ミッション破壊作戦~竜が牙

作者:刑部

「さぁ、グラディウスがまた使えるよーになったから、ミッション破壊作戦を進めよか」
 笑顔の杠・千尋(浪速のヘリオライダー・en0044)が、口を開いて集うケルベロスを見回した。
「あ、知らへん人もおるかもしれへんから、一応説明しとくな。『グラディウス』は、長さ70cmぐらいの『光る小剣型の兵器』やけど、通常の武器としてはてんで役にたてへん。
 その代わり『強襲型魔空回廊』を破壊する事ができんねん。せやから、これを使こうたら、デウスエクスの地上侵攻に、大きな楔を打ち込む事が出来るっちゅー訳や」
 と、改めてグラディウスの説明をする千尋。
「グラディウスは一回つこたら、グラビティ・チェインを吸収してまた使える様になるまで、かなりの時間が掛かるみたいやねんけど、前に使こうたやつがやっと使えるよーになったからな。何処行くかはみんなで決めてもろたらえぇから、頑張って来てや」
 と基本的な説明をした千尋は八重歯を見せて笑う。

「ほな、作戦の説明や。『強襲型魔空回廊』があるのは、ミッション地域の中枢となる訳やから、通常の方法で辿りつくには幾重もの防御網を突破せなあかんし、効率的やあらへん。
 場合によっては、敵に貴重なグラディウスを奪われる危険もあるしな。
 せやから『ヘリオンを利用した高空からの降下作戦』を行う事にしたんや。強襲型魔空回廊の周囲は、半径30m程のドーム型バリアで囲われとって、このバリアにグラディウスを触れさせたらえぇだけやから、狙って敵の頭上に落ちるっちゅーのは難しい高空からの降下でも、充分に攻撃が可能っちゅーこっちゃ」
 千尋の説明に頷くケルベロス達。
「8人がグラビティを極限まで高めた状態でグラディウスを使用し、強襲型魔空回廊に攻撃を集中したら、場合によっては一撃で強襲型魔空回廊を破壊する事ができるかもしれへん。
 一回の降下作戦で破壊でけへんでもダメージは蓄積されよるから、そーやなー悪うても10回程度の降下作戦をやったら、強襲型魔空回廊を確実に破壊する事が出来ると思うで」
 身振り手振りを加えて説明を続ける千尋。
「強襲型魔空回廊の周囲には、当然ながら強力な護衛戦力が存在しよるけど、高高度からの降下攻撃を防ぐ事は出来へん。ほんで、グラディウスはバリアと接触時に雷光と爆炎を発生させよる。
 この雷光と爆炎は、グラディウスをもっとる者以外に無差別に襲い掛りよるから、強襲型魔空回廊の防衛を担っとる精鋭部隊であっても、防ぐ手段はあらへん。
 せやから、この雷光と爆炎によって発生する爆煙を利用して、その場から撤退をする訳やな。そうそう、貴重な武器であるグラディウスを持ち帰る事も、重要な任務の一つやからな。忘れたらあかんで」
 千尋がグラディウスの持ち帰りついても言及する。

「魔空回廊の護衛部隊は、グラディウスの攻撃の余波である程度無力化できるんやけど、当然ながら完全に無力化する事は不可能なんで、強力な敵との戦闘は免れへん事となる。
 幸い、グラディウスの攻撃の余波もあって、混乱する敵が連携をとって攻撃してくる事はあらへんと思うから、撤退を阻もうとする眼前の強敵を倒して、素早く撤退するっちゅー形が一番えぇと思う。
 時間が掛かり過ぎると、脱出する前に敵が態勢を立て直してもうて、降伏するか暴走して撤退するしか、手段が無くなる事になるからな。
 攻撃するミッション地域ごとに敵の特色があるから、攻撃する場所選択の参考にしたらええと思うで」
 と、そこまで説明した千尋が言葉を区切って咳払いする。

「前線基地になっとる『ミッション地域』は今も増え続け取るからな。グラディウスが手に入ってからみんなの頑張りで幾つか潰せたけど、この調子で一撃離脱作戦を繰り返したら、どんどん潰していける筈や。頼んだで!」
 と千尋はもう一度ケルベロス達に笑顔を見せるのだった。


参加者
結城・レオナルド(弱虫ヘラクレス・e00032)
アリシア・メイデンフェルト(マグダレーネ・e01432)
ノル・キサラギ(銀架・e01639)
ラティクス・クレスト(槍牙・e02204)
リン・グレーム(銃鬼・e09131)
村雨・柚月(黒髪藍眼・e09239)
ジルカ・ゼルカ(ショコラブルース・e14673)
草薙・ひかり(闇を切り裂く伝説の光・e34295)

■リプレイ


 練馬区上空。
 グラディウスを手にした8人のケルベロスと3体のサーヴァントが、ヘリオンから飛び出し降下してゆく。
(「今は小さなこの一太刀が、いずれ誰かを開放する大きな一閃となるならば……この力、喜んで捧げましょう」)
「平和への夢、途絶えさせるわけにはならないのです!」
「どんなに些細な悲しみでも、俺たちの力で止めてみせる!」
 最初に『それ』に到達したのは一番に飛び出し四翼を広げたアリシア・メイデンフェルト(マグダレーネ・e01432)。紅いリボンを揺らすボクスドラゴン『シグフレド』を連れた彼女が、想いを見開いた瞳に讃えて振り下ろすグラディウス。
 其に続いたノル・キサラギ(銀架・e01639)の、トバーズをあしらった銀鎖のブレスレッドが風に踊る腕。それに握られたグラディウスの切っ先が触れると、アリシアの切っ先が触れた場所からもほぼ同時、轟音と共に雷撃が迸り、その中に降り注いで白煙を上げる。
 インチキ商売を続ける3人組のドラグラーが犯行を続けるこの場所に、次々と降下して来るケルベロス達。
「誰も使ってないならぶっ壊しても問題ないっすよね! ま、誰か使ってようとも壊させて頂くっすけど。ドラゴン勢力に対する反撃の一手! コメディだろうと容赦しない!」
 サーヴァントがライドキャリバーからボクスドラゴン変わった『ディノニクス』を連れたリン・グレーム(銃鬼・e09131)がグラディウスを突き付けると、
「俺だって――赦さない!」
「ケルベロスがいる限り、この世に悪は栄えない! 天に代わって成敗するぞ!」
 宵色の髪を風に靡かせ肩に爪を突き立てたウイングキャット『ペコラ』と共にジルカ・ゼルカ(ショコラブルース・e14673)。そのジルカと並ぶ形で思いっきり振り被った結城・レオナルド(弱虫ヘラクレス・e00032)が、タイミングを合わせてグラディウスを叩きつけ、追従の雷撃が巻き起こり更なる白煙が広がる。
 その白煙の隙間に飛び出して来た3体のドラグナーの姿が見える。
「出て来たか、さぁ楽しませてくれよ三人組!」
「世界とリングの上だけじゃなく、ご近所の平和も守って魅せるよ!」
 ラティクス・クレスト(槍牙・e02204)の口角が僅かに上がり、力瘤を作った草薙・ひかり(闇を切り裂く伝説の光・e34295)と共にグラディウスを叩きつけ、
「魔空回廊は一つ残らず駆逐する! あれば壊す……それだけだ!」
 最後に村雨・柚月(黒髪藍眼・e09239)がグラディウスの切っ先を叩きつけ、皆と同じ様に閃光と共に雷撃が迸るが、『それ』は穿たれた様子も無い。
「こんなんでも攻撃に耐えるのかよ……」
 悔しそうに唇を噛んだ柚月がそれを見上げながら、仲間の後を追う様に白煙の中へと降下していった。

「上から御客様だよ。まったく派手な真似してくれるねー。お前達、やっちまいなさい!」
 アリシア達を見つけた女性型ドラグナー『ドラグナージョ』が声を張り上げると、
「アラサッサ」
「ホイサッサ」
 左右に控える痩身の骨型ドラグナー『ほねヤッキー』と巨漢の豚型ドラグナー『ぶたズラー』が敬礼してノル達ケルベロスに向き直り、ぶたズラーが腕を鳴らすと、ほねヤッキーが手元のボタンを押す。
「ケルベロ、ベロベベベベベベベッベベベ!」
 地面から現れた小さな犬のメカが唸りながら激しく首を振る。
「なにしてんだいアンポンタン! ほらどんどん集まってくるじゃないかい!」
 白煙の向こうからジルカ達も現れたのを見たドラグナージョが、ほねヤッキーに拳を振り下ろす。
「あいたっ。もう、そんなに怒ると益々小皺が増えますよ」
「まったくでんねん」
 唇を尖らせてほねヤッキーが抗議すると、ぶたズラーも口を開けて笑う。
「このスカタン。とっととやるんだよ!」
 もう一度ドラグナージョの拳が振り下ろされ、ほねヤッキーがボタンを押すと、
「パンパカパーン! 今週のびっくりマッシーン!」
 何処からともなく音声が響き渡り3体のコミカルなドラゴン型のパワードスーツが現れ、3人組はそれに身を包む。……が、お約束なやり取りが長かった為、グラディウスを収納した8人のケルベロスに回りを囲まれていた。
「どこからかナレーションが聞こえてきましたけど、これ一体どこから……」
「コメディに常識を踏まえたツッコミは無用だ。当たり前の様にやっつけるだけだよね」
 訝しむレオナルドをリンが制する。
「さぁお前達、やっちまいなさい!」
「アラサッサ!」
「ホイサッサ!」
 ドラグナージョの号令に、ほねヤッキーとぶたズラーがパワードスーツの推力を上げ、突っ込んで来た。


「忘れられた宝玉の見せる夢の道導……解析完了、targe……In sight」
「放置しての撤退は難しそうですわね。さぁ、支えますよシグ」
 リンの声が飛び前衛陣の集中力が高まる中、長い金髪を揺らしたアリシアがカラフルな爆発を起こして味方を後押しし、シグフレドがひかりにその属性をインストールする。
「あなたが一番パワーありそうね。でも、私のパワーに勝てるかしら?」
 そのひかりが、金色のガウンを脱ぎ捨て華麗に宙を舞うと、ぶたズラーに狙い澄ましたドロップキックを見舞う。
「いい度胸でまんねん。わいの怪力、なめとったら痛いめみるでー」
 ぶたズラーはひかりの挑発に乗る形で彼女めがけて襲い掛かる。見ればほねヤッキーの方はラティクスとノルが引き受ける形になっていた。
「流石に一人では危険だよ。いけ、ディノニクス」
 そのひかりを援護する形で更なる爆煙を起したリンが、ぶたズラーの纏うオーラを掻き消す為にディノニクスを箱ごと突っ込ませると、柚月とレオナルドがそれに続く。
「邪魔すると承知しないでまんねん」
 ぶたズラーは回転ラリアットでそれらの攻撃を弾き返すと、そのままひかりに掴み掛るが、光はその手に掌を合わせ、がっぷり四つに組み合っての力比べとなる。
「フンヌー!」
 ぶたズラーの筋肉が盛り上がり、パワードスーツが激しく蒸気を噴き出すと、そのままひかりの体が後ろに押される。
「……そのオモチャがないと私に勝てないのよね?」
「わが身に宿る加護よ。遍く災禍を払いたまえ。我は以て、全ての征服者を超えるものなり」
 押さえながらも笑みを見せるひかりに、アリシアがルーンを解放すると、ひかりはブリッジの体勢でダイナマイトモードとなり、不動の反り橋の如くぶたズラーの力押しを耐えて見せる。
 そこにジルカの投じたバールが炸裂し、勢いを削がれたぶたズラーが一旦距離をとる。

「ふほほ、この勇姿、全国のチビっコ見てる~?」
 笑いながら突っ込んで来たほねヤッキーの前に、立ち塞がる形になったのはラティクス。
「どちらかというと傍に侍る参謀タイプと思ったが……」
 くるくるっと回した雷槍《インドラ》を構え、その柄を利用して吶喊を受け流すラティクス。
「うわっと、流すなら言ってくれよラティ」
 その後ろでオウガ粒子を放出していたノルは、受け流された事で自分に向って突っ込んでたほねヤッキーを慌てて回避し唇を尖らせる。ジルカら他の仲間達の攻撃は、先に突っ込んでひかりと対峙する形になったぶたズラー側に集中しており、ドラグナージョは後ろから2人を督戦して声を張り上げていた。
「2人が前衛でドラグナージョは後衛と言ったところか」
「攻撃を集中したいところだけど、俺達でコイツを押さえないといけない様だね」
 ラティクスとノルがそう言葉を交わした様に、自然と2人でほねヤッキーに対峙する形となっていた。
「なにもたもたしてんだい。とっとやっちまいなさい」
「アラサッサ!」
 ドラグナージョの声に眼を光らせたほねヤッキーが、再びレオナルドと柚月が攻撃した隙に、アリシアやリンが飛ばした援護も受けたラティクスへと突っ込む。
「これでもくらっとけよな」
 震鎚《サラスヴァティー》を変形させ、轟竜砲を放つラティクスに対し、
「ふほほ、そんなもの当たらないで……ごふっ!」
 余裕の笑みを浮かべ回避しようとしたほねズラーが、その弾の下から伸びて来た別の轟竜砲の弾を喰らい、足が止まったところにラティクスの弾にも穿たれる。
「油断大敵……だね」
 ラティクスの股の間から、砲撃形態に変えた『壊星のガーベラ』の砲口を覗かせたノルが悪戯っぽく笑う。

「い、いい年してふざけたカッコしちゃってサ、みっともない! ひっ!」
 投じたエクスカリバールがヒットしひかりを助けた事で、強気の啖呵を切ったジルカだったが、ぶたズラーにギロリと睨まれ上ずった声を上げると、思わず蒐星傘を開いてその視線を遮り、ペコラがやれやれと言った感じで翼を羽ばたかせる。
 だが、その遮られた視線の先、ジルカを睨んだぶたズラーは、横合いからの蹴りを頬に見舞われ唇を歪めていた。
「ヒーローと言えばやっぱ飛び蹴りだろ!」
 その蹴りを見舞って華麗に着地を決めた柚月が、振り返りながらポーズを決める。
 ぶたズラーは柚月に対して怒りを覚え、攻撃しようとするも、
「覚悟しろ、ぶたズラー!」
 とレオナルドが連射するガトリングガンの弾が爆ぜる間に、リンとアリシアに射線を封じられる。敵の後方からドラグナージョの罵声にも似たヒールが届くが、ほねヤッキーの方をノルとラティクスが押さえている間に、それを上回る手数でぶたズラーに攻撃を集中するケルベロス達。
「俺だって……理不尽な力なんて全部ぶっ壊してやる!」
 ペコラの援護を受け決意と共にピンクの瞳を見開いたジルカの手に現れたのは、気品放つベニトアイトの煌きを湛えた幻影の大鎌。その一閃がぶたズラーの駆るパワードスーツの左足を大きく裂く。
「おろっ、パワーが出ないでまんねん」
 スチームを噴き出し動作がおかしくなるぶたズラーのパワードスーツ。
「ここが要諦。心静かに――恐怖よ、今だけは静まれ!」
「いいから飛んでけ」
 鯉口を切ったレオナルドが陽炎を纏う無数の斬撃を見舞い、その間に精神を集中した柚月が掌を向けると、サイコフォースによってぶたズラーのパワードスーツが爆発し、
「わいトンズラしまっさ~」
 の言葉を残してぶたズラーは吹っ飛び、視界の彼方へと消えたのだった。


「ちょっとドラグナージョ様、ぶたズラーが……こいつら強いですよ」
「何言ってんだいアンポンタン。あんたの作ったメカが弱過ぎるんだよ。この役立たず!」
 ふっ飛ぶぶたズラーを見て、助けを求める様にドラグナージョを見たほねヤッキーに、辛辣な言葉が浴びせられ、
「そうそう。メカが弱すぎるんだ。それによそ見している暇はあるのかな?」
 ラティクスが容赦ない攻勢に転じる。
「侮ってもらっては困るのねぇ、それポチっとな」
 その攻撃を捌きながらほねヤッキーがボタンを押すと、『翼を付けた爆弾』の様なメカが10体ほど射出され、ケルベロス達に襲い掛かかって爆発し、攻撃を受けた者達の体を痺れさせる。
「侮ってもらって困るのは此方もですわ。シグ!」
 四翼を広げたアリシアが、前衛陣をオーロラの如き光で包み、シグフレドが一番至近距離で爆発を受けたラティクスに属性をインストールする。
「凍てつきの青の力! 顕現せよ! アイスエンジェル!」
 柚月がカードに秘められた大いなる氷の力を解放し刃に付与すると、氷を纏った刃は更に鋭さを増して振るわれる。その一閃は、ノルによって多重の足止めを刻まれたひげヤッキーには回避不可能の一撃であり、強かに斬られたほねヤッキーの体がぐらりと傾く。
「行け、ラティ!」
 ノル放ったファミリアシュートの一撃が、ほねヤッキーの動きを更に縛ると、
「任せろノル! 貫け≪雷尖≫壱式・麒麟!」
 ラティクスが腰に溜めた雷槍の穂先に雷に変じた闘気が滾り、その雷がラティクスの全身を包む。次の瞬間、迸る迅雷の如き雷光が皆の視界に踊ったかと思うと、ラティクスの体がほねヤッキーの向こうにあり、
「あり? カッコつけた割には当たってないみたいですよ」
 と、ひげヤッキーが笑った瞬間、そのパワードスーツが爆発し、
「全国のチビっコのみんな~、また来週~」
 ほねヤッキーは吹っ飛んだのだった。

 無論、その間に残る面々はドラグナージョへと詰め寄っていた。
「なんだいなんだい、揃いも揃ってスカタンだね、アンポンタンだね、見てられないね!」
 不甲斐ない部下を嘆きながらも応戦するドラグナージョ。
「部下をちゃんと育てられないのは上司の責任だよ。そこに目を背けている様じゃ、未来はないね」
 そう言い放って叩き込んだリンの拳で、ドラグナージョが纏っていたオーラが掻き消える。
「うるさいうるさいうるさーい! このスカタン&アンポンタン!」
 ギリリと歯を鳴らしながらリンに攻撃を見舞うドラグナージョに、ディノニクスがブレスを浴びせ、ペコラが羽ばたいて邪気を払う。そのブレスにより一瞬視界を奪われた瞬間、
「往生際が悪いんだよ。お前達はココで終わりだ」
 ぶたズラー撃破の天気となったジルカの幻影の大鎌による一閃が、ドラグナージョにも振われる。更にそこに飛んで来たエクスカリバールが、パワードスーツの関節部分に突き刺さった。
「ちょっと、どうなってるんだい? 何してくれんのさ、動かないじゃないか!」
 エクスカリバールを投じたままの体勢のレオナルドを睨むドラグナージョ。
 レバーをガチャガチャと動かしてはいるが、伝達系統がイカレたのかパワードスーツは全く動かない。
「動かないのよね? じゃあ私が動かしてあげるよ」
「ちょっとお待ち。筋肉バカは空気が読めないからキライだよ」
 ガシッと自身を掴むひかりに対し、首をぶんぶんと左右に振りながら暴言を吐くドラグナージョ。
「へーこの状態で私の事を筋肉バカとか言っちゃうんだ」
 ひかりが見せるとてもいい笑顔。
 次の瞬間、ドラグナージョの体は重力から解放され、そして直ぐに重力と友達となって叩きつけられる。フロントスープレックスから始まるひかりのフィニッシュホールド『セブンカラーズ・スープレックスホールド』だ。
 叩きつけられる度にパワードスーツの部品が壊れ落ち、最後にジャパニーズオーシャンスープレックスを決めたひかりが跳び退くと、
「おぼえてろぉ!」
 の言葉と共に最後まで残ったパワードスーツが爆発し、ドラグナージョの体は吹っ飛んで行ったのだった。

 なにか遠くから『おしおき』とか『だベー』とか聞こえた気がするが、
「では、勝利のポーズで決めましょうか、こうするんですよ」
 一行はレオナルドのするポーズを全員で決め、次こそ破壊して見せると決意を残し、その場を後にしたのだった。

作者:刑部 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年5月21日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 2/感動した 1/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 4
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