セルフ回らない寿司屋

作者:木乃

●いらないセルフサービス
「ううぅぅぅ……な、なんで……」
 男は念願の寿司屋を開業した。魚も産地にこだわったし、米も酢にも一切の妥協はない。非の打ち所はないと自負すらしていた――のだが、思惑は大きく外れて閉店にまで追い込まれた。
 まだ小奇麗な店内で泣き腫らす店主は悔しさに歯を食いしばり嗚咽を漏らす。
「自分で魚を捌いて食す……ひっく、これ以上ないくらい、最高のサービスだと思ったのにぃぃ……!!」
 入店したお客様は説明を聞くなり困惑した様子で去っていった。『魚の捌き方を知らない』とか『鮮魚を触るのは無理』とか全否定するような言葉を残して。
 意地になって続けた結果がこの有り様……覆水盆に返らず、とはまさにこの事だろう。
「ま、まだ残ってる食材も、どうしよう……うぅ、こんな事なら、さっさと店を畳んじまえば……!」
 泣き喚く店主を無感情に見下ろす第十の魔女は、事もなげに見つめていた。
「これは見事な『後悔』ですね、私のモザイクを晴らすほどではないけれど……もらっておきましょうか」
 無遠慮に突き立てられた鍵が男の胸を穿つ。倒れた男の代わりに傍らに立つ板前姿のドリームイーターが口を開く。
『……へいらっしゃい、今日はなにに致しやすか』

「皆さんお疲れっす!突然っすが、皆さんはお魚を捌けるっすか?」
 黒瀬・ダンテ(オラトリオのヘリオライダー・en0004)の問いに怪訝な顔を見合わせるが、どうやら今回の事件と関連があるらしい。
「とあるお寿司屋が最近潰れたっすが、その店主の『後悔』にドリームイーターが目をつけたみたいっす。『後悔』を奪ったドリームイーターはもう姿を消してるっすが、その『後悔』を元にしたドリームイーターは残ってるみたいっす!」
 放っておいたら事情を知らない市民が餌食になるだろう、そうなる前に撃破して欲しいとダンテは要請する。
「店主は昏睡状態で店の奥に寝かせられてるっす、ドリームイーターを倒せば目を覚ますっすから頑張って救出して欲しいっす」
 ドリームイーターは1体のみ。オープン当初に内外の装飾を新築したため店構えは綺麗なものだが、客足は今のところ向いていないようだ。
「問題のお寿司屋さんはいわゆる『回らないお寿司屋』っす、食材とか一杯こだわってて申し分ないっすが……その、サービスがちょっと、良くなかったっすね」
 歯切れの悪い様子を受けて先を促すと、ダンテは気まずそうに続ける。
「セルフお刺身サービスっす……自分で鮮魚を捌いてお寿司を握るサービスが、とんでもなく顧客受けしなかったみたいっすよ。生魚を触るなんて無理とか、魚に見つめられてるみたいで無理とか」
 先ほどの質問の意図はそういう事らしい。無論、サービスに対して否定的な態度をとればドリームイーターは烈火のごとく怒り狂うだろう。
「あ、で、でもお客さんとしてサービスを受けて、心から楽しんであげたらドリームイーターは満足するっす!『後悔』が原動力っすから、満足させられたら戦闘力もかなり落ちるはずっすし、満足させて倒したら店主の『後悔』もきっと薄れてるっす」
 いきなり攻撃を仕掛けても問題ないだろうが、店主の気持ちを考慮するなら、なにかしらの対処をしてもいいかもしれない。
「ドリームイーターは寿司職人らしく板前の格好してるっす。刺身包丁で斬り刻んだり、握ったワサビ付き酢飯を投げつけて狙いにくくさせたりするっす。あと自分で握ったお寿司を食べて回復するみたいっすよ!」
 魚さえ捌ければ純粋に美味しい寿司を楽しめる、そういう意味では割に合う仕事と言えるかもしれない。
「回らないお寿司……自分も気になるっすが、ドリームイーターが関わってる立派な事件っす。皆さんの手で無事に解決して欲しいっす!」


参加者
上月・紫緒(テンプティマイソロジー・e01167)
ミルディア・ディスティン(猪突猛進暴走娘・e04328)
村雨・柚月(黒髪藍眼・e09239)
綺羅星・ぽてと(耳が弱い・e13821)
夜宵・頼斗(日溜まりに微睡む金盾・e20050)
アルト・ヒートヘイズ(写し陽炎の戒焔機人・e29330)
玖堂・アマリ(陽彩・e33088)
禍芋・野鳩(紛い物ハート・e36800)

■リプレイ

●怠慢?斬新?
 色濃い紺地の暖簾を前にミルディア・ディスティン(猪突猛進暴走娘・e04328)は首を傾げていた。
「うーん、お客様に調理させるのって、職務怠慢なんじゃないかな……」
 『餅は餅屋に任せる』という諺があるように寿司も職人技が光る。技術を堪能したい客に対し『自分で握れ』というのは失礼ではないか?その疑問はもっともである。
 その一方で『面白い発想』と感じる者もいた。
「今は寿司も海外人気が高まってるからね。体験型サービスとしては発想自体、悪くはないんだが……」
 村雨・柚月(黒髪藍眼・e09239)は顎を撫でつつ疑問が湧いた――まさか、来た人全員にやらせたのか? 生魚を触れない人は全くもって触れないのだ、全員にやらせたのであればそれはそれで問題だ。
「魚を捌くのは初めてだが、うまくいくだろうか?」
 移動中に予習とイメージトレーニングを済ませた禍芋・野鳩(紛い物ハート・e36800)だが不安が残る、しかしやってみなければ解らないところ。
「お腹すいた!お寿司食べたい!!」
 対照的に尻尾をふりふり揺らす玖堂・アマリ(陽彩・e33088)に押されて一行は暖簾をくぐる。
 ヘリオライダーの予告通り、使用感もほとんどないさっぱりした和風の内装――だが、客席と対面にある調理台が店の半分を占拠し、業務用冷蔵庫や生簀が目につく状況は異様そのもの。独特の生臭さもあって綺羅星・ぽてと(耳が弱い・e13821)の眼差しは生ぬるい。
『……へいらっしゃい』
 奥に佇んでいたドリームイーターはこちらに気づき、モザイクに包まれた両手を行儀よく重ねて頭を下げる。夜宵・頼斗(日溜まりに微睡む金盾・e20050)が客であると伝えるとドリームイーターは説明を始めた。
『当店は……ご自身で魚を捌き、寿司を握る……オールセルフサービス……シャリはおひつ、魚は冷蔵庫か生簀から……ご自由にお取りくだせぇ……食べ残しは、出ねぇように……』
「オールセルフ、おひつ完備……シャリも自分でってことね」
(「改めて聞くと、よくこんなサービスを思いついたものっすね……」)
 質問するより先に疑問は解決したぽてとだが困ったように小さく唸り、頼斗もなんとも言えず目が泳ぐ。
「このサービスって捌き方とか教えてくれるのかね」
「お魚の捌き方、教えてくださいな♪」
 柚月のもっとも過ぎる質問に上月・紫緒(テンプティマイソロジー・e01167)も是非ご鞭撻を、と指導を乞う――が。
『……当店は、ご自身で魚を捌き――』
 一言一句同じ説明を返される。厳密に言えばドリームイーターは店主の一部で、店主自身ではない――サービスを楽しんで欲しかった『後悔』が独り歩きしているようなものなのだろう。前向きな姿勢であったためか怒りだす気配はない。
「予測できた事態だが……弱ったな」
「全部丸投げじゃァ誰だって困るってぇのに、なァ?」
 野鳩が小さく溜め息を漏らす傍らでアルト・ヒートヘイズ(写し陽炎の戒焔機人・e29330)も大げさに肩を竦める。これでは客が寄りつかなくなるのも無理はない。
「食材は申し分ないって言う事だしなんとかやってみましょ☆」
 『こうなったら楽しまなければ損!』とぽてとの号令を合図にアルト達はさっそく身支度を整えていく。

 エプロン、消毒、調理器具も全て良し――準備が整ったところで使う魚を選ぼうと食材置き場を覗き込む。
「捌き方とか手伝いついでに仕込まれたぐれぇだなァ……お、トロみっけ」
「寿司はともかく刺身から自分で作るなんて本格的っすよね」
 思案するアルトに並んで物色する頼斗。昨今、スーパーに切り身や刺し盛りが出回っているので手軽に口にできるが、実際は手間暇かかるのだと調べて気付いたためか乗り気になっている。
「生魚は表皮の張りや色ツヤ、目の濁り具合で鮮度の良さを判別するそうだ。切り身は身の締まり具合を見るといい……とネットにあったな」
「それならこのシステムだと魚の良し悪し見分ける勉強になるわね、プロの目利きを実体験で学べるし~」
 野鳩も先ほど調べた情報と照らし合わせながら吟味し、ぽてともこのサービスならではの良さに感心する。髪をポニーテールにまとめたミルディアは穴子を前に唸り声をもらしていた。
(「酢締めは時間がかかっちゃうし、ここの設備じゃ難しいよね」)
 魚は牛肉や豚肉より鮮度が落ちやすく、じっくり調理したいところだが時間がかかり過ぎても他の皆を待たせてしまう。ひとまず下ごしらえをしようとぬめりを取り始めた。
「んと、どれが捌きやすいかなー?てんちょーさん答えてくれなさそうだし……」
「それなら鮪の赤身があんぞ、切り身だしちったぁやりやすいんじゃねぇか?」
 困ったアマリの様子に気づきアルトが赤身のブロックを取り出す、大きな赤身肉を前にアマリは瞳を輝かせる。紫緒も冷蔵庫の中を見渡すと鯵が目に留まった。
「レパートリーを増やすならうってつけでしょうか」
 少しずつレシピを覚えて、あの人に美味しく食べてもらえたら――左手のマインドリングに微笑み紫緒は手を伸ばす。
「さすが寿司屋、魚の鮮度が素晴らしい」
 慣れた手つきで柚月はヒラメの頭やハラワタ、小骨を丁寧に取り除いて五枚におろす。包丁の切れ味も良く切り身が透けるほど。
「普段ここまで本格的にはできないからありがたいね」
「やべぇ、捌く手が止まらねぇ……」
 恐るべしセルフ回らない寿司!! 戦慄するアルトの手から鰯やトロが次々と切り分けられていく。
「確かに、一般家庭で行うには力加減が難しいと判断できる……想定以上だ」
「知識として知っていても、実際にやってみるとやっぱり難しいっすね……」
 冷静な口調の野鳩だが手元は四苦八苦している。頼斗も不格好ながら先ほどより手つきも良くなり楽しげな様子。
「本とか見ても分かりにくいもんね、でも覚えるには良い機会だよ☆ そして余ったカマとか骨身はお鍋にごー☆」
 鍋からあふれる海鮮ダシと味噌の香りが更に食欲を掻き立てる。アラ汁を煮込むぽてとの一言に紫緒もうんうんと感心して頷く。
「お魚を捌く練習も出来ますし、これでお寿司も食べられるとか一石二鳥ですね♪」
「いいないいな、楽しそう!僕も捌いたことないけど頑張るよ!!!」
 周りの楽しげな雰囲気に感化され、お料理初心者のアマリも遂に包丁を握り締めて赤身のブロックに向き直る。お腹の虫もきゅるるるーと鳴き始めた。
「包丁はね、こうやって握るといいんだよ。少し傾けて、引くように切ってみて?」
 危なげな持ち方に気づいてミルディアがアドバイスを送り、アマリも持ち直した包丁に力を入れる。スッと刃先を滑らせると少し分厚い一枚が出来上がった。
「すごいすごい!僕も出来たよ!!」
 今にも跳ね上がりそうなほど嬉しそうなアマリは残りを次々に捌いていく――少し形が崩れたものもあるけれど、初めての料理に充実した達成感を感じていた。
「あとはシャリと一緒に握れば完成っすね、もうひと頑張りっす」
 頼斗がおひつから出した酢飯を掲げ、握ったお寿司をゲタ状の盛り台に並べれば完成。アラ汁も添えてテーブル上は豪華海鮮尽くし。作り上げた充実感が野鳩達にじんわりと染み入っていた。

 片付けも済ませていよいよ実食。両手を合わせて箸を持つとアマリが早速ぱくり。
「……んー!美味しい!!!」
 自分で捌いた魚は不揃いだけれど、初めて自分で作ったお寿司とあって美味しさは格別なもの。幸せそうに頬張る表情はどんな高級料理でも引き出すことは難しいだろう。
「いびつになっちゃったけど美味しいよ!」
「ふむ……やはり達成した充足感があるからだろうか」
 包丁を使い慣れている者と不慣れな者では見栄えこそ差があれど、互いの努力を思えば情のこもった一品であることはよく解る。野鳩も慣れない作業には苦労したが、充実した時間に思えた。
「自分で苦労して作っただけあって、おいしさが倍増するっすね!」
「手間をかけて捌いた分より美味しく感じるわ~、アラ汁もダシが効いててサッパリしてるし☆」
 わいわい賑やかな雰囲気もあってちょっとしたお寿司パーティーの様相を呈している。箸の進み具合は違うけれど、頼斗もぽてとも止まる気配はない。
「お寿司を握るのって修行が必要だって聞くし、やってみないと分からないことは多いものだよね」
「自分で握ったからこそ、この喜びが味わえるってもんだ。実にいい体験だったな」
 ミルディアいわく、細巻き一本だって力加減が大事とか。振り返ってみればこのサービス自体も悪いものではなかった。柚月が感慨深く感想を述べる。
「こういうのもいいですよね、お料理スキルが少し上がったような気がします」
 さっそく帰ってから試したいなぁ、とぼんやり考える紫緒だが――最後にやることが残っている。完食したアルトは両手を勢いよく合わせて音を立てる。
「ごちそーさんっと……さーて、食後の運動といくかァ」
 8人の視線がドリームイーターに集中する。寡黙な個体であるが両手のモザイクは明らかに薄れていた――。

●理解者は一日にして得られず
 ミルディアが長剣の先を向ける。
「キミには解らないだろうけど、お寿司って修行が大事なんだよ。素人に握れないってことくらい理解してなきゃダメじゃないの?」
 店主が今までどういう状況にさらされていたかは知らない、しかしドリームイーターの丸投げ対応ばかりは料理人として許し難い。真っ向から批判する姿勢にドリームイーターはすかさず刺身包丁を引き抜いた。
『……刺し盛り、一丁』
 振り回された包丁が調理台をバターのように斬り裂き、柚月が刃を持つ手を絡めとる。捕縛された隙にぽてとが側頭部に回し蹴りを浴びせ、蔓を振りほどくとワサビ付きの銀シャリをミルディアに投げ放つ。
「ワ、ワサビなんかに負けません!ふぁいっ、おー!」
 銀シャリ弾に恐々としながら『Fortuna.』から光の剣を生成して突きこむと、飛び退きながら両翼にグラビティを込める。黒き鎖の奔流が螺旋を描きながらドリーム―イーターの四肢に喰らいつく。
「戒斗、適当に良い感じで」
 アルトの指示を受けて黒髪のビハインド・戒斗は椅子を飛ばしながら距離を詰め、自身もシャリ弾と解体剣を受け止める柚月に燃える気合のオーラを放ちワサビの刺激を和らげていく。
「さ!僕とアソボ!」
 幾度の足止めを受けて覚束ない足下にアマリが滑り込む。スライディングのように片足を蹴り貫いた隙に頼斗が大量の極小兵器を展開してけしかける。
「思いっきり邪魔させてもらうっすよ!」
「お前のような存在は許されない……店主の心意気を歪めたこと、後悔せよ」
 私の心が作り物だとしても過程を経て生じた感情に偽りはない。カエルのように跳ね回る機械群に気をとられている間に野鳩が鉄塊剣を叩きつける。燃え盛る刀身が袈裟のように斬り裂き炎を焚きつけていく。
 ――ドリームイーターも寿司を握って回復するが、それを上回る猛攻を前にしては焼け石に水でしかない。
「この中華鍋の頑丈さ、甘く見ないでよね!」
 乱切りをミルディアが身代わりに受け止める隙に柚月が菫色のオーラをまとって横から飛びかかる。
「この後悔を吹っ飛ばして、少しでも前向きになってくれればいいが……ね!」
 強力な粘着性を帯びたオーラがドリームイーターに叩きこまれる。凍えたように鈍ったところで頼斗の洗脳電波が襲いかかり、自らの身体に包丁を刺し始める異様な状況を前に紫緒が飛びだす。
「さっそく教わった捌き方で……いきます!」
 獄炎を巻き上げる八咫烏をバトンのように振り回し、両腕を削ぎ落とすと血の代わりにどす黒いモザイクがどろっと溢れ出た。離れ際、入れ替わるようにぽてとが襟首を掴んで店中に叩きつけていく。
「解体するのは慣れてるのよ、鹿とか……でっ!」
 飛び散るモザイクはスモークのようにアイドルの花道を凄惨な色合いで染めあげる。壁に猛烈な勢いで叩きつけると弾けたようにモザイクが壁中に広まり、拳を振り上げたアマリが頭上から狙い定める。
「にせものてんちょー! ――ご馳走様っ!!」
 天井を踏み台にして鋼鉄の拳はドリームイーターの顔面を貫いた。トマトよりも柔らかに砕け散って跡形もなくなり、残された死骸は音もなく消えていった。

 後片付けも修復も済んだところで店主の様子を見に行くと、ほうけた様子で辺りを見回していた。事の顛末を伝えると店主は申し訳なさそうに身を縮こませる。
「レクチャーしようにも問答無用で出て行っちまったりで、取りつく島もなく情けねぇ限りで……」
「自分で作ろうと思って寿司屋に来る奴はいないだろうしな」
 説明すらできなかったのでは対処は難しい。柚月が唸り声を漏らしていると思案していた野鳩が口を開いた。
「魚の捌き方教室を開いてみたらどうだ、成果の場としてこの場を提供するというのも方法のひとつだろう」
 体験して初めてその難しさと面白さに気づいた。理解を得る為にも少しずつ増やす段階が必要だと指摘する。他の者も同じように感じていたようだ。
「握り寿司もいいけど手巻きだっていいもんだぜー、捌き方を教えつつでもやってもよかったんだし。こーいう、寿司づくり体験ってやつ?」
「あたしはお寿司に限らず海鮮丼もいいと思うんだ、選べる幅も広がるからね」
 アルトとミルディアの指摘に店主は目から鱗が落ちたように「なるほど」と手を叩く。かなり宣伝下手なのかもしれない。
「俺もなかなかできない経験ができたからよかったっす」
「最初は希望者制にすれば批判も少ないはずだ」
 頼斗の所感も店主にとって喜ばしい限り……しかし再起する為の資金がない。蓄えが尽きた今では後の祭り――うな垂れる店主に野鳩は自身のケルベロスカードを差し出した。
「店の修繕なりだめになった食材の補填なり、理由はなんでも構わん」
 また新しい形で再スタートすればいい、励ましの言葉に店主は深々と頭を下げて嗚咽を漏らす。
 その後、店主の計らいで残っていた食材で手巻き寿司パーティを開いた。
「大賛成です♪」と笑顔を浮かべる紫緒も慣れた手つきで三枚おろしをこなし、お腹いっぱい満足したアマリは元気よく食事を締めた。
「ご馳走様でした!」

作者:木乃 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年5月24日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 3/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 6
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