絡み合う螺旋

作者:飛翔優

●螺旋の奏者たち
 ――それは、どこかのビルの屋上。
 色香で相手を籠絡、あるいは翻弄するのだろう露出の高い忍び装束に身を包んでいる忍者、魅咲・冴が、足元に跪く六名の色無きくのいち……魅咲忍者達に語りかけた。
「はーい、みんな集まったね。それじゃ、さっそく指令を伝えるよ」
 螺旋帝の一族が都心部に出現したとの情報が入った。これが本当なら、次はなかなか無いだろう好機となる。
「というわけで、魅咲忍軍の総力をあげて捜索することになったの。あなた達はいますぐ、練馬区へ向かってもらうよ」
 草の根を分けても探し出さなければならない。
「あ、それからもしも他の忍軍の捜索部隊と出会ったら……問答無用で皆殺し、分かってるわよね!」
 御意と魅咲忍者たちは頷き、連れ成すようにビルの外へと飛び出していった。
 冴は満足げに見送った後、自らも影に消えていく……。

 ――一方、とある神社の中。
 天狗の仮面を被った筋骨隆々の男・マスター・テングは、びしっと背を伸ばして佇む四名のシノビメイツ、シタッパ・テングズへと指令を伝えていた。
「よくぞ集まった、我が精鋭達よ。通信螺旋忍術を優秀な成績で収めたお前たちこそ、次代の螺旋忍軍を支える星である。そのお前達を見込んで、練馬区の捜索という重大任務を与える事とする」
 今、東京都には螺旋帝の一族が御降臨なされている。故に、我がテング党こそ、他の忍軍に先駆けてその御前に参じなければならないだろう。
「さあ行け、シタッパ・テングズよ! 他の忍軍どもを蹴散らし、螺旋帝の一族を見つけ出すのである!」
 御意とシタッパ・テングズは返答し、群れを成して神社の外へと向かっていく。
 マスター・テングは満足げに見送った後、高らかなる笑い声を響かせた……。

●螺旋忍軍を打ち倒せ!
 足を運んできたケルベロスたちと挨拶を交わしていくセリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)。メンバーが揃ったことを確認し、説明を開始した。
「東京都心部で、螺旋忍軍が活発に活動を開始したみたいです」
 複数の螺旋忍軍の組織が大規模に活動しており、螺旋忍者同士の戦闘に発展し始めている。デウスエクス同士が争うだけなら放置しても良いが、この戦闘によって都心が破壊され一般人の犠牲者がでるとなれば、放置はできない。
「ですので、皆さんには争い始める螺旋忍び軍の撃破をお願いしたいんです」
 周囲の被害を抑えるためには、両者の戦いに割って入った上で、敵を連携させないように片方の忍軍を撃破。返す刀で、もう片方の忍軍を撃破する必要があるだろう。
 一方、忍軍同士を戦わせて疲弊したところを叩くという作戦も可能。しかし、この場合は市民に死傷者が出る可能性が高くなってしまう。
 また、呉越同舟となった敵は協力してケルベロスに敵対してくるため、戦いを長引かせて敵を疲弊させる敵を疲弊させる工夫がなければかえって戦況は不利になってしまう可能性が高い。そのため、慎重に判断する必要がある。
 続いて……とセリカは地図を広げ、駅の片側に丸をつけた。
「場所は東京都練馬区の自然公園近くにある駅前、ですね」
 午後三時頃、二つの忍軍がその駅前で衝突する。そのため、予め周囲に潜伏しておき、タイミングを見計らって仕掛けることになるだろう。
 現れる忍軍は二種。
 一種は色無き忍び装束に身を包んでいる六人の女忍者。個性といったものはあまり見受けられず、個々の実力もさほど高いものではない。しかし抜群の連携力を誇っており、時に個々の実力以上の力を発揮してくるだろう。
 もう一種は紺色の忍び装束に身を包み鳥の仮面をかぶっている四人の忍者。自らが優秀であると自認しており、実力も相応のものがある。決して油断のならない相手となるだろう。
「続いて、それぞれの具体的な戦闘能力について説明しますね」
 色無き忍び装束に身を包んでいる六人の忍者は、三人がエアシューズを用いた撹乱と防衛、二人が日本刀を用いた攻撃、一人が螺旋手裏剣を用いた狙撃によるサポートを行ってくる。用いるグラビティもそれぞれ、ケルベロスたちが用いるものと同質の力を用いてくる。
 一方、紺色の忍び装束に身を包み鳥の仮面をかぶっている四人の忍者は、総員的確な攻撃と回避を行ってくる。反面、連携はあまり取ってこないようだ。得物はエアシューズ。操るグラビティも、ケルベロスたちが用いるエアシューズと同質の力を用いてくるだろう。
「以上で説明を終了します」
 セリカは資料をまとめ、締めくくる。
「都心部での戦いにはなりますが、施設などへの被害は最終的にヒールをかければ何とかなります。しかし、失われた命は戻りません。ですのでどうか、全力での行動をお願いします」


参加者
レーチカ・ヴォールコフ(リューボフジレーム・e00565)
ルヴィル・コールディ(黒翼の祓刀・e00824)
シィ・ブラントネール(星抱くオロル・e03575)
チェザ・ラムローグ(もこもこ羊・e04190)
クロード・リガルディ(行雲流水・e13438)
三石・いさな(ちいさなくじら・e16839)
ヴォルフラム・アルトマイア(ラストスタンド・e20318)
アイシャ・イルハーム(純真無垢な黒き翼・e37080)

■リプレイ

●絡み合う螺旋を解く者たち
 東京都練馬区、自然公園近くの駅、午後三時前。
 出勤時間はおろか昼食の時間もとうの昔に終わり、退社時間にもほど遠い。代わりに憩いを求める者たちが自然公園へと歩いて行く、電車やバスが停まるたびに喧騒が広がる五月の中頃。平和な世界を意に介することもなく破壊しようとしている者たちを討ち倒すため、ケルベロスたちはやって来た。
 ベンチに腰掛ける、街灯を背に佇んでいる……各々が好みの形で人の群れに混ざる中、駅入口前で待ち合わせを装っているレーチカ・ヴォールコフ(リューボフジレーム・e00565)は近くに詰めている警官へと視線を向けた。
 予め避難させておく事はできないから、事件発生後に避難誘導をしてもらえるよう要請している。故にだろう、どこか張り詰めた表情で警官が頷き返してきた。
 一方、アイシャ・イルハーム(純真無垢な黒き翼・e37080)はベンチに腰掛け拳を握り、笑っていた。
 今日がケルベロスとしてのデビュー戦。周りはみんな歴戦のケルベロス、足を引っ張らないように頑張りたい!
 ケルベロスたちが様々な思いを胸に観察を続ける中、時計の針は午後三時を指し示す。
 示し合わせたかのように、自然公園側から六名、駅の側から四名……片や動きやすそうではある代わりに露出がやや多い忍び装束を纏った女たち、片や烏の仮面を被り紺色の忍び装束に身を包んでいる男たち……魅咲忍者たちとシタッパ・テングズが、ロータリーの中心で立ち止まった。
 相手が敵であると確信しているのか、にらみ合い仕掛ける機械を伺っていく両者。
 その戦いの余波が人々へと及ばぬよう、ケルベロスたちも介入を開始する……!

●シタッパ・テングズを打ち倒せ!
 警官たちが避難誘導に動き始める中、三石・いさな(ちいさなくじら・e16839)は真っ先に両者の間に割り込んだ。
「私達はケルベロスだ! 路上で喧嘩をするのは禁止!」
「ッ!?」
 状況を把握するためか両者が動きを止める中、いさなは魅咲忍者たちに背を向けシタッパ・テングズへと向き直る。
 拳にいわれある力を込めて、先頭に位置していたシタッパ・テングズへと殴りかかる。
「テングを倒すから手伝って!」
「お兄様の仇! 覚悟なさい!」
 レーチカ・ヴォールコフ(リューボフジレーム・e00565)も魅咲忍者たちに背を向けて、刀の腹で拳を受け流したシタッパ・テングスに炎を宿した蹴りを放つ。
 バックステップで仮面に掠めさせる程度に収めたシタッパ・テングズ。とりあえずケルベロスたちは敵と認識したのだろう。
 互いに顔を見合わせ、踏み込み――。
「こんなところでやりあうなよな!」
 ――ルヴィル・コールディ(黒翼の祓刀・e00824)が針に似た何かを撃ち込んで、シタッパ・テングズたちの足を止めさせていく。
 一方、シィ・ブラントネール(星抱くオロル・e03575)は未だに状況を把握しようと観察を続けている魅咲忍者たちへと肩越しに視線を向けた。
「えっとアレよ! ギニヨッテスケダチイタス!」
「……」
 値踏みするかのように、ケルベロスたちを見回していく魅咲忍者たち。
 その視線の先、クロード・リガルディ(行雲流水・e13438)が先頭に位置していたシタッパ・テングズに向けて体長六メートルほどの骸骨の大蛇を差し向けた。
「……やろうと思えば、お前たちも巻き込める」
 けれど、骸骨の大蛇はシタッパ・テングズたちだけに尾を振るった。
 逃げ遅れてふっとばされる者がいる。
 跳び上がり交わすついでに、切りかかってくる者もいた。
 すかさずヴォルフラム・アルトマイア(ラストスタンド・e20318)が踏み込んで、振り下ろされた刀に蹴りをぶつけ弾いていく。
「シタッパテングズ……お前らだけはこの手で……!」
 思いを継いだかのように、ビハインドのアレクが街路樹の周囲に落ちている枝を操り先頭に位置していたシタッパ・テングズめがけて解き放った。
「ぐ……」
 枝は脇腹を貫き、そのシタッパ・テングズはうめいていく。
「油断したわけではないが、さすがのケルベロス……といったところか。だが……!」
 枝を引き抜き、刀を横に構え直した。
 先に排除すると決めたのか、それとも立ち位置的に近かったからか……シタッパ・テングズたちはケルベロスたちを中心に、改めて攻撃を仕掛けてきた。
 すかさず、チェザ・ラムローグ(もこもこ羊・e04190)がもこもこの羊さんたちをを召喚する。
 斬撃をふわもこの体毛で跳ね除けたボクスドラゴン・シシィを中心点に定めつつ、元気に明るく跳ね回った。
「がんばれ♪ がんばれ♪」
 チェザともこもこ羊さんたちの応援は、ケルベロスたちの傷も心も癒していく。
 さらなる力を持ってケルベロスたちが攻め上がる中、魅咲忍者たちもケルベロスたちの戦列に並んできた。
 彼女たちは語る。信用したわけではない。だが、今のところは敵を同じくしているようだ、と。
 たとえ後々やりあうのだとしても、頼もしい味方が増えたことに違いはない。
 無邪気な笑顔を浮かべたまま、チェザは踊り続けていく。
「一緒に、頑張ってシタッパ・テングズさんたちを倒すんだなぁん! みんな、がんばれ♪ がんばれー♪」
 現段階で、シタッパ・テングズたちの火力はこれ以上増えることはない。丁寧に治療を続けていけば、よほどの長期戦にならない限り不安はない!
 同様の思いを悟ったか、シタッパ・テングズたちが小さな声を上げていく。
 かまわずアイシャは跳躍する。
 先頭に位置していたシタッパ・テングズめがけて蹴りを放つ!
「さぁ、ハイクを詠んで下さい! シタッパ・テングズ=サン!」
 横に構えられた刀越しに衝撃を伝え、そのシタッパ・テングズを二歩分ほど退かせた。
 誰かが、そのシタッパ・テングズをカバーする気配はない。
 ただただ、己等の力を示していけば活路が開けるとばかりに、シタッパ・テングズたちは刀を振るい続けていく……。

 三者三様な、各勢力の戦い方。
 状況によってどれが有利なのかは変化する。
 しかし、圧倒的な戦力差がある状況において、細かな差異が意味を成すことはない。二倍ほどの戦力をぶつけられ、シタッパ・テングズたちは瞬く間に傷ついていった。
 傷だらけの体から放たれた斬撃を、ヴァルフラムはオーラを走らせた両腕で受け止めていく。
 一呼吸の間を置き、蹴り退けバスターライフルを突きつけた。
「さあ、続いてくれ」
 絶対零度の光線で、シタッパ・テングズを凍てつかせる。
 瞬く間に距離を詰め、刀を振るっていく魅咲忍者たち。
 今は心強い味方となっている彼女たちを見つめ、ヴァルフラムは目を細めていく。
 もしもこれから仲良しに歓迎するところではある。しかし、恐らくそんな未来は訪れない。共にシタッパ・テングズと相対し、時に促されるがままに攻撃することはあれど、連携を取り合ったり互いをかばったりなどといった瞬間はなかったのだから。
「……アレク、トドメを頼む」
 小さな息を吐き出す中、アレクの姿がかき消える。
 次の瞬間には傷だらけのシタッパ・テングズの背後を取り、その首を刈り取った。
「こっちも!」
 さなかには虚空に魔力の矢を浮かべていたシィが、左手側で膝をついていた個体を指し示す。
 開放された魔力の矢に貫かれ、そのシタッパ・テングズもまた倒れ伏した。
 残るシタッパ・テングズも、大きな傷を負っている。そう長い時間をかけずに討ち倒すことができるだろう。
 次の対象を示すため、シャーマンズゴーストのレトラが右側のシタッパ・テングズに炎をぶつけた。
 盛る炎を瞳に映しながら、シィは魅咲忍者たちへと視線を送っていく。
 印象は、先程ヴァルフラムが得たものとはあまり違いがない。こちら側を信用しているとは思えぬが、かといって不信を感じている気配もない。恐らく、シタッパ・テングズを倒すまでは共に戦ってくれる者、と言う認識で動いているのだろう。
 故に、シタッパ・テングズを倒したならばすぐにでも仕掛けてくる可能性がある。
 ケルベロスたちがそうしようと思っているのと同様に。
 警戒のアンテナを立てながら、シィはリボルバーを引き抜いた。
「それじゃ、さっさとこいつらを片付けちゃおう!」
 地面へと弾丸を打ち込めば跳ね上がり、街灯や電信柱で反射しシタッパ・テングズの背中を撃ち抜いた。
 クロードの放つ矢がそのシタッパ・テングズの胸を貫いた。
 くぐもった悲鳴を上げながら、そのシタッパ・テングズは倒れ込んでいく。
「……後一体」
「よしいくぞ、くしくし! スパートかけようぜ!」
 ルヴィルに促され、くしくしは凶器片手にシタッパ・テングズのもとへと向かっていく。
 凶器と刀が打ち合いを始める中、ルヴィルは翼をはためかせながら跳躍した。
「行くぞ!」
 燦々と輝く太陽を背負う形で落下を開始。
 シタッパ・テングズの脳天を踏みつけ、再び遥かな空へと飛翔した。
「もう一発!」
 再びシタッパ・テングズの頭上で落下を開始。
 頭を抑えていた右手ごとシタッパ・テングズを踏みつけて、地面に膝をつけさせていく。
「今だ!」
「うん! 標的確認! みんな出てきて!」
 すかさず、いさなが掌に様々な力を変質ささせた光の球を生み出して、シタッパ・テングズめがけて解き放つ。
 光にシタッパ・テングズが触れた時、その体がロータリーの外まで吹っ飛んだ。
 二度、三度とバウンドしたのち動けなくなっていくさまを見て、いさなは腰に手を当て胸を張る。
「女の子を怒らせると怖いんだぞー!」
 勝利の言葉が響くほどに、戦場は静かな空気に抱かれて――。

●魅咲忍者との戦い!
 ――けれどまだ、勝利の美酒に酔いしれるには早すぎる。
 レーチカがシタッパ・テングズとケルベロスたちの間で立ち止まっていたエアシューズの魅咲忍者に向き直り、いくつもの螺旋の弾丸を解き放った。
「あ、よく考えたらウチのお兄様普通に元気だったわー」
 とこどなく気持ちの入っていない声音で告げながら、かつて通信学習で学んだというその螺旋の力を操り魅咲忍者の肩を撃ち抜いた。
「そういうわけで、騙して悪いけどコレも仕事だから!」
「……」
 この状況が訪れることを悟っていたのだろう。魅咲忍者たちもすぐに順応し、ケルベロスたちに刃を向け始めた。
 戦場をかき回すかのように走り回りながら、攻撃の妨害を行ってくるエアシューズの魅咲忍者三名。
 うち、先程肩を撃ち抜いたショートカットの個体に視線を送り、レーチカは距離を詰めていく。
「消耗してるのはお互い様。後はどっちの力量が相手を上回るか、ってね!」
 懐へと入り込み、更に一歩踏み込んで離脱を阻止。
 土手っ腹に掌底を撃ち込んで、螺旋を注ぎ込む。
 くぐもった悲鳴を上げながら、体をくの字に折り膝をついていくショートカットの魅咲忍者。
 かばうためか、集まってくるエアシューズの魅咲忍者二人。対処を任せ、攻撃を仕掛けてくる日本刀や螺旋手裏剣の魅咲忍者三人。
 いなしつつ、距離を詰めていく前衛陣。見つめながら、チェザは楽しげにエールを送り続けていく。
「二回戦開幕だよー! みんな、最後まで気を抜かずにがんばれ♪ がんばれ♪」
「行くわよ! 問答無用の力技、行かせてもらうわ!」
 シィも意気揚々と走り出し、消失。
 次の刹那には黄金色の残滓を漂わせながら、ショートカットの魅咲忍者の背後にいた。
「……」
 翼をバサリと広げた時、その魅咲忍者は電信柱へ向けて吹っ飛んだ。
 すかさずレトラが距離を詰め、原初の炎を与えていく。
 行き着く暇は与えぬと、クロードは骸骨の大蛇を召喚した。
「我が喚ぶ、骸大蛇。……標的を薙ぎ払え……」
 今度は魅咲忍者たちをにらみ、尾を振るっていく骸骨の大蛇。
 再び空中へ打ち上げられたショートカットの魅咲忍者を、レーチカのケリが打ち倒していく。
 素早く周囲に視線を走らせ、次の個体をセミロングの個体に指定し向かっていく前衛陣。
 眺めながら、クロードもまた攻撃に参加していく。
 個の力量では、シタッパ・テングズには劣る魅咲忍者たち。その分、連携で補わんと攻撃を仕掛けてきた。事実、治療が間に合っているとはいえず、攻撃が妨げられるタイミングも多々あった。
 けれど、攻撃を妨げる者が……エアシューズのメンバーがいなくなれば話は別。反撃に耐えながら残るエアシューズの魅咲忍者を片付けたケルベロスたちは、続いて日本刀の二人へと矛先を向けた。
 守りを失ったからだろう。残る魅咲忍者はひどくもろい。
「……」
 クロードの放つ矢が避けるためにサイドステップを踏んだポニーテールの魅咲忍者を追いかけ胸を貫いた時、くぐもった悲鳴と共に地に伏せた。
 残るは、螺旋手裏剣の魅咲忍者のみ。
「……さあ、終わらせましょう」
 向き直り、弓に矢をつがえていく。
 頷き、いさなは踏み込んだ。
「まーだへっちゃらへっちゃら!」
 全身から聞こえる悲鳴を無視しつつ、斧を思いっきり振り上げる!
「行くよ!」
 力任せに振り下ろし、右に避ける魅咲忍者の左肩を薄く削ぎ取った。
 動きは変わらぬ魅咲忍者が螺旋の軌跡を描く手裏剣を投げたなら、額に流れる血を拭ったヴォルフラムが軌道上に飛び込み防いでいく。
 さなかには、チェザを除くケルベロスたちが攻撃を仕掛けていく。
 背中に斬撃を浴びてよろめいた瞬間を見逃さず、アイシャが懐へと飛び込んだ。
「ッ!?」
 抗わんとばかりに振るわれた螺旋手裏剣を、エアシューズで蹴りのける。
 勢いのまま地面に両手を付き、体のバネを活かして跳躍。
 背後を取り、足に炎を宿していく。
「これで……終わりです!」
 振り向きざまに蹴りを放ち、魅咲忍者を電柱へと叩きつけた。
 沈黙していくさまを前にして、アイシャは安堵の息を吐きだしていく。
「まったく……、喧嘩なら、誰も居ない山の奥とかでひっそりやって欲しいですよね」
 もっとも、勝利したことに違いはない。
 晴れやかな笑顔を浮かべながら、アイシャは事後処理へと移行していく……。

●戦いの終わりに
 仲間たちが事後処理へと移行していく中、ヴォルフラムは自らの治療を行いながらアレクにもたれかかった。
「はあ……なんとかなったな。二連戦は流石に疲れた……」
「みんなお疲れー。何事もなくって、何よりだよ」
 ルヴィルも呼吸を整えつつ、仲間たちの治療をして回っていた。
 一方、チェザはシシィをもふもふしつつ、楽しげな声音を響かせる。
「ワザマエ! 忍者さんたちの目的はよくわかんないけど、街の平和は守れたなぁん♪」
 誰ひとりとして犠牲になることなく、街の平和は守られた。事後処理が終わり、一時間も経てば、きっともとの賑わいを取り戻してくれることだろう。

作者:飛翔優 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年5月21日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 2/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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