」
 年齢的に対象外である為か、果実を投げつけて抵抗する妹バナナイーター。
「ごふっ……おっぱいへの道はかくも険しいものなのか! 俺も早く大人になりたい……」
 メロンの様な果実がおでこに直撃し、蹲った闇虎は天を仰いで咽び泣くのだった。


「さて、そろそろ3分。いくわよっ! 私のとあんた達の、どっちが凄いか勝負だよ!」
「もったいないけど倒さなきゃいけないわよねー」
 男どもの痴態を眺めていたひかりが時計を確認すると、豪奢な金毛のマントを投げ、暫く彼氏のいない寂しい適齢期女子としての悔しさを胸に、文字通り胸を張ってバナナイーターに襲い掛り、夏輝がそれを援護する様に向けたアームドフォートが火を噴く。
「でっかいおっぱ、いいっぱいおっぱい! ノリでノリきれ to but 依頼! Bustじゃ負けるがBestは尽くすゥ! Come on! 相手してやるぜMonster! 決めるぜダーリンLove power smash!」
 エヴェリーナがきゅうりをマイクに見立ててラップを刻んで、味方を盛り上げる中、
「あっ……」
「おっと慌てるなよ。こんな素晴らしい特盛と戦わなきゃならねぇのが悲しいことだ。……だが俺は、最後の最後まで堪能するぜ……」
 そのまま抱き付く様にして絡め取ろうとしたアホの子の四肢から、するりと抜けた地外は、おねーさまに向かって行く味方を一瞥し、アホの子に向き直ると、荒ぶる鷹のポーズから跳躍してアホの子のおっぱい目掛けて蹴りを繰り出す。
「あっ、俺このまま天国イケるかも……」
「えぇい闇虎、下がれ!」
 一方、妹タイプの方も攻撃に転化した瞬間、今まで拒絶していた闇虎に抱き付き何かを吸い取ろうとし、闇虎は恍惚の表情を浮かべて夢見心地だ。闇號虎はエヴェリーナの奏でるラップを背に、必死にそれを引き剥がそうとしていた。

「あっ、お尻は勘弁して! オレは恋人に操を捧げているんだ!」
「くっ、何という戦闘力……押し返される!」
 おねーさまの体から、次々と巨大バナナが伸びてマサムネとレオナルドに襲い掛っており、マサムネはお尻を押えながら爆発を起こして逃げ回りネコキャットはその様子を生暖かく見守り、レオナルドは日本の刃でバナナをスライスしながら距離をとる。
 そこに炸裂する夏輝のアームドフォート。そして突っ込んで来るひかりの胸が、おねーさまの胸とぶつかり、ばいーんと双方弾かれる。
「あえて胸でぶつかっていく!」
「そこに痺れる憧れるぅー!」
 その光景を囃し立てるレオナルドとマサムネ。
「まだまだよっ!」
 くるっと回って体勢を立て直したひかりが、ふたたびぶつかると、おねーさまもそれを抱きしめる様にしてひかりのエナジーを吸い取りに掛る。
「本物の力、思い知らせてあげるよ!」
 おねーさまの腰に手を回してガッツリと組み、ベアハッグで締めに掛るひかり。
 おっぱいとおっぱいが押し付けられ、その動きに合わせて揺れる。
「うぉーどーしてオレはあの中に居ないんだ!」
 と咆えるマサムネを生暖かく見守るネコキャット。そこに宙を舞う様にして着地した夏輝が、ぶつかり合う胸の中に手を突っ込んで揉む。
「えっ……」
「あっ……」
 戸惑うひかりと吐息の様な声を漏らすおねーさま。
「悲しいけど、これって戦いなんだよねえ。……もったいないけど」
 次の瞬間、押し当てられた砲身から放たれた弾丸がおねーさまの体を貫き、
「あ……あぁ……」
 おねーさまはひかりの胸に顔を埋める様にして崩れ落ちた。

「あははははは天国ぅ~」
「目を覚ませ闇虎」
 一方、妹タイプの方は闇虎を捉えて離さず……闇虎もむしろ離さず、ワツルを踊る様に回転するので、闇號虎とエヴェリーナも迂闊に手を出せなくなっていた。……が、妹タイプの後ろからおねーさまを倒したひかりが駆けて来る。
「ここはオレだよね?」
「いやいや、ここは俺でしょう」
 その前をおっぱいクラッシュに挟まろうと、お互いを押し退けながら走ってくるマサムネとレオナルド。
「ひっ……」
 その血走った瞳に妹タイプは思わず闇虎を離して跳び退いた。……がそこに闇號虎。
「ふん、魅力を磨いてくるんだな。もっともいくら頑張ってもエヴェには敵わないがな」
 振るわれた虎爪により、妹タイプは最後の言葉を残す間も無く絶命し、大きく息を吐いた闇號虎には、頬を赤らめたエヴェリーナが腕を絡めるのだった。
「ごちそうさんだ」
「にゃ」
 振り返ると、アホの子も地外とおむちーによって倒されたところであり、地外の顔には堪能しつくした……もとい、やり尽くした……もとい、やり遂げた感に満ちていた。おそらく一番いい思いをしたのは彼だったであろう。
「罪を憎んで乳を憎まず……。此にて一件落着!」
 最後はレオナルドがいい、全員でにゅー! と右腕を掲げたとか掲げてないとか……現場からは以上です。

作者:刑部 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年6月19日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 2/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 6
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