五月病事件~新歓シーズンを過ぎて

作者:柊透胡

 念願の大学生となって、迎えた4月――多大に慌しい1ヶ月だった。
 入学式当日よりあちこちから声を掛けられた。早い話が、サークル勧誘だ。
 何でも4月は伝統的に新歓月間で、あちこちの新歓コンパに誘われ、色々遊びにも連れて行って貰った。
 それは別に良い。独り暮らしを始めたばかりの寂しさを覚える暇もなく、結局ゲーム同好会なるサークルにも入った。これから、充実した大学生ライフが始まる、その時はそう思っていたのに。
 ゴールデンウィークを過ぎて、柏原・修司はサークルどころか大学にも行かなくなった。
 やる気が出ない、行きたくない――時々、充電器に挿しっ放しのスマホが通話やメールの着信を報せるが、見向きもしなかった。人と顔を会わせるのも話するのも億劫だ。
「……俺の事なんか、もうほっといてくれてイイのに」
 鬱陶しそうに呟きながら、修司が惰性でプレイしているのはオフラインのTVゲーム。
 MMOやらソシャゲやら、オンラインゲームが趣味だったのも今は昔。ネットのチャットさえもが面倒臭くなっていた。

「……定刻となりました。依頼の説明を始めましょう」
 ヘリポートに集まったケルベロス達を、都築・創(青謐のヘリオライダー・en0054)は静かに見回した。
「ゴールデンウィークも過ぎて、超会議も終わりましたが、世間では五月病が大流行しているようです」
 ジゼル・クラウン(ルチルクォーツ・e01651)を始めとする、多くのケルベロスが調査した所、五月病の病魔が大量に発生していると判明している。
「皆さんには、五月病の病魔の撃破をお願い致します」
 五月病の病魔に冒された大学生の名前は、柏原・修司。東京の私立大の新入生だが、5月に入ってから引き篭もり状態にある。尤も、意識などはあるので、普通に訪ねれば会えるだろう。
「まあ、居留守を使う場合も考えられますが、鍵を壊して踏み込んでも大丈夫でしょう。ヒールで修繕出来ますし」
 彼に接触出来たら、チームのウィッチドクターが病魔召喚を行なえば良い。
「チームにウィッチドクター不在の場合でも、その地域の医療機関に協力しているケルベロスのウィッチドクターが臨時に手伝ってくれますので、心配はありません」
 出現する五月病の病魔は、モノクロシルエットの人型。胴体のど真ん中に、『現実逃避』の白抜き文字がデーンと自己主張。サボり学生のように胡坐を掻いて漫画っぽい本を広げている。
「現れた病魔はその場から動きませんが、無気力を伝播させて皆さんの矛先を鈍らせたり、逸らさせたりするようです」
 又、漫画と一緒に抱えているスナック菓子の袋から菓子を貪って回復するようだ。
「五月病は、怠けているだけという誤解をされやすい病気です。ケルベロスの皆さんが病魔を撃破して治す事で、その誤解が解ければ良いのですが」
 とはいえ、五月病は再発し易い病気という。病魔撃破後、余裕があるならば柏原・修司の話を聞いてあげるなど、再発しないフォローが出来ると更に好ましいだろう。
「元々は、オンラインゲーム好きで人付き合いも悪くない青年です。自分を助けてくれたケルベロスの皆さんからのフォローがあれば、きっと大丈夫と思います。どうか宜しくお願い致します」


参加者
シアライラ・ミゼリコルディア(天翔けるフィリアレーギス・e00736)
戦場ヶ原・将(ビートダウン・e00743)
スレイン・フォード(ロジカルマグス・e00886)
知識・狗雲(鈴霧・e02174)
ビーツー・タイト(火を灯す黒瑪瑙・e04339)
タクティ・ハーロット(重力を喰らう晶龍・e06699)
鮫洲・蓮華(パンダあざらし同盟・e09420)
月原・煌介(泡沫夜話・e09504)

■リプレイ

●新歓シーズンを過ぎて
 吹き抜ける風は爽やかだが、初夏の陽射しは強い。そんな5月の昼下がり。
(「初めての病魔召喚。少し緊張する」)
 それでも、役に立てると思うと嬉しい。ボクスドラゴンのアスナロと並び、落ち着きなく施術黒衣の襟を正す知識・狗雲(鈴霧・e02174)。
 全国的に五月病流行中――目の前のワンルームマンションに住む大学生もその1人だ。
「俺も無気力な方だけど……この事態は放って置けないな」
 銀の双眸をいっそ眠たげに瞬き、月原・煌介(泡沫夜話・e09504)は長い金の三つ編みを後ろに払う。
「五月病か、私にはよく解らない概念だが」
 スレイン・フォード(ロジカルマグス・e00886)は、無表情ながら怪訝そうか。
「五月『病』だから、病の範疇だろう。名のある病気を治せるというのは喜ばしいね」
「ああ、苦しみがあるならば可能な限り改善すべきだ。それが病魔から来るものであれば尚更だ」
 ビーツー・タイト(火を灯す黒瑪瑙・e04339)の訂正に、静かに肯くスレイン。
「私には病魔を屠る事しか出来ない。それで助けになれば良いのだが」
(「病魔が原因じゃ仕方ねーなぁ」)
 ガツンッと両のガントレットを打ち鳴らすタクティ・ハーロット(重力を喰らう晶龍・e06699)に合わせて、傍らのミミックもガションと蓋を鳴らす。
「まー、色々と何とかなるだろう。ぱぱっと助けてやりますかねーだぜ」
「ちょっと待って。まだ全員じゃないよ」
 勇んで歩き出すタクティを、ウイングキャットのぽかちゃん先生を抱っこした鮫洲・蓮華(パンダあざらし同盟・e09420)が止めれば、戦場ヶ原・将(ビートダウン・e00743)が通りの向こうへ大きく手を振る。
「来た来た。こっちだよ!」
「お待たせしました」
 ボクスドラゴンのシグナスと小走りに来たのは、シアライラ・ミゼリコルディア(天翔けるフィリアレーギス・e00736)。左手に鍵を握っている。
「快く貸して下さったのですけど……大家さんのお宅がちょっと遠くて」
「問題ない。丁度、他の住人の一時避難も済んだ所だ……さて、全力を尽くすとしようか」
 ビーツーの言葉に否やは無い。歩き出した偉丈夫を、ボクスドラゴンのボクスは白橙の炎を揺らして追った。

 ピンポーン――。
「……」
「……」
「出て来ないな」
「まさか本当に留守?」
「いや、人の気配はする」
 蓮華は不安そうだったが、中の様子を窺ったスレインが頭を振る。
 五月病の症状も人それぞれだが、今回の患者は特に「人付合い」が億劫になっている。早速、居留守を使われては、声の掛けようもない。
「んー、仕方がない。マスターキー使いますかだぜ?」
 肩を竦めたタクティが竜爪を伸ばす。こうなれば正々堂々荒療治。ドアをぶち破って――。
「合鍵! ちゃんと借りてますから!」
「あ、そうだった」
 慌てるシアライラから鍵を受け取り、将は躊躇いもなく鍵を開ける。そうして、バーンッ! と勢いよくドアを開けた。
「よう、新入生! お疲れの所悪いが、ちょいとツラ貸してもらうぜ!」
「……」
 柏原・修司は、ゲーム機のコントローラーを握ったまま絶句していた。
 普通、居留守を使えばそこで諦めるし、踏み込んできたケルベロス8人+サーヴァント5体で部屋は流石にギュウギュウだ。
「……何、あんたら」
「僕はジェネ。フューチャライザー……ジェネ!」
「皆、ケルベロスです。押し入ってしまって、申し訳ありません」
 カードを手に、誇らかに名乗る将。シアライラは丁寧に一礼する。
「流行っている病魔の検診、というより退治をしに回っている」
 この状況で隠し事は無意味と判断し、スレインは正直に告げた。
「あなたにも『五月病』の病魔が取り憑いてるの。このまま放っておくと大変なんだ、お願い! 蓮華に診せて?」
「……」
 ぽかちゃん先生と並んでずずいと迫る蓮華(ナースコスチュームバージョン)から視線を逸らし、カーテンを閉め切った窓の方を眺める修司。
「あー……空が青いなぁ」
 現実逃避したくなったのは、きっと五月病の所為だ、そういう事にしておこう。
「心配せずとも、こちらの狗雲殿が分離した病魔を我々が倒せば、修司殿のその状態も好くなる」
「戦いで壊してしまっても、君の大事なこの家は可能な限り治すし……君の身も護るから」
「……それなら、まあ」
 整然としたビーツーの説明と煌介の穏やかな言葉で、漸く肯かれた。一先ずは治療を了承され、ホッと息を吐くシアライラ。いつでも戦闘に移れるよう、タクティはゲーム機やスマホ等、壊さない方が良さそうな物を玄関の方に避難させる。
 静かに膝を突き、修司と目を合わせる狗雲。青年の手にそっと触れる。
「男に手を握られる、なんて嫌かもしれないけれど……人肌って安心しませんか?」
「……別にどーでもいい」
 投げやりな返答も五月病の顕れならば。
(「必ず治すから」)
 そう誓い、病魔召喚した次の瞬間。ベッドの上に、人型のシルエットが出現した。

●五月病の病魔
「……」
 グルリと首を巡らせる人型シルエット。「現実逃避」の白抜きがでかでかと目立つ。
「あー……空が青いなぁ」
 不意打ちを警戒するケルベロス達を余所に、カーテンを閉め切った窓の方を眺める病魔。
「こらこらこら」
 蓮華は思わずつんのめった。煌介が注意する暇があればこそ、現実逃避の気に中てられてしまった模様。
「修司殿はこちらに」
 なし崩し的戦闘開始に、唖然となった修司の腕を引っ張るビーツー。すかさず、ボクスが庇う体勢で身構える。
「むぅ……」
 眉を顰める蓮華。あんまりな適当さにグラビティも鈍る。早速、戦術超鋼拳&キャットリングの蓮華&先生コンボが飛んだが、だらだらしている病魔の様子は特に変わりなく見えた。
 1度の攻撃(?)で、クラッシャーたる蓮華の火力を相当に減じたとすれば。この病魔のポジションは、恐らくジャマー。
「シグナス、頑張って」
 お揃いの花冠が目にも鮮やか。自らに属性インストールするボクスドラゴンと同時に、シアライラは守護星座を床に描く。ジャマーの厄には、ジャマーのキュアやBS耐性を宛てるのが手っ取り早い。
「砕きの結晶をその手に! 汝らに更なる力を!」
「ただの飾りじゃないよ……!」
 呪的防御を砕く力を齎さんと、味方の武装を結晶化させるタクティ。狗雲が現出させた唐紅色の鎖も、前衛の武威を高めんと。
 相次いで、強化を主眼としたグラビティが飛ぶ。確かに、初手の強化は基本戦術。だが……前衛は3名+4体。列減衰に使役修正も加わっては、エフェクトの付与は相当に心許ない。
 アスナロもミミックも、心配そうな、困惑の色が浮かんでいる。
「前のめりに行くぞ」
 とは言え、エフェクトの不首尾を気にするより、短期決戦を目指す方がよっぽど前向きだ。スレインの掌に陽炎が立つ。歯車仕掛けの機竜の幻影が蒸気めいた灼熱を吐いた。
「ああ、熱いバトルを始めよう! オープン・ザ・ゲート! フューチャライズ!」
 将自身も、いつも真っ赤に燃える闘志は、無気力・怠惰と無縁無関係! スレインの言葉に大きく頷くや、旋刃脚が閃く。
(「きっちり当ててきっちり削る。スナイパーの仕事はアタッカーだからね」)
 将の考えは正しい。だが、相手は(いい加減に見えても)ケルベロス8人掛かりで倒す敵なのだ。単独でクリティカルを出したとして、全体の火力UPには繋がらない。
 如何に「全員の攻撃が当たる」状態にするか――その起点となるのは、やはりスナイパーの場合が多いだろうか。
 煌介のエアシューズが唸りを上げる。後衛の位置からでも超近距離のスターゲイザーは――あたかも、儚き星屑を散らす梟の狩りの如く。
「お待たせした」
 修司を玄関の外まで連れ出したビーツーは、急ぎ戻ってくるやドラゴニックハンマーを担ぎ上げる。
 ――――!
 忽ちハンマーが砲撃形態に変形するや、竜砲弾が迸った。

「罪と破壊の王成らざりし……病魔よ、退け」
 煌介より猛る竜形の炎。狙い定めた一撃は、過たず人影を抉るも。
「うっわ本当に動かんのかよ……病の特性引き継ぎすぎじゃんだぜ」
 呆れた表情で戦術超鋼拳を叩き付けるタクティの言う通り。病魔はベッドの上から一歩も動かない、どころか胡坐も掻いたまま。
「ハァ……何もかもがメンドクサイ」
 だが、何とも言えない脱力の空気は速やかに伝播し、ケルベロス達の戦意を削ぐ。病魔も心得たもの。脱力の空気は、列減衰が起こる前衛を避けて後衛を。現実逃避の妄想は、ぽかちゃん先生との連携攻撃から打たれ弱さを読んだのか蓮華を標的にしていた。
「アスナロ、よろしくさん」
 尤も、機械的なまでの集中攻撃は、ヒールする分にはやり易い。時にアスナロの属性インストールに援けられながら、ウィッチオペレーションとメディカルレインを使い分ける狗雲。最初のスターサンクチュアリ以降、シアライラは攻撃に専念している。使役修正も相まって、若干キュアしきれぬ厄がケルベロス達の枷となるが……スナイパーにプレッシャー、クラッシャーに武器封じ、と長所が些か減じる程度の組み合せなのは幸いかもしれない。
「ボクス」
 刹那のアイコンタクトで、ボクスドラゴンがだらけた空気を遮る。時にタクティのみならずサーヴァントの盾も奮闘する。
「……足元注意、だな」
 すかさず、数珠を切って散る火花を種に、病魔に炎礫を飛ばすビーツー。弛まず足止め技を重ねれば、手数はケルベロス側が圧倒的。攻撃が当たり出せば、戦況が傾くのも早い。
「燃え盛る太陽よ、煌々と輝く月よ、夜空に瞬く無数の星よ。大いなる力を与えたまえ!」
 屋内にも拘らず、シアライラの祈りに応えて浄化の光が降り注ぐ。
「問うか、この私に『そは誰か』と」
 眩しげに身を捩らせた隙を逃さず、人影を掴み掛かるスレイン。特定の周波数を含む振動は、得体の知れぬ病魔の動きをも封じんと。
「良き悪夢の世界へ、招待状はすぐに届けるよ」
 ナースから不思議な夢の国の女王様にコスチュームチェンジ。蓮華の手に『悪夢の世界行き』と書かれた、闇色の便りが閃く。どういう原理なのかは「なんやかんや」としか言いようがない謎多きグラビティながら……その威力は確かに、病魔の身体を震わせる。
「俺の事なんかほっといて……」
 堪え切れず、病魔は不貞寝したが、すかさず、煌介のしなやかにして鋭い手刀が、狗雲の音速超える拳が、タクティのマスターキー(物理)的竜爪撃が容赦なく叩き起こす。サーヴァント達が次々と突撃を敢行すれば、その度にビーツーのアイスエイジインパクトが撒いた氷結の欠片が病魔の刻を凍らせていく。
「これで決まりだ! フューチャーカード、ライズアップ!」
 どんな時でもかっこよくスタイリッシュに、が将の信条。掲げるカードに描かれるのは、光翼と大剣具えた星竜。
「願いと祈りを心に宿し! 未来の扉を今開け! イルミナルセイバー……ドラゴンッ!!」
 邪悪を斬り払うドラゴンの大剣――一刀両断、人影が裂けるように真っ二つとなる。
「あー、雲は白いなぁ……」
 最期まで現実逃避を呟いて、病魔は溶けるように霧散した。

●君の大学生活はこれからだ!
「手荒な真似をごめん……お陰で病魔を倒せた。有難う」
「……」
 煌介の報告にも修司はだんまりのまま。蓮華が抱っこさせたぽかちゃん先生のふわふわの毛並を撫でている。
 戦闘はさして手こずらなかったものの、図らず傷めてしまった箇所には手分けしてヒールを掛けて回った。そうして、修司を呼び戻したが……本人は、何とも言えない表情だ。
「おう。気分はどうだい」
 将に顔を覗き込まれて、漸く「よく判らない」と呟いた。
 元より修司は、新生活で緊張していた所に怒涛の新歓シーズンに揉まれてきた。病魔に冒されなくとも、疲れが出てくる頃合ではあっただろう。
「新年度は、身体を環境に慣らす事が大事だからな」
「そうですね。私は大学3回生なのですが……確かに、一昨年の休み明けは辛かったです」
 ビーツーの忠告に頷き、体験談を語るシアライラ。美術専攻の所為か個性的な学生が多く、ちょっと億劫になった時期もあったという。
「まー、そうだね……僕から言えんのは、『無理はしない方がいい』かな」
 頑張り過ぎない方が良い、と将はあっけらかんに笑ってみせる。
「何にもしない日を作るのだって悪くないさ。上手くサボれよ!」
「……まあ、5月は散々引き篭もってたし。今更、何からやればいいのかなって」
「うーん……まずは友達に会いに行く約束とか、どうかな?」
 玄関先からスマホを持ってくる蓮華。溜まっていたメールは、大学に来ない修司を心配する内容ばかり。
「1度遊びに行っちゃえば、きっと楽しいよ! 大変なら蓮華も一緒に付き添うよ~!」
「そうですね。そろそろ夏の気配ですし、外に出てみませんか。存分に引き篭もった後の外の空気は、きっと美味しいですよ」
 狗雲も外出を勧める。
「生憎と、私に人の心理は語れないが……人のやる気は、何か作業をしている時に上がり易いと聞く」
 訥々と言葉を選ぶスレイン。元ダモクレスであった彼は、自分の感情すら希薄、況や他人の心理をや、というのを頭で理解している。伝聞を語るだけとはいえ、今回の意見は珍しいケースだろう。
「あんまり言いたくないけどさー。安くないお金払って入ったんだろう? なら楽しく行こうじゃないかだぜ!」
 一方、タクティはもっと判り易く、大学生活を謳歌すれば良いと笑う。
「大学生活でしか出来ない事、まー色々あるよね? こんな所で引きこもってちゃあ、何も始まらんのだぜー」
「学業に拘る事もない、まずは何かに手をつけてみてはどうだ」
「今年度もまだ始まったばかりですし、遅れもすぐ取り戻せますよ」
 口々に励まされ、修司の顔も少しずつ上がってきたか。
「それから……来年は歓迎会を催す側に回るなら、少しスケジュールを後ろにずらすと、新入生共々余裕が生まれるかもしれないな」
「今のあなたと同じような状況になる後輩達の力になってあげて下さい。ゴールデンウィークは、旅行に行ったりしてリフレッシュしてもいいと思いますよ。後輩達を誘って遊びに行くとか」
 ビーツーとシアライラが、来年の五月病対策を口にすれば、漸く修司は「色々ありがとうございました」と頭を下げた。
「お祭り続きで疲れた所に、病魔がつけ込んだだけ……のんびり、出来る事からやっていこう」
 穏やかに微笑んだ煌介は、ふと、テレビゲーム機を物珍しげに眺める。
「俺はゲームを殆ど知らないけど……面白そう。一緒に出来るんだよね?」
「あ、ああ……やってみる?」
「教えてくれるの?」
 煌介の嬉しそうな表情に、修司は面映そうに頬を掻く。
「そうだな。初めてやるなら……」
 色々なゲームソフトを物色し始めた修司に、人付合いを厭う様子はもう無い。病の完治を確信して、ケルベロス達は笑み零れた。

作者:柊透胡 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年5月30日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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