特製オムライスはいかが?

作者:森下映

「なぜだ……なぜなんだ……」
 閉店が決まった店の奥で、50代位に見える男性が椅子に座って頭を抱えている。
 白とピンクを基調としたポップな店内。しかし白い床や壁には至るところに赤い染みがついていた。血ではない。ケチャップである。
「可愛いメイドさんがオムライスを手づかみで口にねじこんでくれる! これ以上の至福はないはずなのに……」
 ところが大多数の人にとってはそんなことはなく、クレームと返金の嵐。乱闘騒ぎになったこともあり、当然のアルバイトの女の子達は次々とやめ、客も減り、行き着いたのがこの状態である。
 ――隠れた名店を狙ってこんな裏路地の店舗を選んだのがいけなかったのだろうか。
 ――それとも女の子達のレベルが低すぎたのだろうか。
 あれもこれもと後悔は次から次へと湧いてくる。何しろ自分でメイド喫茶を経営することは彼の長年の夢だったのだから。
「はっそうか、もしや私がメイドだったらよかったのか……?」
 そう言った途端、突然男性は椅子から床へ崩れ落ちた。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『後悔』を奪わせてもらいましょう」
 男性の心臓を突いた手にした鍵を手に、第十の魔女・ゲリュオンが言う。
 その隣には、メイド服を着た女の子が立っていた。

「何というか詰めが甘い店ね」
 古鐘・るり(安楽椅子の魔女・e01248)がきっぱりと言い放つ。
「立地、ニーズ、サービス、どれもダメ。隙間狙いの商売をするのと自分の趣味を押し付けるのとは違うわ。……店を持ちたいという情熱は本物だったのでしょうけど」
 セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)によれば、『後悔』を奪ったゲリュオンは既に姿を消しているようだが、奪われた『後悔』を元に現実化したドリームイーターは事件を起こそうとしているとのこと。
「店長型のドリームイーターは近づいてきた人を客として店の中に引き入れ、強制的にサービスを与えて殺してしまいます」
 そのサービスとは『メイド姿の店主が手づかみでオムライスを口の中にねじこむ』というもの。店主メイドは小柄で清楚な感じの女の子になっており、心の底から喜んだ客は見逃してもらえることもあるが、このサービスではなかなか厳しいだろう。
「被害者の男性は、店の奥にあるバックルームに寝かされています」
 ドリームイーターを倒すことができれば、『後悔』を奪われてしまった被害者も目を覚ます。

 ドリームイーターは1体のみ。戦闘場所は店舗の中となる。
 戦闘中のドリームイーターのポジションはクラッシャーで、ダメージを与えるレベルでオムライスをねじこんできたり、ケチャップを飛ばしてきたり、卵を頭で割ってきたりする。
「店に乗り込んでいきなり戦闘を仕掛けることもできますが、客として店に入ってサービスを受け、そのサービスを心から楽しんであげると、ドリームイーターは満足して戦闘力が減少するようです」
 満足させてから倒した場合、意識を取り戻した被害者も後悔の気持ちが薄れ、前向きに頑張ろうという気持ちになる』という効果もある。

「オムライス自体は美味しいらしいわね。まあ、楽しもうと思えば楽しめないこともないかもしれないわ」
 できれば目覚めた時に前向きになっていて欲しいし、とるりが言う。セリカも頷き、よろしくお願いします、と頭を下げた。


参加者
アリス・ヒエラクス(未だ小さな羽ばたき・e00143)
ロゼ・アウランジェ(ローゼンディーヴァの時謳い・e00275)
古鐘・るり(安楽椅子の魔女・e01248)
タカ・スアーマ(はらぺこ守護騎士・e14830)
アデレード・ヴェルンシュタイン(愛と正義の告死天使・e24828)
プルトーネ・アルマース(夢見る金魚・e27908)
マリー・ブランシェット(マグメルの落とし子・e35128)
神苑・紫姫(この夜を護る吸血鬼・e36718)

■リプレイ


「なぜだ……なぜなんだ……って頭を抱えたいのはこっちよ」
 今日はお嬢様と言われるに相応しいミニ丈のヨークドレスで。ブルーを基調に白いフリルをあしらったデザインが青い髪と瞳によく似合う。勿論、胸元のリボンと尻尾のリボンはお揃いで。古鐘・るり(安楽椅子の魔女・e01248)。
「コンビニにだってオムライスのおにぎりがあるのに、わざわざ普通のオムライスを手掴みするのは何故なの」
「ちょっとあんまり……ううん、全然楽しいと思えないサービスだよね」
 サイドに2つお団子を作ったセミロングの茶色の髪に、紫色の竜胆の花がアクセサリーのように咲いている。大きな赤い瞳に天使の白翼、プルトーネ・アルマース(夢見る金魚・e27908)が困った様な怒った様な顔をすると、凛々しい眉毛とひよこみたいな姿、てっぺんに結んだ赤いリボンがアクセント。ピンクの女の子テレビウム、いちまるも、うーんと羽根を組んでみる。
「奇をてらったサービスをするものよなぁ……」
 左右の瞳は青と茶色。リボンを結んだ白い髪を光の翼が眩しく彩る。アデレード・ヴェルンシュタイン(愛と正義の告死天使・e24828)。
「邪道とは王道を極めたものが至る境地……まずは普通のメイド喫茶としてやるのではだめじゃったのかのぅ……」
「自分のやりたいことをやって儲けになるなら、そんな良いことは無いのですけどね」
 一方通行の殿様商売では色々厳しい。少女のような風貌ながら熟練の商人であるマリー・ブランシェット(マグメルの落とし子・e35128)としては、思う所はある。
「私、オムライスは大好きですよ! けれど、手づかみでむりやりお口にねじ込まれるのはちょっと……」
 ふんわり切りそろえた前髪の下、ロゼ・アウランジェ(ローゼンディーヴァの時謳い・e00275)が眉を顰めた。翼と髪は優しく輝く金色、常磐の瞳を持ち、魔力で色を転じる七彩の薔薇を髪に咲かせる。生まれと見た目よりずっとお転婆な天使姫は可憐な歌姫でもある。
「ふわふわ玉子にチキンライス……美味しいオムライスがもったいないです!」
 テレビウムのへメラはオムライスに興味津々。だがさすがにこのサービスは受けさせられない。
「最大公約数的な幸福の形ばかりが肯定されるべきだとは思わないけれど……先鋭化した思想というものは、容赦無く人心を篩にかけるものなのだわ」
 淡々とアリス・ヒエラクス(未だ小さな羽ばたき・e00143)が言う。ヘアバンドのように編み込んだ金髪に飾った瞳と同じ青い薔薇の下、エルフの尖り耳が覗く。
「……何事も匙加減が、大事」
「うむ。そしてこんな店にOKを出した市役所も悪いと思う」
 重量級でコワモテとは本人の談。真っ赤な竜派のドラゴニアン、タカ・スアーマ(はらぺこ守護騎士・e14830)。お値段も中々の一張羅スーツは思わず洒落乙と言いたくなる風情。ボクスドラゴンのプロトメサイアは嫌な予感に顔を曇らせている。
「まあ50代男性がメイドになる決断をしなくてよかったわね。そうなってたらこの場で串焼きにするところだったわ」
 るりが言い、
「とにかく、いい? 入店する人は心からサービスを楽しむのよ、と……何か聞こえるのだけど……」
「その1、合法的に衣服を血……ケチャップで汚せる。その2、従者達にかしづかれて戯れてみたい。その3、」
 何やら白い執事服を着た少女がニヤニヤ自分の世界に入っている。銀の髪と、側にビハインドの通称ステラがいるところを見ると、神苑・紫姫(この夜を護る吸血鬼・e36718)の様だ。
「人の手を咥えて食事という動作! ……が吸血鬼の様に見えそうですわ……うふふ」
 執事服がなぜ白かといえば当然血……ケチャップの汚れを目立たせる為。
「おまかせするね、気をつけてね」
 待機組のプルトーネが言う。すると、
「行きますわよ、皆様!」
 紫の瞳を爛々、紫姫が立ち上がった。


「お帰りなさいませ、お嬢様」
 店の前でメイドが、ぺこりと頭を下げた。
「さあ、席に案内して頂戴!」
 既にテンションが大気圏外へ突入しそうな紫姫が先陣を切って入店、
「こんな裏路地にメイド喫茶があるとは……メイドのレベルも高い」
 タカがメイドに向かって微笑むと、
「光栄です、ご主人様」
 メイドもにっこり、席へ案内する。紫姫は座るなり、
「オムライスをお願いいたしますわ! ケチャップはたーっぷりもってこいですの!」
「かしこまりました」
「オムライスは人数分お願いね」
 注文しながらるりはメイドを観察。情報の通り小柄で清楚。と、
「……オムライスはやはり卵の焼き加減が重要」
 実はグルメ好きのアリスが言った。
「というわけで、とろふわ……とろふわ卵で頼むわ」
「かしこまりました。とろっとろのふわっふわですね♪」
 そして。
「おまたせ致しました」
 ワゴンにのせて運んできオムライス達からは美味しそうな香り。
「初めてなので……や、優しくお願いしますね?」
 マリー、意図せず上目遣いになっているマリー。ざくっとメイドの手がオムライスを掴む。
「では、お嬢様。あーん」
「あ、あーん」
 口をあけるや否や容赦なく突っ込まれるオムライス。
「わ」
 窓から覗いていたプルトーネが、思わず拳をぐぐっと握りしめた。
「オムライスをねじ込むお姉ちゃんが思った以上に怖いの……」
 すると、いちまるとへメラが見えないーというように足元でぱたぱた。プルトーネとロゼが抱き上げてやる。
「やっぱり見学でよかった。ちょっとホッとしちゃった」
 プルトーネが言う。ロゼは、
「あーん、は優しくして欲しいですよね。そう、彼みたいに優しく……」
 夫がしてくれるのはあんなに嬉しいのに。
(「よくあーん、してくれるけど、」)
「ご飯は楽しく食べないと美味しくないのにね。……あれ?」
 プルトーネがロゼを心配そうに覗き込み、
「なんだかお顔が赤いの」
「あっ、大丈夫ですよ、何ともないです!」
 内心きゃあああとへメラで顔を隠すロゼ。
 一方マリーは両手で口をおさえ、
(「あら、案外美味しいです」)
 しかしふわとろ部分はともかく、チキンライスは手強い。
(「次は少なめにお願いしてみましょう」)
 何とか飲み込んでほっと息をついた。
「メイドさんに口にオムライスを突っ込んでもらうなぞ、やんごとなきお嬢様になったようじゃのぅ!」
 美味しいものは大好きなアデレード、味には期待しているのだが、
「失礼いたします♪」
「もがー!?」
(「こ、呼吸ができぬ……!? 冥土喫茶とは主人を冥土に誘う喫茶だったのか―!?」)
 アデレード、とにかく高速でもぐもぐもぐもぐ。
「こ、これならメイドさんに奉仕されつつも口に運ぶ手間もなくてよいのぅ! お、おかわりじゃ!」
「かしこまりました」
「もがー!?」
 と、メイドはタカの隣に移動。
「次はご主人様の番です。はい、あーん」
(「よし、単発ならいける」)
 だが次々来られるのは避けたい。タカは逃げようとしているプロトメサイアをがっちり掴み、
「こんなサービス他では受けられん! お前も受けてみろプロトメサイア!」
「はい、どうぞ♪」
「ーー!」
 プロトメサイアの鼻からブレスがぽふっ。
「メイドと理不尽なサービス……なかなか独創的で素敵だ」
 タカ、自分でなければ余裕。
(「まずはオムライスをいれやすいように口をあけるのがコツね」)
 皆の食事風景から考える、るり。
(「大口を開けるのに慣れてないから……そうだ」)
「お嬢様、あーん」
「『がおーっ』」
「まあ、お可愛らしい!」
 吹っ切ってワイルドになるための暗示もかねて。ハロウィンも思い出してライオンになった気分で口をあけてみたるりに、メイドは顔をほころばせてオムライスを突っ込む。
(「この遠慮のなさは確かにイラッとするわね」)
 ワイルドるりとしては噛みつきたくなくもないが、静かに怒りマークだけ浮かべつつもぐもぐ、
「……美味しい」
 本当にオムライスは美味しかった。こんな店の癖に、とは思うが。
「『がおーっ』」
「はい、どうぞ♪」
(「カレーだって本格的な店は手で食べるのだ」)
 オムライスも本格的なメイド喫茶は手で食べさせる。どこもおかしくはない。(「可愛いメイドさんの手の温もりまで感じられて、一歩進み過ぎたところまでサービスが行き届いている……」)
 究極のメイド喫茶。と、最高評価のレビューをしてみれば、心から楽しめるというもの。
「切れ目を入れた瞬間に広がる、半熟卵の絢爛な彩りと芳醇な香りが食欲を誘うのだわ……」
 無表情グルメリポーターアリスの番である。
「お嬢様も、あーん」
「……ごふっ」
「流石の拘りとごふっ……」
「絶妙な焼き加減ごふっ……」
「感服し、ごふっ……」
 むせながらも表情を変えず称賛を重ねるアリスにメイドも調子づいてオムライスを突っ込む。と、
「ちょっとあなた」
 紫姫が言った。
「早く来なさい! その可愛らしい手ごと頂いてやるですの!」
「失礼致しました。今すぐ参ります」
「血……ケチャップは滴らんばかりにかけて頂きたいですの!」
「かしこまりました」
 ぎゅるぎゅるケチャップが絞られたオムライスをメイドが手づかみすると、
(「いいですわあ……臓物的なアレみたいですわ!」)
 高鳴る紫姫の胸。メイドがオムライスを突っ込めば、紫姫の口の周りには血……ケチャップがつき、さらには執事服の胸元や膝へ滴り赤く染まった。
(「多少手に齧りついても怒られませんわよね……?」)
「痛!」
 メイドが手をひっこめる。その手には血……ではなくたぶんケチャップ。
「もう、お嬢様ったらお戯れを……その、前もっておっしゃって下さいませ」
 メイドが眉を顰めながら言った。紫姫のテンションはスーパーハイ、
(「これこそ吸血鬼ですの!」)
 行儀の悪さは承知の上、全身でこの店を楽しむ紫姫の姿には仲間達も感銘を受けた。かもしれない。
「次はもーっとケチャップをかけてこいですnむごぉ!?」
 不意にオムライスを突っ込まれても満面の笑顔。ステラも『眷属』らしくかしづき、紫姫のテンションにメイドが巻き込まれ気味だったおかげで、他の者は大部分休めたのだった。


「お皿をお下げいたします」
「待ちなさい」
 るりがメイドを呼び止めた。すぐにアデレードが連絡を取り、プルトーネにいちまる、ロゼとへメラも店内へ。
「特別な事しなくても、おいしいものは皆で食べたら美味しいんだよ!」
 プルトーネが斧を一振りすると、浮かんだルーンが巻き上がって作りだされた弾丸が発射された。
「きゃああ?!」
 みるみるメイドの手足が凍りつく。が、すかさずエプロンから取り出したケチャップを噴射した。しかしその隙に、いちまるが自分の背丈より大きなフォークをぶすっとひと差し。紫姫は飛ぶケチャップを喰らいに自ら飛び込み、
「こんなサービスあってたまるか!」
 タカがメタルドラゴンのかけらを若干キレ気味にバースト。顔についたケチャップは色的に目立たないもののスーツは大変なことになっている。同じく身体を張ったプロトメサイアは、ぶんぶん首を縦に振りながらタカを回復する。
「美味しいものは美味しく食べてこそ、です!」
 なびく金髪と頬にケチャップ。ロゼの声に合わせて音色が踊り、強烈な蹴りとともに花靴が花弁を落とした。へメラはロゼとお揃いの白いマイクを握って踊りながら動画を流す。
「オムライスは美味しかったですが……」
 逃げるメイドをブレードで追い詰め、マリーが飛ぶ。
「危険なサービスは売り物にはできませんよ1」
「ひゃああん!」
 身体を返しながらの飛び蹴りにメイドが尻餅をついた。その前、満遍なくケチャップのかかったるりがファースタリをめくり、神槍を召喚する。フルカネルリの魔女裁判、レプリカとはいえ必中の槍が裁きを下す。そして、
「妙な感触じゃのう」
 アデレードは顔についたケチャップをこすりながら杖を一回し。メイドと皆の間に雷の壁を構築した。
 ある意味混戦。オムライスが宙を散り、卵が砕け、ケチャップが飛ぶ。かと思えば、
「貴方の頭にも卵を差し上げますわ、ささ、遠慮なさらず!」
 桃色の霧をふりまきながら、見事に赤に染まった紫姫がメイドを押さえつけ、どこに持っていたのか生卵をかます。加えてご飯粒をつけ卵をかぶりケチャップにまみれても崩れぬ鉄面皮、妙にシュールな図柄ながら怒れる森エルフの攻撃は凄まじく、
「この一撃はとろふわ卵の分」
「ごふっ」
「これはとろふわオムライスをゆっくり食べられなかった分」
「ごふっ」
「そしてこれは、静かに食事を取れなかった分よ。『……逃さないわ』」
「いたっ! いたああああい!」
 青いオーラ纏うナイフがメイドを次々にメイドを斬りつける。
「……食べ物を粗末にする事は、命を冒涜する事でもあるのよ」
 涙目のメイドを見下ろし、アリスが言った。そして再び浮かび上がるガングニールレプリカ。
「『消えて終わりよ……ジャッジメント!!』」
 るりが真っ直ぐに指差すと、槍は空気を切ってメイドに向かう。
「いやああああーーーー」
 貫かれ、メイドは煙の様消滅した。


「はっ、私ときたら何てはしたない!」
 我に帰った紫姫が恥ずかしがるが大変な今更感である。本来の執事服の目的に従い、皆の服をクリーニングする。
「敷金がかかってはいかんからの」
 アデレードは店内をヒール、
「様子見てくるね」
 プルトーネはお水を持っていちまるとバックルームへ。しばらくして店主とともに戻ってきた。
「あまりキツイことは言いたくないのですけれど、」
 まずは商売の大先輩、マリーから。
「私も食べ物を粗末にする点には賛成できませんわ」
 散らかった食べ物を片付けながら紫姫も言う。
「無理やり食べさせてもらって嬉しいのは少数で、ほとんどの人が嫌だと思うんだ」
 椅子にちょこんと座り、プルトーネが言った。
「だからせめて、希望者さんに優しく食べさせてあげるとかその位の方がいいと思うの」
「私もコンセプトは気に入りましたわ」
 紫姫が言い、
「希望者にというのは良い考えだな」
 タカとプロトメサイアが一緒に頷く。
「メイド喫茶は私も結構好きよ」
 るりが言うと、店主は目を輝かせた。
「ちなみにどんなお店がお好きで?」
「クラシカルがいいわね」
「私もです。今度はその方面で挑戦してみるのもいいかもしれません!」
「私はご飯は静かに食べたいわね……」
 アリスが言う。なるほどーと店主はメモまで取り始めた。と、
「あのね、普通にオムライス食べたいから、作ってもらえたら嬉しいな」
 プルトーネが言った。ロゼも、
「あ、そうしていただけたら私も嬉しいです! とっても美味しそうでしたから」
 喜んで、と材料を揃え、料理をする店主はやる気に満ちあふれてみえ、
(「この様子なら、きっと近いうちに開店するわね」)
 これからも色々あるだろう。それでももう彼が『後悔』に陥る事はないのではないかと、るりは思った。

作者:森下映 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年5月13日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 5
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