没個性少女と荒ぶるオタク忍者

作者:なちゅい

●2グループの螺旋忍軍
 それは、どこかの一室。
 頭を垂れる螺旋忍軍の女性達の前に現れたのは、露出の高い、大胆な衣装の女性だった。
「はーい、集まったね。それじゃ、さっそく指令を伝えるよ」
 彼女達は、魅咲忍軍と名乗るグループ。指揮官の名は、魅咲・冴と言う。
 それに従う魅咲忍者は白を基調とした衣服を纏っており、今ひとつ目立たない女性達である。
「螺旋帝の一族が都心部に出現したって情報が入ったの。これが本当なら、とても凄いチャンス的な? ……って感じね」
 刻々頷く、白い衣装の少女達。反応までもモブ臭がすごいのは残念である。
「魅咲忍軍の総力をあげて捜索するから、あなた達は、いますぐ豊島区に向かってもらうよ」
「「「かしこまりました」」」
 反応もまた特徴のない少女達の声がハモる。草の根を掻き分けても探し出しなさいという魅咲の言葉にもまた、彼女達は一斉に同じ言葉を返す。
「あっと、他の忍軍の捜索部隊に出会ったら……、問答無用で皆殺し、分かってるわよね!」
「「「はい、お任せを」」」
 早速ぞろぞろと現地に向かおうとした少女達へ、魅咲が思い出したように叫ぶ。少女達はまたも、一糸乱れぬ所作で同じように返事し、この場から去っていくのだった。

 一方、別所の一室にて。
「みんなぁ、元気してる♪」
「「「元気だよ、霊金の河ちゃーーん!!」」」
 ステージの上に立つのは、黄色の衣装を纏った金髪の少女、霊金の河。地下アイドルを思わせるような素振りの少女だ。
 銀山衆を率いる彼女を見つめているのは、アイドルオタクな男性達。彼らは一斉に声を上げ、いわゆるオタ芸と呼ばれる踊りで壇上の少女に声援を送る。
「今日は、私からのお願いがあるんだ!」
「「「はい、何なりと!!」」」
 息の合った男性達は、霊金の河の言葉に合間に声とポーズを揃えて相槌を打つ。
「えっとね、螺旋帝の一族って人が都内に隠れてるんだって」
 少女、霊金の河が言うには、とっても偉い人だから、私達が見つけて保護したいとのこと。
「皆は豊島区を一生懸命探してね。もし、邪魔する人がいたら……やっちゃってちょうだい♪」
「「「はい、やっちゃいます!!」」」
 揃ってこの場から出て行く男性達を、少女は満足気に見つめていたのだった。

 新たな事件を聞きつけたケルベロス達が、詳細を求めてヘリポートへとやってくる。
 そこでは丁度、リーゼリット・クローナ(ほんわかヘリオライダー・en0039)が説明を始めるところだった。
「東京都心部で、螺旋忍軍が活発に活動を開始したのが確認されたよ」
 なんでも、複数の螺旋忍軍の組織が大規模に活動しており、螺旋忍軍同士の戦闘に発展し始めていると言う。
 デウスエクス同士が争うだけなら放置してもよいが、この戦闘により都心が破壊され一般人の犠牲者が出るとなれば放置できない。
「だから、皆に、争い始めるこの螺旋忍軍の両グループを撃破してほしいんだ」
 周囲の被害を抑える為には、両者の戦いに割って入った上で、敵を連携させないように片方の忍軍を撃破し、返す刀でもう片方の忍軍を撃破する必要があるだろう。
「忍軍同士を戦わせて疲弊した所を叩くという作戦も可能だけど……、一般人の死傷者が出る可能性が高くなってしまうから、慎重に判断してほしい」
 場合によっては、両者が協力してケルベロスへと敵対してくる。戦いを長引かせて敵を疲弊させる工夫が無ければ、かえって戦況は不利になる恐れがある為、こちらの作戦をとるならば十分に検討してから臨みたい。
「次に、争う螺旋忍軍だけど……」
 まず、一つ目、魅咲忍軍所属の魅咲忍者5体だ。
 全身を白い装束を纏った少女達。グループで連携をとって戦うのが得意な忍者達で、日本刀を使って襲い掛かってくる。
 対する二つ目のグループは、銀山衆所属のアイドルオタク風の忍者5体だ。
 一見すれば、アイドル過ぎの男性達で、いわゆるオタ芸と呼ばれる踊りを踊りつつ戦ってくる。激しい動きの踊りは威圧感すら与えてくるほどだ。
「彼らは、東京都豊島区、池袋駅の西口公園付近で争いを始めるようだよ」
 たまたま、人通りの多い場所でかち合った2者は、すぐに戦いを始める。
 ケルベロスはこの直後から介入することは可能だ。どういった作戦を取るかは皆に任せたいとリーゼリットは語った。
 説明を終えたリーゼリットは、しばし唸りこむ。
「彼らの目的が分かればいいのだけれどね。残念ながら、この場に現れるのは末端構成員だから、重要な情報は持っていないと思う」
 仮に知っていても、本当のことを話すとは限らない。現れる螺旋忍軍を速やかに撃破し、独自に調査を行う方が望ましいだろう。
「それでは、行こう。皆のこと、頼りにしているよ」
 彼女はそうして、ケルベロス達にヘリオンへと乗るよう促すのだった。


参加者
魅咲・サソリ(紫忍者・e00066)
アイリス・フィリス(ガーディアンシールド・e02148)
アイビー・サオトメ(アグリッピナ・e03636)
風鈴・響(ウェアライダールーヴ・e07931)
白銀・ミリア(ネームドスレイヤー・e11509)
幽川・彗星(剣禅一如・e13276)
銀山・大輔(昼行灯な青牛おじさん・e14342)
曽我・小町(大空魔少女・e35148)

■リプレイ

●内部抗争への介入
 東京都豊島区池袋。
 その西口にある公園で、螺旋忍軍の争いがあると聞いて駆けつけたケルベロス達は、呆れ顔でこの場に立っている。
「忍者同士の戦いで一般人を巻き込むなんて、迷惑な輩だぁね」
 青い牛ウェアライダーの銀山・大輔(昼行灯な青牛おじさん・e14342)が首を振る。駅西口の広場で、すでに2グループの忍軍が睨みを利かせているのが遠目に分かる。
 一方は魅咲忍軍、真白な装束の魅咲忍者の少女達。もう一方は銀山衆のオタ芸忍者、奇抜な踊りで舞う男達だ。
「橙組の連中やったら、もっとおもろいことなってたかもな」
 頭領がアイドルのドルヲタ組。魅咲・サソリ(紫忍者・e00066)は自身の記憶にある女性達の姿を思い浮かべ、遠い目をする。
「緊張感の抜ける相手ですねぇ、まったく……」
 あんななりでも人類の敵だ。飄々とした態度の幽川・彗星(剣禅一如・e13276)は、手早く終わらせてしまおうと仲間に促す。
「上手くいくか分かんないけど、やってみる!」
 一般人の往来がある中での戦い。曽我・小町(大空魔少女・e35148)はその避難を担当に任せ、自らの役割を果たそうと意気込む。
 そして、一行が現場に向かう最中、対峙していた両軍が互いに動き始める。
「「「排除します」」」
「「「やれるもんなら、やってみろってんだ!」」」
 ぶつかる両者。少女の刀での斬撃がオタ芸忍者へ食い込み、彼らのサイリウムブレードが少女達へと叩きつけられる。
「巻き込まれるぞ、逃げろ!!」
 始まるデウスエクス同士での戦いに、現地の人々が慌てて逃げ始めた。
 その場へ、ケルベロス達は飛び込んでいく。
 いつの間にか黒いスーツを纏い……いや、獣人へと変身した風鈴・響(ウェアライダールーヴ・e07931)がライドキャリバーに跨り、逃げ遅れた人を1人ずつ回収する。
「もう大丈夫だぞ」
 最も近くにいた若者を助けた響は頼もしそうな笑顔を浮かべた。そのまま彼女はライドキャリバーのアクセルを吹かせ、一般人を安全な場所まで運ぶのである。
「早く、ここから避難してください」
 一見、女の子にも見えるアイビー・サオトメ(アグリッピナ・e03636)は、周囲の人々へと呼びかけた。
 その間に、可愛らしい帽子を被ったアイリス・フィリス(ガーディアンシールド・e02148)が真っ先に飛び込み、テレビウムのカーネルと共に敵を連携させぬ為に少女達の抑えへと入る。カーネルに閃光を放たせた彼女は、少女達へと叫ぶ。
「そこの無個性集団! あなた達の好きにはさせない!」
 縛霊手を突き出し、アイリスは前方へと巨大光弾を発射する。それを浴びた前線の少女は身体に痺れを走らせていたようだ。
 他のメンバーは、銀山衆のオタ芸忍者へと一斉に向かう。
「戦闘開始です! 皆さん、急いで避難をお願いします!」
 呼びかける彗星は男性達を抑えながらも、大声で呼びかける。
「とにかく、被害を広めないことを最優先だぁよ!」
 人々がこの場から離れるまでは。大輔は下手に広範囲に及ぶ攻撃をしないよう心がけ、噴射したドラゴニック・ハンマーを叩きつけて行く。
「霊金の河? あんな小娘のどこがええんやら」
 やや荒っぽく銀山衆へと躍りかかるのは、元魅咲忍軍紫組頭領、サソリだ。
「モブ共はそこで背景でもやっとけ」
 彼女はゲシュタルトグレイブを振り回し、敵陣へと回転斬撃を見舞う。
(「いつもみたいに、いきなり8人で挑むことはできない依頼……」)
 拘束で身体を回転させる白銀・ミリア(ネームドスレイヤー・e11509)もまた速攻で切断斧を振り回し、オタ芸忍者を衣服を切り裂いていく。
 回転を止めたミリアは、魅咲忍軍に向かうアイリスの方を見やる。
(「だが、少ない人数はアイリス達の方なんだ」)
 響はまだ避難に当たっている。交戦するアイリスはテレビウムに守られてはいるが……。
「あたしがやられているわけにはいかねぇ。さっさとぶっ倒して合流してやるぜ……!!」
「そう簡単にはいかないナリよ!!」
 意気込むミリアの前で、銀山衆はオタ芸の舞いを踊り、ケルベロスに威圧感を与えてくた。
 避難が終わるまでは足止めと考える者、そして、速やかにオタ芸忍者を殲滅しようとする者。足並みが揃わず、メンバー達はやむなく男性達の相手をすることになる。
「死の恐怖ってやつを刻み込んでやる」
 愛用の帽子を抑える彗星も周囲の避難状況を気にかけつつ、斬霊刀に手をかけた。
「歪めや歪メ。虚ロイ揺らメケ。蒼天ヲ駆け抜ケル赤黒イ雷の如ク。堕チ逝ケ……」
 周囲の因果を歪ませ、彗星は納刀した斬霊刀の霊力を解き放つ。
「クハハハハハッ!! 殺セ殺セ殺セェッ!! 霹靂刀・禍津打ィッ!」
 銀山衆1体目掛け彼は抜刀し、赤く揺らめかせて手にする刃を浴びせかけていく。
「負けぬ、霊金の河ちゃんの為にいっ!」
 刃を浴びた忍者は指揮官、霊金の河を想ってテンションを高めていく。
 そして、サイリウムブレードを振るう忍者達。前に立つメンバーはそれを受けながら、グラビティで彼らの殲滅に当たる。
「螺旋帝とか興味はあるけど、実際やってる事はヤクザの抗争みたいなもんよね。どっか他所でやれって感じ!」
 ゴシック衣装の小町は腕に纏わせた白金「蜃気籠―シンキロウ―」の飛沫で仲間達を癒す。
 ……そんな時だ。
「ワレらの決着より、ケルベロスのが先ナリよ!」
「「「同意。銀山衆と共同戦線……」」」
 両者に攻撃を仕掛けるケルベロスに対し、螺旋忍軍両陣営の後衛メンバー同士が声を掛け合う。彼らは厄介なケルベロスを倒すまでの共同戦線を張ることにしていたのである。

●螺旋忍軍2グループを相手に……
 緊張感の抜ける相手。彗星は事前に敵をそう断じたが、決してそんなことはなかった。
「影から出るは必滅の刃」
 彗星は影の如き斬撃を浴びせかけるのだが、オタ芸忍者の踊りは止まらず、ケルベロスに威圧感を与えてくる。
 そこへ、一般人の避難に当たっていたアイビーが駆けつけ、同じ旅団「緑風館」に所属するメンバーを気遣う。
(「大丈夫かな……」)
 とりわけ、アイビーは1人で敵を抑えるアイリスを気にかけていた。
「同じ格好ばかりして! こちらに区別が付かないようにする作戦ですか!」
 そのアイリスは黒い羽飾りのついた杖を振るい、燃え盛る火の玉を敵陣へと投下する。
「「「これしきでは、倒れない」」」
 誰からともなく動き、一致乱れぬ動きで動く魅咲忍軍。淡々と攻め入る彼女達は目立たないが、続けて襲い来る連続攻撃が怖い。
 盾となっていたカーネルが追い詰められ、刃を浴びて消えてしまう。次なる標的となるアイリスもまた、カーネルと共に魅咲忍軍の刃を押さえていたが……。
「遅れてすまないな」
 そこに駆けつける響は仲間やサーヴァント達へと地面に這わせた鎖で描いた魔法陣で守護していく。
 しかし、かなりの傷を受けたアイリスの傷が塞ぎきらない。彼女は人々を守る為にを身を張り、縛霊手から光弾を飛ばす。
「ええっと、さっきはどいつを攻撃したんだっけ? ああ、もう! もっと個性を出してよ!」
 よくよく見れば、傷で判別はつくものの。魅咲忍軍の相手をするアイリスは肩で息をしながら再び杖を手にしていた。
 ともあれ、先に仲間と共に、銀山衆を。魅咲忍軍と組めども、銀山衆はかなり疲弊しているはず。
 戦闘態勢に入り、紫の瞳に浮かぶハートマークが消えたアイビーは、自身から溢れ出るラブフェロモンの霧を雨と化す。
「落ちるように、墜ちるように、堕ちるように、陥るように……さあ、蕩けて」
 アイビーが降らせるのは、心も身体も溶かしてしまう猛毒の雨。
「霊金の河ちゃん、愛してるうううう!!」
 サイリウムブレードを構えたまま果てるオタ芸忍者。
 徐々に減る銀山衆の数。ただ、サソリは断末魔の叫びすらも気に入らない。
「ドルオタ忍者とか、ふざけとんのか。忍者要素どこやねん!」
 敵の足止めに動くサソリ。ちょこまか動く敵にやや翻弄される部分もあったが、彼女の槍は銀山衆を貫き、痺れを走らせる。
「このままでは、負けないナリ……」
 魅咲忍者と残り少ない銀山衆は時に、連携を図る。
 サイリウムと刀を同時に受け、翼を大きく羽ばたかせていたウイングキャットのグリが姿を維持できず消えてしまう。
「好き勝手に動かせはしない」
 連携させないようにと魅咲忍者を抑えるメンバー達。ライドキャリバーのカバーの後ろで、響が彼女へと気力を撃ち出す。
 ただ、没個性でありながら連携に秀でる少女達。その連続攻撃はすさまじい。
「「「三の陣……」」」
 揃って声を上げる少女達は前に立つ2人を強襲し、刀で切りかかる。
 猛撃のターゲットはバラけてはいたが。
「倒れちゃ……ダメです……」
 これまで受けた攻撃の回数が多すぎたアイリスだったが、魂を凌駕し立ち上がる。
「我が手に宿れ、生命の炎よ!」
 右手に紅の炎、左手に翠の炎を纏わせ、彼女は両手で地面を叩きつける。2色の炎は燃え盛り、地面を伝って響の傷を癒す。
 その彼女に、少女の凶刃が振り下ろされる。
「ミリアちゃ、ごめ……」
 次の瞬間、アイリスの身体から鮮血が飛び散る。彼女が戦いの中で2度起き上がることはなかった。
 大好きな仲間が意識を失い倒れる姿を一瞥しながらも、ミリアは目の前の敵に大地を断ち割る一撃を叩きつけ、1人を昏倒させる。
 気づけば、銀山衆は1体となっていた。
「これでしまいだぁよ!」
 大輔は仲間のおかげもあって、幾分か体力に余裕を持たせていたが、身を盾とする仲間の為にと大輔はハンマーを振り抜き、残りの1体を叩き潰す。
「霊金の河……だか」
 宿敵の名を耳にしつつも、大輔は残りの魅咲忍者の殲滅に当たるのである。

●連携攻撃の脅威
 小町は戦う仲間達の為に、癒しを振り撒く。
「本当、忍者なんだから、もうちょっと忍んでくれたらいいのに」
 悪態づく小町は、すっと息を吸い込む。
「この歌声は信念の、炎と刃を、解き放つ! さあ、受け取って!」
 それは、強き絶望、立ち向かう信念。朗々とした小町の歌声が響を癒す。
 息つく響に歩み寄る影。彼女はすぐにその相手へエネルギー光球を放つ。
「遅かったな」
「ヒーローは遅れてやってくる……そうだろ? ヒーロー」
 光球で体力を回復させ、手を上げるミリアはボロボロの響とハイタッチし、魅咲忍軍へと駆け出した。
「モブ共、元気しとったかー。サソリさんやでー」
 サソリが声をかけるのに対し、敵は鋭い視線で彼女を睨む。面識のある相手なのだろうが、今は敵には違いない。
「「「排除対象……」」」
 日本刀を手に、サソリを狙う敵の姿もある。結婚を気に抜け忍となった彼女は、独身の少女達が妬みを持つように見えてならない。
「よっしゃ殺すか」
 サソリはゲシュタルトグレイブを振り回し、少女達を薙ぎ倒す。
 魅咲忍者も長期戦となっており、かなり疲弊してきてはいた。
 アイビーもまた傷ついていたこともあり、手にする柄から噴射する地獄の炎を弾として飛ばす。それを命中させた少女から体力を奪ったアイビー。ついに、魅咲忍者は膝を突き、崩れ落ちた。

 確かに、魅咲忍者はモブ臭のする者達ではあった。
 しかしながら、その実力までモブかといわれると。その見た目で、ケルベロス達は油断していたと言わざるをえない。
 いくら盾となるメンバーがフォローせども。いくら回復役となるメンバーがフォローせども。個々人の立ち回りに精彩さがなければ、敵はそこに漬け込んでくる。任務に忠実な部下達ならば、なおさらだ。
 響とライドキャリバーも踏ん張ってはいるが、敵の攻撃全てに対処ができない。サソリを庇ったライドキャリバーが耐えられなくなり、姿を消してしまう。
 そのサソリは、魅咲忍者へとデバフを撒いていたのだが、想像以上に敵の動きが素早く、なかなか効果的に相手の動きを封じ込めることが出来ずにいた。もう少し、戦略があれば違ったかもしれないが……。
 薄くなったケルベロスの盾を潜るように、真白な少女達は緩やかな斬撃を浴びせてくる。
「おらおら、どーしたモブ共!」
 容赦なくサソリも縛霊手から光弾を飛ばし、少女達を攻め立てるのだが、なおも魅咲忍者達は盾メンバーを潜り抜けて。
「幸せになど、させない」
 その身に、深くえぐり込まれる刃。
「独身の、妬みに……負ける、か……」
 まさかモブ忍者どもにやられるとは。定命化の影響を身を持って思い知りながら、サソリは意識を閉ざしてしまった。
 仲間が倒れる姿を目にする響は荒く息をしながら、限界ギリギリラインで自らを中心に鎖で描く魔法陣で回復する。
「倒れたらダメよ」
 小町も合わせて「Hell freed!」の歌詞を歌い、全力で彼女を支えていた。
 そうなると、火力となるメンバーへ徐々に攻撃が重なって。
「地獄じゃ生温い!! 更に底まで墜ちやがれぇええ!!!」
 緋爪を手にしたミリアは、近場の少女をめった打ちにする。
「喰ワセロ」
 すかさず、彗星がバトルオーラを纏った拳で降魔の一撃を叩き込み、少女の体力を奪い尽くしてしまう。
「おし、もう一息……」
 消える螺旋の少女に刹那気を緩めたミリアの隙を、別の魅咲忍者が繰り出す居合いの一閃が襲った。
「ん、だと……?」
 噴き出す血に赤茶の瞳を見開き、ミリアは倒れ行く。
 そこへ、大輔が大声で吠える。
「テメェのドタマ、カチ割ってやるぞゴルァア!!!」
 深まる己の傷、何より、仲間が倒されたことで大輔はフラストレーションを爆発させ、怒りの力を込めて少女へとハンマーを叩きつけて行く。
「…………」
 事切れるときまで、魅咲忍者の少女達は個性を見せることなく散っていった。
「……さあ、蕩けて」
 最後の1体にトドメをと、アイビーが幾度目かの毒の雨を降らせる。少女はついに膝を突き、煙のようにその場から消え失せる。
「人様に迷惑かけるようなら、あたしらが黙っちゃいないわよ、ってね!」
 倒した螺旋忍軍達へ、小町が最後に言い放つ。
 息つくアイビーは倒れる仲間を介抱すべく、駆け寄っていくのだった。

●なんとか収拾すれど……
 螺旋忍軍を撃破したケルベロス達。
 時間を置けば、サーヴァント達は再び姿を現すが、重傷者3名とケルベロス側の被害はかなり大きい。
「……一般人や周囲の被害は?」
 小町は戦場となった公園を見回す。
 一般人の被害は皆無だった。これも、率先して螺旋忍軍の抗争に介入したからだろう。また、公園への被害はヒールで済む程度で済んでいる。
「死人が出なかったのは良かったけれど……」
 一般人に被害が出なかったことに安堵する小町は傷つく仲間に歌声を響かせ、仲間の手当てを行う。
 螺旋忍軍の力、例え末端員でも侮れぬと、メンバー達は再認識させられたのだった。

作者:なちゅい 重傷:魅咲・サソリ(紫忍者・e00066) アイリス・フィリス(蒼天竜滅導師・e02148) 白銀・ミリア(白銀の鉄の塊・e11509) 
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年5月11日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 7
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