ローカスト調査隊~血の畑

作者:baron

「この辺りが最後のはずですねっ」
「虱潰しになっちまったが、やっぱりコギト珠になってんのかな」
 ローカストの報告がパッタリと途絶えてしまったが、ケルベロス達は彼らがコギトエルゴスム化して潜伏しているのではないかと捜索していた。
 その結果、足跡を辿って飛騨山脈まで辿りつき、そこから先は百名以上の人数で虱潰しに回ったのである。
「ローカストのコギトエルゴスムを集めて持ち帰る事ができれば、ヴァルキュリアのように仲間にする事ができるかもしれないですよね」
「ですねー」
「うん……そうなれば、良い……ね」
 春花・春撫(プチ歴女系アイドル・e09155)の言葉にケルベロス達が頷いた。
 戦いはしたが、決して憎しみを持った相手だけでは無い。
 種族としては指導者がアレ……など同情できる余地も多かったのである。
「地下への階段か……これで何も無かったら笑い話だが」
「いえ、見付けました! 大きな空洞と、中央に何かあります!」
「壁一面にコギトエルゴスム化が!」
 地下深くまで続く長い螺旋階段を越えて、一同は数百m級の半球状の空間を見付けた。
 そこには壁に埋まったコギトエルゴスム化と、中央に何かの装置がある。
 そして……この空間そのものが、祭壇のような荘厳な気配を漂わせていた。
「詳しいことは判らないが、おそらく、大自然を巡る微量のグラビティ・チェインを集積してコギトエルゴスム化したローカストを蘇らせる為のものか」
「自然界のグラビティ・チェインが必要量に揃うには数万年単位じゃないか?」
「蛹で過ごすようなもんか? デウスエクスは不死とはいえ、気の長い話だ」


『グラビティ・チェイン……だ』
『アレを喰らえば、生きノビられる』
 動き出したのは、ケルベロス達だけでは無い。
 壁際で何かが、のそりと動き出した。
「未来を血で購エ……もはや我らに未来ハ無い」
「グラビティ・チェインを喰ラエ。そして、ヒトを襲い、憎マレ拒絶サレよ。……せめて子供たちに未来ヲ」
 それはかつてローカストと呼ばれた種族であった。
 だがそこに以前の威容も、秩序も無い。
 ただ生き延びる為にケルベロス達に襲い掛かる死兵である。
「ローカストに囲まれた、だと!」
「なんだと。このままでは……迎撃するぞ!」
「みんな、傍にいるモノ同士で固まるんだ! 1人でいたら危ない!」
 このローカスト達はグラビティ・チェインは枯渇状態で、定命化も末期状態。
 ……話し合いでなんとかするのは、ほぼ不可能だ。
「くそっ、なんでこんなことに」
「本当に……どうしようも無いのでしょうか……なんて悲しい」
「残念だが俺達が生き伸びる方が先決だぜ」
 ある者は悲運に対して激昂し、リサ・ギャラッハ(悪魔は月を夢見て微睡む・e18759)のように悲しむ者も居る。
 ローカストという世界、ローカストという種族の滅亡に涙するしかないのだろうか?
 ただ判るのは、今の状態ではどうしようもない。
 手段があるとしても、用意する時間は無く、考え付く時間もあまり残されていないのであった。
 何故ならば、ここに来たケルベロス達自身が、大ピンチなのであるのだから。


参加者
千年翠・美咲(十返りの花嫁・e00964)
カルディア・スタウロス(炎鎖の天蠍・e01084)
シィ・ブラントネール(星抱くオロル・e03575)
上野・零(シルクハットの死焔魔術師・e05125)
リサ・ギャラッハ(悪魔は月を夢見て微睡む・e18759)
レイチェル・アーヴァンベルグ(誰がために鐘を鳴らす・e19960)
櫻木・乙女(輪廻の徒花・e27488)
エレコ・レムグランデ(小さな小さな子象・e34229)

■リプレイ


「チッ、虫野郎共がゾロゾロと……。そんなに死にたいなら、まとめてブッ飛ばしてやる!!」
 櫻木・乙女(輪廻の徒花・e27488)は思わず舌打ちをした。
 四方の壁から無数の虫人間たるローカストたちが現われたのだ。
 乙女は深く息を吸いこんで足元をこする様に、魔法陣を描いた。
『折れぬ心は、朽ちぬ魂は、深淵をも伐ち祓う無限の勇気。勇敢なる魂よ、今此処に集いし戦士達の導となれ』
 光を伴って足で描いた魔法陣が輝き、中からナニカが顕れる。
 ソレは装飾など一切存在せぬ無骨極る大振りな斧。
「確認しておきますね? 戦えない人は下がってて結構です。自分の命も守れないようなら、おうちに帰って絵本でも読んでな」
「……戦いを挑んでくるならば、倒すだけです」
 乙女は斧を担ぐと振り返りもせずに、仲間に尋ねた。
 その厳しい言い様に対し、誰よりも先に友人であるリサ・ギャラッハ(悪魔は月を夢見て微睡む・e18759)が答える。
 必要だから、闘い抜く意思が必要だから声を掛けたのだ。決して挑発して居る訳ではない。誰かが言わねばならぬことを口に出しただけだ。
「違った未来もあったのかもしれませんが、もう迷いません」
「リサちゃん……じゃあ、いきましょうか。まずは数人で固って突破しましょう」
 軽く息を呑んでから、迷いを振り切るように二人は走り出した。
 リサは手近なローカストを蹴り飛ばし、乙女は斧を降り回して打ち砕く。

 ……打ち砕く。
 まさしくそいつらは打ち砕かれた。
 比喩では無く、群がる敵が事如くに消滅していく。
「……早過ぎたんだ。グラビティが怨霊のように眠れる個体たちへ移って行く」
「これじゃあ彼らはとうに滅びて居るみたいだよね? 奪った血とグラビティだけが子孫を残せる鍵みたい」
 種の滅亡という事実、あまりにも絶望的な状況に息を呑む間もない。
 平然と見れることに上野・零(シルクハットの死焔魔術師・e05125)は心がとうに地獄に落ちて居ることを自覚し、千年翠・美咲(十返りの花嫁・e00964)は首を振って状況を受け入れる。
「生存競争。……うん、本懐だよ。果たし合いましょう、互いの命の全てを賭けて」
 美咲はお互いが生き残るための戦いとして、受け入れることにした。
「―――この身の果ては、剣の花」
 美咲が取り出したのは、折り紙を束ねたような紙片。
 それらを放り投げると、ムクムクと起きあがって仲間達の姿を真似た。
 紙で出来た兵士たちは陣形の一部として、何処から来るかも判らない的に立ち向かう。
「……正直、僕はどっちにするかは少しだけ迷ってはいたんだ。……だが、決心は…割とあっさりついた」
 零は何かに踏ん切りをつけるように、カツカツとシューズを打ち鳴らす。
「……ローカストに大した恨みはまだないけれど、友達に危害が及んでもあれだし、僕は僕の為に地獄を振るうよ」
 足元から黒い炎を吹き出しながら、零は向かってくるローカストに蹴りつけた。
 小さなブラックホールが弾けて消え、気が付けばそいつはよろいて倒れ込む。
「出来れば我輩は助けたいのパオ」
 エレコ・レムグランデ(小さな小さな子象・e34229)は泣きそうな声で、決意を固めた。
 敵は必死で食らいついているのだ。
 もはや説得とかそういう状況では無い。
「でも、でも、我輩が失敗すればローカストさんが皆を傷つけるのなら……今はごめんなさいなのパオ」
 それに、自分だけならまだしも、友人たちまでが居た。
 ここで引ける訳が無いし、外に出て悲劇を繰り返させる訳には行かない!!
「我輩は大切な人の方が大事なのパオ……」
 エレコは真珠の涙ではなく流体金属を地に落とすと、仲間達を覆って援護を始めた。
 まずは周囲に群がる敵を蹴散らして、闘い易くせねばなるまい。


「できる事なら助けたいけれど……ごめんなさい。仲間への危険を受け入れるわけには行かないわ!」
「これは、悲しいことなんだけど、ごめんね。あなた達に恨みは無い。だけど、倒させてもらうよ!」
 レイチェル・アーヴァンベルグ(誰がために鐘を鳴らす・e19960)とシィ・ブラントネール(星抱くオロル・e03575)は周囲を牽制しながら、壁際へ向かった。
 そこは既にローカストが全て崩れさるか、倒されている場所だ。
 ひとまずこれで、背中を気にせずに戦うことが出来る。
「この窮地に立ち向かう力を! 永遠に続く夜など無いんだよ!」
 レイチェルは周囲を爆破することで、動く者を判別した。
 グラビティが辺り一面を跳ね飛ばし、たちまちの内に残骸が消え去って視界が明らかになる。
 そしてまだ動く敵を見つけ、他の仲間と共に討ち倒して行く。
 ある者はそのまま合流し、遠くに居る別の者は挨拶すら交わすことなく別れる。
「怪我は無いのね? 装備をなくしたりとかしてない?」
「大丈夫だ、問題無い。……いえ、それより、奇妙な奴を見なかったですか?」
 シィは何かを探しまわっていたカルディア・スタウロス(炎鎖の天蠍・e01084)を向かい入れる。
 体を眺めて怪我が無いことを確認し、もしや大切な物でも啼くしたのかと思ったのだが……。
「私達の価値観だと、ローカストはみんな奇妙な気もするけど」
「いえ。ローカスト的にも変なんです。山羊みたいな形状なんですけど各部は昆虫……」
「アレじゃない? あそこ変だよ」
 シィが極力明るく聞き返すと、カルディアは少しだけ気を落ちつけて詳しい説明をする。
 そんな彼女の話を聞きながら、レイチェルは上空で見張りの様な事をやっている奴を見付けた。

 そいつは空中と言う不安定なポジションゆえに、周囲から攻撃を受けているようだ。
 それでもまだ戦える所を見ると、相当に強力な相手と思われる。
「……た」
「え?」
 カルディアが何か呟いた様な気がした。
 だが、きっとそれは気のせいだ。
「はははははは、やっぱりいたか、山羊ぃぃぃ!!」
 そいつを見た瞬間に、カルディアは絶叫して飛び出した。
 だから、呟いたと言うのは全力で気のせいだ。おそらく、イメージが違いすぎて勘違いしたのだろう。
「……どうやら仇か何かみたいね。強い奴みたいだし、協力して倒しましょうか」
「そーだね。どうせ殺し合うなら、恨み重なる宿敵への仇討ちを手伝う方が前向きかも」
 リサが溜息を付いて炎を足にまとって追いかけると、シィはできるだけポジティブに考えることにした。
 もはやここまで来たら、やるしかない。
 ならば少しでも建設的に考えるしかないのだ。
 仲間の一人を幻影で覆い、援護し易いように態勢を整えて行く。
「……やれやれ、仕方無い。手近で組んだとはいえチームだ。協力するとしましょう」
「そうこなくっちゃね。どの道、強敵との戦いは避けて通れません。倒してしまいましょう」
 零が幻影で見え難くなった鎌を投げつけて溜息を付くと、乙女はルーンの輝きを斧に灯しながら追随。
 鎌が直撃して気を取られた所に、強力な一閃を叩き込んだ。
 こうしてケルベロス達は、倒すべき相手を定めて戦い始めたのである。


『誰ダ? 何処ダ、ナンダ?』
「私が判らねえってのか? ふざけんな!」
 星剣を翼のように振り回し切り割いていたカルディアは、開いた口が塞がらなかった。
 敵はまったく彼女に気が付いていない。
 いや着地したくらいだ、闘う相手と理解している。だが追って来た仇敵と思って居らず、それも、覚えて居ないと言うレベルではない。
「まさか正気を失ってやがんのか!? 他の奴等なんざ、ローカストなんざ知ったことか。この地獄の疼きを感じたからここに来たんだ」
 カルディアは己の胸をかきむしる様に激昂した。
 せっかく見付けだした相手が、これを逃せば見つかるはずが無い相手をせっかく見付けたのだ。
 その相手が自分を覚えて居ないどころか、理性を有して居ないとは、こんな馬鹿な話があるものか!
「まだ餓えて手足が千切れ掛けただけだろうが!『切り裂いてやるぞ、ズタズタにぃぃ!!』だから再構成して立ち向かって来いよこの山羊女郎!」
 ル・クール・デュ・スコルピヨン!
 カルディアの怨嗟が体を動かした。
 口で何と言っても、体は恨みを覚えて居る。
 ぶちのめしてぶちのめして、引き裂いてしまいたくて仕方無いのだ。
 怒涛の連撃を繰り出しながら、最後に髪留めとして使って居るリングの針を蠍の様に打ち込もうとした。
『誰? 何故? 敵? 何処カデ、会ッタ、敵ィィィ!』
 そのローカスト『見つめる山羊』シェッディは僅かに理性を取り戻すと、体をアルミウム生命体で覆い直す。
 毒針から急所を避ける様に再構築した。
 グラビティが足りずにボロボロの体を、崩壊した連中の力を使って居るのか、まるで蠅の集団が一体の虫人間を構成して居るかの様である。
「そうだ。思い出したか! 思い出してから死ねえええ!」
「無茶なこと言ってるよね……でも放っとけないかな」
 なおも激昂して襲いかかっている仲間を援護しようと、レイチェルは苦笑しつつも時間を凍結して引き裂きに掛った。

 シャーマンズゴーストのレトラを始め、前衛陣が到着して山羊のようなローカストに接敵した。
 後衛陣も足を止めては居るが、他の戦場を眺めながら一応の警戒は怠らない。
「レトラも取りついたみたいだね。このまま周囲を警戒しながら戦うべきかな」
「ううん。どうやら、ローカストは強い個体を中心に何体かの雑魚が集まってたみたいね。この周囲には他に居ないわ」
 美咲はシィが踊りながら癒すのを見て、符の一枚を口に咥えながら、どうしたものかと少しだけ思案。
 回復しきったのを見て、不要化なと思っていたのだが……。
 敵の攻撃から仲間を庇ってリサが傷付いたのが見える。
「じゃあ、あの個体だけ倒せばいいか。でも一応だけどリサを見ておいてくれる? あれで結構無茶するし」
「りょーかいパオ。目を離さない……パオ!」
 美咲は肩をすくめて符を放ち、倒された偽者の代わりに、もう数体ほど紙の兵士を援護に送り込んだ。
 仲間が傷付いたと思ったら、実は偽者が混じっていたとビックリしていたエレコもグラビティを集める。
「大丈夫だってば、こんな遅い相手なんか……あ。痛たた」
「取り合えず凍らせて再生速度を落とすパオ。そしたら速攻パオ」
 リサの怪我の一部を偽者が引き受けてるので大したことは無い様だ、そこでエレコはゴーレムさんに出動を促した。
 氷で出来た彫像が、地響きを立てて行動を開始する。
 怪獣が相手であるかのように、ロボめいたゴーレムは突撃して行った。


「貴方達は……戦士だったはずだっ!!」
 乙女のせつない声に誰も答えない。
「カイキアスも……ハサミノエクズも……立派な戦士だった……!」
「幾らも覚えちゃいねえだろうよ」
 乙女は過去に戦った強敵と重ね合わせて居るのだろう。
 その絶叫を耳にして、カルディアは少しだけ冷静さを取り戻した。
 仇が自分を覚えて居ないというのが身にしみて、乙女が唸るのを暫くの間だけ黙って見て居た。
「……とっとと倒しちまうのがこいつの為さ。憎むなら憎め、私もてめぇを憎んでやる。その憎悪が私の力になる!!」
 もしかしたら、理性を取り戻して、自分と戦うのではないかと期待したのかもしれない。
 カルディアは両手の剣を縦横に振るって切り刻むのを再開した。
「それを……彼らの死を、どうして無駄にするんだッ!!」
 蠍座の剣に続いて、魚座の暴君が弾ける。
 乙女は斧を自分の怒りのように振り回した。
 降るう度に何かが欠け落ちて、次第に冷静になって行くのがやるせない。
『ソコヲ見張レ、此処ヲ見張レ。全テヲヲ!!』
「何か来るパオ!?」
 掌底で殴りつけていたエレコは、何か奇妙な動きを察知した。

 絶叫と共に、ギョロンとエメラルドの様な輝きが周囲を照らし出す。
 ソレは無数の目であり、一つの大きな瞳でもある。
 魔力を伴った視線が前衛陣を睨み、羽が詠いあげる超音波が周囲を粉砕して行く。
「やらせません!」
「そのまま動かないで『刃金の果てに、名を為す』傷が開いたら大変だからね」
 リサやシャーマンズゴースト達がカバーに飛び出すと、美咲は五本の刀を大地に突き立て祭壇を作り上げた。
 怨念を浄化し、宿っている無垢なる力を癒す為に転化する。
 今度は傷つけるためではなく、誰かを守るために振るうのだ。
「残りの傷はワタシとレトラが! みんなは攻撃に専念して」
「シィちゃんお願いね。フィオナは私たちと一緒に行くわよ」
 再びシィが踊り始めると、周囲に花の様な良い香りと、星の様な煌めきが覆って行く。
 リサはテレビウムのフィオナに声を掛けつつ、天を眺めて……。
 不意に首を傾げた。
「……ふう」
 リサが首を傾げた横を、刃を掲げた首の無い黒き死(黒騎士)が通り過ぎる。
 自分を狙って来たことに、やっぱり……とでも言わんばかりの溜息を付くと、わずかに笑って送りだした。
 召喚されたであろう騎士は、そのまま通り過ぎて山羊のようなローカストを切り割き始める。
『二撃必倒!ガンガン行くよー!ゼロッ!ドラァァァァイブ!!』
 大鎌を投げて居たレイチェルは、キャッチした瞬間に猛ダッシュ。
 強烈な踏み込みで大地に靴痕を刻むと、全体重を乗せて殴りつけた。
 インパクトの瞬間、内なる魔力を弾けさせ、グラビティともども注ぎ込んだ。
『―――さぁ、貪欲に喰らえ』
 零は自らの右眼を抉ると、内包された地獄のエネルギーを弾丸に込める。
 いいや、もはやそれは地獄の力で弾丸を作り上げたと言っても良いだろう。
 先程の敵が放った一撃が目よりなるモノであるならば、これもまた目には目を呼ぶべきかもしれない。
 まるで自ら当たりに行ったかの如く、洞穴の中を弾丸が走り抜けた。
「終わりだ! 獅子と同じ末路を辿りやがれ!!」
 カルディアの振りあげた刃を、敵は腕を犠牲にして食い止める。
 だが、それでは最後の一撃を止められない。
 軽く首を降ると、髪の動きと共に蠍の毒針が貫いたのである。
『思い出した……お前が、私の、死……か』
 最後の一瞬だけ正気を取り戻したのか、更なる狂気に陥ったのかは判らない。
 何処か遠くを見据えたまま、『見つめる山羊』シェッディは崩れ落ちて行った。

「次にいっちゃう?」
「そうですね。援護に向かいますか?」
「リサさんが良ければソレで」
「でも、もうちょっと休ませてくれると嬉しいかな」
「疲れたパオ~」
「休憩中になんとか体力を回復しないとだね」
 こうして一同は強敵を倒し、近くで戦闘を続ける他のケルベロスを助けに向かった。
「でも、一体居ると三十とかじゃないと良いですね」
「勘弁してくれ……。まあ出てきたら倒すだけだけどな」
 最後にそんな言葉を弔い代わりに掛けて、その場を立ち去って行った。
 次なる敵を求めて……。

作者:baron 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年6月13日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 2/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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