スーパー社畜大戦

作者:あき缶

●トーキョービジネスニンジャ
 大きなスクリーンに、社長メッセージが再生されるのを、大企業『羅泉』の超エリート社員一同は直立不動で注視していた。
 浮かび上がった初老の男性が威厳たっぷりに口を開く。
「おはよう社員諸君。代表取締役社長、鈴木・鈴之助である。今日は、皆に我が社が千載一遇の好機を得たことを知らせたい」
 超エリート社員は表情をピクとも動かさなかった。この程度で喜んでいるような凡愚な社員ではないのだ。
 鈴木社長はつづける。
「螺旋帝の一族が東京都内に潜伏しているという情報を得た。奴を捕らえれば我が社に多大な利益が見込める。よって諸君らには、千代田区を虱潰しに捜索することを私自ら命じる」
 他者の妨害があれば迅速に処理せよ、と締めくくり、社長メッセージは終了した。
 声もなく、超エリート社員たちが社を出て行く。もちろん、可及的速やかに社長命令を実行するために。
 一方そのころ、株式会社スパイラルハートの社員達は会議室に集められ、上司から通達を受けていた。なお、彼らはスーツ姿の『羅泉』の社員とは違い、見るからにニンジャである。これこそがジャパニーズニンジャ! なトラディショナルニンジャスタイルに身を包む彼ら――螺心衆も、螺旋帝の一族が東京都内に潜伏しているという情報を得ていた。
「これより、我が部署は24時間残業体制に突入する。お前たちは数人単位で班を作成、都内全域を分担して、螺旋帝の一族捜索活動を行うようにとの指示だ」
 上司、つまり上忍の螺心衆はメモを見ながら、下忍に作戦内容を伝える。
「お前たちの班は千代田区担当だ。なお調査中、他忍軍の調査部隊を発見した場合は、邪魔者の排除を最優先とするように」
 了承の声を上げ、下忍の螺心衆は千代田区へと向かうのだった。

●どっちも倒せばよかろう
 東京都心部で螺旋忍軍がにわかに活動を活発化させたようだ、と香久山・いかる(天降り付くヘリオライダー・en0042)は情報をケルベロスに提供する。
「なんや、複数の螺旋忍軍組織が仰山動いとるようやな。御存知の通り螺旋忍軍は一枚岩やないからか、内ゲバというか、螺旋忍軍同士の抗争になりつつあるみたいや」
 いかるは面倒そうに頭を掻いた。
「デウスエクス同士つぶしあえーと言いたいところやけど、東京なんかで忍者大戦争されると、無関係の人らが巻き込まれて大変なことになるさかい、ほっとけへんわなぁ」
 つまり、ケルベロスには螺旋忍軍の撃破が求められる。
「周りになるべく被害は出したくないさかい、螺旋忍軍と螺旋忍軍が戦ってる間に割り込んで、どっちかに味方してるフリして片方潰してから、もう片方潰す感じがええかな。味方してる間の演技力が求められるけど……」
 早々にケルベロスが裏切る素振りを見せて『敵の敵は味方』とばかりに両者に結託されると面倒な事態になるだろう。
 いかるはウンウン唸りながら作戦をひねり出す。
「ふたつの螺旋忍軍を戦わせ続けて、ヘトヘトなところを一網打尽にするっちゅーのもええけど、一般人が巻き込まれて大きな被害が出るリスクが高いねん。どの程度ヘトヘトにさせるかっていう見極めが大事やね」
 どちらにするかはケルベロスに任せる、といかるはヘラッと笑った。
「場所は千代田区や。大手町のあたりやね。人が多いから気をつけてや。避難させるときは地下鉄の構内とかに逃がすとええかもしらん」
 ビルなどはヒールすればなんとかなるので、建物の損壊は気にしなくて良い。
 高層ビルが乱立するエリアである。自然と戦場は道路上になるだろう。
「今回戦う予定の螺旋忍軍は、片方がどう見てもサラリーマンな『羅泉』。もう片方がどこにお出ししても恥ずかしくないザ・忍者な螺心衆や」
 どちらも螺旋忍術を使うが、加えて羅泉はマインドリングを、螺心衆は螺旋手裏剣を使用する可能性がある。
 どちらも四人ずつだが、一人ひとりそれなりの実力者のようだ。また、両者の戦力は拮抗していると予想される。
 なぜ急に螺旋忍軍が動き出し、また争い合うようになったのか……理由ははっきりしない。
「せやけど、現場の螺旋忍軍なんて下っ端の下っ端やからなぁ。何も知らんか、知ってても上から嘘を教えられてるやろうな」
 彼らを尋問しても何の成果も得られないことは火を見るよりも明らかだ。
「ま、謎はこれからの螺旋忍軍の動きとか研究したほうが早いやろね」
「そうだな、とにかく螺旋忍軍が何体来ようが、俺のやることは変わらない。ケルベロスとして、デウスエクスは必ず滅ぼす。……それだけだ」
 アーヴィン・シュナイド(鉄火の誓い・en0016)は深く頷いた。


参加者
メイザース・リドルテイカー(夢紡ぎの騙り部・e01026)
西水・祥空(クロームロータス・e01423)
矢武崎・莱恵(オラトリオの鎧装騎兵・e09230)
イリス・フルーリア(銀天の剣・e09423)
リカルド・アーヴェント(彷徨いの絶風機人・e22893)
レミ・ライード(氷獄騎兵・e25675)
美津羽・光流(水妖・e29827)
大枝・鈴(ウェアライダーの巫術士・e34125)

■リプレイ

●アーバンニンジャ
 東京千代田区とは、サラリーマンが闊歩するビジネス街。
 そう、そんなサラリーマンに紛れ、四人の螺旋忍軍が征く。
 彼らは『羅泉』の一味である。
 彼らを発見し、街路樹やビル前のモニュメントに潜んでいた忍者オブ忍者こと螺心衆は、彼らを即刻亡き者にすべし、と行動を開始する。
「コロスベシ! コロスベシ!」
 と即座にサラリーマン螺旋忍軍に飛びかかる螺心衆!
 羅泉もすかさず螺旋忍術を繰り出して応戦する!
 と、その狭間に別の勢力が飛び込んできた。
「あれは見るからに螺旋忍軍……! そちらの方々、助太刀します!」
 桜の花弁ちらしつつ、オラトリオが羅泉に乙女座の加護を与える。イリス・フルーリア(銀天の剣・e09423)のゾディアックソードは、螺旋忍軍にも等しく癒やしの力を振るった。
「ケルベロス!」
 意外な闖入者に、ふたつの螺旋忍軍は同時にその呼称を叫ぶ。
「ドーモ。羅心ニンジャサン。ケルベロスです」
 呼ばれたからには応えよう、大枝・鈴(ウェアライダーの巫術士・e34125)は礼儀正しく挨拶した。
「不審者は排除だな」
 なにせ、ビジネス街で忍者装束なのだから、とリカルド・アーヴェント(彷徨いの絶風機人・e22893)は簒奪者の鎌をぶぅんと薙いだ。
 続いて放たれるフォートレスキャノン、西水・祥空(クロームロータス・e01423)の手によるそれは、確実に螺旋忍軍を灼く。
「デウスエクスにあげる経はございません」
「なっ、そちらのサラリーマンとてデウスエクスではないか!」
 思わず反駁する螺心衆に、祥空は、
「そちらは平日のオフィス街で忍者装束。どう見ても不審者、放ってはおけません」
 と切り捨てた。
「羅泉っていろいろやってた一般企業よね? 狙われてるなんて助けなきゃー!」
 と嘯き、頭にボクスドラゴンを乗せた矢武崎・莱恵(オラトリオの鎧装騎兵・e09230)はオラトリオヴェールを『一般企業』羅泉に広げる。
 急な加勢に一瞬とまどった羅泉だが、戦力になるならば今は動いてもらおうとばかりにケルベロスを放置、自らも螺心衆へと螺旋忍術を浴びせる。
「二十四時間三百六十五日頑張る君達に優良組織ケルベロスから休暇のプレゼントだ」
 メイザース・リドルテイカー(夢紡ぎの騙り部・e01026)はステッキに見えるドラゴニックハンマーを螺心衆に突きつける。
「行先は地獄、期間は無期限。リストラ? クビ? あぁまぁ世間一般ではそうともいうかもね」
 メイザースは凍結の一撃を放つ。彼に合わせるように、別方向からエステル・ティエストの銃口が同じ標的に向けられた。
「さぁ、逝ってらっしゃい」
 一人、早々に集中砲火を浴びた螺旋忍軍が消える。
「とりあえず、街中での、抗争、迷惑です、ね?」
 全然忍んでいない忍軍共にレミ・ライード(氷獄騎兵・e25675)は呆れながらも、さっさと片方に消えてもらうべく、手刀に冷気をまとわせ横薙ぎに払った。
「そちらも、別の目的あるなら、戦いに時間使うより、本来の目的に時間使いたい、でしょうし。互いに、早期決着、望むなら、協力できる、思うですが?」
 レミに、羅泉は頷き、螺心衆は不満の声を上げた。螺心衆だって探索したいのに、これでは螺心衆に死ねと言っているようなものだ。
 まぁ、そうなのだが。
「これ以上悪さはさせへんで」
 螺旋忍軍には並々ならぬ嫌悪がある美津羽・光流(水妖・e29827)の言葉には憎しみが乗る。
(「そうや、これ以上仲間を悪い忍者に殺させたりはせえへん」)
 憎しみを懐きながらも光流は、加勢に来てくれたウォーレン・ホリィウッドに視線を向ける。表情を少し緩ませた。
(「憎いけど……今の俺はそれだけやあらへん」)
 好きな人も出来たのだ。憎悪だけの存在にとどまるつもりはない。だから、光流は無鉄砲に斬りかかるのではなく、メディックとして支援に徹する。まずは仲間の刃の精度をあげるべく、オウガメタルを輝かせた。
「イヤーッ!」
 気合十分に鈴の投げたシャーマンズカードが槍騎兵を喚ぶ。氷の突撃を受け、凍りかけた手で螺心衆が螺旋を放った。
 アーヴィン・シュナイド(鉄火の誓い・en0016)の鉄塊剣を、相馬・泰地の拳を、螺旋手裏剣で受け止めた螺心衆が分身の術でケルベロスを惑わせる。

●ニンジャデスノボリ
 多勢に無勢となった螺心衆だが、そのままおめおめと逃げ帰るつもりはない。調査途中に敵対組織に出逢えば、その殲滅こそが至上命令になるからだ。
 毒を帯びた手裏剣や、豪雨のような手裏剣弾幕で対抗してくる。
「ぐわぁっ」
 莱恵の横で羅泉が喉に手裏剣を突き刺された。
「わー……」
 と痛ましげに言いながらも、莱恵は竜の盾で手裏剣をいなしつつ、彼を庇いも回復もしてやらない。どうせ直ぐに彼らも討伐することになる。一人減るならありがたいことだ。
 ボクスドラゴンのタマは涼しい顔で、後方のアーヴィンに属性をインストールしていた。
「灼き尽くせ、龍の炎!」
 イリスの詠唱と同時に竜の幻影が螺心衆に食らいつく。竜のあぎとが螺旋忍軍を噛み砕き、燃す。
 リカルドの飛び蹴りが見事に決まる。そのまま、トンボをきってリカルドはアスファルトの上に軽やかに立った。きびきびとした身のこなしは、さも軍人らしい。
「嘆きも、悲しみも、全て凍らせ、静寂へと誘え」
 レミの投擲した氷槍が、メイザースの攻性植物で捕らえた螺旋忍軍を貫く。凍りついた螺旋忍軍を、羅泉のリングが生成した光剣が砕く。
 対抗せんと螺心衆が打った螺旋手裏剣を、祥空がその身をもって受け止め、光流を守る。
 祥空の傷口を光流がサキュバスの力で固めて止血する。
 ひらりひらり華麗に敵の攻撃を避けながら鈴の足は痛烈に螺旋忍軍を苛む。文字通りの、蝶のように舞い蜂のように刺す、である。
「ぐぬぬ……しかし、任務遂行こそ我らが使命!」
 劣勢にたたされながらも果敢に螺心衆は食いついてくる。
「ほんまにしつこいやっちゃなぁ……!」
 ぼやきながら光流が頭上を真一文字に切り裂くと、茜色の陽光が溢れてメイザースを包んで忍者の毒を消し去っていった。
(「あまりそちらにかかずらっていられないんだがねぇ」)
 メイザースは轟竜砲で、自分に毒を付与してきた螺旋忍軍を潰す。
「そら、これで最後だ」
 リカルドの音速を超えるアッパーが螺心衆を星に変えた。
 羅泉のエリート社員とケルベロスという強者の力を思い切りぶつけられてしまったたった四人の螺心衆は、やはり長くは保たなかった。それでも螺旋忍軍の意地を見せて粘ったほうだといえるだろう。
「助かった。では我々はこれで……」
 と調査にしれっと戻ろうとする羅泉にイリスの鹵獲術が襲いかかる。
「現れよ、太古の氷精!」
「!?」
「そういえば……、まだ螺旋忍軍は居ましたね!」
 驚くサラリーマン忍者共に、イリスはいい笑顔で高らかに裏切りを告げた。

●シノビリーマン
「なぜ裏切る!? 我らに味方してくれたのではないのか」
「裏切り? それは味方に言うことだろう。我々がいつ味方だといったかな?」
 螺旋忍軍の抗議にメイザースは涼しい顔で言ってのける。
「さぁ、良い子は『おはよう』。悪い子は、『おやすみ』の時間だよ」
 練り上げた魔力で、メイザースが作った太陽が螺旋忍軍に突進していく。
「し、しかし、この女が助けなきゃーって言ってたぞ!」
 と記憶力に長ける羅泉のひとりが、莱恵に指を突きつけるが、莱恵の頭上からタマのブレスがその指を焼いた。
「ぎゃあっ」
「でも一般企業がデウスエクスと戦ってるなんておかしいよね! 羅泉もデウスエクス、騙されないんだからね!!」
 莱恵は笑顔で言い切り、
「ぶーーーんなぐるっ!!」
 腕を振り切って思い切り螺旋忍軍に殴りかかる。さすがにそれは避けるも、螺旋忍軍はケルベロスに囲まれてしまっていることを自覚した。
「任務継続すべく、押し通らせていただく!」
 リングから光の戦輪を創出し、羅泉の螺旋忍軍はケルベロスに歯向かってきた。
「それでは貴方がたの任務を邪魔させていただきます」
 祥空は冷静に返すと、二振りの刀で空間ごと螺旋忍軍を切断した。弱っていた羅泉のエリートの一人が、両断されて転がる。
「どちらも螺旋忍軍ならば、どちらもケルベロスの敵だ」
 リカルドの鎌は羅泉にも容赦はない。
「忍者なのに、昼間から、堂々と暴れる、全然忍んで、いない、です」
 神速の回転斬撃を見舞い、レミはぼそりと突っ込んだ。白昼堂々の抗争など、まったく忍べていない。
「『昨日の友は今日の敵』とも言うやろ? 騙すんはお互い様や」
 どちらも憎い螺旋忍軍だ。ケルベロスにオウガ粒子を与える光流の声は剣呑である。先程までは憎き相手とて、疑われぬよう必要最低限のヒールはしてやっていたが、もうその必要もない。
 ヒールしてやっていたがゆえに、今の羅泉はあまり消耗していないのは、少し辛いが……。
「イヤーッ!」
 気合をいれる鈴の脚力は、標的が変わっても鈍ることはない。
「……デウスエクスは、どっちも倒す」
 アーヴィンもそれは同じだ。
 螺旋忍軍は使命に忠実だ。
 螺心衆が与えられていた命令は『他忍軍の調査部隊を発見した場合は、邪魔者の排除を最優先』というもの。
 よって、羅泉を集中して攻撃していたので、ケルベロスの損傷は軽微で羅泉は消耗が激しい。
 羅泉が与えられていた命令は、『他者の妨害があれば迅速に処理せよ』。彼らは妨害者が螺旋忍軍でもケルベロスでも区別なく襲う。
 見た目で加勢する方を決めたケルベロスだったが、奇しくも結果的に優位に運ぶ方に加担したことになる。
 ともかく、いまや羅泉の処理すべき妨害者はケルベロスに変わった。
 螺旋忍軍は嵐のような苛烈さで手当たり次第にケルベロスに向かってくる。
 莱恵や祥空が、メイザースやリカルドという前線に立ちつつも脆いポジションの者を庇って守る。
 鈴はキャスターという立ち位置を活かして、すいすいと敵の攻撃を避ける。
 守り手の手が届かなかった分は、光流が癒して支えた。
 その間もイリスが敵を焼き、凍らせ、じわじわとなぶる。
 レミが精密な狙いで螺旋忍軍の動きを捉え、氷獄槍で貫いて足止めする。
「君達もお役目ご苦労。さあ、そちらにも休暇をあげるよ。ご遠慮無く」
 メイザースの攻性植物が螺旋を捕らえようとするも、
「いらぬ!」
 ぬるりと羅泉のエリートはすり抜ける。だが、避ける軌道をリカルドは読み切っていた。
「渦巻け叡智、示し導き、風よ絶て。吼えよ、絶風の『咎凪』よ」
 魔術で集約した風を圧縮して放つ絶風弾。
 螺旋忍軍の土手っ腹に派手な穴が開き、たまらず螺旋忍軍が絶命する。
 ビルの壁を利用して、三角飛びで螺旋の掌を、死角からメイザースの背に当てようとする螺旋忍軍を、鈴の槍騎兵が突進で吹き飛ばす。
「あ、イヤーッっていうの忘れちゃった。忍者さんの勉強してきたのに……」
 鈴は残念そうに首を傾げる。
「光よ、かの敵を束縛する鎖と為れ! 銀天剣・玖の斬!!」
 詠唱とともにイリスの武器から放たれた光で拘束された螺旋忍軍をレミのアームドフォートが狙い撃つ。
 勢いで空中に舞い上がった螺旋忍軍は、爆発四散。
 大手町に打ち上がった汚い花火が、ケルベロスの勝利を告げた。

●ピースフルトーキョー
 メイザースは周囲を見回し、多少のビル壁の損壊以外に被害がないことを確認すると安堵の息を吐いた。
「公共の場での戦闘行為……被害が出なくてよかった」
「……よく考えたらどっちもサラリーマンだったのか。螺心衆もせめて忍者服でなく、スーツを着ておけばいいものを……」
 リカルドは二十四時間働き続ける企業戦士なのに、どう見ても忍者な螺心衆の出で立ちに、脳内をクエスチョンマークで埋めている。
「螺旋忍軍たちが探している螺旋帝の一族……どのような存在なのでしょうね?」
 イリスは首を傾げつつも、今は乙女座の力でビルをヒールすることに専念する。
 鈴もウェアライダーが生成できるエネルギー球をビルにぶつけることで、ヒールを手伝った。
 ドローンを飛ばして、レミは高所をヒールしている。負傷者らしい負傷者はいなかったのが幸いだ。
 もはや螺旋忍軍で話すことの出来る状態の者はいない。
 そもそも尋問は無意味だと分かってはいるものの、祥空もイリス同様、彼らの調査対象に興味はあった。
「帝と呼ばれていても、どうにも扱いはぞんざいな様子……、なぜでしょう」
 何もわからないが、とにかくデウスエクスの手を止めることは出来た。今はまだ、互いに情報収集のフェーズなのだろう。
「いろんな螺旋忍軍がいるんだねー。羅泉もいろんなことやってたと思うけど……なんか専門的な螺旋忍軍が出てきたら面倒そうだよねー……」
 螺旋忍軍はデウスエクスの中でも特に多様性のある陣営だ。莱恵は彼らの次の一手を懸念する。
「は、何が来ようがデウスエクスは赦さない。たとえ何者であってもだ」
 アーヴィンは左目の地獄を猛らせながら拳を握る。
「どうにせよ、螺旋忍軍の好きにはさせへん。悪い忍者がどんな手できても、倒すだけや」
 憎き螺旋忍軍――今の心には憎しみ以外の感情もあるが、だからとて螺旋忍軍を許す気にはなれない。光流も怖い顔で呟くのだった。

作者:あき缶 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年5月11日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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