力これ即ち正義なり

作者:さわま


 ステージの上で獰猛な悪の怪人がか弱いヒロインに迫る。そこに颯爽と正義のヒーローが現れる。強きを挫き弱きを助くヒーローの登場に客席からは歓声が上がった。
 とある屋外イベント広場で行われていたヒーローショウ。ショウはクライマックスを向かえ大いに盛り上がりをみせていた。
 その時、客席の後方から怒りの声が会場中に轟いた。
「強者は正義、弱者は悪。弱肉強食こそ世の倣い……弱者の為の正義など許せぬ!」
 見れば筋骨隆々の漆黒のビルシャナがそこにいた。
 ビルシャナの名は『力王フォルツァ』。『勝利』を教義とするこのビルシャナの出現に人々は色めき立った。
「故にお主らを抹殺し、真の正義を此処に示す」
 悠然と近づいてくるフォルツァ。人々の顔に恐怖の色が浮かんだ。
「力これ即ち正義なり!」
 惨劇が訪れようとしていた。


「ヴィローシャナ・ビハーラで残霊が確認されていたビルシャナ、力王フォルツァの出現が予知されました」
 ヘリオライダーのセリカ・リュミエールが語った予知の内容。それは強者が正義、弱者は悪と断じるビルシャナがヒーローショウを襲撃するというものだった。
「フォルツァにとって、正義を名乗り弱者を守るヒーローのような存在は絶対に許せないものなのでしょう」
 セリカの表情は硬い。そしてケルベロスたち一人一人を見回し言葉を続けた。
「それは皆さんにも当てはまります。強大なデウスエクスと互角に渡り合う力を持ちながら、力を持たない人々の為に戦う皆さんをフォルツァは絶対に許さないはずです」
 セリカが頭を下げる。
「フォルツァは配下を連れず単独で現れます。どうかフォルツァの撃破をお願いします」

「人々の事前避難は予知の内容が変わる可能性がある為、推奨しかねます。ですがフォルツァは強者である事を自負していますので、ケルベロスからの挑戦を無視して人々を襲撃したりする事はないでしょう」
 さらに言えば、弱者を守る為に戦うケルベロスはフォルツァにとって最も許し難い存在でもある。ケルベロスが敗北しない限り人々に被害が及ぶ可能性は低いとセリカはいう。
「フォルツァはその堂々とした体躯で巨大な金剛杵と大剣を自在に操ります。また残霊時には確認されていなかった遠距離攻撃も行えるようです。特性は残霊としての物と類似していますが、本体の戦闘能力は格段に高いので注意が必要です」
 その教義や信念の為かフォルツァの戦闘能力は高い。油断をしてはならないだろう。

「どうかお気をつけて。皆さんの勝利を信じています」
 セリカが信頼の眼差しをケルベロスたちに向けた。


参加者
東名阪・綿菓子(五蘊盛苦・e00417)
バレンタイン・バレット(ひかり・e00669)
据灸庵・赤煙(ドラゴニアンのウィッチドクター・e04357)
ウィゼ・ヘキシリエン(髭っ娘ドワーフ・e05426)
ミリム・ウィアテスト(トルーパー・e07815)
野々宮・イチカ(ギミカルハート・e13344)
花守・蒼志(月籠・e14916)
砂星・イノリ(ヤマイヌ・e16912)

■リプレイ


「うわぁっ、すごい賑わいだね……うわっと」
 会場の賑わいにキョロキョロと周囲を見渡していた砂星・イノリ(ヤマイヌ・e16912)の目の前を子どもたちが楽しそうに走り抜けていった。
 目を白黒させたイノリの横で、ベベンと琵琶の音が鳴る。
「千客万来、満員御礼――こんな所で暴れるビルシャナなんて、なんとも迷惑な話だわ」
 振り向くと、物憂げに目を伏せ、琵琶を奏でる東名阪・綿菓子(五蘊盛苦・e00417)の姿がそこにあった。
 口元にフッと不敵な笑みを浮かべ綿菓子は言葉を続ける。
「だけど『わたがし』たちが来た以上――覚悟なさいな、力王ヒォルツァ」
「ヒォルツァじゃなくて、フォルツァだぞう!」
 バレンタイン・バレット(ひかり・e00669)の元気な指摘。思わず綿菓子の顔が赤く染まった。
「……覚悟なさいな、力王フォルチャ」
「いえておらんのう、フォルツァなのじゃ」
 今度はウィゼ・ヘキシリエン(髭っ娘ドワーフ・e05426)がすかさず訂正を行う。
「こんなヤツ『弱いものイジメ大好き明王』で充分よ!!」
 クールな態度から一転、感情を露わにわめき散らす綿菓子。
「まあまあ、落ち着いて……って、コラッ、鈴蘭も頭の上で暴れないで……」
 花守・蒼志(月籠・e14916)が綿菓子をなだめようとするも、彼の頭が定位置のお転婆ボクスドラゴンが手足をバタつかせ始め、蒼志はてんやわんやである。
 そんな仲間たちを、据灸庵・赤煙(ドラゴニアンのウィッチドクター・e04357)は目を細め見守っていた。
「強者こそ正義……ビルシャナは訳の分からない連中ばかりですが、ここまで短絡的だといっそ分かり易いものですな。もちろん、賛同するつもりは特にありませんがね」
「そだね、わたしもそう思うよ」
 赤煙の呟きに野々宮・イチカ(ギミカルハート・e13344)がコクリと頷く。と、硬い表情のミリム・ウィアテスト(トルーパー・e07815)に気が付く。
「ミリムちゃん、どうかしたの?」
「あっ、何でもないよ。ボクなら大丈夫だから……」
 今回の敵とミリムに何やら因縁めいたものがある事はイチカも知っている。ミリムの態度は無理に強がっているようにも見えた。
「そっか。でも、わたしもみんなも一緒だから、ね?」
 どこかおずおずした様子のミリムに、イチカは明るい笑顔をみせた。


 ヒーローがステージに登場し、観客から大きな歓声があがった直後。その歓声をかき消すような怒号が会場中に轟いた。
「強者は正義、弱者は悪。弱肉強食こそ世の倣い……弱者の為の正義など許せぬ!」
 客席の後方から力王フォルツァが姿を現す。突然のデウスエクスの出現に観客たちの間に動揺と恐怖が広がっていった。
「弱者は悪なんかじゃない!」
 その時、ステージ上から力王に向かって声が飛んだ。
 見れば壇上には、ギターを手にしたイノリがヒーローと並んで立っていた。
「ボクたちがみんなを守る! 牙なき人に代わって戦う!」
 イノリのギターから観客たちを鼓舞するような勇ましいヒーローソングが流れ出す。
 すると、壇上で色鮮やかな爆発が起こり、ケルベロスコートを身にまとったミリムと蒼志が姿を現した。
「ボクたちケルベロスが真の正義なんだ!」
「力が正義とか。そう言うのは俺達を倒してから言ってもらいたいものだね」
「ケルベロス……だと!?」
 思わぬ邪魔者の出現に力王が驚きの声をあげた。
「力が正義だというなら、弱きを守る力もまた正義ではありませんかな?」
 力王の背後からの赤煙の声。力王がステージに気を取られているうちに、残りの仲間たちで敵を取り囲んでいたのだ。
「それとも、いかなる強者もすべからく弱者に手をあげねば正義を示せないっていうのかしら、力王さん?」
 薄っすらと笑みを浮かべ煽る綿菓子を力王はギロリと睨みつけた。
 イノリが敵の意識が仲間へと向かったのを見て取って、壇上から客席の子どもたちへと語りかける。
「アイツはボクたちが何とかするから、良い子のみんなはヒーローや係の人の指示を守って落ち着いて避難して!」
 ヒーロー役のアクターや会場スタッフもイノリたちが思う存分戦えるように、率先して避難誘導の手伝いに加わってくれていた。会場には幼い子どもも多かったが、大きなパニックが起きる事もなく避難は進んでいった。
 とはいえ、全てが順調というわけにもいかない。小さな男の子がひとり、人の流れから外れ、わんわんと泣いていた。
「そか、パパとママとはぐれちゃったんだ。大丈夫だからお姉ちゃんと一緒に行こうね」
 駆けつけたイチカが泣きじゃくる男の子をあやし、スタッフの元へと連れていく。
「正義は力にやどるものではないぜ。では、なににやどるのか?」
 バレンタインがビシッと力王に人差し指を向ける。
「それをしらないのなら、力王という冠は、おまえにふさわしくないなあ」
「おぬしの考えかたは古いのじゃ。そんなんではあたしたちに勝てんのじゃ」
 ウィゼが自慢のつけ髭を揺らし、ふぉ、ふぉ、と笑ってみせた。
 敵を取り囲んだ彼らは、観客たちが避難するまで時間稼ぎにと、代わる代わる敵の教義へ反論を仕掛けていたのだ。
「ええぃッ、口では何とでも言えよう。だが圧倒的な力の前ではそんな減らず口など何の役にもたたんわッ!」
 口論はもう沢山とばかりに、力王は武器を大きく天に向かって構えた。
「ええ、充分時間は稼げましたし……不毛な言葉遊びはこの辺にしましょうか」
 赤煙が観客たちが避難を完了した事を確認し、飄々と肩をすくめて言った。


 壇上から戦闘が始まったのを確認し、イノリと蒼志は仲間の元に駆け出していく。同じくミリムも急ぎ2人に続こうと足を一歩踏み出す。
 その時、ミリムの耳に力王の声が入ってきた。
「ガハハハッッ! 我が力の前にひれ伏すが良いッ!!」
 途端、耳と尻尾がビクッと跳ね上がり、足の裏が地面にくっついてしまったかのようにミリムの歩みが止まってしまう。
 一方、イチカは武器を振り回す力王を前に、距離を取って攻め込むタイミングを見計らっていた。
「怖気付いたか、ケルベロスめッ!」
 無闇に近づけば大剣の餌食になる。と、そこに後ろから駆けつけた蒼志の声が聞こえた。
「俺と鈴蘭は右手に回り込む」
 即座に蒼志と反対側に動き出すイチカ。右側に回りこんだ蒼志の持った杖が電光を放つのを見て、同じくイチカも杖の先を敵へと向け電撃を放つ。
「今だ、鈴蘭!」
 2本の交差する電撃に貫かれ、敵の動きが止まった瞬間。果敢に前へと飛び出した鈴蘭の体当たりが漆黒のビルシャナの腹部へと炸裂し、敵がウッと呻き声をあげた。
「おれのひっさつわざをくらえ!」
 ゴーグルを装着したバレンタインが拳銃を構え、敵へと狙いを定める。
「では、お手伝いといきましょうか――『飛鍼(トビハリ)』」
 赤煙の放ったオーラの鍼は敵ではなくバレンタインの背中に突き刺さる。チクッとした痛みに驚くものの、鍼の刺激により活性化された身体の調子に自信満々の笑みを浮かべた。
「すこし痛かったけど、今のおれはぜっこうちょうだぞう。燃えろ、太陽――『旭日昇天(バレット・サニー)』!」
 銃口から特大の炎の弾丸が噴き出し、周囲をオレンジ色に染め上げる。目も眩むほどの光と共に放たれた太陽のかけらは狙いを外す事なく力王を炎で包み込んだ。
「やったぜえ!」
 満面の笑みを浮かべるバレンタインにウィゼの声がとんだ。
「バレットおにい、気をつけるのじゃ!」
 刹那。敵を包みこんだ炎が吹き飛び、バレンタイン目掛け気弾が叩き込まれた。
「うわっ!?」
 ウィゼの注意もあってか直撃は免れたが小さな身体に衝撃が走る。そして、軽い目眩を起こし膝を崩したバレンタインの眼前に一気に距離を詰めた敵の姿が飛び込んできた。
「まずは小童、お前からだッ!」
 無防備な獲物に追撃を加えようと力王が大きく武器を振り上げた。
「させるものかッ――『ヘブンリィナックル』!」
 輝く拳が力王の顔面に叩き込まれ、その視界が反転する。
 地面に倒れこんだ力王の視界にこちらを見下ろすミリムの姿が映っていた。


「ミリム、助かったぞう」
「あ、あぁ……」
 礼をいうバレンタインに、ミリムはどこか歯切れの悪い返事を返す。
 ミリムは先ほどの自分の行動に困惑を覚えていた。
 過去のトラウマからか、力王の声で身がすくんでしまった。ボクは強くなったんだと何度言い聞かせても、震える身体は動いてはくれなかった。しかし仲間の危機が目に飛び込んできた途端、気がつけば無我夢中で敵を殴り飛ばしていた。
 こちらを獰猛な瞳で睨む力王とミリムの目が合う。
「お前はここでボクたちが倒す!」
 恐怖は消えていない。それでも宿敵から目を反らす事なくミリムは答えた。
「バレットくん、大丈夫!?」
 駆け寄ったイチカがバレンタインに声をかける。
「大丈夫、この程度の傷、あたしの発明品ですぐに治療してみせるのじゃ」
 にっかりと笑ったウィゼの背中から医療用マニュピレーターが現れる。同時に専門病院の設備にも劣らない医療機器が周囲に展開されていった。
「ふぉ、ふぉ、これぞ『携帯用医療設備(メディカルシステム)』。あたしにかかればこのぐらいの医療設備は携帯可能なのじゃ」
 歩く治療室と化したウィゼが目を丸くする2人に得意そう言った。
 ゆらりと力王が立ち上がる。
「この程度。我は力、我こそ正義なり!」
 雄叫びを上げ、身構えるケルベロスたちを薙ぎ払うように大剣を振るった。
 ――ガキィィンッ!
 金属がぶつかり合う鈍い音が響く。見れば敵の懐に潜り込んだ蒼志が手にしたロッドで大剣を受け止め、つば迫り合いを演じていた。
「さっきも言ったけどさ、そういう大口は俺達を倒してから言いなよ」
 力王が見下ろす蒼志の顔は仲間に見せるのとは打って変わった冷たいものだ。すると、力王の首筋にチクリと小さな痛みが生じた。
「仕込み針か? 弱者の用いる取るに足らぬ手だな」
 蒼志の手の指輪から放たれたらしい針の感触に力王が嘲りの表情を見せる 。
 大剣を受け流し蒼志が後ろに下がると、今度は蒼い刀身を持つ短刀を構えた綿菓子が力王に迫る。それを見て、身をひるがえそうとした力王の身体を鈍い痺れが襲った。
「『君影の涙(クー イトゥケー)』。小さな傷でも、侮るなかれ……ってね」
 仕込んだ即効性の毒が効果を発揮したの確認し蒼志が冷たく呟く。動きの鈍った力王の身体を切り裂く綿菓子の一閃。
「空即是色、色即是空――」
 漆黒の羽と鮮血が空中に飛び散った。


 戦いは激しさを増していた。
 力王の一撃に吹き飛んだミリムが地面を転がる。ミリムへと悠然と近づく力王の前にイチカと赤煙が立ちはだかった。
「噂に聞いたケルベロスといえど所詮は人の身か。脆い、そして非力。その程度では我の肉は切れても骨を断つ事は能わず」
 ケルベロスの攻撃は着実に力王にダメージを与えていたが、その強靭な肉体に決定打を与えるまでには至っていない。一方で力王の一撃は確かに重く、連続で喰らい続ければ耐えきれない代物であるのは事実だった。
「強者こそ正義。弱者がいくら群れようとも我の敵ではない」
「それはどうでしょうかね?」
「そうそ。きみの強いが正義なら、さいごには、わたしたちが正しくなるよ!」
 しかし、赤煙とイチカの顔に恐れや焦りは見られない。自分たちの勝利を信じて止まないその表情に力王の口元が歪む。
「絶望を通り越して気でも触れたか?」
「そんなわけないのじゃ。ミリムねえもいってやれ」
 素早くミリムに治療を施したウィゼがミリムの背中をポンと叩く。立ち上がったミリムがキッと力王を睨みつけた。
「確かにお前は強い。ボクも強くなったが……それでもお前の方が強い。それは事実だ!」
「然り。貴様ら弱者では強者に勝てん、ガハハハッ!!」
 高笑いを上げる力王にミリムは言葉を続ける。
「でも、ヒトの強さはそうじゃない、それだけじゃないのだ、力王フォルツァ!」
「そうよ、ちょっと強いからって調子にのってんじゃないわよ!!」
 感情を昂ぶらせた綿菓子が虚空から取り出した蒼い短刀を掴み、力王へと襲いかかった。
「ハッシュハッシュハッシュハッシュハッシュ!!」
 先ほどの太刀筋とは打って変わり、メチャクチャに短刀を振り回し力王を翻弄する。
 力王の頭上へとジャンプしたイノリにオウガメタルが纏わりつき、超鋼の鎧と化した。
「いくよ、クルーン」
 ――リィン。
 イノリの言葉応えるように済んだ音色が響き、鎧から金色の光が放たれる。
「戦術超鋼拳!」
 撃ち出したイノリの拳が力王に炸裂する。
「――『鼓動は赤(ギミカルハート)』」
 イチカの胸から地獄の炎が空中に舞い出でる。そして心電図のような軌跡を描いた炎は、力王の胸へと撃ち込まれ、鼓動を力王の心臓に焼きつけていった。
 仲間たちの果敢な攻撃を前に、ミリムもまた拳を握りしめ宿敵へと立ち向かっていく。
「ボクでは敵わないかもしれない……でも、『私たち』は負けません!」


 戦いは佳境を迎えていた。
「弱者である貴様らが、未だ1人として倒れんだと……」
 困惑の力王は既に満身創痍の状態で、彼の眼前には同じくボロボロながらも8人のケルベロスの姿があった。
「あともうひと踏ん張りですぞ」
「えぇ、絶対に負けてなんかやらないわよ!」
 赤煙の檄に綿菓子も気力を振り絞り立ち上がる。
「あと少し頑張るよ、鈴蘭」
 蒼志の声に、きゅうと鳴く鈴蘭も闘志は失われていなかった。
「何故だ!?」
「強いも弱いもないよ。ひとりだけでできることなんてちょっとだけなんだから」
「たった一人の強さでは、あたし達の団結力には敵わぬのじゃ」
 叫ぶ力王にイチカとウィゼが答える。
「正義はなににやどるのか――それは、ひとをおもうやさしきこころに、だ」
「誰かの為に強くなれる、それがボクたちの力なんだ!」
 バレンタインとイノリの叫びを皮切りに、ケルベロスは力王へと猛攻撃を開始する。
「馬鹿な、強者こそ正義……ッ!?」
「覚悟はいいですか――『ヘブンリィナックル』!」
 ミリムの光輝く拳が、力王フォルツァの肉体とその信念を撃ち砕いた。


 戦いの後で、ヒーローショウは再開された。その客席にはケルベロスたちの姿もあった。
「どうかしたの?」
 何か考えこんでいる様子のミリムに綿菓子が声をかけた。
「結果として勝ったから正義なのかな? 正義ってなんなんだろう……」
「正義と勝ち負けは無関係なのじゃ。今回はあたしたちの正義と力王の正義がぶつかっただけなのじゃ。でなければあやつの教義を認める事になるからの」
 ふぉ、ふぉ、とウィゼが答える。
「正義かどうかはともかく……『強い』だけでは勝利は得られないでしょう」
 赤煙が楽しそうな周囲の観客たちへと目を向ける。
「人類の勝利とは、デウスエクスを滅ぼす事ではありませんからな」

作者:さわま 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年5月18日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 7/感動した 1/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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