五月病事件~まだ慌てるような時期じゃない

作者:天枷由良

●真っ暗な四畳半に寝転び
「……朝か」
 スマートフォンの上部に示された時刻を確認して、男は呟く。
 そろそろ起き上がって、大学に行く準備をしなければならない。
「……けどなぁ、どうせ行ってもぼっちだしなぁ……」
 男はそう言って、ナメクジのような手つきでスマートフォンを操作する。
 開いたのは、膨大な容量を持て余しているアドレス帳。
 しかし一晩寝たところで、機械が勝手に何を増やしてくれるわけがない。
 つまり男が大学へ足を運んでも、広大な敷地のなかで孤独を味わうことに変わりはない。
「……いいや、今日くらい行かなくても、単位さえ取れればどうにかなるし……」
 ここ暫く続けて、そろそろ干からびてきた言い訳をまた繰り返し、男は布団を被った。
 ともすれば、この世で一番恐ろしい病に自分がかかっているなどとは、思わないままで。

●ヘリポートにて
「なんだか、五月病が流行っているみたいなの」
 ミィル・ケントニス(採録羊のヘリオライダー・en0134)は手帳を開き、語りだす。
「五月病。いわゆる、新入社員だったり大学の新入生が新しい環境に適応出来ないせいで罹ってしまう、精神的な病ね。それがどうにも流行りすぎじゃないかって、ジゼル・クラウンさんをはじめ、沢山のケルベロスが調査にあたってみたら……」
 なんと、五月病の病魔が大量に発生している事が判明したのだ。
「すぐさま生命に関わったりするわけじゃないのだけれど……ほら、このまま放っておくと社会的に死んでしまうでしょう? そこで皆には、被害者がまだ傷の浅い内に社会復帰できるよう、五月病の病魔を撃破してもらいたいのよ」
 ミィルが予知した被害者、もとい患者は、古アパートの角部屋に閉じこもっている。
「大学生の男の子で、名前は水野・遥大くん。もう布団から起き上がるのも怠いといった雰囲気で……意識はあるのだけれど、皆が訪ねても居留守を使われてしまうかもしれないわ」
 扉を開けざるをえないような、何某かの訪問者を装えばよいかもしれないが、駄目だったら鍵を壊して踏み込むしかないだろう。
「アパートの持ち主と他の住人、ご近所さんには事情を伝えてあるから、強引な手法になったとしても大丈夫よ。どうにかして水野くんと接触できたら、まずはウィッチドクターのケルベロスが病魔召喚を行ってちょうだい」
 参加者にウィッチドクターがいない場合は、この役目を現場付近の医療機関に協力しているウィッチドクターのケルベロスが代行してくれるので、心配はない。
「喚び出される病魔は、緩い部屋着で大きなクッションに寝転ぶ女の子の姿をしているわ。見た目からは欠片もやる気が感じられないけれど、病魔は病魔。非常に強力な副次効果をもたらす声やクッションで攻撃して、皆から体力とやる気を奪っていくわよ」
 それで動くことも困難な状況になってしまったら、為す術はない。
 なるべく万全の状態を維持していられるように、回復の手立てをしっかりと準備しておくことが重要となるだろう。
「病魔を撃破すれば、水野くんも立ち直ってくれる……はずなのだけれど。五月病って、どうにも再発しやすいと聞くのよねぇ。もし出来るようだったら、水野くんの話を聞いてあげたりして、彼の復帰を手助けしてあげられると、いいかもしれないわね」


参加者
光下・三里(マジシシシシシシシシシシ・e00888)
内阿・とてぷ(占いは気の向くまま・e00953)
フィスト・フィズム(白銀のドラゴンメイド・e02308)
罪咎・憂女(捧げる者・e03355)
織戸・来朝(爆音鳴らすフェンリル・e07912)
鮫洲・蓮華(パンダあざらし同盟・e09420)
カッツェ・スフィル(黒猫忍者いもうとー死竜ー・e19121)
白石・明日香(愛に飢え愛に狂い愛を貪る・e19516)

■リプレイ

●集まる
 晴天の下、女性ばかり8人のケルベロスが古アパート前に立つ。
「まさか、五月病の病魔が存在するとはな……」
「本当に出るとは思わなかったですの……!」
 北欧の雪山を思わせる色合いの肌をした竜派ドラゴニアン、フィスト・フィズム(白銀のドラゴンメイド・e02308)の言葉を耳にして、光下・三里(マジシシシシシシシシシシ・e00888)は戦慄く。
 五月病は恐ろしい病だ。
「人間関係や環境に揉まれて精神的に病みそうになる気持ちは、私も経験したことがあるからな。どうにかせねば」
 孤高さ漂う姿に違わない意気込みを見せるフィスト。
 しかし一方で、ケルベロスたちの中には五月病そのものに対しての疑問や、今すぐ生死に関わる事態ではないゆえの緩さも覗くことができた。
「う~ん。なったことがないから、どんな感じなのかわからないですよ」
「五月病って、別にサボって遊んでるわけではないんでしょ?」
 内阿・とてぷ(占いは気の向くまま・e00953)が首を傾げたところに、カッツェ・スフィル(黒猫忍者いもうとー死竜ー・e19121)が疑問符と言葉を重ねる。
「せめて何かしらすればいいのに。もったいないね」
「……自由過ぎるというのも、また難しいことなのかもしれませんね」
 もとより一所に留まることが少なかった自分には、よく分からないけれど。
 そのような趣旨の台詞を付け足して、罪咎・憂女(捧げる者・e03355)は定住せずとも生活を共にしていた集団を想い起こす。
「働きたくなくなるとは難儀ですね~」
 途切れた言葉の波に、小石を投げ込んだのは白石・明日香(愛に飢え愛に狂い愛を貪る・e19516)だ。
 風貌こそサキュバス然とした明日香は、何を考えているのか少々不明瞭にも感じられる。
「えっと、これから何するかは分かってるよね?」
 鮫洲・蓮華(パンダあざらし同盟・e09420)が問うと、明日香は空に向かって指を回しつつ悪そうな顔で「分かってますよ~」と答えて、アパートの階段を上がり始めた。
 一先ず安心である。病魔を喚び出すには、蓮華や明日香の力が絶対不可欠なのだから。

●謀る
 明日香に続き、ケルベロスたちは貧相な木製扉の前に着いた。
「さて、どうしましょう。合鍵が借りられると良かったのですが」
 ドアノブに目を落としていた憂女が、視線を仲間たちに移す。
 最も穏便かつ手早い方法として考えられたスペアキーの借用は、アパートの所有者が惜しくもケルベロスたちの到着前に事情を聞かされ、現場を離れていたために叶わなかった。
「仕方ありませんわ。やれることをやるだけですの」
 三里が言って、一歩進み出る。
 たとえ鍵がなくとも、扉を開ける方法はあるだろう。
 幾つか考案された策のうち、まず三里が提示したのは宅配業者を装うことだ。
「こほん。こんちわー、宅配便でーすの! ハンコお願いしますのー!」
 ポピュラーかつベター。これなら朝から晩まで、常識的な時間であれば何処に現れても不思議ではない。
 しかし。
「出てこないね」
 僅かな沈黙を破って蓮華が言った通り、キュートでチャームな天使宅配便に対する反応は欠片もなかった。
(「居留守使うなんて酷いですの! まったく、業者さんの身にもなりなさいな!」)
 両手で抱えているつもりだった架空の荷物をすぱーん!! と、地面に叩きつけたところで宥められ、三里は退いていく。
「しょうがないな。カッツェに任せなよ」
 次鋒として歩み出たドラゴニアンの少女は尻尾をうねらせて科を作り、声の高さを二つほど上げた。
「ねぇ遥大君。授業に出てなかったから心配して来たの。お願い、顔を見せて?」
 どうやら片想いの女子設定らしい。
 これには清純男子もイチコロだ。……五月病に罹ってさえいなければ。
「やっぱり出てこないね」
 蓮華が呟く。
(「なに、カッツェじゃ不満なの!? カッツェもお前みたいなのお断りだよ!!」)
 不条理な敗北を喫したカッツェは、心の内で大鎌を振り回しつつ引き下がった。
 この辺りで、ケルベロスたちは五月病の面倒臭さと――集合からここまで、不気味なほどに押し黙っている一人のウェアライダーから殺気が滲んでいることに気付く。
 彼女の導火線は、燃え尽きるまで残り少ないと見えた。
「なんとかしなきゃね」
 ナース服――というより、そこはかとなくコスプレ感漂うピンクナースコスを纏った蓮華が、しぶとい扉の前に出る。
 蓮華はサキュバスだ。そしてサキュバスは、人の精神状態を弄ぶ技を持っている。
「ケルベロスです健診にきました~! 今開けてくれると、楽しく健診してあげるけど、どうかな? 今までしたことのない体験できるよ!」
(「……なるほどですよ」)
 同族がラブフェロモンを放出しながら実践する手練手管に、とてぷは唸った。
 声音、腕や腰の角度、尻尾の揺らし方、極太注射器の構え方、エトセトラエトセトラ。
 今後に活用できそうである……が、それはそれ。
 とてぷのサキュバス経験値が実地研修で僅かに上昇する一方、やはり扉の向こうからは反応がない。
 フェロモンが届いていないのか、はたまた五月病に絆されてサキュバス18歳より布団に恋しているのか。
「困りましたね~」
 明日香が頬を撫でる。
 穏便に済ませようとするケルベロスの心遣いは、尽く無下にされてしまった。
 いっそ、生命の危機でも煽ってやったほうがよかったか。
 逡巡を始めたところで、ついに彼女が爆ぜた。
「……こちとらGWなんざ『頑張ってWorkする』なんやぞ……」
 織戸・来朝(爆音鳴らすフェンリル・e07912)は拳を握って肩を震わせ、声を絞り出す。
「……そんなに忙しかったのか?」
 フィストの問いに来朝は懇々と、それはもう懇々と、憎らしくなるほど音楽関係の仕事が詰まっていた黄金週間について語り聞かせた。
 そうして喉元過ぎた熱さをわざわざほじくり返すものだから、来朝の怒りは加速度的に募っていく。
 溜まったものは吐き出さねばならない。遠慮自重など彼女が生業とするロックから対極の存在だ。
「――通学の時間だオラァ!」
 ステージ上で演者がギターを叩き壊すように、来朝はドアを蹴りつける。
 時折混じる関西弁が、鬼気迫る様相に拍車をかける。
 幾つかの策を跳ね返した扉も物理攻撃には為す術なく、耐久値は瞬く間にゼロとなった。
 そのまま勢いに任せ、ケルベロスたちは四畳半に雪崩込む。真っ昼間だというのに真っ暗な部屋の隅で、遥大は布団に包まったままだった。
「私達はケルベロスだ。信じてもらえないかもしれないが、今のあなたは危険なモノに憑かれている」
 至極真面目に、事情を説明するフィスト。
 それを来朝が遮り、肩で息しながら屋外を指し示す。
「ちょいまち……さすがに、色々ときついわ」
 怒りに任せて暴れたから――ではない。この両辺3mに満たない部屋に、患者1名ケルベロス8名に加えてサーヴァント5体までもが詰まっているからだ。
 このまま戦闘に至れば、対デウスエクス戦のスペシャリストであるケルベロスだって部屋を荒らしてしまうかもしれない。
 勉強道具が破損でもしたら、五月病を撃破しても今後の学業に差し支えるだろう。
「確かに此処では狭いですし……」
 頷く憂女。
「……では、多少強引な手を使わざるを得ないが、許せ」
「患者様1名ご案内だよー!」
「女の子8人で相手してあげるんだから文句ないでしょ?」
 フィストと蓮華に両脇を抱えられ、カッツェに意地の悪い笑みを投げられ、遥大はずるずると光差す方に引きずられていく。
 その途中、やたら身体を押し当ててくるサキュバスナースの色香と、破壊された扉を見やりながら来朝が吐いた「敷金と礼金は諦めな」との言葉を受けて、青年は鼻血を吹きつつ失神してしまった。

●戦う
「いきますよ~」
 アパート前の路地に描いた妖しげな魔法陣に遥大を乗せ、明日香が施術黒衣を翻す。
 程なく喚び出される病魔。ケルベロスたちは武器を手に構えた。
 しかし、蓮華がウイングキャット・ぽかちゃん先生と一緒に、遥大を路地の端へ寄せている間も、病魔は緊張感にかけた様子でクッションにもたれたまま。
「まぶしい。ねぇ帰っていい?」
 その呟きといい姿形といい、まるっきり部屋で寛ぐ干物女である。なんとなく飴とか好きそうな。
「はっはっは! どっかで見たことあるビジュアルですけれど気のせいですので訴訟は止してくださいませね!!」
「……何処に向かって何を言ってるのよ?」
「いえ、なんとなく言っておいた方が良いかと思いまして?」
 来朝から訝しむような視線を投げられ、釈明を重ねる三里はさておき。
「在り方が違いすぎて交わらない感じがあるな……」
 ここまで戦意に欠ける相手では、ばっちり戦闘態勢の憂女も踏み切りづらい。
 とはいえ、やるべきことは変わらない。
「わたくしたちはケルベロス! 五月病になんか――」
「そんな張り切らないでさぁ、頑張るのは明日からにしようよ」
「絶対、負け、た、り……スヤァ」
「しっかりするですよ!」
 いきなり寝息を立てだした三里に、とてぷが紙の人形をばら撒いて印を結ぶ。
 自我を得たような紙兵たちは、だらしない仲間の頬を何度も引っ叩いた。
「……はっ、まさか既に攻撃が始まってますの!?」
「そのようだ。此方も遠慮なくいかせてもらおう」
 口元を拭う三里を捨て置き、憂女が病魔の正面から高々と天に舞い上がって、太陽を背に墜ちてくる。
 力強い蹴りは病魔の鳩尾を抉り、改めて開戦を告げた。
「なんか低血圧っぽいけど……まぁいいや、これでお熱を冷まそうね?」
 にやりと笑って、カッツェが氷結の螺旋を撃ち放つ。
「さむーい」
「だったらコレで温まりな!」
 ふるふる震える病魔に向け、今度は来朝が炎を纏った激しい蹴りを打ち込む。
「負けてられませんわ!」
 三里は拳を握って――。
「おやすみなさいませ!!」
 自らを癒すため、真に自由なる者のオーラに包まってびたーん!! と、寝転んだ。
「ずるい私も寝るー」
「そうはいかないよ! ほらほら、わたしの目を見て?」
 敵とは思えない抗議を遮り、蓮華が金髪赤眼に変じてポーズを決める。その身なり振る舞いは、なんやかんやの原理にて病魔を引きつけた。
 その間、フィストが竜を屠ったという剣で守護星座を描き、明日香は黒鎖で新たな魔法陣を作り、フィストのウイングキャット・テラとぽかちゃん先生が清浄なる羽ばたきを加えて、前衛陣に強力な異常耐性を築き上げる。
 さらにはとてぷのマミック、三里のボックスチェア一号と2体のミミックがトラバサミのように病魔へ齧りつき、身動きを封じている間に来朝のオルトロス・リヤが伊達眼鏡の下から見せる鋭い眼光と共に、加えた神器で一息に斬り抜ける。
「やめてよー」
 変わらず気の抜けた声で、病魔は何処からか生み出した大量のクッションをケルベロスたちに投げた。
 それは速さがあるわけでもなく、質量があるわけでもなく。
 ただ不思議と、前衛を務めるケルベロスやサーヴァントを捕らえて包む。
「くぅ、この感覚……あまりにも……だが、負けるわけ、には」
 言葉とは裏腹に、フィストの全身は麻痺してしまったように動かない。
 闘気を循環させて抗うも、誇りや尊厳まで奪われていく気さえする。
 ……が、明日香の散りばめるオウガ粒子を乗せて、ぽかちゃん先生やテラが起こす清らかな風、その上から三里が注ぐオーロラのような光と、まだまだ強固になっていく守護の力がケルベロスたちにやる気を損なわせなかった。
「カッツェは魂吸ってる方がよっぽど寛げるんだよね……いただきまーす!」
 病魔のお味は如何なものか。それを楽しみにしてきたといってもいい娘は蒼色の刃を煌めかせ、喜々として突き立てる。
「いたーい」
「そうか。しかし手心は加えられないな」
 淡々と言い放ち、憂女は深い黒紅色を宿す流体装甲で拳を覆う。
 蓮華もドレスのような光輝くものを腕に纏えば、二人は揃って鬼と化したように、強烈な拳撃を叩き入れた。
 それでも病魔は呆けた台詞を言い、怠けて文句を零し、クッションをまた投げる。
 だが、やる気を奪って無力化していく戦法は、ケルベロスが形成した分厚い耐性の前に全くもって意味を成さず。
「蘇れ、神喰いの魔狼――その慟哭を以て、簒奪の限りを!」
 来朝が北欧神話のフェンリルを題材に奏でるゴシックロックチューンを蒼い閃光に変え、リヤの神器と共にして貫くことで、病魔は呆気なく消滅したのだった。

●励ます
「大学は義務教育の延長じゃないの。やるべきことをちゃんとやりなさい。自ずと仲間は出来るから」
 学費やら知人の末路やらを言い聞かせて現実を突きつけた後、来朝はそう締めくくる。
 ケルベロスたちは扉の修復された四畳半で冴えない青年を取り囲み、術後のフォローに当たっていた。
「何処へでもいいから、今から私達と遊びにいかないか」
 そんなフィストの誘いに、遥大は顔を引きつらせる。病魔が退けられても、元来の内向的な性格は如何ともしがたいようだ。
「次は助けてあげないよ? 死んじゃうよ? というか、また病魔に罹られても面倒だし……」
 いっそのこと此処でひと思いにと、鎌を閃かせるカッツェ。
 もちろん冗談であるが、こういうので涙目になるからこそのコミュ障である。
「まぁまぁ。そもそも、出会う人すべてとずーっと付き合い続ける訳ではありませんし? アドレス帳なんて家族やバイト先以外が一人でも登録されれば大勝利! だと考えるんですの」
 三里の慰めに対し、突き出された電子機器の表示は見事なまでに家族オンリー。
 心なしか部屋が冷え込む。
「……と、とりあえず学校行ってみるんですよ! もしかしたら、行く途中の曲がり角で遅刻しそうになった女の子とぶつかって、そこから恋が始まったりするかもしれないじゃないですか!」
 最近読んだ古めの少女漫画的シチュエーションを提示するとてぷに、そんな馬鹿なと、腐る遥大。
 彼は今現在、割と希少な状況に置かれていることを理解していなかった。
 自室に8人もケルベロス女子がいて、口々に自分を励ましているのだ。しかも下は12歳から上は26歳。おいそこ代われと、言われてもおかしくない。
 ぜひともこの経験を話題にしてもらうべく、憂女は記念撮影を提案した。
「これって色々話す切欠になったりしない?」
 などと言いつつ、蓮華がケルベロスカードも手渡す。お守りにしてもらえればと思ってのことだが、同時に今日の出来事を証明するものにもなりそうだ。
「それでは、私たちにできるのはここまでです。応援していますね」
 ひとしきり手を打ち終えたと見て、切り上げる憂女。
 ぞろぞろと部屋を後にするケルベロスたちを見送りながら、遥大はケルベロスに囲まれる自分の画像を眺め、ささやかながらやる気を覗かせていた。

作者:天枷由良 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年5月22日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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