禁断の果実は町中に

作者:baron

「ファイトー、オー!」
「「ファイト、オー、ファイットオー!」」
 夕方間際の大阪城。その周囲をジャージ姿の男と、ユニホームに身を包んだ若者たちがジョギングをしている。
 男が声を出して先行し、三人ほどの若者が必死で追いすがって行く。
 だが雑木林の辺りに差し掛かった頃、やがて若者たちは足を止めた。
「どしたー! もうへばったのか? そんなんじゃレギュラーに入れんぞ!」
「そ、そうは言いますけんど、コーチ。あ、あすこ。あすこに女の人が」
「し……しかも、すっぱだかの女の人が居ます。すっぱすよ!?」
 男が若者たちが指差した方を眺めると、雑木林の奥に女がいた。
 確かにすっぱだかで、しかもおっぱいはボインボイン。
 艶めかしい仕草で誘う姿は、密林に住まうアマゾネスか、それともピュアな妖精さんか?
「い、いいから早く走れ。お前達には……目の毒だ。お、俺が通報しておくから……」
 だが、いずれにしても、若者達には災難だ。
 コーチと呼ばれた男はいざ知らず、女の裸に興味深々の御年頃。
 股間にテントを張ってしまい、腰を少し浮かせてモジモジしながら隠すしかない。
「走れっていっても、これじゃあなあ……」
「あっちの方に行ってみたいよな」
「うへへへ……」
 プルーンプルーンと豊かで柔らかそうなメロンちゃんが、こちらを誘っている。
 もし直ぐにでも逃げ出せば違ったのだろうが、ここで立ち止まったのが運の尽きである。
 しかもこのおっぱいさんには、誘惑能力を発揮して惹きつける事もできるんだ、目は釘付け、テントがチョモランマになっても仕方あるまい。
「う、うわー。なんだコレ!? おっぱいが、おっぱいが。おっぱいが襲ってくる―!」
「ううう、アァー!?」
 気が付いたらおっぱいさんの方にイってしまう。
 そしてバナナ(意味深)に食いつかれ、色々と大切なモノを絞り取られ、人間としても、男としても干からびて死んでしまうまでスッカスカにされて埋められてしまうのである。


「みなさん、聞いてください。『爆殖核爆砕戦』後、大阪城に残った攻性植物達の調査を行っていた、ミルラ・コンミフォラさん達から、新たな情報が得られました。調査によると、大阪城付近の雑木林などで、男性を魅了する『たわわに実った果実』的な攻性植物、バナナイーターが出現しているようなのです」
 セリカ・リュミエールがちょっと微妙に真剣な顔で説明を始めた。
 真剣な表情ながら、たわわに実った果実とか、バナナという表現で引いてしまう。
「ごほん。バナナイーターは、15歳以上の男性が近寄ると現れて、その果実の魅力で魅了し、絞りつくして殺害する事でグラビティ・チェインを奪いつくしてしまうのです」
「ああ、バナナってそういう……」
 攻性植物は、こうして奪ったグラビティ・チェインを使って新たな作戦を行うつもりなのかもしれません。
 セリカはそう続けるのだが、意味を察した女性陣が微妙な顔に連鎖する。
「申し訳ありませんが、みなさんには、この出現するバナナイーターを撃破して、誘惑されてしまう犠牲者を救ってもらえるようにお願いします」
 セリカは主に女性陣に対して、軽く頭を下げたのである。
「一応ですが、一般人が攻性植物に出会う場所に先回りする事が出来ます。バナナイーターを出現させる為には、そのまま一般人を誘惑させるか、或いは、一般人を避難させた上で、ケルベロスの男性が囮となる必要があるでしょう」
 男性陣には女性陣の視線が痛かった。
 もちろん平気な奴も居るし、くんずほぐれつお願シマースな奴も居る。
 だが、その視線に誰もが耐えられる訳でもない。
 何しろ、敵は……おっぱいなのだ!
「バナナイーターは、攻性植物の拠点となっている大阪城から地下茎を通じて送られているようで、囮となった人数に応じた数の攻性植物が出現するようです。ただし、出現する攻性植物は1体目以外は、戦闘力が低いようなので、ある程度数を出して一気に叩く事も可能になります」
 そろそろ慣れてきたのか、セリカは微妙な顔を止めて真剣な表情で喋り続けた。
「注意すべき点は、攻性植物が出現してから3分以内に攻撃をしかけてしまうと、出現した地下茎を通ってすぐに撤退してしまう事です」
「つまり、囮となった者は3分は、攻性植物と戦闘せずに接触する必要があると?」
 セリカの説明が注意事項に入ると、流石に質問が飛んで来た。
「はい。ですが幸い、攻性植物側もその3分間は攻撃などはせず、対象の男性を誘惑する行動を行う為、囮が一般人であってもすぐに死んでしまうという事はありません。それにケルベロスであっても15歳以上なら獲物とするようですので、囮に成る事も出来ます」
 再び女性陣の視線が、男性陣に集まる。
 これは即ち、3分ほどはおっぱいさんの誘惑に晒されても良いと言う事である。
 仮に乳・尻・太股に目を奪われ、股間にテントを張っても許されると言う事である。
 そりゃー女性陣の目は冷えるし、男性陣の鼻が延びても仕方無いのかもしれない。
 ちなみに攻性植物の誘惑はケルベロスに効かないので、ヒジョーに都合が良いのである。なにしろ、誘惑されたフリをして、乳・尻・太股に目をやり、股間にテントを張っても許されると言う事である。
「バナナイーターの戦闘ですが、実った果実を投げつけたり、食べて回復してきます。そして最強の技ですが、……その、蔓や胸や腰で固定し、締めつける技です」
「え??」
 思わず聞き返した。
 蔓で締めつけるのは判るが、なんだって?
 そう聞き返したおっさんを女性陣の一人が黙らせて、説明は終了と成る。
「大阪城の攻性植物の調査を行ってくれた皆の苦労に報いる為にも、攻性植物の活動を阻止してください」
 なんでもはしませんが、よろしくお願いします。
 セリカの笑顔は作り笑いから、めっさ良い笑顔に成って軽く頭を下げた。
 対する女性陣たちは重々しく頷き、男性陣は心なしか居たたまれない表情で頷いて、会議を始めたのである。


参加者
写譜麗春・在宅聖生救世主(誰が為に麗春の花は歌を唄う・e00309)
日柳・蒼眞(落ちる男・e00793)
流星・清和(汎用箱型決戦兵器・e00984)
クルエラ・トラディメント(妖々奇譚・e01791)
彼方・悠乃(永遠のひとかけら・e07456)
クー・ルルカ(デウスエクスに悪戯する者・e15523)
前藤・慶次(とてもがんばりたくない・e16216)
アンナ・トーデストリープ(煌剣の門・e24510)

■リプレイ


「少し周囲の樹木を確認してきますね」
 彼方・悠乃(永遠のひとかけら・e07456)は周辺を調べ始めた。
「攻性植物化して、私たちを監視しているものが存在していては厄介ですし、今回の相手が動く前に確認できるかもしれません」
「じゃあ、俺たちは周辺を封鎖して来るよ」
 悠乃がジックリと周辺の様子を探って行くと、前藤・慶次(とてもがんばりたくない・e16216)は面倒くさそうに人が来ないように説得を始めるのであった。
 とは言え面倒臭がりの彼の事。
「がんばって! この敵に、市民は絶対に近づけさせちゃダメ!」
「こんくらいやっとけば十分じゃない? っていうか、あっちが本命だし」
 クー・ルルカ(デウスエクスに悪戯する者・e15523)に注意され、慶次はロッドを使って適当に交通整理。
「はいはい、こっちはしばらく通行止めねー。回れ右して、別の道行ってちょーだい」
 警笛ぴひょーとやる気なさ気に吹いて、一般人達を遠ざけるのでした。

 そしてえーかげん人通りが少なくなった頃、一足早く若者は出発。
 女性ケルベロスたちは生温かい目で見守るのであった。
「うんうん、本能曝け出すのはいいことよぉン」
「うんうん、KENZENな男の子なら仕方ないよね。あ、マムシドリンクとか飲んでおく?」
 クルエラ・トラディメント(妖々奇譚・e01791)と写譜麗春・在宅聖生救世主(誰が為に麗春の花は歌を唄う・e00309)はお茶会の準備をしながら仲間を送りだした。
 ハンカチを振って見送った後、上に持って来たお菓子やフルーツを並べ始める。
「お、あれは、禁断の果実だわぁン。メロンちゃんのメロンがたゆんたゆん……。ワタシも飛び込みたいわぁン! でもバナナなのよねぇ、アレ」
「ばなーな・ぱわーっ! あ、今回バナナ……バナナ? は敵だっけ?」
 なんて言いながら仲間を心配する気持ちは明後日の空に飛んで行きました。
 何しろ……。
「よーし、ばっちこーい。組んず解れつお願しまーす! イって来るぜ!」
 若者は躊躇う事無く攻(性)植物の元に突撃。
 日柳・蒼眞(落ちる男・e00793)という貴重……かどうかは別にして、尊い犠牲……ごほんごほん。勇気ある囮を見守りつつ隠れておくんだよー。


「うっ! コレは……」
 そそり立つ伝説の力。
 逞しくてふとましい鋼のボディが、電光石火の雄たけびをあげそうになった。
「我右手にオッパイ、我左手にオッパイ。おっぱい枕にデスバレー……こいつは幻覚なんてちゃちなもんじゃないぜ! 何を言ってるか判らないとは思うが……」
 何が起きたのかを説明しよう。
 お座りしてるおっぱいさんの上に蒼眞の後頭部が。
 その顔面を別のおっぱいが塞いぎ息を吸おうとしたら別のモノを吸ってしまう。
 立ち上がろうとする右手をおっぱいが挟み、払い避けしようと……してないけど左手をおっぱいが挟んで居る。
「だ、大丈夫かなあ……」
「大丈夫ですよ、アレは愉しんで居るんです。……あ、ジュース飲みます?」
 もがき苦しんでいるように見える……が、決してそうではない!
 心配するクーをアンナ・トーデストリープ(煌剣の門・e24510)が止めてしまうくらいに、誰かさんはデレデレである。
 あまつさえ……蔦が服から入って、彼の行動をトーレスして反射しているのだ。
 どういうことかというと、オッパイや腰を触る彼の指先と同じ様に、蔦が彼の全体をマッサージ。
「うっ……いかん。このままヤられっ放しでは男がすたる! ここは是非とも主導権を奪い返さねば……」
 顔を挟まれてオッパイを間違えて(?)ペロペロしてしまった蒼眞の行動を反射し、服の上から彼のビンカンな部分をペロペロされ返されそうになる。
 なんという口撃! このままでは男としてかれる前に、男のメス墜ち化というパワーワードか、腐女子向けの素材に成ってしまう!

 そう思って果敢な反撃に打って出た! ヤられる前にヤれ!
「うわっ……。なんてディープな。毒の体液だってのによーやるわ」
「なんて羨ましい……。女性は襲われないなんて、話が違うじゃないですか!!」
 熱烈なヴェーゼを見て流星・清和(汎用箱型決戦兵器・e00984)は呆れたような声でREC。
 アンナはくやしいビクンビクンしながら羨ましそうに誰かさんの様子を指を加えて眺めるしかなかった。
「いや、最初からそう言ってるし……。あ、ダビングできる?」
「ちょっち難しいなぁ。あ、ネットで共有すればええんか」
 慶次はオペラグラスで出歯亀ししつつ、清和の記録媒体をねだった。
「ほ、本当に大丈夫……? それに、ボク、どうしちゃったのかなあ」
「あ、興味ある? クーちゃんもそろそろオトシゴロだもンねぇん……。それとも、される方がお好みかな?」
 クーがふえーと言いながらモジモジするのを、クルエラは優しく撫でてやった。
 あ、もちろん頭の事だよ? 決して前でも後ろでもないからねっ。
 たぶんきっとそう、クーは可愛いから母性本能の方が勝ったのに違いない。
「さてと。男のコカン……いや沽券を取り戻したところで、助け足るかな。えーかげんにバッドステータス漬けやでアレ」
 3分経過~アウトー。
 清和は落ち着いて時間を数えると、無情にも戦いの鐘を鳴り響かせた。
 押し倒してこれからホンバンなのに~という青年に富倫の仕事をする。


「近くに反応はありません。妖しい場所はかなり遠くです」
「はーい。……あ、いーこと思い付いたから、最初はまっかせてー」
「「どうぞどうぞ」」
 悠乃が周辺のことを説明すると、在宅聖生救世主さんは言いました。
 どこかのロボットリーダーのように『私に良い考えがある!』とナイスアイデアを披露。
 すっかりダウナーになっていた仲間達は、道を譲ってくれる。
「バナナイーターさん、バナナイーターさん。ここに無残に切り刻まれて捨てられたバナナがあるでしょ?」
 にっこり。
 もしかして古代の見立て呪術だろうか?
「数分後のお前達だ」
『シネ』
 ですよねー。
 バナナイーターが怒った訳でもないだろうが、敵を見つけて攻撃を開始。
 それに対し、回避しようとする彼女と、立ち塞がろうとする誰かがぶつかってしまう!
「あぶないおねーさん! はうっ、はわわわわ、ゴメンなさーい!」
「いーのいーの。さあ、バナナイーター退治だ。今必殺のーっ! 緋統天則千年王国!」
 クーがカバーに入った後、ぶつかってしまって貌に描いた戦化粧以外は真っ赤っか。
 そのイジメテオーラを見ながら在宅聖生救世主は何かのスイッチが入りそうになりつつも、本題に入ることにする。
 間違えてバナナを踏みつけないように、軽く宙に浮かんでから無数の稲妻を呼び寄せた。
 大宇宙の法則が十字架状の稲妻を降り注がせる。
「あらあら。いーごみぶんですわね。でもいいんです、ここからは私達に任せてくださいな」
「くそっ、あとちょっと、あと3cmだったんだぞ!? じゃなくて、ごみぶんってどう言う字を書くの!?」
 アンナは先ほどまでのダウナーさ加減が嘘のようにハッスルしながら突撃を開始した。
 キスマークまみれの蒼眞を羨ましそうに見ながら、鉄拳で相手のおっぱいを殴り……わし掴みにする!!
『シネ』
「ああ、やっと触れ合える。もっと情熱的に絞めつけて?」
 反撃とばかりにくりだされたオッパイを仲間に奪われないよう……じゃなくて庇う為に立ち塞がる。
 しかもサッカーでたまに見る顔面ディフェンス!
 なんという献身であろうか!?
「良い精神集中を教えてあげるわねぇ。数を数えるとか定番でしょぉ。そうねぇ、ルートの数字とか唱えて冷静になるといい感じ?」
「あのな……それはイカン、その歌の意味は……」
「はぁはぁ……はい、そうします。えっと、ひとよひとよにひとみごろ!」
 クルエラが竜を帯び出しながらに教えてもらった精神統一方法を試す為、清和が止める暇も無く、クーはルート2を数えながら歌を詠い始める。
 竜の息吹に隠れて聞きとれなかったが、どうやらアダルトな意味があるらしい。
「ま、ええわ。おっちゃんたちでフォローしたる」
 清和は後で少年が歌の意味を調べて恥ずかしがる光景を想像しながら、溜息をついて走り出した。
 ガッシャンガッシャン外装を揺らしながら、飛び蹴り掛けてグラビティを浴びせたのである。
「フォロー。フォローか。まあいいか……。男はね、こーゆー風に釣られちゃっても、それはほぼ本能だから仕方がないことなんだよ」
「でも、前藤さんは冷静だね……かっこいい~」
 慶次が煙草でもふかすかのように雷撃を放って居ると、クーは羨ましそうに見上げた。
 少年には大人が恰好良く見える瞬間があるというが、枯れたナイスミドル候補生を羨ましく思ったのかもしれない。
「え、俺? 俺は若い頃、そーゆーこと考えてる余裕無い生活だったからさー。だからね、あんなに楽しそうな日柳はある意味羨ましいよ、うん」
「いいから援護、援護をプリ……いや、いいか……」
 慶次が胸元から拳銃を取り出しつつハードボイルドに決めて居ると、誰かさんは再びオッパイの中に没する。
 そして蒼眞は精神力を奮い起して叩きつけつつ……考えるのを止めた。


「繰り返す波、浄化の環、癒しの時をあなたに」
 悠乃は時間の流れこそを揺さぶって、仲間が冷静に成れるように調律した。
「大丈夫ですか?」
「ハイ。ええ。そうですね、そうだろう。うん。今は戦いの時だもんな」
 悠乃の浄化が効いたのかもしれない、蒼眞は妙に冷静になると、戦いに対して真面目に向き合った。
「ごっちゃの陣形を立て直して一体ずつ潰して行こうぜ」
「そうやな。逃がしたら男の……いや地球の危機。確実に倒していくべきだね」
 蒼眞がグラビティの網を広げながらオッパイの内側から移動を始めると、清和はナニカを察したらしく協力を約束。
 そして腕を関節とは無関係に回転させ始め、殴りかかると同時に位置取りをし始める。
「あらあら……。男どもが何か団結し始めましたよ?」
「思う所があるんじゃない? ほっとこ。いっくよー」
 アンナは男には余計な手出しするなといいつつ槍を構えて何故か全身で体当たり。
 でも在宅聖生救世主が手助けするのは構わないらしく、彼女が大鎌を構えてやって来ると、キリっと良い表情で肩を並べた。
 男子には塩対応で自分には熱い視線という差を眺めながら、伝わる教え通り放っておいた。
 実害がないからいーやとマイペースにバナナを一体、予告通りに切り刻んだのである。

 そして、もともと強くは無い個体が一体減ったのは大きい。
 緩やかなL字であった陣計が、徐々にV字へと変化して行く。
「後三体っ。こちらの陣形の中に、相手を閉じ込めました」
「んー。ここからは、どっちかが攻撃に参加くらいはできそうねぇん」
 悠乃はクルエラの申し出にフルフルと首を振りながら、紙の兵士を前衛に追加して包囲網を強固。
 その間にもクルエラが流体金属で援護しているので、傷はほぼ回復している筈だ。
 それなのに攻撃に加わらないのは、どちらかといえば、動かずに観察したいからである。
 彼女は攻性植物にも知性があると考えており、形態反射ではない、頭脳の冴えを見たかったのである。
「治療に加わる必要は無さそうで何より。んじゃ、パパっと片付けますか」
 慶次は銃を速射すると、もう一度雷撃を放って動きを鈍らせる。
 そして仲間達の様子を見ながら、次は後方にちょっかいだそうかと、鎖を取り出したのである。
 今はまだ妖しいが、もう一体くらい潰せば、森に逃げようとしても捕まえられるだろう。


「ど、どるちぇ、ありがとう。ふう、反撃だよ!」
 クーはおっぱいに挟まれてもがきながら、身長の差をりようし、ミミックのどるちぇに足を引っ張ってもらい脱出を果たした。
 危ない、もうちょっとで食われるところだったと言う所だ。
「私も貴女を触ってあげる。うふふ、遠慮しないで。一緒にトロけましょう?」
『シシシ、しね……』
 アンナは敵が放つ毒の口付けから仲間を庇いつつ、鉄拳が相手の胸を直撃した。
 その一撃でフラフラになりつつも、なんとかトドメを刺す事に成功。
 良くある似非百合モノと違って、彼女はするのされるのも大好きなのであった。
「あらあら……もうちょっと愉しみたかったのに……」
 くったりと倒れる攻性植物を眺めながら、残念そうに一体くらいオモチカエリできないかなーとか考えるアンナである。
「あ、獲られた……。まいっか、つぎつぎーごーごー!」
 在宅聖生救世主は狙って敵が倒されたので、次成る敵にレッグラリアット!
 眩しいばかりのおみ足が炸裂し、アンナ大興奮。
「半減か。回転率は良くなりそうだな。あとは逃がさないようにしねーと。よし、大復活!」
 蒼眞の賢者なクールタイムが過ぎ去り、再び溢れた煩悩まみれの手でオッパイを掴むと超震動を放つ!
 もみもみもみ!!
 プルルンと震える果実は、本物のメロンにはない手応えである。
「どっこいせ!」
「いくわよ。二人の共同作業ねぇん」
 清和がヤクザキックばりに蹴り倒すと、クルエラの回し蹴りが三体目の延髄を狩る。
 ぷるんと震えるバストが二つ。
 倒れるオッパイが一つ、誇らしげに揺れるオッパイが一つ。
 RECるおっちゃんに向かって、ポーズまで消えんル余裕アリアリである。
「悪いけどあとはボコられてくれる? これってデウスエクスから守るケルベロスの業なのよね」
 慶次はチェーンを敵の首に巻きつけながら、絞りあげてグラビティを流し込んで行く。
 そいつは一番強い個体ではあるが……残った一体の末路というのは、確定的だろう。

「痛かったよね、辛かったよね……今度は、みんなに幸せを運ぶ、果実を作ってね……お休みなさい……」
「はあはあ。……実に……強敵でしたね」
 クーはお祈りを捧げ、アンナが堪能しました! という表情で口元をぬぐう。
「いやいや皆ごくろーさん、皆がやる気に満ち溢れてたから俺は楽出来て良かったわ」
 そんな様子に苦笑しながら慶次は立ち去ることにした。
「さて、おっちゃんは帰って寄る所が……あ、えーんか?」
「んー。やっぱいいわ。後は追々調べてきま……あ、ここやっぱ禁煙なのね」
 足元に転がる攻性植物と比べて事後ッポイが、良く見ると洋モノのどんでんばーん! という派手過ぎるアレだなあと枯れた自分に思い至ってしまう。
 清和がくれるデータに背を向けて、慶次はくわえたばかりの煙草を懐にもどしたのである。
「かえろっか……なにかすんの?」
「これから少し調査の続きをしようと思いまして」
 在宅聖生救世主が着地して帰り仕度をすると、悠乃はむしろこれからが本番とばかりに空色のコートを羽織って空に旅立っていく。
 今日の事件が無事に終わった様に、いつかこの地を大阪の人たちが取り戻せるように……と、周辺の記録を残して後に役立てる為であった。

作者:baron 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年5月22日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 2/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 5
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