忍びの影二つ交じり

■リプレイ

●二つ混じり
　螺旋忍軍同士が、東京都都心部にて大暴れする、という話を聞いたケルベロス達。
　そんなデウスエクス同士の争いから産まれるは、破壊……そんな破壊を止めるが為、ケルベロス達は、魅咲忍軍と真理華道の二軍の争う場所へと急ぎ向かう。
「しかしこれ……螺旋忍軍の組織内抗争……やろうか？　力あるもんどうしの抗争に、他人を巻き込まんで欲しいもんやな」
「全くだ。テメェらの内輪揉めをこっちに被害持ってくるんじゃねえよってなぁ」
　と、清水・光（地球人のブレイズキャリバー・e01264）、マサヨシ・ストフム（蒼炎拳闘竜・e08872）が肩を竦める、それにローレン・ローヴェンドランテ（灰色夢道・e14818）も。
「ほんと、どうせならボクらに全く影響が無い所で勝手に潰し合って欲しいのだけれどねぇ……そんな訳にも行かないのかな？」
　と苦笑、そしてそれに鈴木・犬太郎（超人・e05685）が。
「確かこいつら、螺旋帝だったけか？　そういう内輪揉め、もっと誰も居ない場所でやってくれよってな。確かに螺旋忍軍にとってはこれが重要な事なのかもしれないが、関係無い人を巻き込むのは止めて欲しいよな」
　と言うと、大首・領（秘密結社オリュンポスの大首領・e05082）、長篠・ゴロベエ（不倒不懐な自己満足になりたい・e34485）らも加わり。
「ほう……螺旋帝の一族か。我が組織がその者を手に入れれば、傀儡と錦の御旗を掲げたも同然ではなかろうか……！」
「んー……まぁ、螺旋帝ねぇ。可能ならケルベロスで保護したいけれど、探すのは後回しにしてまずこいつらをどうにかしないといけないよね……」
「ああ。そっちが何も考えないで騒ぎを起こすというのなら、こちらもやり方がある。面倒臭い事に、今回は作戦を重視しなきゃいけない。個々の能力は低いんだ。確実に仕留めるだけだ。一般人に犠牲を出す訳にはいかない」
　力強い犬太郎の言葉。
　それに対し、水無月・鬼人（重力の鬼・e00414）と差深月・紫音（自称戦闘狂・e36172）の二人は。
「しかし、なんつーか……デウスエクスにもアレなのがいるんだな」
「そうだな。今回の仕事は女装忍者もいるんだよな……ま、やることはかわんねぇけど。まぁ、帝って言われる存在はどんなのか気になるが、楽しい死闘と洒落込むとしようかねぇ」
　そう言うと、ゴロベエ、光、領らも。
「そうだな。さて、と……じゃあ、お仕事しますか」
「そやね。とまれ、喧嘩両成敗と行かせてもらうんよ。この道を修羅道と知り推して参る」
「うむ。フハハハ……我が名は、世界征服を企む悪の秘密結社オリュンポスが大首領！！　オネエ忍者も、魅咲忍軍も討ち倒すぞ！！」
　威風堂々たる領の言葉に、他の皆も頷き、そしてケルベロス達は、魅咲忍軍と真理華道の軍勢が所へと向かうのであった。

●慈しみを上げて
　そして、ケルベロス達が到着するは、二つの螺旋忍軍の配下達が争う場。
　魅咲・冴の指揮に従う、色々な髪型が特徴の無色と呼ばれし魅咲忍軍達が、ヴァロージャ・コンツェヴィッチの指揮に従う、間違い無くその図体は男であるが、女装をしていて口調も女っぽいオネェ忍軍、真理華道忍軍。
『なんだよお前達。ここは俺達魅咲忍軍が先に来たんだ。後から来てオレの物っておっかしーだろ！！』
『なによ！　そんなの関係無いわよ！　どっちが先に見つけるかじゃないわ。私達が見つけたんだから、あんた達はさっさと色に塗れて帰りなさいよ！！』
　……口争い、罵り合う二軍。
　普通に闘えば、なんとなく真理華道忍軍側が勝ちそうな具合ではあるが……個々の連携が全く出来ていない彼らは、その隙がある。
　一方、魅咲忍軍達は、逆に流れる様な連携の動きが特徴で……表に立つ人の言葉に、そうだそうだー、と後ろで声を上げる人達の息もぴったり。
　……そんな魅咲忍軍と、真理華道忍軍を傍から隠れ見ているケルベロス達。
「……このオカマ忍者って……濃いな、色んな意味でよ。敵じゃなかったら、なぜ、そっちの道に突撃したのか、ちょいと話を聞いてみたい所だが……なんか、集団で行動しているのを見ると、怖いな。あらゆる意味で、よ」
「そやね。しかしこれものぞき見たいでええ感じせんよね」
　鬼人に光が頷きつつ、一瞬触発の状況を暫し観察。
　……そして、間もなく頃合い、といった所。
「よし。そろそろ割り込むか」
「そうだな。取りあえず、一般人に被害が出来る限り出ない様に、魅咲忍軍へと協力するとしよう。目の公害となる怪人舞台……いや、真理華道からさっさと撃破し、その後から敵の敵は敵だったとして魅咲忍軍を裏切る、という事だったな」
「そうだな。と、オレも……」
　領に頷きつつマサヨシはその姿を人派にシフト。
「ま……こっちの方が一般受けはいいだろ」
　と言い、そして光が。
「囮を頼む事になってすまへんね。これが終わったらご飯ぐらいはおごるんよ」
　と提案すると、それに紫音も。
「そうか、それじゃーそれを楽しみにするとしようか。って訳で、ほら、行こうぜ」
　と言うと共に、紫音、マサヨシ、領に犬太郎が二軍の間に割り込む様にして、姿を現わす。
　……突如出て来たケルベロス達。
『な、なんだお前等！！』
『そうよ……って、何……す、すっごく、かっこいいわぁぁ！！』
　魅咲忍軍は反発しているが……一方、真理華道忍軍は、カッコイイ男達の姿に、黄色い悲鳴を上げる。
　……そんな黄色い悲鳴を聞き流しながら、ケルベロス達は魅咲忍軍の方へと歩みを進める。
『……なんだよ、ぉ！？』
　と言うと、それにマサヨシは。
「オレ達はオレ達の目的で、真理華道を殺す。忍者って言うなら損得ぐらいはわかると思うが？」
　と提案すると、紫音も。
「ああ、女を切るのは楽しくねぇんだよ。強い奴が居りゃ多少は楽しめるかってな。お前等女装連中は強いのかねぇ？　手応えのあるやつと死闘を楽しませてくれよ」
　ニヤリと笑みを浮かべ、構える紫音……と、それに真理華道忍軍は。
『なによ！　もう、私達の仲間になるなら、すっごく可愛がってあげるのに。仕方ないわねぇ……それじゃ、力尽くで私達のものにしてあげるわぁ！！』
『そうよそうよ！！　力尽くで……ふふふ、いい響ねぇ♪』
　と、真理華道はそれぞれの武器を構えて、えいえいおー、と言わんばかりに声を上げる。
　そんな真理華道の前に対峙し、オウガメタルを羽織った着物から取り出しつつ、マインドリングで創り出した短刀と日本刀を構える紫音が……先陣を切り、ハウリングの一撃を仕掛ける。
　続き、マサヨシが。
「我が炎に焼き尽くせぬもの無し――我が拳に砕けぬもの無し――我が信念、決して消えること無し――故にこの一撃は極致に至り！」
　と『極致・蒼炎の一撃』で攻撃し、一方領も。
「ふはは！！　さぁ、これでも喰らえ！」
　とペトリフィケイションで攻撃する。
　……そんな囮三人の攻撃に対し、他のケルベロス達も、後ろから姿を現わしていく。
『え、えええ？　な、何何何！？』
　驚いている螺旋忍軍、それにゴロベエ、ローレンが。
「痛みを耐えるより、日常で人と話す方がよっぽど面倒だね。君達も仕事だろうけど、オレ達も仕事だ、一般人の被害は見逃せなくてね。降魔拳士として、忍者の魂を一度食べてみたかったんだ。真理華道は強そうだしね！」
「そうそう。そういえば君達、髪型面白いねー？　君らトップの人も変わった髪型なのだろうねー、いじってほしいなー」
　と、そんなローレンの言葉に、何処か魅咲忍軍は。
『……お前達、俺達に加勢してくれるのか？』
「そうそう。どうしてこんなことをー？」
『お頭が、螺旋帝の一族が都心部に出現したから、奪取してこいって……』
『でも、お前達が助けてくれるなら百人力だぜ！！　よーっし、いくぞー！！』
『『『『『おーーー！！』』』』』
　声を併せて威勢を上げる魅咲忍軍。
　……そして、魅咲忍軍に対し、マサヨシが。
「こいつだ、このオカマ忍者を叩くぞ！」
『な、何よぉ！　オカマじゃないわよぉ！！』
　と、怒り反発する真理華道忍軍に対し、更にゴロベエが降魔真拳、犬太郎が鉄塊剣を振りかざし頭から叩きつける。
　そして鬼人が絶空斬で一刀両断しつつ、光が。
「ほんま、スニーキングミッションは不得手やけどしゃーないな……ほれ、ちょっとした鬱憤晴らしやねん」
　と、インフェルノファクター。
　そんなケルベロス達の猛攻に続く、魅咲忍軍。
　声を掛け合いながら、次々と連携攻撃をしていく魅咲忍軍。
　その連携動作は、一切の隙が無く、素晴らしい動きではある。
　……そんな魅咲忍軍とケルベロスの合同戦線は、みるみる内に真理華道忍軍の体力を奪い去る。
　そして一人……また一人、と崩れ墜ちて行く。
　十数分の程で……五人を討ち倒す。
『ふぅ……終わった終わった。サンキュー、感謝する……』
　と、言ったその瞬間……。
「……さぁ、お前達も殺そうか！」
　と、振り返り様に、領が仕掛ける『十二神ノ蹂躙』。
　突然、その攻撃を受けた魅咲忍軍は、驚愕の表情。
　……それに領、犬太郎、鬼人が。
「フハハハ……裏切りは、悪ノ組織の特権だ！」
「まぁ……戦場で出逢った仲間をそう軽々と信頼出来るのは、ある意味凄いと思うがな」
「そうだな。こうなる事ってのは薄々、気がついていただろうが、な。所詮は相容れ合う事のない存在同士だ。悪く思うなよ。あの世でいくらでも謝ってやるからよ」
　と、言いながら鬼人が月光斬で一閃していくと、光も。
「そやね。ニンジャシスベシってな」
　と、慈悲も無く、渾身の力で『緋色芙蓉』の一撃を叩き込む。
　次々と叩き込まれる、ケルベロス達の攻撃……。
　……今迄信頼していた仲間に裏切られるのは、それは……思うに余りある。
「言ったよなぁ、オレ達はオレ達の目的で、と。端っからテメェらデウスエクスなんざ皆殺しでコッチはやってんだよ！！」
　と、嬉々として笑いながら、攻撃を叩きつけるマサヨシ。
　……そんな、ケルベロス達の裏切りに、集団を乱された魅咲忍軍は……連携動作も崩されてしまい、みるみる内に崩れ墜ちて行くのであった。

●終わりの見えない
　そして……ケルベロス達は、無事に二つの螺旋忍軍を倒す。
　目の前で倒れている彼らを見下ろしながら。
「フッ……所詮は雑兵の類いか……特別な情報は持って居ないだろうな」
「そうだな。仕方が無いとは言え、騙しちまったのは、後味がわりぃな……あいつ等の星にいるかどうかは知らないが、神様に冥福を祈るとするか」
　と領、鬼人の言葉。
　そして、紫音が。
「さてと、終わったら片付けをしていかねぇとな？　公園を荒らしたままじゃよくねぇだろ。ヒール、かけてくさ」
「そうだな……公園をヒールし、その後に少し周囲を捜索して帰るとするか……」
「ああ、そうだな……ま、こいつらも多分、使い捨ての駒の一つなのだろう。彼らの追い求める螺旋帝とはどういうものかは解らないが……な」
　と犬太郎は頷きつつ……そして光が。
「そやね。ちゃちゃっと治してご飯にしようや」
　と提案し……そしてケルベロス達は周囲の修復を行い、そしてどこか近くへとご飯を食べに向かうのであった。

作者：幾夜緋琉	重傷：なし 死亡：なし 暴走：なし
種類： 公開：2017年5月15日 難度：普通 参加：8人 結果：成功！
得票：格好よかった 5／感動した 0／素敵だった 0／キャラが大事にされていた 2
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