バナナはお好き?

作者:紫村雪乃


 初夏の沢岡な風が吹いている。濃い緑の匂いを含んだ風だ。
 大阪城公園。ふらりと立ち寄ったのは二十歳ほどの若者であった。
 『爆殖核爆砕戦』が終結して数ヶ月。大阪の人々は、その現状に慣れ、大阪城付近まで日常活動の範囲を広げ始めていた。若者もそんな大阪人の一人であった。
「緑が綺麗やなあ」
 若者が森に目をむけた。そしてぎくりとして目を見開かせた。
 森の中に異様なものがいる。女だ。妖精を思わせる美貌の持ち主である。
 そして女は一糸まとわぬ姿であった。むっちりぷるんとした二つの乳房を惜しげもなく晒している。
「あ……ああ」
 吸い寄せられるように若者が女に歩み寄っていった。女が緑色の皮膚をしていることも、木と同化していることももはや念頭にない。
「ふふふ」
 淫蕩に笑うと、女は両手をさしのべた。誘われるように若者が手をのばし、女の乳房を揉みしだく。
 次の瞬間、若者の中で何かがはじけた。女にむしゃぶりつき、乳房を吸う。
 すると女が若者の膨らんだ股間に手を這わせた。器用に若者のズボンとパンツを脱がせる。そして露出された若者の股間を繊手でいじり始めた。
「ああ」
 若者の口から呻くような声がもれた。そして顔を女の下半身におろした。そこには彼と同じものがあった。が、もはや若者は精神は痺れてしまっており、何の躊躇もなく若者は女のそれを愛し始めた。
 刹那である。若者の尻に激痛が走った。若者の呻きが悲鳴に変わる。そして、それはすぐに歓喜の喘ぎになった。が――。
 若者の喘ぎはすぐに止んだ。抱きしめていた女が手を放すと、何もかも吸い尽くされミイラのようになった若者の死体がごろりと地に転がった。


「『爆殖核爆砕戦』後、大阪城に残った攻性植物達の調査を行っていた、ミルラ・コンミフォラさん達から、新たな情報が得られました」
 セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)は004)はいった。
「調査によると、大阪城付近の雑木林などで、男性を魅了する『たわわに実った果実』的な攻性植物、バナナイーターが出現しているようなのです」
 バナナイーターは、十五歳以上の男性が近寄ると現れて、その果実の魅力で魅了する。そして何もかも絞りつくして殺害する事でグラビティ・チェインを奪いつくしてしまうのだった。もしかすると、こうして奪ったグラビティ・チェインを使い、攻性植物は新たな作戦を行うつもりなのかもしれない。
「みなさんには、この出現するバナナイーターを撃破して、誘惑されてしまう犠牲者を救ってもらえるようにお願いします」
 セリカはいった。一般人が攻性植物に出会う場所に先回りする事が出来るからだ。
 バナナイーターを出現させる為には、そのまま一般人を誘惑させるか、或いは、一般人を避難させた上で、ケルベロスの男性が囮となる必要があった。
「バナナイーターは、攻性植物の拠点となっている大阪城から地下茎を通じて送られているようで、囮となった人数に応じた数の攻性植物が出現するようです。出現する攻性植物は一体目以外は戦闘力が低いようなので、ある程度数を出して一気に叩く事も可能です」
 ただ注意すべき点があった。攻性植物が出現してから三分以内に攻撃をしかけてしまうと、出現した地下茎を通ってすぐに撤退してしまうのである。つまり、囮となった者は三分程度、攻性植物と戦闘せずに接触する必要があるのだった。
「幸い、攻性植物側もその三分間は攻撃などはせず、対象の男性を誘惑する行動を行う為、囮が一般人であってもすぐに死んでしまうという事はありません。そして攻性植物はケルベロスであっても男性であれば獲物として扱うようです。攻性植物の誘惑は、ケルベロスには効果はありませんが、囮となる場合は、誘惑されているような振りをする事も必要かもしれません」
 バナナイーターの戦闘手段は、とセリカは続けた。
「果実をもぎとって投げてきます。さらに蔦を鞭のようにふるいます。胸で、あるいは股で挟んで窒息させたり……」
 セリカは頬を染めると、
「囮となった場合、いろいろ大変な事があるかもしれませんが、頑張ってください」


参加者
神無月・玲那(執行者・e02624)
マサムネ・ディケンズ(乙女座ラプソディ・e02729)
ロディ・マーシャル(ホットロッド・e09476)
シャルフィン・レヴェルス(モノフォビア・e27856)
リティ・ニクソン(沈黙の魔女・e29710)
草薙・ひかり(闇を切り裂く伝説の光・e34295)
ザハク・ダハーカ(スカーレッド・e36065)

■リプレイ


 大阪城近辺にある森。歩み寄る八人の男女の姿があった。
「作戦は理解した」
 八人中、もっとも若い十六歳の少年が口を開いた。若年のわりには大人びた口調である。名をロディ・マーシャル(ホットロッド・e09476)といった。
「奴らの狙いは分からないが犠牲者が出ている以上は放っておけない。きっちりと片づけるか。オレ達で」
 真っ直ぐな眼差しでロディは仲間を見回した。
 この少年、若年でありながら、すでに多くの悲劇を目の当たりにしてきた。そして誓ったのである。その悲劇をくいとめると。彼が銃を手にとったのは、それが理由であった。
 すると一人の娘が口を開いた。白磁の頬をもつ、人形めいて整った顔の美しい娘だ。
「ミッション……バナナを捕食する攻性植物……じゃなくて、バナナを補食させて補食する攻性植物?」
 美しい娘――リティ・ニクソン(沈黙の魔女・e29710)は小首を傾げた。いかに演算しても結論は導き出せない。 バナナを捕食させるとはどういうことなのだろう。
「あの……バナナを捕食させるとはどういうことなの?」
 誰にともなくリティが尋ねた。すると可笑しそうに笑いながら、マサムネ・ディケンズ(乙女座ラプソディ・e02729)という名の若者がこたえた。その名のとおり、ハーフである。メロングリーンの髪は母親譲り、一房だけあるオレンジ色は父親譲りであった。
「バナナというのは、つまりアレだよ。男の下半身にある……ね」
「ああ。ペニ」
「そうそう」
 さすがに、慌ててマサムネは遮った。すると、さらにリティは怪訝そうに眉をひそめた。
「バナナがそれとするなら、攻性植物にもそれがついているいうこと? それを捕食させるということは、それを相手の口に入れるということ?」
「いや、口に入れるんじゃなく……まあ、口に入れる場合もあるんだけれど、でもまあこの場合、入れるのはあそこだよ」
「あそこ? 今回の囮は男性よね。口以外に男性にあれを入れるところなんてあるの?」
 リティは執拗に問い重ねた。レプリカントである彼女の場合、その方面の知識は著しく少なかったのだ。
「それはおし――」
「やめんか」
 たまらず男が怒鳴った。三十歳ほど。端正な美貌の持ち主で、どこか風に吹かれて漂っているような感じがある。
 名はシャルフィン・レヴェルス(モノフォビア・e27856)。マサムネとは恋人同士の間柄であった。
「まったく男っていうものは……」
 呆れ、かつ怒り、その娘は首を振った。なかなかの美貌の持ち主である。さらに胸と尻が大きく、肉感的な肉体持ち主でもあった。
 名は草薙・ひかり(闇を切り裂く伝説の光・e34295)。天才女子プロレスラーであり、プロレスリングMPWCの創設者でもあった。
 そのひかりであるが、不思議でならなかった。己を含めた魅力的な女性がいるのに、よりによって草なんぞに誘惑される男どもの馬鹿さかげんが。
「……何を怒っているのですか?」
 ちらりとひかりを見やり、神無月・玲那(執行者・e02624)という名の娘がつぶやいた。凛然とした美しい娘だ。
「しかし、バナナイーターですか……」
 想像しているうちに、玲那は下半身の疼きを覚えた。オークに悪戯されたことを思い出したのだ。その凛とした外見からは窺い知れないが、玲那は性的に奔放であった。
 すると、傍らを歩いている少女が小さく微笑んだ。可愛らしい笑みだ。が、その笑みに仄昏いものがからみついて見えるのは気のせいであろうか。
 その笑みに気づいて、玲那は少女――クノーヴレット・メーベルナッハ(知の病・e01052)に尋ねた。
「何が可笑しいのですか?」
「下半身のバナナ……興味深いと思って」
 白銀の瞳を好奇心に輝かせ、クノーヴレットはこたえた。そして濡れた舌で蕾のような唇をちろりと舐めた。
「攻性植物のそれは、一体どんな感触なんでしょうか……♪」


「ねぇキミ、この辺はまだ危ないよ?」
 森近くにたむろしている若者を見かけ、ひかりは声をかけた。
「あっ」
 見やった若者たちはうろたえた。無理もない。ただでさえむっちりしているひかりの肉体がさらな肉感的なものと化していたからだ。
「私達はケルベロス。いい子だから、今日は部屋に帰りましょ?」
「あ……はい」
 惜しそうにひかりの全身を眺めてから若者たちは退散した。それを見送り、ひかりは胸をはった。若者たちの視線に強烈な好意を感じたのだ。
 勝った。そうひかりは思い――首を傾げた。
「……あれ、なんか目的違う?」
「おい」
 男が声をあげた。人間ではない。竜種であった。紅珠のように煌く鱗に覆われており、無数の傷をその身に刻んでいる。すべて戦で負ったものだ。
 男――ザハク・ダハーカ(スカーレッド・e36065)は指をのばした。その指し示すところ、異様なものがあった。
 女だ。息を飲むほどに美しい女であった。が、女は人間ではない。攻性植物であった。
 女は誘うように手をのばした。するとケルベロスたちの精神に靄がかかった。攻性植物――バナナイーターの精神攻撃である。が、ケルベロスたちに精神攻撃は効かなかった。
「見ているだけならば、歓迎せんこともない相手だがな。……では、作戦通りいくか」
 苦く笑うとザハクは足を踏み出した。夢遊病者のような足取りでバナナイーターに歩み寄っていく。マサムネ、ロディ、シャルフィンも後に続く。するとバナナイーターが三体、さらに出現した。
 真っ先にバナナイーター飛びついたのはザハクであった。
「たまらんな……」
 唸りつつ、ザハクはむっちりした乳房にかぶりついた。舌で乳首を転がす。右手は片方の乳房を鷲掴みにした。左手は尻を揉む。どうやらザハクは十分に楽しんでいるようであった。
 戸惑ったのはロディであった。彼は作戦の本質を理解していなかったのだ。
(「着てないし! ハダカだし! 隠してないし! で、時間を稼ぐって事はつまりこいつの相手を三分間? 当然逃げちゃダメって事だよな!? ……見せてやる、オレの男を!」)
 覚悟を定めると、ロディもまたバナナイーターの胸に飛び込んだ。どうすればよいのか良くわからないながらも、本能に従ってバナナイーターの胸をぎこちない仕草で揉む。するとバナナイーターの手がロディの下半身にのび、いやらしく撫でさすった。

 戸惑っているのはシャルフィンも同じであった。ともかく乳房を揉んだものの、これからどうすればよいのかわからない。
(「たわわに実った果実……そういえばマサムネはよくおっぱいと連呼しているが、こういうのが好きなのか?」)
 などととりとめもないことを考えていると、ふと股間に当たるものに気づいた。
 バナナイーターの股間に屹立しているもの。太くて硬いバナナだ。
 シャルフィンは性的行為には疎いのであるが、これも本能であろうか。顔をバナナイーターの下半身に移す。
 ごくりと唾を飲み込むと、シャルフィンは恐る恐るバナナに顔を近づけた。バナナの先端を口に含む。いやらしい味が口中に広がった。
 刹那だ。バナナイーターがバナナを突き出した。一気にシャルフィンの喉を奪う。たまらずシャルフィンは咳き込んだ。
 そのシャルフィンの様子をマサムネは嫉妬にぬめ光る目で見やった。愛する男が他の肉棒に奉仕している様など見たくはない。
 とはいえ、彼もまたバナナイーターのバナナに奉仕していた。片手でしごいている。
「こ、こんな……恋人の目の前で攻性植物の相手をしなきゃならないなんてぇ」
 羞恥にマサムネが顔をしかめた。
 刹那だ。めりめりと音をたててバナナがマサムネの中に押し入ってきた。ザハクも同じだ。
 が、ロディとシャルフィンは違った。すぼまりにバナナの先端がはいった瞬間、尻を逃した。
「待て、そこは駄目だ。そんなところにバナナは入らない…っ」
 シャルフィンは呻いた。


「……すごいですね」
 クノーヴレットが目を輝かせた。むくれているのはひかりだ。
「大体なんで相手が草だってわかってるのに、あんなに鼻の下伸ばせるのよ!?」
「本当に。メロンなら私達も持っています。負けてません」
 対抗するように胸を突き出した玲那であるが、股間の奥が疼いてたまらない。その疼きを少しでもしずめるため。クノーヴレットの胸に手をのばした。優しく揉みしだく。
 無論クノーヴレットは気づいた。が、快楽主義者である彼女が拒むことはない。快楽は貪らねば損であった。
「……ロディなら、手こずっているようだなって、颯爽と貸してくれそうだと思ったけど」
 リティは不思議そうに首を傾げた。
「それにしても、バナナだけでなくメロンもなってるね、ほら、ふたつ。ところで、バナナの皮って、本当に滑るのかな?」
 リティは誰にともなく尋ねた。のんきといえばのんきである。その頃、四人のケルベロスたちは必死の戦いを繰り広げていた。ロディとシャルフィンは先端をわずかに入れられただけで、後は必死になって逃れている。が――。
 ザハクとマサムネはバナナを受け入れてしまった。のみならず自ら尻を振っている。痛かったのは最初だけであった。ザハクはもっと突いてくれとせがんだ。マサムネはやだ、と首を振る。
「恥ずかしい! こんな恥ずかしいオレの姿見ないで、シャルフィン!」
 乙女のように顔を赤く染め、マサムネは懇願した。その間もバナナは動いている。
 そこはシャルフィンにもまだ許していないところであった。そこを愛されるのが、こんなに気持ちいいものだとは――。無意識的にマサムネはバナナイーターにしがみつき、キスしていた。
 その時だ。電子音が鳴り響いた。ロディの腕時計のアラームだ。三分が過ぎたのだった。
「待ってたぜ」
 飛び離れ、ロディはファイヤーボルト――リボルバー拳銃のトリガーをひいた。弾丸をばらまく。バナナイーターの肉が弾けとんだ。
 するとバナナイーターも事態を悟ったのか、無数の蔓を蠢かせた。そのうちの一枝が唸り地表をかすめる。咄嗟に身を退いたひかりはかろうじて軽傷ですむが、他の者は浅からぬ裂傷を負った。
「バナナはおやつに入るのかな?」
 立ち上がると、リティは薬液の雨を降らせた。仲間の傷をたちまち癒す。さらにリティは小型偵察無人機の群れを放った。そしてバナナイーターの情報を収集する。
「敵戦力確認……データベース照合……火器管制システム、アップデート完了。最新パッチ、配信します」
 バナナイーターの戦力及び戦闘パターンを解析、結果をリティは仲間に伝えた。さらに玲奈も型治療無人機の群れを放つ。
 するとバナナイーターは抱きしめていた手に力を込めた。ザハクとマサムネの顔を乳房に埋める。窒息させるつもりであった。
 二人はもがいた。が、バナナイーターの力はものすごく、逃れることはできない。
「マサムネ!」
 ロディと同じく逃れたシャルフィンが大鎌で薙ぎつけた。気味の悪い声をあげてバナナイーターがマサムネを放す。どさりとマサムネが投げ出された。気を失っている。
「まだよ」
 すでに愛用のゼブラ模様のリングコスチュームをまとったひかりが跳んだ。輝く素肌を風になぶらせ、蹴りを放つ。流星の煌きを秘めたつま先がバナナイーターに突き刺さった。ビキリッとバナナイーターの身がへし折れる。
 その時、ひかりめがけて蔓がとんだ。が、それは空でとまった。クノーヴレットが掴みとめたのである。
 次の瞬間、シュピール――ミミックが襲った。エクトプラズムで実体化された刃で切り裂く。クノーヴレットといえばバナナイーターの股間に肉薄していた。
「反応もお味も、じっくり堪能させてもらいますね……♪」
 クノーヴレットは衣服の開いた。ぶるんと大きな乳房をさらけ出す。その胸でバナナイーターの屹立したバナナをはさもうとし――一瞬早く、バナナイーターの脚がはねあがった。クノーヴレットの顔を両足ではさむ。屹立したバナナがクノーヴレットの口に突き入れられた。
「むぐっ」
 苦しげにクノーヴレットは顔をゆがめた。味わうつもりであったが、さすがに無理だ。ただいやらしいバナナの味だけはわかった。


 その時、正気を取り戻したザハクとマサムネが立ち上がった。
「お返しだよ。もっといい悪夢を魅せてあげようか?」
 マサムネが禍々しく黒い弾を放った。魔力を凝縮させた弾丸だ。
 着弾したバナナイーターが苦悶した。悪夢に苛まれているのである。
 ザハクはバナナイーターめがけてとんだ。乱れ舞う蔓をたくみにくぐりぬけ、肉薄。バナナイーターに食らいついた。
「内より蝕む毒の牙……どこまで耐えられるか、試してみるがいい!」
 ザハクは牙を通してバナナイーターに毒を注入した。それは、かつて喰らった攻性植物の魂を解放して生成する猛毒である。なんでバナナイーターがたまろうか。断末魔にバナナイーターが身悶える。
 刹那、最後の一体たるバナナイーターが身を投擲した。咄嗟に守り手たるシャルフィンが大鎌で受け止める。が、実には戦車砲並みの威力が秘められていた。血まみれの肉塊と化し、シャルフィンが吹き飛ぶ。
 と、地に叩きつけられたシャルフィンの傷が癒着し始めた。リティだ。呪術的方法により、シャルフィンの傷を分子レベルで修復する。
「やってくれたな」
 ロディの目がぎらりと光った。座標軸を固定。精神を凝縮する。
 次の瞬間、バナナイーターの身が爆裂した。手からぼとりと身が転げ落ちる。
「フィニッシュよ」
 ひかりが馳せた。が、バナナイーターも必死である。縦横無尽にひかりを絡めとろうと蔓を舞わせる。
 刹那、光が乱れ散った。烈風――斬霊刀の乱舞だ。ことごとく蔓が断ち切られた。
 玲奈が叫んだ。
「今です」
「わかった」
 バナナイーターに肉薄、ひかりは後方から胴に組み付いた。
「私が架ける七色の虹の橋、あなたは最後まで渡り切れるかな!」
 ひかりが反り投げた。バナナイーターの頭蓋を地に打ち付ける。が、まだひかりは放さなかった。羽交い締めにし、またもや投げる。さらに、さらに――。
 七つの業すべてを発揮した時、すでにバナナイーターは絶命していた。


 玲奈がクノーヴレットの頭をひいた。彼女の口からちゅぽんとバナナが抜ける。まだバナナを堪能していたようだ。惜しそうにクノーヴレットは萎れかけたバナナを見つめている。
 傍らではリティが土をスコップで掘っていた。バナナイーターのサンプルを集めるつもりなのだ。
 さらに傍ら。しくしくとシャルフィンが泣いていた。それをマサムネがぎゅうと抱きしめている。
「よく耐えたね、えらいえらい」
「えらい、ね」
 うんざりしたようにロディがため息をこぼした。
「オレ、しばらくの間はバナナ食べられそうにないや……」
「……しかし違う意味で強敵だったかもしれませんね」
 なんだかわからない感慨を込めて、玲奈は初夏の空を見上げた。

作者:紫村雪乃 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年5月23日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 4/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 4
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